JP5889751B2

JP5889751B2 - トリムカバーの縫着方法

Info

Publication number: JP5889751B2
Application number: JP2012189386A
Authority: JP
Inventors: 毅田畑
Original assignee: Tachi S Co Ltd
Current assignee: Tachi S Co Ltd
Priority date: 2012-08-30
Filing date: 2012-08-30
Publication date: 2016-03-22
Anticipated expiration: 2032-08-30
Also published as: JP2014045830A; EP2703211A1; US9610875B2; CN103661036A; US9290119B2; US20150183351A1; US20140062162A1

Description

本発明は、ヘッドレストで着座者の頭部が接触部分など、柔らくして触感を向上させるようにしたヘッドレストなどに使用するトリムカバーの縫着方法に関するものである。

従来から一般的に利用されているトリムカバーは、例えば，特開昭６３−３５３１４号公報に開示されているように、織物地、合成皮革などからなる表皮材と、この表皮材の裏面側に一体に溶着した発泡体製のワディングと、このワディングの外面側に設けた不織布、合成樹脂製のフィルムなどからなるワディングカバーとからなる積層体（厚さ１０ミリ以下）から構成されている。
この積層体は所定の形状に裁断後、前記三者の端末を揃えて一体にミシンで縫着して、トリムカバーを形成している。このトリムカバーで、フレームに被せた発泡体製のパッドを被覆してシート、ヘッドレストなどを組み立てている。

特開昭６３−３５３１４号公報

ところで、近年、例えば、ヘッドレストでは、着座者の頭部の接触部分を柔らくして触感を向上せるなど、超ソフト仕様のトリムカバーの要求がある。
そこで、厚さが厚い（例えば、厚さ３０ミリ）の板状のスラブウレタンフォームを従来のトリムカバーに挟み込むと、前記触感が向上する。
しかし、この厚さが厚い板状のスラブウレタンフォームを前記トリムカバーの構成部材である積層体に介在して、その端末をミシンで一体に縫着しようとすると、全体の厚みが厚く（厚さ３０ミリ以上）、ミシンの押さえ金が上がらないため、縫製時に前記スラブウレタンフォームを介在した積層体は押さえ金の下に入れることができず、ミシンで縫製ができない。

本発明は、柔らかく厚さが厚い板状のスラブウレタンフォームを使用して、触感が良いトリムカバーの縫着方法を提供することを目的とする。

本発明は、表皮材と発泡体製のワディングとワディングカバーからなる積層体のワディングとワディングカバー間に、前記ワディングより柔軟で且つ厚みが厚い発泡体製の肉厚ワディングを配置したトリムカバーにおいて、
前記肉厚ワディングの下に、前記表皮材と発泡体製のワディングを積層して配置し、前記肉厚ワディングの端面を上から下に向けて傾斜するように圧潰し、この圧潰した前記肉厚ワディングの前記端面を、前記表皮材とワディングの両端末にミシンで縫着し、その後、この縫着した部分に前記ワディングカバーを重ねて、この重ね部分を上から縫着することを特徴とする。

このトリムカバーの縫着方法においては、肉厚ワディングの端面を上から下に向けて傾斜するように圧潰することで、肉厚ワディングの端面が肉薄にすることができ、前記表皮材とワディングの両端末に肉厚ワディングを容易にミシンで縫着することができる。このような作業は、肉厚ワディングと、表皮材とワディングの両端末との縫着部分を局所的に押し潰すような不安定な縫着作業を余儀なくされないため、作業性が良く、しかもミシンの押さえ金の下に肉厚ワディングを入れ易い。そして、肉厚ワディングの圧潰状態を維持して、肉厚ワディングの縫着した部分にワディングカバーを重ねて、この重ね部分を上から縫着する。このような作業は、柔らかく厚みのある肉厚ワディングの厚みが増しても容易且つ確実にミシン縫いを行うことが可能となる。

そして、この前記肉厚ワディングを縫着した部分は、肉薄に形成されているため、この部分に、他のトリムカバーをミシンで接ぎ合わせる際、その作業性が良くなり、肉厚ワディングをもったトリムカバーと他のトリムカバーとを容易に縫着することができる。
また、切欠加工が難しい肉厚ワディングにおける縫着する部分を薄くするような加工が、不要になる。

本発明によれば、柔らかく厚みのある肉厚ワディングを有するトリムカバーをミシンで容易且つ確実に縫うことができる。

本発明に係る縫着方法によって形成されたトリムカバーを適用したヘッドレストの一実施形態を示す断面図である。本発明に係るトリムカバーの縫着方法に関する第１のステップを示す断面図である。本発明に係るトリムカバーの縫着方法に関する第２のステップを示す断面図である。本発明に係るトリムカバーの縫着方法に関する第３のステップを示す断面図である。肉厚ワディングをもったトリムカバーと他のトリムカバーとを縫着した状態を示す断面図である。

以下、図面を参照しつつ本発明に係るトリムカバーの縫着方法の好適な実施形態について詳細に説明する。

図１に示されるように、ヘッドレストＨＲは、傾動調整可能なヘッドレスト本体１と、ヘッドレスト本体１の底部から突出するステー２と、からなる。ステー２は、シートバックの頂部から抜き差しが可能であると共に、乗員の頭部の位置に合わせるように、シートバックに対して差し込み量を調整することができる。

ステー２は、シートバックの頂部に設けられた装填孔内に差し込まれる左右一対の縦軸部２ａと、各縦軸部２ａ間を掛け渡す横軸部２ｂと、からなる。ヘッドレスト本体１の傾動は、ステー２を具備してなる傾動ユニットが利用されている。この傾動ユニットは、樹脂製などの剛性部材からなるフレーム３内に収容されている。

このフレーム３の周囲には、腰のある硬さをもった発泡体パッド５が配置され、この発泡体パッド５は第１のトリムカバーＡと第２のトリムカバーＢによって包囲されている。そして、第２のトリムカバーＢは、ヘッドレストＨＲの前側に配置され、着座者の頭部が接触した際、柔らくして触感を向上させるようにしている。
なお、前記第１のトリムカバーＡと第２のトリムカバーＢは一体に袋状に縫い合わされ、その内部のフレーム３との間に発泡液を注入すると、前記発泡体パッド５が発泡成形される。

次に、第２のトリムカバーＢの縫着方法について説明する。
この縫着は本縫いを行う前の事前縫い（周囲縫い）を行う。

事前縫い方法について説明する。
まず、表皮材１１はその裏面側に一体に溶着した発泡体製のワディングを有する従来周知の部材で、このワディング付き表皮材１１のワディング側に、ワディングより柔軟で且つ厚み（３０ミリ程度）が厚く板状の発泡体製の肉厚ワディング１０を図２に示すように、端末を揃えて積層しミシンのテーブル上に配置する。図中、１０bは肉厚ワディング１０の端面を示す。

その後、図３に示されるように、肉厚ワディング１０の端面１０ａを、矢印Ｆで示されるように斜め上方から作業者が手或いは冶具などで抑え込み、上から下に、掛けて低く傾斜するように圧潰する。そして、ミシンの押さえ金で圧潰部分を押さえながら、肉厚ワディング１０の端面１０ａの下端を表皮材１１に縫着する。この縫着箇所を、第１の縫着部１２とする。その結果、第１の縫着部１２によって、表皮材１１の周囲と肉厚ワディング１０の周囲とが縫い合わされる。

次に、本縫いを行う。この本縫いは、図４に示されるように、表皮材１１を第１の縫着部１２で縫着した肉厚ワディング１０に、ワディングカバー１３を重ね、第１の縫着部１２の位置又は近接した位置で、表皮材１１付き肉厚ワディング１０にワディングカバー１３を上から縫着する。この縫着箇所を、第２の縫着部１４とする。この第２の縫着部１４によって表皮材１１付き肉厚ワディング１０にワディングカバー１３の両端末が一体に縫着され、第２のトリムカバーＢが形成される。

なお、図示するワディングカバー１３は、前記発泡体パッド５を発泡成形する際に、発泡液が肉厚ワディング１０に浸透しないように、内側にフィルム１３Ａを貼り合わせた不織布などの布１３Ａから構成されている。
また、肉厚ワディング１０は、ワディングカバー１３のワディング１６より柔軟で且つ厚みが厚く、肉厚ワディング１０の厚みは、ミシンの押さえ金を考慮すると、本発明の適用は１０ｍｍ以上であり、感触の良い柔軟性をもたせるためには、３０ｍｍ程度が好ましい。

図５に示されるように、本縫いにおいて、肉厚ワディング１０をもった第２のトリムカバーＡと、発泡体パッド５の周囲を覆う第１のトリムカバーＡとを、ミシンにより袋状に縫着して、ヘッドレスト用のトリムカバーとする。この縫着箇所を、第３の縫着部１６とする。
なお、前記第１のトリムカバーＡは、表皮１７とワディングカバー１８との間で肉薄のワディング１９を挟み込んだ三層構造の従来周知のものである。

そして、第１のトリムカバーＡと第２のトリムカバーＢとを縫着する第３の縫着部１６と第２の縫着部１４とは近接し、第３の縫着部１６は第２の縫着部１４の外側に位置することで、第１及び第２の縫着部１２，１４を内側に隠すことができる。

このような縫着関係を採用すると、肉厚ワディング１０と表皮材１１とを縫着した第１の縫着部１２で既に肉厚ワディング１０が圧縮されていることを利用し、第２の縫着部１４で肉厚ワディング１０と表皮材１１とワディングカバー１３とを容易に縫着させることができる。さらに、第１及び第２の縫着部１２，１４で既に肉厚ワディング１０が圧縮されていることを利用し、第３の縫着部１６で、肉厚ワディング１０をもった第２のトリムカバーＢと第１のトリムカバーＡとを容易に縫着することができる。

前述した第２のトリムカバーＢの縫着方法においては、肉厚ワディング１０の端面１０ａを上から下に向けて傾斜するように圧潰することで、肉厚ワディング１０の端面１０aの下端すなわち肉厚ワディング１０の周囲を容易に肉薄にすることができる。このような作業は、肉厚ワディング１０と表皮材１１との縫着部分を局所的に押し潰すような不安定な縫着作業を余儀なくされないため、作業性が良く、しかもミシンの押さえ金の下に肉厚ワディング１０を入れ易い。そして、肉厚ワディング１０の圧潰状態を維持して、表皮材１１と肉厚ワディング１０との縫着した部分にワディングカバー１３を重ねて、この重ね部分を上から縫着する。このような作業は、柔らかく厚みのある肉厚ワディング１０の厚みが増しても容易且つ確実に周囲縫いを行うことが可能となる。

Ａ…第１のトリムカバー、Ｂ…第２のトリムカバー、ＨＲ…ヘッドレスト、１０…肉厚ワディング、１１…表皮材、１２…第１の縫着部、１３…ワディングカバー、１４…第２の縫着部、

Claims

表皮材と発泡体製のワディングとワディングカバーからなる積層体のワディングとワディングカバー間に、前記ワディングより柔軟で且つ厚みが厚い発泡体製の肉厚ワディングを配置したトリムカバーにおいて、
前記肉厚ワディングの下に、前記表皮材と発泡体製のワディングを積層して配置し、前記肉厚ワディングの端面を上から下に向けて傾斜するように圧潰し、この圧潰した前記肉厚ワディングの前記端面を、前記表皮材とワディングの両端末にミシンで縫着し、その後、この縫着した部分に前記ワディングカバーを重ねて、この重ね部分を上から縫着することを特徴とするトリムカバーの縫着方法。