JPH0326060Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動二輪車の車体前部に装備され、
エンジン側方まで覆つているカウリングに係り、
特に整風ダクトをエンジン近傍の左右両側位置に
設けた開口に嵌着固定したカウリングに関する。

（従来の技術） 従来より第４図に示す如く自動二輪車２０の車
体前部に装備され、エンジン２１の側方まで覆つ
ているカウリング２３には、ライダーの膝部２４
（一点鎖線にて図示）にエンジン２１の熱気が当
るのを避けるため、導風穴２５を形成し、走行風
を導入するようにしている。

（考案が解決しようとする課題） ところで、上記のような構成の場合、導風穴２
５より走行風が導入されるが、エンジン２１から
の熱気はカウリング２３内の左右両側から排出さ
れ、ライダーに吹き付けられるので甚だ不快であ
る。

この為、カウリング２３に第５図に示す如く導
風穴２５以外にエンジン２１の熱気を外側方に排
出する穴２６を別途設けている。従つて、カウリ
ング２３の構造が複雑になつて成形が甚だ難しく
なるものである。また、これらの穴２５，２６の
存在によりカウリングの設計上の自由度が失われ
るものである。

そこで本考案は、走行風を導入する通路とエン
ジンの熱気を車体外側方に排出する通路を集合化
してカウリングとは別個に作り、よつてカウリン
グの構造を簡単化し、成形を容易にし、設計上の
自由度を得ようとするものである。またカウリン
グ内を広い範囲にわたつて換気でき、換気容量を
多くできて、ライダーにエンジンの熱気が当らな
いようにするものである。

（課題を解決するための手段） 上記課題を解決するための本考案による自動二
輪車のカウリングは、自動二輪車の車体前部に装
備されエンジン側方まで覆つているカウリングの
エンジン近傍左右両側位置に開口を設け、該開口
に走行風をライダー側に導入する偏平な通路とエ
ンジンの熱気を車体外側方に排出する偏平な通路
とを上下方向で交互に複数交叉させて成る整風ダ
クトを嵌着固定したことを特徴とする。

（作用） 上記のように本考案のカウリングは、エンジン
近傍左右両側位置の開口に、整風ダクトを嵌着固
定しているので、エンジンの熱気は整風ダクトの
外側方に向いた偏平な通路を通つて排出されて車
体より離れ、走行風は整風ダクトのカウリング後
方を向いた偏平な通路を通つてカウリング内側の
ライダー側に導入され、従つてライダーの脚に局
部的に熱気が当たるのが防止される。

（実施例） 本考案による自動二輪車のカウリングの一実施
例を第１図によつて説明すると、１はカウリング
で、透明な合成樹脂製のウインドシールド２、操
向ハンドル３・前照灯４を被うアツパカウリング
５及びエンジン６（第２図参照）の側部を覆うロ
アカウリング７、エンジン６（第２図）の下部を
覆うアンダーカウリング８とより成る。９はロア
カウリング７の左右両側に穿設した矩形の開口
で、該開口９はライダーがシート１０に座り、足
をステツプ１１に置いた際、ライダーの膝部が対
向する部分に位置している。この開口９には、第
２図に示す如く整風ダクト１２が嵌着固定され、
該整風ダクト１２には第３図に示す如く走行風を
ロアカウリング７の内側のライダー側に導入する
偏平な通路１３と、エンジン６の熱気を車体外側
方に排出する偏平な通路１４とを上下方向で交互
に斜めに交叉させて成るもので、本例の場合偏平
な通路１３は４本、偏平な通路１４は３本であ
る。

かように構成されたカウリングを装備せる自動
二輪車を運転走行すると、第２図実線矢印の如く
ロアカウリング７に沿つて流れる走行風は整風ダ
クト１２の４本の偏平な通路１３を通つてライダ
ー側に導入される。そしてエンジンの熱気は、第
２図点線矢印の如く整風ダクト１２の３本の偏平
な通路１４を通つて車体外側方に排出され、車体
より離れるので、ライダーの脚に局部的にエンジ
ンの熱気が吹き付けられることがなく、快適な走
行ができる。

尚、上記実施例では整風ダクト１２の通路１
３，１４が偏平であるが、これに限るものではな
く、例えば複数の円形通路を並列させたものでも
良い。また整風ダクト１２は車体前方より見て矩
形であるが、これに限るものではない。さらに、
通路１３，１４の上下方向の本数は実施例のもの
に限るものではない。

然して走行風をライダー側に導入する通路１３
にはシヤツターを設けて、雨天の走行時通路１３
を閉鎖するようにしても良い。また、図示はしな
いが寒い時には、エンジンにより暖められた暖気
をライダーの方へ、外気を外側へ排出されるよう
に整風ダクト１２の通路１３，１４を個々にその
向きを変えるようにすることもできる。

（考案の効果） 以上の説明で判るように本考案による自動二輪
車のカウリングは、走行風をカウリング内側のラ
イダー側に導入する偏平な通路とエンジンの熱気
を車体外側方に排出する偏平な通路とを上下方向
で交互に複数交叉させて成る整風ダクトを、エン
ジン近傍左右両側位置に取付けているので、ライ
ダーの脚に局部的にエンジンの熱気が当ることが
なく、快適な走行ができる。しかも気流に方向性
を持たせた偏平な通路により、ほぼ同一平面上で
の換気が可能であるので、必要な大きさの整風ダ
クトを広範囲に設けることにより、広い範囲の換
気ができ、換気容量も多くできて、カウリング内
の局部的な熱気を避けることができる。また整風
ダクトはカウリングとは個に作つて、カウリング
に穿けた開口に嵌着固定するのであるから、カウ
リング自体の構造は簡単化して、成形が容易とな
り、カウリングの設計上の自由度が回復され、変
化に富んだ形状のカウリングの製作が可能となる
等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のカウリングを備えた自動二輪
車の斜視図、第２図は本考案のカウリングに取付
けらている整風ダクトの配置関係を示す概略横断
面図、第３図は整風ダクトの斜視図、第４図は従
来のカウリングを備えた自動二輪車の斜視図、第
５図は同じく従来のカウリングを備えた自動二輪
車の斜視図である。 １……カウリング、９……開口、１２……整風
ダクト、１３……走行風をライダー側に導入する
通路、１４……エンジンの熱気を車体外側方に排
出する通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 自動二輪車の車体前部に装備されエンジン側方
   まで覆つているカウリングのエンジン近傍左右両
   側位置に、開口を設け、該開口に、走行風をカウ
   リング内側のライダー側に導入する偏平な通路と
   エンジンの熱気を車体外側方に排出する偏平な通
   路とを上下方向で交互に複数交叉させて成る整風
   ダクトを嵌着固定したことを特徴とする自動二輪
   車のカウリング。