JPH037036B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、空気圧縮機、冷媒圧縮機等に用いら
れるスクロール圧縮機の揺動スクロール回転軸へ
の潤滑油の給油機構に関するものである。

［従来の技術］ 第１図は、スクロール圧縮機の基本的な構成要
素を示すものである。

図において、１は固定スクロール、２は揺動ス
クロール、３は吐出口、４は圧縮室、Ｏは固定ス
クロール上の定点、O′は揺動スクロール上の定
点である。

前記固定スクロール１及び前記揺動スクロール
２は、同一形状の渦巻で構成されており、その形
体は、従来から周知の如く、インボリユート曲線
などで形成されている。

次に動作について説明する。第１図ａ，ｂ，
ｃ，ｄにおいて、前記固定スクロール１は空間に
対して静止しており、前記揺動スクロール２は固
定スクロール１と図の如く組み合わされて、その
姿勢を空間に対して変化させず、回転運動、すな
わち揺動運動を行い、第１図ａ〜ｄに示すよう
に、0゜、90゜、180゜、270゜のように運転する。

すなわち、前記揺動スクロール２の揺動に伴つ
て、前記固定スクロール１及び揺動スクロール２
の間に形成される三日月状の圧縮室４が順次その
容積を減じ、これによつて、該圧縮室４に取り込
まれた気体は圧縮されて吐出口３から吐出され
る。

この間、第１図の固定スクロール上の定点及び
揺動スクロール上の定点Ｏ〜O′の距離は、一定
に保持されており、渦巻の間〓をｐ、厚みをｔで
表せば、OO′＝（Ｐ／２）−ｔとなつている。もち
ろん、ｐは渦巻のピツチに相当している。

次に第２図には、スクロール圧縮機の実施例が
示されている。

図において、１は固定スクロール、２は揺動ス
クロール、３は吐出ポート、５はフレーム、６は
主軸、７は偏心給油孔、８はモータ、９はシエ
ル、１０は油溜め、１１，１１ａはラジアル軸
受、１２はスラスト軸受である。

以上の構成における従来のスクロール圧縮機
は、前記揺動スクロール２が前記固定スクロール
１と組み合わされた状態で軸受摺動部空間を介し
て、該揺動スクロール２の揺動軸が軸受１１ａで
軸受けされるように主軸６の上端部に配置されて
いる。

モータ８の駆動用主軸としての主軸６はフレー
ム５に軸支され、このフレーム５はシエル９に固
定されている。

また、前記主軸６の偏心下端部には、開口部が
設けられ、該偏心下端部は、前記シエル９下部の
油溜めに浸漬された状態で配置されている。

一方、該主軸６の偏心上端部には、もう一つの
開口部が設けられ、上記下端部から上端部の軸受
１１ａに向かつて導通した偏心給油孔７が設けら
れている。

この偏心給油孔７は、前記軸受摺動部空間から
駆動用主軸内を偏心した状態で通り、該シエル９
内底部の油溜めに偏心下端部が浸漬されるように
形成されている。

これにより、前記モータ８の主軸６が回転する
と、主軸６に軸支された揺動スクロール２が回転
し、第１図に説明した揺動運動による動作原理に
より圧縮を行うようになつている。

このようにして作動するスクロール圧縮機にお
いて、潤滑油の給油は、主軸６が回転して遠心ポ
ンプ作用により主軸内に偏心して設けられた偏心
給油孔７より軸受１１ａ及びスラスト軸受１２の
軸受摺動部に対して行われ、更に前記軸受摺動部
空間に潤滑油の給油が行われる。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、この種の従来におけるスクロー
ル圧縮機において、特にこのような給油機構で
は、スクロール部の揺動運動によつて前記偏心給
油孔７から軸受摺動部に潤滑油が供給されるが、
前記シエル９の油溜め１０内の潤滑油に含まれた
冷媒及び冷媒気体の圧縮作用により、前記軸受摺
動部空間においてガスが溜るという問題があつ
た。

このため、従来においては、ガス抜きが行われ
ていないため、前記軸受摺動部空間及び軸受摺動
部での油の流出抵抗が大きくなり、十分な給油量
が確保できず、軸受１１、スラスト軸受１２の摺
動不良、例えば軸受の焼付き、異常磨耗などを生
じることが多かつた。

これにより、揺動スクロール軸受の信頼性が著
しく損なわれていた。

発明の目的 本発明は、上記従来の課題に鑑み成されたもの
であり、その目的は、給油機構を改善することに
より、起動時から軸受摺動部空間に十分な量の潤
滑油を速やかに給油でき、起動不良を生じないよ
うにし、またその後上記軸受摺動部空間への給油
量を十分に確保できるようにし、軸受の焼付き、
以上磨耗を防止し、軸受の信頼性の高いスクロー
ル圧縮機を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本発明によれば、
シエル本体内に固定スクロールと揺動スクロール
とが組合わされて構成され該揺動スクロールの揺
動運動により気体の圧縮作用を行うスクロール部
と、前記シエル内壁に固定されたフレームにより
回動可能に軸支され、前記揺動スクロールの揺動
軸を軸受摺動部空間を介して軸受けする駆動用主
軸と、を有し、前記駆動用主軸の偏心上端部には
一方の開口部が設けられ、かつ該駆動用主軸の偏
心下端部には他方の開口部が設けられ、前記軸受
摺動部空間から前記駆動用主軸内を通り該シエル
内底部の油溜めに浸漬されるように形成された偏
心給油通路を備え、前記揺動スクロールの揺動運
動時に、前記駆動用主軸の下端部から上端部への
遠心ポンプ作用により前記偏心給油通路を経て前
記軸受摺動部空間へ潤滑油を給油する低圧シエル
形スクロール圧縮機において、前記駆動用主軸の
中央上端部には一方の開口部が設けられ、かつ前
記駆動用主軸の側周部には他方の開口部が設けら
れ、前記軸受摺動部空間から前記駆動用主軸内を
通り、該駆動用主軸と前記フレームとの〓間を介
し前記シエル内の油溜め上方空間へ導かれて形成
されたガス抜き用通路を前記偏心給油通路とは別
に備え、前記揺動スクロールの揺動運動時に、前
記軸受摺動部空間に溜まつたガスを前記ガス抜き
用通路を介してシエル内底部の油溜め上方空間に
抜き出すことを特徴とする。

［作用］ 本発明におけるスクロール圧縮機は、スクロー
ル圧縮機の起動時において、駆動用主軸の回転に
伴う前記駆動用主軸の下端部から上端部への遠心
ポンプ作用によつて、主軸に設けた偏心給油通路
及びこれの上端部と連通する軸受摺動部空間にあ
つたガスを前記ガス抜き用通路によつて駆動用主
軸内及び主軸とフレームとの〓間を経てシエル内
の油溜め上方空間に抜き出すことができる。

これにより、油の流出抵抗、圧損抵抗を減少さ
せて、軸受摺動部空間まで十分な量の潤滑油を速
やかに送ることができ、その後も上記軸受摺動部
空間への給油量を十分に確保することができる。

［実施例］ 以下、本発明の一実施例を第３図に基づいて説
明する。

尚、図中、第１図と第２図との同一符号には、
同一または相当部分を示す。

第３図において、本実施例の特徴的なガス抜き
用通路は、前記駆動用主軸６の中央上端部及び側
周部に開口して設けられたガス抜き孔１３と該駆
動用主軸６と前記フレーム５との〓間に設けられ
た均圧孔１４とで構成されている。

すなわち、このガス抜き孔１３の一方の開口部
は、揺動運動する前記揺動スクロール２の揺動軸
が前記軸受摺動部空間を介して挿入され、該揺動
軸を軸受けする駆動用主軸６の中央上端部に有
し、これにより、軸受摺動部空間に連通されてい
る。

前記軸受摺動部空間は、第３図に示されている
ように、軸受１１ａと主軸６上部の凹部に軸支さ
れる揺動軸との下方に形成される。

そして、このガス抜き孔１３の他方の開口部
は、軸受摺動部空間の底に主軸６中心部に位置し
て開口され、該主軸６内のほぼ中央部を通つて、
主軸６の外周面側周部に設けられ、更に主軸６と
フレーム５との間の〓間に連通されている。

また、前記均圧孔１４は、前記主軸６とフレー
ム５との〓間に形成され、この〓間と前記シエル
９内の油溜め１０より上方の空間と連通させてお
り、かつ、その一方の開口部は該主軸６を軸支す
る軸受１１ａに近接する上方位置に配設され、他
方の開口部は前記フレーム５の下端部であつて、
モータ８の駆動用主軸６近傍に設けられている。

このようにして、主軸６の中央部に形成された
ガス抜き孔１３及び、主軸６とフレーム５との〓
間で形成された均圧孔１４によつてガス抜き用通
路が形成され、これによつて起動時に前記軸受摺
動部空間に溜まるガスを効果的に連通された前記
シエル９内の油溜め１０より上方の空間へ抜き出
すことができる。

次に、以下ガス抜き用通路によるガス抜き作用
について説明する。

本実施例のスクロール圧縮機は、その揺動スク
ロール起動時に前記主軸６が回転すると、遠心ポ
ンプ作用によつてシエル９内底部の油溜め１０か
ら潤滑油が該主軸６内に偏心して設けられた偏心
給油孔７を経て、上記軸受摺動部空間へ供給され
る。

ここで、前記偏心給油孔７及び軸受摺動部空間
にあつたガスを該主軸６内に中心部に設けられた
ガス抜き孔１３によつて吸い込まれる。

これは、ガス抜き孔１３は主軸の中央部にある
ため、回転による遠心ポンプ作用は働かず、軸受
摺動部空間のガスだけを吸入することができるの
である。

そして、吸引されたガスは、主軸６とフレーム
５との〓間に設けられた均圧孔１４を介し、これ
によつて、前記ガス抜き用通路を経て、シエル９
内の油溜め１０上方空間へ抜き出すことができ
る。

この結果、軸受摺動部空間及び軸受摺動部での
油の流出抵抗を小さくすることができ、圧損抵抗
が減少し、軸受１１ａ下部の軸受摺動部空間まで
ポンピングで十分な油量の給油を行うことがで
き、その後十分な給油量を確保できる。

尚、第３図に示す本実施例の上述した以外の構
成は、第１図、第２図に示す従来例のスクロール
圧縮機と同様であるから、説明を省略する。

［発明の効果］ 以上説明したように、本発明によれば、スクロ
ール圧縮機の起動時に主軸の回転に伴う遠心ポン
プ作用によつて、偏心給油通路及び軸受摺動部空
間にあつたガスを前記ガス抜き用通路によつてシ
エル内の油溜め上方空間に抜き出すことができ
る。

この結果、圧損抵抗を減少させて、軸受摺動部
空間まで、十分な量の潤滑油を送出することがで
き、起動不良を生じることなく、以降、上記軸受
摺動部空間までの給油量を十分に確保することが
できる。

従つて、軸受の焼付き、異常磨耗等を防止し
て、軸受の信頼性を向上させることができるとい
う効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はスクロール圧縮機の作動原理図、第２
図は従来の実施例を示す説明図、第３図は本発明
の一実施例を示す説明図である。 図中、１は固定スクロール、２は揺動スクロー
ル、５はフレーム、６は主軸、７は偏心給油孔、
８はモータ、９はシエル、１０は油溜め、１１，
１１ａ，１２は軸受、１３はガス抜き穴、１４は
均圧孔を示す。なお、図中、同一符号は同一また
は相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シエル本体内に固定スクロールと揺動スクロ
   ールとが組合わされて構成され該揺動スクロール
   の揺動運動により気体の圧縮作用を行うスクロー
   ル部と、 前記シエル内壁に固定されたフレームにより回
   動可能に軸支され、前記揺動スクロールの揺動軸
   を軸受摺動部空間を介して軸受けする駆動用主軸
   と、を有し、 前記駆動用主軸の偏心上端部には一方の開口部
   が設けられ、かつ該駆動用主軸の偏心下端部には
   他方の開口部が設けられ、前記軸受摺動部空間か
   ら前記駆動用主軸内を通り該シエル内底部の油溜
   めに浸漬されるように形成された偏心給油通路を
   備え、 前記揺動スクロールの揺動運動時に、前記駆動
   用主軸の下端部から上端部への遠心ポンプ作用に
   より前記偏心給油通路を経て前記軸受摺動部空間
   へ潤滑油を給油する低圧シエル形スクロール圧縮
   機において、 前記駆動用主軸の中央上端部には一方の開口部
   が設けられ、かつ前記駆動用主軸の側周部には他
   方の開口部が設けられ、前記軸受摺動部空間から
   前記駆動用主軸内を通り、該駆動用主軸と前記フ
   レームとの〓間を介し前記シエル内の油溜め上方
   空間へ導かれて形成されたガス抜き用通路を前記
   偏心給油通路とは別に備え、 前記揺動スクロールの揺動運動時に、前記軸受
   摺動部空間に溜まつたガスを前記ガス抜き用通路
   を介してシエル内底部の油溜め上方空間に抜き出
   すことを特徴とするスクロール圧縮機。