JPH0579Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、自動車用シート、家具シートなどの
パツド体に対する表皮材の固着構造に関する。

従来の技術 従来、自動車用シート等のパツド体に表皮材を
固着させる場合、実公昭55−5118号公報、特開昭
58−61099号公報、実公昭62−22000号公報等に示
されているように、釦と、この釦に取り付けられ
ると共に、パツド体内に埋設された芯線に取り付
けられるクリツプとからなる固着装置が使用され
ている。

考案が解決しようとする問題点 しかし、従来のこの種の固着装置は、釦が表皮
材の表面に取り付けられているもので、釦が表面
に現われるので体裁が悪く、またクリツプとして
は通常リング状のものが使用されているが、かか
るリング状クリツプは釦や芯線との取り付けが煩
雑で面倒であるという問題がある。

本考案は上記事情に鑑みなされたもので、固着
装置が表皮材表面に顕出することがないので、体
裁よく、しかも簡単に表皮材を自動車シート等の
パツド体に固着することができる表皮材の固着構
造を提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 本考案は上記目的を達成するため、表皮材を内
部に芯線が埋設されたパツド体に固着するための
固着構造であつて、上記表皮材の裏面に取り付け
られるクリツプ保持体と、このクリツプ保持体と
係合する係合手段を備えた頭部とこの頭部に突設
された互いに所定間隔を存して対向する２個の脚
部とから構成され、上記両脚部の先端をそれぞれ
尖つて形成し、かつ一方の脚部内面に先端部が他
方の脚部内面に近接する芯線保持部をこの保持部
下面を押圧することにより弾性変形してその先端
部が弾性変形して該先端部と他方の脚部内面との
間に芯線通過可能な隙間が形成されると共に、上
記押圧が解除されると元の状態に弾性復元するよ
うに斜め上向きに突設したクリツプとを具備して
なり、上記表皮材の裏面に取り付けた上記クリツ
プ保持体に上記クリツプの頭部を係合すると共
に、該クリツプの脚部を上記パツド体に刺通して
パツド体に埋設された芯線でクリツプの上記芯線
保持部下面を押圧し、該保持部を弾性変形させて
上記芯線を該保持部の内側に挿入すると共に、該
保持部を弾性復元させて係止保持することにより
クリツプを該芯線に取り付け、このクリツプと上
記クリツプ保持体とを表皮材表面に顕出させるこ
となく、パツド体に表皮材を固着するようにした
ものである。

作 用 本考案の表皮材とパツド体との固着構造は、表
皮材の裏面にクリツプ保持体を取り付け、この保
持体にクリツプを係合し、このクリツプをパツド
体に取り付けるものであるから、固着装置（クリ
ツプ及びクリツプ保持体）が表皮材表面に顕われ
ず、表皮材裏面に隠されているので、非常に体裁
がよい。

また、クリツプは芯線保持部を有する先端が尖
つた脚部を有し、この脚部をパツド体に刺通して
パツド体に埋設された芯線で芯線保持部下面を押
圧し、該保持部を弾性変形させて上記芯線を該保
持部の内側に挿入すると共に、該保持部を弾性復
元させて保持することにより、クリツプをパツド
体の芯線に固定するものであるので、クリツプの
パツド体への取り付けの際は、クリツプの脚部先
端をパツド体の所定位置に当接させ、表皮材の上
からこのクリツプを押圧するだけで、クリツプ体
を極めて容易にパツド体の芯線に固定することが
できる。更にこの場合、クリツプの脚部をパツド
体に深く刺通して芯線に固定する前に該脚部を浅
く仮刺通することにより、パツド体に仮止めする
ことができ、クリツプ刺通相当箇所か否かを確認
することができるので、クリツプを誤つた箇所に
取り付けるような不都合が回避されると共に、複
数個のクリツプを仮止めし、位置確認した後、こ
れらクリツプを同時に押圧することにより、複数
個のクリツプを同時にパツド体に取り付けること
ができる。

以下、本考案の一実施例につき図面を参照して
説明する。

実施例 第１図は本考案の一実施例に係る表皮材の固着
装置１を示すもので、この固着装置１はクリツプ
２とクリツプ保持体３とからなる。

上記クリツプ２は、ポリプロピレン等のプラス
チツクにより形成され、円板状頭部４と、その下
面に一体に突設された２個の長板状脚部５，６と
を具備し、これら両脚部５，６は互に所定間隔離
間して対向していると共に、その先端（下端）５
ａ，６ａはそれぞれ三角状に切り欠かれて尖つた
状態に形成されている。

上記頭部４の中央部には、短軸四角柱状の係合
部７が一体に突設されていると共に、この係合部
７の先端面に該係合部７より大径でかつ頭部４よ
り小径の円板状の鍔部８が一体に突設されてい
る。

また、上記脚部５の内面下部には板状の芯線保
持部９が斜め上向き状に一体に突設され、その先
端は他方の脚部６の内面長さ方向ほぼ中央部に近
接しており、この芯線保持部９はその下面（外
面）を押圧するとプラスチツクの弾性力により基
端部を支点として先部側が一方の脚部５内面に近
接するように弾性変形することが可能になつてい
る。更に、上記芯線保持部９の内面には芯線係合
突片１０が一体に突設されていると共に、上記一
方の脚部５の内面には、この芯線係合突片１０と
斜め上方向において対向する位置に芯線係止突片
１１が一体に突設されている。また、上記他方の
脚部６の内面には、上記芯線保持部９の先端とほ
ぼ対向した位置に係合溝１２が幅方向に沿つて形
成されており、この溝１２に対応する他方の脚部
６外面は外方に膨出し、これにより他方の脚部６
の該溝１２形成部の肉厚は他の部分とほぼ同じに
形成されている。なお、図中１３，１３は両脚部
５，６の外面中央部に長さ方向に沿つて一体に突
設された突状の補強リブで、１４は保持部内面に
幅方向に沿つて一体に突設された突状の補強リ
ブ、１５は両脚部５，６の内面上端中央部間にこ
れらを連結するように突設された板状の補強リブ
である。

一方、上記クリツプ保持体３は、ポリプロピレ
ン等のプラスチツクにより四角長板状に形成さ
れ、この保持体３には上記円形状鍔部８を挿入し
得る円形状の大孔１６と、これと連続し、鍔部８
よりも小さくかつ上記係合部７を挿入し得る四角
状係合孔１７とが、該係合部７とほぼ同じ大きさ
の幅狭通路１８を回して互に連続して形成されて
いる。

次に、上述した表皮材固着装置１を用いて表皮
材を自動車用シートなどのパツド体に固着する場
合は、まず第２図に示したようにクリツプ保持体
３の幅方向両側縁部をそれぞれ表皮材１９の裏面
に縫着Ａ，Ａする。この場合、クリツプ保持体３
の上記両孔１６，１７形成部分は表皮材１９裏面
とは縫着されておらず、該裏面とは離間し得るも
のである。

このようにクリツプ保持体３を表皮材１９の裏
面に取り付けた後、クリツプ２の鍔部８をクリツ
プ保持体３の円形状大孔１６に挿入し貫通して大
孔１６の上方（表皮材１９側）に突出させると共
に、鍔部８を四角状係合孔１７方向に移動させ
る。これにより、係合部７が幅狭通路１８を通つ
て四角状係合孔１７に係合し、クリツプ２がクリ
ツプ保持体３に係合保持される。

この状態でクリツプ２の脚部５，６先端５ａ，
６ａをパツド体２０の所定位置に突き刺す。ここ
で、パツド体２０は発泡ポリウレタン等の発泡体
より形成されているもので、適宜箇所に芯線２１
が埋設されている。上記脚部５，６先端の突き刺
し位置はこの芯線２１埋設箇所であり、これら脚
部５，６間に芯線２１が存するように突き刺すも
のである。このように脚部５，６先端をパツド体
２０に突き刺した後、更に深く刺通すると芯線２
１が芯線保持部９の下面（外面）に当接し、これ
を押圧する。これにより、芯線保持部９の先端が
一方の脚部５側に近接するように弾性変形し、芯
線保持部９の先端と他方の脚部６との間に芯線２
１が通過可能な隙間が形成され、この隙間に芯線
２１を通しつつ脚部５，６がより深く刺通すると
共に、芯線２１が該隙間を通過すると芯線保持部
９が元の状態に弾性復元し、芯線２１が係合突片
１０に係合し、かつ芯線２１の横方向の移動が係
止突片１１及び芯線保持部９の先部により係止さ
れる。従つて、これによりクリツプ２が芯線２１
に固定されて、上記表皮材１９がパツド体２０に
固着装置１（クリツプ２及びクリツプ保持体３）
を介して固着されるものである。

而して、上述した表皮材１９とパツド体２０と
の固着構造は、クリツプ保持体３が表皮材１９の
裏面に取り付けられ、このクリツプ保持体３に固
定されたクリツプ２がパツド体２０に刺通された
構成であるため、固着装置１が表皮材１９の表面
側には全く露呈せず、表皮材１９に隠されている
ので、非常に体裁が良く、外観的に良好である。
またこの場合、頭部４を小さく形成でき、表皮材
１９をパツド体２０に取り付けた際、意匠じわが
きれいに出る。

更に、上記構造によれば、芯線２１は係止突片
１１に係止されているので、芯線保持部９と一方
の脚部５との間の下側空隙２２に落ち込むことは
なく、かつ芯線保持部９の先部にも係止されてい
るため、芯線２１は係合突片１０に確実に係合さ
れ、クリツプ２内ほぼ中央部に保持される。この
場合、芯線２１が芯線保持部９の先端を越えてク
リツプ２から抜け出そうとしても、該先端が係合
溝１２に係合するので、芯線２１からクリツプ２
がはずれることがない。

また、クリツプ２をパツド体２０に固着する
際、クリツプ２の脚部５，６先端５ａ，６ａは尖
つているため、表皮材１９の上からクリツプ２の
頭部４を指などで押圧することにより、パツド体
２０を刺通してワンタツチで簡単にクリツプ２を
装着でき、装着に際して特別な治具を必要としな
い。この場合、まずクリツプ２の脚部５，６先端
５ａ，６ａを刺通相当箇所に突き刺して仮の位置
決めを行ない、刺通相当箇所であることを確認し
た後、上述したように指などで押圧して脚部５，
６を深く刺通し、芯線２１を芯線保持部９内に挿
入することができるので、クリツプ２をパツド体
２０の刺通すべき箇所以外の部分に挿通、装着す
るという誤操作が回避される。しかも、このよう
にクリツプ２をパツド体２０に仮止めできるの
で、複数個のクリツプ２をそれぞれ刺通相当箇所
に仮止めした後、これらクリツプ２をそれぞれ押
圧することにより、複数個のクリツプ２を同時に
装着し得、クリツプ２のパツド体２０への取り付
けが容易になされ、常に一のクリツプを装着した
後、他のクリツプを取り付けるという面倒さがな
くなる。

更にまた、上記固着装置１はプラスチツクにて
形成されているので、外皮材１９の色等をまちが
えてパツド体２０に取り付けたり、外皮材１９を
取り代える場合などにニツパー等で容易に切断し
得て簡単に固着状態を解消し得る。

なお、本考案に係る固着装置は上述した実施例
に限定されるものではなく、種々変更することが
できる。例えば、第３図に示したように、クリツ
プ２の頭部４に球状の係合凹部２３を有する突起
部２４を一体に突設すると共に、板状のクリツプ
保持体３の下面に上記係合凹部２３に係合する球
状係合部２５を一体に突設し、上記係合凹部２３
と球状係合部２５とを互に係合することにより、
クリツプ２とクリツプ保持体３とを接続するよう
にしてもよく、また第４図に示したように、頭部
４を四角板状に形成すると共に、この頭部４に逆
四角錐台状の係合突起２６を一体に突設し、かつ
板状のクリツプ保持体３にこの係合突起２６の上
端面が挿入可能な四角係合孔２７を穿設して、上
記係合突起２６を該係合孔２７を挿入し、その上
端面を係合孔２７を貫通して上方に突出させ、こ
の状態でクリツプ２を回動することにより、係合
突起２６の四隅部をクリツプ保持体３の係合孔２
７周縁上部に引掛け、クリツプ２とクリツプ保持
体３と互に接続するようにしてもよく、クリツプ
２とクリツプ保持体３との係合態様は適宜変形し
得、その他の構成も本考案の要旨の範囲内で変更
して差支えない。

考案の効果 以上説明したように、本考案によれば、表皮材
固着装置が表皮材の表面に顕われることがないの
で、パツド体に対する表皮材の取り付けが体裁良
く行なわれると共に、クリツプをクリツプ保持体
に係合し、クリツプをパツド体に刺通することに
より、特別な治具を使用することなく表皮材をパ
ツド体に簡単にワンタツチで取り付けることがで
きる。また、挿通位置を確認するため仮の位置決
めができ、クリツプをパツド体の誤つた箇所に取
り付けるという誤操作を防止し得ると共に、同時
に複数個のクリツプをパツド体に刺通して取り付
けることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施に用いる固着装置の一例
を示し、Ａはクリツプの側面図、Ｂはクリツプ保
持体の平面図、第２図は同固着装置を用いた本考
案の固着装置の一実施例を示す一部を断面とした
側面図、第３図は固着装置の他の例を示す一部省
略断面図、第４図は固着装置の更に別の例を示
し、Ａはクリツプの一部省略側面図、Ｂはクリツ
プ保持体の一部省略平面図である。 １……固着装置、２……クリツプ、３……クリ
ツプ保持体、４……頭部、５，６……脚部、７…
…係合部、８……鍔部、９……芯線保持部、１０
……芯線係合部、１１……芯線係止部、１２……
係合溝、１７……係合孔、１９……表皮材、２０
……パツド体、２１……芯線、２３……係合凹
部、２５……係合部、２６……係合突起、２７…
…係合孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 表皮材１９を内部に芯線２１が埋設されたパツ
   ド体２０に固着するための固着構造であつて、 上記表皮材１９の裏面に取り付けられるクリツ
   プ保持体３と、 このクリツプ保持体３と係合する係合手段を備
   えた頭部４とこの頭部４に突設された互いに所定
   間隔を存して対向する２個の脚部５，６とから構
   成され、上記両脚部５，６の先端をそれぞれ尖つ
   て形成し、かつ一方の脚部５内面に、先端部が他
   方の脚部６内面に近接する芯線保持部９をこの保
   持部９下面を押圧することにより弾性変形してそ
   の先端部と他方の脚部６内面との間に芯線２１通
   過可能な〓間が形成されると共に、上記押圧が解
   除されると元の状態に弾性復元するように斜め上
   向きに突設したクリツプ２とを具備してなり、上
   記表皮材１９の裏面に取り付けた上記クリツプ保
   持体３に上記クリツプ２の頭部４を係合すると共
   に、該クリツプ２の脚部５，６を上記パツド体２
   ０に刺通してパツド体２０に埋設された芯線２１
   でクリツプ２の上記芯線保持部９下面を押圧し、
   該保持部９を弾性変形させて上記芯線２１を該保
   持部９の内側に挿入すると共に、該保持部９を弾
   性復元させて係止保持することによりクリツプ２
   を該芯線２１に取り付け、このクリツプ２と上記
   クリツプ保持体３とを表皮材表面１９に顕出させ
   ることなく、パツド体２０に表皮材１９を固着す
   るようにしたことを特徴とする表皮材の固着構
   造。