JPH0320502Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は偏流発生用バルブ付きの吸気ポートを
備えた多気筒内燃機関に関する。

従来技術 内燃機関の吸気ポート内に偏流発生用バルブを
回動可能に設け、機関の部分負荷運転時にこの偏
流発生用バルブにより吸気ポート内の吸入混合気
に偏流を生ぜしめ、これにより燃焼室内の吸入混
合気に旋回流を起こさせて燃焼を改善させるよう
になつた内燃機関は知られている（特開昭58−
128418参照）。

多気筒の内燃機関においては、夫々の吸気ポー
トに偏流発生用バルブを設けるが、これらのバル
ブの開口面積を相互に一致させることは困難であ
るため、吸入混合気量や旋回流の強さが各気筒ご
とに相違し、燃焼状態が各気筒ごとに異なる虞れ
がある。このため、多気筒内燃機関では、偏流発
生用バルブ付きの吸気ポートを実用化することが
困難であつた。

考案の目的 本考案は偏流発生用バルブを備えた吸気ポート
を多気筒内燃機関において実用化することを目的
とするもので、偏流発生用バルブの開口面積が各
気筒ごとに相違することによる不具合を解消し、
気筒間の燃焼条件を均衡化させ得るような多気筒
内燃機関を提供することを目的としている。

考案の構成 前記目的を達成するため、本考案は、偏流発生
用バルブの下流に混合気流量の不均衡を補償する
ための補償用ポートを設けると共に、各吸気ポー
トの補償用ポートを連通管により相互に連通させ
ることにより、吸気行程にある吸気ポートには吸
気行程にない他の吸気ポートからの混合気を偏流
発生用バルブの開口面積に応じて補償用ポートか
ら噴出させ、もつて、各吸気ポート間の吸入混合
気流量のアンバランスを補償しようというもので
ある。

しかしながら、この場合、補償用ポートは、そ
こから噴出する混合気により偏流の強さや流速分
布が悪化しないような位置に設けなければならな
い。

このため、本考案は更に、補償用ポートは、偏
流が存在する吸気ポート壁面から吸気ポート幅寸
法の1/4以内の距離のところに配置すると共に、
その軸線が吸気ポートの中心軸を含みかつ気筒中
心軸と平行な平面に対して平行になるように配置
することを特徴とするものである。

実施例 次に、添附図面を参照して本考案の実施例を説
明する。

第１図は本考案を具現した４気筒内燃機関の概
念的平面図、第２図ａは第１図の機関の任意気筒
の模式的拡大水平断面図、第２図ｂは第２図ａの
Ａ矢視断面図である。これらの図において、１０
はシリンダヘツド、１２はシリンダボア、１４は
燃焼室、１６は燃焼室から燃焼ガスを外部に導く
排気ポート、１８は燃料と空気との混合気を燃焼
室に導入する吸気ポートを表す。

各吸気ポート１８の内部には蝶形の偏流発生用
バルブ２０が回転可能に設けてある。これらのバ
ルブ２０は、例えば特願昭58−41517号に開示さ
れた弁駆動装置によりアクチユエータ（図示せ
ず）に連結されていて、機関の部分負荷時には閉
弁し（図示の位置）、負荷の増加に応じて開弁す
るものである。各バルブ２０の回転軸２２は吸気
ポート１８の中心軸２４に関して吸気ポート内側
壁面２６の方向にオフセツトされており、バルブ
２０と吸気ポート外側壁面２８との間には狭い間
隙３０が形成されている。

本考案に従い、各吸気ポート１８の壁にはバル
ブ２０の下流において補償用ポート３２が穿設し
てある。各補償用ポート３２は連通管３４により
相互に連通せられている。連通管３４には容量空
間３６が形成してあり、連通管３４内の圧力の脈
動を低減せしめるようになつている。連通管３４
および容量空間３６の形状、容積、各部の断面形
状は各吸気ポート間の混合気流量の不均衡を補償
するに十分なものとしなければならない。

補償用ポート３２の位置は、偏流が生ずる吸気
ポート壁面、即ち、吸気ポート外側壁面２８から
吸気ポート幅寸法の約1/4以内のところに定めら
れている。また、補償用ポート３２の方向は、そ
の軸線が吸気ポート中心軸２４を含みかつ気筒中
心軸０と平行な平面に対して平行になるようにな
つている。

次に、第３図を参照して補償用ポートの作用に
ついて説明する。機関の部分負荷時には偏流発生
用バルブは第３図に示すように閉じられている。
吸気行程においては、混合気は間隙３０を通り吸
気ポートの外側壁面２８のみに沿つて流れて燃焼
室に流入し、旋回流を形成する。同時に、偏流発
生用バルブ２０の下流に発生する負圧によつて、
吸気行程にない他の気筒の吸気ポートから混合気
が連通管３４を経て吸気行程にある吸気ポートに
噴出する。補償用ポート３２から噴出するこの混
合気の流量は、偏流発生用バルブ下流の負圧の強
さに応じて増大するから、偏流発生用バルブ開口
面積の気筒間不一致に起因する吸入混合気流量の
気筒間不均衡を補償し、混合気を各気筒に均一に
分配することができると共に、旋回流の強さを一
様にすることができる。

高負荷運転時には偏流発生用バルブは開かれ
る。この場合には、吸気ポート内の偏流は消滅
し、旋回流は弱まるが、吸気抵抗が小さくなつて
混合気充填効率が増大するので高出力が得られ
る。

次に、補償用ポートの位置および方向について
検討する。第２図ａにおいて補償用ポート３２の
位置を吸気ポート中心軸２４に直角に図中左方に
移動させれば、補償用ポートから噴出する混合気
が吸気ポートの中央部或いは内側壁面２６の近く
を流れるので、吸気ポート内の偏流は実質的に消
滅して燃焼室内の旋回流が減衰し、これによつて
得られる燃焼改善効果が減殺される。即ち、例え
ば第４図ａに示した様に補償用ポートを吸気ポー
ト内側壁面２６に設ける場合には、矢印で示した
如く吸気ポート中央付近にも補償用ポートから噴
出した混合気が流れる。反対に、第４図ｂに示し
た様に吸気ポート外側壁面２８に設けた場合に
も、同様に吸気ポート中央部に補償用ポートから
の混合気が流れることとなり、偏流が消失する虞
れがある。

本考案の考案者が検討した結果、補償用ポート
３２の位置は吸気ポートの外側壁面２８から吸気
ポート幅寸法の1/4以内の距離のところにあれば
旋回流の形成に必要な偏流が得られることが判つ
た。即ち、この位置に設ければ、補償用ポートか
らの混合気流は第３図に示した様に吸気ポート外
側壁面２８に沿つて流れ、偏流の形成を妨げな
い。また、補償用ポート３２の軸線の方向は、第
２図に示す様に吸気ポート１８の中心軸２４を含
みかつ気筒中心軸０と平行な平面に対して平行で
あることが必要条件である。補償用ポート３２の
軸線方向がこの条件を満足しない場合には、補償
用ポート３２から噴出した混合気は吸気ポート１
８の中央部または内側壁面２６の近くを流れるた
め、偏流の形成が妨げられる。なお、補償用ポー
ト３２は吸気ポート１８の壁面に対して垂直に形
成する必要はなく、第２図ｂに破線３２′で示し
た様に吸気流れ下流側に向けて傾斜させて形成し
てもよく、このような実施例をも包含するもので
ある。

考案の効果 以上述べた如く、本考案は、偏流発生用バルブ
付きの吸気ポートを備えた多気筒内燃機関におい
て、各吸気ポート壁には偏流発生用バルブの下流
において混合気流量不均衡補償用ポートを設ける
と共に、各気筒の補償用ポートは連通管により相
互に連通せしめたので、混合気が各気筒に一様に
分配されると共に、各気筒に一様な旋回流が形成
され、各気筒の燃焼条件が均一化される。しか
も、補償用ポートは吸気ポート外側壁面に接近さ
せて設けると共に、その軸線は吸気ポートの中心
軸を含みかつ気筒中心軸と平行な平面に対して平
行になるように配置したので、補償用ポートから
の混合気は偏流に沿つて噴出され、そのため偏流
を妨げて旋回流を減衰させることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の多気筒内燃機関の概念的平面
図、第２図ａは第１図の機関の任意気筒の模式的
拡大水平断面図、第２図ｂは第２図ａのＡ矢視断
面図、第３図ａは第２図ａ同様の断面図で偏流の
形成状態を図解したもの、第３図ｂは第３図ａの
Ａ矢視断面図、第４図ａおよびｂは補償用ポート
の位置と偏流の形成状態を比較するための参考図
である。 １０……シリンダヘツド、１２……シリンダボ
ア、１４……燃焼室、１８……吸気ポート、２０
……偏流発生用バルブ、２４……吸気ポート中心
軸、２６……吸気ポートの内側壁面、２８……吸
気ポートの外側壁面、３０……間隙、３２……補
償用ポート、３４……連通管、３８……気筒中心
軸を含む平面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 多気筒内燃機関の各吸気ポート内に気筒の上下
   方向に延びる回転軸を中心として回動自在に設け
   た偏流発生用バルブにより機関の部分負荷運転時
   に吸気ポート内の混合気に偏流を発生せしめ、こ
   れにより燃焼室内の混合気に旋回流を生ぜしめる
   ようになつた多気筒内燃機関において、 各吸気ポート壁には前記偏流発生用バルブの下
   流において混合気流量不均衡補償用ポートを穿設
   して吸気ポートに開口せしめると共に、各気筒の
   前記補償用ポートを連通管により相互に連通せし
   め、前記補償用ポートは、偏流が存在する吸気ポ
   ート壁面から吸気ポート幅寸法の1/4以内の距離
   のところに配置すると共に、その軸線が吸気ポー
   トの中心軸を含みかつ気筒中心軸と平行な平面に
   対して平行になるように配置したことを特徴とす
   る多気筒内燃機関。