JPH027509Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は、内部に収容した高周波信号を扱う
電子機器からの高周波信号の漏洩をシールドする
と共に、内部への浸水を防止した防水及びシール
ド装置に関する。

〈従来技術〉 従来、上記のような防水及びシールド装置とし
ては、例えば屋外に設置されることが多い共同聴
視装置のヘツドアンプや中継増幅器を収容したケ
ースがある。このようなケースの１例を第４図に
示す。同図において、２は金属製の箱体で、直方
体の一方の側面を開口させた形状に構成されてい
る。この箱体２内には、金属製のアンプケース３
内に設けたヘツドアンプまたは中継増幅器等の高
周波信号を扱う電子機器４が箱体２の内面に接触
するように収容されており、かつねじ６によつて
固定されている。この箱体２の開口の周縁部には
フランジ８が形成されている。１０は金属製の蓋
体で、箱体２の開口を閉蓋できる大きさに形成さ
れており、金属製の蝶番１２によつて箱体２に結
合されている。蓋体１０の内面にはフランジ８と
接触可能な枠状に形成された防水ゴム１４が設け
られている。この蓋体１０は、箱体２側に設けた
金属製の固定具１６によつて、箱体２の開口を閉
蓋した状態に維持される。このとき防水ゴムによ
つて箱体２は水密に維持される。また、金属製の
固定具１６及び蝶番１２によつて、共に金属製で
ある箱体２と蓋体１０とが固定具１６及び蝶番１
２とで結合された部分でのみ電気的に接続され、
箱体２内の電子機器４は電磁シールドされる。

〈考案が解決しようとする問題点〉 ところが、上記の防水及び電磁シールド装置で
は、箱体２と蓋体１０との電気的接続は、固定具
１６と蝶番１２とによつて結合された部分でのみ
行なわれているだけであるので、高周波的に見
て、箱体２と蓋体１０との接触面積が小さく、蓋
体１０は高周波的に浮いた状態となる。また、固
定具１６と蝶番１２の取付けを調整して、防水ゴ
ム１４を強く圧接するようにしても同様に高周波
的に浮いた状態となる。そのため箱体２内に収容
されている電子機器４から放射があると、蓋体１
０がアンテナとして作用し、電波漏洩を生じると
いう問題点があつた。

〈問題点を解決するための手段〉 上記の問題点を解決するため、この考案は、開
口を有し内部に高周波信号を扱う電子機器を収容
する金属製の箱体と、開口を開閉可能な金属製の
蓋体と、上記箱体と上記蓋体との一部の部分間に
跨がつて設けられ両者を結合している金属製の蝶
番と、この蝶番の設置位置とは異なる上記箱体と
上記蓋体との一部の部分間に設けられ両者を係脱
可能な固定具と、箱体と蓋体との間においてこれ
ら双方に接触すると共に、開口を囲つている枠状
の防水部材とを備えるものにおいて、箱体と蓋体
との双方に接触するように防水部材の内周面全域
にわたつて防水部材とは別体の導電性シートを設
けたものである。

〈作用・効果〉 この考案によれば、導電性シートが防水部材の
内周面全域にわたつて、蓋体と箱体とに接触して
いるので、高周波的に見て、蓋体と箱体との接触
面積が大きく、蓋体は箱体とほとんど同じ電位と
なる。よつて、箱体２内の電子機器から放射があ
つても、蓋体がアンテナとして作用することはな
く、電波漏洩を減少させることができる。また、
防水部材が蓋体と箱体とに接触しているので、箱
体内に浸水することを従来のものと同様に防止す
ることもできる。しかも、導電性シートと防水部
材とは別体に形成されているので、導電性シート
と防水部材とを一体に形成したものよりも製造が
容易であり、コストを低減させることもできる。

〈実施例〉 第１図及び第２図にこの考案の１実施例を示
す。この実施例は、導電性シートとして金属シー
ト１７を設けた以外、上述した従来のものと同様
に構成されている。同等部分には同一符号を付し
て、その説明を省略する。

金属シート１７は、第２図に示すように防水ゴ
ム１４の内周面全域に設けられており、第１図に
示すように防水ゴム１４の箱体２側の内側半分と
蓋体１０側の内側半分とをそれぞれ被うように設
けられている。また、１８は防水ゴム１４を蓋体
１０に接着する接着剤層である。なお、第１図に
おいては、金属シート１７及び接着剤層１８の厚
みは誇張して描いてある。

この実施例では、第１図に示すように固定具１
６によつて蓋体１０を箱体２に結合した状態で
は、金属シート１７によつて蓋体１０の内面と箱
体２のフランジ８とが接触しているので、電気的
に接続されている。しかも、蓋体１０と箱体２と
の接触は、防水ゴム１４の内周面全域で行なわれ
ているので、接触面積が大きく良好に蓋体１０と
箱体２との電気的接続がなされている。従つて、
高周波的に見て、蓋体１０は箱体２とほとんど同
じ位置となる。従つて、電子機器４から放射があ
つても蓋体１０はアンテナとして作用せず、電波
漏洩は低減される。この状態を第３図に示す。同
図において、符号Ａで示す曲線は第４図に示した
防水及び電磁シールド装置の漏洩電波電界強度と
周波数との関係を示したもので、符号Ｂで示した
曲線はこの実施例の防水及び電磁シールド装置の
漏洩電波電界強度と周波数との関係を示したもの
で、これらから判るようにこの実施例のものの方
が約10dBも漏洩電波の電界強度が小さくなり、
漏洩電波を低減させている。

また、第４図の従来のものと同様に蓋体１０が
箱体２のフランジ８に蝶番１２と固定具１６とで
圧縮され、防水ゴム１４の外周部により箱体２内
の浸水を防水し、かつ従来の防水効果を損なうこ
となく防水ゴム１４の金属シート１７で電磁シー
ルドすることができる。

上記の実施例では、導電性シートとして金属シ
ートを用いたが、他のカーボンフアイバ等からな
る導電性シートを用いてもよい。また、防水ゴム
１４を防水部材として用いたが、いわゆるパツキ
ングと称するものであれば、種々のものを用いる
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による防水及び電磁シールド
装置の１実施例の縦断面図、第２図は同実施例の
蓋体の裏面図、第３図は同実施例と従来の防水及
び電磁シールド装置の漏洩電波の電界強度と周波
数との関係を示す図、第４図は従来の防水及び電
磁シールド装置の縦断面図である。 ２……箱体、４……電子機器、１０……蓋体、
１４……防水ゴム（防水部材）、１７……金属シ
ート（導電性シート）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 開口を有し内部に高周波信号を扱う電子機器を
   収容する金属製の箱体と、上記開口を開閉可能な
   金属製の蓋体と、上記箱体と上記蓋体との一部の
   部分間に跨がつて設けられ両者を結合している金
   属製の蝶番と、この蝶番の設置位置とは異なる上
   記箱体と上記蓋体との一部の部分間に設けられ両
   者を係脱可能な固定具と、上記箱体と上記蓋体と
   の間においてこれら双方に接触すると共に上記開
   口を囲つている枠状の防水部材と、上記箱体と上
   記蓋体との双方接触するように上記防水部材の内
   周面全域にわたつて設けられた上記防水部材とは
   別体の導電性シートとを、具備する防水及び電磁
   シールド装置。