JP2669633B2 - 偏向ヨーク - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はテレビジョン受像機などの陰極線管に設置す
るサドル型水平コイルおよびサドル型垂直コイルを備え
た偏向ヨークに関するものである。

従来の技術 近来、モニターテレビなどに高精度用として使用さ
れ、３つの電子ビーム放射口を水平軸上に一直線上に配
列してなるインタイン型カラー受像管に装着される偏向
ヨークは、サドル型水平コイルおよびサドル型垂直コイ
ルを備えた偏向ヨークが主流をなしつつある。

そして、コンバージェンス回路不要のいわゆるセルフ
コンバージェンス構成とするため、水平コイルによって
第５図に示すようなピンクッション状分布の偏向磁界を
生成させ、垂直コイルによって第６図に示すようなバレ
ル状分布の偏向磁界を生成させている。この垂直偏向磁
界は、第７図に示すように、管軸のＺ軸方向の各点でバ
レル状傾向を示すが、第８図に示すように全体として垂
直偏向磁界分布をバレル傾向に保ちながら、螢光体スク
リーン面側でわずかにピンクッション傾向となしこれに
より、ラスター歪のみ補正を行なっている。

発明が解決しようとする課題 しかし、前記垂直偏向磁界の電子銃側におけるバレル
状歪により、第９図に示すように螢光体スクリーン面１
の上の特に上下および左右に生ずるビームスポット（輝
点）Ｂ、Ｇ、Ｒが楕円状に歪み、解像度に低下をきたす
という問題があった。また、垂直偏向磁界が電子銃側で
バレル状に歪むと垂直偏向感度に低下をきたす。

なお、ピンクッション状分布の水平偏向磁界は第10図
（ａ）に示すように斉一磁界成分2aと正の６極磁界成分
3aとの和であり、バレル状分布の垂直偏向磁界は第10図
（ｂ）に示すように斉一磁界成分2bと負の６極磁界成分
3bとの和である。

本発明は上記問題点を解決するもので、セルフコンバ
ージェンス効果を損なうことなく、螢光体スクリーン面
の全域で真円に近いビームスポットが得られ、しかも垂
直偏向感度を向上できる偏向ヨークを提供することを目
的とするものである。

課題を解決するための手段 上記課題を解決するために、本発明は、偏向磁界の電
子銃側磁界分布がビームスポット形状に大きく影響する
ことに鑑み、一対の垂直偏向コイルの電子銃側のベンド
アップ部の内周面に沿ってそれぞれ挿通され磁束を集収
する柱状の一対の磁界引き出し部材と、磁界引き出し部
材から分岐した張り出し面を箱状つぼ部にそれぞれ装着
させるとともに張り出し面の端部を屈曲させて筒状径小
部に沿うようにそれぞれ突出した偏向磁界を制御する磁
性体片とを備えたものである。

作用 上記構成により、コンバージェンス特性および画面歪
に対してほとんど影響を及ぼすことのない垂直偏向磁界
の電子銃側領域において、垂直偏向磁界はピンクッショ
ン傾向に歪み、ここに正の６極磁界成分が生じる。した
がって、セルフコンバージェンス効果を損うことなく、
螢光体スクリーン面の全域で真円に近いビームスポット
を生成でき、解像度が向上する。

実施例 以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。

第１図は本発明の一実施例の偏向ヨークの外観図で、
一対の長手部と２つのベンドアップ部から形成されるサ
ドル型の一対の垂直偏向コイルと絶縁枠体と偏向磁界制
御用の一対の磁性体片との取付け関係を示す。第２図は
主要部分である偏向磁界制御用の一対の磁性体片で、第
２図（ａ）は一対の水平偏向コイルの対向する面（図示
せず）と直交する垂直軸（Ｙ軸）より見た側面図、第２
図（ｂ）は管軸（Ｚ軸）より見た上面図、第２図（ｃ）
は一対の垂直偏向コイルの対向する面と直交する水平軸
（Ｘ軸）より見た背面図である。

第１図および第２図において、４はバレル状偏向磁界
生成用の垂直偏向コイルで、4aはその電子銃側のベンド
アップ部、4bは螢光体スクリーン側のベンドアップ部で
ある。５は垂直偏向コイル４が取付けられるプラスチッ
ク製の漏斗状の絶縁枠体で、5aは受像管のネック部が挿
通される筒状径小部、5bは電子銃側の箱状つぼ部、5cは
螢光体スクリーン側の箱状つぼ部であり、絶縁枠体５は
筒状径小部5aにおいて受像管ネック部に締めつけ固定さ
れる。

6a、6a′および7a、7a′は偏向ヨークの電子銃側に付
設された偏向磁界制御用のほぼ円弧状の各一対の磁性体
片で、垂直軸のＹ軸をはさんで相対向するようにそれぞ
れ付設されるとともに、絶縁枠体５の筒状径小部5aの外
周面に沿って配設されており、この各一対の磁性体片6
a、6a′および7a、7a′は第２図に示すように、垂直偏
向コイル４の電子銃側のベンドアップ部の内周面に沿っ
てそれぞれ挿通され磁束を集収する柱状の磁界引き込み
部材6b（第２図には一対の磁性体片6a、6a′の磁界引き
込み部材6bのみが記載されている）から２つに分岐され
た張り出し面6cの端部で屈曲されており、集収された磁
界の磁束が引き込まれる。

このように構成された偏向ヨークでは、垂直偏向コイ
ル４の一方の電磁銃側のベンドアップ部の内周側に発生
する磁界の磁束を、磁界引き込み部材6bによって集収さ
れて一対の磁性体片6a、6aに引き込まれ、同様に、他方
の垂直偏向コイルの電子銃側のベンドアップ部の内周側
に発生する磁界の磁束を、他方の磁界引き込み部材によ
って集収されて一対の磁性体片7a、7a′に引き込まれ、
ここに、第３図の実線矢印で示すようなピンクッション
状の垂直偏向磁界が生じ、正の６極磁界成分が生成され
る。

垂直偏向磁界の電子銃側領域には、コンバージェンス
特性および画面歪に対してほとんど影響せず、したがっ
てセルフコンバージェンス効果を損うことなく、螢光体
スクリーン面１の全域で第４図に示すように真円に近い
ビームスポットを生成でき、解像度が向上する。また、
電子ビームの偏向に寄与していなかった垂直偏向コイル
の電子銃側ベンドアップ部の磁界が電子ビームの偏向に
寄与することになるので、それだけ垂直偏向感度が向上
する。

発明の効果 以上のように、本発明によれば、垂直偏向磁界の電子
銃側領域において、ピンクッション状の垂直偏向磁界が
発生するので、セルフコンバージェンス効果を損うこと
なく螢光体スクリーン面の全域で真円に近いビームスポ
ットを生成でき、ラスター歪も少なく、良好な解像度特
性を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の偏向ヨークの外観図、第２
図（ａ）〜（ｃ）は本発明の主要部分である偏向磁界制
御用の一対の磁性体片の側面図、上面図および背面図、
第３図は磁性体片近傍の磁界分布を示す図、第４図は螢
光体スクリーン面上に得られるビームスポットの形状を
模式的に示す図、第５図はピンクッション状の磁界分布
図、第６図はバレル状の磁界分布図、第７図および第８
図はセルフコンバージェンヌ方式における垂直偏向磁界
分布の管軸上の傾向図および全体の分布図、第９図は従
来の螢光体スクリーン面上に生成されるビームスポット
の形状歪みを模式的に示す図、第10図（ａ）（ｂ）はピ
ン磁界、バレル磁界の各成分を説明する図である。 １……螢光体スクリーン面、４……サドル型垂直コイ
ル、4a、4b……ベンドアップ部、５……絶縁枠体、5a…
…筒状径小部、6a、6a′;7a、7a′……一対の磁性体
片、6b……磁界引き込み部材。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一対の長手部と２つのベンドアップ部から
   形成されるサドル型の一対の水平偏向コイルと、前記一
   対の水平偏向コイルの対向する面と対向する面を90度ず
   らせて一対の長手部と２つのベンドアップ部から形成さ
   れるサドル型の一対の垂直偏向コイルと、前記水平偏向
   コイルと前記垂直偏向コイルとを支持するとともに電子
   銃側に箱状つぼ部と筒状径小部とを有する漏斗状の絶縁
   枠体とを備えた偏向ヨークであって、前記一対の垂直偏
   向コイルの電子銃側のベンドアップ部の内周面に沿って
   それぞれ挿通され磁束を集収する柱状の一対の磁界引き
   出し部材と、前記磁界引き出し部材から分岐した張り出
   し面を前記箱状つぼ部にそれぞれ装着させるとともに前
   記張り出し面の端部を屈曲させて前記筒状径小部に沿う
   ようにそれぞれ突出した偏向磁界を制御する磁性体片と
   を備えた偏向ヨーク。