JPH0348281Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 本考案は、桟橋支柱等の鋼管を被覆防食するの
に用いられる防食カバーの支持構造に関する。

〔従来技術〕

港湾等に見られる桟橋支柱等の鋼管は、その干
満域及び飛沫域がマクロ電池の作用によつて集中
的に腐食することが知られている。この腐食を防
止するため、従来からＦ・Ｒ・Ｐ等の耐食性カバ
ーにて鋼管を被覆し、鋼管とカバー間にモルタル
やコンクリートの充填材を注入個化させることが
行なわれている。

防食カバーを支持するには、吊り金具を用いる
方法と受台を用いる方法の２種類がある。前者は
複数の吊り金具を防食カバーの上端へ連結し、吊
り金具の端部を鋼管外面へ溶接するもので、後者
は鋼管へ予め受台を取付けて防食カバーの下端を
この受台にて支持させるものである。

しかし、従来の吊り金具は防食カバーが大きく
なると支持力に限度があり、また受台方式は既設
鋼管の場合に海中工事となる難点がある。

〔考案の目的〕 本考案はかかる事情に鑑みてなされたものであ
り、その目的は、取付けが容易でしかも大きな支
持力の得られる防食カバーの支持構造を提供する
ことにある。

〔考案の概要〕

上記目的を達成するため、本考案では、略リン
グ状の吊り金具にフランジを設けると共に、防食
カバーの上端を屈曲させて吊り金具のフランジ上
面にて防食カバーの上端を支持する構成としてい
る。

〔考案の実施例〕

第１図には、本考案の支持構造が適用された防
食カバー１０が示されている。

この防食カバー１０は、既設の鋼管１２へ容易
に取付けられるように割型となつており、一対の
カバー半体１０ａ，１０ｂから構成されている。
各カバー半体１０ａ，１０ｂはＦ・Ｒ・Ｐ等の耐
食性材料にて形成され、その上下方向寸法は鋼管
１２の干満域及び飛沫域を被覆できるように設定
する。各カバー半体１０ａ，１０ｂの上端１４
ａ，１４ｂは、第２図からも判るように内側へほ
ぼ直角に屈曲し、上端１４ａ，１４ｂの下面には
ボルト１６及びナツト１８によつて吊り金具２０
が固着されている。

吊り金具２０は、第３図に示すように一対の金
具半体２０ａ，２０ｂから構成され、金具半体２
０ａはカバー半体１０ａに、金具半体２０ｂはカ
バー半体１０ｂに各々フランジ２２ａ，２２ｂを
介して取付けられる。一方の金具半体２０ａのフ
ランジ２２ａには、充填材２４（第１図参照）の
注入孔２６が形成され、また各フランジ２２ａ，
２２ｂには複数の空気抜き孔２８が穿設されてい
る。更に、図示してないがカバー上端１４ａ，１
４ｂにも前述の各孔と連通する孔が形成されてい
る。金具半体２０ａ，２０ｂの立上り部分には、
複数の長孔３０が設けられ、作業者はこれらの長
孔３０を通じて吊り金具２０を鋼管１２へ溶接で
きるようになつている。従つて、吊り金具２０の
内側を直接鋼管１２へ溶接できる場合は、これら
の長孔３０を省略してもよい。

防食カバー１０の下端も内側へ屈曲し、その先
端には環状のシール３２が取付けられている。こ
のシール３２は、充填材２４がカバー底部から洩
れるのを阻止できるようにその先端が鋼管１２の
外面に当接している。防食カバー１０の内面に
は、複数のスペーサ３４が設けられ、各スペーサ
３４は防食カバー１０と鋼管１２との間隔を一定
に維持している。

以上のように構成された防食カバー１０の施工
順序は、次の通りである。

予め吊り金具２０とシール３２が固着された防
食カバー１０をクレーン等の手段にて鋼管１２へ
被覆させる。続いて、鋼管１２の干満域及び飛沫
域が完全に覆われるように防食カバー１０の上下
位置を調整した後、各金具半体２０ａ，２０ｂを
鋼管１２の外面に溶接する。このとき、吊り金具
２０ａ，２０ｂに設けられた各長孔３０を埋める
ように溶接すると作業が容易である。最後に、金
具半体２０ａの注入孔２６（第３図）からモルタ
ル等の充填材２４を注入して固化させる。このと
き防食カバー１０内の水、空気は、各金具半体２
０ａ，２０ｂの空気抜き孔２８から外部へ押し出
されることとなる。

〔考案の効果〕

叙上の如く、本考案では、吊り金具を全体とし
てリング状に形成し、フランジ部分にて防食カバ
ーを支持する構成としたから、大型の防食カバー
でも充分に支持することができる。

また、防食カバーの上端が内側へ屈曲している
から、固化した充填材が剥出しになることがな
く、従つて後処理の必要がなくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の支持構造が適用された防食カ
バーの縦断面図、第２図は防食カバー上端部分の
拡大断面図、第３図は吊り金具の斜視図である。 １０……防食カバー、１２……鋼管、１４ａ，
１４ｂ……屈曲上端、２０……吊り金具、２２
ａ，２２ｂ……フランジ、２６……充填材注入
孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吊り金具にフランジを設けて略リング状に形成
   すると共に、防食カバーの上端を内側へ屈曲さ
   せ、この屈曲端部を前記フランジの上面へ連結
   し、吊り金具を鋼管へ固着したことを特徴とする
   防食カバーの支持構造。