JP5560311B2 - 表皮材止着用クリップ - Google Patents
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Description
この構造においては、係止用の辺縁に係止される部分の底面に、ワイヤに係合される逆爪状のフックとこのフックに沿ったガイドレバーとを形成している。ワイヤをフックに導入する場合にはガイドレバーを弾性変形させてフックから離し、互いの隙間をワイヤが通過できるようにしている。
また、特許文献1,3では、フックの先端とガイドレバーの先端とを互いに反対側に反らし、先端側に向かって拡がった形状としてフックへのワイヤの円滑な導入を図っているが、このような形状の先端部がクッション材に接触している状態では、ワイヤの導入にあたってフックとガイドレバーとが拡がろうとする動きを阻害するという問題があった。
一方、本発明では、フックはチャックの底面に接続されるため、ワイヤからフック、チャック、係止用辺縁および表皮材に至る止着の荷重伝達経路は直線的にすることができ、表皮材の確実な止着が行える。
また、このような構成では、ストッパはチャックで挟持される係止用辺縁と交差方向となり、ストッパを適宜な高さに設定しておけば、チャックで挟持される係止用辺縁がストッパに当接され、係止用辺縁に沿ってクリップが移動することを防止できる。
さらに、この構成では、係止用辺縁とストッパとの摩擦係止を利用するため、従来のストッパ片と長孔を用いた構造に比べて拘束力が弱いが、長孔のない任意の位置での係止が可能であり、かつ係止にあたって長孔の形成などの準備作業を必要なくすることができる。
このような構成では、ガイドレバーをチャックの側面の中間部つまり底面よりも表皮材に近い部位に接続することで、ガイドレバーに十分な長さを確保できる。この際、ガイドレバーの接続部近傍とチャックとの間に窪み形状が生じ、フックに導入されるべきワイヤの径によってはこの窪み内に入り込んでしまう可能性がある。しかし、当該構成では、ガイド突起によりワイヤをガイドすることで、窪み形状への誤進入を防止することができる。
このような構成では、ガイドレバーの撓みがより容易になり、フックへのワイヤの導入を更に容易に行うことができる。
このような構成では、フックおよびガイドレバーがクッション材の溝の底面に刺さった場合でも、互いに近接する方向の反力を受けることになり、フックおよびガイドレバーが不用意に開いてワイヤが脱落する等を避けることができる。
このような構成では、治具受け部に操作用治具を挿入し、フックをワイヤに対して側方へずらしたり傾けたりすることで、フックとワイヤとの係合解除を行うことができ、あるいはワイヤ導入時の補助を行うことができる。
〔第1実施形態〕
図1から図7には、本発明の表皮材止着用クリップの第1実施形態が示されている。
図1に示すように、本実施形態のクリップ10は、車両用の座席のクッション材1の表面に表皮材2を張るために用いられる。
係止用テープ6には、縫合部5と反対側の辺縁に沿って、係止用端部材7が装着されている。係止用端部材7は合成樹脂製の略Y字状の型材であり、係止用テープ6の一方の側をインサート成型することで係止用テープ6に装着することができる。
本実施形態では、表皮材2をクッション材1に止着するために、表皮材2の裏面の係止用辺縁8をクリップ10によりワイヤ4に係止する。
チャック11は、一対の先端部11Tの間を通して係止用辺縁8の係止用テープ6を通すことができ、各々の係止面11Sにより係止用辺縁8の係止用端部材7を係止することができ、これらによりチャック11は係止用辺縁8に係止することができる。
チャック11が係止用辺縁8に係止された際には、一対の係止爪11Aの内側に係止用端部材7が収容される。係止用端部材7の表皮材2側は、一対の係止部分7Aで係止面11Sに当接する。係止部分7Aは、本実施形態では表皮材2方向に突出しかつ係止用辺縁8に沿って連続する突条とされているが、係止用辺縁8に沿って間欠的に形成された突起の列であってもよく、あるいは突出形状をなくして係止用端部材7の表皮材2側を平坦とし、その両肩部分を係止部分7Aとして利用してもよい。係止用端部材7の表皮材2と反対側は、先端部分7Bがストッパ11Pに当接され、その摩擦力により係止用辺縁8の連続方向に沿ったチャック11の移動が抑制される(図2または図4参照)。
フック12はワイヤ4を係止する爪状部12Aを有し、その外周面12Bはフック12の先端部12Tの内側からチャック11側ほどガイドレバー13寄りとなる傾斜とされている。これにより、フック12およびガイドレバー13の各先端部12T,13Tの間(図5の間隔C1)に導入されたワイヤ4は、外周面12Bに接触してガイドレバー13側へ案内される。
この湾曲部13Bにより、ガイドレバー13の長さがさらに長くされ、弾性変形による撓みやすさが得られるようになっている。
ガイドレバー13は、湾曲部13Bがあることで、基端部がチャック11の途中から所定間隔を隔てて互いに沿って延びている。このため、ガイドレバー13とチャック11との間にU字状の窪みが形成され、ワイヤ4が誤って当該窪みに入りこんでしまう可能性がある。しかし、この窪みを塞ぐように形成されたガイド突起14があることで、ワイヤ4が誤って入りこむことが防止できる。さらに、前述した隙間13Aを通過してきたワイヤ4を、円滑に爪状部12Aの内側へと導入することができる。
このような傾斜面12S,13Sにより、フック12およびガイドレバー13がクッション材1の溝3の底面に刺さった場合でも、互いに近接する方向の反力を受けることになり、フック12およびガイドレバー13が不用意に開いてワイヤ4が脱落することが避けられる。
治具受け部15は、チャック基部11Bの側面から起立してチャック11側に屈曲したL字状の突起とされ、フック12の先端側に向けて補強用のリブ15Aが形成されている。
まず、図3に示すように、クリップ10のチャック11に係止用辺縁8の係止用端部材7を押し当て、強く押し込むことにより一対の係止爪11Aを押し拡げて一対の先端部11Tの間に係止用端部材7を押し込む。
これにより、図4に示すように、係止用端部材7は一対の係止爪11Aの間に収容され、係止用端部材7の係止部分7Aが係止面11Sに当接し、先端部分7Bがストッパ11Pに当接し、従って係止面11Sとストッパ11Pとの間に係止用端部材7が挟み込まれた状態になる。
従って、係止用端部材7がチャック11に確実に保持され、クリップ10は係止用辺縁8に係止されるとともに、係止用辺縁8に沿ったクリップ10の移動が抑制される。
同様の手順で、係止用辺縁8の所定間隔で複数のクリップ10を順次係止してゆく。
具体的には、係止用辺縁8に係止されたクリップ10の治具受け部15に操作用治具であるマイナス型ドライバTを挿入し、このドライバTで操作することで係止用辺縁8とともにクリップ10を溝3内に導入する。
フック12の先端部12Tとガイドレバー13の先端部13Tとの間隔C1は、ワイヤ4の直径よりも十分に大きいので、クリップ10を近接させればワイヤ4は自動的にフック12とガイドレバー13との間隔C1に入り込むことになる。
フック12の爪状部12Aとガイドレバー13の内側面との隙間13Aは、ワイヤ4の直径よりも小さく、そのままではワイヤ4が通過できない。これは、係止後のワイヤ4の外れを防止するための構成でもある。
ここで、フック12側の変位に対して、ガイドレバー13はワイヤ4と接触して移動を規制される。その結果、ガイドレバー13が弾性変形し、フック12とくに爪状部12Aから離隔し、爪状部12Aとガイドレバー13の内面との隙間13Aが拡げられる。そして、隙間13Aがワイヤ4の直径より大きな間隔C2まで拡がった際には、ワイヤ4が隙間13Aを通過できる。
なお、ドライバTを用いないで、クリップ10をワイヤ4に向けて強く押し付けることで、外周面12Bから爪状部12Aへとガイドされたワイヤ4によりガイドレバー13が押し広げられ、このような強制的な操作によっても隙間13Aを通過させることが可能である。
ガイドレバー13がチャック11の側面とくにその中間部に接続されるため、フック12とガイドレバー13とがともにチャック11の底面に設置される従来構造に比べ、ガイドレバー13の長さを大きくとることができ、容易に撓むことができるようになる。このため、ワイヤ4の導入にあたってガイドレバー13の弾性変形が容易になり、フック12へのワイヤ4の導入を容易に行うことができる。
一方、本発明では、フック12はチャック11の底面に接続されるため、ワイヤ4からフック12、チャック11、係止用辺縁8および表皮材2に至る止着の荷重伝達経路は直線的にすることができ、表皮材の確実な止着が行える。
図8には本発明の第2実施形態が示されている。
本実施形態のクリップ10は、ガイドレバー13の形状が異なる。他の構成は前記第1実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
前記第1実施形態では、ガイドレバー13は、チャック11の係止爪11Aの中間部から起立し、湾曲部13Bをへて再びチャック11寄りに接近し、ガイド突起14に対向する部分から直線的に先端部13Tへと延びていた。
これに対し、本実施形態のガイドレバー13は、チャック11の係止爪11Aの基端つまりチャック基部11B近傍から斜めに起立するものであり、湾曲部13Bは省略され、起立した部分からすぐ先端部13Tへと直線的に延びている。
このような本実施形態によっても、前記第1実施形態と同様な効果を得ることができる。但し、湾曲部13Bがないため、当該部分によるガイドレバー13の変形性能の向上が得られない。
図9には本発明の第3実施形態が示されている。
本実施形態のクリップ10は、ガイドレバー13、ガイドレバー13側の係止爪11Aおよびチャック基部11Bの形状が異なる。他の構成は前記第1実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
本実施形態において、チャック11の一方の係止爪11Aの基端側には湾曲部11Cが形成されている。この湾曲部11Cにより変位する分だけ、チャック基部11Bはガイドレバー13側が短縮されている。ガイドレバー13は前記第2実施形態と同様に湾曲部13Bが省略されている。ガイドレバー13は、係止爪11Aに接続される部分が、湾曲部11Cと一連の曲率で形成されている。
このような本実施形態によっても、前記第1実施形態と同様な効果を得ることができる。本実施形態においても、湾曲部13Bがないため、当該部分によるガイドレバー13の変形性能の向上が得にくいが、湾曲部11Cによる変形性能を得ることができる。
図10には本発明の第4実施形態が示されている。
本実施形態のクリップ10は、隙間13Aで対向するガイドレバー13およびフック12の係止爪11Aに、互いに先端が当接する突起部13A1,12A1が形成されている点が異なる。他の構成は前記第1実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
このような本実施形態によっても、前記第1実施形態と同様な効果を得ることができる。さらに、突起部13A1,12A1により隙間13Aが閉じられるため、ワイヤ4の不用意な脱出を防止することができる。また、ガイドレバー13とフック12の係止爪11Aとが常時当接しているため、ガイドレバー13の位置を安定させることができる。
図11には本発明の第5実施形態が示されている。
本実施形態のクリップ10は、治具受け部15が省略されている点が異なる。他の構成は前記第1実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
このような本実施形態においては、治具受け部15がないため、操作用治具でクリップ10の導入を案内することができない。しかし、本実施形態においては、クリップ10をワイヤ4に向けて強く押し付けることで、外周面12Bから爪状部12Aへとガイドされたワイヤ4によりガイドレバー13が押し広げられ、このような強制的な操作によって隙間13Aを通過させることができ、前記第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
図12には本発明の第6実施形態が示されている。
本実施形態のクリップ10は、チャック11の先端部11Tが互いに対向する方向に延びる直線的な形状である点、フック12およびガイドレバー13の先端部12T,13Tが両流れの三角山形に形成され、つまり先端部12T,13Tのそれぞれ両側に一対の傾斜面12S,13Sが形成されている点が異なる。他の構成は前記第1実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
このような本実施形態によっても、前記第1実施形態と同様な効果を得ることができる。また、先端部11Tは異なるものの、先端部11Tの内側の係止面11Sが前記第1実施形態と同様であるため、係止用辺縁8に対する係止は同様に行うことができる。
図13には本発明の第7実施形態が示されている。
本実施形態のクリップ10は、ガイドレバー13がチャック11の側面でも最も端にあたるチャック基部11Bの側面に接続されている点が異なる。他の構成は前記第1実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
このような本実施形態においては、ガイドレバー13が先端部13Tに近くなり、ガイドレバー13としての長さを確保しにくくなる。しかし、湾曲部13Bを大きくとることで、実質的な長さを確保し、これによりガイドレバー13としての変形性能を確保することができる。従って、このような本実施形態によっても、前記第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、細部形状や寸法等は実施にあたって適宜変更することができる。また、クリップ10の材質や表面の仕上げ、色彩等は実施にあたって適宜選択することができる。
同様に、チャック11の先端部11Tにおいて、係止用辺縁8を挿通する部分(互いに向かい合う端縁)の角を面取りした形状としたが、これは丸めた形状であってもよく、あるいは単なる角隅としてもよい。しかし、丸めあるいは面取りにより、係止用辺縁8とのひっかかりを軽減できるようにすることが望ましい。
また、治具受け部15はマイナス型ドライバTの先端を受けるのに適した舌状にかぎらず、プラス型ドライバを差し込むのに適した丸孔を有する突起等であってもよく、操作用治具を受けるのに適した形状とするべく適宜変更してよい。
2…表皮材
3…溝
4…ワイヤ
5…縫合部
6…係止用テープ
7…係止用端部材
7A…係止部分
7B…先端部分
8…係止用辺縁
10…クリップ
11…チャック
11A…係止爪
11B…チャック基部
11C…湾曲部
11P…ストッパ
11S…係止面
11T…先端部
12…フック
12A…爪状部
12B…外周面
12S,13S…傾斜面
12T,13T…先端部
13…ガイドレバー
13A…隙間
13A1,12A1…突起部
13B…湾曲部
13T…先端部
14…ガイド突起
15…治具受け部
15A…リブ
T…操作用治具であるマイナス型ドライバ
Claims (5)
- 表皮材(2)の裏面に形成された係止用辺縁(8)を挟持するチャック(11)と、クッション材(1)の溝(3)内に設置されたワイヤ(4)を係止するフック(12)と、前記フック(12)の開口側に対向配置されたガイドレバー(13)とを有する表皮材止着用クリップにおいて、
前記フック(12)は基端側が前記チャック(11)の前記表皮材(2)と反対側の底面に接続され、前記ガイドレバー(13)は前記チャック(11)の側面に接続され、
前記チャック(11)は一対の係止爪(11A)を有し、これらの係止爪(11A)はチャック基部(11B)に固定されているとともに、前記チャック基部(11B)には前記係止爪(11A)の対向する方向に延びる突条からなるストッパ(11P)が形成されていることを特徴とする表皮材止着用クリップ。 - 請求項1に記載した表皮材止着用クリップにおいて、
前記ガイドレバー(13)は前記チャック(11)の側面の中間部に接続され、前記チャック(11)の底面には前記ガイドレバー(13)に向かって延びるガイド突起(14)が形成されていることを特徴とする表皮材止着用クリップ。 - 請求項1または請求項2に記載した表皮材止着用クリップにおいて、
前記ガイドレバー(13)には、その途中に湾曲部(13B)が形成されていることを特徴とする表皮材止着用クリップ。 - 請求項1から請求項3の何れかに記載した表皮材止着用クリップにおいて、
前記フック(12)および前記ガイドレバー(13)の各先端には、互いに離れた側の側面に互いに先端ほど近接する傾斜面(12S,13S)が形成されていることを特徴とする表皮材止着用クリップ。 - 請求項1から請求項4の何れかに記載した表皮材止着用クリップにおいて、
前記フック(12)の側面には前記チャック(11)側から操作用治具を挿入可能な治具受け部(15)が形成されていることを特徴とする表皮材止着用クリップ。
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