JPH0325691Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案はコンパクト容器に係り、特に、化粧料
等を収納する容器本体を開閉する蓋体の開閉機構
を改善したコンパクト容器に関する。

《従来の技術》 従来この種のコンパクト容器は、化粧料等を収
納する容器本体の後端縁に、容器本体を開閉する
ための蓋体が蝶番等で展開自在に取り付けられ、
蓋体を閉塞状態に維持するフツクを外すと、スプ
リングの弾発力により自動的に蓋体が開くように
なつている。

《考案が解決しようとする問題点》 ところで従来スプリングの弾発力を利用して蓋
体を開閉させるようにした機構では、スプリング
のセツトフオースが強すぎると、フツクを外すと
瞬時に衝撃的に蓋体が開かれ、容器本体内に収納
されているパフ等が脱落したり、手からコンパク
ト容器が落下して破損させる等の虞れがあつた。
また他方スプリングのセツトフオースを弱くして
蓋体の開動作を緩かなものとすることが考えられ
るが、このように構成すると蓋体が充分に開かれ
ず、手で引き起こさねばならず極めて不便であつ
た。

本考案は上述したような問題点に鑑みて創案さ
れたものであり、蓋体を緩かに開作動させ得る構
造簡単なコンパクト容器を提供することを目的と
する。

《問題点を解決するための手段》 上記目的を達成するための本考案の構成によれ
ば、化粧料等を収納する容器本体を開閉するため
に、容器本体の後端縁にその基端部が回動自在に
軸支されて展開作動される蓋体を有するコンパク
ト容器において、蓋体の基端部にこれを回動させ
るべく後端を連結させた作動力伝達部材を、容器
本体の表面上に移動自在に設け、この作動力伝達
部材の移動により蓋体の基端部を回動させるよう
に構成する。容器本体には、蓋体を開成方向に展
開作動させる方向へ作動力伝達部材を弾発して移
動させるスプリング等の弾性手段を設ける。そし
てこれら容器本体の表面と、この表面上に相接し
つつ弾性手段によつて移動される作動力伝達部材
の表面との間に、この弾性手段の弾発力に抗して
作動力伝達部材の移動速度を減速させるシリコン
グリス等の高抵抗体を介在させて構成したもので
ある。

《作用》 蓋体の容器本体に対するロツクが解除されて上
記弾性手段の弾発力が作用すると作動力伝達部材
は前方に移動され、その結果作動力伝達部材の後
端が蓋体の基端部に回動力を与えて蓋体は開成方
向に展開作動されることになる。これに際し本考
案にあつては、高抵抗体の介在によつて弾性手段
の弾発力による作動力伝達部材の瞬時的且つ衝撃
的な移動変位が抑えられることになり蓋体の展開
速度を減速させて緩かに開作動させることができ
る。これはスプリングの弾性手段の弾発力が相当
の時間的経過をもつて伝達されることを意味し、
蓋体は弾発力が消失するまで充分に展開されて容
器本体を全開させることができる。またこの弾性
手段の弾発力は基本的には初期のセツトフオース
から線形的に漸減されるため、蓋体の展開速度は
開き始めで速く順次減速されてゆき、全開に至る
際の衝撃を極めて小さくすることができる。

《実施例》 以下に本考案の好適な一実施例を添附図面に従
つて説明する。

第１図乃至第３図に示すように、１はその内部
に収納凹部１ｅが形成された容器本体である。こ
の収納凹部１ｅに更に皿枠２が装着され、この皿
枠２内に化粧料等を収納するようになつている。
皿枠２は、その外側面に突設された嵌合突起２ａ
が容器本体１の内側面に凹設された嵌合凹溝１ａ
に嵌着されて収納凹部１ｅ内に支持される。

このように構成された容器本体１には、これを
開閉するために容器本体１の後端縁１ｃにその基
端部５ａが回動自在に軸支されて展開作動される
蓋体５が設けられる。具体的には、容器本体１の
後端に形成された切欠部内に蓋体５の後端から垂
下する基端部５ａが嵌挿され、この基端部５ａと
容器本体１の後端部との間にピン７が挿通されて
蓋体５は容器本体に対して回動自在に連結される
のである。そしてこの蓋体５の基端部５ａには、
作動力伝達部材３の後端３ａが連結されると共
に、この作動力伝達部材３は容器本体１の後端縁
１ｃに形成された切欠溝１ｆを介して容器本体１
内に延出されてその表面１ｄ上に移動自在に設け
られている。

図示するように作動力伝達部材３は帯体状に形
成され、蓋体５の基端部５ａに連結される後端３
ａ側が可撓的に形成されてピン７の回りに基端部
５ａを巻き込むように構成される。また皿枠２と
容器本体１の表面１ｄたる収納凹部内底面上に延
出された部分は開口部３ｃを有する枠体部３ｂと
して形成される。そして蓋体５が閉じられてこの
作動力伝達部材３がその長手方向後方に移動され
ると後端３ａがピン７回りに移動して巻き込ま
れ、蓋体５の基端部５ａに回動力を与えるように
なつている。

他方、収納凹部１ｅの底面上には作動力伝達部
材３の枠体部３ｂに形成された開口部３ｃ内に突
出させてストツパ１ｂが設けられ、このストツパ
１ｂは枠体部３ｂに係合自在となつていて作動力
伝達部材３の前方への移動量を規制して蓋体５の
開度を制限するようになつている。そして開口部
３ｃには、このストツパ１ｂと枠体部３ｂとの間
に配設され、作動力伝達部材３を前方に弾発して
容器本体１の表面１ｄ上を摺動させて蓋体５を開
成方向に付勢するためのスプリング４が設けられ
る。

そしてここに本考案にあつては、スプリング４
によつて移動される作動力伝達部材３の移動速度
を、スプリング４の弾発力に抗して減速させるた
めの高抵抗体８が設けられる。

本実施例にあつては、高抵抗体８は容器本体１
の表面１ｄとして例示した収納凹部１ｅの内底面
と、この表面１ｄ上に相接しつつ移動する作動力
伝達部材３の枠体部３ｂの下面との間、及びこの
枠体部３ｂを上方から覆う皿枠２の底面２ｂと枠
体部３ｂの上面との間に塗布されたシリコングリ
スでからなり、シリコングリスはその粘性で弾発
力に抗して作動力伝達部材３の移動速度を減速さ
せることになる。

尚、容器本体の前端縁１ｇには、蓋体５を閉塞
状態に維持するためのロツク機構１０が設けられ
る。このロツク機構１０は、皿枠２に弾発片６ａ
が当接されて容器本体１外方へ出没自在に設けら
れてなるプツシユピース６を有し、このプツシユ
ピース６は、蓋体５の前端に形成された爪片５ｂ
に係合可能となつており、このプツシユピース６
を容器本体１内方へ押し込むことで爪片５ｂとの
係合が外れるようになつている。

次に実施例の作用について述べる。

第１図〜第３図に示すように蓋体５の閉塞状態
にあつては、スプリング４の弾発力が蓋体５を開
放させようとする方向に作用し爪片５ｂがプツシ
ユピース６に確実に掛かつて閉成状態が維持され
る。

蓋体５を開方向へ作動させる際にはプツシユピ
ース６を内方へ押し込みロツク機構１０を解除す
る。これによりスプリング４は、その弾発力で作
動力伝達部材３を前方に移動させることになり、
伝達部材３の後端３ａがピン７回りに繰り出され
て蓋体５の基端部５ａに回動力を与えて蓋体５を
開方向に展開移動させてゆく。このときスプリン
グ４の弾発力は高抵抗体８たるシリコングリスに
よる抵抗力で抑えられ、作動力伝達部材３の移動
速度が減速されて蓋体５を緩かに展開作動させる
ことができる。

《考案の効果》 以上要するに本考案によれば次のような優れた
効果を発揮する。

(1) 蓋体を緩かに展開作動させることができ、蓋
体が瞬間的に且つ衝撃的に開かれるのを防止し
てパフ等が脱落されたり、手から容器本体が落
下したりするのを抑止できる。

(2) 緩かな展開動作でありながら蓋体をスプリン
グの弾発力が消失するまでフルストロークで充
分に開放させることができる。

(3) 構造が簡単で容易に採用できる。

(4) コンパクト容器の高級感を高め得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の好適一実施例を示すコンパク
ト容器の閉塞状態の側断面図、第２図はその開放
状態の側断面図、第３図は分解斜視図である。 １……容器本体、３……作動力伝達部材、４…
…スプリング、５……蓋体、８……高抵抗体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 化粧料等を収納する容器本体を開閉するため
   に該容器本体の後端縁にその基端部が回動自在
   に軸支されて展開作動される蓋体を有するコン
   パクト容器において、上記蓋体の基端部に後端
   が連結されると共に上記容器本体に移動自在に
   設けられ、移動されて該蓋体の基端部を回動さ
   せる作動力伝達部材と、該作動力伝達部材を弾
   発移動させて上記蓋体を開成方向に展開作動さ
   せるための弾性手段と、該弾性手段の弾発力に
   抗して上記作動力伝達部材の移動速度を減速さ
   せるための高抵抗体とを備えてなることを特徴
   とするコンパクト容器。 (2) 上記高抵抗体が、上記容器本体の表面と該表
   面上に相接しつつ移動する上記作動力伝達部材
   の表面との間に塗布されその粘性で弾発力に抗
   するシリコングリスからなることを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第１項記載のコンパク
   ト容器。