JPH0338934Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案はカラーテレビジヨン受像機における電
子ビーム制御装置に関する。

(ロ) 従来技術 カラーテレビジヨン受像機では画面の端の方で
ビームスポツトに尾が生じる現象、所謂フレアが
生じることが認められている。このフレアはフオ
ーカス電極を従来の非磁性材料に代えて透磁性材
料にすることによつて解決できるが、このように
すると前記フレアは除去できるものの、トロイダ
ル型コアに巻装された垂直偏向コイルから生じる
漏洩磁界がフオーカス電極部でバレル形に成形さ
れ電子ビームに作用してコンバーゼンスを悪化さ
せることになる。この透磁性のフオーカス電極に
よるミスコンバーゼンスを補償するための手段が
米国特許第4335366号明細書に述べられている。
しかしながら、この従来例において前記補償を行
う磁性部材は垂直偏向コイルの後端側の垂直漏洩
磁界を集めて垂直偏向コイルの前端側で放出する
為に偏向ヨークの外側部に沿つて配置される構造
となつている。このため、磁性部材が大型になる
と共に、前記補償の効果が少ないという欠点があ
つた。特にラスタのピンクツシヨン歪を補正する
ために垂直漏洩磁界を偏向ヨークの前方側に導出
する磁性体片（以下「クロスアーム」という）を
設ける形式の偏向ヨークにおいて前記米国特許で
示される如き大型の磁性部材を用いると前記クロ
スアームと磁性部材とが非常に近接するため、相
互影響して互いに所期の目的達成が阻害される。

(ハ) 考案の目的 本考案の目的は小型で補償効率のよい磁性部材
をもつた電子ビーム制御装置を提供することにあ
る。

(ニ) 考案の構成 本考案において磁性部材は垂直偏向コイルが巻
装されたトロイダル型コアの後端面に対向する第
１部分と、偏向コイルの後端側においてカラーブ
ラウン管のネツク部に略垂直な第２部分と、前記
第１、第２部分を連結する第３部分とからなる。

(ホ) 実施例 第１図イ，ロにおいて、１はインライン配列の
カソード電極３，４，５と、コントロールグリツ
ド電極６、スクリーングリツド７、上述した透磁
性のフオーカス電極８、及び第２のフオーカス兼
加速電極９からなる電子銃構体２を有するカラー
ブラウン管であり、１０はこのカラーブラウン管
のネツク部１１からフアンネル部１２にかけて装
着された偏向ヨークである。１３はコイルセパレ
ータ１４の内側に配された鞍型の水平偏向コイ
ル、１５は外側に配された垂直偏向コイルであ
り、この垂直偏向コイル１５は周知の通りトロイ
ダル型コア１６に巻装されている。１７は画面四
隅におけるラスタ歪を抑えるため垂直偏向コイル
１５から生じる垂直漏洩磁界を集めて偏向ヨーク
１０の前方側から電子ビームに作用せしめるクロ
スアーム（第１磁性部材）であり、このクロスア
ームは本実施例において、その先端がカラーブラ
ウン管１のフアネル部１２に当接して偏向ヨーク
１０の前方部の保持をなすという機能を併せもつ
ようになつている。１８は本考案に従つて設けら
れた磁性部材（第２磁性部材）であり、この磁性
部材はトロイダル型コアの後端面１６ａに対向す
る第１部分１９と、カラーブラウン管１のネツク
部１１に略垂直に配される第２部分２０と、第
１、第２部分を連結する第３部分２１と、第１部
分の端部が曲成されコア１６方向に突出する第４
部分１９ａとからなつていて略コ字型をなし、偏
向ヨーク１０の左右に１つずつ取り付けられる。

そして、その取付けは、第１図ロの如く第１部
分１９と第２部分２０とでコイルセパレータ１４
の後方拡大部を挟持することにより行なわれる。

第２図は前記第１図に用いた磁性部材１８を示
しており、同図イは平面図、ロは正面図、ハは右
側面図である。第２図において、第１部分１９は
更に直角に外方向に曲つた第４部分１９ａを有し
ているが、この第４部分１９ａは第３図のように
コイルセパレータ１４に形成した保持枠２２内に
おいて底面における位置決め固定を確実にする役
目をなす。また、その先端１９ｂはコア１６の切
欠２３内に位置するようにしてもよい。

第４図、第５図、第６図はそれぞれ異なる他の
実施例を示しており、それらの図におけるイ，
ロ，ハは第２図のイ，ロ，ハに準ずる。第４図で
は第１部分１９が第２部分２０と同程度まで下方
に延び、第５図は第２部分２０よりも第１部分１
９の寸法が大きい点に特徴を有する。また、第６
図は第２図の変形であつて、幅が各部分で同一で
ない例を示している。

本考案において磁性部材１８は第１部分１９が
トロイダル型コアの後端面に対向しているが、こ
の後端面からはかなり多くの漏洩磁界が出ている
ので、これに第１部分１９を対向させるのが漏洩
磁界吸収の効率がよいからである。そして、通
常、垂直漏洩磁界により透磁性のフオーカス電極
付近のバレル型磁界形状が強まるが、本考案の磁
性部材１８はフオーカス電極付近の磁界変化をも
たらす漏洩磁束を吸収し、有効な垂直偏向磁界と
なるように放出する。しかも、実施に際し、垂直
偏向コイル１０のコイル線が巻装されていないコ
ア端面を選ぶと一層効果的であり、現に第１図の
実施例はそのようになつている。

第７図は第１図の本考案と、上述した米国特許
明細書に記載の磁性部材を第１図の磁性部材の代
りに使用した場合（従来例）との特性比較を示す
図であり、これによれば画面上のミスコンバージ
エンスを示す第８図のＹ軸上の上下端におけるサ
イドビームＲ、ＢのミスコンバーゼンスYHが従
来例では0.58mm改善されるに過ぎないのに対し、
本考案では0.88mm改善される。更にラスタ２４の
ピンクツシヨン歪についても、上、下歪が従来例
では0.11％の改善になるに過ぎないのに対し、本
考案では0.22％改善されている。左右歪は本考案
では変化しないが、従来例では0.23％悪化してい
る。その他垂直偏向磁束の大きさを表す垂直偏向
能率についても、従来例が1.8％の改良にしかな
らないのに対し、本考案では2.7％改善されてい
る。

(ヘ) 考案の効果 本考案によれば磁性部材が小型であるにも拘わ
らず、コンバーゼンス補正効率と垂直偏向能率が
よく、ピンクツシヨン歪に対しても好ましい結果
を与えるという効果がある。また、小型で且つ後
方部のみに位置するためクロスアームとの相互影
響を生じない。

【図面の簡単な説明】

第１図イ，ロは本願考案を実施した電子ビーム
制御装置の側面図及び側断面図である。第２図は
第１図に使用する部品を示す図であり、第３図は
第１図の要部を示す斜視図である。第４図、第５
図及び第６図は本考案において使用する部品のそ
れぞれ異なる他の例を示す図である。第７図及び
第８図は本考案を説明するための図である。 １……カラーブラウン管、２……電子銃構体、
８……フオーカス電極、１０……偏向ヨーク、１
５……垂直偏向コイル、１６……トロイダル型コ
ア、１６ａ……トロイダル型コアの後端、１８…
…磁性部材、１９……第１部分、２０……第２部
分、２１……第３部分。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 インライン配列の３電子ビームを発生すると共
   に透磁性のフオーカス電極を具備する電子銃構体
   が設けられたカラーブラウン管と、前記カラーブ
   ラウン管に装着されると共にトロイダル型コアに
   巻装された垂直偏向コイルを有する偏向ヨーク
   と、前記垂直偏向コイルから生じる垂直漏洩磁界
   を集めて前記偏向ヨークの前方に放出する第１磁
   性部材と、前記フオーカス電極によるミスコンバ
   ーゼンスを補償するべく前記垂直偏向コイルから
   生ずる漏洩磁束を吸収して偏向ヨークの後端側に
   有効な垂直偏向磁界として放出する第２磁性部材
   とからなる電子ビーム制御装置において、 前記第２磁性部材は前記トロイダル型コアの後
   端面に対向する第１部分と、前記偏向ヨークの後
   端側においてカラーブラウン管のネツク部に略す
   い直な第２部分と、前記第１第２部分を連結する
   第３部分とからなると共に、前記第１部分と第２
   部分とでコイルセパレータの後端拡大部を挟持し
   て装着されることを特徴とする電子ビーム制御装
   置。