JPH03160Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） 本考案は自動車用座席においてその外観を向上
させるために座席の表面を構成する表皮に設けた
ボタンの構造に関するものである。

（先行技術） この種のボタンは前述の如く意匠上の目的で表
皮に設ける他に、表皮を発泡体クツシヨン体（表
皮によつて被覆されるウレタンフオーム製クツシ
ヨン体）の所定位置に固定するために、ボタンの
脚部に紐などの吊込部材を結着してクツシヨン体
の底部に吊込んでいる。

そして、このボタンは成形性、作業上などの問
題より表皮材、発泡体製ワデイングカバーからな
る表皮における表皮とワデイングとの間にボタン
材を挾入し、そのボタン材を囲繞するように前記
三部材を加圧加熱（高周波溶接機により）して、
三部材を一体に融着すると共に表皮にボタンと同
等の外観を呈する突起を形成していた（例えば本
願出願人の出願に係る特開昭58−38515号公報）。

ところで、このボタン材は表皮上に突起が形成
されるように、厚紙、金属板、硬質合成樹脂板な
どのような硬質部材を使用し、これが一枚の表皮
で被覆されているにすぎないため、着座した際
に、異物感が生じ（前記表皮上に別体に設けたボ
タンも同様である）、座り心地が良くない不具合
がある。しかも、ボタン材が表皮で隠蔽され外部
から視覚されないため、そのボタン材周囲の表皮
材、ワデイング、ワデイングカバーの三者を一体
に融着する際、その作業性が低下する…などの問
題がある。

（目的） 本考案は美感のみならず、触感が良くて座り心
地良く、しかも作業性が損なわれないボタン構造
を提供することを目的とするものである。

（構成） 本考案は表皮材、発泡体製ワデイング、ワデイ
ングカバーの三者からなる表皮と、この表皮のワ
デイングカバー側に加圧されて熱融着性補強材に
よつて一体に融着されたボタン材とからなるもの
である。従つて、ボタン材は表皮のみならず、発
泡体製ワデイング、ワデイングカバーの三者によ
つて被覆されているため、従来の表皮のみにより
被覆されたものに比べ、触感が良好になり着座し
た際に異物感が生じない。またボタン芯材は表皮
のワデイングカバー側から加圧して融着するた
め、作業性が向上できるし、しかも、ボタン芯材
に磁性体を設けることにより、高周波溶接機の一
方の型に磁石を装設することにより、表皮の所定
位置に的確にボタンを形成できる。

（実施例） 第１図は本考案に係るボタンａ…を備えた自動
車用座席を示し、ボタンａ…は第２図に示すよう
に表皮ｂと一体成形してある。表皮ｂは、塩化ビ
ニールフイルムなど表皮材ｂ１とウレタンフオー
ムなどの発泡体製ワデイングｂ２及び不織布など
のワデイングカバーｂ３からなり、これらはいず
れも高周波融着性を有する部材で、高周波の内部
加熱によつて一体の積層体となる。図示するもの
はボタンａ形成時に同時に前記三部材ｂ１，ｂ
２，ｂ３を一体に融着したものであり、ボタンａ
はボタン材１をワデイングカバーｂ３側に当て補
強材２で表皮ｂに一体に止着したものである。前
記ボタン材１は合成樹脂製（硬質）の頭部１１
と、吊込部材３を取付ける脚部１２とから構成さ
れ、第２図に示すボタン材１の頭部１１底面には
磁性体１３が装着されている。なお、頭部１１を
合成樹脂製にしたのは高周波溶接の際におけるス
パークを防止したものである。

第３図は装飾用ボタンａ，ａ…を成形する状態
を示し、図中２０は高周波溶接機における基台、
３０は同上型の電極を示し、基台２０には前記ボ
タン材１の頭部１１外径よりやや大きな凹窪を有
する環状の下型の電極２１，２１が設けてあり、
一方、上型３０の下型の電極２１，２１に対応す
る位置に、ボタン材１の脚部１２が挿通する通孔
３１，３１が開孔されている。

そして、上型３０の電極はコイルばね３２によ
つて基台２０に設けてあり、前記通孔３１，３１
の電極２１，２１側周縁には磁石３３，３３が設
けてある。

以上の下型電極２１，２１上に表皮材ｂ１、ワ
デイングｂ２、ワデイングカバーｂ３の三部材を
積層する。次に上型３０の各通孔３１，３１にボ
タン材１をその脚部１２を挿通して、頭部１１の
磁性体１３を上型３０の電極に吸着する。その際
ボタン材１の脚部１２には熱融着性補強材２が挿
通されている。この補強材２は、ボタン材１を前
記表皮ｂに融着できるようにボタン材１の外径よ
り大きな合成樹脂製（例えば表皮材ｂ１と同様な
塩化ビニール）であり、その融着性が不充分の場
合には他の融着部材（熱融着性不織布など）を使
用する。

以上の補強材２付きボタン材１を有する上型３
０を下型電極２１，２１に重ね合わせて加圧加熱
（高周波の内部加熱による）すると、前記第２図
に示すボタンａが形成される。第２図においてイ
は環状の溶接部であり、ボタン材１の頭部１１は
表皮材ｂ１、圧潰されたワデイングｂ２、ワデイ
ングカバーｂ３によつて被覆されている。

図中３に示す吊込部材はボタン材１を表皮ｂに
固定後取付ける。

第５図乃至第７図はボタン材１の脚部１２ａ，
１２ｂ，１２ｃを頭部１１ａに対して回動自在に
取付けて、吊込部材３をボタン材１に取付け易く
し、更に表皮ｂをクツシヨン体に組付ける際にお
ける、その作業性の向上を図つたものである。即
ち、第５図に示すものは脚部１２ａの頭部をカシ
メて回動可能としたものであり、第６図は同様な
方法で脚部１２ｂが回動するようにしたものであ
るが、磁性体１３ｂを第５図に示す磁性体１３ａ
の如く頭部１１ａ内に埋設せず露出させたもので
ある。第７図は磁性体１３ｃに透孔を開孔し、こ
の透孔に頭部１１ａに設けた突起に挿通した後、
その突起を圧潰して磁性体１３ｃを固定したもの
である。

（効果） 本考案によれば、ボタン材の上に表皮材、発泡
体製ワデイング、ワデイングカバーの三者が積層
されて装飾用ボタンが形成される。そのため、硬
質材からなるボタン材によつて、従来品の如く着
座した際に異物感が感じられず座り心地が良好に
なる。しかも、ボタン材を表皮内に挾入して形成
するものに比べ、的確に且つ能率よく形成でき
る。即ち、表皮を積層する電極と別の電極にボタ
ン材を磁石などによつて取付けて高周波融着で
き、融着する際、表皮等のセツトが簡単に行え、
しかも表皮の所定位置に確実に融着できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は本案品
を備えた自動車座席の斜視図、第２図は断面図、
第３図は成形方法を示す断面図、第４図はボタン
材を電極にセツトした状態の断面図、第５図乃至
第７図は他の実施例を示す断面図である。 図中、ａは表皮、１はボタン材、２は補強材を
夫々示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 表皮部材、発泡体製ワデイング、ワデイング
   カバーの三者からなる表皮と、この表皮のワデ
   イングカバー側に加圧されて熱融着性補強材に
   よつて一体に融着されたボタン材とからなる自
   動車用座席の装飾用ボタン構造。 (2) 前記ボタン材は合成樹脂製頭部とこの頭部に
   対して回動自在に装着し外部に突出する脚部と
   から構成されてなる前記実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の自動車用座席のボタン構造。 (3) 前記ボタン材の一部に磁性体を設けてなる前
   記実用新案登録請求の範囲第１項記載の装飾用
   ボタン構造。