JPH0348884Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車用燃料タンク装置に係り、燃料
タンクと該タンクの注入口に下端口を挿入して連
結した燃料補給パイプの各内空に、ほぼＶ形に曲
げたＶ形屈曲を有するブリーザチユーブを内装
し、燃料補給時にブリーザチユーブの前記Ｖ形屈
曲に燃料が流入停滞して、燃料タンク内の上側の
エアーがブリーザチユーブからは逃げ出ないよう
にして燃料補給停止をするようにした燃料タンク
において、低速度の燃料注入のときであつても燃
料補給パイプの下端口の特殊構造により一時的に
燃料タンク内圧を上昇して前記のＶ形屈曲に溜つ
た燃料を押出し、それにより燃料タンクに充填す
る燃料を規格容量まで注入できるようにすること
を目的とするものである。

（従来の技術） 従来の自動車用燃料タンクａは、第５，６図に
示すように内部上側の一部にエアー溜りｂを設
け、該タンクの注入口ｃに燃料補給パイプｄの下
端口ｅを挿通してパツキンｆ等により燃料漏れを
生じないようにして連結し、燃料タンクａのエア
ー溜りｂに開口するブリーザチユーブｇをほぼＶ
形に曲げ、そのＶ形屈曲ｈの斜め上向端ｉを、燃
料補給パイプｄに設けた縦方向の隔壁ｊにより構
成されるエアー抜き路ｋに挿入しているものであ
る。

（考案が解決しようとする問題点） 前記の公知構造は、燃料補給パイプｄの下端口
ｅから毎分45程度の高速度で燃料タンクａに燃
料補給が行われると、タンク内圧が一時的に高ま
つてＶ形屈曲ｈに溜つている燃料をエアー抜き路
ｋに駆遂してブリーザチユーブｇを開通し、該チ
ユーブの開口付近までの規定量の補給が行われる
と再びＶ形屈曲ｈに燃料を溜め、エアー溜りのエ
アー圧縮によつて規定量以上の燃料補給を行えな
いように設計されているものであるが、燃料タン
クａの動圧が小さく、Ｖ形屈曲ｈの燃料を駆遂す
ることができないので、エアー溜りｂの圧力が早
く高まり、規定水準Ｓまでの燃料注入ができない
でS′付近までの補給しかできず、いわゆる満タン
補給が不可能になる欠点をもつ。

（問題点を解決するための手段） 本考案は燃料注入速度が設計以下の遅い速度で
あつても、Ｖ形屈曲に溜つた燃料を追い出して規
定量の燃料補給を施し得るように改良したもの
で、燃料補給パイプの下端口に、該下端口から燃
料タンクに流入する燃料に乱流を生じさせる開口
面積縮小の絞り部を形成し、前記乱流により燃料
タンク内圧を一時的に高めて、その圧力によりブ
リーザチユーブのＶ形屈曲に溜まつた燃料を押出
すようにしたことを特徴とするものである。実験
によれば第４図のようにタンク内圧力が一時的に
大略100mm／Aq以上に上昇するとＶ形屈曲に溜つ
た燃料を押出すことができることが判明した。し
かし低速度でこの圧力を一時的に生じさせること
は困難であるから燃料補給パイプの下端口に生ず
る乱流を以て一時的圧力上昇を生じさせるもので
ある。

（実施例） 第１〜３図は本考案の一実施例を示し、図中１
は自動車用の燃料タンクであつて、その上部内面
にエアー溜り２を形成する。４は下端口５を燃料
タンク１の注入口３に挿入し、下端口５のやや上
側の取付鍔６をパツキン７を介して注入口３の外
周に取付けた燃料補給パイプであつて、その内部
に縦の隔壁８を設けてエアー抜き路９を構成す
る。そのエアー抜き路９は隔壁８を燃料補給パイ
プ４に密着したものではなく、該路９の下端以外
にも微小な隙間を生じているもので、その隙間か
らもエアーが逃げる。

１０は一端をエアー溜り２に開口したブリーザ
チユーブであつて、その長さの途中にほぼＶ形に
屈曲したＶ形屈曲１１を設け、その斜め上向端１
２をエアー抜き路９に挿入する。

本考案は前記の公知構成において燃料補給パイ
プ４の下端口の開口面積を圧縮により縮小した絞
り部１５を形成し（第１図）、又は隔壁８の下端
に燃料補給パイプ４の内部への屈曲１６を生じさ
せて絞り部１５ａを設ける（第２図）。

エアー抜き路９の内部にはブリーザチユーブ１
０をかこむセパレータ（遮蔽物）１７を設けるこ
とができる。該セパレータは取付けによつて生ず
る隙間から燃料を下方に落下させる。

本考案は前記に例示した構成になり、燃料補給
パイプ４の上端の補給口から送り込まれる燃料
は、毎分の補給量が少なく、いわゆる低速であつ
ても、下端口５の絞り部１５，１５ａによりその
全流量が燃料タンク１に流れ込まず、絞り部の上
側に溜り気味となり、乱流を生じて燃料タンク１
に流入するため、該タンク中のエアーは燃料の流
入量に見合うエアーを絞り部１５，１５ａから燃
料補給パイプ４に逆流することがなく、このため
に燃料タンク１の内圧が一時的に高まり、その内
圧がブリーザチユーブ１０に流入してＶ形屈曲１
１に溜つている燃料をエアー抜き路に押出し、そ
のあとはブリーザチユーブ１０により燃料タンク
１内のエアーを逃出させる。このためエアー溜り
２の圧力は高められないで、燃料タンク１への燃
料補給量に見合つたエアーを前記のチユーブ１０
から逃出させ、規定量の燃料が規定水準Ｓまで補
給されると、従来同時にその一部をブリーザチユ
ーブ１０に流入してＶ形屈曲１１に溜られてエア
ー抜きを不可能とし、エアー溜り２の圧力の高ま
りを以て燃料の燃料タンク１への流入を従来と同
じに停止させ、燃料補給パイプの燃料水位を補給
口に向つて高める。

（考案の作用及び効果） 本考案の作用は実施例について説明したところ
と同じである。この作用は燃料タンク１に連結さ
れた燃料補給パイプ４の下端口５に絞り部１５，
１５ａを形成して、燃料が高速度で流入するとき
も、低速度で流入するときも、該絞り部により乱
流を生じさせて燃料タンク１に流入させるにあ
り、この流入によりブリーザチユーブ１０のＶ形
屈曲１１に溜つている燃料を駆遂できることは実
験により確認しているもので、かかる駆遂は燃料
の流入により燃料タンク１の内圧を一時的に高め
ることによるものであつて、所期する効果は正確
である。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は本考案の実施例を示し、第１図は
燃料補給パイプ４の中心を縦断した第１実施例の
側面図、第２図は第１図と同様に縦断した第２実
施例の側面図、第３図は第２図Ａ−Ａ線切断面
図、第４図は圧力線図である。第５図は従来構造
を示した一部切欠側面図、第６図は同一部の拡大
縦断側面図である。 １……燃料タンク、４……燃料補給パイプ、５
……下端口、１０……ブリーザチユーブ、１１…
…Ｖ形屈曲、１５，１５ａ……絞り部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料タンクの注入口に燃料補給パイプの下端口
   を挿入して連結し、前記タンクの内部上面に開口
   するブリーザチユーブをほぼＶ形に曲げ、そのＶ
   形屈曲の斜め上向端を燃料補給パイプに設けた縦
   の隔壁により構成されるエアー抜き路に挿入して
   なる燃料タンク装置に於いて、前記燃料補給パイ
   プの下端開口に、開口面積を縮小した絞り部を形
   成し、補給燃料の絞り部による乱流により燃料タ
   ンク内圧を一時的に高めてその圧力によりブリー
   ザチユーブのＶ形屈曲に溜まつた燃料を押出すよ
   うにしたことを特徴とする自動車用燃料タンク装
   置。