JP6964943B2 - 車両用シート - Google Patents

Description

本発明は、車両用シートに係り、特に発泡体製パッドに表皮材を接着して形成する車両用シートに関する。

車両用シートにおいて、略シートの外形形状にモールド成形した発泡体製パッドに表皮材を接着して形成する車両用シートがある。

本技術分野の先行技術として、例えば、特開２０１６−１２９６４５号公報（特許文献１）がある。特許文献１には、モールドパッドと該モールドパッドを覆うトリムカバーを有した車両用シートの製造方法であって、モールドパッドは溝を有しており、溝内に接着剤を付加し、トリムカバーを溝内に押し込み、モールドパッドのトリムカバーで覆う反対面からモールドパッドに蒸気ノズルを挿入し、蒸気ノズルからの加熱または蒸気によって溝内の接着剤を溶融させて溝にトリムカバーを接着させる点が開示されている。

特開２０１６−１２９６４５号公報

特許文献１では、接触面の感触がよく、製造工程が簡素化できる車両用シート及びその製造方法を提供することが出来る。

しかし、トリムカバーを縫製した縫製部を溝内で接着させる際に、トリムカバーを縫製した縫い代がどのような形状で溝内で接着されるかについて考慮されておらず、場合によっては、縫い代が立った状態で接着され外観に影響が出てしまう可能性があった。

本発明はこれらの課題に鑑みなされたものであって、トリムカバーを縫製した縫製部を溝内で接着させても、外観への影響を低減できる車両用シートを提供することを目的とする。

本発明は、上記背景技術及び課題に鑑み、その一例を挙げるならば、発泡体製パッドにトリムカバーを接着して形成する車両用シートであって、トリムカバーは複数枚の表皮材が縫製された縫製部を有し、発泡体製パッドは溝を有し、トリムカバーの縫製部が発泡体製パッドの溝内で接着されて車両用シートが形成されており、溝は、縫製部の縫い代を溝にガイドするガイド部と、縫製部の縫い代が開かない状態で支持するように規制する規制部からなるように構成する。

本発明によれば、トリムカバーを縫製した縫製部を溝内で接着させても外観への影響を低減できる車両用シートを提供することが出来る。

実施例におけるモールドパッドの溝断面形状である。 実施例における溝へのトリムカバーの接着方法を説明する図である。 従来の車両用シートの外観図である。 図３におけるＡ―Ａ断面の模式図である。

以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。

まず、本実施例の前提となる車両用シートの外観について図３を用いて説明する。図３は、本実施例の前提となる車両用シートの外観図である。車両用シートは、シートバック（背もたれ部）とシートクッション（座部）とからなり、シートバックおよびシートクッションは、シート状のカバーが縫製されたトリムカバー１で、その表面が覆われている。また、２はデザイン性向上のためにシートクッションの上面に形成された意匠溝である。

図４は、図３のＡ―Ａ面での断面図を示している。図４において、３はモールド成形した発泡体製パッドであるモールドパッド、４は意匠溝２を構成するためのモールドパッド３に設けた溝、５は表皮材、６はウレタン等のワディングで、表皮材５とワディング６でトリムカバー１を構成している。また、トリムカバーは複数枚の表皮材とワディングを繋ぎ合わせて構成されており、その縫製部を７に示している。また、溝４内には図示しないが接着剤が付加されており、その接着剤により溝４内に押し込まれたトリムカバー１の縫製部７が溝４に接着されている。

ここで、図４（Ａ）は、縫製部の縫い代９が開いた状態で接着されている場合を示しており、溝４の底部まで縫製部７が押し込まれているため、溝４に沿ってトリムカバー１が形成され、縫製部７による外観の影響はない。これに対して、図４（Ｂ）は、縫製部の縫い代９が立った状態で接着されている場合を示している。合皮や本革の様に剛性の有る表皮材の場合は、縫製部の縫い代が開かず、縫い代９が立った状態となる。そのため、縫製部７が溝４の底部まで押し込まれず、トリムカバー１が溝４に沿わない部分が多くなり、縫製部７によって外観に影響が出てしまう可能性がある。また、この状態で押し込み過ぎると、縫い代９が潰れ、潰れる方向にバラツキが生じ、これが外観に影響を及ぼす可能性がある。

そこで、それを解決するための本実施例について以下説明する。

図１は、本実施例における、モールドパッドの溝断面形状である。図１に示すように、本実施例では、溝の形状を従来のＶ溝形状に対してＹ溝形状とする。すなわち、溝４は、縫製部の縫い代を溝部にガイドするガイド部１０と、縫製部の縫い代が開かない状態、すなわち、立った状態で支持するように動きを規制する規制部２０を有する。すなわち、縫い代を立った状態で配置した場合でも、ガイド部１０に沿ってトリムカバー１がモールドパッドを覆うように、規制部２０は縫い代の長さ分だけガイド部１０よりも深く掘り下げられている。これにより、合皮や本革の様に剛性の有る表皮材の場合でも、縫製部の縫い代が開かない状態で立てた状態で溝に配置でき、縫製部７による外観の影響を低減できる。

なお、縫製部の縫い代は立てた状態で規制部２０に支持されるため、従来の縫い代を開いた状態で接着するための長さが不要になる。また、剛性の有る合皮や本革は縫い代が長くても立つが、剛性の無いクロス表皮は縫い代に少しでも剛性を持たせる為、例えば、従来縫い代の長さが８ｍｍであったものを５ｍｍと短くする。これにより、合皮や本革やクロス表皮等の素材に応じて規制部２０の長さを変える必要がなく、一定にできる。また、表皮材の使用量が減り歩留りが良くなり、かつ、短いことにより規制部２０への挿入バラツキを抑えることができる。

また、以上の説明では溝の形状をＹ溝形状としたが、ガイド部１０は、曲線でもよく、また、非対称でもよく、意匠溝の外観に応じてその形状は変えてもよい。また、規制部２０は、縫い代が開かない状態で支持できればよく、必ずしも、挿入方向に対して平行でなくてもよく、また、直線形状でなくてもよい。

図２は、本実施例における溝へのトリムカバーの接着方法を説明する図である。まず、図２（Ａ）において、モールドパッド３の溝４内に接着剤８を吹き付ける。なお、溝内への接着剤付加は、液体状の接着剤を溝内へ流し込む方法や、溝内にたらすタイプの接着剤を用いてもよい。次に、図２（Ｂ）に示すように、トリムカバー１の縫製部７を押込み板３０にセットする。そして、押込み板３０によって、トリムカバー１の縫製部７をモールドパッド３の接着剤が付着している溝４内に押し込み、接着する。

このように、本実施例によれば、縫製部の縫い代をモールドパッド３の溝の規制部２０に立てた状態で押し込める事で仕上がりが安定する。また、縫製部の縫い代の長さを短くすることができ表皮材の使用量が減り、歩留り向上に繋がる。

なお、上記説明では、車両用シートのシートクッションに形成された意匠溝を対象として説明したが、シートバックに形成された意匠溝についても適用できることは明らかである。

また、上記説明では、表皮材とワディングでトリムカバーを構成しているとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、モールドパッドを覆う表皮材をトリムカバーとしても良い。

以上実施例について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部を他の構成に置き換えることも可能である。

１：トリムカバー、２：意匠溝、３：モールドパッド、４：溝、５：表皮材、６：ワディング、７：縫製部、８：接着剤、９：縫い代、１０：ガイド部、２０：規制部、３０：押込み板

Claims (4)

1. 発泡体製パッドにトリムカバーを接着して形成する車両用シートであって、
   前記トリムカバーは複数枚の表皮材が縫製された縫製部を有し、
   前記発泡体製パッドは溝を有し、
   前記溝は、ガイド部と規制部からなり、
   前記ガイド部は前記縫製部の縫い代を前記規制部にガイドし、
   前記規制部は前記縫い代が開かない状態で該縫い代のみを支持するように規制し該縫い代が接着されていることを特徴とする車両用シート。
2. 請求項１に記載の車両用シートであって、
   前記規制部は前記縫い代の長さ分だけ前記ガイド部よりも掘り下げられていることを特徴とする車両用シート。
3. 請求項１または２に記載の車両用シートであって、
   前記規制部は、前記縫製部の縫い代が立った状態で支持することを特徴とする車両用シート。
4. 請求項１から３の何れか１項に記載の車両用シートであって、
   前記溝の形状は、Ｙ溝形状であることを特徴とする車両用シート。

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