JPH0344851B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、一般的には管を拡径加工し管に溝を
形成することに係り、更に詳細には柔かい管を拡
径すると同時に管に溝を形成するに特に好適な方
法及び工具に係る。

例えば冷房装置や空調装置に使用される管の如
き熱交換用の管には、その管の熱交換特性を改善
すべく管の内面に溝が設けられることが多く、管
の内面に溝を形成するための多数の方法や装置が
よく知られている。また熱交換用の管は、プレー
トフインと良好に熱交換し得る関係にて管をプレ
ートフインに接続すべく、拡径加工されて一つ又
はそれ以上のプレートフインと締りばめ係合せし
められることが多く、このことを達成する種々の
装置が知られている。

管を拡径しその内面に溝を形成する必要がある
場合には、一般に管を拡径することとその内面に
溝を形成することとが独立して行われる。即ち先
ず管が拡径加工され、次いでその内面に溝が形成
されるか、先ず管に溝が形成され、次いでその管
が拡径加工される。これらの方法によれば非常に
満足し得る結果が得られるが、これらの方法は長
時間を要し、従つて高コストである。かかる理由
から、管を拡径加工すると同時にその内面に溝を
形成する方法及び装置を開発する種々の努力が従
来より払われている。

柔かいアルミニウム等にて形成された柔かい管
を拡径すると同時にその内面に溝を形成する方法
及び装置の開発に於ては種々の困難に直面した。
苦心の末、管の側壁材料に係合する外部畝又は外
部フインを有する工具を通すことにより、管の内
面に溝が形成されている。外部フインは管の側壁
材料に長手方向及び接線方向の押圧力を与え、管
の側壁材料をフインの経路外へ押出し、これによ
り管の内壁面に溝を形成する。

かかる方法に於ては、工具の長手方向軸線が管
内に於て心出しされた状態に維持されないと、工
具のフインは管内にて非対称に配列された状態に
なる。このことが発生すると、管の側壁材料にフ
インが及ぼす長手方向の押圧力が非対称になり、
管の一方の側壁に作用する力が増大し、その他方
の側壁に作用する力が減少する。管の一方の側に
作用する長手方向の押圧力がある敷居値以上に増
大すると、その押圧力により管のその側にしわが
形成される。柔かい管の場合には上述の敷居値は
比較的小さいので、柔かい管に対し上述の方法を
適用する場合には、溝形成工具を管内にて心出し
し且その工具を管内にて心出しされた状態に維持
することが重要であり、管を拡径すると同時にそ
の内面に溝を形成する工具であつて、管内に通さ
れる際に管内にて心出しされた状態を維持する工
具を開発するに際しては種々の困難に直面した。

本発明の一つの目的は、柔かい管を拡径すると
同時にその内面に溝を形成する際に効果的に使用
される工具及び方法を提供することである。

本発明の他の一つの目的は、管に通される工具
の溝加工部よりも先に管内に通される心出し部で
あつて、管を部分的に拡径し、管を溝加工部上へ
案内し、工具が管内にて心出しされた状態に維持
することを補助する心出し部を有する工具を提供
することである。

これらの目的及び他の目的は、管を拡径しその
内面に溝を形成する工具であつて、軸線方向に延
在するマンドレルと心出し部と溝加工部とを含む
工具によつて達成される。本発明の工具の心出し
部及び溝加工部はマンドレルに固定されており、
溝加工部は心出し部より軸線方向後方の位置に設
けられている。心出し部はマンドレルより半径方
向外方へ突出しており、溝加工部は工具の心出し
部と同軸にて心出し部より半径方向外方へ突出し
ている。心出し部は管に係合しこれを部分的に拡
径し、管を溝加工部上へ案内し、溝加工部を管内
にて心出しされた状態に維持するための平滑な環
状面を郭定している。溝加工部は管を更に拡径す
るための外面を郭定しており、管の内面に溝を形
成するための外部フインを含んでいる。

以下に添付の図を参照しつつ、本発明を実施例
について詳細に説明する。

第１図及び第２図はそれぞれ管を拡径しその内
面に溝を形成する本発明による工具１０の実施例
を示している。一般に工具１０は軸線方向に延在
するマンドレル１２と心出し部１４と溝加工部１
６とを含んでいる。心出し部１４はマンドレル１
２に固定されており、マンドレルより半径方向外
方へ突出している。溝加工部１６はマンドレル１
２に固定されており、心出し部１４より軸線方向
後方の位置に設けられており、心出し部１４と同
軸にて心出し部より半径方向外方へ突出してい
る。心出し部１４は、管に係合してそれを部分的
に拡径し、管を溝加工部１６上へ案内し、溝加工
部を管内にて心出しされた状態に維持するための
平滑な環状の外面２０を郭定している。溝加工部
１６は管を更に拡径するための外面を郭定してお
り、管の内面に一つ又はそれ以上の溝を形成する
ための少なくとも一つ好ましくは複数個のフイン
２２を含んでいる。フイン２２の拡大断面図が第
３図に示されている。

第１図に示された工具１０に於ては、心出し部
１４及び溝加工部１６は単一の部材の一体的な一
部であり、マンドレル１２よりすぐ前方の位置に
設けられており、僅かに凸状をなす外面を有する
実質的に環状をなしている。また第２図に示され
た工具に於ては、心出し部１４及び溝加工部１６
は互に分離可能である。溝加工部１６はマンドレ
ル１２のすぐ前方の位置に設けられており、平行
な二つの平面にて切断された疑似球状をなしてい
る。心出し部１４は溝加工部１６のすぐ前方の位
置に設けられており、実質的に半球状をなしてい
る。これら第１図及び第２図に示された実施例に
於ては、心出し部１４及び溝加工部１６はそれら
の中心を貫通して長手方向に延在しマンドレル１
２と係合する固定ねじ（図示せず）によりマンド
レル１２に回転可能に固定されている。

作動に於ては、第１図、第２図、第４図に於
て、心出し部１４が溝加工部１６の前方を移動す
るよう、工具１０は平滑な内面を有する管２４に
押込み又は引張りによつて移動せしめられる。心
出し部１４の最大直径は拡径加工されていない管
２４の内径よりも大きく、従つて心出し部１４が
管内を通過する過程に於て、心出し部は管の内面
に係合し、管の壁材料を半径方向へ徐々に押出し
て管を拡径し、また管を溝加工部１６上へ案内す
る。

工具１０の溝加工部１６は心出し部１４の後に
続いて管２４内を移動する。溝加工部１６が管２
４内を通過する過程に於て、溝加工部は管の内面
に係合し、管の壁材料を更に半径方向外方へ押圧
し、管を更に拡径し、特にフイン２２が管の内面
に係合して管の壁材料をフインの経路外へ徐々に
押出し、これにより管２４の内面に溝２６を形成
する。管２４の内面に螺旋状の溝２６を形成すべ
く、フイン２２は管２４の長手方向軸線に対し傾
斜されてよく、この場合には工具が押込み又は引
張りにより管内に通される際に、フイン２２及び
溝加工部１６が工具１０の溝加工部の長手方向軸
線の周りに回転される。

工具１０の心出し部１４及び溝加工部１６によ
り行われる管２４の全拡径量は変化されてよい。
また心出し部１４及び溝加工部１６は第１図及び
第２図に示された外形以外の外形を有していて良
く、本発明を実施するに際してはフイン２２が管
の側壁材料に係合するとすぐに管２４に溝２６を
形成し始めることは必ずしも必要ではない。

上述の如き方法に於ては、心出し部１４の外面
２０は平滑であるので、工具１０の心出し部１４
が管２４内を通過する際に心出し部と管との間に
作用する力は主として半径方向の力であり、心出
し部１４は管２４を半径方向外方へ押圧し、管２
４は工具１０の心出し部を半径方向内方へ押圧す
る。この力は工具１０の溝加工部１６と管２４と
の間に作用する力とは明確に異つている。溝加工
部１６と工具２４との間にて作用する力は、溝加
工部が外部フイン２２を含んでいるので、半径方
向の力だけでなく軸線方向及び接線方向の力を含
んでいる。更に、心出し部１４に作用する力によ
り工具１０の心出し部の軸線が管２４内の中心に
位置決めされた状態に自動的に維持する調節作用
が発揮される。即ち、例えば心出し部１４の軸線
が管２４内にて上昇しても、工具１０の心出し部
は管の上側に係合し、これにより管の上側に作用
する力がその下側に作用する力よりもの大きくな
る。このことにより心出し部１４が下方へ押圧さ
れ、その心出し部が管２４の中心に戻される。

心出し部１４に作用する力が主として半径方向
の力であること及びこれらの力が上述の如き自己
調節作用を有していることにより、工具１０の心
出し部が管２４内にて心出しされた状態に維持さ
れることが容易に行われる。工具１０の心出し部
１４及び溝加工部１６はそれらの軸線が互に整合
された状態に維持されるようにマンドレル１２に
固定されているので、心出し部１４を管２４内に
て心出しされた状態に維持することにより溝加工
部１６も管２４にて心出しされた状態に維持され
る。

更に、管２４が溝加工部１６上を通過し、フイ
ン２２が管の側壁に係合して管を更に拡径し溝２
６を形成すると、管の壁の厚さが低下し、これに
より管の壁の強度が低下されるが、フイン２２は
管の壁を硬化させ、これにより管の壁の強度が増
大される。従つて工具１０の溝加工部１６により
管２４が更に拡径される場合にも、管の全体とし
ての強度には殆ど若しくは全く影響が及ぼされな
い。

例えば工具１０がＵ字形又はヘアピン形に湾曲
された部分を有する管に適用される場合の如き用
途に於ては、工具１０はそれを管内にて後方へ引
張ることにより管より引出される。工具１０のか
かる後方への移動を容易に行わせ、また溝加工部
１６の後及びフイン２２の後端が管の内面に引掛
ることを回避すべく、溝加工部１６の後方部分３
０は半径方向内方へ傾斜していることが好まし
い。

以上に於ては本発明を特定の実施例について詳
細に説明したが、本発明はかかる実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の範囲内にて種々の実
施例が可能であることは当業者にとつて明らかで
あろう。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はそれぞれ本発明による工具
の実施例を示す側面図である。第３図は第１図の
線−による拡大部分断面図である。第４図は
本発明の方法により拡径加工された管を一部断面
にて示す側面図である。 １０……工具、１２……マンドレル、１４……
心出し部、１６……溝加工部、２０……外面、２
２……フイン、２４……管、２６……溝、３０…
…後方部分。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 管の内面に溝加工を施すと同時に管の内径及
   び外径を拡大する方法しにて、 管の一部の内面に主として半径方向外向きの力
   を与えこれによつて管の前記一部の内径及び外径
   を拡大することと、 かくして拡径された管の前記一部の内面に半径
   方向外方と軸線方向と接線方向の組合さつた力を
   同時に与えこれによつて管の前記一部の内径及び
   外径を更に塑性変形を伴つて拡大すると同時にそ
   の内面に螺旋方向に延在する溝を形成すること、
   を含むことを特徴とする方法。 ２ 管を拡径すると同時に管の内面に溝を形成す
   るための工具にして、 軸線方向に延在するマンドレルと、 前記マンドレルに取付けられ軸線方向長さの少
   なくとも一部にて次第に半径方向寸法が増大する
   心出しと第一の拡径を行う部分と、 前記の心出しと第一の拡径を行う部分の軸線方
   向後方にこれと同心に配置されて前記マンドレル
   に取付けられ軸線方向長さの少なくとも一部にて
   前記の心出しと第一の拡径を行う部分よりも大き
   い半径方向寸法を有する溝付けと塑性変形を伴う
   第二の拡径を行う部分と、 を有し、前記の心出しと第一の拡径を行う部分は
   管に係合しこれを部分的に拡径して管を前記の溝
   付けと第二の拡径を行う部分へ向けて案内し且前
   記の溝付けと第二の拡径を行う部分を管内にて心
   決めされた状態に維持する滑らかな環状面を有
   し、前記の溝付けと第二の拡径を行う部分は前記
   の滑らかな環状面に続いて管を更に塑性変形を伴
   つて拡径し管の内面に溝を形成するためのフイン
   を有する外面を有していることを特徴とする工
   具。