JP3504967B2 - 非円形断面の曲がり管を製造する方法および装置 - Google Patents

非円形断面の曲がり管を製造する方法および装置

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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この出願の発明は、真っ直ぐな管
状素材の内部に管状素材の内径よりも大きな外径を有す
る非円形断面の浮動拡管プラグをこれに連結した引っ張
り部材により挿入・通過させて管状素材を拡径させると
ともに、管状素材における拡径直前の部分を径方向から
ガイドしつつ管状素材における拡径直後の部分に曲げ力
を加えることによって非円形断面の曲がり管を製造する
方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】心金の一端に球継手により揺動自在に取
付けた棒状の引っ張り部材によって、この引っ張り部材
と連結した球状の浮動拡管プラグを真っ直ぐな管状素材
(塑性加工に適した材質のもの)の内部に挿入・通過さ
せて管状素材を拡径させるとともに、管状素材における
拡径直前の部分を心金により内径側からガイドしつつ管
状素材における拡径直後の部分に曲げ力を加えることに
よって円形断面の曲がり管を製造する曲がり管の製造す
ることは公知である(特開平2−268927号公
報)。浮動拡管プラグの管状素材への挿入は心金の他端
を固定した状態で適宜押し機構により管状素材を異動さ
せることで達成される。この方法は浮動プラグ法と称さ
れ、曲げの方向および曲率を自在に変化させることがで
き、しかも肉厚ひずみの小さい複雑な形状の曲がり管を
高精度で加工できる点で優れている。
【0003】また、非円形断面の拡管プラグを管状素材
の内部に挿入・通過させることにより楕円等の非円形断
面の曲がり管を製造することも公知である(特公昭51
−7152号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者等が球形状を基本形状とする多角形状の浮動拡管プラ
グを使用して多角形断面の曲がり管の製造を試みたとこ
ろ、成形した曲がり管の断面における角部に割れ,し
わ,潰れ,スプリングバックが発生したものとなり、仕
上がり状態の良い非円形断面の曲がり管を成形すること
ができなかった。
【0005】この出願の発明は、上記の割れ,しわ,潰
れ,スプリングバックの発生が抑制されて仕上がり状態
の良い非円形断面の曲がり管を製造することができる製
造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この出願の発明者等は、
上記の割れ,しわ,潰れ,スプリングバックは、管状素
材の拡径力が急激に増大し且つ急激に減少することに起
因するものと推測し、種々の実験を重ねた結果、この出
願の発明を完成させるに至ったものである。
【0007】 この出願の発明は、上記目的を達成する
ために、真っ直ぐな管状素材の内部に管状素材の内径よ
りも大きな外径を有する非円形断面の浮動拡管プラグを
これに連結した引っ張り部材により挿入・通過させて管
状素材を拡径させるとともに、管状素材における拡径直
前の部分を径方向からガイドしつつ管状素材における拡
径直後の部分に曲げ力を加えることによって非円形断面
の曲がり管を製造する方法において、浮動拡管プラグ
は、管状素材の内径よりも小径とした前端から管状素材
の内径よりも大きな外径へと漸次増径させた変形部分
と、この変形部分の最大径と略同じ径を与えた中央仕上
げ部分と、この中央仕上げ部分と略同じ外径から漸次減
径させた後端部分とを備え、前記変形部分および前記中
央仕上げ部分の断面形状における角部に形成するアール
(R)は、浮動拡管プラグの前端から後端に進むのにつ
れて漸次小さくされているものとした。
【0008】 また、この出願の発明は、上記目的を達
成するために、引っ張り部材と連結されて引っ張り部材
により真っ直ぐな管状素材の内部に挿入・通過させて管
状素材を拡径させるための管状素材の内径よりも大きな
外径を有した非円形断面の浮動拡管プラグと、管状素材
における拡径直前の部分を径方向からガイドするガイド
部材と、管状素材における拡径直後の部分に曲げ力を加
える曲げ力付加部材とを備えた、非円形断面の曲がり管
を製造する装置において、浮動拡管プラグは、管状素材
の内径よりも小径とした前端から管状素材の内径よりも
大きな外径へと漸次増径された変形部分と、この変形部
分の最大径と略同じ外径を与えた中央仕上げ部分と、こ
の中央仕上げ部分と略同じ外径から漸次減径させた後端
部分とを備え、前記変形部分および前記中央仕上げ部分
の断面形状における角部に形成するアール(R)は、浮
動拡管プラグの前端から後端に進むのにつれて漸次小さ
くされているものとした。
【0009】
【0010】
【作用】上記の曲がり管の製造方法および曲がり管の製
造装置においては、拡管プラグの先端部分は管状素材の
拡径力の増加を従来技術の場合よりも緩やかにして上記
の割れ,しわ,潰れの発生を抑制し、拡管プラグの中央
部分は拡径力の急激な減少を阻止して上記のスプリング
バックの発生を抑制する。これにより、仕上がり状態の
良い非円形断面の曲がり管が製造できる。
【0011】また、浮動拡管プラグの変形部分および仕
上げ部分の断面形状における角部の丸みは、浮動拡管プ
ラグの前端から後端に進むのにつれて半径が漸次小さく
なるように形成されることにより、管状素材の急激な変
形を効果的に抑制でき、非円形断面の曲がり管の仕上が
り状態がより良くなる。
【0012】
【実施例】この出願の発明の実施例を図面に基づいて説
明する。
【0013】図1は第1実施例を示すものであり、10
はステンレス鋼よりなる円形断面管である管状素材を、
10aは管状素材における拡径前の部分を、10bは管
状素材における拡径直後の部分を夫々示す。そして、1
1は棒状の引っ張り部材を、12は引っ張り部材の右端
に連結された浮動拡管プラグを、13は管状素材を内径
側からガイドする心金(ガイド部材の1種)を、14は
管状素材における拡管直後の部分10bに曲げ力を加え
るローラーを夫々示す。引っ張り部材11の左端は球継
手15により心金13に取付けられている。
【0014】図1中の浮動拡管プラグ12は、図2〜図
6に示したように、六角形の断面形状を有するものであ
る。そして、この浮動拡管プラグ12は、管状素材10
の内径よりも小径とした前端から管状素材の内径よりも
大きな外径へと漸次増径させた変形部分12aと、この
変形部分12aの最大径と略同じ外径を与えた中央仕上
げ部分12bと、この中央仕上げ部分12bと略同じ外
径、つまり中央仕上げ部分の後端径から漸次減径させた
後端部分12cとを備えてなる。浮動拡管プラグ12の
縦断面における中央仕上げ部分12bの輪郭は、拡管プ
ラグ12の中心(管状素材10に対する浮動拡管プラグ
12の偏心量を表す場合に用いる中心)の円弧であり、
中央仕上げ部分12bの径は先端部分12aの最大径よ
りは若干大きい径である。そして、管状素材10の部分
的な且つ急激な変形を効果的に抑制するため、浮動拡管
プラグ12の変形部分12aおよび仕上げ部分12bの
断面形状における角部に形成するアール(R)12d
は、前端から後端へ進むのにつれて漸次小さくなるよう
に形成されている。
【0015】図1において、管状素材10は初めは真っ
直ぐであり、心金13および引っ張り部材11を相対的
にその右端から挿入した後、心金13の図示しない左端
を固定し、管状素材10を適宜押し機構(図示省略)に
より心金13の左側から右側へ押し込むことで、管状素
材10は浮動拡管プラグ12により部分10aから部分
10bのように拡径される。管状素材10の部分10b
にはローラー14により曲げ力が加えられ、この状態で
管状素材10の拡径を連続的に行うことで図7に示す六
角断面の曲がり管Aが形成される。その際、浮動拡管プ
ラグ12は管状素材10に対して偏心して位置すること
になる。このように浮動拡管プラグ12が管状素材10
に対して偏心した状態で浮動拡管プラグ12の先端部分
12aが管状素材10の部分10aと干渉するのを回避
するように引っ張り部材11の長さを設定する。
【0016】図8〜図11は、図1中の浮動拡管プラグ
12と置換できる、八角形の断面形状を有するものであ
り、この浮動拡管プラグ112は、管状素材10の内径
よりも小径とした前端から管状素材の内径よりも大きな
外径へと漸次増径させた変形部分112aと、この変形
部分112aの最大径と略同じ外径を与えた中央仕上げ
部分112bと、この中央仕上げ部分112bと略同じ
外径から漸次減径させた後端部分112cとを備えてな
り、変形部分112aおよび中央仕上げ部分112bの
断面形状におけるアール(R)112dは前端から後端
へ進むのにつれて漸次小さくなるように形成されてい
る。この浮動拡管プラグ112を使用することにより図
12に示す八角断面の曲がり管Bが形成される。
【0017】図13〜図17は図1中の浮動拡管プラグ
12と置換できる、四角形の断面形状を有するものであ
り、この浮動拡管プラグ212は、管状素材10の内径
よりも小径とした前端から管状素材の内径よりも大きな
外径へと漸次増径させた変形部分212aと、この変形
部分212aの最大径と略同じ外径を与えた中央仕上げ
部分212bと、この中央仕上げ部分212bと略同じ
外径から漸次減径させた後端部分212cとを備えてな
り、変形部分212aおよび中央仕上げ部分212bの
断面形状におけるアール(R)212dは前端から後端
へ進むのにつれて漸次小さくなるように形成されてい
る。この浮動拡管プラグ212を使用することにより図
示しない四角断面の曲がり管が形成される。
【0018】尚、以上に説明した実施例では、心金13
により管状素材10を内径側からガイドさせたが、管状
素材10を外径側からガイドさせるガイド部材を管状素
材10の外側に配置して心金およびガイド部材により管
状素材を内側および外側からガイドさせ、或いは心金を
廃止してガイド部材のみにより管状部材をガイドさせる
ようにするとともに引っ張り部材11を延長して引っ張
り部材11の左端を固定するようにして実施することが
できる。この場合、浮動拡管プラグの引っ張り部材11
はワイヤー等に変更して実施することができる。
【0019】また、管状素材の断面は非円形でも適用で
き、管状素材の材質がポリカーボネートや塩化ビニール
の如き延性に富む樹脂等、塑性加工に適した材質であれ
ば適用できる。
【0020】
【発明の効果】この出願の発明の曲がり管の製造方法お
よび曲がり管の製造装置においては、拡管プラグは、管
状素材の内径よりも小径とした前端から管状素材の内径
よりも大きな外径へと漸次増径させた変形部分と、この
変形部分の最大径と略同じ外径を与えた中央仕上げ部分
と、この中央仕上げ部分と同じ外径から漸次減径させた
後端部分とを備えたものとしたことにより、断面の角部
の割れ,しわ,潰れ,スプリングバックがない、仕上が
り状態の良い非円形断面の曲がり管が製造できるもので
ある。
【0021】また、浮動拡管プラグの変形部分および仕
上げ部分の断面形状における角部に形成するアール
(R)は、浮動拡管プラグの前端から後端に進むのにつ
れて漸次小さくしたことにより、管状素材の急激な変形
を効果的に抑制でき、非円形断面の曲がり管の仕上がり
状態がより良くなるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の第1実施例を示す図である。
【図2】図1中の浮動拡管プラグの正面図である。
【図3】図2の浮動拡管プラグの右側面図である。
【図4】図2中のA−A線に沿う断面図である。
【図5】図2中のB−B線に沿う断面図である。
【図6】図2の浮動拡管プラグの左側面図である。
【図7】図1の実施例により形成した曲がり管を示す図
である。
【図8】図1中の浮動拡管プラグの第2実施例の正面図
である。
【図9】図8の浮動拡管プラグの右側面図である。
【図10】図8中のC−C線に沿う断面図である。
【図11】図8の浮動拡管プラグの左側面図である。
【図12】図8の浮動拡管プラグを用いて形成した曲が
り管を示す図である。
【図13】図1中の浮動拡管プラグの第3実施例の正面
図である。
【図14】図13の浮動拡管プラグの右側面図である。
【図15】図12中のD−D線に沿う断面図である。
【図16】図12中のE−E線に沿う断面図である。
【図17】図12の浮動拡管プラグの左側面図である。
【符号の説明】
10・・・管状素材 11・・・浮動拡管プラグの引っ張り部材 12,112,212・・・浮動拡管プラグ 12a,112a,212a・・・変形部分 12b,112b,212b・・・中央仕上げ部分 12c,112c,212c・・・後端部分 13・・・心金(ガイド部材の1種) 14・・・ローラー(曲げ力付加部材) 15・・・球継手 A,B・・・曲がり管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−22525(JP,A) 特公 昭51−7152(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21D 9/05 B21D 39/20 B21D 41/02 B21C 37/15

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真っ直ぐな管状素材の内部に管状素材の
    内径よりも大きな外径を有する非円形断面の浮動拡管プ
    ラグをこれに連結した引っ張り部材により挿入・通過さ
    せて管状素材を拡径させるとともに、管状素材における
    拡径直前の部分を径方向からガイドしつつ管状素材にお
    ける拡径直後の部分に曲げ力を加えることによって非円
    形断面の曲がり管を製造する方法において、 浮動拡管プラグは、管状素材の内径よりも小径とした前
    端から管状素材の内径よりも大きな外径へと漸次増径さ
    せた変形部分と、この変形部分の最大径と略同じ径を与
    えた中央仕上げ部分と、この中央仕上げ部分と略同じ外
    径から漸次減径させた後端部分とを備え、前記変形部分および前記中央仕上げ部分の断面形状にお
    ける角部に形成するアール(R)は、浮動拡管プラグの
    前端から後端に進むのにつれて漸次小さくされている
    とを特徴とする、非円形断面の曲がり管を製造する方
    法。
  2. 【請求項2】引っ張り部材と連結されて引っ張り部材に
    より真っ直ぐな管状素材の内部に挿入・通過させて管状
    素材を拡径させるための管状素材の内径よりも大きな外
    径を有した非円形断面の浮動拡管プラグと、管状素材に
    おける拡径直前の部分を径方向からガイドするガイド部
    材と、管状素材における拡径直後の部分に曲げ力を加え
    る曲げ力付加部材とを備えた、非円形断面の曲がり管を
    製造する装置において、 浮動拡管プラグは、管状素材の内径よりも小径とした前
    端から管状素材の内径よりも大きな外径へと漸次増径さ
    れた変形部分と、この変形部分の最大径と略同じ外径を
    与えた中央仕上げ部分と、この中央仕上げ部分と略同じ
    外径から漸次減径させた後端部分とを備え、前記変形部分および前記中央仕上げ部分の断面形状にお
    ける角部に形成するアール(R)は、浮動拡管プラグの
    前端から後端に進むのにつれて漸次小さくされている
    とを特徴とする、非円形断面の曲がり管を製造する装
    置。
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