JPH0320231Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は後輪ブレーキとしてデイスクブレーキ
を備えた自動二輪車に関するものである。

従来技術とその問題点 後輪にデイスクブレーキを備えた自動二輪車に
おいては、該後輪の側部に固着したブレーキデイ
スクを摩擦パツドを介して狭圧するブレーキキヤ
リパがブラケツトによつて支持されている。この
ブラケツトは後車軸に嵌着されており、ブレーキ
適用時に前記ブレーキキヤリパを介して伝達され
るトルクを受けるために、通常、棒状のトルクリ
ンクがその後端を該ブラケツトに枢着されて前方
へ延び、前端を、リヤフオークに溶接されたボス
またはリヤフオークに設けられた凹部等の枢着さ
れている。

従つてリヤフオークの構造が複雑になるととも
に、溶接等を行うので製作工数が増し、コストも
比較的高かつた。

問題点を解決するための手段および作用 このため、本考案においては、後車軸に枢支し
たブラケツトを介してブレーキキヤリパを支持し
た自動二輪車の後輪デイスクブレーキ装置におい
て、前記後車軸を、上面が平らな上板部と内外両
側板部とを有しかつ前記上板部の内側の縁部を内
側の側板部を超えて突出させて突縁部とした断面
形状が箱形のリヤフオークによつて支持し、前記
ブラケツトの前方下部に、前記上板部の上面と係
合する係合面と該係合面に連なり前記突縁部を上
下から挟む凹部とを設ける。

本考案によれば、ブレーキ適用時の反動トルク
は、トルクリンクを介さず、互いに当接している
ブラケツトの係合面からリヤフオークの上面へ直
接伝達されて、強度の高いリヤフオーク本体で受
けられる。またブラケツトの凹部がリヤフオーク
の突縁部を上下から挟んでいるので、ブレーキを
適用していない時にブラケツトが後車軸のまわり
に動揺することもない。また、本考案によればリ
ヤフオークにボスを溶接したり、あるいは凹部を
設けたりする必要がないので、溶接、機械加工等
を施す必要もなく、コストが低減するとともに重
量を軽減させることができる。

実施例 以下、本考案を図示の実施例について説明す
る。第１図において１はリヤフオークで、図示し
てない前端部（図において右方）において車体に
揺動自在に枢支されている。このリヤフオーク１
の後端には後車軸２を介して図示してない後輪が
回転自在に軸支されており、この後輪の側部にブ
レーキデイスク３が固定されている。そしてブレ
ーキデイスク３を跨いでブレーキキヤリパ４が設
置されており、そのシリンダ５にブレーキ配管６
を通じて油圧を供給することにより、ブレーキデ
イスク３の両面にそれぞれ対向させて設置された
摩擦パツドが該ブレーキデイスク３を両側から挟
圧して後輪を制動する。

上記ブレーキキヤリパ４はボルト７，７により
ブラケツト８に固定され、該ブラケツト８によつ
て所定位置に支持されている。ブラケツト８はそ
の後方下端部を後車軸２に枢支され、該後車軸２
から斜め上方へほぼ放射状に延びている。このブ
ラケツト８にはブレーキ適用時にブレーキキヤリ
パ４を介して反力が作用し、ブラケツト８はこの
反力に基づくトルクによつて後車軸２のまわりに
図において時計方向に回転しようとする。しかし
このトルクはリヤフオーク１によつて受けられ、
ブラケツト８の回転が阻止されるので、反力に打
勝つて有効な制動力がブレーキデイスク３に伝達
される。

このため、リヤフオーク１は、第２図に示すよ
うに、上面９が平らな上板部１０、外側板部１
１、内側板部１２および下板部１３を有する箱形
の断面形状をなしている。そして上板部１０の車
体側すなわち内側の縁部は内側板部１２の位置を
越えてさらに突出し、突縁部１４となつている。
一方、ブラケツト８の前方下部には前後方向に延
びる平らな下向きの係合面１５が設けられてお
り、この係合面１５が前記上板部１０の上面９に
全面に亘つて接触するようになつている。この係
合面１５はその下部のブラケツト８の外側面１８
ａから段状に外方へ張り出しているが、この外側
面１８ａと係合面１５とが交る部分には凹部１６
が設けられており、該凹部１６の上面１６ａは係
合面１５の延長面を形成している。そして該上面
１６ａと下面１６ｂとの間隔は前記突縁部１４の
厚さにほぼ等しく、ブラケツト８は前記係合面１
５をリヤフオーク１上面９に当接させるととも
に、凹部１６によつてリヤフオーク１の突縁部１
４を上下から挟んで、リヤフオーク１に係合して
いる。ブラケツト８の下端縁にはカバー取付片１
７が突設されており、該カバー取付片１７にデイ
スクカバー１８がボルト１９を介して取付けられ
ている。デイスクカバー１８はブレーキデイスク
３を覆つて該ブレーキデイスク３の表面に前方か
らの泥等が付着するのを防止する。２０はリヤフ
オーク１の上面に固着されたブレーキ配管支持部
材で、ブレーキ配管６は該支持部材２０に支持さ
れてリヤフオーク１の上面に沿つて前方へ延び、
図示してないマスターシリンダに接続されてい
る。

本実施例は上記のように構成されているので、
ブレーキ適用時にブレーキキヤリパ４からブラケ
ツト８に伝達される反動トルクはブラケツト８の
係合面１５を介してリヤフオーク１の上板部１０
の上面９によつて受け止められる。しかして係合
面１５と前記上面９とは広い面積に亘つて接触し
ているので、リヤフオーク１に局部的に高い応力
が生ずることがなく、しかもリヤフオーク１は突
縁部１４によつて補強されるので、リヤフオーク
１を薄肉にしまたは軽合金等で形成して軽量化を
図ることができる。またブラケツト８の凹部１６
がリヤフオーク１の突縁部１４を上下から挟んで
いるので、ブレーキを適用していない時にブラケ
ツト８が後車軸２のまわりに動揺することもな
い。リヤフオーク１は箱形の単純な断面形状をな
しているので、引抜き成型等により容易に製作す
ることができ、またトルクリンク取付用のボスを
溶接したりする必要もなく、部品点数が減少する
とともに製作、加工コストが低減する。

考案の効果 以上の通り、本考案においては、後車軸に枢支
したブラケツトを介してブレーキキヤリパを支持
した自動二輪車の後輪デイスクブレーキ装置にお
いて、前記後車軸を、上面が平らな上板部と内外
両側板部とを有しかつ前記上板部の内側の縁部を
内側の側板部を超えて突出させて突縁部とした断
面形状が箱形のリヤフオークによつて支持し、前
記ブラケツトの前方下部に、前記上板部の上面と
係合する係合面と該係合面に連なり前記突縁部を
上下から挟む凹部とを設けたので、リヤフオーク
の単純化と部品点数の削減さらに突縁部による補
強効果により重量を軽減することができ、またリ
ヤフオークの製作、加工コストを低減することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による後輪デイスクブレーキ装
置を示す側面図、第２図は第１図の−線に沿
う断面図である。 １……リヤフオーク、２……後車軸、３……ブ
レーキデイスク、４……ブレーキキヤリパ、５…
…シリンダ、６……ブレーキ配管、７……ボル
ト、８……ブラケツト、９……上面、１０……上
板部、１１……外側板部、１２……内側板部、１
３……下板部、１４……突縁部、１５……係合
面、１６……凹部、１７……カバー取付片、１８
……デイスクカバー、１９……ボルト、２０……
支持部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 後車軸に枢支したブラケツトを介してブレーキ
   キヤリパを支持した自動二輪車の後輪デイスクブ
   レーキ装置において、前記後車軸を、上面が平ら
   な上板部と内外両側板部とを有しかつ前記上板部
   の内側の縁部を内側の側板部を超えて突出させて
   突縁部とした断面形状が箱形のリヤフオークによ
   つて支持し、前記ブラケツトの前方下部に、前記
   上板部の上面と係合する係合面と該係合面に連な
   り前記突縁部を上下から挟む凹部とを設けたこと
   を特徴とする自動二輪車の後輪デイスクブレーキ
   装置。