JPH04116269U - ブレーキペダルの遊び調節機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 ブレーキペダルの遊び調節を、ブレーキペダ
ルの表面側、すなわち車室側から行うことができるよう
に構成し、作業者に無理な作業姿勢を強いることなく、
容易に調節作業を行うことができるようにしている。 【構成】 外周ねじ部９を有するとともに先端部に工具
係合部１０を有し、上記プッシュロッド７の軸方向一定
位置において回転自在に套挿保持される円筒状調節部材
１１と、上記円筒状調節部材の上記外周ねじ部に螺合さ
れる内周ねじ部１２を有するとともに、外周部に設けた
連結ピン１３によって上記アーム部４に連結される環状
連結部材１４と、上記円筒状調節部材１１とプッシュロ
ッド７との相対回転を阻止しうるロック手段１８とを設
けている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本願考案は、ブレーキペダルの遊び調節機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】

自動車のブレーキペダルは、たとえば、実開昭５６−７０３３１号公報に記載 されているもののように、運転者の足によって踏み込み操作できるように、運転 席前方のダッシュパネル下方に設けられている。 上記ブレーキペダルは、上方基端部がブラケット等を介して上記ダッシュパネ ルに揺動可能に支持されたアーム部と、上記アーム部の下方先端に設けられたペ ダル板とを備えて大略構成されており、上記アーム部の中間部には、ダッシュパ ネル前方のエンジンルームに設けられたブレーキマスタシリンダから延びるプッ シュロッドの先端部が連結されている。

【０００３】 ブレーキペダルのペダル板を踏み込むと、上記アーム部が基端部の周りに揺動 させられ、これによりプッシュロッドが車体前方に向かって押圧される。このプ ッシュロッドの動きによってブレーキマスタシリンダのピストンが作動させられ 、車輪側ブレーキを作動させるための油圧が発生する。

【０００４】 ところで、上記ブレーキペダルとプッシュロッドの間には、ブレーキフィーリ ングの調整などのためのブレーキペダルの遊び調節機構が設けられる。 たとえば、ブレーキペダルの遊びが全くない場合には、ペダル板に運転者の足 を乗せただけでブレーキマスタシリンダが作動させられ、油圧が発生してブレー キが作動してしまう。このため、スムーズなブレーキ操作を行うことができなく なってしまう。 一方、上記遊びが大きすぎると、ペダルを踏み込んでから油圧が発生するまで に時間がかかり、ブレーキタイミングがずれてしまう。

【０００５】 上記公報に記載された考案においては、上記問題を解決するため、プッシュロ ッドの先端部に外周ねじを形成する一方、上記ブレーキペダルのアーム部に設け たブラケットに上記プッシュロッドの先端部に螺合するねじを設け、上記プッシ ュロッドを回転させることにより、上記プッシュロッドとブレーキペダルの相対 位置を調節して、ブレーキペダルの遊びを調節するとともに、上記プッシュロッ ドの外周ねじにロックナットを螺合させ、調節位置を保持することができるよう に構成している。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上記公報に記載されているような従来のブレーキペダルの遊び調節 機構においては、上記プッシュロッドと上記ブラケットの連結部分がブレーキペ ダルのダッシュパネル側、すなわち、ブレーキペダルのアーム部背面側に設けら れている。このため、ブレーキペダルの遊びを調節するには、ブレーキペダルと ダッシュパネルの間に形成される空間に工具等を挿入して作業を行わなければな らず、調節作業が非常に面倒であるという問題がある。

【０００７】 すなわち、ブレーキペダルとダッシュパネルとの間の空間はきわめて限定され た空間であるため、上記ロックナットをゆるめたり、プッシュロッドを回転する ための作業空間を充分に確保することができない。このため、工具を挿入するこ とも難しく、調節作業が困難になる。 しかも、ダッシュパネルの最下方の上記限られた空間において調節作業を行う ために、作業者に無理な姿勢を強いることになる。

【０００８】 本願考案は上述の事情のもとで考え出されたものであって、上記従来の問題を 解決し、ブレーキペダルの遊び調節を、ブレーキペダルの表面側、すなわち車室 側から行うことができるように構成し、調節作業を行う作業者に無理な作業姿勢 を強いることのないブレーキペダルの遊び調節機構を提供することをその課題と する。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するため、本願考案では、次の技術的手段を講じている。 すなわち、本願考案は、基端部がブレーキマスタシリンダに連結されたプッシ ュロッドの先端部とブレーキペダルのアーム部の連結部に設けるブレーキペダル の遊び調節機構であって、 外周ねじ部を有するとともに先端部に工具係合部を有し、上記プッシュロッド の軸方向一定位置において回転自在に套挿保持される円筒状調節部材と、 上記円筒状調節部材の上記外周ねじ部に螺合される内周ねじ部を有するととも に、外周部に設けた連結ピンによって上記アーム部に連結される環状連結部材と 、 上記円筒状調節部材とプッシュロッドとの相対回転を阻止しうるロック手段と を設けて構成したことを特徴とする。

【００１０】

【考案の作用および効果】

本願考案に係るブレーキペダルの遊び調節機構は、外周ねじ部を有するととも に、先端部に工具係合部を有し、プッシュロッドに套挿される円筒状調節部材と 、上記円筒状調節部材の上記外周ねじ部に螺合される内周ねじ部を有するととも に、外周部に設けた連結ピンによって上記アーム部に連結される環状連結部材と を備える。

【００１１】 上記円筒状調節部材が、プッシュロッドの軸方向一定位置において回転自在に 套挿保持されているため、上記円筒状調節部材を回転させると、上記環状連結部 材がプッシュロッドの軸方向に螺進退させられる。一方、上記環状連結部材は、 上記ブレーキペダルのアーム部に対して連結されているため、上記環状連結部材 がプッシュロッドの軸方向に移動させられることによって、上記プッシュロッド とブレーキペダルの相対位置が変化させられ、これにより、上記ブレーキペダル のプッシュロッドに対する遊びが調節される。

【００１２】 本願考案に係る上記ブレーキペダルの遊び調節機構においては、プッシュロッ ドに套挿される円筒状調節部材の外周に、アーム部に連結された上記環状連結部 材を螺合させているため、上記円筒状調節部材の先端部をブレーキペダルの表面 側へ配置することが可能となる。すなわち、上記円筒状調節部材の先端部に形成 した工具係合部をブレーキペダルの表面側、すなわち車室側へ配置することがで きる。

【００１３】 上記構成により、ペダルの表面側から上記円筒状調節部材の工具係合部に工具 を係合させてブレーキペダルの遊び調節作業を行うことが可能となる。このため 、従来の構造に比べ、作業空間を充分に確保することが可能となり、遊び調節作 業の作業性が格段に向上する。 しかも、ブレーキペダルの表面側から調節作業を行うことができるため、作業 者に無理な姿勢を強いることもない。

【００１４】 また、本願考案においては、上記円筒状調節部材およびプッシュロッドの先端 部がブレーキペダルの表面側に配置されることから、上記円筒状調節部材とプッ シュロッドとの相対回転を阻止してブレーキペダルを所定の調節位置に保持する ロック手段をブレーキペダルの表面側に設けることが可能となる。このため、上 記ロック手段を作動させあるいは解除させる作業も、ブレーキペダルの表面側か ら行うことができ、作業性がさらに向上する。

【００１５】 さらに、本願考案においては、上記円筒状調節部材が上記プッシュロッドの軸 方向一定位置に保持されるとともに、ブレーキペダルに連結された環状連結部材 が上記円筒状調節部材の外周ねじ部に螺合されて構成されている。このため、上 記円筒状調節部材の上記プッシュロッドに対する保持位置、および、上記環状連 結部材の上記円筒状調節部材に対する螺合位置を正確に規定することが可能とな るとともに、ガタ等もほとんど生じない。したがって、ブレーキペダルの遊び量 を精度高く設定することが可能となる。

【００１６】 加えて、本願考案においては、上記円筒状調節部材および環状連結部材をブレ ーキペダルにあらかじめ付属させた状態で、上記ブレーキペダルをプッシュロッ ドに対して連結することができる。このため、ブレーキペダルの遊び調節作業の みならず、ブレーキペダルの車体に対する組み付け作業も容易に行うことができ る。

【００１７】

【実施例の説明】

以下、本願考案に係るブレーキペダルの遊び調節機構の実施例を図１ないし図 ３に基づいて具体的に説明する。 図３に示すように、ブレーキペダル１は、運転席前方のダッシュパネル２の下 方において踏み込み操作可能に設けられており、ダッシュパネル２ないしフロン トフロア３に沿って延びるアーム部４と、上記アーム部４の先端に設けられるペ ダル板５とを備え、上記アーム部４の上方基端部が、図示しないブラケットを介 してダッシュパネル２に制動解除方向に弾力付勢されながら揺動可能に支持され ている。また、上記ブレーキペダル１のアーム部４の中間部には、ダッシュパネ ル前方のエンジンルーム内に配置されたマスタシリンダ６から延びるプッシュロ ッド７の先端部が揺動可能に連結されている。

【００１８】 上記ブレーキペダル１のペダル板５を踏み込み操作すると、上記ブレーキペダ ル１が、上記アーム部４の基端部を中心に車体前方へ揺動させられ、それに伴っ て、上記プッシュロッド７が車体前方に移動させられる。このプッシュロッド７ の車体前方への移動により、上記マスタシリンダ６内のピストンが駆動され、ホ イール側ブレーキ本体を作動させる油圧が発生する。

【００１９】 本実施例に係るブレーキペダル１においては、上記アーム部４と上記プッシュ ロッド７の連結部に上記ブレーキペダル１の遊びを調節する遊び調節機構８が設 けられる。 本実施例に係る上記遊び調節機構８は、図１に示すように、外周ねじ部９を有 するとともに先端部に工具係合部１０を有し、上記プッシュロッド７に套挿され る円筒状調節部材１１と、上記円筒状調節部材１１の上記外周ねじ部９に螺合さ れる内周ねじ部１２を有するとともに、外周部に設けた一対の連結ピン１３，１ ３によってブレーキペダル１の上記アーム部４に連結される環状連結部材１４と を備える。

【００２０】 上記円筒状調節部材１１は、上記プッシュロッド７の中間部に延出形成された 円板状の鍔部１５によって、上記プッシュロッドの軸方向一定位置において回転 自在に支持されている。そして、ブレーキベダル１を踏み込み操作することによ り、上記円筒状連結部材１１の基端部が上記鍔部１５を押圧し、プッシュロッド ７を軸方向前方へ移動させるように構成されている。また、本実施例に係る上記 工具係合部１０は、円筒状調節部材１１の端部外周を六角形状に加工することに より形成されている。

【００２１】 一方、上記環状連結部材１４は、図２に示すように、上記内周ねじ部１２が上 記円筒状調節部材１１の外周ねじ部９に螺合されて上記円筒状調節部材１１の外 周に保持されるとともに、外周部両側に形成された連結ピン１３，１３が、上記 アーム部４の対向する側壁部４ａ，４ｂに係合することにより、上記アーム部４ に対して揺動可能に連結されている。

【００２２】 本実施例に係るブレーキペダル１のアーム部４には、図１および図２に示すよ うに、左右側壁４ａ，４ｂによって囲まれ、上記プッシュロッド７の延出方向に 貫通する筒状連結空間１６が設けられている。そして、上記環状連結部材１４な いし上記円筒状連結部材１１が上記連結空間１６に挿入され、上記連結ピン１３ ，１３が左右側壁４ａ，４ｂに設けた連結穴１７，１７に係入されることにより 、プッシュロッド７が上記ブレーキペダル１に対して連結されている。

【００２３】 また、本実施例においては、上記プッシュロッド７の先端部外周に、外周ねじ １８を形成する一方、この外周ねじ１８に螺合され、上記円筒状調節部材１１を 上記鍔部１５との間で挟圧固定して上記プッシュロッド７に対する相対回転を阻 止するロックナット１９が設けられている。

【００２４】 上記構成を有する遊び調節機構８において、上記ロックナット１９を弛めた状 態で、上記円筒状調節部材１１の工具係合部１０にスパナ等の工具を係合させ、 これを回転させると、上記円筒状調節部材１１がプッシュロッド７の軸方向一定 位置で回転させられる一方、上記円筒状調節部材１１の外周ねじ部９に螺合させ られた環状連結部材１４がプッシュロッド７の軸方向に螺進退させられる。上記 環状連結部材１４は上記アーム部４に連結されているため、上記環状連結部材１ ４の上記螺進退によって、ブレーキペダル１の上記プッシュロッド７に対する軸 方向相対位置が変化する。このプッシュロッド７に対する環状連結部材１４の動 きによって、上記ブレーキペダル１の遊びを調節することができる。

【００２５】 本実施例に係る上記遊び調節機構８においては、図２に示すように、上記プッ シュロッド７が上記アーム部４の連結空間１６を貫通させられるとともに、ブレ ーキペダル１の表面側、すなわち、車室側に、上記ロックナット１９および円筒 状調節部材１１の工具係合部１０が配置されるように構成されている。このため 、上記ロックナット１９および円筒状調節部材１１の回転操作をブレーキペダル １の表面側から行うことができる。この結果、スパナ等の工具を上記ロックナッ ト１９ないし工具係合部１０に係合させるとともに、これを回転させるための作 業空間を充分に確保することができ、上記遊び調節機構８の調節作業をきわめて 容易に行うことができる。 また、従来の遊び調節機構のように、工具をブレーキペダル１の背面とダッシ ュパネル２との間に形成される限定された空間に工具を挿入して調節作業を行う 必要がないため、調節作業を行う作業者に、無理な作業姿勢を強いることもない 。

【００２６】 さらに、本実施例に係る遊び調節機構８においては、上記円筒状調節部材１１ の基端が上記鍔部１５に回転可能に当接するとともに、上記環状連結部材１４が 上記円筒状調節部材１１の外周に螺合された構造を備えている。このため、上記 プッシュロッド７と上記円筒状調節部材１１の間、および、上記円筒状調節部材 １１と上記環状連結部材１４との間にがたがほとんど発生しない。この結果、ブ レーキペダルの遊びを精度高く調節することが可能となる。

【００２７】 加えて、本実施例においては、上記円筒状調節部材１１と上記環状連結部材１ ４をあらかじめブレーキペダル１に付属させた状態で、上記ブレーキペダル１を 車体に対して組み付けることができる。このため、ブレーキペダルの遊びの調節 作業のみならず、ブレーキペダル１の車体への組み付け作業も容易に行うことが 可能となる。

【００２８】 本願考案は、上述の実施例に限定されることはない。 実施例においては、円筒状調節部材１１とプッシュロッド７との相対回転を阻 止しうるロック手段として、プッシュロッド７の先端部に外周ねじ１８を設ける とともに、これにロックナット１９を螺合させたが、上記円筒状調節部材１１と プッシュロッド７との相対回転を阻止しるうものであれば、他の手段を採用する ことができる。

【００２９】 また、実施例においては、上記円筒状調節部材１１をプッシュロッド７の軸方 向一定位置に回転可能に套挿保持するために、上記プッシュロッド７の中間部に 円板状の鍔部１５を形成したが、たとえば、プッシュロッドを段付き状に形成す ること等によって、上記円筒状調節部材１１を一定位置に保持することもできる 。

【００３０】 さらに、環状連結部材１４は、上記ブレーキペダル１のアーム部４の中間部に 形成した連結空間１６に挿入されるようにして連結するように構成したが、ブレ ーキペダル１のアーム部４に別途ブラケットを設けて上記環状連結部材１４を連 結することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願考案に係るブレーキペダルの遊び調節機構
の分解斜視図である。

【図２】本願考案に係るブレーキペダルの遊び調節機構
の組み付け状態における要部断面図である。

【図３】本願考案に係るブレーキペダルの遊び調節機構
を備えるブレーキペダルの全体側面図である。

【符号の説明】

１ ブレーキペダル ４ アーム部 ６ ブレーキマスタシリンダ ７ プッシュロッド ８ 遊び調節機構 ９ 外周ねじ部 １０ 工具係合部 １１ 円筒状調節部材 １２ 内周ねじ部 １３ 連結ピン １４ 環状連結部材 １８，１９ ロック手段

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 基端部がブレーキマスタシリンダに連結
   されたプッシュロッドの先端部とブレーキペダルのアー
   ム部の連結部に設けるブレーキペダルの遊び調節機構で
   あって、外周ねじ部を有するとともに先端部に工具係合
   部を有し、上記プッシュロッドの軸方向一定位置におい
   て回転自在に套挿保持される円筒状調節部材と、上記円
   筒状調節部材の上記外周ねじ部に螺合される内周ねじ部
   を有するとともに、外周部に設けた連結ピンによって上
   記アーム部に連結される環状連結部材と、上記円筒状調
   節部材とプッシュロッドとの相対回転を阻止しうるロッ
   ク手段とを設けて構成したことを特徴とする、ブレーキ
   ペダルの遊び調節機構。