JPH0313087B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、フロアパネル幅方向中央部にフロ
アパネル面から上方に突出するとともに、下面が
開口する車両前後方向のトンネルを形成し、該ト
ンネル内に燃料タンクを配置した自動車における
燃料タンク構造に関する。

一般に、自動車、特に乗用車において、燃料タ
ンクは乗員空間の後端であるシートの後方に配置
されているが、このため燃料タンクのスペース分
だけ車両後部のスペース利用に限界があつた。

このような問題点を解決するために、リアエン
ジン・リアドライブ型の自動車あるいはフロント
エンジン・フロントドライブ型自動車等の、プロ
ペラシヤフトが車両のフロアパネル下方を縦断し
ない形式の自動車Ｍ（第１図参照）において、フ
ロアパネル１の幅方向中央部に、該フロアパネル
面から上方に突出するとともに下面が開口する車
両前後方向のトンネル２を形成し、該トンネル２
内に燃料タンク３の配置することによつて、車両
後部のスペースの有効利用を図るとともに、車両
全長の短縮および車両重量の軽減を図ることが考
えられる。

図の符号５は乗員用シート、６はエンジン、７
はリヤホイール、８はダツシユパネル、９はバツ
クパネル、１０は燃料タンクを支持するバンドを
それぞれ示す。

ところで、一般的に、自動車の燃料タンクにお
いては、該タンク内に発生した燃料蒸気をタンク
外のキヤニスタに吸着させて炭化水素による大気
汚染を防止するようにしている。

この場合、例えば第２図に示されるように、燃
料タンク３内の燃料蒸気はベントチユーブ１１を
介してベーパセパレータ１２に導き、このベーパ
セパレータ１２において、液状燃料から燃料蒸気
のみを分離してチヤコールキヤニスタ（図示省
略）に送り、ここで吸着させるようにしている。

前記ベーパセパレータ１２は、車両の最大傾き
角度αに対して第２図に示されるように、大気圧
との水頭差Ｈが形成され、これによつて、液状燃
料が流出しないようにしている。

ここで、上記のように、フロアパネル１の幅方
向中央部に、該フロアパネル面から上方に突出す
るとともに下面が開口する車両前後方向のトンネ
ル２を形成し、該トンネル２内に燃料タンク３を
配置した自動車においては、該燃料タンク３がト
ンネル２の形状に沿つて前後方向に細長く形成さ
れ、且つ、その高さを低くせざるを得ないため
に、燃料タンク３に対するベーパセパレータ１２
の位置を相当高くして、大きな水頭差Ｈを確保し
なければならず、従つて、ベーパセパレータ１２
の取付け位置、長さおよび高さの自由度に制限が
生じるという問題点があつた。

これに対して、トンネル２を高くして、燃料タ
ンク３も高くしようとすると、トンネル２の上面
に取付けられるべき変速操作レバーの位置が高く
なり過ぎその操作性が低下するという問題点を生
じる。

この発明は上記問題点に鑑みてなされたもので
あつて、変速操作レバーの取付位置を高くするこ
となく、上記のようなフロアパネルのトンネル内
に配置された燃料タンクに接続されるベーパセパ
レータの取付け位置、高さおよび長さの自由度を
増大させるようにした自動車の燃料タンク構造を
提供することを目的とする。

この発明は、フロアパネル幅方向中央部にフロ
アパネル面から、上面が略水平となるように上方
に突出するとともに、下面が開口する車両前後方
向のトンネルを形成し、該トンネル内に上面が略
水平の燃料タンクを配置した自動車の燃料タンク
構造において、前記トンネルの上面を、変速操作
レバーの下方位置部分で該変速操作レバーと干渉
しないようにその前後の部分よりも低く凹部を構
成し、且つ、前記燃料タンクの上面を、前記トン
ネルの凹部に対応して、前記変速操作レバーの下
方位置部分で前後の部分よりも低くして凹部を形
成するとともに、該凹部前後の前記燃料タンク内
空間上部それぞれにベーパセパレータに連接する
ベントチユーブを開口させることにより、変速操
作レバーの取付位置を高くすることなく、燃料タ
ンクの高さを大きくして、同一容量に対してタン
ク全長を短くし、これによつて、ベーパセパレー
タにおける大気圧との水頭差を小さくすることが
できるようにして上記目的を達成するものであ
る。

又この発明は、前記自動車の燃料タンク構造に
おいて、前記変速操作レバーを、前記トンネルに
おける凹部上方を覆つて、該トンネル上面に取付
けられたシフトレバーサポートブラケツトを介し
て支持することにより、トンネル上面のスペース
の有効利用を図つて、燃料タンクの高さを大きく
し、これによつて、上記目的を達成するものであ
る。

又この発明は、前記自動車の燃料タンク構造に
おいて、前記変速操作レバーによつて駆動される
シフトリンケージを、前記トンネルの外側を通つ
て配置し、これによつて、前記トンネルにシフト
リンケージ挿通用の貫通孔を形成することなく、
該トンネルの強度を増大させ、トンネル上面の上
方への突出を可能として上記目的を達成するもの
である。

又この発明は、前記自動車の燃料タンク構造に
おいて、前記ベーパセパレータを、前記トンネル
の前後方向端部よりも外側位置で、且つ、該トン
ネルよりも上方位置に配置するとともに、前記ベ
ントチユーブを、前記トンネル内を通つて配置
し、これによつて、トンネル内のスペースの有効
利用を図るとともに、燃料タンクのトンネル内へ
の挿着を容易として、上記目的を達成するもので
ある。

以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

この実施例は、第３図および第４図に示される
ように、フロアパネル１の幅方向中央部にフロア
パネル１面から上方に突出するとともに、下面が
開口する車両前後方向のトンネル２２を形成し、
該トンネル２２内に燃料タンク２３を配置した自
動車の燃料タンク構造において、前記トンネル２
２の略水平の上面を、変速操作レバー１４の下方
の位置部分で該変速操作レバー１４と干渉しない
ように前後の部分よりも低く凹部２２Ａを構成
し、且つ、前記燃料タンク２３の略水平の上面
を、前記トンネル２２の凹部２２Ａに対応して、
前記変速操作レバー１４の下方位置部分で前後の
部分よりも低く構成して凹部２３Ａを形成すると
ともに、該凹部２３Ａの前後の燃料タンク内空間
２３Ｂおよび２３Ｃ上部それぞれにベーパセパレ
ータ１２に連接するベントチユーブ１１を開口さ
せたものである。

前記変速操作レバー１４は、前記トンネル２２
における凹部２２Ａ上方を覆つて、該トンネル２
２上面に取付けられたシフトレバーサポートブラ
ケツト１５を介して支持されている。

このシフトレバーサポートブラケツト１５は、
前記トンネル２２の上面を跨座する開口が下向き
とされた断面略コ字形状とされている。

この断面コ字形状のシフトレバーサポートブラ
ケツト１５のトンネル２２の上面への取付け高さ
と凹部２２Ａの関係は、変速操作レバー１４がそ
の揺動軸１４Ａを中心として揺動した時、その下
端がトンネル２２の凹部２２Ａにおける上面と干
渉しないようにされるとともに、変速操作レバー
１４の下端近傍に取付けられたシフトリンケージ
１６が、シフトレバーサポートブラケツト１５の
下側面と、トンネル２２の凹部２２Ａ前後の一般
部２２Ｂの上面との間を通つて、該一般部２２Ｂ
上面に沿つて車両後部に延在され得るようになつ
ている。

このシフトリンケージ１６は、前記バツクパネ
ル９に形成された貫通孔９Ａを通つて車両後部に
配置された変速機（図示省略）に連結されてい
る。

前記ベーパセパレータ１２は、前記トンネル２
２の前後方向端部よりも後方外側位置で、且つ、
該トンネル２２よりも上方位置に配置されるとと
もに、前記ベントチユーブ１１は、前記トンネル
２２内の、前記燃料タンク２３との間の空間を通
つて配置されている。

この実施例においては、変速操作レバー１４の
下側部分のみを該変速操作レバー１４と干渉しな
いように凹部２２Ａを形成して、その前後の一般
部２２Ｂを上方に高く形成し、且つ、燃料タンク
２３の上面の形状も、前記トンネル２２の凹部２
２Ａならびに一般部２２Ｂと対応して形成し、凹
部２３Ａの前後の一般部２３Ｄを高くしているの
で、第２図に示される従来の燃料タンク３の場合
と比較して、同一の容量に対して、変速操作レバ
ー１４の取付位置を高くすることなく、燃料タン
ク２３の全長を短くすることができる。

従つて、車両の最大傾斜角αに対して、ベーパ
セパレータ１２における必要な大気圧との水頭差
Ｈを、第５図に示されるように、小さくすること
ができ、これにより、ベーパセパレータ１２の高
さ、長さおよび取付け位置の自由度を増大させる
ことができる。

又、シフトレバーサポートブラケツト１５は、
トンネル２２の凹部２２Ａのカバーを兼ねている
ので、部品点数の削減、外観の向上を図ることが
できる。

更に、このシフトレバーサポートブラケツト１
５をトンネル２２の一般部２２Ｂ上面から上方に
オフセツトして配置しているので、シフトリンケ
ージ１６を一般部２２Ｂとシフトレバーサポート
ブラケツト１５との間の隙間から前後方向に延在
させることができる。

又、この実施例においては、シフトリンケージ
１６がトンネル２２の上面に沿つてその外側に配
置されているので、トンネル２２にシフトリンケ
ージ１６貫通用の孔を形成する必要がなく、従つ
て、トンネル２２の強度を維持できるとともに、
ロードノイズの車室内への侵入を抑制することが
できる。

更に、前記ベントチユーブ１１を、燃料タンク
２３とトンネル２２の内側面との空間を通して、
トンネル２２の後端部にまで延在し、そこから車
両後部に配置されたベーパセパレータ１２に接続
するようにしているので、燃料タンク２３の組付
け時において、ベーパセパレータ１２およびベー
ントチユーブ１１を取付けた状態のままの燃料タ
ンク２３を、トンネル２２内に下方から挿入する
ことによつて容易に取付けることができるという
利点がある。

尚上記実施例は、車両後部にエンジンを搭載し
た所謂リヤエンジンタイプについてのものである
が、本発明はこれに限定されるものでなく、フロ
ントエンジンの場合についても適用されるもので
ある。

フロントエンジンの場合、シフトリンケージは
変速操作レバーから前方に延在させる。

又、ベーパセパレータ１２の取付け位置も、車
両後部位置に限定されるものでなく、車両の前部
位置であつてもよい。

本発明は上記のように構成したので、変速操作
レバーの取付位置を高くすることなく、燃料タン
クを上下方向に高く形成することができ、従つ
て、その前後方向長さを短くして、ベーパセパレ
ータにおける大気圧との水頭差を小さくすること
ができ、これによつて、ベーパセパレータの大き
さ、取付け位置の高さ、長さの自由度を大幅に増
大させることができるという優れた効果を有す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の自動車の燃料タンク構造を示す
略示断面図、第２図は同従来の燃料タンクにおけ
る燃料タンク内燃料とベーパセパレータの関係を
示す略示断面図、第３図は本発明に係る自動車の
燃料タンク構造の実施例を示す略示断面図、第４
図は同実施例の要部を示す分解斜視図、第５図は
同実施例における燃料タンク内の燃料とベーパセ
パレータとの関係を示す略示断面図である。 Ｍ……自動車、１……フロアパネル、９……バ
ツクパネル、９Ａ……貫通孔、１１……ベントチ
ユーブ、１２……ベーパセパレータ、１４……変
速操作レバー、１５……シフトレバーサポートブ
ラケツト、１６……シフトリンケージ、２２……
トンネル、２３……燃料タンク、２２Ａ，２３Ａ
……凹部、２２Ｂ，２３Ｄ……一般部、２３Ｂ，
２３Ｃ……燃料タンク内空間。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ フロアパネル幅方向中央部にフロアパネル面
   から、上面が略水平となるように、上方に突出す
   るとともに、下面が開口する車両前後方向のトン
   ネルを形成し、該トンネル内に上面が略水平の燃
   料タンクを配置した自動車の燃料タンク構造にお
   いて、前記トンネルの上面を、変速操作レバーの
   下方位置部分で該変速操作レバーと干渉しないよ
   うにその前後の部分よりも低く凹部を構成し、且
   つ、前記燃料タンクの上面を、前記トンネルの凹
   部に対応して、前記変速操作レバーの下方位置部
   分で前後の部分よりも低くして凹部を形成すると
   ともに、該凹部前後の前記燃料タンク内空間上部
   それぞれにベーパセパレータに連接するベントチ
   ユーブを開口させたことを特徴とする自動車の燃
   料タンク構造。 ２ 前記変速操作レバーを、前記トンネルにおけ
   る凹部上方を覆つて、該トンネル上面に取付けら
   れたシフトレバーサポートブラケツトを介して支
   持したことを特徴とする特許請求の範囲第１項記
   載の自動車の燃料タンク構造。 ３ 前記変速操作レバーによつて駆動されるシフ
   トリンケージを、前記トンネルの外側を通つて配
   置したことを特徴とする特許請求の範囲第１項又
   は第２項記載の自動車の燃料タンク構造。 ４ 前記ベーパセパレータを、前記トンネルの前
   後方向端部よりも外側位置で、且つ、該トンネル
   よりも上方位置に配置するとともに、前記ベント
   チユーブを、前記トンネル内を通つて配置したこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第３項
   記載の自動車の燃料タンク構造。