JPH03232114A - 磁気記録媒体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野］ 本発明は、蒸着、スパッタリング等の手法によって強磁
性金属薄膜を非磁性支持体上に形成した、所謂蒸着型の
磁気記録媒体に関する。

（発明の概要〕 本発明は、非磁性支持体上に下塗り液の溶媒の表面張力
γＬが前記非磁性支持体の臨界表面自由エネルギーＴ、
より小さい上記下塗り液を塗布してその塗膜を形成した
後、蒸着等の手段８こよって強磁性金属薄膜を形成する
ことにより、下塗りの際に発生する乾燥によるシミを防
止し、ドロップアウトの少ない磁気記録媒体を提供する
ものである。

〔従来の技術〕

磁気テープや磁気ディスク等の磁気記録媒体としては、
ポリエステルフィルム等の非磁性支持体上に強磁性体の
微粉末である磁性粉末や樹脂結合剤、有機溶剤、各種添
加剤等を混合分散して調製される磁性塗料を塗布するこ
とで磁性層が形成された、所謂塗布型の磁気記録媒体が
広く用いられている。

これに対して、高密度磁気記録への要求の高まりととも
に、金属あるいはＣｏ−Ｎｉ合金等の合金からなる磁性
材料を、メツキや真空薄膜形成技術（真空茎着法、スパ
ンタリング法、イオンプレーチイング法等）により直接
ポリエステルフィルｌ、等の非磁性支持体上に被着して
金属磁性薄膜を形成した、所謂蒸着型の磁気記録媒体が
提案され注目を集めている。この茎着型の磁気記録媒体
は抗磁力、角形比、短波長域における電磁変換特性等に
優れること、磁性層の厚みを極めて薄くすることが可能
であるために記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さ
いこと、磁性層中に磁性材料であるバインダー等を含有
しないために磁性材料の充填密度を高（できる等の数々
の利点を存している。

一般に、上述のような蒸着型の磁気記録媒体では、良好
なＳＮ比を得るために、表面平滑性の向上が行われてい
る。ところが、この磁気記録媒体の表面平滑性が高くな
ると、磁気ヘットやガイドローラー等の慴動部材に対す
る実質的な接触面積が大きくなり過ぎて、走行性が低下
し、例えば凝着現象（所謂貼りつき）が起きやすくなる
等の問題が生しる。

この磁気記録媒体は上述のように磁性層の厚みが極めて
薄い（例えば、２００ｎｍ程度）ので、その表面粗さは
非磁性支持体の表面状態によって殆ど決定される。そこ
で、非磁性支持体の表面に微細な凹凸を形成することに
より、表面平滑性を下げて、上述のような走行性の問題
を改善している。この微細な凹凸を形成する方法として
、非磁性支持体の表面に例えばエマルジョンの塗膜を形
成する技術が知られている。

〔発明が解決しようとする課題］ 上述のエマルジョンの塗膜を形成する技術では、従来よ
り、水を溶媒とする水系のエマルジョンが使用されてい
る。この水系のエマルジョンにおいて、エマルジョンを
塗布した後の乾燥によって非磁性支持体の表面にシミが
発生することがある。

このシミの発生により、所謂ドロップアウトが起こりや
すくなり、例えばビデオテープレコーダーを用いて静止
画像を連続に再往するような場合には磁性層の寿命が著
しく低下する。

そこで、本発明は、かかる従来の実情に鑑みて提案され
たものであって、下塗りの際に発生する乾燥によるシミ
を防止し、ドロップアウトの少ない磁気記録媒体を提供
することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の磁気記録媒体は、上述の目的を達成せんものと
長期に亘り鋭意研究を重ねた結果、下塗り液の溶媒の表
面張力γＬが非磁性支持体の臨界表面自由エネルギーＴ
ｃより小さい時に、下塗り液が非磁性支持体に対して良
好に濡れ、前述のシミを解消できることを見出すに至っ
た。

本発明は、このような知見に基づいて完成されたもので
あって、非磁性支持体上に下塗り液の塗膜が形成され、
さらにその上に強磁性金属薄膜が形成されてなり、上記
非磁性支持体の臨界表面自由エネルギーγＣと上記下塗
り液の溶媒の表面張力γＬとの間にγＣ〉γ、なる関係
が成り立つことを特徴とする。

本発明においては、非磁性支持体の臨界表面自由エネル
ギーγＣと下塗り液の溶媒の表面張力ｒＬがｒｃ＞γ、
なる条件を満足するようにそれぞれを制御する。

上記条件を満足せしめるためには、下塗り液の溶媒とし
て、例えば水と相溶し水よりも低い表面張力を有する有
機溶剤と水との混合系を使用すればよい。即ち、前記有
機溶剤の含有率を増加させると、下塗り液の溶媒の表面
張力γＬが低下し、非磁性支持体に対する下塗り液の濡
れが良好になる。例えば、前記下塗り液の溶媒としてノ
ルマルプロピルアルコールと水の混合系を用いる場合、
ノルマルプロピルアルコールの濃度を１００％とすれば
、下塗り液の濡れが向上し、シミの発生が抑えられる。

ただし、前記溶媒中のアルコール濃度を増大させると、
例えば下塗り液としてエマルジョンを使用した場合、所
謂溶剤破壊を起こしやすくなるため、下塗り液に含まれ
る高分子材料にはアルコール濃度が高い分散媒中でも安
定であることが要求される。従って、これらの量を考慮
して、溶媒を選択することが好ましい。

或いは、非磁性支持体に表面処理を施してもよい。即ち
、前記非磁性支持体にイオンボンバードコロナ放電、マ
ットの塗布等の表面処理を行うと、非磁性支持体の臨界
表面自由エネルギーγ、が増大する。

本発明において使用できる下塗り液としては、例えばエ
マルジョンが使用可能である。前記エマルジョンには種
々のものがあるが、代表的にはアクリル酸エステル系重
合体や合成ゴム系重合体を主成分とするものである。こ
れらの重量平均分子量やゲル成分含有率は、重合時間１
重合点度等を適宜選択することにより調節することがで
きる。

〔作用〕

本発明の磁気記録媒体では、非磁性支持体上に下塗り液
の塗膜が形成される。前記下塗り液の溶媒の表面張力γ
Ｌが上記非磁性支持体の臨界表面自由エネルギーＴｃよ
り小さくなるように制御されるので、上記非磁性支持体
に対する前記下塗り液の濡れが良好となる。従って、乾
燥によるシミの発生が抑えられる。

このような磁気記録媒体は、磁気へノドと摺接しながら
長時間走行した後にもシミの発生によるドロップアウト
が生しる虞れがなく、良好な走行性を維持することがで
きる。

〔実施例］ 以下、本発明を具体的な実験結果に基づいて説明するが
、本発明がこの実施例に限定されるものではないことは
言うまでもない。

先ず、エマルジョンの分散媒として、純水にノルマルプ
ロピルアルコールを添加し、その添加量を変化させて純
水とノルマルプロピルアルコールの混合液の表面張力γ
、を表面張力計（ＣＢＶＰＡ３型）により測定した。

第１図は上記混合液中のノルマルプロピルアルコールの
濃度〔重量％］とその表面張力［ｄｙｎ／ｃｍ３の関係
を示す図である。第１図に示すように、純水に１０重量
％程度のノルマルプロピルアルコールを添加しただけで
、その表面張力は約４０ｄｙｎ／ｃｍも低下した。更に
、ノルマルプロピルアルコールの濃度を増加させると、
その表面張力は徐々に減少し、例えば、純水：ノルマル
ブ口ビルアルコール−３＝７の割合で混合された混合液
の表面張力は２５　ｄｙｎ／ｃｍとなった。

次に、第１図に示す結果をもとにして、分散媒の表面張
力γ、が異なる４種のエマルジョンａｂ、ｃ、ｄを調製
した。これらのエマルジョンａ。

ｂ、ｃ、ｄに用いた純水とノルマルプロピルアルコール
の混合液の組成及びその混合液の表面張力γＬは第１表
に示す通りである。なお、本実施例のエマルジョンとし
てはアクリル酸エステル系重合体を主成分とするものを
使用した。

（以下余白） 第１表 上述のエマルジョンａを臨界表面自由エネルギＴｃが３
５．９　（ｄｙｎ／ｃｍ）である非磁性支持体Ａ上に塗
布した。

皇施拠Ｉ 上述のエマルジョンｄを臨界表面自由エネルギＴｃが２
３．３　［ｄｙｎ／ｃ＋＋＋）である非磁性支持体Ｂ上
に塗布した。

１較■よ 上述のエマルジョンｂを上記非磁性支持体Ａ上に塗布し
た。

止較撚Ｉ 上述のエマルジョンＣを上記非磁性支持体Ａ上に塗布し
た。

ル較班Ｊ 上述のエマルジョンａを上記非磁性支持体Ｂ上Ｃ１：塗
布した。

なお、上記臨界表面自由エネルギーγ、は物質固をの値
であり、エマルジョンの分散媒の表面張力γＬよりも大
きいとき、非磁性支持体に対するエマルジョンの濡れが
良好であることを表す。この臨界表面自由エネルギーγ
、はエマルジョンの分散媒の表面張力γ１とｃｏｓθ（
θは接触角）の相関を取り、ｃｏｓθ−１における表面
張力γＣの値とする。上記接触角θはフェース（ＦＡＣ
Ｅ）の接触角計（ＣＡ−Ｓ　１５０）を用いて滴下後５
秒以内に測定し、３回の平均値とした。

まず、上述の実施例１，２及び比較例１〜３について、
乾燥によるシミの発生について検討した。

シミの発注の判定は以下の通りである。

Ｏ：全体に全く又は殆どシミがない。

△：エマルジョンの単位塗布面積ＣＣＩＪ）当たりに１
００〜２００個程度存在する。

×：エマルジョンの単位塗布面積〔ｃｄ〕当たりに約２
００個以上存在する。

更に、実施例１．２及び比較例１〜３に対してそれぞれ
磁性層を設けてビデオテープを作成した場合のドロップ
アウト、総合画質及びヘッド損傷について検討した。即
ち、強磁性金属薄膜をＭ着等の方法により成膜し、通常
の工程を経てから８［ｎｍ幅に裁断して８■ビデオカセ
ツトに組み込んだ。

ドロップアウト〔個／分］はこのビデオテープをＩＯμ
ｓｅｃ間再生し、出力が１６ｄＢ低下した時のドロップ
アウトの数量を測定することにより評価した。

また、総合画質の判定は以下のｉ！１りである。

○：良好。

△：やや不良。

×：不良。

更に、ヘッド損傷の判定は以下の通りである。

Ｏａｔ員傷なし。

△：やや損傷あり。

Ｘ；かな／）損傷される。

以上、シミの発生、ドロップアウト、総合画質及びヘッ
ド損傷を評価した結果を第２表に示す。

第２表 ■ 第２表より、同一条件のもとではシミの発生ドロップア
ウト、総合画質及びヘッド損傷はいずれも同し傾向がみ
られた。これにより、ドロップアウトや画質の低下、ヘ
ッド損傷はシミの発生に起因すると考えられる。

また、本発明の条件を満足する実施例１．２では、シミ
の発生が殆ど見られず、良好な結果が得られた。これに
対して、本発明の条件を満たしていない比較例１〜３に
ついては、多数のシミが発生し、それに伴って磁気記録
媒体の品質が劣化した。従って、非磁性支持体の臨界表
面自由エネルギーγＣがその上に塗布されるエマルジョ
ンの分散媒の表面張力Ｔ、よりも大きいとシミの発生が
抑えられ、臨界表面自由エネルギー７ｃとエマルジョン
の分散媒の表面張力γ１の差を大きくするほど、優れた
品質を有する磁気記録媒体が得られることが判った。

また、上述の非磁性支持体について表面処理を施し、そ
の非磁性支持体の臨界表面自由エネルギＴｃを変化させ
た場合について、シミの発生を検討した。

実施■ユ 使用される分散媒（純水：ノルマルプロビルアルコール
＝３　：　７）の表面張力γＬが２５　ｄｙｎ／ｃｔｎ
であるエマルジョンｅを上記非磁性支持体Ａ上に塗布し
た。

ｚ振■工 大気中で５０ｋＶを印加してコロナ放電による表面処理
を施し、臨界表面自由エネルギーγＣを４９、　Ｏｒｄ
ｙｎ／ｃｍ）に調節した非磁性支持体Ｃ上に上記エマル
ジョンｅを塗布した。

夫上±立 実施例８と同様に表面処理を施し、臨界表面自由エネル
ギーγＣを３８．　Ｏ［ｄｙｎ／ｃｍ）に調節した非磁
性支持体り上に上記エマルジョンｅを塗布した。

、旧教」目ユ 上記エマルジョンｅを上記非磁性支持体Ｂ上に塗布した
。

上述の実施例３〜５及び比較例４について、乾燥による
シミの発生について検討したところ、第３表に示すよう
な結果が得られた。

第３表 実施例３〜５では、非磁性支持体Ａ、Ｃ，Ｄの臨界表面
自由エネルギーγＣがエマルジョンｅの分散媒の表面張
力ｒ、よりも大きく、本発明の条件を満たしている。こ
のような実施例３〜５については、第３表に示すように
、シミが殆ど発生せず、良好な結果が得られた。従って
、表面処理を行って臨界表面自由エネルギーＴ、をエマ
ルジョンの表面張力Ｔ、よりも大きくなるようにｔＡ節
する、二とにより、シミの発生を抑えることができる。

〔発明の効果〕

上述の説明からも明らかなように、本発明の磁気記録媒
体においては、非磁性支持体に表面処理を施したり、或
いはエマルジョンの分散媒中にその表面張力γＬを下げ
るような有機溶剤を添加することにより、上記非磁性支
持体の臨界表面自由エネルギーｒｃが上記エマルジョン
の表面張力γＬより大きくなるように調節しているので
、乾燥によるシミの発生を抑えることができる。これに
より、ドロップアウトが低減され、更には画質の低下や
ヘッド損傷が少ない高品質の磁気記録媒体が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はエマルジョンの分散媒中におけるノルマルプロ
ピルアルコールの濃度〔重量％］と表面張力Ｃｄｙｎ／
ｃｍ）の関係を示す特性図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 非磁性支持体上に下塗り液の塗膜が形成され、さらにそ
   の上に強磁性金属薄膜が形成されてなり、上記非磁性支
   持体の臨界表面自由エネルギーγ＿Ｃと上記下塗り液の
   溶媒の表面張力γ＿Ｌとの間にγ＿Ｃ＞γ＿Ｌ なる関係が成り立つことを特徴とする磁気記録媒体。