JPH0244657Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は例えばフロートの接地圧の大小変化を
植付昇降用の油圧バルブにセンサワイヤなどを介
し伝う、植付昇降用油圧シリンダに対する前記バ
ルブの油圧流量を適宜制御させることによつて植
付深さを一定維持する自動制御装置を備えた田植
機の植付昇降制御装置に関する。従来、実開昭55
−131617号公報に示す如く、自動操作範囲内で緩
やかに応答させ、その範囲内では急速度で応答さ
せ、植付部の昇降を制御する田植機が開発され
た。

しかし乍ら、前記従来技術は、自動操作量を縮
少して油圧バルブに伝達し、下げ動作を緩やかに
すると共に、一定位置に固定したストツパで自動
操作量を制限していたから、自動操作を行うフロ
ート並びに手動操作を行うレバーと前記油圧バル
ブとの連結構造の簡略化を容易に行い得ないと共
に、手動操作による油圧バルブの下げ動作が簡単
に行い得ない等の構造上及び取扱い操作上の問題
があつた。

然るに、本考案は、植付部を手動操作により昇
降させる手動植付昇降レバーと、フロートの仰角
変化に基づいて植付部を自動的に昇降させる操作
片を備え、植付部を手動操作又は自動制御で昇降
させる田植機の植付昇降制御装置において、自動
昇降制御態様で前記操作片の下げ移動を制限する
規制部材を設け、前記昇降レバーの下降操作と連
動して規制部材が下げ移動制限位置から非制限位
置に移動するように構成したことを特徴とするも
のである。

従つて、規制部材によつて操作片の下げ移動を
制限するから、自動昇降制御態様での植付部の下
降動作を制限し得、急激で大幅な植付部の下降動
作を防いで安全で安定した自動制御を容易に得ら
れると共に、昇降レバーの下降操作によつて規制
部材が非制限位置に移動するから、手動操作によ
つて植付部を敏感に下降動作させ得、例えば畦越
え又はトラツク荷台への移動のときなど田植機体
のバランスが悪くなつても、手動操作による植付
部下げ動作で機体重心を低下させる緊急時の急下
げ動作を行うことにより、田植機体の転倒などを
防いで安全に取扱い得、従来に比べて手動操作と
自動制御の下降規制との連係構造の簡略化並びに
作業性の向上などを容易に図り得るものである。

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて詳述
する。

第１図は乗用田植機の側面図、第２図は同平面
図を示し、図中１は作業者が搭乗する走行部であ
り、エンジン２をベースフレーム３に搭載し、該
エンジン２をボンネツト４で覆うと共に、前記ベ
ースフレーム３の後端にミツシヨンケース５を、
また該ミツシヨンケース５の後端左右両側に伝動
ケース６を一体的に連設させる。前記ミツシヨン
ケース５の前部左右両側にアクスルフレーム７を
介して左右の水田走行用前車輪８を、また各伝動
ケース６後部の外側に左右の水田走行用後車輪９
をそれぞれ支承させると共に、作業者が座乗する
運転席１０を連結フレーム１１を介して伝動ケー
ス６上部に装着する。また、前記ボンネツト４の
左右両側に予備苗載台１２を装備させると共に、
ボンネツト後部の運転席１３前方位置に操向ハン
ドル１３を設け、ステツプ１４ａを形成する車体
カバー１４によつてボンネツト４後方のミツシヨ
ンケース５上側を覆う。

さらに、図中１５は多条植え用の苗載台１６並
びに複数の植付瓜１７などを具備する植付部であ
り、前高後低の後傾式苗載台１６を案内レール１
８及びガイドレール１９を介して植付ケース２０
に左右往復摺動自在に支持させると共に、クラン
ク運動させる植付アーム２１並びに植付爪駆動軸
２２を介して植付ケース２０に前記植付爪１７を
取付ける。前記植付ケース２０の下方に滑走体で
ある植付面均平用の主フロート２３及び左右のサ
イドフロート２４，２４を装設すると共に、前記
植付ケース２０の前側に支持フレーム２５を設
け、トツプリング２６及びロアリング２７を含む
三点リンク機構２８を介して連結フレーム１１に
前記支持フレーム２５を連結させ、植付部１５を
昇降させる油圧シリンダ２９を連結フレーム１１
と支持フレーム２５間に介設させて、前記エンジ
ン２出力をミツシヨンケース５に伝達し、水田走
行用前後輪８，９を略定速で駆動走行すると同時
に、左右に往復摺動させる苗載台１６から一株分
の苗を植付爪１７によつて連続的に取出して圃場
に苗植え作業を行つていくように構成する。

第３図乃至第５図に示す如く、主変速操作用の
ギアに係合させるシフター３０にシフトレバー３
１、シフトロツド３２、シフトアーム３３、前後
揺動支点軸３４及び左右揺動支点受軸３５を介し
て主変速レバー３６を連動連結させ、レバーガイ
ド板３７のガイド溝３８に沿わせ前記主変速レバ
ー３６を前後に揺動操作させることにより、路上
走行速度、中立、植付走行速度、後進走行に適宜
走行態様を変化させるように構成している。

また、前記連結フレーム１１は左右の伝動ケー
ス６，６を連結する横フレーム３９と、該横フレ
ーム３９に下端を固着させ上端に前記ガイド板３
７を支持する左右の縦フレーム４０ａ，４０ｂと
から構成し、油圧昇降装置である前記油圧シリン
ダ２９を適宜伸縮操作する油圧バルブ４１を右の
前記縦フレーム４０ｂにブラケツト４２を介し固
定支持させている。さらに前記縦フレーム４０
ａ，４０ｂに軸受筒４３を固定すると共に、該受
筒４３には操作回転軸４４を貫挿支持させてい
て、該回転軸４４の右端を左右揺動支点受軸４５
を介して手動植付昇降レバー４６に連動連結させ
ている。前記回転軸４４には前記バルブ４１のス
プール４７に当接させる操作片４８ａを一体固設
すると共に、植付クラツチに連動させる植付クラ
ツチワイヤ４９の他端を係止するクラツチアーム
５０を前記回転軸４４に固定させ、前記昇降レバ
ー４６の前後揺動操作によつて植付部１５の昇降
と植付クラツチの入切動作を行わしめるように構
成している。

またさらに、前記回転軸４４の左端には連動板
５１を固着すると共に、前記変速レバー３６の中
間に受筒軸５２を介し連動ピン５３を支持させて
いて、前記変速レバー３６を前進位置より後進位
置に揺動変換操作するとき、前記連動ピン５３の
先端を下げ状態にある前記昇降レバー４６との連
動板５１に係合させ、前記回転軸４４を介し操作
片４８ａを一体回動させて、前記スプール４７を
退入させることによつて植付部１５を上昇させる
ように構成しいる。

また、前記回転軸４４には前記操作片４８ａに
隣接させて一端を前記スプール４７に当接させる
もう一つの操作片４８ｂを回転自在に遊転軸支さ
せ、該操作片４８ｂにスプール４７を退入させる
バネ力を有するスプリング５４を付勢させると共
に、該操作片４８ｂの他端に主フロート２３の固
定ブラケツト５５に一端を連結させるセンサワイ
ヤ５６の他端側を接続させ、前記フロート２３の
接地圧の変化に伴ずいて前記スプール４７を適宜
進退させ、フロート２３の接地圧を略一定に維持
させる状態に植付部１５を自動制御するように構
成している。

また、前記フロート２３の緩衝リンク５７に感
度バネ５８の調節ワイヤ５９の一端を連結させる
と共に、前記変速レバー３６の後部に配備させる
感度調節レバー６０に前記ワイヤ５９の他端を連
動連結させている。前記調節レバー６０は側板６
１に回転自在に支承する操作回転軸６２に左右揺
動支点受軸６３を介し連結支持させ、前記回転軸
６２に固着する感度バネ調節アーム６４に前記ワ
イヤ５９他端を連結させると共に、前記回転軸６
２に固着するセンサワイヤ調節アーム６５を前記
センサワイヤ５６の中間に連結させて、前記レバ
ーガイド板３７の感度調節ガイド溝６６に沿わさ
前記レバー６０を揺動操作することにより、表土
の硬、軟（乾田・湿田）及び標準に応じたフロー
トにかかる荷重の感度調節と、植付深さの基準値
調節を行わしめるように構成している。

第６図乃至第７図に示す如く、前記操作片４８
ａ，４８ｂの前面つまり反スプール４７側に規制
部材６７を当接させるように設けるもので、前記
規制部材６７を前記回転軸４４に回転自在に軸支
する箇部材６８に揺動アーム６９を介して連結さ
せると共に、該筒部材６８にスプリングアーム７
０を介して規制スプリング７１を連結させ、前記
規制部材６７に常時操作片４８ａ，４８ｂに当接
させるスプリング力を付勢させるように設けてい
る。また前記揺動アーム６９に当接させて規制部
材６７を定位置に保持する調節ボルト７２を取付
板７３を介し前記ブラケツト４２に固定支持さ
せ、前記ボルト７２操作によつて規制部材６７の
規制位置を調節可能とさせると共に、該規制部材
６７によつて前記操作片４８ｂの下げ側つまりス
プール４７の進出側の動きを規制させるように設
けている。さらに前記回転軸４４には連動アーム
７４の基端を固着し、該アーム７４先端を前記揺
動アーム６９に係止させるように設け、前記昇降
レバー４６による植付部１５下降操作のとき該レ
バー４６に規制部材６７を連動させてこの規制を
解除させ、スプール４７を最大進出させる状態迄
操作片４８ａ，４８ｂを変位させるように構成し
ている。

本実施例は上記の如く構成するものにして、前
記変速レバー３６或いは昇降レバー４６を適宜手
動操作することによつて前記操作片４８ａを介し
油圧バルブ４１のスプール４７を移動させ植付部
１５を昇降させる一方、前記センサワイヤ５６を
介するフロート２３の上下変化つまり接地圧の変
化に基づき前記操作片４８ｂを適宜変位させ油圧
バルブ４１のスプール４７を移動させて植付部１
５を一定植付深さに昇降制御するものであり、第
６図に示す如き操作片４８ａ，４８ｂの上げ範囲
Ｕ及び下げ範囲Ｄ内において前記バルブ４１は開
状態となり、これら中間範囲Ｎ内ではバルブ４１
は閉状態となつて植付部１５の昇降を停止させ
る。そして今規制部材６７でもつて操作片４８
ａ，４８ｂの下げ側の動きを規制させ自動制御を
行う前記操作片４８ｂの下げ側の動きを規制下げ
範囲Ａとするとき、大きな値の下げ信号が瞬間的
にこの操作片４８ｂに伝えられることがあつても
操作片４８ｂはその下げ側への移動量を抑制され
前記スプール４７の開き量を抑えてこの植付部１
５の下降過剰などを未然に防止するものである。

一方、昇降レバー４６において前記規制下げ範
囲Ａ以上に該レバー４６を操作するときには前記
連動アーム７４が前記揺動アーム６９に当接係止
して昇降レバー４６と連動で規制部材６７も移動
して、操作片４８ａ，４８ｂの下げ側の動きの規
制解除が行われスプール４７が最大開き量となつ
て植付部１５の急激な下降が行われるものであ
る。

以上実施例から明らかなように本考案は、植付
部１５を手動操作により昇降させる手動植付昇降
レバー４６と、フロート２３の仰角変化に基づい
て植付部１５を自動的に昇降させる操作片４８ｂ
を備え、植付部１５を手動操作又は自動制御で昇
降させる田植機の植付昇降制御装置において、自
動昇降制御態様で前記操作片４８ｂの下げ移動を
制限する規制部材６７を設け、前記昇降レバー４
６の下降操作と連動して規制部材６７が下げ移動
制限位置から非制限位置に移動するように構成し
たもので、規制部材６７によつて操作片４８ｂの
下げ移動を制限するから、自動昇降制御態様での
植付部１５の下降動作を制限でき、急激で大幅な
植付部１５の下降動作を防いで安全で安定した自
動制御を容易に得ることができると共に、昇降レ
バー４６の下降操作によつて規制部材６７が非制
限位置に移動するから、手動操作によつて植付部
１５を敏感に下降動作させることができ、例えば
畦越え又はトラツク荷台への移動のときなど田植
機体のバランスが悪くなつても、手動操作による
植付部１５下げ動作で機体重心を低下させる緊急
時の急下げ動作を行うことにより、田植機体の転
倒などを防いで安全に取扱うことができ、従来に
比べて手動操作と自動制御の下降規制との連係構
造の簡略化並びに作業性の向上などを容易に図る
ことができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであり、第
１図は全体側面図、第２図は同平面図、第３図は
要部の側面図、第４図は同背面説明図、第５図は
同平面説明図、第６図は要部側面の部分拡大説明
図、第７図は要部平面の部分拡大説明図である。 １５……植付部、４１……油圧バルブ、４７…
…スプール、６７……規制部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 植付部１５を手動操作により昇降させる手動植
   付昇降レバー４６と、フロート２３の仰角変化に
   基づいて植付部１５を自動的に昇降させる操作片
   ４８ｂを備え、植付部１５を手動操作又は自動制
   御で昇降させる田植機の植付昇降制御装置におい
   て、自動昇降制御態様で前記操作片４８ｂの下げ
   移動を制限する規制部材６７を設け、前記昇降レ
   バー４６の下降操作と連動して規制部材６７が下
   げ移動制限位置から非制限位置に移動するように
   構成したことを特徴とする田植機の植付昇降制御
   装置。