JPH036831B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、シートの背もたれ部に設けられるヘ
ツドレストと、その製造方法に関する。

〔従来の技術〕

従来、ヘツドレストを製造するには、例えば金
属製のヘツドレストフレームにポリウレタン等か
らなるクツシヨン体をモールド成形し、クツシヨ
ン体の外側を織物や塩化ビニールレザー等の表皮
で縫製するのが一般的であつた。しかしこの場
合、複雑な形状のヘツドレストでは縫製が困難で
あつた。

また、別の製造方法として、第３図Ａ，Ｂに示
されるような方法もある。この場合、予め袋状の
表皮１をブロー成形あるいはスラツシユ成形、回
転成形などによつて成形した後、表皮１の内部に
フレーム２を挿入する。そして、ポリウレタン等
を注入し一体に発泡成形し、クツシヨン体３とす
る。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら上記方法では、表皮１の成形工程
と、クツシヨン体３の発泡成形工程とが分離して
いるため、生産効率が悪くコスト高となつたり、
ウレタンの発泡時に必要なエア抜き部を適当な位
置に設定できず、ボイドができるなどの問題があ
つた。しかもこの方法では、例えば孔明きタイプ
のヘツドレストのように、クツシヨン部分に前後
に貫通する空間部分を有する形状では、表皮の成
形後にフレームを挿入することができないため、
製造困難であつた。

このような孔明きタイプのヘツドレストの成形
する手段として、RIM成形（Reaction Injection
Molding：反応射出成形）を用いることが考えら
れるが、RIM成形はウレタンの密度が一般のも
のと比較して10倍程度も大きく、重量が増加する
ばかりでなく、原料単価も５割から10割も高く、
コスト高となる。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、いわゆる孔明きタイプのヘツドレス
トに好適である。すなわち本発明のシート用ヘツ
ドレストは、枠材によつて周囲が囲まれる空間部
分を有した金属製のフレームを有する。更に、上
記フレームに取着される低密度の発泡体成形品
（例えば発泡ポリエチレンの成形品）と、この発
泡体成形品よりも密度が高くかつこの発泡体成形
品を包囲しかつ上記空間部分の一部が残るように
して一体成形されたポリウレタンインテグラルス
キンフオームからなるクツシヨン体を具備する。

上記構成のヘツドレストは、クツシヨン体がポ
リウレタンインテグラルスキンフオームからなる
ため、織物やビニールレザーなどの表皮を縫製す
る必要がない。このため、孔明きタイプのヘツド
レストのように比較的複雑な形状のものも製造で
きる。

また、ポリウレタンインテグラルスキンフオー
ム自体は一般のウレタンフオームに比べて密度が
大きくかつ高価であるが、本発明のヘツドレスト
は内部に発泡ポリエチレンなどのように比較的安
価でかつ密度の小さな発泡体成形品を使用できる
から、安価で軽量なヘツドレストとなる。

また本発明方法においては、枠材によつて周囲
が囲まれる空間部分を有した金属製のフレーム
に、予め発泡成形して得た低密度の発泡体成形品
を取付けるとともに、発泡型の内面に例えばポリ
ウレタン系塗料などの表面剤を塗布しておく。そ
してこの発泡型に、上記発泡体成形品の取着され
たフレームをセツトするとともに、RIM成形に
よつて上記発泡体成形品よりも高密度のポリウレ
タンインテグラルスキンフオームを発泡成形する
ことにより、低密度の発泡体成形品を内蔵したク
ツシヨン体を形成することを特徴とする。

上記表面剤によつて、ポリウレタンインテグラ
ルスキンフオームの表面に適度な色彩と艷を出す
ことができる。また、RIM成形によつてクツシ
ヨン体を成形するので、孔明きタイプのヘツドレ
ストであつても比較的容易に成形することができ
る。

〔実施例〕

第１図および第２図に示された一実施例におい
て、フレーム１０は金属製であつて、このフレー
ム１０は枠材１１，１２，１３を枠組みして形成
される。枠材１１は金属パイプまたは棒状材を折
曲げたものであり、左右一対の脚部１１ａと、こ
れら脚部１１ａの上端部を結ぶ水平部１１ｂを有
する。そして各脚部１１ａ間に、プレート状の枠
材１２，１３が上下に互いに離間して、溶接など
により固定される。また、これらの枠材１１，１
２，１３によつて周囲が囲まれて、空間部１５が
形成される。

また上記フレーム１０に、低密度の発泡体成形
品１８が取付けられる。ここで言う低密度とは、
下記クツシヨン体２０よりも比重が小さいという
意味である。

上記発泡体成形品１８は、例えば発泡ポリエチ
レンあるいは発泡スチロールなどのように、比較
的安価に成形できかつ比重の小さな材料を使用す
る。この発泡体成形品１８は、一対の分割片１８
ａ，１８ｂからなる２つ割タイプであつて、これ
ら分割片１８ａ，１８ｂの相互対向面１８ｃを突
き合わせ、接着剤あるいは接着テープなどにより
固定（仮止め）される。各分割片１８ａ，１８ｂ
は、予め別の工程で発泡成形しておく。

以上のように発泡体成形品１８の取付けられた
フレーム１０を発泡型にセツトし、注入ゲート２
１を通じてRIM成形（反応射出成形）すること
によりクツシヨン体２０が形成される。このクツ
シヨン体２０は、上記発泡体成形品１８よりも高
密度に発泡成形されたポリウレタンのインテグラ
ルスキンフオームからなり、その発泡型の内面に
は、予めポリウレタン系の塗料からなる表面剤が
コーテイングされている。この表面剤によつて、
インテグラルスキンフオームの表面に適度な色合
いと艷を出すことができる。

上記クツシヨン体２０は、第２図に示されるよ
うに空間部分１５が残るようにして成形される。
この空間部分１５はヘツドレストの前後方向に貫
通しており、こうして孔明きタイプのヘツドレス
トが得られる。

上記構成のヘツドレストは、クツシヨン体２０
としてポリウレタンインテグラルスキンフオーム
を使用しているため、クツシヨン体２０自身は一
般のウレタンフオームに比べて密度が大きくかつ
高価となるが、内部に安価でかつ密度の小さな発
泡体成形品１８が使用されているから、安価で軽
量なヘツドレストが得られる。しかも織物やビニ
ールレザーなどの表皮を縫製する必要がなく、ま
た注入ゲート２１をシートの背もたれ部に接する
位置に設けるとウレタンの注入口が目立たないた
め、注入口の後処理も単にゲートを切離すだけで
よいなど、製造工程が簡略化するとともに、孔明
きタイプのヘツドレストのような形状であつても
比較的容易に製造することができる。

〔発明の効果〕

本発明によれば、簡単な工程により孔明きタイ
プのヘツドレスト等を軽量かつ安価に提供するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係るヘツドレスト
を一部断面で示す斜視図、第２図は第１図に示さ
れたヘツドレストの正面図である。第３図Ａおよ
びＢは従来の製造方法を工程順に示した断面図で
ある。 １０……フレーム、１１，１２，１３……枠
材、１５……空間部分、１８……発泡体成形品、
２０……クツシヨン体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 枠材によつて周囲が囲まれる空間部分を有し
   た金属製のフレームと、このフレームに取着され
   た低密度の発泡体成形品と、この発泡体成形品よ
   りも密度が高くかつこの発泡体成形品を包囲しか
   つ上記空間部分の一部が残るようにして一体成形
   されたポリウレタンインテグラルスキンフオーム
   からなるクツシヨン体とを具備したことを特徴と
   するシート用ヘツドレスト。 ２ 枠材によつて周囲が囲まれる空間部分を有し
   た金属製のフレームに、予め発泡体成形された低
   密度の発泡体成形品を取付け、そののちこのフレ
   ームを、内面に表面剤が塗布された発泡型にセツ
   トするとともに、RIM成形によつて上記発泡体
   成形品よりも高密度のポリウレタンインテグラル
   スキンフオームを発泡成形することにより、上記
   発泡体成形品を内蔵するクツシヨン体を形成する
   ようにしたことを特徴とするシート用ヘツドレス
   トの製造方法。