JPH0321692B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、隣接する両建物の入角部における
躯体、例えば、床と壁、壁と天井、屋根と壁、壁
と壁等を接続するエキスパンシヨンジヨイントに
関し、詳しくは、両躯体に配設される両固定部材
と、これら両固定部材を介して前記両躯体間の隙
間を塞ぐ第１、第２の両カバーとを備え、前記第
１カバーは前記一方の固定部材の表面に固定さ
れ、前記第２カバーは、その一端部が前記一方の
固定部材と第１カバーとの間に摺動可能に挾持さ
れ、他端部が前記他方の固定部材に掛止される構
成とし、地震、地盤沈下、建物の膨張、収縮等に
よる変動に対処することができるエキスパンシヨ
ンジヨイントの改良に関するものである。

従来、この種のエキスパンシヨンジヨイントに
おいて、一方の固定部材に対し第１カバーを組付
ける以前に、あらかじめ第２カバーの一端部を一
方の固定部材に載置するとともに、同第２カバー
の他端部を他方の固定部材に掛止めしていた。こ
のため、その後、一方の固定部材に第１カバーを
組付けるときには、第２カバー他端部の掛止が外
れる方向へ同第２カバーが固定部材に対し位置ず
れする場合があり、組付け作業に支障をきたす問
題点があつた。

この発明の目的は、上記問題点を解消すること
であり、両固定部材のうち、少なくとも一方の固
定部材と第２カバーとの間に、該第２カバーを固
定部材に対し位置決め保持するばね部材を介装す
ることで第２カバーの位置ずれ防止を良好に図る
ことができるエキスパンシヨンジヨイントを提供
することである。

以下、この発明の一実施例を図面にしたがつて
説明する。

第１図に示す第１実施例において、両建物の入
角部における躯体（床と壁）Ｋ１，Ｋ２を接続す
るエキスパンシヨンジヨイント１が示されてい
る。このジヨイント１において、一方の躯体Ｋ１
の躯体面には所定数の取付部材４によつて長尺の
固定部材２が固定されている。すなわち、取付部
材４は躯体面に突設されたアンカボルト５に溶着
されたり、ビスによつて締着され、この取付部材
４に対し固定部材２は、図に示すように、取付片
４ａと係合部２ａとの係合及びビス６によつて強
固に固定されている。そして、固定部材２の図示
右端面には合成樹脂、ゴム等よりなる止水板７の
一端を嵌着する嵌着部２ｂが形成され、右端部上
面には突起状のばね係止部８が形成されている。
この実施例において、ばね係止部８は第２カバー
１２の背面（下面）を支承する支承部を兼用して
いるが、支承部はばね係止部８とは別個に固定部
材２に形成してもよい。また、ばね係止部８の先
端８ａは断面三角形、円弧形等に形成され、同係
止部８の両側面のうち、少なくとも一側面には断
面のこ刃状の係止面８ｂが形成されている。さら
に係止面８ｂのうち、最先端はそののこ刃面の突
出量が大きく形成されて抜止め部８ｃとされてお
り、ばね部材１９の外れを積極的に防止してい
る。

上記固定部材２の図示左端部上面には支持縁２
ｃが突設されており、この支持縁２ｃの上端には
第１カバー１１を片持ち状に取りつけるためのカ
バー取付部２ｄが形成されている。そして、カバ
ー取付部２ｄには第１カバー１１がビス１０等に
よつて片持ち状に取りつけられており、これら固
定部材２と第１カバー１１との間には第２カバー
１２の一端部が摺動可能に挿入される摺動空間１
４が形成されている。第１カバー１１の先端は固
定部材２のばね係止部８を若干超える位置まで延
出されており、同第１カバー１１の先端部下面に
はばね係止部８と所定の間隔をおいて対向する突
縁１１ａが形成されている。

他方の躯体Ｋ２の躯体面にはビス１５によつて
固定部材３が固定されており、この固定部材３の
下端には一方の固定部材２に向けて張出す中空箱
形断面等の支持部３ｅが形成されている。この支
持部３ｅの先端面には前記止水板７の他端を嵌着
する嵌着部３ｂが形成され、同支持部３ｅの先端
部上面には前記一方の固定部材２に形成されるば
ね係止部８と左右対称状をなすばね係止部９が形
成されている。さらに、上記他方の固定部材３の
上端には第２カバー１２の上端を掛止めする断面
ほぼかぎ形状の掛止縁３ｆが形成されている。

両躯体Ｋ１，Ｋ２の隙間Ｓを前記第１カバー１
１とともに塞ぐ第２カバー１２は、断面ほぼＬ字
状に形成されており、この第２カバー１２の一辺
（水平辺）側先端部は、一方の固定部材２と第１
カバー１１との間の摺動空間１４内に挿入されか
つ固定部材２のばね係止部８と第１カバー１１の
突縁１１ａとの間に摺動可能に挾持されている。
そして、第２カバー１２の一辺側先端には外れ防
止縁１２ａが形成されている。また、第２カバー
１２の一辺側下面のほぼ中央部には突起状のばね
係止部１６が形成され、このばね係止部１６の先
端部には断面三角形、円弧形等の抜止部１６ａが
形成されている。さらに、第２カバー１２の一辺
側上面の所定位置にはガスケツト１７用の嵌着部
１２ｂが形成されている。第２カバー１２の他辺
（垂直辺）側の先端部背面には固定部材３の掛止
縁３ｆに係合する掛止縁１２ｃが形成され、さら
に、他辺側の先端には躯体面に密接するパツキン
１８が嵌着される嵌着部１２ｄが形成されてい
る。

第２カバー１２の上面に配設されるガスケツト
１７は、合成樹脂、ゴム等より伸縮可能の中空蛇
腹状に形成され、このガスケツト１７の図示右端
には第２カバー１２の嵌着部１２ｂに嵌着される
嵌着部１７ａが形成され、左端には第１カバー１
１の突縁１１ａが嵌合される係合溝１７ｂが形成
されている。

両固定部材２，３と第２カバー１２との間に
は、該固定部材２，３に対し第２カバー１２を位
置決め保持するばね部材１９が介装されている。
このばね部材１９は両躯体Ｋ１，Ｋ２の変動に対
応して弾性伸縮しうるように平帯状のばね材より
ほぼＷ字状に形成されるとともに、第２カバー１
２を固定部材２，３側へ付勢するばね力を有す
る。そして、ばね部材１９の頂部には第２カバー
１２のばね係止部１６と弾性係着する係止爪２０
ａを開口部両側に有するＵ字状等の係止部２０が
形成され、同ばね部材１９の両脚片１９ａ，１９
ｂの先端部には固定部材２，３のばね係止部８，
９と弾性係着する係止爪２１ａ，２２ａを開口部
両側に有する逆Ｕ字状等の係止部２１，２２が形
成されている。

上記したように構成される第１実施例のエキス
パンシヨンジヨイント１において、両躯体Ｋ１，
Ｋ２が変動したときには、この変動に対応してば
ね部材１９が弾性伸縮する一方、このばね部材１
９によつて位置決め保持される第２カバーは、一
方の固定部材２と第１カバー１１との間の摺動空
間１４内において摺動するため、両躯体Ｋ１，Ｋ
２間の隙間Ｓは常に良好に閉塞される。

また、両固定部材２，３のばね係止部８，９及
び第２カバー１２のばね係止部１６に対するばね
部材１９の各係止部２０，２１，２２の係着は、
押込み操作によつて容易に行うことができる。さ
らに、これらばね係止部８，９，１６と係止部２
０，２１，２２とが係着した状態において、両固
定部材２，３に対し、第２カバー１２をばね部材
１９によつて位置決め保持することができて、第
２カバー１２の位置ずれを防止することができ
る。さらに、他方の固定部材３の掛止縁３ｆと第
２カバー１２の掛止縁１２ｃとを係合させかつ両
固定部材２，３の間に、ばね部材１９によつて第
２カバー１２を組付けた後、一方の固定部材２の
表面側に第１カバー１１を組付けるときには、上
記ばね部材１９によつて第２カバー１２を位置決
め保持することで、前記両掛止縁３ｆ，１２ｃの
係合が外れる方向へ第２カバー１２が位置するこ
とを防止し得、一方の固定部材２に対する第１カ
バーの組付け作業を容易に行うことができる。

次に、第２図に示す第２実施例において、両建
物の躯体（入角部における壁と壁又は天井と壁）
Ｋ１，Ｋ２を接続するエキスパンシヨンジヨイン
ト１が示されている。このジヨイント１におい
て、一方の躯体Ｋ１の躯体面にはビス６によつて
固定部材２が固定されており、この固定部材２の
図示右端部には止水板７用の嵌着部２ｂとばね係
止部８とが図に示すように形成されている。さら
に、固定部材２の表面側には摺動空間１４を隔て
かつ係止具２３を介して第１カバー１１が片持ち
状に取りつけられている。第１カバー１１の自由
端（右端）部には固定部材２のばね係止部８に第
２カバー１２を介して対向する突縁１１ａが形成
され、該突縁１１ａの端面には第２カバー１２の
表面に密接するパツキン２４を嵌着するためのあ
り溝１１ｂが形成されている。また、第１カバー
１１の基端には躯体面に密接するパツキン２５を
嵌着するための嵌着部が形成されている。

他方の躯体Ｋ２の躯体面のビス１５によつて固
定される固定部材３は第１実施例とほぼ同様であ
る。

なお、躯体Ｋ１，Ｋ２が内壁や天井の場合、止
水板７は必ずしも設ける必要性がないため、両固
定部材２，３の止水板７用の嵌着部２ｂ，３ｂは
設けなくともよい。

両躯体Ｋ１，Ｋ２間の隙間Ｓを第１カバー１１
とともに塞ぐ第２カバー１２及び第２カバー１２
を固定部材２，３に対し位置決め保持するばね部
材１９は第１実施例とほぼ同様である。ただし、
この実施例において、第２カバー１２の一辺側に
ガスケツト１７が配設されないため、ガスケツト
１７用の嵌着部１２ｂは形成されない。

上記したように構成される第２実施例のエキス
パンシヨンジヨイント１は第１実施例とほぼ同様
の作用をする。

次に、第３図に示す第３実施例において、両建
物の躯体（屋根と壁）Ｋ１，Ｋ２を接続するエキ
スパンシヨンジヨイント１が示されている。この
ジヨイント１において、一方の躯体Ｋ１の躯体面
にビス６によつて固定される固定部材２の図示右
端部には止水板７用の嵌着部２ｂとばね係止部８
とが図に示すように形成されている。固定部材２
の左端部には下向き傾斜状の係止縁２ｇが形成さ
れ、固定部材２の上面のほぼ中央部には断面ほぼ
かぎ形状の係止部２ｈが形成されている。

上記固定部材２の表面側に摺動空間１４を隔て
て取りつけられる第１カバー１１は、固定部材２
に沿つて断面ほぼＬ字状に形成されており、この
第１カバー１１の一辺をなす上板部のほぼ中央部
背面には固定部材２の係止部２ｈと係着する係止
部１１ｃが形成され、他辺をなす側板部の下端に
は固定部材２の係止縁２ｇ先端と係合する係止部
１１ｅが形成されている。さらに、第１カバー１
１の上板部先端には固定部材２のばね係止部８に
第２カバー１２を介して対向する突縁１１ａが形
成され、該突縁１１ａの下端面には第２カバー１
２の上面に密接するパツキン２４を嵌着するため
のあり溝１１ｂが形成されている。

他方の躯体Ｋ２の躯体面にビス１５によつて固
定される固定部材３は第１実施例とほぼ同様であ
る。

両躯体Ｋ１，Ｋ２間の隙間を第１カバー１１と
ともに塞ぐ第２カバー１２及び該第２カバー１２
を固定部材２，３に対し位置決め保持するばね部
材１９は第２実施例とほぼ同様である。

上記したように構成される第３実施例のエキス
パンシヨンジヨイント１は第１実施例とほぼ同様
の作用をする。

なお、上記各実施例において、両固定部材２，
３、第１カバー１１、第２カバー１２等はアルミ
合金の押出成形による型材を用いてもよい。

また、第４図に示すように、固定部材２のカバ
ー取付部２ｄに、クリツプ２６等を介して第１カ
バー１１を片持ち状に固定してもよい。

また、第２カバー１２の他端部と他方の固定部
材３との相互に形成される掛止縁３ｆと１２ｃと
の形状はどのような形状に形成してもよく、例え
ば、第５図に示すように、固定部材３の図示上端
部に所定の空間部２７を隔てて掛止縁３ｆを折り
返し状に形成し、第２カバー１２の図示上端部
に、前記掛止縁３ｆの背面と係合可能に対向する
掛止縁１２ｃを形成してもよい。さらに、第６図
と第７図に示すように、固定部材３の図示上端部
に断面ほぼＣ字状をなす掛止縁３ｆを形成し、第
２カバー１２の図示右端部に、前記掛止縁３ｆと
係合する断面傾斜状、断面Ｕ字状等の掛止縁１２
ｃを形成してもよい。

以上述べたように、この発明は、隣接する両建
物の入角部における躯体に配設される両固定部材
とこれら両固定部材を介して前記両躯体間の〓間
を塞ぐ第１、第２の両カバーとを備え、前記第１
カバーは前記一方の固定部材の表面側に固定さ
れ、前記第２カバーは、その一端部が前記一方の
固定部材と第１カバーとの間に摺動可能に狭持さ
れ、他端部が前記他方の固定部材に掛止されたエ
キスパンシヨンジヨイントであつて、前記両固定
部材と前記第２カバーとの間にはこの第２カバー
を固定部材に対し位置決め保持するばね部材が介
装され、しかも、前記ばね部材はほぼＷ字状に形
成され、その略中央の頂部には前記第２カバーの
背面に係着される係止部が形成され、同ばね部材
の両脚片の先端部には、前記両固定部材に形成さ
れたばね係止部にそれぞれ係着される係止部が形
成されているエキスパンシヨンジヨイントであ
る。

したがつて、両固定部材に対して第２カバーを
ばね部材によつて位置決め保持することで、該第
２カバーの他端部の掛止が外れる方向へ同第２カ
バーが位置ずれすることを防止でき、両固定部材
に対する第１、第２の両カバーの組付け作業を容
易にかつ正確に行うことができる。さらに第２カ
バーの位置ずれが原因とある両躯体間の隙間の閉
塞不良等も防止することができる効果がある。

しかも両固定部材に対する第２カバーの装着
は、第２カバーの背面に、ばね部材の頂部に形成
された係止部を係着し、同第２カバーの他端部を
他方の固定部材に掛止めし、さらに、ばね部材の
両脚片先端の係止部を両固定部材のばね係止部に
それぞれ係着することで、第２カバーの装着を容
易にかつ手早く行うことができる。さらに、ねじ
等の締結部材を必要としないのでねじ等の部分に
おける雨仕舞や外観美の向上を図ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の一実施例を示すもので、第１
図は第１実施例のエキスパンシヨンジヨイントを
示す断面図、第２図は第２実施例のエキスパンシ
ヨンジヨイントを示す断面図、第３図は第３実施
例のエキスパンシヨンジヨイントを示す断面図、
第４図は固定部材に対する第１カバーの固定手段
の他の実施例を示す断面図、第５図、第６図及び
第７図は固定部材と第２カバーとの掛止縁の変更
例をそれぞれ示す断面図である。 １……エキスパンシヨンジヨイント、２，３…
…固定部材、８，９……ばね係止部、１１……第
１カバー、１２……第２カバー、１６……ばね係
止部、１９……ばね部材、２０………係止部、２
１，２２……係止部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 隣接する両建物の入角部における躯体に配設
   される両固定部材と、これら両固定部材を介して
   前記両躯体間の〓間を塞ぐ第１、第２の両カバー
   とを備え、前記第１カバーは前記一方の固定部材
   の表面側に固定され、前記第２カバーは、その一
   端部が前記一方の固定部材と第１カバーとの間に
   摺動自在に狭持され、他端部が前記他方の固定部
   材に掛止されたエキスパンシヨンジヨイントであ
   つて、前記両固定部材と前記第２カバーとの間に
   はこの第２カバーを固定部材に対し位置決め保持
   するばね部材が介装され、しかも、前記ばね部材
   はほぼＷ字状に形成され、その略中央の頂部には
   前記第２カバーの背面に係着される係止部が形成
   され、同ばね部材の両脚片の先端部には、前記両
   固定部材に形成されたばね係止部にそれぞれ係着
   される係止部が形成されていることを特徴とする
   エキスパンシヨンジヨイント。