JPH0451689Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案はコンパクト容器に関するもので、より
具体的には、容器本体の後端部に蓋体を開閉自在
に結合し、この容器本体の前方に切欠凹所を形成
するとともにこの凹所内に第１の係合突片を設
け、蓋体の前端部に爪片を垂設してこの爪片に第
２の係合突片を設け、蓋体を容器本体に対して閉
じた時に上記第１の係合突片と上記第２の係合突
片とが係止するようにしてなるコンパクト容器に
関するものである。

＜従来の技術＞ 従来、この種のコンパクト容器においては、蓋
体と容器本体との係止解除を容易ならしめるた
め、容器本体の前方における凹所内に摺動自在ま
たは回動自在なプツシユピースを設け、このプツ
シユピースを内方へ押圧すると、この押圧力の一
部が蓋体の上方開放力に変換されるものが公知と
なつていた。

しかしながら、この公知のコンパクト容器では
プツシユピースが容器本体の前端縁部に設けられ
ているため、蓋体の容器本体に対する係止を解い
て蓋体を開放する操作手順としては、例えば、左
手の親指でプツシユピースを押圧して係止を解い
た後に右手の親指で蓋体を充分な角度まで開放す
るとか或いは左手の掌に容器本体を載せて右手の
親指でプツシユピースを押圧して係止を解いた後
に、その親指を蓋体の前端に掛けて蓋体を開放す
ると言った操作が一般的であつた。

上記従来のコンパクト容器では蓋体の開放のた
めに両手の指を使用したり、同じ指でも持ち方を
変える等の２動作が必要とされていた。

このため、プツシユピースを蓋体の前端部に設
け、このプツシユピースを、例えば右手の親指で
内方に押圧して蓋体と容器本体との係止を解くと
ともにその親指を上方に持ち上げれば蓋体を所望
の位置まで開放することのできるコンパクト容器
が提供されている。

＜考案が解決しようとする課題＞ しかしながら、プツシユピースを蓋体側に設け
た従来のコンパクト容器においては、プツシユピ
ースの押圧部は蓋体と容器本体の中央仕切線上或
いはこれより上方に設けられ、容器本体の前端縁
と略同一垂直面上に位置しているため、例えば容
器本体を左手の掌に載せて蓋体を開放する場合に
は、右手の親指の指先下端部でプツシユピースを
押圧してやる必要があり、親指の腹でプツシユピ
ースを押圧すると、その親指の指先下端部が容器
本体の前端縁に当たり、親指を持ち変えないと蓋
体を開けにくいと言つた問題があつた。

また、このプツシユピースの押圧方向は略水平
方向で蓋体の開放方向は斜め上方であるから、プ
ツシユピースを押圧する指は持ち変えないとして
も、それに加える力の方向は係止を解除する時と
蓋体を開ける時とで変える必要があつた。

さらに、プツシユピースの形状によつては、プ
ツシユピースに加えられた押圧力が蓋体と容器本
体を分離する垂直方向の力と蓋体と容器本体の係
止を強めるような後方への水平方向の力に分けら
れ、後者の力は蓋体を開放するのに全く逆効果の
作用となり、蓋体を開放するには比較的強い力が
必要となつていた。

本考案は上記のような問題点に鑑みてなされた
もので、その目的は、容器本体を左手の掌に載せ
た場合に、右手の親指の先を幅広くプツシユピー
スに押し当てることができるともにその親指を斜
め上方に押し上げる力をプツシユピースに加える
ことによつて、また、比較的小さな力で蓋体と容
器本体の係止を解除することができるとともに同
方向の力によつて蓋体を比較的大きな角度まで開
放することのできる操作性に優れたコンパクト容
器を提供するにある。

＜課題を解決するための手段＞ 上記の目的を達成するため、本考案に係るコン
パクト容器では、容器本体の後端部に蓋体を開閉
自在に結合し、容器本体の前方に切欠凹所を形成
するとともに凹所内に第１の係合突片を設け、蓋
体の前端部に爪片を垂設して爪片に第２の係合突
片を設け、蓋体を容器本体に対して閉じた時、第
１の係合突片と第２の係合突片とが係止するよう
にしてなるコンパクト容器において蓋体の前端部
にプツシユピースの上方腕部を結合し、上方腕部
の前端からは下方に延出する被圧部を一体的に形
成して前後に揺動可能とするとともに、蓋体が閉
止している時切欠凹所の前面を覆うようにし、切
欠凹所には断面略逆「Ｌ」字形の作動片を前後方
向に回動可能に枢着し、作動片の上方部が蓋体内
面に当接または近接し、プツシユピースの被圧部
を後方に押圧すると作動片が被圧部によつて後方
に押圧されて回動するとともに、上方部が蓋体を
上昇させるようにしてなるのである。

＜実施例＞ 以下に本考案の好適な実施例を添附図面を参照
にして説明する。

図において、１は容器本体を示し、この容器本
体１の上面には化粧料を収納するための凹部２が
形成されている。容器本体１の前端縁中央部は上
方および前方が切欠され、切欠凹所３が形成され
ており、この切欠凹所３の奥面には第１の係合突
片４が一体的に形成されている。また容器本体１
の後端部には蓋体５がピン６を介して開閉自在に
蝶着されている。

蓋体５はその内面に鏡を接着してなり、蓋体５
の前方内側からは爪片７が垂設され、この爪片７
の内面には係合突片８が一体的に形成されてい
る。そしてこの爪片７は蓋体５を閉じた時に容器
本体１の前端部の切欠凹所３内に入り、上記第１
の係合突片と第２の係合突片８が係止して蓋体５
が止錠されるようになつている。

蓋体５の爪片７の上端中央部には透孔９が穿設
され、この透孔９の内奥には段部を介して拡大さ
れた係止孔１０が形成されている。この透孔９お
よび係止孔１０にはプツシユピース１１の上方腕
部１２が圧入され、圧入後は上方腕部１２の後端
に形成された係止部１３が段部に係止して引き抜
けないようになつている。

プツシユピース１１はヒンジ特性を有する合成
樹脂から形成され上記上方腕部１２の前端にはヒ
ンジ部１２ａを介して下方に延出する被圧壁部１
４が一体的に形成されて前後方向に揺動可能とな
つている。この被圧壁部１４は蓋体５の止錠状態
において第１図および第２図に示すように蓋体５
より垂下された爪片７および容器本体１の切欠凹
所３の前面を覆うように形成されている。またこ
の被圧壁部１４は蓋体５および容器本体１の前端
部における弯曲面と同一曲率で弯曲形成されてい
て蓋体５の止錠状態において蓋体５および容器本
体１の面と段差なく連接されるようになつてい
る。

一方、本考案では容器本体１の切欠凹所３に作
動片１５が配設されている。作動片１５は第４図
に示すように後方かつ水平に延出する上方部１６
と上方部前端より斜め前方に下降する下降部１７
より成り、断面略逆「Ｌ」字形となつている。上
方部１６の後端は二又状に形成されていて、この
二又の間隔は爪片７の横幅より広くなつている。
また、下降部１７の側面中央部は鍵形に切欠され
て軸支部１８−１８が形成されていてこれが切欠
凹所３内面より突出形成された軸部１９−１９と
嵌合することにより作動片１５はこの軸部１９−
１９を中心として前後に回動自在となる。そし
て、第１図および第２図に示すように蓋体５の止
錠状態において作動片１５の上方部１６の上面は
蓋体５の下面に当接している。また、作動片１５
の下降部１７の前面下部はプツシユピース１１の
被圧壁部１４の下端と近接または当接している。

蓋体５の止錠状態から蓋体５を開放するにはプ
ツシユピース１１の被圧壁部１４の下方を上方か
つ後方に押圧すると被圧壁部１４が後方に揺動し
て作動片１５を後方へ押圧するようになる。する
と作動片１５は軸部１９を中心として後方に回動
し、これによつて作動片１５の上方部１６は上方
かつ前方に回動して蓋体５を押し上げ、蓋体５よ
り垂下された爪片７が上昇させられ、爪片７に形
成された第２の係合突片８が切欠凹所３内に形成
された第１の係合突片４より離脱して第３図に示
すように蓋体５の止錠が解除される。

その後、プツシユピース１１の被圧壁部１４を
押し続けると、作動片１５は後方への回動を続
け、上方部１６の後端が上昇するとともに、蓋体
５を押し上げて、蓋体５は比較的大きな角度に開
放される。

＜効果＞ 以上のように、本考案に係るコンパクト容器で
は蓋体の前方にプツシユピースの上方腕部を結合
し、プツシユピースの被圧部を前後方向に揺動可
能とするとともに蓋体が閉じている時前記被圧部
が容器本体に設けられた切欠凹所の前面を覆うよ
うにし、前記切欠凹所内には断面略逆「Ｌ」字形
の作動片を前後方向に回動可能に結合し、前記プ
ツシユピースの被圧部を押圧すると前記作動片が
後方に回動し、作動片の上方部が蓋体を押し上げ
るような構成となつている。そのため、プツシユ
ピースを押圧する際プツシユピースと指先との接
触面積が広くなり、プツシユピースを押圧する力
は作動片によつて蓋体と容器本体を分離する方向
の力となるので、プツシユピースに加える力は効
率よく蓋体の止錠を解除する力となり、さらにそ
の後蓋体を開放するのにも、蓋体の止錠を解除す
るのと同方向の力をプツシユピースに加えること
によつて作動片の上方部が蓋体を確実に上昇さ
せ、蓋体の開放操作性に優れたものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るコンパクト容器の蓋体の
止錠状態を示す断面図、第２図は蓋体の止錠状態
における係止部の部分拡大断面図、第３図は蓋体
の止錠を解除したときの係止部の部分拡大断面
図、第４図は作動片の斜視図である。 １……容器本体、３……切欠凹所、４……第１
の係止突片、５……蓋体、７……爪片、８……第
２の係止突片、１１……プツシユピース、１２…
…上方腕部、１４……被圧壁部、１５……作動
片、１６……上方部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 容器本体の後端部に蓋体を開閉自在に結合し、
   該容器本体の前方に切欠凹所を形成するとともに
   該凹所内に第１の係合突片を設け、該蓋体の前端
   部に爪片を垂設して該爪片に第２の係合突片を設
   け、該蓋体を該容器本体に対して閉じた時、該第
   １の係合突片と該第２の係合突片とが係止するよ
   うにしてなるコンパクト容器において該蓋体の前
   端部にプツシユピースの上方腕部を結合し、該上
   方腕部の前端からは下方に延出する被圧部を一体
   的に形成して前後に揺動可能とするとともに、該
   蓋体が閉止している時該切欠凹所の前面を覆うよ
   うにし、該切欠凹所には断面略逆「Ｌ」字形の作
   動片を前後方向に回動可能に枢着し、該作動片の
   上方部が該蓋体内面に当接または近接し、該プツ
   シユピースの該被圧部を後方に押圧すると該作動
   片が該被圧部によつて後方に押圧されて回動する
   とともに、該上方部が該蓋体を上昇させるように
   してなるコンパクト容器。