JPH0330038Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈技術分野〉 本考案は、車両等のシートにおけるシートバツ
クの傾斜角を調整するための遊星歯車タイプのリ
クライニング装置に関し、更に詳しくは、粗調整
用のロツク機構をアウタ側及びインナ側のそれぞ
れに有し、該両側のロツク機構をコネクテイング
パイプ等でなる連結機構を介して作動的に連結し
たいわゆる両持ちのリクライニング装置に関す
る。

〈従来技術〉 この種のリクライニング装置として、遊星歯車
機構から成る微調整機構と、ラチエツトとポール
の係脱で成る粗調整機構をシートのアウタ側及び
インナ側の両側に備えたものは従来より公知であ
る。しかしながら、こうした装置においては、微
調整機構の連動と粗調整機構の連動を別々の部材
で行なつているため、構造が複雑で装置が大型化
するという欠点があつた。

〈考案の目的〉 本考案は、上記従来の欠点を解消するもので、
その目的は、シートバツクの傾斜角の微調整機構
及び粗調整機構のアウタ側、インナ側の連動を簡
単な構造でコンパクトに実現するリクライニング
装置を提供することにある。

〈考案の構成〉 この目的を達成する本考案は、遊星歯車機構か
ら成る微調整機構と、ラチエツトとポールの係脱
で成る粗調整機構を、シートのアウタ側及びイン
ナ側の両側に備えるいわゆる両持ちのリクライニ
ング装置において、アウタ側とインナ側各々の回
動シヤフトにコネクテイングバーを連設して微調
整を行ない、且つ、該コネクテイングバーを回動
自在に挿通するよう配設されたコネクテイングパ
イプを前記アウタ側とインナ側各々の粗調整レリ
ーズ機構に作動的に連結して粗調整を行なうよう
にしたことを特徴とするものである。

〈実施例〉 本考案は両持ちのリクライニング装置である
が、分かりやすくするため、アウタ側を主として
以下詳細に説明する。第１図乃至第４図におい
て、１はシートクツシヨン側にビス等で固着され
るロアアーム、２は同様にシートバツク側に固着
されるアツパアームである。該アツパアーム２の
一方の側面には、インナギヤ２ａが精密プレス加
工等によりエンボス成形されている。３はアツパ
アーム２に隣接して配設された中間ギヤプレート
（ラチエツト）で、該中間ギヤプレート３の前記
インナギヤ２ａに相対する側面にはアウタギヤ３
ａが精密プレス加工等によりエンボス成形され、
又、その外縁には係合溝３ｂが刻設されている。
尚、インナギヤ２ａの歯数はアウタギヤ３ａの歯
数より少なくとも１歯以上多く選ばれている。４
は段付ピン５でもつて回動可能にロアアーム１に
枢着されたポールで、中間ギヤプレート３の係合
溝３ｂと係脱する係止部４ａが形成されている。
又、この係止部４ａの近傍にはロアアーム１と反
対側に突出したピン７が植設されており、該ピン
７がレリーズレバー８の非操作部分８ａに穿設さ
れたカム穴８ｃに挿入されている。レリーズレバ
ー８の操作部分８ｂは、前記非操作部分８ａに一
体的に形成され、上方に突出した部分には合成樹
脂等から成る操作ノブ（図示せず）が固着され
る。９は操作レバー８よりロアアーム１側に配置
されるサブプレートで、前記段付ピン５と段付ピ
ン１０，１１に対応する位置に取付穴を有し、該
取付穴を介してロアアーム１に固着され、アツパ
アーム２、中間ギヤプレート３、ポール４等の抜
け止めを行なうものである。１２は同心部の一部
に偏心部１２ａを有する回動シヤフトである。組
立時には、この回動シヤフト１２の同心部は、ロ
アアーム１（ブツシユ１３）、中間ギヤプレート
３、サブプレート９（ブツシユ１４及びサブプレ
ート９に固着されたガイドプレート１５）及びレ
リーズレバー８のそれぞれに形成されている中心
穴に挿通され、偏心部１２ａはアツパアーム２の
回転中心穴に挿通され、又、同心部の一端にはプ
ーリ１６が該回動シヤフト１２と一体となつて回
動するように取り付けられる。これによつて、ア
ツパアーム２と中間ギヤプレート３がそれぞれ回
動シヤフト１２の偏心部１２ａと同心部に回動自
在に取り付けられると共に、インナギヤ２ａとア
ウタギヤ３ａとの噛合がなされる。

１７は回動シヤフト１２の同心部に回動可能に
取り付けられたアームプレートで、その中間部に
穿設された連結用穴１７ａには、粗調整用コネク
テイングパイプ（同様の機構を持つたインナ側の
リクライニング装置にレリーズレバー８の運動を
伝達するもの）１８の端部に溶接等で固着された
フツクプレート１９の爪１９ａが嵌入されてい
る。尚、微調整用コネクテイングバー（上記イン
ナ側のリクライニング装置に回動シヤフト１２の
運動を伝達するもの）２０は、回動シヤフト１２
にセレーシヨン加工等の回り止めがなされ固着さ
れている。前記アームプレート１７の回動先端部
は、段付ピン２１を介してレリーズアーム８の非
操作部分８ａの中間部に枢着されている。又、該
段付ピン２１にはローラ２２が嵌合されている。
このローラ２２はポール４の背部に当接し、ポー
ル４の係止部４ａと中間ギヤプレート３の係合溝
３ｂとの係合を確実ならしめるものである。

２３はロアアーム１に回動可能に取り付けられ
たンドル軸で、該ハンドル軸２３の一端には操作
ハンドル２４が取り付けられ、中間部分にはプー
リ２５が該ハンドル軸２３と一体に回動するよう
に取り付けられている。該プーリ２５と前記プー
リ１６との間には、ベルト２６が巻掛けられてお
り、該ベルト２６の中間部分はガイドローラ２７
で押圧されている（上記プーリ１６，２５及びベ
ルト２６にはスリツプ防止用の溝が形成されてい
る）。尚、２８はレリーズレバー８とロアアーム
１との間に張設されたスプリングで、ポール４に
中間ギヤプレート３と噛合するような方向即ちロ
ツク方向の付勢力を与えるためのものである。
又、２９はロアアーム１に段付ピン１０及び１１
を用いて固着されたピンブラケツトで、該ピンブ
ラケツト２９を利用して溝付ピン３０が配設され
ている。そして、該ピン３０の縦溝には、バラン
ス用スパイラルスプリング３１の内端が掛止され
ている。又、スパイラルスプリング３１の外端
は、中間ギヤプレート３のフツク３ｃに掛止され
ている。

第５図及び第６図に示すように、フツクプレー
ト１９の爪１９ａの幅W₁は、アームプレート１
７の連結用穴１７ａの幅W₂より小さく選ばれて
いる。W₂−W₁の大きさは、多少遊びが生じる程
度であり、アウタ側、インナ側のロツク機構のロ
ツク位置のバラツキがどの程度かに応じて定める
ものである。通常、２〜５mm程度である。

上記説明は、アウタ側の構成の説明であつた
が、インナ側についても同様の構成であるのでそ
の説明は省略する。インナ側がアウタ側と相違し
ている点は、レリーズレアーム８の操作部分８
ｂ、操作ハンドル２４等の操作機構がないこと、
スパイラルスプリング３１がないこと等である。

このように構成された実施例装置の作動を次に
説明する。第１図に示す状態はポール４の係止部
４ａが中間ギヤプレート３の係合溝３ｂに噛合
し、中間ギヤプレート３はロツクされている。こ
の状態で操作ハンドル２４を回動させれば、ベル
ト２６を介して回動シヤフト１２が回動し、アツ
パアーム２も一定の減速比をもつて回動して、シ
ートバツクの傾斜角の微調整を行なうことができ
る。尚、回動シヤフト１２の回動はコネクテイン
グバー２０によつてインナ側に連動されるので、
インナ側のアツパアームも同様に回動する。

次に粗調整を行なう場合には、レリーズレバー
８を第１図の反時計回り方向に回動させればよ
い。これにより、ローラ２２も同方向に回動しポ
ール４背部との当接が解除されると共に、カム穴
８ｃと係合しているピン７が操作ハンドル２４側
に移動する。このためポール４の係止部４ａと中
間ギヤプレート３の係合溝３ｂとの噛合が解か
れ、中間ギヤプレート３のロツクは解除される。
従つて、中間ギヤプレート３とポール４との噛合
ピツチに相当する粗さで、シートバツクの傾斜角
の粗調整（早送り）を行なうことができる。尚、
こうした粗調整操作は、アームプレート１７、フ
ツクプレート１９、粗調整用コネクテイングパイ
プ１８によつてインナ側に連動され、両側の粗調
整用ロツクが同時にレリーズされ、シートバツク
の傾斜角が効果的に調節できる。

〈効果〉 以上説明したように、本考案によれば、シート
のアウタ側及びインナ側に微調整と粗調整の両方
のロツク機構を有する両持ちのリクライニング装
置における両側の連結構造を簡単な構造でコンパ
クトに実現できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す要部構成図、
第２図は第１図のＡ−Ａ断面図、第３図は第１図
のＢ−Ｂ断面図、第４図は第１図のＣ−Ｃ断面
図、第５図はフツクプレートの正面図、第６図は
アームプレートの正面図である。 １……ロアアーム、２……アツパアーム、３…
…中間ギヤプレート（（ラチエツト）、４……ポー
ル、８……レリーズレバー、１２……回動シヤフ
ト、１７……アームプレート、１８……コネクテ
イングパイプ、１９……フツクプレート、１９ａ
……爪、２４……操作ハンドル、２６……ベル
ト、３１……スパイラルスプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 遊星歯車機構から成る微調整機構と、ラチエツ
   トとポールの係脱で成る粗調整機構を、シートの
   アウタ側及びインナ側の両側に備えるいわゆる両
   持ちのリクライニング装置において、アウタ側と
   インナ側各々の回動シヤフトにコネクテイングバ
   ーを連設して微調整を行ない、且つ、該コネクテ
   イングバーを回動自在に挿通するよう配設された
   コネクテイングパイプを前記アウタ側とインナ側
   各々の粗調整レリーズ機構に作動的に連結して粗
   調整を行なうようにしたことを特徴とするリクラ
   イニング装置。