JPH0245997B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (a) 発明の技術分野 本発明は繰り返し転写して用いる熱転写記録用
インクシートに係り、特にインク層との間にポリ
エステル樹脂と滑剤との混合物を中間接着層とし
て設けて転写回数を増大した熱転写記録用インク
シートに関する。

(b) 技術の背景 コンデンサ紙よりなる基材上にポリアミド樹脂
よりなる中間接着層を介して染料よりなる色材、
および例えばパラフインワツクスよりなる低融点
材、および金属酸化物あるいはカーボンブラツク
よりなる充填材を混合したインク層を形成し、基
材側より印字情報により所定の箇所が部分的に加
熱された発熱素子を有したサーマル印字ヘツドを
押圧して、前記インク層内の常温では固相のイン
クを部分的に溶融し、この溶融したインクをイン
クシート上に設置されている記録紙に転写する熱
転写記録方法は周知である。

このような熱転写記録方法は、印刷の際に生じ
る音が静かで、また普通紙を用いて印刷できるの
で、従来の感熱紙を用いて印刷を行つた際に生じ
る記録紙の化学変化も生じず、記録の保存性が優
れている等、多数の利点を有している。

(c) 従来技術と問題点 かかる従来の熱転写記録用インクシートは、図
面に示すように厚さ8μmのコンデンサ紙よりなる
基材１上に中間接着層２として厚さ8μm〜10μm
のポリアミド樹脂が塗布形成され、その上には染
料（商品名；カヤセツトブラツク、日本化薬社
製）と、低融点材（脂肪酸アミド、日本油脂社
製）と、充填材（カーボンブラツク、日本化薬社
製）とをアセトンに混合した溶液をバーコータ塗
布装置により塗布形成したインク層３が形成され
ている。

ところで上記ポリアミド樹脂よりなる中間接着
層は、インク層に対して相互に溶解する相溶性が
大きく、インク層を形成してから時間が経過する
につれ中間接着層がインク層内に溶解し、中間接
着層の厚さが薄くなり、インク層に対する結着力
が弱くなり、従つて基材側よりサーマル印字ヘツ
ドを押圧して記録紙にインクを転写した時、イン
ク層が段階的に剥がれて転写する剥がれ転写が生
じる問題点がある。かかる剥がれ転写が起こると
転写後のインク層の表面は、印字情報によりパタ
ーンに対応した凹凸が起こり、繰り返して転写す
るうちに、記録紙とインク層の表面との接触が不
均一となり、記録紙にインクが良好に転写されて
いないので印字品質の低下を招くことになる。

そのため、従来のインクシートに於いては、中
間接着層の厚さ8μm以上としなければならず、こ
のような中間接着層の厚さと厚くするとインクシ
ートの熱伝導性が悪くなり、インク層に対するサ
ーマル印字ヘツドの熱が伝達しがたくなり、その
ため鮮明な高品質の印字が形成されない不都合を
生じていた。

一方、中間接着層にポリエステル樹脂を用いた
ものが特開昭55−105579号公報に開示されてい
る。

しかし、ポリエステル樹脂を単独で中間接着層
に用いると、ポリエステル中間体は粘着力が強す
ぎて、この上にインク層を滑らかに塗布形成する
ことは困難であるという欠点があつた。

(d) 発明の目的 本発明は上記した欠点を除去し、中間接着層を
基材とインク層に対して結着力が適性で、かつイ
ンク層に対して相溶性の小さい材料で形成し、以
て中間接着層の厚さを薄くしてインク層に対して
サーマル印字ヘツドの熱伝導を良好にし、サーマ
ル印字ヘツドに印加するエネルギーを低エネルギ
ーとしても、印字品質の良好な印字を得ることが
できる新規な熱転写記録用インクシートの提供を
目的とするものである。

(e) 発明の構成 かかる目的を達成するための本発明の熱転写記
録用インクシートは、基材と該基材上に形成され
るインク層の間に中間接着層が設けられている熱
転写記録用インクシートに於いて、前記中間接着
層が滑剤を含むポリエステル樹脂で形成されてな
ることを特徴とするものである。

(f) 発明の実施例 以下、図面を用いて本発明の一実施例につき詳
細に説明する。

本発明の熱転写記録用インクシートは、前記し
た図面に示すように、厚さが10μmのコンデンサ
紙よりなる基材上１に、ポリエステル樹脂、例え
ば高粘度液状物であるハイボンAC−63（日立化成
ポリマー(株)製）と滑材を混合してなる中間接着層
２が3μmの膜厚で塗布形成されている。そして、
この中間接着層２の上には、低融点材として脂肪
酸アミド（日本油脂社製）が２重量部、パラフイ
ンワツクス（日興フアインケミカル社製）が１重
量部、充填材としてカーボンブラツク（日本化薬
社製）が１重量部、染料としてカヤセツトブラツ
ク（商品名、日本化薬社製）が１重量部からなる
インク層３が、20μmの厚さで塗布形成されてい
る。

かかる熱転写記録用インクシートを形成するに
は、厚さが10μmのコンデンサ紙よりなる基材１
上に、ポリエステル樹脂10重量部、滑剤である脂
肪酸アミド１重量部をトルエンを溶媒としてボー
ルミルにて８時間混合した溶液を、バーコータ塗
布装置により塗布して中間接着層２を形成する。

斯くして、ポリエステル樹脂に脂肪酸アミドの
ような滑剤を含ませたことにより、中間接着層と
該中間接着層表面に塗布されるインク層との間の
粘着力を適度に減殺し、インク層の形成をスムー
ズにするとともに、均等性の良い膜厚で形成する
ことを可能にするものである。

なお、ここで用いるポリエステル樹脂はポリエ
ステル樹脂の形成過程で得られる中間生成物であ
り、通常のシート状の固相のポリエステル樹脂と
異なり、常温では固相と液相の中間の高粘度状の
材料である。

その後基材上に粘着状態で被着されているポリ
エステル樹脂と脂肪酸アミドよりなる中間接着層
２を乾燥させることなく、そのままの状態にして
その上に、低融点材として脂肪酸アミド（日本油
脂社製）を２重量部、パラフインワツクス（日興
フアインケミカル社製）を１重量部、充填材とし
てカーボンブラツク（日本化薬社製）を１重量
部、染料としてカヤセツトブラツク（商品名、日
本化薬社製）を１重量部、それぞれアセトン30重
量部に溶解した後、十分ボールミルにて撹拌混合
した後、分散した溶液をバーコータ塗布装置によ
り塗布してインク層３を形成する。

その後、このようにして形成した基材を90℃の
温度に加熱している加熱ローラ（図示せず）の上
で１秒間加熱した後、20℃の温度に冷却している
ローラ（図示せず）上を通過させて熱転写記録用
インクシートを得た。

この熱転写記録用インクシートをサーマルプリ
ンタにより真黒の方形の印字を得るように、サー
マル印字ヘツドの発熱素子に印加する印加エネル
ギーを30ミリジユール／mm²とし、その発熱素子に
印加する電圧のパルスを1msecとしたベタ転写を
行つて、記録濃度を検査したところO.Dが1.25の
値となり、従来の熱転写記録用インクシートを用
いた場合のO.Dが1.1であるのに比して、記録濃
度が約10％向上したインクシートが得られた。

これは、中間接着層の厚さが従来の8μmの厚さ
より3μmの厚さに減少したために、インクシート
の転写感度が向上したためと考えられる。

また中間接着層が3μmと薄くなつたにもかかわ
らず、本発明の中間接着層の形成材料が、基材と
インク層に対して従来の中間接着層の形成材料よ
りも接着強度が大きいので、このインクシートを
用いてインクを記録紙に多数回転写した時に、イ
ンク層が基材より段階的に剥がれて、転写される
剥がれ転写が生じることもない。

なお、以上述べた実施例は、中間接着層の滑材
として脂肪酸アミドを使用したものであつたが、
脂肪酸アミドの代わりにオレイン酸やステアリン
酸等の脂肪酸、マイクロクリスタリンワツクスや
パラフインワツクス等の脂肪族炭化水素、ステア
リン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛等の金属石
鹸及び蔗糖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステルな
どの材料を単独あるいは二種類以上組み合わせ
て、ポリエステル樹脂10重量部に対して0.1〜５
重量部の範囲で混合して使用することも当然可能
であり、同様の効果を得ることができる。

(g) 発明の効果 以上述べたように本発明の熱転写記録用インク
シートによれば、中間接着層の厚さを薄くできる
ので、サーマル印字ヘツドに印加するエネルギー
を低エネルギーの状態としても鮮明な印字が記録
紙上に転写でき、転写感度の向上した熱転写記録
用インクシートが得られる。

また本発明のインクシートにおける中間接着層
が基材とインク層に対して粘着力が大きいので、
転写時にインク層が基材より剥がれて段階的に記
録紙に転写される剥がれ転写も生じなくなり、高
品質の熱転写記録用インクシートが得られる。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の熱転写記録用インクシートの断面
図である。 図に於いて、１は基材、２は中間接着層、３は
インク層を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 基材と該基材上に形成されるインク層の間に
   中間接着層が設けられている熱転写記録用インク
   シートに於いて、 前記中間接着層が滑剤を含むポリエステル樹脂
   で形成されてなることを特徴とする熱転写記録用
   インクシート。