JPH0338923B2 - - Google Patents
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- JPH0338923B2 JPH0338923B2 JP61007769A JP776986A JPH0338923B2 JP H0338923 B2 JPH0338923 B2 JP H0338923B2 JP 61007769 A JP61007769 A JP 61007769A JP 776986 A JP776986 A JP 776986A JP H0338923 B2 JPH0338923 B2 JP H0338923B2
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Landscapes
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Description
産業上の利用分野
この発明は自動車ボデイ外板や家庭電気製品外
装板の如く、プレス加工等の成形加工を施して使
用される塗装用鋼板およびその製造方法に関する
ものである。 従来の技術 一般に自動車ボデイ外板や家庭電気製品外装板
などの成形加工の用途に供される薄鋼板、例えば
冷延薄鋼板は、冷間圧延後脱脂洗浄を行ない、さ
らに焼鈍した後調質圧延を施して製造するのが通
常であり、ここで調質圧延の目的の一つとして
は、表面をダル仕上げしたワークロールを用いて
軽度の圧延を行なうことによつて鋼板表面に適度
の表面粗さを与え、プレス成形時における耐焼付
性を向上させることがある。 ところでこのような調質圧延に使用されるワー
クロールの表面をダル仕上げするための方法とし
ては、従来シヨツトブラストによる方法と、放電
加工による方法とが実用化されている。これらの
方法による調質圧延用ワークロールのダル仕上げ
の場合、ロール表面には不規則な粗度プロフイル
が形成されるため、調質圧延後の鋼板表面は第2
8図A,Bに示すように不規則な山と谷で構成さ
れた粗面を呈する。このように粗面が形成された
鋼板についてプレス加工を施せば、谷部に潤滑油
を貯留させてプレス金型と鋼板との摩擦力を低減
させ、プレス作業を容易にすると同時に、金型と
の摩擦力により剥離した金属粉を谷部にトラツプ
して焼付きを防止することができる。 発明が解決すべき問題点 近年、乗用車はもちろん、軽自動車、ワゴン
車、さらにはトラツクに至るまで塗装後のボデー
の塗装仕上り品質の良さは、自動車の総合的な品
質の高さを顧客に対し直接的に視覚によつて訴え
ることができるため、極めて重要な品質管理項目
となつている。ところで塗装面の評価項目として
は種々のものがあるが、そのうちでも特に塗装面
の乱反射が少なく光沢性に優れていること、およ
び写像の歪みが少ないことすなわち写像性が優れ
ていることが重要であり、これらの光沢性と写像
性をあわせて一般に鮮映性と称している。 塗装面の鮮映性に対しては、塗料の種類や塗装
方法も影響を与えるが、塗装下地としての鋼板表
面の粗面の影響も強く受けることが知られてい
る。すなわち鋼板表面の水平な部分の占める割合
が少なく、その凹凸が激しければ、塗装面におい
ても水平な部分の占める割合が少なくなつて凹凸
も大きくなり、その結果光の乱反射を生じ、光沢
性を損うとともに、写像の歪みを招いて写像性の
低下を招き、前述の鮮映性を悪化させることにな
る。一般に鋼板表面の粗さは中心線平均粗さRa
で表わすことが多いが、中心線表面粗さRaが大
きいほど、山と谷の振幅が大きくなり、塗装面の
凹凸が激しくなり、前述のように鮮映性を劣化さ
せることが知られている。 鮮映性の評価の方法としては種々の方式が開発
されてるが、最も一般的には、米国のハンター・
アゾシエイツ・ラボラトリー(Hunter
Associatls Laboratory)社製のドリゴン
(DORIGON)メータによる測定値すなわちDOI
(Distinctness of Image)値が使用されている。
このDOI値は、第29図に示すように、試料Sに
対し入射角30゜で光を入射し、その正反射光強度
Rsと正反射角に対し±0.3゜での散乱光強度R0.3の
値を用いて、次式で表わされる。 DOI値=100×(Rs−R0.3)/Rs このように鮮映性を表わすDOI値と中心線平均
粗さRaとの関係を第30図A,Bに示す。なお
第30図Aは、従来のシヨツトブラスト法により
ダル仕上げしたロールを用いて調質圧延を施した
鋼板について、膜厚55μmの2コート塗装を施し
た場合を、第30図Bは膜厚85μmの3コート塗
装を施した場合をそれぞれ示す。第32図A,B
から、中心線平均粗さRaが大きくなればDOI値
が低下して鮮映性が低下することが理解できる。 ところで前述のように従来のシヨツトブラスト
法や放電加工法によりダル仕上げされたワークロ
ールを用いて鋼板に調質圧延を施した場合、既に
述べたように鋼板表面は不規則な山と谷で構成さ
れた粗面を呈し、水平な面は非常に少ない。この
ように不規則な山と谷を有する鋼板表面に塗装を
行なえば、山と谷との間の斜面に沿つて塗膜が形
成されるため、例えば後に改めて説明する第26
図に示すように水平な塗膜面の占める割合が少な
くなり、鮮映性を悪化させる。従来のシヨツトブ
ラスト法や放電加工法ではこのような問題を避け
得ず、したがつて充分に優れた塗膜面の鮮映性を
得ることが困難であつた。 この発明は以上の事情を背景としてなされたも
ので、鋼板の表面粗度のプロフイルを改良して、
塗装後の塗膜表面の凹凸を少なくし、水平部分の
占める割合を多くすることによつて、光の正反射
率の向上と写像の歪みを少なくして、塗装後の鮮
映性の優れた鋼板を提供し、併せてそのような優
れた表面粗度プロフイルを有する鋼板を効率良く
製造する方法を提供することを目的とするもので
ある。換言すれば、この発明は、従来使用されて
いた塗料と塗装方法には何ら変更を加えずに、鮮
映性を従来よりも格段に向上させ得る鋼板および
その製造方法を提供するものである。 問題点を解決するための手段 本発明者は、調質圧延用ワークロールのダル仕
上げの方法について従来とは異なるレーザ加工に
よる方法を検討し、種々実験・研究を重ねたとこ
ろ、レーザ加工によりダル仕上げしたロールによ
り調質圧延した鋼板は、表面粗度を構成する山の
頂部が平坦となり、また山と山の間の谷部も平坦
部が多くなることを見出した。このように平坦部
が多いことは、塗装時における塗膜最外層の平坦
化に有利であることを意味する。すなわち、この
場合には、シヨツトブラスト材や放電加工材の場
合のような不規則な粗面に比べて光の乱反射が少
なく、鮮映性が向上すると考えられる。 そこでさらに実験を重ねた結果、塗装後の塗膜
の鮮映性を最も向上させ得る鋼板表面の粗度プロ
フイルを見出し、本願の第1発明をなすに至り、
また同時にそのような優れた粗度プロフイルを有
する鋼板を製造する方法を見出し、本願の第2発
明なすに至つた。 具体的には、本願の第1発明は、塗装用鋼板の
粗度プロフイルについてのものであつて、この塗
装用鋼板は、表面の中心線平均粗さRaが0.3〜
2.0μmの範囲内にあり、かつその表面粗さを構成
する微視的形態が、平坦な山頂面を有する台形状
の山部と、その周囲の全部または一部を取囲むよ
うに形成された溝状の谷部と、山部の間であつて
かつ谷部の外側にその谷部の底よりも高くかつ山
部の山頂面より低いかまたは同じ高さに形成され
た中間平坦部とによつて構成され、しかも隣り合
う山部の平均中心間距離をSm、谷部の外縁の平
均直径をD、山部の平坦な山頂面の平均直径を
d0、山部の平坦な山頂面と前記中間平坦部の平坦
面の面積の和が全面積に占める割合をη(%)と
定義したとき、 0.85≦Sm/D≦1.7 Sm−D<280(μm) 30≦d0≦500(μm) 20≦η≦85(%) を満足するように構成されていることを特徴とす
るものである。 また本願の第2発明は、塗装用鋼板の製造方法
についてのものであつて、予め調質圧延用ワーク
ロールの表面に、微小なクレータ状の凹部とその
凹部の外縁において表側にリング状に盛り上がつ
た盛り上がり部との集合からなりかつ隣り合う凹
部間の平均中心間距離Smとリング状盛り上がり
部の外縁の直径Dとの比Sm/Dが0.85〜1.7の範
囲内、SmとDとの差Sm−Dが280μm未満とさ
れた表面模様を形成する模様付け加工を高密度エ
ネルギ源を用いて施しておき、その表面模様付け
されたワークロールを、調質圧延すべき鋼板の片
面もしくは両面に用いて、調質圧延伸び率λを
0.3%以上として調質圧延することによりワーク
ロール表面の模様を鋼板表面に転写することを特
徴とするものである。 ここで前記高密度エネルギ源としては、レーザ
が最適であるが、このほかプラズマ、電子ビーム
等も適用可能である。さらに調質圧延前の鋼板は
冷延鋼板が通常であるが、熱延板でも差し支えな
い。 作 用 [1] レーザによるロールのダル目付け: 先ず高密度エネルギ源、例えばレーザにより
調質圧延用のワークロールにダレ目付けを行な
う際の作用について説明する。 ロールを回転させながら、ロールの表面にレ
ーザパルスを次々に投射し、レーザエネルギに
よりロール表面を規則的に溶融させて、規則的
にクレータ状の凹部を形成する。その状態を第
1図に示す。第1図において1はロール3の表
面に形成されたクレータ状の凹部(以下単にク
レータと記す)であり、そのクレータ1の周囲
には溶融したロール母材金属がロール表面3A
よりも上方にリング状に盛り上がつてフランジ
状の盛り上がり部(以下単にフランジと記す)
2が形成される。なおこのフランジ2を含むク
レータ1の内壁層は、ロール母材組織4に対し
熱影響部5となつている。 さらに上述のようなレーザによるダル目付け
について詳細に説明する。 レーザパルスによつて形成されたロール表面
上のクレータ1の深さと直径は、入射されるレ
ーザのエネルギの大きさと投射時間によつて決
定されるが、これは通常のシヨツトブラストロ
ールのRa粗度に相当する粗さを定義する量を
与える。 レーザにより加熱されたロールを形成する金
属は、大きな照射エネルギ密度によつて瞬時に
金属蒸気となり、このとき発生する蒸気圧力に
よつてロール表面の溶融金属が吹き飛ばされて
クレータ1を形成し、またその吹き飛ばされた
溶融金属はクレータ1の周囲に再固着して、ク
レータ1を取囲むフランジ2を形成する。これ
らの一連の反応は、酸素ガス等の補助ガスを反
応点に目がけて吹き付けることにより一層効率
良く実行される。 そしてロールを回動もしくは軸方向移動させ
つつ規則的なレーザパルスを照射することによ
り上述のようなクレータ1が規則的に形成さ
れ、これらの次々に形成されるクレータの集合
によつてロール表面に粗面を与えることができ
る。このようにして形成されたロールの表面の
粗面の状況を第2図、第3図に示す。これらの
図から明らかなように、隣り合うクレータ1の
間におけるフランジ2の外側の部分は、もとの
ロール表面のまま平坦面6になつている。ここ
で、隣り合うクレータの相互間の間隔は、ロー
ルの回転方向にはロールの回転速度と関連付け
てレーザパルスの周波数を制御することによ
り、またロールの軸方向に対してはロールが1
回転するごとにレーザの照射位置をロール軸方
向へ移動させるピツチを制御することによつ
て、調節可能である。 なお以上の説明は高密度エネルギ源としてレ
ーザを用いた場合について説明したが、プラズ
マあるいは電子ビーム等の他の高密度エネルギ
源を用いた場合も同様である。 [2] 調質圧延による鋼板へのダル目転写: 前述のようにしてレーザ等によりダル加工を
施したワークロールを用い、調質圧延工程にお
いて鋼板、例えば焼鈍済みの冷延鋼板に軽圧下
率の圧延を施すことによつてロールのダル目が
鋼板表面に転写され、鋼板表面に粗面が形成さ
れる。 この過程における鋼板表面を微視的に観察す
れば、第4図に示すように、ロール3の表面の
クレータ1の周囲のほぼ均一な高さを有するフ
ランジ2が、鋼板7の表面に強い圧力で押し付
けられ、これにより、ロール3の上質より軟質
な鋼板7の表面近傍で材料の局所的塑性流動が
生じ、ロール3のクレータ1の内側へ鋼板7の
金属が流れ込んで粗面が形成される。このと
き、クレータ1の内側において盛り上がつた鋼
板金属の頂面8は、もとの鋼板表面のまま平坦
面となり、またロール3における隣り合うクレ
ータ1間のフランジ2の外側の平坦面6に押し
付けられた鋼板表面の部分9はそのまま平坦面
となり、かつ前者の平坦面8は後者の平坦面9
よりも高いかまたは同じ高さとなる。したがつ
て調質圧延後の鋼板7の表面の粗面の微視的形
態は、第5図、第6図に示すように、平坦な山
頂面8を有する台形状の山部10と、その周囲
を取囲むように形成された連続溝状の谷部11
と、隣り合う山部10の間であつてかつ谷部1
1の外側にその谷部11の底よりも高くかつ山
部10の山頂面8より低いかまたは同じ高さに
形成された中間平坦部9とによつて構成される
ことになる。 上述のところから明らかなように、調質圧延
鋼の鋼板表面は、山部10の山頂面8と中間平
坦部9からなる平坦な部分の占める割合が多く
なり、山部10と谷部11の間の傾斜面13の
割合は原理的に少なくなる。 これに対してシヨツトブラスト加工や放電加
工によつて粗度付け加工を施されたロールの場
合は、粗度を形成するロール表面の山は第7図
A,Bに示すように正規分布に近い種々の山高
さを有しており、この場合は調質圧延の過程で
第8図に示すようにロール3の表面の山が鋼板
7の板面に食い込み、ロール表面の粗面プロフ
イルと鋼板7の原板表面の粗面プロフイルとが
合成されて、調質圧延後の鋼板7には原理的に
山と谷によつて形成される傾斜面の割合が多く
なるのである。したがつてこの場合はレーザに
よりダル目付けされたロールによつて調質圧延
された鋼板とはその表面構造およびその形成過
程が全く異なることがわかる。 第9図Aに、従来のシヨツトブラスト法によ
りダル加工されたロールを用いて調質圧延を施
した場合の調質圧延後の鋼板表面の粗度の傾斜
角分布を示し、第9図Bに傾斜角の定義を示
す。鮮映性を表わすDOI値は前述のように正反
射角に対し±0.3゜の散乱光の比で表わされるか
ら、平坦性は傾斜角が0.3゜以内の谷の割合が多
い場合に良好と判定できるが、第9図Aの場合
には±0.3゜以内の傾斜角の占有率はわずか13%
であり、2次元では(0.13)2×100=1.7%に過
ぎない。これに対しレーザでダル加工したロー
ルを用いた調質圧延した場合には1桁大きな平
坦率が得られるのである。 [3] ロールおよび調質圧延後の鋼板表面の粗度
プロフイル各部の寸法の定義: ここでは前述のようにレーザによりダル加工
されたロール表面の粗度プロフイルにおける各
部の寸法、およびそのロールにより調質圧延さ
れた鋼板の粗度プロフイルにおける各部の寸法
を、第10図を参照して次のように定義する。 D:ロール表面のフランジ2の平均外径=鋼板
表面の谷部11の外縁の平均直径 d:ロール表面のクレータ1の平均直径 d0:鋼板表面の山部10の平坦な山頂面8の平
均直径 H:ロール表面のクレータ1の深さ h1:ロール表面のフランジ2の高さ=鋼板表面
の中間平坦部9から谷部11の底までの深さ h2:鋼板表面の山部10の平坦な山頂面8の中
間平坦部9からの高さ Sm:ロール表面の隣り合うクレータ1の平均
中心間距離=鋼板表面の隣り合う山部10の
平均中心間距離 α:ロール表面のフランジ2の幅 [4] 調質圧延後の鋼板表面の平坦部の面積率η
に及ぼす影響: 前述のように定義される値を用い、ロール表
面の粗度プロフイルを構成するパターンと調質
圧延の条件が、調質圧延後の表面の平坦部の面
積率ηにどのような影響を与えるかについて検
討を行なつた。 ここで平坦部の面積率ηは、第11図に示す
ように、山部10の平坦な山頂面8の面積占有
率η1と、中間平坦部9の面積占有率η2との和で
表わされる。 すなわち、 η=η1+η2 ………(1) である。ここで、η1の値は調質圧延における圧
下率によつて変化する。なぜならば、圧下率が
変化すれば、鋼板金属がクレータ1の内側に流
入する程度が変化し、そのため山部10の山頂
面8の直径d0が変化するからである。一方η2の
値はSm/Dの比の値に応じて一定の数値とな
る。 このSm/Dの比は、後述するように次の(2)
式の範囲内とされる。 0.85≦Sm/D≦1.7 ………(2) そしてη1は次の(3)式により定まり、また(4)式
で示すようにd0はdと一定の関係となり、η2は
Sm/Dの値に応じて式(5)によつて求められる。 η1=π(d0/Sm)2/4 ………(3) d0=kd ………(4) η2=1−π(D/Sm)2/4 +a{(D/Sm)2cos-1(Sm/D) −√()2−1} ………(5) 但し(5)式において、 Sm/D≧1のとき a=0 ………(6) Sm/D<1のとき a=1 ………(7) 前記の(2)、(5)、(6)、(7)より、η2は次の範囲で
変化することになる。 0.06<η2<0.81 ………(8) ここで、ロール表面および鋼板表面の粗度プ
ロフイル断面形状について第12図に示すよう
にx軸、y軸をとり、クレータ1の断面形状を
y=cos xであると仮定すれば、d=πと置い
て cos d/2=0 ………(9) またcos d0/2=h2から、 d0=2cos-1h2 ………(10) ここで、クレータ1により鋼板表面に転写さ
れた山部10の高さh2と、クレータ1の深さH
との比h2/Hを粗度転写率と言うことができる
が、上述の例ではクレータ1の深さHを1とし
ているから、粗度転写率はh2/1、すなわちh2
で表わせることになる。 粗度転写率h2/1、すなわち山部10の高さ
h2は調質圧延の圧延伸び率λによつて定まる関
係となる。すなわち h2=f(λ) ………(11) この関係を、次のような実験により求めた。 原板としてはRa粗度が0.38μmの板厚0.32mm
のSPCC鋼板を用い、調質圧延用ロールとして
はレーザによりRa粗度を3.54μmとした200mm
φのHs硬度94のものを用いて、種々の圧延伸
び率λで調質圧延を施した。その結果を第13
図に示す。 第13図から、調質圧延伸び率λが1.5%程
度までは粗度転写率h2/1は直線的に増加する
が、λが1.8%を越えれば粗度転写率が飽和す
ることがわかる。 さらに第13図の結果を用いて、前記のd0、
k、k2の値を求めたところ、第1表に示す結果
が得られた。
装板の如く、プレス加工等の成形加工を施して使
用される塗装用鋼板およびその製造方法に関する
ものである。 従来の技術 一般に自動車ボデイ外板や家庭電気製品外装板
などの成形加工の用途に供される薄鋼板、例えば
冷延薄鋼板は、冷間圧延後脱脂洗浄を行ない、さ
らに焼鈍した後調質圧延を施して製造するのが通
常であり、ここで調質圧延の目的の一つとして
は、表面をダル仕上げしたワークロールを用いて
軽度の圧延を行なうことによつて鋼板表面に適度
の表面粗さを与え、プレス成形時における耐焼付
性を向上させることがある。 ところでこのような調質圧延に使用されるワー
クロールの表面をダル仕上げするための方法とし
ては、従来シヨツトブラストによる方法と、放電
加工による方法とが実用化されている。これらの
方法による調質圧延用ワークロールのダル仕上げ
の場合、ロール表面には不規則な粗度プロフイル
が形成されるため、調質圧延後の鋼板表面は第2
8図A,Bに示すように不規則な山と谷で構成さ
れた粗面を呈する。このように粗面が形成された
鋼板についてプレス加工を施せば、谷部に潤滑油
を貯留させてプレス金型と鋼板との摩擦力を低減
させ、プレス作業を容易にすると同時に、金型と
の摩擦力により剥離した金属粉を谷部にトラツプ
して焼付きを防止することができる。 発明が解決すべき問題点 近年、乗用車はもちろん、軽自動車、ワゴン
車、さらにはトラツクに至るまで塗装後のボデー
の塗装仕上り品質の良さは、自動車の総合的な品
質の高さを顧客に対し直接的に視覚によつて訴え
ることができるため、極めて重要な品質管理項目
となつている。ところで塗装面の評価項目として
は種々のものがあるが、そのうちでも特に塗装面
の乱反射が少なく光沢性に優れていること、およ
び写像の歪みが少ないことすなわち写像性が優れ
ていることが重要であり、これらの光沢性と写像
性をあわせて一般に鮮映性と称している。 塗装面の鮮映性に対しては、塗料の種類や塗装
方法も影響を与えるが、塗装下地としての鋼板表
面の粗面の影響も強く受けることが知られてい
る。すなわち鋼板表面の水平な部分の占める割合
が少なく、その凹凸が激しければ、塗装面におい
ても水平な部分の占める割合が少なくなつて凹凸
も大きくなり、その結果光の乱反射を生じ、光沢
性を損うとともに、写像の歪みを招いて写像性の
低下を招き、前述の鮮映性を悪化させることにな
る。一般に鋼板表面の粗さは中心線平均粗さRa
で表わすことが多いが、中心線表面粗さRaが大
きいほど、山と谷の振幅が大きくなり、塗装面の
凹凸が激しくなり、前述のように鮮映性を劣化さ
せることが知られている。 鮮映性の評価の方法としては種々の方式が開発
されてるが、最も一般的には、米国のハンター・
アゾシエイツ・ラボラトリー(Hunter
Associatls Laboratory)社製のドリゴン
(DORIGON)メータによる測定値すなわちDOI
(Distinctness of Image)値が使用されている。
このDOI値は、第29図に示すように、試料Sに
対し入射角30゜で光を入射し、その正反射光強度
Rsと正反射角に対し±0.3゜での散乱光強度R0.3の
値を用いて、次式で表わされる。 DOI値=100×(Rs−R0.3)/Rs このように鮮映性を表わすDOI値と中心線平均
粗さRaとの関係を第30図A,Bに示す。なお
第30図Aは、従来のシヨツトブラスト法により
ダル仕上げしたロールを用いて調質圧延を施した
鋼板について、膜厚55μmの2コート塗装を施し
た場合を、第30図Bは膜厚85μmの3コート塗
装を施した場合をそれぞれ示す。第32図A,B
から、中心線平均粗さRaが大きくなればDOI値
が低下して鮮映性が低下することが理解できる。 ところで前述のように従来のシヨツトブラスト
法や放電加工法によりダル仕上げされたワークロ
ールを用いて鋼板に調質圧延を施した場合、既に
述べたように鋼板表面は不規則な山と谷で構成さ
れた粗面を呈し、水平な面は非常に少ない。この
ように不規則な山と谷を有する鋼板表面に塗装を
行なえば、山と谷との間の斜面に沿つて塗膜が形
成されるため、例えば後に改めて説明する第26
図に示すように水平な塗膜面の占める割合が少な
くなり、鮮映性を悪化させる。従来のシヨツトブ
ラスト法や放電加工法ではこのような問題を避け
得ず、したがつて充分に優れた塗膜面の鮮映性を
得ることが困難であつた。 この発明は以上の事情を背景としてなされたも
ので、鋼板の表面粗度のプロフイルを改良して、
塗装後の塗膜表面の凹凸を少なくし、水平部分の
占める割合を多くすることによつて、光の正反射
率の向上と写像の歪みを少なくして、塗装後の鮮
映性の優れた鋼板を提供し、併せてそのような優
れた表面粗度プロフイルを有する鋼板を効率良く
製造する方法を提供することを目的とするもので
ある。換言すれば、この発明は、従来使用されて
いた塗料と塗装方法には何ら変更を加えずに、鮮
映性を従来よりも格段に向上させ得る鋼板および
その製造方法を提供するものである。 問題点を解決するための手段 本発明者は、調質圧延用ワークロールのダル仕
上げの方法について従来とは異なるレーザ加工に
よる方法を検討し、種々実験・研究を重ねたとこ
ろ、レーザ加工によりダル仕上げしたロールによ
り調質圧延した鋼板は、表面粗度を構成する山の
頂部が平坦となり、また山と山の間の谷部も平坦
部が多くなることを見出した。このように平坦部
が多いことは、塗装時における塗膜最外層の平坦
化に有利であることを意味する。すなわち、この
場合には、シヨツトブラスト材や放電加工材の場
合のような不規則な粗面に比べて光の乱反射が少
なく、鮮映性が向上すると考えられる。 そこでさらに実験を重ねた結果、塗装後の塗膜
の鮮映性を最も向上させ得る鋼板表面の粗度プロ
フイルを見出し、本願の第1発明をなすに至り、
また同時にそのような優れた粗度プロフイルを有
する鋼板を製造する方法を見出し、本願の第2発
明なすに至つた。 具体的には、本願の第1発明は、塗装用鋼板の
粗度プロフイルについてのものであつて、この塗
装用鋼板は、表面の中心線平均粗さRaが0.3〜
2.0μmの範囲内にあり、かつその表面粗さを構成
する微視的形態が、平坦な山頂面を有する台形状
の山部と、その周囲の全部または一部を取囲むよ
うに形成された溝状の谷部と、山部の間であつて
かつ谷部の外側にその谷部の底よりも高くかつ山
部の山頂面より低いかまたは同じ高さに形成され
た中間平坦部とによつて構成され、しかも隣り合
う山部の平均中心間距離をSm、谷部の外縁の平
均直径をD、山部の平坦な山頂面の平均直径を
d0、山部の平坦な山頂面と前記中間平坦部の平坦
面の面積の和が全面積に占める割合をη(%)と
定義したとき、 0.85≦Sm/D≦1.7 Sm−D<280(μm) 30≦d0≦500(μm) 20≦η≦85(%) を満足するように構成されていることを特徴とす
るものである。 また本願の第2発明は、塗装用鋼板の製造方法
についてのものであつて、予め調質圧延用ワーク
ロールの表面に、微小なクレータ状の凹部とその
凹部の外縁において表側にリング状に盛り上がつ
た盛り上がり部との集合からなりかつ隣り合う凹
部間の平均中心間距離Smとリング状盛り上がり
部の外縁の直径Dとの比Sm/Dが0.85〜1.7の範
囲内、SmとDとの差Sm−Dが280μm未満とさ
れた表面模様を形成する模様付け加工を高密度エ
ネルギ源を用いて施しておき、その表面模様付け
されたワークロールを、調質圧延すべき鋼板の片
面もしくは両面に用いて、調質圧延伸び率λを
0.3%以上として調質圧延することによりワーク
ロール表面の模様を鋼板表面に転写することを特
徴とするものである。 ここで前記高密度エネルギ源としては、レーザ
が最適であるが、このほかプラズマ、電子ビーム
等も適用可能である。さらに調質圧延前の鋼板は
冷延鋼板が通常であるが、熱延板でも差し支えな
い。 作 用 [1] レーザによるロールのダル目付け: 先ず高密度エネルギ源、例えばレーザにより
調質圧延用のワークロールにダレ目付けを行な
う際の作用について説明する。 ロールを回転させながら、ロールの表面にレ
ーザパルスを次々に投射し、レーザエネルギに
よりロール表面を規則的に溶融させて、規則的
にクレータ状の凹部を形成する。その状態を第
1図に示す。第1図において1はロール3の表
面に形成されたクレータ状の凹部(以下単にク
レータと記す)であり、そのクレータ1の周囲
には溶融したロール母材金属がロール表面3A
よりも上方にリング状に盛り上がつてフランジ
状の盛り上がり部(以下単にフランジと記す)
2が形成される。なおこのフランジ2を含むク
レータ1の内壁層は、ロール母材組織4に対し
熱影響部5となつている。 さらに上述のようなレーザによるダル目付け
について詳細に説明する。 レーザパルスによつて形成されたロール表面
上のクレータ1の深さと直径は、入射されるレ
ーザのエネルギの大きさと投射時間によつて決
定されるが、これは通常のシヨツトブラストロ
ールのRa粗度に相当する粗さを定義する量を
与える。 レーザにより加熱されたロールを形成する金
属は、大きな照射エネルギ密度によつて瞬時に
金属蒸気となり、このとき発生する蒸気圧力に
よつてロール表面の溶融金属が吹き飛ばされて
クレータ1を形成し、またその吹き飛ばされた
溶融金属はクレータ1の周囲に再固着して、ク
レータ1を取囲むフランジ2を形成する。これ
らの一連の反応は、酸素ガス等の補助ガスを反
応点に目がけて吹き付けることにより一層効率
良く実行される。 そしてロールを回動もしくは軸方向移動させ
つつ規則的なレーザパルスを照射することによ
り上述のようなクレータ1が規則的に形成さ
れ、これらの次々に形成されるクレータの集合
によつてロール表面に粗面を与えることができ
る。このようにして形成されたロールの表面の
粗面の状況を第2図、第3図に示す。これらの
図から明らかなように、隣り合うクレータ1の
間におけるフランジ2の外側の部分は、もとの
ロール表面のまま平坦面6になつている。ここ
で、隣り合うクレータの相互間の間隔は、ロー
ルの回転方向にはロールの回転速度と関連付け
てレーザパルスの周波数を制御することによ
り、またロールの軸方向に対してはロールが1
回転するごとにレーザの照射位置をロール軸方
向へ移動させるピツチを制御することによつ
て、調節可能である。 なお以上の説明は高密度エネルギ源としてレ
ーザを用いた場合について説明したが、プラズ
マあるいは電子ビーム等の他の高密度エネルギ
源を用いた場合も同様である。 [2] 調質圧延による鋼板へのダル目転写: 前述のようにしてレーザ等によりダル加工を
施したワークロールを用い、調質圧延工程にお
いて鋼板、例えば焼鈍済みの冷延鋼板に軽圧下
率の圧延を施すことによつてロールのダル目が
鋼板表面に転写され、鋼板表面に粗面が形成さ
れる。 この過程における鋼板表面を微視的に観察す
れば、第4図に示すように、ロール3の表面の
クレータ1の周囲のほぼ均一な高さを有するフ
ランジ2が、鋼板7の表面に強い圧力で押し付
けられ、これにより、ロール3の上質より軟質
な鋼板7の表面近傍で材料の局所的塑性流動が
生じ、ロール3のクレータ1の内側へ鋼板7の
金属が流れ込んで粗面が形成される。このと
き、クレータ1の内側において盛り上がつた鋼
板金属の頂面8は、もとの鋼板表面のまま平坦
面となり、またロール3における隣り合うクレ
ータ1間のフランジ2の外側の平坦面6に押し
付けられた鋼板表面の部分9はそのまま平坦面
となり、かつ前者の平坦面8は後者の平坦面9
よりも高いかまたは同じ高さとなる。したがつ
て調質圧延後の鋼板7の表面の粗面の微視的形
態は、第5図、第6図に示すように、平坦な山
頂面8を有する台形状の山部10と、その周囲
を取囲むように形成された連続溝状の谷部11
と、隣り合う山部10の間であつてかつ谷部1
1の外側にその谷部11の底よりも高くかつ山
部10の山頂面8より低いかまたは同じ高さに
形成された中間平坦部9とによつて構成される
ことになる。 上述のところから明らかなように、調質圧延
鋼の鋼板表面は、山部10の山頂面8と中間平
坦部9からなる平坦な部分の占める割合が多く
なり、山部10と谷部11の間の傾斜面13の
割合は原理的に少なくなる。 これに対してシヨツトブラスト加工や放電加
工によつて粗度付け加工を施されたロールの場
合は、粗度を形成するロール表面の山は第7図
A,Bに示すように正規分布に近い種々の山高
さを有しており、この場合は調質圧延の過程で
第8図に示すようにロール3の表面の山が鋼板
7の板面に食い込み、ロール表面の粗面プロフ
イルと鋼板7の原板表面の粗面プロフイルとが
合成されて、調質圧延後の鋼板7には原理的に
山と谷によつて形成される傾斜面の割合が多く
なるのである。したがつてこの場合はレーザに
よりダル目付けされたロールによつて調質圧延
された鋼板とはその表面構造およびその形成過
程が全く異なることがわかる。 第9図Aに、従来のシヨツトブラスト法によ
りダル加工されたロールを用いて調質圧延を施
した場合の調質圧延後の鋼板表面の粗度の傾斜
角分布を示し、第9図Bに傾斜角の定義を示
す。鮮映性を表わすDOI値は前述のように正反
射角に対し±0.3゜の散乱光の比で表わされるか
ら、平坦性は傾斜角が0.3゜以内の谷の割合が多
い場合に良好と判定できるが、第9図Aの場合
には±0.3゜以内の傾斜角の占有率はわずか13%
であり、2次元では(0.13)2×100=1.7%に過
ぎない。これに対しレーザでダル加工したロー
ルを用いた調質圧延した場合には1桁大きな平
坦率が得られるのである。 [3] ロールおよび調質圧延後の鋼板表面の粗度
プロフイル各部の寸法の定義: ここでは前述のようにレーザによりダル加工
されたロール表面の粗度プロフイルにおける各
部の寸法、およびそのロールにより調質圧延さ
れた鋼板の粗度プロフイルにおける各部の寸法
を、第10図を参照して次のように定義する。 D:ロール表面のフランジ2の平均外径=鋼板
表面の谷部11の外縁の平均直径 d:ロール表面のクレータ1の平均直径 d0:鋼板表面の山部10の平坦な山頂面8の平
均直径 H:ロール表面のクレータ1の深さ h1:ロール表面のフランジ2の高さ=鋼板表面
の中間平坦部9から谷部11の底までの深さ h2:鋼板表面の山部10の平坦な山頂面8の中
間平坦部9からの高さ Sm:ロール表面の隣り合うクレータ1の平均
中心間距離=鋼板表面の隣り合う山部10の
平均中心間距離 α:ロール表面のフランジ2の幅 [4] 調質圧延後の鋼板表面の平坦部の面積率η
に及ぼす影響: 前述のように定義される値を用い、ロール表
面の粗度プロフイルを構成するパターンと調質
圧延の条件が、調質圧延後の表面の平坦部の面
積率ηにどのような影響を与えるかについて検
討を行なつた。 ここで平坦部の面積率ηは、第11図に示す
ように、山部10の平坦な山頂面8の面積占有
率η1と、中間平坦部9の面積占有率η2との和で
表わされる。 すなわち、 η=η1+η2 ………(1) である。ここで、η1の値は調質圧延における圧
下率によつて変化する。なぜならば、圧下率が
変化すれば、鋼板金属がクレータ1の内側に流
入する程度が変化し、そのため山部10の山頂
面8の直径d0が変化するからである。一方η2の
値はSm/Dの比の値に応じて一定の数値とな
る。 このSm/Dの比は、後述するように次の(2)
式の範囲内とされる。 0.85≦Sm/D≦1.7 ………(2) そしてη1は次の(3)式により定まり、また(4)式
で示すようにd0はdと一定の関係となり、η2は
Sm/Dの値に応じて式(5)によつて求められる。 η1=π(d0/Sm)2/4 ………(3) d0=kd ………(4) η2=1−π(D/Sm)2/4 +a{(D/Sm)2cos-1(Sm/D) −√()2−1} ………(5) 但し(5)式において、 Sm/D≧1のとき a=0 ………(6) Sm/D<1のとき a=1 ………(7) 前記の(2)、(5)、(6)、(7)より、η2は次の範囲で
変化することになる。 0.06<η2<0.81 ………(8) ここで、ロール表面および鋼板表面の粗度プ
ロフイル断面形状について第12図に示すよう
にx軸、y軸をとり、クレータ1の断面形状を
y=cos xであると仮定すれば、d=πと置い
て cos d/2=0 ………(9) またcos d0/2=h2から、 d0=2cos-1h2 ………(10) ここで、クレータ1により鋼板表面に転写さ
れた山部10の高さh2と、クレータ1の深さH
との比h2/Hを粗度転写率と言うことができる
が、上述の例ではクレータ1の深さHを1とし
ているから、粗度転写率はh2/1、すなわちh2
で表わせることになる。 粗度転写率h2/1、すなわち山部10の高さ
h2は調質圧延の圧延伸び率λによつて定まる関
係となる。すなわち h2=f(λ) ………(11) この関係を、次のような実験により求めた。 原板としてはRa粗度が0.38μmの板厚0.32mm
のSPCC鋼板を用い、調質圧延用ロールとして
はレーザによりRa粗度を3.54μmとした200mm
φのHs硬度94のものを用いて、種々の圧延伸
び率λで調質圧延を施した。その結果を第13
図に示す。 第13図から、調質圧延伸び率λが1.5%程
度までは粗度転写率h2/1は直線的に増加する
が、λが1.8%を越えれば粗度転写率が飽和す
ることがわかる。 さらに第13図の結果を用いて、前記のd0、
k、k2の値を求めたところ、第1表に示す結果
が得られた。
【表】
ところで、通常のプレス成形用の冷延薄鋼板
の平均的な粗さであるRa1.0〜3.0μmとなるよ
うにレーザでダル加工を施した場合、クレータ
の周囲のフランジの幅αは0.09×D程度とな
る。したがつてdは次式で表わせる。 d=0.82D ………(12) また(4)式に(12)式を用いれば、 d0=0.82kD ………(13) となり、したがつて(3)式は次のように表わせ
る。 η1=π(0.82kD/Sm)2/4 =0.5281k2(D/Sm)2 ………(14) 式(5)、(6)、(7)、(8)、(14)および第1表の結果
から、平坦部の面積率ηは、第2a表、第2b表
に示す値となる。このηをSm/Dの値に応じ
て図示すれば、第14図のように表わせる。ま
たこの関係は、次の(15)式で一般化することが
できる。 η=η1+η2 =0.5281k2(D/Sm)2+1−π/4(D/
Sm)2 +a{(D/Sm)2cos-1(Sm/D) −√()2−1} ………(15) 第14図から、平坦部の面積率はSm/Dの
比によつて大きく変化することが明らかであ
る。また調質圧延の伸び率λによつてもηは変
化し、特にSm/Dが小さい場合にはλの変化
による大きな影響を受ける。
の平均的な粗さであるRa1.0〜3.0μmとなるよ
うにレーザでダル加工を施した場合、クレータ
の周囲のフランジの幅αは0.09×D程度とな
る。したがつてdは次式で表わせる。 d=0.82D ………(12) また(4)式に(12)式を用いれば、 d0=0.82kD ………(13) となり、したがつて(3)式は次のように表わせ
る。 η1=π(0.82kD/Sm)2/4 =0.5281k2(D/Sm)2 ………(14) 式(5)、(6)、(7)、(8)、(14)および第1表の結果
から、平坦部の面積率ηは、第2a表、第2b表
に示す値となる。このηをSm/Dの値に応じ
て図示すれば、第14図のように表わせる。ま
たこの関係は、次の(15)式で一般化することが
できる。 η=η1+η2 =0.5281k2(D/Sm)2+1−π/4(D/
Sm)2 +a{(D/Sm)2cos-1(Sm/D) −√()2−1} ………(15) 第14図から、平坦部の面積率はSm/Dの
比によつて大きく変化することが明らかであ
る。また調質圧延の伸び率λによつてもηは変
化し、特にSm/Dが小さい場合にはλの変化
による大きな影響を受ける。
【表】
【表】
[5] 調質圧延伸び率λの下限:
前述のように調質圧延伸び率λはηに影響を
与えるが、λが余りに小さければ調質圧延作業
自体が不安定となつて鋼板表面へのダル目付け
が困難となる。本発明質等の実験によれば、調
質圧延伸び率が0.3%以上であればダル目付け
が可能となることから、調質圧延の伸び率λは
0.3%以上とした。 [6] 平坦部面積率ηの下限: レーザにより調質圧延用ワークロールのダル
目付け加工を行なうにあたつて、Sm、D、d
を変化させ、また調質圧延の伸び率λを変化さ
せて、種々の平坦部面積率ηを有する鋼板(い
ずれもRaはほぼ1.5μm)を作成し、3コート
塗装により黒色の塗装を施した後、表面のDOI
値を測定したところ、第15図に示す結果が得
られた。 第15図からηが大きくなればそれに伴なつ
てDOI値が増すこと、すなわち鮮映性が良好と
なることが明らかである。そして一般に乗用車
の車体塗膜においては、充分な高級感を呈する
ためにはDOI値が94%以上であることが望まし
く、そのためにはηを35%以上とすることが望
ましい。但しさほど充分な高級感が要求されな
い場合はηが20%以上であればよく、したがつ
てηの下限は20%とした。 [7] Sm/D、Sm−Dの上限およびηの上限: 既に[3]項において定義したD、Sm、H
等のロールの粗度プロフイル各部の寸法は、こ
こまでの説明で明らかなように、調質圧延用ロ
ールにレーザにより粗度付け加工施す際のロー
ル回転数、レーザパルス周波数、レーザ出力、
レーザ照射点の送り速度、レーザ照射時間、あ
るいはO2ガス等の補助ガスの吹き付け条件な
どを調節することによつて変化させることがで
きる。ここで、一般の加工用冷延鋼板に適当な
0.5〜5μmのRa粗度をレーザでダル目付け加工
されたロールによる調質圧延で実現する場合、
ロール表面でのフランジ幅αは20〜40μm程度
であり、またフランジ高さh1は5〜30μm程度
となる。 一方、鋼板表面に形成される粗度プロフイル
は、Sm/Dの値によつて第16図A,B,C
に示す3種のパターンが得られる。すなわち
Sm/Dが1の場合には第15図Aに示すよう
に隣り合う連続溝状の谷部11が頂度接する状
態となり、Sm/D>1の場合には第16図B
に示すように隣り合う谷部11が離れ、逆に
Sm/D<1の場合には第16図Cに示すよう
に隣り合う谷部11同士が互いに重なり合う状
態となる。 このようにSm/Dの値を変えることによつ
て種々の粗度プロフイルパターンを得ることが
できるが、本発明者は種々のSm/Dの値を有
する調質圧延用ロールをレーザ加工により製作
し、適正な調質圧延圧下率となるように焼鈍さ
れた冷延鋼板に対し調質圧延を施して、ダル目
付けを行なつた。そして各鋼板についてプレス
加工試験と塗装試験を実施したところ、以下の
ような知見を得た。 すなわち、ロールSm/Dの値が著しく大き
くなれば、第17図に示すようにロール3によ
つて鋼板7に調質圧延を施しダル目付けする際
に、鋼板表面の隣り合う山部10と山部10と
の中間に存在する中間平坦部9の面積が過大と
なり、そのためこのような鋼板に対し第18図
に示すようにプレス加工を施せば、その幅広い
中間平坦部9においてプレス成形作業中に発生
する金属剥離粉13が谷部11に補足されにく
くなつていつまでも金属剥離粉13がプレスツ
ール14と中間平坦部9との間に残る。また
Sm−Dが著しく大きいことは、プレス潤滑油
を貯留しておく役割を果たす谷部11のスペー
スが相対的に小さくなることを意味するから、
潤滑不良が生じ易くなる。そしてこれらの結
果、Sm/Dが大き過ぎれば、プレス加工時の
焼付きが発生し易くなつてしまうのである。 またここで、中間平坦部9の幅、すなわち
(Sm−D)の絶対値についても次の理由により
規制する必要がある。 レーザダル加工によつてロール表面に形成さ
れるフランジの大きさ、すなわち幅αと高さh1
はレーザによつて溶融されるクレータ部の金属
の一部がその周辺に盛り上がり、再固着する過
程に関係するから、Dが大きい場合はα、h1と
もに大きくなる。つまりDが大きい場合はプレ
ス加工時の潤滑油貯油能力と剥離金属粉のトラ
ツプ能力が大きいことになり、焼付発生防止に
はこのことが重要な意味を持つが、その有効性
は以下の場合に限定される。すなわち金属剥離
粉が発生した後、プレス加工の進行に伴なつて
それが次第に堆積してゆき、遂には焼付きに至
るまでのプレス金型と被加工材料との相対的な
すべり長さの範囲内に、金属粉をトラツプでき
る溝状等の凹部が被加工材の表面に存在してい
る場合である。そのような条件を満足させるた
めには、中間平坦部の幅(Sm−D)の絶対値
をある値よりも小さくなるようにすることが必
要である。 本発明者等の上記実験によれば、Sm/Dの
値が1.7を越えれば、上述のようなプレス成形
加工時における焼付が多発することを見出し
た。また焼付多発を防止するためには中間平坦
部の幅(Sm−D)の絶対値を280μmより小さ
くする必要があることを見出した。その実験の
一部の結果を第3表に示す。なお第3表中にお
ける(Sm−D)1、(Sm−D)2の値はそれぞれ
第19図に示す通りである。
与えるが、λが余りに小さければ調質圧延作業
自体が不安定となつて鋼板表面へのダル目付け
が困難となる。本発明質等の実験によれば、調
質圧延伸び率が0.3%以上であればダル目付け
が可能となることから、調質圧延の伸び率λは
0.3%以上とした。 [6] 平坦部面積率ηの下限: レーザにより調質圧延用ワークロールのダル
目付け加工を行なうにあたつて、Sm、D、d
を変化させ、また調質圧延の伸び率λを変化さ
せて、種々の平坦部面積率ηを有する鋼板(い
ずれもRaはほぼ1.5μm)を作成し、3コート
塗装により黒色の塗装を施した後、表面のDOI
値を測定したところ、第15図に示す結果が得
られた。 第15図からηが大きくなればそれに伴なつ
てDOI値が増すこと、すなわち鮮映性が良好と
なることが明らかである。そして一般に乗用車
の車体塗膜においては、充分な高級感を呈する
ためにはDOI値が94%以上であることが望まし
く、そのためにはηを35%以上とすることが望
ましい。但しさほど充分な高級感が要求されな
い場合はηが20%以上であればよく、したがつ
てηの下限は20%とした。 [7] Sm/D、Sm−Dの上限およびηの上限: 既に[3]項において定義したD、Sm、H
等のロールの粗度プロフイル各部の寸法は、こ
こまでの説明で明らかなように、調質圧延用ロ
ールにレーザにより粗度付け加工施す際のロー
ル回転数、レーザパルス周波数、レーザ出力、
レーザ照射点の送り速度、レーザ照射時間、あ
るいはO2ガス等の補助ガスの吹き付け条件な
どを調節することによつて変化させることがで
きる。ここで、一般の加工用冷延鋼板に適当な
0.5〜5μmのRa粗度をレーザでダル目付け加工
されたロールによる調質圧延で実現する場合、
ロール表面でのフランジ幅αは20〜40μm程度
であり、またフランジ高さh1は5〜30μm程度
となる。 一方、鋼板表面に形成される粗度プロフイル
は、Sm/Dの値によつて第16図A,B,C
に示す3種のパターンが得られる。すなわち
Sm/Dが1の場合には第15図Aに示すよう
に隣り合う連続溝状の谷部11が頂度接する状
態となり、Sm/D>1の場合には第16図B
に示すように隣り合う谷部11が離れ、逆に
Sm/D<1の場合には第16図Cに示すよう
に隣り合う谷部11同士が互いに重なり合う状
態となる。 このようにSm/Dの値を変えることによつ
て種々の粗度プロフイルパターンを得ることが
できるが、本発明者は種々のSm/Dの値を有
する調質圧延用ロールをレーザ加工により製作
し、適正な調質圧延圧下率となるように焼鈍さ
れた冷延鋼板に対し調質圧延を施して、ダル目
付けを行なつた。そして各鋼板についてプレス
加工試験と塗装試験を実施したところ、以下の
ような知見を得た。 すなわち、ロールSm/Dの値が著しく大き
くなれば、第17図に示すようにロール3によ
つて鋼板7に調質圧延を施しダル目付けする際
に、鋼板表面の隣り合う山部10と山部10と
の中間に存在する中間平坦部9の面積が過大と
なり、そのためこのような鋼板に対し第18図
に示すようにプレス加工を施せば、その幅広い
中間平坦部9においてプレス成形作業中に発生
する金属剥離粉13が谷部11に補足されにく
くなつていつまでも金属剥離粉13がプレスツ
ール14と中間平坦部9との間に残る。また
Sm−Dが著しく大きいことは、プレス潤滑油
を貯留しておく役割を果たす谷部11のスペー
スが相対的に小さくなることを意味するから、
潤滑不良が生じ易くなる。そしてこれらの結
果、Sm/Dが大き過ぎれば、プレス加工時の
焼付きが発生し易くなつてしまうのである。 またここで、中間平坦部9の幅、すなわち
(Sm−D)の絶対値についても次の理由により
規制する必要がある。 レーザダル加工によつてロール表面に形成さ
れるフランジの大きさ、すなわち幅αと高さh1
はレーザによつて溶融されるクレータ部の金属
の一部がその周辺に盛り上がり、再固着する過
程に関係するから、Dが大きい場合はα、h1と
もに大きくなる。つまりDが大きい場合はプレ
ス加工時の潤滑油貯油能力と剥離金属粉のトラ
ツプ能力が大きいことになり、焼付発生防止に
はこのことが重要な意味を持つが、その有効性
は以下の場合に限定される。すなわち金属剥離
粉が発生した後、プレス加工の進行に伴なつて
それが次第に堆積してゆき、遂には焼付きに至
るまでのプレス金型と被加工材料との相対的な
すべり長さの範囲内に、金属粉をトラツプでき
る溝状等の凹部が被加工材の表面に存在してい
る場合である。そのような条件を満足させるた
めには、中間平坦部の幅(Sm−D)の絶対値
をある値よりも小さくなるようにすることが必
要である。 本発明者等の上記実験によれば、Sm/Dの
値が1.7を越えれば、上述のようなプレス成形
加工時における焼付が多発することを見出し
た。また焼付多発を防止するためには中間平坦
部の幅(Sm−D)の絶対値を280μmより小さ
くする必要があることを見出した。その実験の
一部の結果を第3表に示す。なお第3表中にお
ける(Sm−D)1、(Sm−D)2の値はそれぞれ
第19図に示す通りである。
【表】
またSm/Dの値は、既に説明した第14図
に示すように、鋼板表面の平坦部分の面積率η
と相互に関連している。本発明者等の上述の実
験によれば、第3表からも理解できるように、
平坦部分の面積率ηが85%を越えれば焼付が多
発する。 したがつてこの発明では焼付の発生しない良
好なプレス成形性を有する鋼板とするため、
Sm/Dの比の上限を1.7、平坦部分面積率ηの
上限を85%、(Sm−D)を280μm未満とする。 [8] Sm/Dの下限: Sm/Dの比が0.85未満ではレーザ等の高密
度エネルギ源によるロールの粗度付け作業が不
安定となり、Ra粗度の制御が困難となる。ま
た調質圧延作業中にロール面の粗度の変化が著
しく、粗面を構成するロールの一部の剥離によ
る疵発生が生じ易くなる。これは次にような理
由による。 通常フランジの幅αは、フランジ外径Dに対
して、潤滑油の貯留とプレス加工時に発生する
剥離金属粉のトラツプが可能となるようにα=
0.1〜0.3Dの範囲程度で形成される。ここで
Sm/Dが1を越える場合は第20図Aに示す
ように隣り合うフランジ2の相互間が離れてい
るが、Sm/Dが1以下となれば隣り合うフラ
ンジ2が重なるようになる。そしてα=0.3D
の場合はSm=0.85Dにおいて第20図Bに示
すように隣り合うフランジ2の上に、次に形成
される隣のクレータから発生する溶融金属から
発生する溶融金属が乗り上げてフランジが重畳
され、したがつてフランジ2の高さh1は重なり
が全くない場合の2倍程度となる。 さらにSm/Dが小さくなつてSm<0.85Dと
なれば(但しα=0.3Dとする)、第20図Cに
示すように、既に形成されているクレータの内
側へ次に形成される隣のクレータの溶融金属が
流入し、クレータ1の深さH、フランジ高さ
h1、幅αを変動させてしまうことになる。また
このように既に溶融金属が冷却凝固したクレー
タ内に、隣りのクレータ生成時において再び溶
融金属が流入すれば、その部分で先に凝固した
層と後に凝固した層とが明確な境界面15を形
成し、外力に対してその境界面で剥離し易くな
り、調質圧延時に疵を発生し易くなる。 これらの理由から、Sm/Dはその下限を
0.85とする必要がある。 [9] 鋼板表面の山部の平坦な山頂面の径d0: 鋼板表面の粗面の微視的プロフイルを構成す
る山部10の平坦な山頂面8は、プレス成形加
工においてプレス負荷を担う面であり、所謂ベ
アリングエリアに相当する。 この山頂面8の径d0が大きければ、その山頂
面の平坦面積が大きくなり、前述の[7]項に
おいて述べたSm/D、ηが大きい場合と同様
にプレス加工時において焼付が発生し易くなる
傾向を示す。本発明者の実験によればd0が500μ
mでは焼付が発生し易くなることが判明してい
る。またこのようにd0が500μmを越える広い山
頂面8を形成するためには、ロールのクレータ
1の径自体も大きくする必要があり、その場合
クレータ生成のためのレーザパルス照射に要す
るエネルギ量が過大となり、必要以上に大出力
のレーザ発振器を用いるか、またはロールの回
転数を遅くして照射時間を長くすることが必要
となり、いずれにしても経済的に不利となるば
かりでなく、全体的な処理効率や信頼性の低下
を招く。したがつてd0は500μm以下であること
が必要である。 一方山部10の山頂面8の径d0が小さ過ぎれ
ば、プレス加工時において山部10が圧縮応力
と剪断応力によつて破壊され易くなり、そのた
めその上部で発生する金属粉が多くなつてこの
場合も焼付きを発生し易くなる。本発明者の実
験によれば特にd0が30μm未満の場合に焼付が
発生し易くなることが判明している。さらに、
d0を小さくすればそれに伴つて必然的にDの値
も小さくなるから、d0を小さくして、しかも前
述の[7]項で述べたようにSm/D≦1.7を満
足させるためには、Smの値自体も小さくしな
ければならない。すなわちロールのクレータ間
隔を小さくしなければならない。そのために
は、ロールにレーザ加工を施す際のロール回転
数を極端に低くするかまたはレーザパルス周波
数を極端に上げなければならず、いずれにして
も経済的に不利となる。これらの理由から、山
部10の山頂面8の径d0は30μm以上とする必
要がある。 なおここでは山頂面8の径d0は平均直径で30
〜500μmの範囲内であれば良いが、実際にレ
ーザ等の高密度エネルギ源を用いてクレータ1
をロールに形成しかつ調質圧延により山部10
を形成した場合、山部10の平坦な山頂面8の
平面形状は必ずしも真円形となるとは限らず、
長円形となつたりあるいは不規則な形状となる
ことも多い。したがつてその場合には、各山頂
面の長径の平均値が500μm以下で、かつ各山
頂面の短径の平均値が30μm以上となるように
調整することが望ましい。もちろん、すべての
山頂面の長径のうち最大のものが500μm以下、
すべての山頂面の短径のうち最小のものが30μ
m以上となるようにすることが最も適切であ
る。 [10] 鋼板の中心線表面粗さRa: 前述のようにこの発明では鋼板の粗面を形成
する微視的プロフイルを規制することが最も重
要であるが、微視的プロフイルばかりでなく、
鋼板表面の粗さも規制する必要がある。 すなわち粗面の微視的プロフイルを前述のよ
うに規制しても、中心線平均粗さRaが2.0μm
を越えれば塗膜の鮮映性が充分に良好となら
ず、一方Raが0.3μm未満ではプレス加工時に
おいて焼付が発生し易くなる。したがつてRa
は0.3〜2.0μmの範囲内とした。 [11] まとめ: 以上から、レーザ等の高密度エネルギ源によ
りダル加工したロールによつて調質圧延された
鋼板が良好なプレス成形性(特に耐焼付性)を
有し、かつ塗装後において乗用車で求められる
優れた塗膜鮮映性、望ましくはDOI値にして94
以上の鮮映性を有することとするためには、鋼
板表面の微視的粗度プロフイルの条件として、 (i) 平坦部分(山部の山頂面および中間平坦
部)の面積の和が全体の面積に占める割合
(平坦部面積占有率)ηが20%以上(望まし
くは35%以上)、85%以下であること、 (ii) 山部の平均中心間距離Smと谷部の外縁の
平均直径Dとの比Sm/Dが0.85以上、1.7以
下の範囲内にあり、かつSm−Dが280μm未
満であること、 (iii) 山部の山頂面の平均直径d0が30μm以上、
500μm以下の範囲内にあること、 が必要であり、さらにこのほか中心線平均粗さ
Raが0.3〜2.0μmの範囲内にあることが必要で
ある。また、調質圧延時の条件としては、その
調質圧延の伸び率λが0.3%以上であることが
必要である。 上記各条件のうち、特に重要なSm/Dの比
およびd0の適正範囲の関係をその範囲の限定理
由の要約とともに第21図に示す。また第22
図に、種々の調質圧延伸率λを採つたときにお
いてηを最適範囲(20〜85%)に収めるための
Sm/Dの適用し得る範囲を示す。 実施例 素材鋼板として、C0.04%、Mn0.2%、P0.02
%、S0.015%、N0.003%、O0.005%を含有し、
冷延圧下率69.2%で冷延しさらに箱型焼鈍炉で焼
鈍した板厚0.8mmの冷延鋼板を用いた。また調質
圧延用ワークロールとして、レーザパルス加工に
よりダル加工を施したダルロール、従来のシヨツ
トブラスト法によりダル加工を施したダルロー
ル、従来の放電加工法によりダル加工を施したし
たダルロール、およびダル加工を施さないブライ
トロール材を用意し、前述の冷延鋼板にそれぞれ
のロールで調質圧延伸び率λが0.5〜2.5%の範囲
内で調質圧延を施した。 ここでブライトロールの表面粗度Raは0.15μm
であり、またダルロールの表面粗度はRa1.1〜
5.6μmの範囲内で種々変化させた。そして特にレ
ーザ加工によりダル加工を施したロールの表面粗
度プロフイルは、 0.85≦Sm/D≦1.7 Sm−D<280μm 50μm≦d≦500μm 35μm≦H≦120μm h1≒1/3H とした。 上述のようにして調質圧延した後の鋼板表面の
粗度は、ブライトロールを用いた鋼板(ブライト
材)ではRa0.08μm、ダルロールを用いた鋼板
(ダル材)ではRa0.6〜2.25μmであつた。なお特
にレーザ加工によりダル加工を施したロールによ
つて調質圧延した鋼板では、その表面粗度プロフ
イルは、 0.85≦Sm/D≦1.7 Sm−D<280μm 30μm≦d0≦500μm であつた。 次いで調質圧延後の各鋼板について、次のよう
な条件で化成処理を行なつた。 処理剤:デイツプ処理用細粒型リン酸塩系薬剤 デイツプ条件:43℃×120秒 皮膜重量:2.3±0.2g/cm2 前処理:脱脂、水洗、表面調整 後処理:水洗、純水洗、乾燥 化成処理後、次のような条件で2コートまたは
3コートの塗装を施した。 塗装姿勢:水平塗装 下塗り:カチオンED塗料 18〜20μm厚 中塗り:シーラー 30〜35μm厚 上塗り:トツプコート 30〜35μm厚 なお2コートは中塗りまでとした。また各工程
ともサンデイングは行なわなかつた。 塗装後の塗膜表面について、DORIGONメー
タによりDOI値の測定を行なつた。その結果につ
いては、それぞれの鋼板の表面粗さRaに対応し
て3コートの場合を第23図に、2コートの場合
を第24図に示す。なお第23図、第24図およ
び以下の文中においてLT材はレーザによりダル
加工したロールにより調質圧延した鋼板、EDT
材は放電加工によりダル加工したロールにより調
質圧延した鋼板、SB材はシヨツトブラストによ
りダル加工したロールによつて調質圧延した鋼板
を表わす。 第23図から明らかなように3コート塗装の場
合のLT材は、EDT材およびSB材と比較して
DOI値にして10〜11程度鮮映性が優れている。ま
た2コート塗装の場合でも第24図に示すように
LT材はEDT材およびSB材と比較してDOI値に
して5〜6程度鮮映性が優れている。 3コート塗装を施したLT材およびSB材塗膜の
粗さを、3次元粗度チヤートで第25図、第26
図に示す。LT材(第25図)の場合には、塗膜
面がSB材(第26図)の場合と比較して格段に
平滑であることがわかる。 さらに第27図に塗装前のLT材の表面の3次
元粗度プロフイルを示す。これらから、LT材で
は表面の粗度プロフイルが規則的に形成されてい
ることが判る。 なお、既に述べたように、塗膜の鮮映性はDOI
値で94以上が望ましいとされているが、上述の例
において3コート塗装のLT材では第23図に示
すようにRaが2.0μm以下の場合にDOI値94以上
が得られることが明らかである。なおまた、別途
行なつたプレス加工試験によれば、Raが0.3μm
未満ではプレス加工時に焼付きが多発することが
確認された。 発明の効果 この発明の塗装用鋼板によれば、プレス成形性
を損うことなく、塗膜の鮮映性を従来よりも向上
させ得る顕著な効果が得られ、またこの発明の塗
装用鋼板製造方法によれば、上述のように塗膜の
鮮映性が優れた鋼板を実際的に製造することがで
きる。
に示すように、鋼板表面の平坦部分の面積率η
と相互に関連している。本発明者等の上述の実
験によれば、第3表からも理解できるように、
平坦部分の面積率ηが85%を越えれば焼付が多
発する。 したがつてこの発明では焼付の発生しない良
好なプレス成形性を有する鋼板とするため、
Sm/Dの比の上限を1.7、平坦部分面積率ηの
上限を85%、(Sm−D)を280μm未満とする。 [8] Sm/Dの下限: Sm/Dの比が0.85未満ではレーザ等の高密
度エネルギ源によるロールの粗度付け作業が不
安定となり、Ra粗度の制御が困難となる。ま
た調質圧延作業中にロール面の粗度の変化が著
しく、粗面を構成するロールの一部の剥離によ
る疵発生が生じ易くなる。これは次にような理
由による。 通常フランジの幅αは、フランジ外径Dに対
して、潤滑油の貯留とプレス加工時に発生する
剥離金属粉のトラツプが可能となるようにα=
0.1〜0.3Dの範囲程度で形成される。ここで
Sm/Dが1を越える場合は第20図Aに示す
ように隣り合うフランジ2の相互間が離れてい
るが、Sm/Dが1以下となれば隣り合うフラ
ンジ2が重なるようになる。そしてα=0.3D
の場合はSm=0.85Dにおいて第20図Bに示
すように隣り合うフランジ2の上に、次に形成
される隣のクレータから発生する溶融金属から
発生する溶融金属が乗り上げてフランジが重畳
され、したがつてフランジ2の高さh1は重なり
が全くない場合の2倍程度となる。 さらにSm/Dが小さくなつてSm<0.85Dと
なれば(但しα=0.3Dとする)、第20図Cに
示すように、既に形成されているクレータの内
側へ次に形成される隣のクレータの溶融金属が
流入し、クレータ1の深さH、フランジ高さ
h1、幅αを変動させてしまうことになる。また
このように既に溶融金属が冷却凝固したクレー
タ内に、隣りのクレータ生成時において再び溶
融金属が流入すれば、その部分で先に凝固した
層と後に凝固した層とが明確な境界面15を形
成し、外力に対してその境界面で剥離し易くな
り、調質圧延時に疵を発生し易くなる。 これらの理由から、Sm/Dはその下限を
0.85とする必要がある。 [9] 鋼板表面の山部の平坦な山頂面の径d0: 鋼板表面の粗面の微視的プロフイルを構成す
る山部10の平坦な山頂面8は、プレス成形加
工においてプレス負荷を担う面であり、所謂ベ
アリングエリアに相当する。 この山頂面8の径d0が大きければ、その山頂
面の平坦面積が大きくなり、前述の[7]項に
おいて述べたSm/D、ηが大きい場合と同様
にプレス加工時において焼付が発生し易くなる
傾向を示す。本発明者の実験によればd0が500μ
mでは焼付が発生し易くなることが判明してい
る。またこのようにd0が500μmを越える広い山
頂面8を形成するためには、ロールのクレータ
1の径自体も大きくする必要があり、その場合
クレータ生成のためのレーザパルス照射に要す
るエネルギ量が過大となり、必要以上に大出力
のレーザ発振器を用いるか、またはロールの回
転数を遅くして照射時間を長くすることが必要
となり、いずれにしても経済的に不利となるば
かりでなく、全体的な処理効率や信頼性の低下
を招く。したがつてd0は500μm以下であること
が必要である。 一方山部10の山頂面8の径d0が小さ過ぎれ
ば、プレス加工時において山部10が圧縮応力
と剪断応力によつて破壊され易くなり、そのた
めその上部で発生する金属粉が多くなつてこの
場合も焼付きを発生し易くなる。本発明者の実
験によれば特にd0が30μm未満の場合に焼付が
発生し易くなることが判明している。さらに、
d0を小さくすればそれに伴つて必然的にDの値
も小さくなるから、d0を小さくして、しかも前
述の[7]項で述べたようにSm/D≦1.7を満
足させるためには、Smの値自体も小さくしな
ければならない。すなわちロールのクレータ間
隔を小さくしなければならない。そのために
は、ロールにレーザ加工を施す際のロール回転
数を極端に低くするかまたはレーザパルス周波
数を極端に上げなければならず、いずれにして
も経済的に不利となる。これらの理由から、山
部10の山頂面8の径d0は30μm以上とする必
要がある。 なおここでは山頂面8の径d0は平均直径で30
〜500μmの範囲内であれば良いが、実際にレ
ーザ等の高密度エネルギ源を用いてクレータ1
をロールに形成しかつ調質圧延により山部10
を形成した場合、山部10の平坦な山頂面8の
平面形状は必ずしも真円形となるとは限らず、
長円形となつたりあるいは不規則な形状となる
ことも多い。したがつてその場合には、各山頂
面の長径の平均値が500μm以下で、かつ各山
頂面の短径の平均値が30μm以上となるように
調整することが望ましい。もちろん、すべての
山頂面の長径のうち最大のものが500μm以下、
すべての山頂面の短径のうち最小のものが30μ
m以上となるようにすることが最も適切であ
る。 [10] 鋼板の中心線表面粗さRa: 前述のようにこの発明では鋼板の粗面を形成
する微視的プロフイルを規制することが最も重
要であるが、微視的プロフイルばかりでなく、
鋼板表面の粗さも規制する必要がある。 すなわち粗面の微視的プロフイルを前述のよ
うに規制しても、中心線平均粗さRaが2.0μm
を越えれば塗膜の鮮映性が充分に良好となら
ず、一方Raが0.3μm未満ではプレス加工時に
おいて焼付が発生し易くなる。したがつてRa
は0.3〜2.0μmの範囲内とした。 [11] まとめ: 以上から、レーザ等の高密度エネルギ源によ
りダル加工したロールによつて調質圧延された
鋼板が良好なプレス成形性(特に耐焼付性)を
有し、かつ塗装後において乗用車で求められる
優れた塗膜鮮映性、望ましくはDOI値にして94
以上の鮮映性を有することとするためには、鋼
板表面の微視的粗度プロフイルの条件として、 (i) 平坦部分(山部の山頂面および中間平坦
部)の面積の和が全体の面積に占める割合
(平坦部面積占有率)ηが20%以上(望まし
くは35%以上)、85%以下であること、 (ii) 山部の平均中心間距離Smと谷部の外縁の
平均直径Dとの比Sm/Dが0.85以上、1.7以
下の範囲内にあり、かつSm−Dが280μm未
満であること、 (iii) 山部の山頂面の平均直径d0が30μm以上、
500μm以下の範囲内にあること、 が必要であり、さらにこのほか中心線平均粗さ
Raが0.3〜2.0μmの範囲内にあることが必要で
ある。また、調質圧延時の条件としては、その
調質圧延の伸び率λが0.3%以上であることが
必要である。 上記各条件のうち、特に重要なSm/Dの比
およびd0の適正範囲の関係をその範囲の限定理
由の要約とともに第21図に示す。また第22
図に、種々の調質圧延伸率λを採つたときにお
いてηを最適範囲(20〜85%)に収めるための
Sm/Dの適用し得る範囲を示す。 実施例 素材鋼板として、C0.04%、Mn0.2%、P0.02
%、S0.015%、N0.003%、O0.005%を含有し、
冷延圧下率69.2%で冷延しさらに箱型焼鈍炉で焼
鈍した板厚0.8mmの冷延鋼板を用いた。また調質
圧延用ワークロールとして、レーザパルス加工に
よりダル加工を施したダルロール、従来のシヨツ
トブラスト法によりダル加工を施したダルロー
ル、従来の放電加工法によりダル加工を施したし
たダルロール、およびダル加工を施さないブライ
トロール材を用意し、前述の冷延鋼板にそれぞれ
のロールで調質圧延伸び率λが0.5〜2.5%の範囲
内で調質圧延を施した。 ここでブライトロールの表面粗度Raは0.15μm
であり、またダルロールの表面粗度はRa1.1〜
5.6μmの範囲内で種々変化させた。そして特にレ
ーザ加工によりダル加工を施したロールの表面粗
度プロフイルは、 0.85≦Sm/D≦1.7 Sm−D<280μm 50μm≦d≦500μm 35μm≦H≦120μm h1≒1/3H とした。 上述のようにして調質圧延した後の鋼板表面の
粗度は、ブライトロールを用いた鋼板(ブライト
材)ではRa0.08μm、ダルロールを用いた鋼板
(ダル材)ではRa0.6〜2.25μmであつた。なお特
にレーザ加工によりダル加工を施したロールによ
つて調質圧延した鋼板では、その表面粗度プロフ
イルは、 0.85≦Sm/D≦1.7 Sm−D<280μm 30μm≦d0≦500μm であつた。 次いで調質圧延後の各鋼板について、次のよう
な条件で化成処理を行なつた。 処理剤:デイツプ処理用細粒型リン酸塩系薬剤 デイツプ条件:43℃×120秒 皮膜重量:2.3±0.2g/cm2 前処理:脱脂、水洗、表面調整 後処理:水洗、純水洗、乾燥 化成処理後、次のような条件で2コートまたは
3コートの塗装を施した。 塗装姿勢:水平塗装 下塗り:カチオンED塗料 18〜20μm厚 中塗り:シーラー 30〜35μm厚 上塗り:トツプコート 30〜35μm厚 なお2コートは中塗りまでとした。また各工程
ともサンデイングは行なわなかつた。 塗装後の塗膜表面について、DORIGONメー
タによりDOI値の測定を行なつた。その結果につ
いては、それぞれの鋼板の表面粗さRaに対応し
て3コートの場合を第23図に、2コートの場合
を第24図に示す。なお第23図、第24図およ
び以下の文中においてLT材はレーザによりダル
加工したロールにより調質圧延した鋼板、EDT
材は放電加工によりダル加工したロールにより調
質圧延した鋼板、SB材はシヨツトブラストによ
りダル加工したロールによつて調質圧延した鋼板
を表わす。 第23図から明らかなように3コート塗装の場
合のLT材は、EDT材およびSB材と比較して
DOI値にして10〜11程度鮮映性が優れている。ま
た2コート塗装の場合でも第24図に示すように
LT材はEDT材およびSB材と比較してDOI値に
して5〜6程度鮮映性が優れている。 3コート塗装を施したLT材およびSB材塗膜の
粗さを、3次元粗度チヤートで第25図、第26
図に示す。LT材(第25図)の場合には、塗膜
面がSB材(第26図)の場合と比較して格段に
平滑であることがわかる。 さらに第27図に塗装前のLT材の表面の3次
元粗度プロフイルを示す。これらから、LT材で
は表面の粗度プロフイルが規則的に形成されてい
ることが判る。 なお、既に述べたように、塗膜の鮮映性はDOI
値で94以上が望ましいとされているが、上述の例
において3コート塗装のLT材では第23図に示
すようにRaが2.0μm以下の場合にDOI値94以上
が得られることが明らかである。なおまた、別途
行なつたプレス加工試験によれば、Raが0.3μm
未満ではプレス加工時に焼付きが多発することが
確認された。 発明の効果 この発明の塗装用鋼板によれば、プレス成形性
を損うことなく、塗膜の鮮映性を従来よりも向上
させ得る顕著な効果が得られ、またこの発明の塗
装用鋼板製造方法によれば、上述のように塗膜の
鮮映性が優れた鋼板を実際的に製造することがで
きる。
第1図はこの発明の方法において高密度エネル
ギとしてレーザパルスを用いてワークロールの表
面をダル加工したときのロール断面の状態を示す
模式的な断面図、第2図は上記レーザパルスによ
りダル目付けされたロールの表面の粗面プロフイ
ルを示す模式的な断面図、第3図は第2図に対す
る平面図、第4図は上記ロールにより調質圧延を
施している状態を示す模式的な断面図、第5図は
上記ロールにより調質圧延された鋼板表面の粗面
のプロフイルを示す模式的な断面図、第6図は第
5図に対する平面図、第7図Aは従来のシヨツト
ブラスト加工によりダル加工されたロール表面の
粗面の山高さ分布を示す図、第7図Bは従来の放
電加工によりダル加工されたロール表面の粗面の
山高さ分布を示す図、第8図は従来の方法でダル
加工されたロールにより鋼板を調質圧延してダル
目付けする際の状況を示す略解図、第9図Aは従
来のシヨツドブラスト法によりダル加工されたロ
ールを用いて調質圧延した場合の鋼板表面の粗度
の傾斜角分布を示す図、第9図Bは第9図Aにお
ける傾斜角の定義を示す図、第10図は調質圧延
用ロールおよび鋼板の表面の粗面を形成するプロ
フイルの各部の寸法の定義を示すための説明図、
第11図は平坦部の面積率η(=η1+η2)の定義
を説明するための模式図、第12図はロール表面
および鋼板表面の粗度プロフイルの近似計算のた
めの説明図、第13図は調質圧延伸び率λと粗度
転写率h2/1との関係を示す線図、第14図は鋼
板表面の平坦部分の面積率ηと調質圧延伸び率λ
との関係を、種々のSm/Dの値に応じて示す相
関図、第15図は3コート塗装を施した場合の鋼
板の平坦部面積率ηと塗膜のDOI値との関係を示
す相関図、第16図A,B,Cは、Sm/Dを変
えた場合の鋼板表面の平面的な粗度プロフイルの
変化を示す略解図、第17図はSm/Dの比が過
大な場合のロール表面と鋼板表面の微視的プロフ
イルを示す模式的な断面図、第18図は第17図
の鋼板に対してプレス加工を施す際の作用を示す
説明図、第19図は中間平坦部の幅(Sm−D)
を説明するための模式図、第20図A,B,C
は、Sm/Dの値を0.85を中心として変化させた
場合のロールに対するレーザ加工時の状況を示す
めたの説明図、第21図はSm/Dの値と鋼板表
面の山部山頂面の直径d0の適正範囲の関係を示す
説明図、第22図はλ、η、およびSm/Dの適
正範囲を示す相関図、第23図は実施例における
3コート塗装の場合の鋼板の中心線平均粗さRa
と塗膜のDOI値との関係を示す相関図、第24図
は実施例における2コート塗装の場合の鋼板の中
心線平均粗さRaと塗膜のDOI値との関係を示す
相関図、第25図はレーザダル加工されたロール
を用いて調質圧延した鋼板に形成した塗膜の3次
元粗度チヤートを示す図、第26図は従来のシヨ
ツトブラストによりダル加工されたロールを用い
て調質圧延した鋼板に形成した塗膜の3次元粗度
チヤートを示す図、第27図はレーザダル加工さ
れたロールを用いて調質圧延した鋼板の表面の3
次元粗度プロフイルを示す図である。さらに第2
8図A,Bは、従来のシヨツトブラストによつて
ダル加工されたロールおよび従来の放電加工によ
りダル加工されたロールの表面粗度3次元プロフ
イルを示す図、第29図は鮮映性を表わすDOI値
の測定方法を示すための説明図、第30図A,B
はシヨツトブラストによりダル加工したロールに
よつて調質圧延した鋼板中心線平均粗さRaと塗
装後のDOI値との関係を示す相関図であつてその
Aは2コート塗装後の相関図、Bは3コート塗装
後の相関図である。 1……クレータ(ロール表面のクレータ状凹
部)、2……フランジ(ロール表面のリング状盛
り上り部)、3……ロール、7……鋼板、8……
鋼板表面の山部の平坦な山頂面、9……鋼板表面
の中間平坦部、10……鋼板表面の山部、11…
…鋼板表面の谷部、13……傾斜面。
ギとしてレーザパルスを用いてワークロールの表
面をダル加工したときのロール断面の状態を示す
模式的な断面図、第2図は上記レーザパルスによ
りダル目付けされたロールの表面の粗面プロフイ
ルを示す模式的な断面図、第3図は第2図に対す
る平面図、第4図は上記ロールにより調質圧延を
施している状態を示す模式的な断面図、第5図は
上記ロールにより調質圧延された鋼板表面の粗面
のプロフイルを示す模式的な断面図、第6図は第
5図に対する平面図、第7図Aは従来のシヨツト
ブラスト加工によりダル加工されたロール表面の
粗面の山高さ分布を示す図、第7図Bは従来の放
電加工によりダル加工されたロール表面の粗面の
山高さ分布を示す図、第8図は従来の方法でダル
加工されたロールにより鋼板を調質圧延してダル
目付けする際の状況を示す略解図、第9図Aは従
来のシヨツドブラスト法によりダル加工されたロ
ールを用いて調質圧延した場合の鋼板表面の粗度
の傾斜角分布を示す図、第9図Bは第9図Aにお
ける傾斜角の定義を示す図、第10図は調質圧延
用ロールおよび鋼板の表面の粗面を形成するプロ
フイルの各部の寸法の定義を示すための説明図、
第11図は平坦部の面積率η(=η1+η2)の定義
を説明するための模式図、第12図はロール表面
および鋼板表面の粗度プロフイルの近似計算のた
めの説明図、第13図は調質圧延伸び率λと粗度
転写率h2/1との関係を示す線図、第14図は鋼
板表面の平坦部分の面積率ηと調質圧延伸び率λ
との関係を、種々のSm/Dの値に応じて示す相
関図、第15図は3コート塗装を施した場合の鋼
板の平坦部面積率ηと塗膜のDOI値との関係を示
す相関図、第16図A,B,Cは、Sm/Dを変
えた場合の鋼板表面の平面的な粗度プロフイルの
変化を示す略解図、第17図はSm/Dの比が過
大な場合のロール表面と鋼板表面の微視的プロフ
イルを示す模式的な断面図、第18図は第17図
の鋼板に対してプレス加工を施す際の作用を示す
説明図、第19図は中間平坦部の幅(Sm−D)
を説明するための模式図、第20図A,B,C
は、Sm/Dの値を0.85を中心として変化させた
場合のロールに対するレーザ加工時の状況を示す
めたの説明図、第21図はSm/Dの値と鋼板表
面の山部山頂面の直径d0の適正範囲の関係を示す
説明図、第22図はλ、η、およびSm/Dの適
正範囲を示す相関図、第23図は実施例における
3コート塗装の場合の鋼板の中心線平均粗さRa
と塗膜のDOI値との関係を示す相関図、第24図
は実施例における2コート塗装の場合の鋼板の中
心線平均粗さRaと塗膜のDOI値との関係を示す
相関図、第25図はレーザダル加工されたロール
を用いて調質圧延した鋼板に形成した塗膜の3次
元粗度チヤートを示す図、第26図は従来のシヨ
ツトブラストによりダル加工されたロールを用い
て調質圧延した鋼板に形成した塗膜の3次元粗度
チヤートを示す図、第27図はレーザダル加工さ
れたロールを用いて調質圧延した鋼板の表面の3
次元粗度プロフイルを示す図である。さらに第2
8図A,Bは、従来のシヨツトブラストによつて
ダル加工されたロールおよび従来の放電加工によ
りダル加工されたロールの表面粗度3次元プロフ
イルを示す図、第29図は鮮映性を表わすDOI値
の測定方法を示すための説明図、第30図A,B
はシヨツトブラストによりダル加工したロールに
よつて調質圧延した鋼板中心線平均粗さRaと塗
装後のDOI値との関係を示す相関図であつてその
Aは2コート塗装後の相関図、Bは3コート塗装
後の相関図である。 1……クレータ(ロール表面のクレータ状凹
部)、2……フランジ(ロール表面のリング状盛
り上り部)、3……ロール、7……鋼板、8……
鋼板表面の山部の平坦な山頂面、9……鋼板表面
の中間平坦部、10……鋼板表面の山部、11…
…鋼板表面の谷部、13……傾斜面。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 表面の中心線平均粗さRaが0.3〜2.0μmの範
囲内にあり、かつその表面粗さを構成する微視的
形態が、平坦な山頂面を有する台形状の山部と、
その周囲の全部または一部を取囲むように形成さ
れた溝状の谷部と、山部の間であつてかつ谷部の
外側にその谷部の底よりも高くかつ山部の山頂面
より低いかまたは同じ高さに形成された中間平坦
部とによつて構成され、しかも隣り合う山部の平
均中心間距離をSm、谷部の外縁の平均直径をD、
山部の平坦な山頂面の平均直径をd0、山部の平坦
な山頂面と前記中間平坦部の平坦面の面積の和が
全面積に占める割合をη(%)と定義したとき、 0.85≦Sm/D≦1.7 Sm−D<280(μm) 30≦d0≦500(μm) 20≦η≦85(%) を満足するように構成されていることを特徴とす
る塗装用鋼板。 2 予め調質圧延用ワークロールの表面に、微小
なクレータ状の凹部とその凹部の外縁において表
側にリング状に盛り上がつた盛り上がり部との集
合からなりかつ隣り合う凹部間の平均中心間距離
Smとリング状盛り上がり部の外縁の直径Dとの
比Sm/Dが0.85〜0.7の範囲内、Sm−Dが280μ
m未満とされた表面模様を形成する模様付け加工
を高密度エネルギ源を用いて施しておき、その表
面模様付けされたワークロールを、調質圧延すべ
き鋼板の片面もしくは両面に用いて、調質圧延伸
び率λを0.3%以上として調質圧延することによ
りワークロール表面の模様を鋼板表面に転写する
ことを特徴とする塗装用鋼板の製造方法。 3 前記高密度エネルギ源としてレーザを用いる
特許請求の範囲第2項記載の塗装用鋼板の製造方
法。
Priority Applications (10)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61007769A JPS62168602A (ja) | 1986-01-17 | 1986-01-17 | 塗装用鋼板およびその製造方法 |
US06/948,122 US4798772A (en) | 1986-01-17 | 1986-12-31 | Steel sheets for painting and a method of producing the same |
CN87100257A CN1010752B (zh) | 1986-01-17 | 1987-01-14 | 用于喷漆的钢板及其加工方法 |
EP87300321A EP0234698B1 (en) | 1986-01-17 | 1987-01-15 | Steel sheets for painting and a method of producing the same |
AU67583/87A AU573111B2 (en) | 1986-01-17 | 1987-01-15 | Steel sheets for painting and a method of producing the same |
DE8787300321T DE3766627D1 (de) | 1986-01-17 | 1987-01-15 | Fuer farbbeschichtungen geeignete stahlbleche und verfahren zu deren herstellung. |
ZA87312A ZA87312B (en) | 1986-01-17 | 1987-01-16 | Steel sheets for painting and a method of producing the same |
KR1019870000319A KR900006496B1 (ko) | 1986-01-17 | 1987-01-16 | 도장용 강판 및 그 제조방법 |
CA000527476A CA1305298C (en) | 1986-01-17 | 1987-01-16 | Steel sheets for painting and a method of producing the same |
BR8700220A BR8700220A (pt) | 1986-01-17 | 1987-01-20 | Folha de aco para pintura e processo para produzir a mesma |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61007769A JPS62168602A (ja) | 1986-01-17 | 1986-01-17 | 塗装用鋼板およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62168602A JPS62168602A (ja) | 1987-07-24 |
JPH0338923B2 true JPH0338923B2 (ja) | 1991-06-12 |
Family
ID=11674885
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61007769A Granted JPS62168602A (ja) | 1986-01-17 | 1986-01-17 | 塗装用鋼板およびその製造方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS62168602A (ja) |
ZA (1) | ZA87312B (ja) |
Families Citing this family (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63132702A (ja) * | 1986-11-25 | 1988-06-04 | Kawasaki Steel Corp | 塗装用鋼板及びその製造方法 |
JPS62224405A (ja) * | 1986-03-26 | 1987-10-02 | Kawasaki Steel Corp | 冷延鋼板の製造方法 |
JPS62230402A (ja) * | 1986-03-31 | 1987-10-09 | Kawasaki Steel Corp | 塗装用鋼板及びその製造方法 |
LU86531A1 (fr) * | 1986-07-28 | 1988-02-02 | Centre Rech Metallurgique | Produit metallique presentant une brillance apres peinture amelioree et procedes pour sa fabrication |
JP2509651B2 (ja) * | 1987-12-28 | 1996-06-26 | 川崎製鉄株式会社 | 良好な潤滑性を有するプレス用冷延鋼板 |
JP2504546B2 (ja) * | 1988-11-24 | 1996-06-05 | 株式会社神戸製鋼所 | 合金化亜鉛めっき鋼板 |
JPH0669572B2 (ja) * | 1989-08-11 | 1994-09-07 | 株式会社神戸製鋼所 | 鮮映性の優れたプレス成形加工用アルミニウム合金板の製造方法 |
JPH03161103A (ja) * | 1989-11-20 | 1991-07-11 | Kawasaki Steel Corp | 塗装用鋼板 |
JPH0747164B2 (ja) * | 1989-12-29 | 1995-05-24 | 新日本製鐵株式会社 | 塗装鮮映性及びプレス加工性の優れた鋼板 |
JPH0745042B2 (ja) * | 1990-06-11 | 1995-05-17 | 住友軽金属工業株式会社 | 塗装後鮮映性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 |
JPH04333310A (ja) * | 1991-05-07 | 1992-11-20 | Nippon Steel Corp | プレス成形性に優れた塗装用鋼板 |
JPH04333309A (ja) * | 1991-05-07 | 1992-11-20 | Nippon Steel Corp | 塗装鮮映性に優れた塗装用鋼板 |
JPH0557312A (ja) * | 1991-09-03 | 1993-03-09 | Nippon Steel Corp | 塗装鮮映性の優れた鋼板 |
JPH0557310A (ja) * | 1991-09-03 | 1993-03-09 | Nippon Steel Corp | 塗装鮮映性及びプレス成形性の優れた鋼板 |
WO1993004796A1 (fr) * | 1991-09-03 | 1993-03-18 | Nippon Steel Corporation | Procede de fabrication de toles d'acier a definition de peinture elevee et a aptitude elevee a l'estampage et cylindres depolis de laminage |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS602156A (ja) * | 1983-06-13 | 1985-01-08 | Shuzo Nakazono | 豆乳の製造方法 |
JPS60133905A (ja) * | 1983-12-23 | 1985-07-17 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 塗装外観性の優れた冷延鋼板及びその製造方法 |
-
1986
- 1986-01-17 JP JP61007769A patent/JPS62168602A/ja active Granted
-
1987
- 1987-01-16 ZA ZA87312A patent/ZA87312B/xx unknown
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS602156A (ja) * | 1983-06-13 | 1985-01-08 | Shuzo Nakazono | 豆乳の製造方法 |
JPS60133905A (ja) * | 1983-12-23 | 1985-07-17 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 塗装外観性の優れた冷延鋼板及びその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62168602A (ja) | 1987-07-24 |
ZA87312B (en) | 1987-09-30 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
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