JPH0540930A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JPH0540930A
JPH0540930A JP19516891A JP19516891A JPH0540930A JP H0540930 A JPH0540930 A JP H0540930A JP 19516891 A JP19516891 A JP 19516891A JP 19516891 A JP19516891 A JP 19516891A JP H0540930 A JPH0540930 A JP H0540930A
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JP
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magnetic
amount
binder
metal powder
ferromagnetic metal
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JP19516891A
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English (en)
Inventor
Hideyuki Ueda
英之 植田
Masayuki Sakai
政行 界
Yoriko Takai
より子 高井
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁性粉として強磁性体金属粉末を用いた塗布
型の磁気テープ,磁気ディスク等の磁気記録媒体におい
て、バインダーの適合性や添加方法が適正でないために
スペーシングロスが増大したり、ヘッドと磁気テープが
張り付いてしまうという課題を解決し、電磁変換特性,
走行安定性および耐久性に優れた磁気記録媒体およびそ
の製造方法を提供する。 【構成】 強磁性体金属粉末表面への吸着量が100mg
/g以上である塩化ビニル系共重合樹脂と強磁性体金属
粉末表面への吸着量が100mg/g以上でありガラス転
移温度(Tg)が5〜35℃であるポリウレタン樹脂と
上記強磁性体金属粉末表面への吸着量が70〜85mg/
gでありガラス転移温度(Tg)が−30〜5℃である
ポリウレタン樹脂の計3種類よりなるバインダーを有
し、磁性層表面の臨界表面張力γCを23.0×10-5
〜28.0×10-5N/cmとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁性粉として強磁性体金
属粉末を用いて塗布型の磁気テープ,磁気ディスク等の
磁気記録媒体に関するものであり、特に電磁変換特性,
走行安定性,耐久性に優れた磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、特に高密度記録への要求が高ま
り、ビデオ,オーディオ機器,コンピュータ等に用いら
れる磁気テープ,磁気ディスク等の磁気記録媒体では、
記録波長とトラック幅の微小化、磁性層ならびに支持体
の薄膜化を実現することが極めて重要となってきてい
る。
【0003】このため磁性層の保磁力(Hc),残留磁
束密度(Br)をもとに大きくでき、短波長領域におけ
る再生出力の向上に適した強磁性体金属粉末が採用され
るようになった。しかしながら強磁性体金属粉末は、従
来の酸化物系磁性粉末に比べて、飽和磁化(σS)が大
きく、しかも低ノズル化を達成する目的で微粒子化され
ているために、磁性塗料中で凝集構造を形成しやすく、
その結果磁性粉の配向性が不充分となり、磁性層中の磁
性粉の充填性を期待通りに向上させることが困難となっ
たり、磁性層の表面性,機械的強度等が悪化し、高いレ
ベルの電磁変換特性,耐久性を得にくいという問題が生
じた。
【0004】そこで従来より強磁性体金属粉末の分散性
を改善する目的で、バインダー中に−SO3M,−OS
3M,−COOM,−PO(OM)2(式中、Mは水素
原子またはアルカリ金属)といった極性基を導入する方
法が提案されている(特開昭61−158023号公
報、及び特開昭2−35621号公報)。
【0005】また再生出力を向上させるためには、磁気
テープとヘッド間のスペーシングロスを減少させること
が重要であり、そのためには磁性総表面の超平滑化を達
成することが必要不可欠である。しかしながら磁性層の
表面性が向上し、ヘッド等のビデオデッキ走行系摺動部
材との真実接触面積が増加するにつれて、磁性層面の摩
擦係数は大きくなり、磁気テープの走行性が不安定にな
りがちである。
【0006】そこで従来より磁性総面の摩擦を低下させ
る目的で、磁気記録媒体の磁性層中にミリスチン酸,ス
テアリン酸,オレイン酸の如き高級脂肪酸を添加するこ
とが知られている。さらに特開昭61−42733号公
報に開示されているように、テープの走行安定性及び耐
久性を改善する目的で脂肪酸と脂肪酸エステルの混合
比,添加量を特定することが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来より
行われてきた方法を用いて、優れた電磁変換特性,走行
安定性及び高耐久性を兼ね備えた磁気記録媒体を提供す
ることは非常に困難であり、様々な問題が生じている。
【0008】たとえばバインダーに導入する極性基の濃
度は、強磁性体金属粉末の比表面積,形状,飽和磁化
(σS)の大きな等を充分に考慮して決定しなくてはな
らない。むやみに極性基の濃度を高くしすぎた場合に
は、極性基間の強い相互作用によりバインダーがゲル化
し、かえって磁性粉表面に吸着するバインダー量が減少
し、磁性粉の分散性が悪化してしまう。逆に極性基の濃
度が低すぎた場合には、磁性粉表面へのバインダーの吸
着量が少なくなり、磁性粉の分散性が悪くなる。極性基
の濃度が適度であるバインダーを用いた場合であって
も、その使用量が多すぎた場合には、磁性層表面に過剰
なバインダーが存在するために磁気テープとヘッド間の
スペーシングロスが増大し、電磁変換特性の低下を招い
てしまう。
【0009】また磁気テープの走行安定性を確保し、耐
久性を改善するために、単に使用する潤滑剤の混合比,
添加量を特定するだけでは、添加した潤滑剤が実際にど
れくらい磁性層表面に存在しているのか、いわゆる“浮
き出し量”がどれくらいか、を判断することは極めて困
難であった。すなわち上記方法で特定された量だけ潤滑
剤を磁性層中に含有させた場合においても、磁性粉の表
面状態および分散状態等に違いがあることから、磁性層
表面に潤滑剤がブリードアウトする量が不足し、所定の
走行安定性,耐久性が得られなくなったり、逆に多量に
ブリードアウトするために、磁気テープとヘッド間のス
ペーシングロスが増大して再生出力が低下したり、ヘッ
ドと磁気テープとが張り付くという現象が発生するなど
の課題を有していた。
【0010】本発明は上記課題を解決するものであり、
電磁変換特性,走行安定性,耐久性に優れた磁気記録媒
体およびその製造方法を提供することを目的としてい
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、強磁性体金属粉末表面への吸着量が100
mg/g以上である塩化ビニル系共重合樹脂と強磁性体金
属粉末表面への吸着量が100mg/g以上でありガラス
転移温度(Tg)が5〜35℃であるポリウレタン樹脂
と強磁性体金属粉末表面への吸着量が70〜85mg/g
でありガラス転移温度(Tg)が−30〜5℃であるポ
リウレタン樹脂の計3種類のバインダーを用いて得られ
た磁性塗料よりなり、その磁性塗料を塗布して形成した
磁性層表面の臨界表面張力γCを23.0×10-5〜2
8.0×10-5N/cmとしたものである。また、磁性塗
料製造時に上記3種類のバインダーの添加順序を強磁性
体金属粉末を溶剤にて湿潤させた後、強磁性体金属粉末
表面への吸着量が100mg/g以上である塩化ビニル系
共重合樹脂と強磁性体金属粉末表面への吸着量が100
mg/g以上でありガラス転移温度(Tg)が5〜35℃
であるポリウレタン樹脂との混合バインダー溶液を先に
添加し混練を行い、次に強磁性体金属粉末表面への吸着
量が70〜85mg/gでありガラス転移温度(Tg)が
−30〜5℃であるポリウレタン樹脂を添加するという
順序としたものである。
【0012】
【作用】したがって本発明によれば、吸着能力の大きい
塩化ビニル系共重合樹脂とポリウレタン樹脂とで強磁性
体金属粉末表面を均一に被覆することができる。この
際、吸着しているポリウレタン樹脂のガラス転移温度
(Tg)が比較的低温であるため、磁性粉の分散性の向
上のみならず、強靱で柔軟性のある磁性塗膜を実現する
ことができる。さらに磁性粉に吸着固定しにくいく、し
かもガラス転移温度(Tg)が低いポリウレタン樹脂が
磁性塗料中に適当量存在するため、カレンダー性が改善
され、磁性層の表面性が良好となり、優れた電磁変換特
性を得ることができる。また磁性層表面に存在する潤滑
剤量、いわゆる“浮きだし量”を磁性層表面の臨界表面
張力γC値に置き換えて考えることにより、必要以上の
潤滑剤を磁性塗料中に添加することがなくなり、走行安
定性を確保しつつ、塗膜強度を向上させることが可能と
なる。
【0013】
【実施例】本発明に用いられる強磁性体金属粉末として
は、Fe,Fe−Co,Fe−Co−Ni等の針状金属
粉末を挙げることができる。さらに耐候性、または製造
時の焼結防止等を考慮して、Al,Cr,Si等の微量
の添加金属を含有させた針状金属粉末を用いることもで
きる。
【0014】以下本発明の一実施例について詳しく説明
する。なお実施例および比較例において記載した材料の
各部数は、強磁性体金属粉末の重量を100重量部とし
た場合の重量部数を示す。
【0015】(実施例1) 強磁性体金属粉末 ・・・100重量部 (比表面積57m2/g 飽和磁化120emu/g 保磁力15600e吸着 水分量0.99wt%) 塩化ビニル系共重合樹脂 ・・・ 8重量部 (日本ゼオン(株)製、MR−110 ガラス転移温度59℃) ポリウレタン樹脂(PU1) ・・・ 5重量部 (東洋紡績(株)製、AM−97 ガラス転移温度32℃) ポリウレタン樹脂(PU2) ・・・ 4重量部 (東洋紡績(株)製、UR−8700 ガラス転移温度−23℃) 研磨剤 ・・・ 7重量部 (住友化学工業(株)製、AKP−50) カーボンブラック ・・・ 1重量部 (東海カーボン(株)製、#3800) 潤滑剤 ・・・ 4重量部 ステアリン酸 ・・・ 2重量部 ミリスチン酸 ・・・ 1重量部 ステアリン酸−n−ブチル ・・・ 1重量部 硬化剤 ・・・ 4重量部 (武田薬品工業(株)製、E−31) 混合溶剤 ・・・300重量部 (MEK/トルエン/シクロヘキサノン=3/2/1) 上記の組成物のうち、強磁性体金属粉末およびカーボン
ブラックを窒素雰囲気下(O2濃度2%以下)におい
て、プラネタリ−ミキサー中に投入し、まず混合溶剤1
0重量部を用いて湿潤した後、塩化ビニル系共重合樹脂
およびポリウレタン樹脂(PU1)の混合バインダー溶
液を先添加し3時間混練を行う。次にポリウレタン樹脂
(PU2)を添加し12時間混練を行う。さらに研磨
剤,混合溶剤180重量部を添加し、サンドミルにより
分散を行い、磁性塗料原液とした。次に潤滑剤,硬化剤
および混合溶剤70重量部を添加し、ディゾルバーにて
混合撹拌を行い、磁性塗料を調製した。その後、平均孔
径0.4μmのフィルター(日本濾器(株)製、HT−
40)により濾過した塗料を10μm厚のポリエチレン
テレフタレート(PET)上に塗布し、配向,乾燥、ス
ーパーカレンダーによる鏡面加工処理を施した。さらに
硬化処理を行った後、磁性層と反対側のポリエチレンテ
レフタレート上にカーボンブラックを主成分とするバッ
クコート層を設けて得られた磁気記録媒体を8mm幅にス
リットして8mmVTR用メタルテープを作製した。
【0016】ここで用いたバインダーの強磁性体金属粉
末への吸着量は、それぞれ次の通りであった。
【0017】 塩化ビニル系共重合樹脂 :118g/mg ポリウレタン樹脂(PU1):112g/mg ポリウレタン樹脂(PU2): 84g/mg また得られたテープの磁性層表面の臨界表面張力γC
は、24.7×10-5N/cmであった。
【0018】(実施例2) (実施例1)でのバインダー、潤滑剤の代わりに、 塩化ビニル系共重合樹脂 ・・・ 9重量部 (日本ゼオン(株)製、MR−110 ガラス転移温度59℃) ポリウレタン樹脂(PU1) ・・・ 4重量部 (東洋紡績(株)製、AM−97 ガラス転移温度32℃) ポリウレタン樹脂(PU2) ・・・ 5重量部 (武田薬品工業(株)製、XE−145H ガラス転移温度2℃) 潤滑剤 ・・・ 3重量部 ステアリン酸 ・・・ 2重量部 ステアリン酸−n−ブチル ・・・ 1重量部 を用いる以外は、(実施例1)と同様な方法により、8
mmVTR用メタルテープを作製した。
【0019】ここで用いたバインダーの強磁性体金属粉
末への吸着量は、それぞれ次の通りであった。
【0020】 塩化ビニル系共重合樹脂 :118g/mg ポリウレタン樹脂(PU1):112g/mg ポリウレタン樹脂(PU2): 76g/mg また得られたテープの磁性層表面の臨界表面張力γC
は、26.3×10-5N/cmであった。
【0021】(比較例1) (実施例1)で使用したバインダーの代わりに、 塩化ビニル系共重合樹脂 ・・・ 4重量部 (日本ゼオン(株)製、MR−110 ガラス転移温度59℃) ポリウレタン樹脂(PU1) ・・・ 4重量部 (東洋紡績(株)製、AM−97 ガラス転移温度32℃) ポリウレタン樹脂(PU2) ・・・ 10重量部 (東洋紡績(株)製、UR−8700 ガラス転移温度−23℃) を用いる以外は、(実施例1)と同様な方法により、8
mmVTR用メタルテープを作製した。
【0022】ここで用いたバインダーの強磁性体金属粉
末への吸着量は、それぞれ次の通りであった。
【0023】 塩化ビニル系共重合樹脂 :118g/mg ポリウレタン樹脂(PU1):112g/mg ポリウレタン樹脂(PU2): 84g/mg また得られたテープの磁性層表面の臨界表面張力γC
は、25.1×10-5N/cmであった。
【0024】(比較例2) (実施例1)でのバインダー、潤滑剤の代わりに、 塩化ビニル系共重合樹脂 ・・・ 9重量部 (日本ゼオン(株)製、MR−110 ガラス転移温度59℃) ポリウレタン樹脂(PU1) ・・・ 7重量部 (東洋紡績(株)製、AM−63 ガラス転移温度21℃) ポリウレタン樹脂(PU2) ・・・ 6重量部 (東洋紡績(株)製、UR−8200 ガラス転移温度79℃) 潤滑剤 ・・・ 3重量部 ステアリン酸 ・・・ 2重量部 ステアリン酸−n−ブチル ・・・ 1重量部 を用いる以外は、(実施例1)と同様な方法により、8
mmVTR用メタルテープを作製した。
【0025】ここで用いたバインダーの強磁性体金属粉
末への吸着量は、それぞれ次の通りであった。
【0026】 塩化ビニル系共重合樹脂 :118g/mg ポリウレタン樹脂(PU1):103g/mg ポリウレタン樹脂(PU2):115g/mg また得られた磁気テープの磁性層表面の臨界表面張力γ
C値は、28.2×10-5N/cmであった。
【0027】(比較例3) (実施例1)でのバインダー、潤滑剤の代わりに、 塩化ビニル系共重合樹脂 ・・・ 7重量部 (日本ゼオン(株)製、MR−110 ガラス転移温度59℃) ポリウレタン樹脂(PU1) ・・・ 8重量部 (東洋紡績(株)製、AM−97 ガラス転移温度32℃) ポリウレタン樹脂(PU2) ・・・ 4重量部 (日本ポリウレタン工業(株)製、RM−3 ガラス転移温度5℃) 潤滑剤 ・・・ 2重量部 ベヘン酸 ・・・ 1重量部 ステアリン酸−n−ブチル ・・・ 1重量部 を用いる以外は、(実施例1)と同様な方法により、8
mmVTR用メタルテープを作製した。
【0028】ここで用いたバインダーの強磁性体金属粉
末への吸着量は、それぞれ次の通りであった。
【0029】 塩化ビニル系共重合樹脂 :118g/mg ポリウレタン樹脂(PU1):112g/mg ポリウレタン樹脂(PU2):107g/mg また得られたテープの磁性層表面の臨界表面張力γC
は、31.8×10-5N/cmであった。
【0030】(比較例4) (実施例1)でのバインダーの代わりに、 塩化ビニル系共重合樹脂 ・・・ 9重量部 (日本ゼオン(株)製、MR−110 ガラス転移温度59℃) ポリウレタン樹脂(PU1) ・・・ 5重量部 (大日本インキ化学工業(株)製、T−5206 ガラス転移温度−25℃) ポリウレタン樹脂(PU2) ・・・ 4重量部 (日本ポリウレタン工業(株)製、R−104 ガラス転移温度11℃) を用いる以外は、(実施例1)と同様な方法により、8
mmVTR用メタルテープを作製した。
【0031】ここで用いたバインダーの強磁性体金属粉
末への吸着量は、それぞれ次の通りであった。
【0032】 塩化ビニル系共重合樹脂 :118g/mg ポリウレタン樹脂(PU1): 45g/mg ポリウレタン樹脂(PU2): 72g/mg また得られた磁気テープの磁性層表面の臨界表面張力γ
C値は、25.5×10-5N/cmであった。
【0033】(比較例5) (実施例1)におけるバインダーの添加方法を、ポリウ
レタン樹脂(PU2)の先に添加し、次に塩化ビニル系
共重合樹脂およびポリウレタン樹脂(PU1)の混合バ
インダー溶液を添加する順序に変更した以外は(実施例
1)と同様な方法により、8mmVTR用のメタルテープ
を作製した。
【0034】また得られたテープの磁性層表面の臨界表
面張力γC値は、24.1×10-5N/cmであった。
【0035】(比較例6) (実施例2)におけるバインダーの添加方法を、バイン
ダーの一括投入(塩化ビニル系共重合樹脂,ポリウレタ
ン樹脂(PU1)およびポリウレタン樹脂(PU2)の
混合バインダー溶液の添加)と変更した以外は(実施例
2)と同様な方法により、8mmVTR用メタルテープを
作製した。
【0036】また得られたテープの磁性層表面の臨界表
面張力γC値は、26.2×10-5N/cmであった。
【0037】上記した強磁性体金属粉末1gあたりに吸
着するバインダー量(吸着バインダー量)の測定方法、
ならび磁性層表面の臨界表面張力γC値の測定方法を以
下に示す。
【0038】(1)強磁性体金属粉末1gあたりに吸着
するバインダー量(吸着バインダー量)。
【0039】50mlのポリエチレン製容器に強磁性体
金属粉末10g、バインダー2g、混合溶剤(MEK/
トルエン/シクロヘキサノン=3/2/1)、3mmφの
SUSビーズを投入し(この際、固形分濃度を30wt
%に設定する。)シェーカーを用いて4時間振とうさ
せ、磁性塗料を調製する。次に別の50mlのポリエチ
レン製容器に、分散終了後の塗料10gと混合溶剤20
gを投入し、シェーカーを用いて15分間振とうさせ
る。その後、この希釈塗料を遠心分離(4×103rp
mの条件にて30分間)する。さらに遠心分離後の上澄
み液を遠心管に採取し、高速遠心分離(2×104rp
mの条件にて2時間)を行う。高速遠心分離後の上澄み
液10mlをアルミニウムカップに採取し、その重量を
測定する。次にこの上澄み液をホットプレート上で蒸発
乾固させ、再度重量を測定する。以上の操作により、上
澄み液中のバインダー量(非吸着バインダー量)が算出
でき、総バインダー量(配合バインダー量)からこの上
澄み液中のバインダー量(非吸着バインダー量)を差し
引いたバシンダー量を強磁性体金属粉末の量(10g)
で割った値を強磁性体金属粉末1gあたりに吸着するバ
インダー量(吸着バインダー量)とした。
【0040】(2)磁性層表面の臨界表面張力γC値 磁性層表面に表面張力既知のぬれ指数標準液を滴下し、
その液滴の接触角θを測定する。次にぬれ指数標準液の
表面張力に対して接触角θの余弦(cosθ)をプロッ
トする(Zismann Plotの実施)。最小二乗
法により得られた直線と
【0041】
【数1】
【0042】との交点に相当する表面張力の値を求め、
その値を磁性層表面の臨界表面張力γ C値とした。なお
使用したぬれ指数標準液の表面張力は、38,45,5
4,72×10-5N/cmである。
【0043】以上の実施例および比較例にて得られた磁
気記録媒体より作製した各8mmVTR用メタルテープに
ついて以下の測定を行った。
【0044】(1)表面粗さ WYKO社の非接触式三次元表面粗さ計(TOPO−3
D)を用いて測定を行った。この際、磁性層の表面粗さ
を表示する方法として、中心線から粗さ曲線までの偏差
の二乗を測定長さの区分で積分し、その区間で平均した
値の平方根であるRMSを採用した。
【0045】(2)C/N(5.0MHz/4.5MHz) 5.0MHzにおける信号と4.5MHzにおけるノイズの
比を測定した。C/N測定用8mmVTRとしてMVS−
5000(KODAK(株)製)を用いた。また記録再
生ヘッドはアモルファス合金を使用し、(実施例2)の
8mmVTR用メタルテープのC/Nを基準(0dB)とし
て相対値にて示した。
【0046】(3)摩擦係数μK 直系4mmのステンレス円柱にテープに磁性層面が半周に
渡って接触するするようにし、ドラムに対して、入側張
力を20g、テープ走行速度を3.0cm/secに設定
した時の出側張力Xgを測定し、次式から摩擦係数を求
めた。
【0047】
【数2】
【0048】また測定中にスティック・スリップが発生
したか否かの確認も行った。 (4)ドロップアウト C/N測定用途同様の8mmVTRを用い、各ビデオテー
プを40℃−80%RHの環境下で200パス走行させ
る(耐久試験)。耐久試験前後の各ビデオテープについ
て、15μSにわたって16dB以上の出力低下が発生
する1分間あたりの個数を測定した。
【0049】(5)ヘッド・シリンダー部の粉付着量 上記(4)による耐久試験後の磁気ヘッド,シリンダー
部の粉付着量の顕微鏡で観察し、粉付着量の程度につい
ての5段階評価を行った。評価として粉付着が見られず
実用上全く問題のないものを5とし、粉付着量が多く、
実用上問題を有するものを1とした。
【0050】(6)スチルライフ スチルライフ測定用に改造した8mmVTRを用い、−1
0℃の環境下、30g荷重の条件であらかじめ録画して
おいた静止画を再生し、その画像信号が6dB落ち込む
までの時間を示した。なお測定は最長90分で打ち切っ
た。
【0051】(表1)に各実施例,比較例にて得られた
磁気記録媒体より作製した8mmVTR用メタルテープの
評価結果を示す。
【0052】
【表1】
【0053】(表1)から明らかなように、(実施例
1),(実施例2)は、使用したバインダーの強磁性体
金属粉末表面への吸着量,ガラス転移温度(Tg),添
加重量倍数,添加順序が適切であるために、磁性層表面
が平滑となり、C/Nが高い値となった。しかも磁性層
の臨界表面張力γCの値が本発明の望ましい範囲に入っ
ているために、磁気テープの走行安定性が良好となっ
た。また耐久性についても、耐久試験後のヘッド・シリ
ンダー部の粉付着量が少なく、スチルライフが長いとい
う結果となった。さらにドロップアウトが初期,耐久試
験後ともに少なくなった。
【0054】(比較例1)は、磁性粉表面への吸着量が
少なくガラス転移温度(Tg)の低いバインダーの添加
部数が多いために、カレンダー性は改善され磁性層の表
面性は確保できるものの、磁性粉表面へのバインダーの
吸着量が極めて少なくなるため、磁性粉の分散性が悪化
し、その結果C/Nが低くなった。
【0055】(比較例2)は、バインダーの添加量が多
いため磁性層表面に過剰なバインダーが存在するととも
に、磁性粉に吸着固定しにくく、しかもガラス転移温度
(Tg)が低いポリウレタン樹脂が磁性層中に存在しな
いためにカレンダー性が悪くなり、その結果磁性層の表
面性が悪化し、磁気テープとヘッドとのスペーシングロ
スが増大することとなりC/Nが低くなった。さらにこ
のガラス転移温度(Tg)の低いバインダーが磁性層中
に存在しないということは、磁性塗膜を堅く、柔軟性の
ないものとすることにつながり、スチルライフ,ヘッド
・シリンダー部の粉付着量といったテープ耐久性も著し
く悪化させる原因となった(耐久試験後のドロップアウ
トも異常に増加した)。
【0056】(比較例3)は、磁性層の臨界表面張力γ
Cの値が大きいため摩擦係数μKが高く、スティック・ス
リップも発生した。すなわちテープ走行が不安定となっ
た。そのため粉付着量も多く、スチルライフも短くなっ
た。
【0057】(比較例4)は、先に添加したポリウレタ
ン樹脂の吸着能力が小さいために磁性粉の分散性が悪化
するとともに塗膜の機械的強度も低下し、C/N,粉付
着量とも悪い結果となった。
【0058】(比較例5),(比較例6)は、(実施例
1),(実施例2)に比べて磁性粉の分散性が悪化する
と同時にカレンダー性も悪くなるため、C/Nが低くな
った。
【0059】なお上記の実施例では、8mmVTR用メタ
ルテープのみについて説明したが、強磁性体金属粉末を
用いた他の塗布型の磁気テープ,磁気ディスク等の磁気
記録媒体についても同様に適用できる。
【0060】
【発明の効果】上記実施例より明らかなように本発明
は、バインダーとして、強磁性体金属粉末表面への吸着
量が100mg/g以上である塩化ビニル系共重合樹脂と
強磁性体金属粉末表面への吸着量が100mg/g以上で
ありガラス転移温度(Tg)が5〜35℃であるポリウ
レタン樹脂と強磁性体金属粉末表面への吸着量が70〜
85mg/gでありガラス転移温度(Tg)が−30〜5
℃であるポリウレタン樹脂の計3種類を用いて得られた
磁性塗料よりなり、その磁性塗料を塗布して形成した磁
性層表面の臨界表面張力γCを23.0×10-5〜2
8.5×10-5N/cmとしているために優れた電磁変換
特性,走行安定性および耐久性を得ることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性体金属粉末およ
    びバインダーを主成分とする磁性層を形成した磁気記録
    媒体であって、上記バインダーは、上記強磁性体金属粉
    末表面への吸着量が100mg/g以上である塩化ビニル
    系共重合樹脂と上記強磁性体金属粉末表面への吸着量が
    100mg/g以上でありガラス転移温度(Tg)が5〜
    35℃であるポリウレタン樹脂と上記強磁性体金属粉末
    表面への吸着量が70〜85mg/gでありガラス転移温
    度(Tg)が−30〜5℃であるポリウレタン樹脂の計
    3種類からなり、上記磁性層表面の臨界表面張力γC
    23.0×10-5〜28.0×10-5N/cmであること
    を特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 バインダーを強磁性体金属粉末100重
    量部に対して、16〜19重量部含有させたことを特徴
    とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 強磁性体金属粉末表面への吸着量が70
    〜85mg/gでありガラス転移温度(Tg)が−30〜
    5℃であるポリウレタン樹脂をバインダー総量の20〜
    30wt%としたことを特徴とする請求項1記載の磁気
    記録媒体。
  4. 【請求項4】 強磁性体金属粉末を溶剤にて湿潤させた
    後、その強磁性体金属粉末表面への吸着量が100mg/
    g以上である塩化ビニル系共重合樹脂と上記強磁性体金
    属粉末表面への吸着量が100mg/g以上でありガラス
    転移温度(Tg)が5〜35℃であるポリウレタン樹脂
    との混合バインダー溶液を添加し混練を行い、次に上記
    強磁性体金属粉末表面への吸着量が70〜85mg/gで
    ありガラス転移温度(Tg)が−30〜5℃であるポリ
    ウレタン樹脂を添加し混練分散を行い、さらに潤滑剤を
    添加することにより磁性塗料とし、非磁性支持体上に上
    記磁性塗料を塗布し、乾燥して磁性層を形成することを
    特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7695833B2 (en) 2004-02-06 2010-04-13 Hoya Corporation Solid body surface evaluation method, magnetic disk evaluation method, magnetic disk, and manufacturing method thereof

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