JPH0361691B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は塗工性の改良された再剥離性粘着剤
（以下単に粘着剤と略称する）、特にステンレス
板、アルミニウム板、鋼板等の各種金属板、ある
いは壁板、化粧板、ガラス板などの表面を保護す
る目的で利用される表面保護シート・テープなど
に有効に使用される粘着剤に関するものである。 ［従来の技術］ 従来、粘着剤としては総合的な性能の面からア
クリル系の粘着剤が広く普及している。しかしな
がら、該樹脂を用いた粘着剤は経時変化を受けて
接着力が上昇するため、表面保護という目的を達
成した後、該シート・テープを剥がす際に被着体
からの剥離性が悪く、時としてシート・テープの
切断があつて作業性の低下をもたらしたり、剥離
後に粘着剤が被着体上に残留して商品としての美
観を損ねたりすることが時々発生する。 かかる点を改良するため、例えば特公昭51−
20053号公報においては添加剤として燐酸エステ
ル又はその誘導体を使用することが、又特公昭52
−38861号公報ではアミン系界面活性剤を使用す
ることが提案されている。該手段によつて粘着剤
の経時変化による接着力の上昇もなく、表面保護
用として長期にわたつて適当な接着力と剥離性を
兼ね備えた粘着剤組成物が得られる。 ［発明が解決しようとする問題点］ ところが、本発明者らが上記添加剤を加えた粘
着剤について更に検討を加えたところ、これらの
添加剤は通常粘着剤中に配合される硬化剤、例え
ばイソシアネート系化合物と極めて容易に反応
し、かかる結果反応生成物が粘着剤中に粒子状に
析出するため、保護シート基材へ粘着剤を塗工す
る場合に塗工ムラや塗工トラブルの原因となるこ
とが判明した。 ［問題点を解決するための手段］ しかして、本発明者らは上記問題点のない塗工
性に優れ、かつ表面保護性能、即ち適度な接着力
と剥離強度を兼ね備えた粘着剤を開発すべく更に
検討を重ねた。 その結果、アクリル系樹脂を主成分とする粘着
性樹脂100重量部に対し、ソルビタン脂肪酸エス
テル又はその誘導体を0.01〜５重量部の割合で添
加してなる組成物が所期の目的を達成し得ること
を見出し、本発明を完成するに到つた。 本発明において、ソルビタン脂肪酸エステル又
はその誘導体がかかる特有の効果を達成するのは
用いる粘着性樹脂がアクリル系樹脂、通常分子量
数万〜30万程度のものを主成分、少くとも樹脂全
体の50重量％含む系における場合であり、意外に
もこれ以外の場合は本願程に顕著な効果は得られ
ない。アクリル系樹脂に用いられる樹脂構成々分
としてはアクリル酸アルキルエステル、メタクリ
ル酸アルキルエステルを主要構々分として必要に
応じ、水酸基置換アクリル酸アルキルエステル、
水酸基置換メタクリル酸エステル、アルキレング
リコールアクリル酸エステル、アルキレングリコ
ールメタクリル酸エステル、アクリルアミド系、
メタクリルアミド系、ジアルキルアミノアルキル
アクリル酸エステル、ジアルキルアミノアルキル
メタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル
酸等任意のものが使用される。尚、前記アルキル
基としては通常炭素１〜８のものが使用される。
又、粘着性樹脂は該アクリル系樹脂とその他の公
知粘着性樹脂との混合物であつても良い。その他
の樹脂としては、天然ゴム系、合成ゴム系、酢酸
ビニル系など任意である。 本発明の特徴であるソルビタン脂肪酸エステル
又はその誘導体としてはソルビタンモノラウレー
ト、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモ
ノステアレート、ソルビタントリステアレート、
ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレ
エート、ソルビタンセスオキオレエート、ポリオ
キシエチレンソルビタモノラウレート、ポリオキ
シエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオ
キシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリ
オキシエチレンソルビタントリステアレート、ポ
リオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリ
オキシエチレンソルビタントリオレエート等が挙
げられるが、必ずしもこれらに限定されるもので
はない。該化合物の配合量は、粘着性樹脂100重
量部に対して0.03〜５重量部、より好ましくは
0.5〜５重量部の割合であり、0.03重量部未満で
は接着力上昇抑制の効果が得られず、一方10重量
部を超えて添加しても効果の顕著な向上が認めら
れないばかりか、極端な剥離性の低下と液状のく
もりを生じるようになり、実用不可となるので好
ましくない。該化合物は単独又は２種以上を混合
して用いることができる。 本発明の粘着剤組成物には通常硬化剤が配合さ
れる。代表的な架橋剤としてはイソシアネート系
化合物、特に多官能イソシアネート、例えばトリ
レンジイソシアネートのトリメチロールプロパン
付加物、エチレンジイソシアネート、１，４−ブ
タンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン
ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネ
ート、２，６−トリレンジイソシアネート、４，
4′−ジフエニルメタンジイソシアネート等が用い
られ、その他アルキルエーテル化メチロールメラ
ミンの初期縮合物、アルキルエーテル化メチロー
ルメラミン尿素の初期縮合物、金属キレート剤等
も使用できる。該架橋剤の配合量は、通常粘着性
樹脂の100重量部に対して0.5〜５重量部の範囲が
望ましい。尚、架橋を促進するために酸触媒、例
えばパラトルエンスルホン酸、リン酸、塩酸、塩
化アンモニウム等も随時添加可能である。該架橋
促進剤の添加量は架橋剤に対して10〜50重量％で
ある。 かくして得られる粘着剤には本発明の目的を逸
脱しない範囲で従来公知の粘着剤用添加剤を必要
に応じて添加することは勿論可能である。かかる
公知の添加剤としてはリン酸エステル系、アミン
系などの各種界面活性剤、シリコーン樹脂、パラ
フインワツクス等の剥離性調節剤、テルペン系樹
脂、フエノール系樹脂、クマロン系樹脂、ロジン
系樹脂、石油系樹脂等の粘着性付与剤等、更には
顔料、可塑剤等も配合できる。 上記粘着剤は、特に基材の表面保護を目的とし
たシート・テープ用の粘着剤として有用である。
該用途に用いる場合のシート・テープの基材とし
ては通常ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエ
ステル、軟質ポリ塩化ビニルあるいは布、紙等も
状況に応じて用いることができる。粘着剤の塗布
方法としては上記粘着剤を有機溶剤、例えばトル
エン、酢酸エチル、メチルセロソルブ、エチルセ
ロソルブ等を単独で又は混合したものに樹脂固形
分として10〜40重量％程度溶解した溶液を基材上
にドクターブレード、ロールコート、刷毛塗り等
によつて塗布し、乾燥後の膜厚が５〜40μ程度と
なるように調節する。乾燥は常温、加温のいずれ
で行つても良い。 保護の対象は特に限定されないが、ステンレス
板、アルミニウム板、鋼板、銅板等をはじめとす
るあらゆる材質の金属板、メラミン板、フエノー
ル板等の合成樹脂化粧板、合板、単板、ガラス板
などのいわゆる板状物の他、棒状物、陶器や各種
成形物の表面に貼り付けることにより、その保護
を達成できる。 ［実施例］ 以下、実施例を挙げて本発明の粘着剤を更に詳
しく説明する。尚、「部」又は「％」とあるのは
特にことわりのない限り重量基準である。 実施例 １ アクリル系粘着性樹脂（樹脂組成：２−エチル
ヘキシルアクリレート／酢酸ビニル／ヒドロキシ
エチルメタクリレート＝70/30/3、分子量：
320000）100部とイソシアネート系化合物（日本
ポリウレタン工業(株)製、コロネートＬ）２部にソ
ルビタントリオレエート1.0部を添加して粘着剤
を得た。該粘着剤を20％トルエン溶液に調製後、
60μ厚のポリエチレンフイルム上に乾燥後、膜厚
が10μとなる様に塗布して80℃×２分で乾燥し、
表面保護シートを得た。 該シートをBA仕上げステンレス板（0.4mm厚）
に貼付け各種性能を評価した。 結果をまとめて表に示す。 実施例 ２ 実施例１においてソルビタントリオレエートの
添加量を３部とした以外は同様にして性能を評価
した。 結果をまとめて表に示す。 実施例 ３〜６ 実施例１においてソルビタントリオレエートの
代わりにソルビタンモノオレエートを５部（実施
例３）、ソルビタントリラウレートを３部（実施
例４）、ポリオキシエチレントリオレエートを５
部（実施例５）、ポリオキシエチレンソルビタン
トリラウレートを３部（実施例６）使用した以外
は同様にして性能を評価した。 結果をまとめて表に記す。 実施例 ７，８ 実施例１において使用したアクリル系粘着性樹
脂100部の代わりに、該樹脂50部とアクリル系合
成ゴム粘着性樹脂（樹脂組成：アクリル酸ブチ
ル／アクリロニトリル／ヒドロキシエチルメタク
リレート＝85/10/5、分子量約20万）50部との混
合物（実施例７）、実施例１のアクリル系粘着性
樹脂70部とスチレン−ブタジエン系合成ゴム（ス
チレン含量30％、分子量約30万）30部との混合物
（実施例８）を使用した以外は同様にして性能を
評価した。 結果をまとめて表に記す。 対照例 １〜３ 実施例１においてソルビタントリオレエートを
添加しない場合（対照例１）、ソルビタントリオ
レエートの代わりにアルキルリン酸エステル塩を
２部（対照例２）、ポリオキシエチレンオクタデ
シルアミンを２部（対照例３）使用した以外は同
様にして性能を評価した。 結果をまとめて表に記す。 対照例 ４ 実施例１においてアクリル系粘着性樹脂の代わ
りにスチレン−ブタジエン系合成ゴム（実施例８
で用いたものと同一）を100部使用した以外は同
様にして性能を評価した。 結果をまとめて表に記す。 尚、各性能の評価は以下の如くして行つた。 (1) 塗工性： アプリケーター法による塗工の場合 リバースコーター法による塗工の場合 粘着剤溶液を24時間常温で放置した場合
各々についてブツ、ゲル化発生状況を観察 (2) 初期接着力：貼付30分後に引張強度30mm／
分、20℃×65℃の条件下における180度引
剥し接着力 (3) 経日後接着力：熱風乾燥機60℃×３日後の接
着力を初期接着力と同条件で測定 (4) 耐候性：サンシヤインウエザーメーター照射
100時間後に初期接着力と同条件で接着力
を測定 (5) 糊残り：経日後接着力測定評価の際、ステン
レス板上への粘着剤の残留を観察した。 【表】

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ アクリル系樹脂を主成分とする粘着性樹脂
   100重量部に対してソルビタン脂肪酸エステル又
   はその誘導体を0.03〜５重量部の割合で添加して
   なる再剥離性粘着剤。