JPH032769B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はプレス機械に使用する加工品の搬送装
置に関し、詳しくはプレス機械間に設置され、一
方のプレス機械で加工された加工品をもう一方の
プレス機械へ搬送する装置に関している。

（従来の技術） プレス加工を連続して行う方法にトランスフア
プレス型と、トランスフアプレスライン型が知ら
れている。前者は１基のプレス機械内に複数の金
型を設置し、金型に平行して設けた一対のフイー
ドバー及びフイードバーに設けたフインガーによ
つて加工品を順次金型に搬送して連続加工するこ
とに特徴がある。又、後者は複数のプレス機械を
設置し、設置されたプレス機械の長さと同じ長さ
に設けた一対のフイードバーのフインガーによつ
て加工品を各プレス機械の金型に順次搬送して連
続加工をするものである。

トランスフアプレスは、１基プレス機械内に８
〜10個の金型を隙間なく並べるので、装置が大き
くならない利点はあるが、金型数よりも少ない数
の加工回数で製品ができる場合は、他の金型が遊
んでいて不経済である。又、逆に加工回数が金型
の数よりも多い場合は当該プレスでは完成品が製
造できないといつた不便がある。

一方、トランスフアプレスラインは、プレス機
械を希望する数だけ設置できるが、あまりに多い
数のプレス機械を設置したのでは、フイードバー
が長くなりすぎて駆動不能となつてしまう。この
他、トランスフアプレスラインでは、加工不要な
プレス機械を停止させておくことが可能である
が、この場合でもフイードバーの駆動は停止する
ことができないことになる。

ところで、二基のプレス機械間に設置され一方
のプレス機械で加工された加工品を次のプレス機
械へ送給する搬送装置が実開昭53−1181号公報で
知られている。

上記考案は上下移動可能なガイド体と、ガイド
体に左右移動可能に支持したアームと、アームの
左右両端部に加工品を保持するために設けた保持
部とを有し、ガイド体にはガイド体を下降ならび
に上昇させる上下駆動部を連結し、アームにはア
ームを左右方向に移動させる左右駆動部を連結し
たものであつて、一方のプレス機械で加工された
加工品を本装置の前方に設けたストツク台に送給
し、同時にストツク台上に加工品を他方プレス機
械へ送給するものである。

この考案の特徴は、当該装置をプレス機械間に
設置することにより、各プレス機械に順次加工品
を送給することができるので、それ迄のトランス
フアプレス型の搬送装置やトランスフアプレスラ
イン型の搬送装置と異なり、必要な数のプレス機
械に対応して設置できること並びに設置された後
も加工回数が少ない場合は装置を停止させておく
ことができるなどの利点がある。

しかしながら、上記考案はフイードバーに相当
するアームの上下運動を上下駆動部で行い、又、
左右運動を左右駆動部で行つているので、アーム
の運動方向が異るたびに各別の駆動部を動作させ
る必要があり、このため２つの駆動部の作動タイ
ミングを正確に合わせなければアームをスムーズ
に動作させることができず、このため搬送速度を
高めることが困難であるなどの問題があつた。

（発明が解決しようとする課題） 本発明は上記した従来技術の問題点を解決する
ためのものであつて、プレス機械間に設置して隣
接するプレス機械間で加工品を搬送する搬送装置
において、フイードバーの左右方向の移動と上下
方向の移動とを、１つ駆動機構で動作できるよう
にしたことにより制御系が簡単となりタイミング
のずれがなくかつ搬送速度を高めることができる
搬送装置を提供することである。

（課題を解決するための手段） 本発明において課題を解決するための手段は、
搬送装置の機体に設けたガイドロツドにより加工
品の搬送方向である左右方向に移動する移動部材
と、この移動部材に設けたクランク軸の一方の偏
心部にコンロツドを介して連結され同時に移動部
材に上下方向に移動可能に支持されるフイードバ
ーガイドと、このフイードバーガイド内にラツ
ク・ピニオンによる増速機構を伴つて収容したフ
イードバーと、前記移動部材を駆動するためクラ
ンク軸の他方の偏心部に設けた回動部材と連結し
たベルトと、前記フイードバーの両端に設けた加
工品の保持装置とを具備することを特徴としてい
る。

（作用） フイードバーの左右移動ならびに上下移動が１
つの駆動機構によつて行われる。すなわちフイー
ドバーは搬送ベルトの往復運動により左右方向お
よび上下方向に駆動されるものであつて、搬送ベ
ルトを装着した２つのプーリの何れか一方のプー
リに移動部材が達するまでは左右方向に移動し、
移動部材がプーリに達し、移動部材に設けられた
回動部材の傾斜に伴つて上下方向に移動するよう
になつている。

フイードバーが左右方向に移動する距離を定め
るのはベルトを装着する２つのプーリの軸間距離
で決められ、又、フイードバーの上下方向に移動
する距離はプーリに沿つて移動部材が傾斜する角
度で決められる。

（実施例） 第１図及び第２図において、搬送装置１は第一
のプレス２と第二のプレス３との間に設置され
る。前記搬送装置１の機体にはNCモータ４が設
けられ、その出力軸のプーリ５と機体に設けたも
う１つのプーリ７との間にベルト６が装着されて
いる。前記ベルト６は歯付きのタイミングベルト
であつて、プーリ５，７もこのタイミングベルト
を駆動できる歯付きのものを使用する。この他に
も本装置で使用するベルトは総てタイミングベル
トである。前記プーリ７の軸にプーリ７と共に回
転するもう１つの主プーリ８が設けられている。

前記搬送装置１の機体には左右方向に２つのタ
イミングプーリ９，９が回転自在に設けられ、前
記主プーリ８との間に搬送ベルト１１をかけ、中
途にこのベルトにテンシヨンをかける目的で主プ
ーリ８とタイミングプーリ９，９との間に中間プ
ーリ１０，１０を設けている。又、前記搬送装置
１の機体には加工品の搬送方向に沿つて平行する
２本のガイドロツド１２，１２が設けられると共
に、このガイドロツド１２，１２に案内されて往
復移動する移動部材１３が摺動自在に設けられ
る。

前記移動部材１３にはフイードバーガイド１４
に垂直方向に突設したガイド軸１５，１５を摺動
自在に挿入保持している。このためフイードバー
ガイド１４は垂直ガイド軸１５，１５を伴つて上
下方向に移動する。又、フイードバーガイド１４
にはフイードバー１６が左右方向に移動可能に設
けられると共に、フイードバー１６の両端には加
工品を保持する保持装置１７，１７が設けられて
いる。

本発明では後述するように移動部材１３とフイ
ードバー１６との間に増速機構が設置されている
ので、タイミングプーリ９，９の軸間距離をプレ
ス機械間距離の４分の１とし、又、フイードバー
１６の保持装置１７，１７の取付間隔はプレス機
械間距離の２分の１としている。

前記保持装置１７，１７はフイードバー１６の
前方に張り出したアームの先端に設けたバキユー
ムカツプで構成されており、吸引用の図示しない
配管を具備している。

第３〜５図において、前記移動部材１３には左
右方向にかつ前記ガイドロツド１２と直交する方
向のクランク軸１８が両端を移動部材１３から突
出した状態で軸架されている。なお、前記クラン
ク軸１８の取付位置は前記タイミングプーリ９，
９の軸心と同じ高さになつている。

前記クランク軸１８の一方の偏心部（前部）に
はピン１９によつてコネクチングロツド２０の上
端部が軸着されており、該コネクチングロツド２
０の下端部は前記フイードバーガイド１４の長手
方向中心部とピン２１で軸着されている。

前記フイードバーガイド１４の後面は開放され
ており、この開放部に向う腕に垂直方向に回転す
るピニオン２２が設けられている。前記ピニオン
２２はフイードバーの増速機構を構成するもので
あつて、前面がフイードバー１６に設けたラツク
２３と噛み合い、後面が搬送装置１の機体に設け
た水平ラツク２４と噛みつている。又、この水平
ラツク２４は前記タイミングプーリ９，９の軸間
距離と同じ長さを有し、かつ両端部には下方張出
部２５，２５が形成されている。

さらに、前記クランク軸１８のもう一方の偏心
部（後部）には回動部材２６が設けられ、この回
動部材２６に、外周に搬送ベルト１１の歯と噛み
合う歯付係合輪２７が設けられている。又、この
歯付係合輪２７に巻き付けた搬送ベルト１１の係
合を確実なものにし、かつ搬送ベルト直線部分の
歯部のピツチを揃えるための２本の補助係止ピン
２８，２８が前記歯付合輪２７に設けられてい
る。

この他、前記回動部材２６には前記歯付係合輪
２７を挟んで搬送ベルト１１の外側に突出する長
さを有する２つのローラ２９，２９が設けられ、
この両ローラ２９，２９は搬送ベルトの直線部分
に沿つて搬送装置１の機体に設けられたガイドレ
ール３０の上面に接合させている。なお、前記ガ
イドレール３０の両端は前記タイミングプーリ
９，９の近傍まで延設されている。

次に本装置の作用を説明する。この搬送装置は
フイードバーの左右移動ならびに上下移動が１つ
の駆動機構によつて行われる。すなわち、フイー
ドバーは搬送ベルトの往復運動により左右方向お
よび上下方向に駆動される。

NCモータ４を正逆回転で駆動すると、プーリ
５、ベルト６、プーリ７が回転し、プーリ７と同
軸に設けた主プーリ８によつてタイミングプーリ
９，９に掛けた搬送ベルト１１が移動部材１３を
伴つて往復移動する。移動部材１３はガイドロツ
ド１２，１２に沿つて、タイミングプリー９，９
間では左右方向に移動してフイードバー１６を左
右方向に移動し、何れか一方のプーリ９に達する
と停止し、移動部材１３が停止している間に回動
部材２６が回動してフイードバーガイド１４と共
にフイードバー１６を上下方向に移動する。

移動部材１３がガイドロツド１２，１２に沿つ
て移動するとき、フイードバーガイド１４に設け
たピニオン２２は、搬送装置１の機体に設けた水
平ラツク２４と、フイードバー１６に設けたラツ
ク２３に噛み合つて移動する。このためフイード
バー１６はフイードバーガイド１４の移動速度で
移動すると共に機体１に対して相対移動し、従つ
てフイードバー１６は移動部材１３の移動距離の
２倍の距離を移動する。

移動部材１３がタイミングプーリ９，９間を往
復する間はフイードバー１６は左右方向に移動す
るが、この間はクランク軸１８の偏心部並びに回
動部材は２６は共に上死点の位置で停止してい
る。従つてフイードバーガイド１４内のフイード
バー１６は上昇した状態で往復移動する。

NCモータ４を正回転させて移動部材１３を第
１図で右側に向つて走行させ、第６図位置に移動
部材１３が達してクランク軸１８の中心と右側の
タイミングプーリ９の中心とが致した時は、回動
部材２６の右側ローラ２９は既にガイドレール３
０から外れ、左側のローラ２９がレール３０から
外れる直前になつている。そして搬送ベルト１１
がさらに走行を続けると左側のローラ２９もガイ
ドレール３０から外れて回動部材２６はタイミン
グプーリ９に沿つて回動する。回動部材２６の回
動角度が所望の角度θに達するとNCモータ４は
設定された回転数を検出して駆動を停止する（第
７図）。

回動部材２６が回動して第７図のように傾斜す
る間に、回動部材２６の基部に設けられたクラン
ク軸１８が回転しフイードバーガイド１４を下降
する。すなわちクランク軸１８の回転によつてコ
ンロツド２０が上死点からθ度だけ回動し、フイ
ードバーガイド１４は移動部材１３に対し垂直ガ
イド軸１５，１５と共に下降する。この時、フイ
ードバーガイド１４のピニオン２２は水平ラツク
２４の下方張出部２５と係合したまま下降するの
で両者の係合が外れるとはない。

次に、NCモータ４を逆回転させ搬送ベルト１
１を前記とは逆方向に走行させるとタイミングプ
ーリ９は第７図において反時計方向に回転する。
又、回動部材２６もクランク軸１８を中心に反時
計方向に回動し、これによりフイードバーガイド
１４と共にフイードバー１６を上昇させる。回動
部材２６が元の位置に復帰し左側のローラ２９が
ガイドレール３０に再び載置されると移動部材１
３は左方向に移動し、移動部材１３を左方向に移
動し、移動部材１３が左側のタイミングプーリ９
まで達するとこの位置で再び前記と同様にフイー
ドバー１６を下降ならびに上昇させる。これらの
動作を繰り返して行いプレス機械間で加工品を順
次搬送する。

本装置が実際に加工品を搬送する順序を第１図
によつて説明する。第一のプレス２に金型３１
が、本装置の正面に中間受台３２が、第二のプレ
ス３に金型３３がそれぞれ設置されている。又、
説明の都合上、フイードバー１６の保持装置１
７，１７のうち左側をＰ、右側をＱで表示した。

図示した状態でフイードバーが実線で示されて
いる位置では保持装置Ｐ，Ｑは加工品を吸着して
なく、金型３１，３３には加工品が供給されてお
り、中間受台３２には加工品が載置されている。
プレスが作動してスライドが下降する加工中は移
動部材１３は中央に停止しているＰ及びＱはプレ
スと干渉するのを避けている。そしてプレスのス
ライドが上昇するとＰはａ、ｂ、ｃの、Ｑはa′、
b′、c′の運動を行いＰは第一のプレス２の金型３
１から加工品を吸着し、Ｑは中間受台３２から前
工程で搬送された加工品を吸着して上昇する。

続いてＰはｄ、ｅ、ｆ、Ｑはd′、e′、f′の運動
を行い、Ｐは加工品を中間受台３２に、Ｑは加工
品を第二のプレス３の金型３３に供給する。さら
に続いてＰ，Ｑがｇ、g′の運動を行つて停止し、
この間にプレス機械によりプレス加工を行う。

（発明の効果） 本発明は、モータを制御するだけでフイードバ
ーの左右移動の両方の運動を行わせることができ
る他、前記モータと加工品を保持する保持装置と
のタイミングを合わせるだけでよいので制御系が
簡単化できる他、タイミングのずれがないので高
速運転が可能となるなどの効果がある。

又、本発明は、フイードバーと移動部材との間
に増速機構を設け、フイードバーの移動距離を移
動部材の移動距離の２倍で移動させることができ
るので装置全体を小形にできるものである。この
ためプレス機械の設置間隔を詰めることができ、
狭まい場所でも多数のプレス機械を設置すること
ができるなどの効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はプレス機械間に配置された実施例の正
面図、第２図は一部断面の側面図、第３図は第１
図の−断面図、第４図は第３図の−矢視
図、第５図は第４図のＶ矢視図、第６図及び第７
図は要部の作用説明図である。 １……搬送装置、２……第一のプレス、３……
第二のプレス、４……NCモータ、５，７……プ
ーリ、６……ベルト、８……主プーリ、９……タ
イミングプーリ、１０……中間プーリ、１１……
搬送ベルト、１２……ガイドロツド、１３……移
動部材、１４……フイードバーガイド、１５……
垂直ガイド軸、１６……フイードバー、１７……
保持装置、１８……クランク軸、１９，２１……
ピン、２０……コンロツド、２２……ピニオン、
２３……ラツク、２４……水平ラツク、２５……
下方張出部、２６……回動部材、２７……歯付係
合輪、２８……補助係止ピン、２９……ローラ、
３０……ガイドレール、３１，３３……金型、３
２……中間受台。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ プレス機械間に設置され隣接するプレス機械
   間で加工品を搬送する搬送装置において、搬送装
   置の機体に加工品の搬送方向に沿つて往復移動可
   能に設けた移動部材、前記移動部材に軸架したク
   ランク軸、前記クランク軸の一方の偏心部に軸着
   したコンロツドを介して昇降可能に設けたフイー
   ドバーガイド、前記フイードバーガイド内に摺動
   自在に収容したフイードバー、前記フイードバー
   ガイドに設けたピニオンと当該ピニオンと噛み合
   いかつ前記機体ならびに前記フイードバーとに設
   けたラツクによる増速機構、前記移動部材のクラ
   ンク軸の他方の偏心部に設けた回動部材、前記機
   体に設けた２つのプーリに装着されかつ前記回動
   部材と連結した搬送ベルト、前記フイードバーの
   両端に設けた加工素材の保持装置を具備するプレ
   ス加工品の搬送装置。