JPH0379762B2 - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
発明の背景
技術分野
本発明は、磁気ヘツド用非晶質磁性合金薄板と
その製造方法に関する。 先行技術とその問題点 磁気ヘツド形成材料の一つとして、鉄族遷移金
属元素としてCoを主体として含み、さらに15〜
35at%程度のガラス化元素を含む非晶質磁性合金
薄板が知られている。 このような非晶質磁性合金に、Ruを添加する
と、耐摩耗性や、打抜性等が向上し、きわめて良
好な特性を示す。 一方、上記したような非晶質磁性合金に、Mn
を添加すると、飽和磁束密度には影響を与えるこ
となく、キユリー温度Tcを減少させることがで
き、結晶化温度Txとの差(Tx−Tc)が大きく
なり、熱処理が容易となり、透磁率が向上し、し
かも高い飽和磁束密度が得られることも知られて
いる。 従つて、上記のような非晶質磁性合金にRuと
Mnを複合添加すれば、きわめて良好な特性を示
すことが期待される。 しかし、このようにMnとRuとを複合添加し
て、MnとRuとを含有する母合金の溶湯から高速
急冷法に従い薄板を得ようとすると、以下のよう
な不都合を生じる。 すなわち、噴射ノズルから冷却体への溶湯の噴
射を行う雰囲気として、真空ないし不活性ガス雰
囲気を用いずに、大気中で高速急冷を行うと、噴
射ノズルの先端にスラグ層が形成され、これによ
り得られる薄板の表面に連続的な溝状の欠陥が生
じ、薄板の表面性が劣化し、板厚精度が悪くな
る。また、このスラグ層のため溶湯の噴射が停止
してしまい製造不能となることもある。このた
め、大量の薄板を一挙に製造できなかつたり、た
びたびノズルを交換しなければならないという不
都合も生じる。 発明の目的 本発明は、このような実状に鑑みなされたもの
であつて、その主たる目的は、高速急冷法による
薄板化の際に、噴射ノズルの先端にスラグ層が形
成されて、薄板の表面性が劣化したり、製造が不
能となつたりする不都合が解消されたRu−Rn複
合添加型の磁気ヘツド用非晶質磁性合金薄板とそ
の製造方法を提供せんとするものである。 本発明者らは、このような目的につき鋭意研究
を行つたところ、MnおよびRuに加え、さらに
Alを添加したとき、このような目的が達成され
ることを見出し本発明をなすに至つた。 すなわち本発明は、下記式で示される組成をも
つことを特徴とする磁気ヘツド用非晶質磁性合金
薄板である。 式 TxRuyMnzAlwBvSiu {上記式中、Tは、Co、CoおよびFe、またはCo
もしくはCoおよびFeと他の遷移金属元素の1種
以上10at%以下との組合せを表わす。 x+y+z+w+v+u=100at%であり、こ
のうち、yは0.5〜8at%、zは0.5〜6at%、wは
0.5〜2at%、vは16〜35at%、uは0.1〜6at%で
ある。また、T中にFeが含まれる場合、Fe量は
5.6at%以下である。さらに、w/(v+u)は
0.02より大である。} また第2の発明は、対応する組成の溶湯を高速
急冷して、上記式で示される組成をもつ薄板を
得、ノズルのスラグの発生を防止することを特徴
とする磁気ヘツド用非晶質磁性合金薄板の製造方
法である。 発明の具体的構成 以下、本発明の具体的構成について詳細に説明
する。 本発明の非晶質磁性合金薄板は、上記式で示さ
れる組成をもち、RuおよびMnに加え、Alを含
有する。この場合、Al以外の他の元素では、本
発明所定の効果は実現しない。 上記式において、T中にて、必要に応じ、Fe
およびCoとともに組合わせ添加される他の添加
元素は、FeおよびCoならびにRu、およびMn以
外の他の繊維金属元素(Sc〜Zn;Y〜Cd;La〜
Hg;Ac以上)であり、例えばNi、Zr、Ti、Hf、
V、Nb、Ta、Mo、W、Rh、Pd、Os、Ir、Pt
等の1種以上をその具体例として挙げることがで
きる。 一方、ガラス化元素はSiおよびBを必須成分と
する。この場合、必要に応じ、SiおよびBととも
に、他のガラス化元素が組合せ添加されてもよ
い。このような他のガラス化元素としては、P、
C、Ge、Sn等の1種以上がある。 これに対し、上記式において、x+y+z+w
+v+u+t=100at%の条件下にて、Ru添加量
yは、0.5〜8at%である。これは8at%をこえる
と、耐摩耗性や打抜性等が低下するからである。 この場合、Ru添加量yは、0.5〜8at%である
が、より好ましくは0.5〜5at%となると、一層好
ましい結果を得る。 他方、上記式において、Mn添加量zは、6at%
以下である。これは、6at%をこえると、飽和磁
束密度Bsを低下させずにキユリー点を低下させ
るという効果が生じなくなつてしまうからであ
る。 この場合、Mn添加料zが低すぎるときには、
その添加効果が顕著ではなくなるので、zは
0.5at%以上である。 そして、zが1〜4at%となると、より一層好
ましい結果を得る。 これに対し、Al添加料wは、2at%以下であ
る。wが2at%をこえると、逆に噴射ノズル先端
のスラグ層の形成が増加する傾向にある。また、
飽和磁束密度が低下する。さらには打抜性も低下
する。 なお、wが0.5at%未満では、噴射ノズルの先
端のスラグ層形成の解消効果は顕著ではないの
で、wは0.5〜2at%である。 さらに、全ガラス化元素成分、特にSi+Bの添
加量v+uは16.1〜35at%であることが好まし
い。 16.1at%未満となると、非晶質化が困難とな
り、また35at%をこえると、十分な飽和磁束密度
が得られなくなつてくる。 この場合、v+uが18〜30at%となると、より
好ましい結果を得る。 なお、Tの含有量xは、100−y−z−w−v
−uであり、49at%以上、84at%未満であるが、
49〜82.5at%であることが好ましい。 この場合、Tは、CoあるいはCoおよびFeを含
む。 T中における元素組成比は、磁歪を零に近くす
るように選択する。 すなわち、Feの含有量は、0または5.6at%以
下とされる。Fe含有量が5.6at%をこえると、磁
歪が大きくなつてしまい、磁気ヘツド作製工程に
おいて、種々の応力により透磁率が減少してしま
う。 なお、T中にはFeが含まれ、Fe含有量が1.5〜
5.6at%、より好ましくは2〜5.5at%であると、
磁歪の点でより好ましい結果を得る。 他方、Co含有量は、40at%以上となることが
好ましい。Co含有量が40at%未満となると、飽
和磁束密度Bsが減少してしまう。 この場合、Co含有量が、40〜80at%、より好
ましくは50〜70at%となるとさらに好ましい結果
を得る。 さらに、上記したように、Tは、上記含有量範
囲内にて、CoあるいはFeおよびCoのみからなつ
ても、CoあるいはFeおよびCoと上記した他の元
素の1種以上とからなつてもよい。 Tが、CoあるいはFeとCoに加え、他の元素の
1種以上を含む場合、他の遷移金属元素の1種以
上は、総計最大10at%まで含有することができ
る。これ以上の含有量となると、Bsが低下し、
表面性が悪くなる等の不都合が生じる。 このような元素の1例としてはNiがある。Ni
添加は、Coを置換して、材料コストを低減する
等の効果があるが、Ni量が増大するとBsが減少
するので、Ni含有量は、好ましくは8at%以下で
ある。 一方、他の元素の1種以上としては、鉄族
(Fe、Co、Ni)、Ru、Mn以外の遷移金属元素で
あつてよいが、これら他の遷移金属元素の1種以
上は、総計10at%以下であることが好ましい。こ
のとき、Bsの低下は少なく、各添加元素特有の
すぐれた効果が実現する。このような元素として
は、特に、Hf、Ti、Zr、Ta、W、Mo等の1種
以上を挙げることができる。 これに対し、ガラス化元素成分は、SiおよびB
を必須成分とする。 この場合、B含有量vは16〜35at%、Si含有量
uは0.1〜6at%であるので、Bsが高くなり、薄板
の表面性が向上し、好ましい結果を得る。 そして、B含有量vが16〜24at%、Si含有量u
が0.1〜4.8となると、Bsがさらに高くなり、表面
性もさらに向上し、さらに、Ru、Mn、Zr等の添
加元素の添加効果も顕著となり、より好ましい結
果を得る。 なお、ガラス化元素成分中には、必要に応じ、
SiおよびB以外の他の元素の1種以上が含まれて
いてもよい。ただ、その総計が多すぎると非晶質
化しにくくなるので、その含有量は0.5at%以下
であることが好ましい。 以上詳述したような組成をもつ薄板は、実質的
に長範囲規則性をもたない非晶質体である。 また、板厚は、概ね、10〜200μm程度である。 このような、非晶質磁性合金薄板は、通常以下
のようにして製造される。 すなわち、対応する組成の合金を、気相または
液相から超急冷する。この場合、通常は合金を融
液となし、液相から104℃/sec以上、通常104〜
106℃/secの冷却速度で超急冷し、固化させるこ
とによつて非晶質磁性合金薄板を得る。溶融状態
の合金を超急冷するには、溶融合金をノズルから
噴射され、双ロール法、片ロール法、遠心急冷法
等公知の種々の方式、就中片ロールに従い急冷す
ればよい。 なお、製造の際の雰囲気は問わない。すなわ
ち、大気中で高速急冷を行い薄板化しても、噴射
ノズル先端でのスラグ層の形成はほとんどない。 発明の具体的作用 このような非晶質磁性合金薄板は、それを好ま
しくは絶縁性接着剤層を介して積層して所望の形
状のコア半体とされ、これを突き合わせて磁気ヘ
ツド用コア、特にオーデイオ用等の磁気ヘツド用
コアとされる。あるいは、薄板を積層せず、薄板
自体を所望の形状のコア半体となし、このコア半
体を突き合わせて磁気ヘツド用コア、特にヴイデ
オ用等の磁気ヘツド用コアとされる。 なお、第1図には、オーデイオ用磁気ヘツドに
適用したときの例が示される。図中、2,2′が
非晶質磁性合金を積層して形成される磁気ヘツド
用コア、3がダミーブロツク、4がシールドケー
ス、5が支持部であり、これらから磁気ヘツド1
が形成されている。 磁気ヘツドの作製は、通常以下のように行えば
よい。 まず、好ましくは、超急冷法によつて得られた
薄板に対し、所定の熱処理を施す。 この熱処理としては、例えば、結晶化温度未
満、キユリー点以上の温度で施す無磁場中での、
特に内部歪取りを目的とする焼鈍処理でもよく、
又、結晶化温度およびキユリー点未満の温度で行
う、歪取りと磁気特性の改良を目的とする磁場中
での焼鈍処理であつてもよい。そして、この後者
の磁場中での焼鈍処理としては、静磁場、回転磁
場等のいずれを用いてもよい。これら焼鈍処理お
よびその条件は、非晶質磁性合金の組成と所望の
磁気特性とから、適宜選択して行えばよい。 次いで、通常は、このような非晶質磁性合金薄
板を金型により打抜き、所定と形状となし、一般
に、その複数枚を絶縁性接着剤により所定トラツ
ク巾となるよう積層して、コア半体を作製する。 なお、上記熱処理は、この打抜き後に施しても
よい。又、場合によつては、必要に応じ、打ち抜
きにかえホトエツチングを用いたり、あるいは、
積層コアとするときには、積層後の薄板から研削
加工によりコア半体を得ることもできる。 さらには、特に、ヴイデオ用磁気ヘツド等とし
て用いるときには、通常、薄板を積層する必要が
ない。 この後、通常はコア半体に巻線を施し、これを
コアホルダー中に挿入し、ギヤツプ突き合せ面を
研磨した後、ギヤツプ内にギヤツプ形成材料を所
定間〓だけ設け、コア半体同志を突き合せ、コア
となし、さらにシールドケース内に収納し、樹脂
モールドして磁気ヘツドが作製される。 このように作製される磁気ヘツド用コアは、オ
ーデイオ用、ヴイデオ用、電子計算機用、カード
リーダー用等の特に接触形ヘツド用のコアとし
て、いずれの用途においてもきわめて有用であ
る。 発明の具体的効果 本発明によれば、大気中での高速急冷法による
薄板化に際しても、噴射ノズル先端におけるスラ
グ層の形成がきわめて少なくなる。 このため、薄板の表面に欠陥が生じたり、製造
不能となるようなことが少なく、一挙に大量の製
造ができ、またノズルの使用回数がふえ、ノズル
の交換を少なくてすみ、さらには薄板の再研磨を
必要としたりせず、製造上きわめて有利である。 しかも、薄板は、熱処理が容易である上、飽和
磁束密度も高い。 加えて、耐摩耗性、打抜性、耐食性等も良好な
特性を示し、磁気ヘツド用材料としてきわめて有
用である。 発明の具体的実施例 以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明を
さらに詳細に説明する。 実施例 下記表1および表2に示される組成の、45μm
厚の非晶質磁性合金薄板を得た。 薄板化は片ロール法の高速急冷法に従い、噴射
ノズルのスリツト長は5mm、スリツト幅は0.1mm
とした。また、冷却ロールは、軟鋼製のロールを
用い、回転数は3000rpmとした。 1回あたり、50gの対応する母合金を溶融し、
これを大気中にて、5/minの噴射速度で冷却
ロールに噴射して薄板を得た。 このような高速急冷後の表面性を表面粗さ計で
測定した。 結果を第1および第2に示す。 さらに、同一のノズルを用いて、くりかえし何
回かの製造を行ない、得られた薄板の板厚の精度
が±3μm以内であつたノズル使用回数を下記表
1および表2に示す。なお、使用回数0であると
は、1回の製造に際して、±3μm以上の板厚精度
が得られなかつたことを意味する。 また、表1および表2には、得られた薄板のキ
ユリー点Tc、結晶化温度Txおよび飽和磁束密度
Bsが示される。 これに対し、各薄板を用い、第1図に示される
ような各種オーデイオ用磁気ヘツドを作製した。 すなわち、各薄板をTcとTx間の温度で熱処理
した後、超硬合金の金型を用い、ほぼC字状に打
抜いた。 次いで、それぞれの打抜体の複数枚を用い打抜
体の片面にエポキシ系接着剤を塗布し、0.6mm厚
となるように積層し、これを加温硬化して、コア
半体を得た。 この後、この各コア半体に捲線を施し、コアホ
ルダー中に収納し、コア半体のギヤツプ突き合わ
せ面を、研磨およびポリシングして鏡面仕上げし
た。そして、コア半体を、常法に従い、所定のギ
ヤツプをもつて突き合わせ、磁気ヘツド用コア2
とし、各薄板からなるオーデイオ用磁気ヘツド1
を作製した。 このようにして得た各オーデイオ用ヘツドにつ
き、γ−Fe2O3を磁性粉とする塗布型テープによ
る摩耗量を測定した。 すなわち、このテープを25℃、相対湿度60〜65
%にて、4.75cm/secの走行速度で1000時間走行
させ、走行後の摩耗深さを表面粗さ計で測定し
た。結果を100時間あたりの値に換算して、下記
表1および表2に示す。 なお、表1および表2中には、打抜性として、
薄板からの打抜体の端面のバリの高さ(μm)が
併記される。この場合、バリは、同一の金型を用
い、薄板それぞれにつき11万枚の打抜きを行い、
各薄板につき、10万枚目から計10枚の打抜体を選
び、その打抜端面におけるバリの高さを、電気マ
イクロメータによつて計測した値の平均である。 表1および表2に示される結果から、本発明の
薄板は、ノズル先端のスラグ層の形成が少なく、
薄板の表面性が良好で、ノズル使用回数が高く、
同時にTc、Txの差が大きく、熱処理が容易で、
しかもBsも高く、さらには磁気ヘツドとして耐
摩耗性と打抜性とが良好で、総
その製造方法に関する。 先行技術とその問題点 磁気ヘツド形成材料の一つとして、鉄族遷移金
属元素としてCoを主体として含み、さらに15〜
35at%程度のガラス化元素を含む非晶質磁性合金
薄板が知られている。 このような非晶質磁性合金に、Ruを添加する
と、耐摩耗性や、打抜性等が向上し、きわめて良
好な特性を示す。 一方、上記したような非晶質磁性合金に、Mn
を添加すると、飽和磁束密度には影響を与えるこ
となく、キユリー温度Tcを減少させることがで
き、結晶化温度Txとの差(Tx−Tc)が大きく
なり、熱処理が容易となり、透磁率が向上し、し
かも高い飽和磁束密度が得られることも知られて
いる。 従つて、上記のような非晶質磁性合金にRuと
Mnを複合添加すれば、きわめて良好な特性を示
すことが期待される。 しかし、このようにMnとRuとを複合添加し
て、MnとRuとを含有する母合金の溶湯から高速
急冷法に従い薄板を得ようとすると、以下のよう
な不都合を生じる。 すなわち、噴射ノズルから冷却体への溶湯の噴
射を行う雰囲気として、真空ないし不活性ガス雰
囲気を用いずに、大気中で高速急冷を行うと、噴
射ノズルの先端にスラグ層が形成され、これによ
り得られる薄板の表面に連続的な溝状の欠陥が生
じ、薄板の表面性が劣化し、板厚精度が悪くな
る。また、このスラグ層のため溶湯の噴射が停止
してしまい製造不能となることもある。このた
め、大量の薄板を一挙に製造できなかつたり、た
びたびノズルを交換しなければならないという不
都合も生じる。 発明の目的 本発明は、このような実状に鑑みなされたもの
であつて、その主たる目的は、高速急冷法による
薄板化の際に、噴射ノズルの先端にスラグ層が形
成されて、薄板の表面性が劣化したり、製造が不
能となつたりする不都合が解消されたRu−Rn複
合添加型の磁気ヘツド用非晶質磁性合金薄板とそ
の製造方法を提供せんとするものである。 本発明者らは、このような目的につき鋭意研究
を行つたところ、MnおよびRuに加え、さらに
Alを添加したとき、このような目的が達成され
ることを見出し本発明をなすに至つた。 すなわち本発明は、下記式で示される組成をも
つことを特徴とする磁気ヘツド用非晶質磁性合金
薄板である。 式 TxRuyMnzAlwBvSiu {上記式中、Tは、Co、CoおよびFe、またはCo
もしくはCoおよびFeと他の遷移金属元素の1種
以上10at%以下との組合せを表わす。 x+y+z+w+v+u=100at%であり、こ
のうち、yは0.5〜8at%、zは0.5〜6at%、wは
0.5〜2at%、vは16〜35at%、uは0.1〜6at%で
ある。また、T中にFeが含まれる場合、Fe量は
5.6at%以下である。さらに、w/(v+u)は
0.02より大である。} また第2の発明は、対応する組成の溶湯を高速
急冷して、上記式で示される組成をもつ薄板を
得、ノズルのスラグの発生を防止することを特徴
とする磁気ヘツド用非晶質磁性合金薄板の製造方
法である。 発明の具体的構成 以下、本発明の具体的構成について詳細に説明
する。 本発明の非晶質磁性合金薄板は、上記式で示さ
れる組成をもち、RuおよびMnに加え、Alを含
有する。この場合、Al以外の他の元素では、本
発明所定の効果は実現しない。 上記式において、T中にて、必要に応じ、Fe
およびCoとともに組合わせ添加される他の添加
元素は、FeおよびCoならびにRu、およびMn以
外の他の繊維金属元素(Sc〜Zn;Y〜Cd;La〜
Hg;Ac以上)であり、例えばNi、Zr、Ti、Hf、
V、Nb、Ta、Mo、W、Rh、Pd、Os、Ir、Pt
等の1種以上をその具体例として挙げることがで
きる。 一方、ガラス化元素はSiおよびBを必須成分と
する。この場合、必要に応じ、SiおよびBととも
に、他のガラス化元素が組合せ添加されてもよ
い。このような他のガラス化元素としては、P、
C、Ge、Sn等の1種以上がある。 これに対し、上記式において、x+y+z+w
+v+u+t=100at%の条件下にて、Ru添加量
yは、0.5〜8at%である。これは8at%をこえる
と、耐摩耗性や打抜性等が低下するからである。 この場合、Ru添加量yは、0.5〜8at%である
が、より好ましくは0.5〜5at%となると、一層好
ましい結果を得る。 他方、上記式において、Mn添加量zは、6at%
以下である。これは、6at%をこえると、飽和磁
束密度Bsを低下させずにキユリー点を低下させ
るという効果が生じなくなつてしまうからであ
る。 この場合、Mn添加料zが低すぎるときには、
その添加効果が顕著ではなくなるので、zは
0.5at%以上である。 そして、zが1〜4at%となると、より一層好
ましい結果を得る。 これに対し、Al添加料wは、2at%以下であ
る。wが2at%をこえると、逆に噴射ノズル先端
のスラグ層の形成が増加する傾向にある。また、
飽和磁束密度が低下する。さらには打抜性も低下
する。 なお、wが0.5at%未満では、噴射ノズルの先
端のスラグ層形成の解消効果は顕著ではないの
で、wは0.5〜2at%である。 さらに、全ガラス化元素成分、特にSi+Bの添
加量v+uは16.1〜35at%であることが好まし
い。 16.1at%未満となると、非晶質化が困難とな
り、また35at%をこえると、十分な飽和磁束密度
が得られなくなつてくる。 この場合、v+uが18〜30at%となると、より
好ましい結果を得る。 なお、Tの含有量xは、100−y−z−w−v
−uであり、49at%以上、84at%未満であるが、
49〜82.5at%であることが好ましい。 この場合、Tは、CoあるいはCoおよびFeを含
む。 T中における元素組成比は、磁歪を零に近くす
るように選択する。 すなわち、Feの含有量は、0または5.6at%以
下とされる。Fe含有量が5.6at%をこえると、磁
歪が大きくなつてしまい、磁気ヘツド作製工程に
おいて、種々の応力により透磁率が減少してしま
う。 なお、T中にはFeが含まれ、Fe含有量が1.5〜
5.6at%、より好ましくは2〜5.5at%であると、
磁歪の点でより好ましい結果を得る。 他方、Co含有量は、40at%以上となることが
好ましい。Co含有量が40at%未満となると、飽
和磁束密度Bsが減少してしまう。 この場合、Co含有量が、40〜80at%、より好
ましくは50〜70at%となるとさらに好ましい結果
を得る。 さらに、上記したように、Tは、上記含有量範
囲内にて、CoあるいはFeおよびCoのみからなつ
ても、CoあるいはFeおよびCoと上記した他の元
素の1種以上とからなつてもよい。 Tが、CoあるいはFeとCoに加え、他の元素の
1種以上を含む場合、他の遷移金属元素の1種以
上は、総計最大10at%まで含有することができ
る。これ以上の含有量となると、Bsが低下し、
表面性が悪くなる等の不都合が生じる。 このような元素の1例としてはNiがある。Ni
添加は、Coを置換して、材料コストを低減する
等の効果があるが、Ni量が増大するとBsが減少
するので、Ni含有量は、好ましくは8at%以下で
ある。 一方、他の元素の1種以上としては、鉄族
(Fe、Co、Ni)、Ru、Mn以外の遷移金属元素で
あつてよいが、これら他の遷移金属元素の1種以
上は、総計10at%以下であることが好ましい。こ
のとき、Bsの低下は少なく、各添加元素特有の
すぐれた効果が実現する。このような元素として
は、特に、Hf、Ti、Zr、Ta、W、Mo等の1種
以上を挙げることができる。 これに対し、ガラス化元素成分は、SiおよびB
を必須成分とする。 この場合、B含有量vは16〜35at%、Si含有量
uは0.1〜6at%であるので、Bsが高くなり、薄板
の表面性が向上し、好ましい結果を得る。 そして、B含有量vが16〜24at%、Si含有量u
が0.1〜4.8となると、Bsがさらに高くなり、表面
性もさらに向上し、さらに、Ru、Mn、Zr等の添
加元素の添加効果も顕著となり、より好ましい結
果を得る。 なお、ガラス化元素成分中には、必要に応じ、
SiおよびB以外の他の元素の1種以上が含まれて
いてもよい。ただ、その総計が多すぎると非晶質
化しにくくなるので、その含有量は0.5at%以下
であることが好ましい。 以上詳述したような組成をもつ薄板は、実質的
に長範囲規則性をもたない非晶質体である。 また、板厚は、概ね、10〜200μm程度である。 このような、非晶質磁性合金薄板は、通常以下
のようにして製造される。 すなわち、対応する組成の合金を、気相または
液相から超急冷する。この場合、通常は合金を融
液となし、液相から104℃/sec以上、通常104〜
106℃/secの冷却速度で超急冷し、固化させるこ
とによつて非晶質磁性合金薄板を得る。溶融状態
の合金を超急冷するには、溶融合金をノズルから
噴射され、双ロール法、片ロール法、遠心急冷法
等公知の種々の方式、就中片ロールに従い急冷す
ればよい。 なお、製造の際の雰囲気は問わない。すなわ
ち、大気中で高速急冷を行い薄板化しても、噴射
ノズル先端でのスラグ層の形成はほとんどない。 発明の具体的作用 このような非晶質磁性合金薄板は、それを好ま
しくは絶縁性接着剤層を介して積層して所望の形
状のコア半体とされ、これを突き合わせて磁気ヘ
ツド用コア、特にオーデイオ用等の磁気ヘツド用
コアとされる。あるいは、薄板を積層せず、薄板
自体を所望の形状のコア半体となし、このコア半
体を突き合わせて磁気ヘツド用コア、特にヴイデ
オ用等の磁気ヘツド用コアとされる。 なお、第1図には、オーデイオ用磁気ヘツドに
適用したときの例が示される。図中、2,2′が
非晶質磁性合金を積層して形成される磁気ヘツド
用コア、3がダミーブロツク、4がシールドケー
ス、5が支持部であり、これらから磁気ヘツド1
が形成されている。 磁気ヘツドの作製は、通常以下のように行えば
よい。 まず、好ましくは、超急冷法によつて得られた
薄板に対し、所定の熱処理を施す。 この熱処理としては、例えば、結晶化温度未
満、キユリー点以上の温度で施す無磁場中での、
特に内部歪取りを目的とする焼鈍処理でもよく、
又、結晶化温度およびキユリー点未満の温度で行
う、歪取りと磁気特性の改良を目的とする磁場中
での焼鈍処理であつてもよい。そして、この後者
の磁場中での焼鈍処理としては、静磁場、回転磁
場等のいずれを用いてもよい。これら焼鈍処理お
よびその条件は、非晶質磁性合金の組成と所望の
磁気特性とから、適宜選択して行えばよい。 次いで、通常は、このような非晶質磁性合金薄
板を金型により打抜き、所定と形状となし、一般
に、その複数枚を絶縁性接着剤により所定トラツ
ク巾となるよう積層して、コア半体を作製する。 なお、上記熱処理は、この打抜き後に施しても
よい。又、場合によつては、必要に応じ、打ち抜
きにかえホトエツチングを用いたり、あるいは、
積層コアとするときには、積層後の薄板から研削
加工によりコア半体を得ることもできる。 さらには、特に、ヴイデオ用磁気ヘツド等とし
て用いるときには、通常、薄板を積層する必要が
ない。 この後、通常はコア半体に巻線を施し、これを
コアホルダー中に挿入し、ギヤツプ突き合せ面を
研磨した後、ギヤツプ内にギヤツプ形成材料を所
定間〓だけ設け、コア半体同志を突き合せ、コア
となし、さらにシールドケース内に収納し、樹脂
モールドして磁気ヘツドが作製される。 このように作製される磁気ヘツド用コアは、オ
ーデイオ用、ヴイデオ用、電子計算機用、カード
リーダー用等の特に接触形ヘツド用のコアとし
て、いずれの用途においてもきわめて有用であ
る。 発明の具体的効果 本発明によれば、大気中での高速急冷法による
薄板化に際しても、噴射ノズル先端におけるスラ
グ層の形成がきわめて少なくなる。 このため、薄板の表面に欠陥が生じたり、製造
不能となるようなことが少なく、一挙に大量の製
造ができ、またノズルの使用回数がふえ、ノズル
の交換を少なくてすみ、さらには薄板の再研磨を
必要としたりせず、製造上きわめて有利である。 しかも、薄板は、熱処理が容易である上、飽和
磁束密度も高い。 加えて、耐摩耗性、打抜性、耐食性等も良好な
特性を示し、磁気ヘツド用材料としてきわめて有
用である。 発明の具体的実施例 以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明を
さらに詳細に説明する。 実施例 下記表1および表2に示される組成の、45μm
厚の非晶質磁性合金薄板を得た。 薄板化は片ロール法の高速急冷法に従い、噴射
ノズルのスリツト長は5mm、スリツト幅は0.1mm
とした。また、冷却ロールは、軟鋼製のロールを
用い、回転数は3000rpmとした。 1回あたり、50gの対応する母合金を溶融し、
これを大気中にて、5/minの噴射速度で冷却
ロールに噴射して薄板を得た。 このような高速急冷後の表面性を表面粗さ計で
測定した。 結果を第1および第2に示す。 さらに、同一のノズルを用いて、くりかえし何
回かの製造を行ない、得られた薄板の板厚の精度
が±3μm以内であつたノズル使用回数を下記表
1および表2に示す。なお、使用回数0であると
は、1回の製造に際して、±3μm以上の板厚精度
が得られなかつたことを意味する。 また、表1および表2には、得られた薄板のキ
ユリー点Tc、結晶化温度Txおよび飽和磁束密度
Bsが示される。 これに対し、各薄板を用い、第1図に示される
ような各種オーデイオ用磁気ヘツドを作製した。 すなわち、各薄板をTcとTx間の温度で熱処理
した後、超硬合金の金型を用い、ほぼC字状に打
抜いた。 次いで、それぞれの打抜体の複数枚を用い打抜
体の片面にエポキシ系接着剤を塗布し、0.6mm厚
となるように積層し、これを加温硬化して、コア
半体を得た。 この後、この各コア半体に捲線を施し、コアホ
ルダー中に収納し、コア半体のギヤツプ突き合わ
せ面を、研磨およびポリシングして鏡面仕上げし
た。そして、コア半体を、常法に従い、所定のギ
ヤツプをもつて突き合わせ、磁気ヘツド用コア2
とし、各薄板からなるオーデイオ用磁気ヘツド1
を作製した。 このようにして得た各オーデイオ用ヘツドにつ
き、γ−Fe2O3を磁性粉とする塗布型テープによ
る摩耗量を測定した。 すなわち、このテープを25℃、相対湿度60〜65
%にて、4.75cm/secの走行速度で1000時間走行
させ、走行後の摩耗深さを表面粗さ計で測定し
た。結果を100時間あたりの値に換算して、下記
表1および表2に示す。 なお、表1および表2中には、打抜性として、
薄板からの打抜体の端面のバリの高さ(μm)が
併記される。この場合、バリは、同一の金型を用
い、薄板それぞれにつき11万枚の打抜きを行い、
各薄板につき、10万枚目から計10枚の打抜体を選
び、その打抜端面におけるバリの高さを、電気マ
イクロメータによつて計測した値の平均である。 表1および表2に示される結果から、本発明の
薄板は、ノズル先端のスラグ層の形成が少なく、
薄板の表面性が良好で、ノズル使用回数が高く、
同時にTc、Txの差が大きく、熱処理が容易で、
しかもBsも高く、さらには磁気ヘツドとして耐
摩耗性と打抜性とが良好で、総
【表】
【表】
合的にみて、きわめて良好な特性を示すことがわ
かる。
かる。
第1図は、本発明の非晶質磁性合金薄板を磁気
ヘツドに適用したときの例を示す斜視図である。 1……磁気ヘツド、2……磁気ヘツド用コア。
ヘツドに適用したときの例を示す斜視図である。 1……磁気ヘツド、2……磁気ヘツド用コア。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 下記式で示される組成をもつことを特徴とす
る磁気ヘツド用非晶質磁性合金薄板。 式 TxRuyMnzAlwBvSiu {上記式中、Tは、Co、CoおよびFe、またはCo
もしくはCoおよびFeと他の遷移金属元素の1種
以上10at%以下との組合せを表わす。 x+y+z+w+v+u=100at%であり、こ
のうち、yは0.5〜8at%、zは0.5〜6at%、wは
0.5〜2at%、vは16〜35at%、uは0.1〜6at%で
ある。また、T中にFeが含まれる場合、Fe量は
5.6at%以下である。さらに、w/(v+u)は
0.02より大である。} 2 Fe含有量が1.5〜5.6at%である特許請求の範
囲第1項記載の磁気ヘツド用非晶質製合金薄板。 3 対応する組成の溶湯を高速急冷して、下記式
で示される組成をもつ薄板を得、ノズルのスラグ
の発生を防止することを特徴とする磁気ヘツド用
非晶質磁性合金薄板の製造方法。 式 TxRuyMnzAlwBvSiu {上記式中、Tは、Co、CoおよびFe、またはCo
もしくはCoおよびFeと他の遷移金属元素の1種
以上10at%以下との組合せを表わす。 x+y+z+w+v+u=100at%であり、こ
のうち、yは0.5〜8at%、zは0.5〜6at%、wは
0.5〜2at%、vは16〜35at%、uは0.1〜6at%で
ある。また、T中にFeが含まれる場合、Fe量は
5.6at%以下である。さらに、w/(v+u)は
0.02より大である。}
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7410982A JPS58193339A (ja) | 1982-04-30 | 1982-04-30 | 磁気ヘツド用非晶質磁性合金薄板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7410982A JPS58193339A (ja) | 1982-04-30 | 1982-04-30 | 磁気ヘツド用非晶質磁性合金薄板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS58193339A JPS58193339A (ja) | 1983-11-11 |
JPH0379762B2 true JPH0379762B2 (ja) | 1991-12-19 |
Family
ID=13537694
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7410982A Granted JPS58193339A (ja) | 1982-04-30 | 1982-04-30 | 磁気ヘツド用非晶質磁性合金薄板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS58193339A (ja) |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS58164747A (ja) * | 1982-03-04 | 1983-09-29 | アライド・コ−ポレ−シヨン | 磁性合金 |
-
1982
- 1982-04-30 JP JP7410982A patent/JPS58193339A/ja active Granted
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JPS5672153A (en) * | 1979-11-14 | 1981-06-16 | Takeshi Masumoto | Amorphous iron alloy of high permeability |
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JPS58164747A (ja) * | 1982-03-04 | 1983-09-29 | アライド・コ−ポレ−シヨン | 磁性合金 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS58193339A (ja) | 1983-11-11 |
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