JPH029052Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は内燃機関の摺動部に供給する潤滑油を
貯溜するオイルパンに関する。

（従来の技術） 自動車用、作業機械用或いは船舶用エンジン等
の内燃機関にあつては、ピストンとスリーブとの
摺接面、クランクシヤフトジヤーナル部とベアリ
ングとの摺接面或いは動弁機構等に強制的に潤滑
油を供給すべく、オイルパン内の潤滑油をオイル
ポンプで吸引し、内燃機関本体に形成した通路を
介して各摺動部に潤滑油を圧送し、再びこの潤滑
油をオイルパン内に戻すようにしている。

そして、潤滑油の供給量は多すぎても又少なす
ぎても機関に悪影響を及ぼすため、潤滑油の通路
の途中に分岐通路を設け、この分岐通路にオイル
レギユレータを接続し、通路内の油圧が所定値と
なつた際に、オイルレギユレータからオイルパン
内に余分の潤滑油を戻すようにしている。

（考案が解決しようとする問題点） オイルレギユレータをオイルパン内に配設した
場合、オイルパン内の油面よりも上方にオイルレ
ギユレータの吐出口を開口せしめると、戻りの潤
滑油が直接油面に落下し、波立ち現象が生じ、オ
イルストレーナから気泡が混入した潤滑油を吸引
することとなる。

そこで本出願人は先に実願昭59−66313号（実
開昭60−178316号公報）として、オイルパンの油
面下にオイルレギユレータの吐出口を位置せしめ
たオイルパンの構造を提案している。このオイル
パンの構造は、気泡の発生を減少させることがで
き、気泡の吸引の防止に対して有効である。

しかしながら、上述した先願のオイルパンの構
造にあつても、気泡の発生を完全には防止するこ
とができず、例えば、オイルレギユレータの吐出
口から多量の潤滑油が高速で噴出するエンジン高
速回転時等において、潤滑油中には相当の気泡が
発生する。そして、このような気泡は潤滑油が粘
性流体であるため油面に浮上しにくく消減するま
でに相当の時間を要し、潤滑油とともにストレー
ナに吸い込まれてエア噛みの原因となることがあ
つた。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を解決すべく本考案はオイルパン内
に設けるオイルレギユレータの吐出口を定常状態
における油面よりも下方とし、且つ、吐出口から
噴出する潤滑油が衝当する衝突壁と衝突壁の上部
から連続して滑らかに彎曲する案内部とを備える
整流板を吐出口との間に空間を隔て設け、気泡の
発生の防止とともに気泡の消失を図るようにし
た。

（実施例） 以下に本考案の実施例を添付図面に基づいて説
明する。

第１図は本考案に係るオイルパンを適用した内
燃機関の一部を切欠した正面図、第２図は同オイ
ルパンの縦断面図であり、内燃機関はシリンダブ
ロツク１、シリンダヘツド２及びシリンダヘツド
カバー３によつて本体が構成され、シリンダブロ
ツク１の下部にはベアリングキヤツプ４を介して
クランクシヤフト５が回転自在に支承され、この
クランクシヤフト５にはトロコイド式のオイルポ
ンプ６が直結され、このオイルポンプ６の吸引側
には吸引通路７が、吐出側には吐出通路８がつな
がり、この吐出通路８はシリンダブロツク１の側
面に取付けたオイルフイルタ９につながる。そし
てオイルフイルタ９からは供給通路１０が導出さ
れ、この供給通路１０はベアリングキヤツプ４に
形成したメインギヤラリー１１に開口している。

一方、ベアリングキヤツプ４下方はシリンダブ
ロツク１に取付けられたオイルパン１２によつて
覆われ、このオイルパン１２内の定常状態におけ
る油面h₁下の略中央にはオイルストレーナ１３
が、また一側部にはオイルレギユレータ１４が配
置されている。

オイルストレーナ１３は下面に形成した吸入口
１３ａがオイルパン１２底面と若干の隙間を形成
するように、具体的には第２図に示すように、オ
イルパン１２がいずれの方向に傾いた場合でも、
その最大傾斜面h₂，h₃よりも吸入口１３ａが下方
となるように取付けられ、オイルストレーナ１３
からの吸込管１５が前記吸引通路７に接続され
る。またオイルレギユレータ１４は前記吐出通路
８から分岐したバイパス通路１６に接続され、内
部には第３図に示すようにスプリング１７にて付
勢された弁１８が設けられ、バイパス通路１６内
の油圧が所定値となつた際に弁１８がスプリング
１７に抗して摺動し、吐出口１９，１９が開口す
る。ここで、オイルレギユレータ１４の吐出口１
９，１９の開口位置は、オイルパン１２内に通常
の量の潤滑油を充填した場合に、定常状態で油面
よりも下方位置となるようにする。

また、第４図及び第４図のＡ−Ａ線断面図であ
る第５図にも示すようにオイルレギユレータ１４
の下方には整流板２０が設けられている。この整
流板２０は基端部がオイルパン１２の内側面に固
着され、先端部はオイルストレーナ１３近傍まで
伸びその長さ方向に沿つて凹部（衝突壁２１）が
形成され、この凹部２１内に吐出口１９，１９と
の間に相当の空間を設けてオイルレギユレータ１
４を収め、更にオイルレギユレータ１４の吐出口
１９，１９と対向する部分の凹部２１の一部には
凹部２１の側壁上縁と連続して滑らかに彎曲する
膨出部（案内部）２１ａ，２１ａを形成し、吐出
口１９，１９から噴出する潤滑油がこの膨出部２
１ａ，２１ａに当たるようにしている。

また、オイルレギユレータ１４を設けた側と反
対側のオイルパン１２上面には潤滑油の戻り口２
２が開口している。

以上において、内燃機関が始動してクランクシ
ヤフト５が回転すると、オイルポンプ６が駆動
し、オイルパン１２内の潤滑油がオイルストレー
ナ１３の吸入口から吸い上げられ、この潤滑油は
吸入管１５、吸引通路７、吐出通路８を通つてオ
イルフイルタ９に入り、このオイルフイルタ９内
でバリ、ゴミ等の異物が除去された後、供給通路
１０を通つてメインギヤラリー１１内に圧送さ
れ、このメインギヤラリー１１からクランクシヤ
フト５のジヤーナル部、クランクピンとコンロと
の摺接部或いは動弁機構等に分配供給され、潤滑
を終了した潤滑油は戻り口２２から再びオイルパ
ン１２内に落下する。

一方、前記吐出通路８内において潤滑油の圧力
が所定値を超えると、オイルレギユレータ１４の
弁１８がスプリング１７に抗して摺動し、吐出口
１９，１９が開き、余分の潤滑油がオイルパン１
２内に戻る。この戻りの潤滑油は吐出口１９，１
９から噴出するのであるが、噴出した潤滑油は整
流板２０の凹部２１の側壁に衝当する。そして、
この凹部２１の側壁に衝当した潤滑油は勢いが弱
められて凹部２１内をオイルストレーナ１３近傍
まで導かれ、また、一部が膨出部２１ａ，２１ａ
により上方へ向けて案内されて油面上に隆起す
る。このため、気泡の発生を抑制でき、また、気
泡が発生しても気泡を油面に導いて大気と接触さ
せることができ、気泡を速やかに消失させること
ができる。

尚、以上は本考案の実施の一例を示したもので
あり、例えば整流板２０の形状は図示の如く凹部
２１を形成したものに限らずチヤンバー状とした
ものでもよく、更には整流板をオイルパンの一側
部のみに設けず、オイルパンの略全部に亘つて設
け、整流板がバツフルプレートを兼ねるようにし
てもよい。

（考案の効果） 以上に説明した如く本考案によれば、オイルパ
ン内の油面下に配置されるオイルレギユレータの
吐出口の近傍に、吐出口から流れ出る潤滑油の勢
いを弱め、かつ、潤滑油の一部を上方に向けて案
内する整流板を設けたため、オイルレギユレータ
の吐出口から噴出する潤滑油の噴流によつて気泡
が生じることを抑制でき、また、潤滑油中の気泡
を消失させることもでき、オイルポンプのエア噛
み込みを確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るオイルパンを適用した内
燃機関の一部切欠正面図、第２図は同オイルパン
の縦断面図、第３図はオイルレギユレータの平断
面図、第４図はオイルレギユレータの正面図、第
５図は第４図のＡ−Ａ線断面図である。 尚、図面中１はシリンダブロツク、５はクラン
クシヤフト、６はオイルポンプ、１２はオイルパ
ン、１３はオイルストレーナ、１４はオイルレギ
ユレータ、１９はオイルレギユレータの吐出口、
２０は整流板である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 内燃機関本体の下部に取付けられるオイルパ
   ンにおいて、このオイルパン内にはオイルポン
   プによつて吸引した潤滑油の圧が所定値を超え
   た場合に潤滑油の一部をオイルパン内に戻すオ
   イルレギユレータが設けられ、このオイルレギ
   ユレータの吐出口は定常状態で油面下方位置に
   開口し、更に該吐出口の近傍には整流板が吐出
   口との間に空間を隔て設けられ、該整流板は吐
   出口から噴出する潤滑油が衝当する衝突壁と該
   衝突壁の上部に連続して滑らかに彎曲する案内
   部とを有することを特徴とする内燃機関用オイ
   ルパン。 (2) 前記整流板はチヤンバーを形成し、このチヤ
   ンバー内に前記オイルレギユレータが収められ
   ていることを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の内燃機関用オイルパン。 (3) 前記整流板はバツフルプレートの一部である
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項記載の内燃機関用オイルパン。