JPH024206B2 - - Google Patents

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JPH024206B2
JPH024206B2 JP56178080A JP17808081A JPH024206B2 JP H024206 B2 JPH024206 B2 JP H024206B2 JP 56178080 A JP56178080 A JP 56178080A JP 17808081 A JP17808081 A JP 17808081A JP H024206 B2 JPH024206 B2 JP H024206B2
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JP
Japan
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adhesive
pontic
methacrylate
dental
butadiene
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JP56178080A
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JPS5879911A (ja
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Ee Orurosukii Jan
Bui Batoraa Debitsudo
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Sankin Industry Co Ltd
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Sankin Industry Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 歯科学における酸エツチング(腐食)法の出現
は、歯科補てつの分野で現在用いられている方法
に代りうる新たな方法を開拓した。機械的な保持
という手段によるのではなく、接着力によつて架
工歯を適所に固着させることの有望さは、固定式
および取りはずし式のいずれの歯科補てつ術に比
べても顕著な利点がいくつかあるように思われ
た。固定式補てつ術は歯のエナメル質の破壊を含
む支台歯の回復不能な(不可逆的な)処置を必要
とする。固定式補てつ術はまた費用が非常にかか
り、患者、歯科医および技工士のいずれの側にと
つてもかなり時間を要する方法である。さらに、
補てつ治療完了後の支台歯の感受性の発現、その
活力の低下および接合されたぞうげ質下に現れる
う食の発生は、固定式ブリツジの結果として決し
てまれに起る現象ではない。 取りはずし式補てつ具にはさらに問題が多い。
たとえば、これは一般に機能面でも美容的にも劣
つており、不快感がある上に、支持歯の損傷を引
き起す。その使用は口腔衛生上も有害であり、そ
の安全性にも疑問がある。 リン酸腐食した歯のエナメル質への自己硬化ア
クリル樹脂の結合による接着法は、部分義歯製作
法として長持ちし、安価で、苦痛を伴なわず、不
快感のない解決策を与えうる。さらに、この方法
は、たとえば歯周症または歯列矯正後の治療にお
ける歯のワイアレス(針金を使用しない)安定化
法としても有望であると考えられた。 しかし、酸腐食法を利用した接着架工歯を製作
する試みは、限られた成功しかおさめていない。
このような不首尾の考えられる理由の1つは、接
着力が十分でないことである。米国特許4172323
に記載の材料を除けば、架工歯の接合用に実際に
用いられた材料はこの用途のために開発されたも
のではなく、したがつて、これに適したものでも
なかつた。 これまでに報告された臨床例において、複合修
復および液体シーラーからなる一般の複合修復材
料または修復系はリン酸エツチング液と組合わせ
て使用するものであつた。その例はたとえば次の
文献に見られる。 (1) Leonard L.Portnoy、“1回の通院ですむ複
合架工歯の構成”、Dental Survey、1973年8
月、P.20−23; (2) Sherwood S.Tucker、“酸腐食が取替るゆる
んだ架工歯の修復”、Dental Survey、1974年
7月、P.44; (3) Susan A McEvoyおよびJohn R.Mink、
“前歯の一時的安定化用酸腐食樹脂副子”、
Jnurnal of Dentistry for Children、1974年
11−12月、P.439−41; (4) Paul M.Lambert、David L.Mooreおよび
Harry H.Elletson、“アクリル架工歯および紫
外光線重合樹脂で構成した固定ブリツジの生体
内保持強度”、J.A.D.A.、92(4)、1976、P.740−
43; (5) Robert L.Ibsen、“複合接着剤を用いた自然
歯冠架工歯による固定式補てつ”、J.S.C.D.A.、
41,1974,P.100−102; (6) Richard I.Vogel、“一時的安定化のための
エナメル質腐食剤と自己重合樹脂の併用”、J.
Periodontal.,1976年2月、P.69−71; (7) A.Stuart、“酸腐食ポリマー樹脂により保持
される異常空隙保持材”、British Dental
Journal、1974年12月3日、P.437−38; (8) Lee Pharmaceuticals Technical Bulletin
9090−1(Jan A.OrlowskiおよびRobert
Elwell)、“長期仮空隙保持剤としての固定ブリ
ツジ補てつにおけるリストデント(restdent)
歯科用修復材の使用”、1973年4月20日; (9) Abraham M.Speiser、“接着材料による移
行副子固定”、Journal of the New Jersey
Dental Association、1974年2月、P.34−35 これらの臨床例においては、腐食処置は、接着
強さを発揮する場合の要求度がずつと少ない修復
用途に用いられるのと同程度にとどまつていた。
さらに、この種の複合修復材料は、架工歯の接合
に用いられる接着剤に最も望ましい特性である可
撓性と亀裂抵抗が不十分である。そしやく中に歯
は相互に相対的に動いている。そのため、接着剤
として用いる材料には可撓性と耐疲労性が要求さ
れ、通常の修復材をこの目的に用いるのはこの点
で不適当となる。 米国特許第4172323号には、架工歯の移動に要
する力を増大させるためにプラスチツクスクリー
ンを用いた架工歯の支台歯への接合系が記載され
ている。この系で用いられた非複合材型のメタク
リレート系自己硬化型接着剤は補強用スクリーン
に結合する能力を有していた。また、スクリーン
の使用により得られる接着強度の増大は顕著であ
つた。しかし、それは特に後架工歯(posterior
pontics)には必ずしも十分ではなかつた。さら
に、接着型架工歯の破損の理由は、必ずしも腐食
したエナメル質への接着強度の不十分さにあるの
ではなく、たいていの場合は接着剤の機械的性質
が不十分であるか、またはその口腔環境に対する
化学的耐性が低いことにあることも記憶にとどめ
ておくべきである。これらの種々の観点から、上
記米国特許も従来技術に比べてさほど改良を与え
ていないと思われる。 人のエナメル質への接合は、腐食したエナメル
質表面の間隙(凹部)に硬化した接着剤の多数の
小さなタグ(突出部)が侵入することに依存して
いる。そしやくおよびあごの運動中に加わる応力
の分布が不均一であることを考慮すると、曲げ強
さ、耐衝撃性および弾性のような接着剤の特性が
最も重要となり、これは移動度がより大きく、そ
しやく力もより大きい後架工歯にとつて特にそう
である。架工歯の接合に用いる接着剤の主鎖を構
成する高度架橋メタクリレート型樹脂は一般にこ
れらの用途には剛性および脆性が大きすぎた。ま
た、少なくともこれらの接着材料の一部について
は口腔液に対する化学的耐性も別の重要な因子で
あつた。 この発明は、約2.5〜30重量%のエラストマー
を含有するメタクリレート基材歯科用接着剤に関
するものであり、エラストマーとしては、少なく
ともブタジエン系エラストマーおよびイソプレン
系エラストマーよりなる群から選ばれる1種以上
が用いられる。 次にこの発明を添付図面に関連させて詳細に説
明する。図示の態様は1本の架工歯を適所に固着
して固定ブリツジを形成する例にこの発明を適用
しているが、より大きなもの、たとえば一体成形
され、またはこの発明にしたがつて1体に接合さ
れた2本の人工架工歯からなるブリツジを適所に
固着する場合、ならびに架工歯が歯肉の中に配置
される副子固定(splinting)にも同様にこの発
明を適用しうる。1つの注意として、接着剤接合
をなすべき口腔内の支持面が金またはアマルガム
修復を含んでいてはいけない。すなわち、適当な
表面が接合に利用可能でなければならないという
ことがある。 本発明にしたがつて1本の架工歯から固定ブリ
ツジを作るには、添付図面を参照して下記の一般
的な技法にしたがつて実施できる。 まず、歯が失なわれている部分のあごの印像を
とり、架工歯を得る。架工歯はモデルに合うよう
な形状にする。第1図の態様では、下あご10の
印像をとり、この印像は間に空隙部を有する2本
の自然支台歯12および14の形状を示すことにな
る。架工歯16はこの空隙に適合する形状とし、
その寸法は、自然支台歯12,14の対向する表
面との間隙ができるだけ小さくなるようなものと
する。架工歯の底面18の形状は、第2図に示す
ように、下あご10の歯肉に軽くのるようなもの
とする。 この固定ブリツジを取付けようとする場合、機
械的結合を向上させる任意工程を経てもよい。多
くの場合、この任意工程は不要であり、特に架工
歯が1本だけのブリツジを取りつける場合はそう
であるので、この工程は図面には示していない。
この任意工程は架工歯に機械的なアンダーカツト
(添窩)または溝を形成して、保持を助長すると
共に、剪断力に耐えるようにすることからなる。
このような任意のアンダーカツトまたは溝の好ま
しい形態は、近心から遠心へ舌面を横断する一連
の舌溝を粗フイツシユアバーで切りこむことによ
り得られる。架工歯の両側の隣接面にも1〜2本
の粗いアンダーカツトを形成してもよい。粗面化
されたものはその場に残しておいてさらに保持力
を高めるようにすべきであるが、取れそうになつ
ているものは手入れ(ドレツシング)により除去
すべきである。溝の表面はできる限り粗面とすべ
きである。 次に、両側の支台歯の隣接面の接触部分の手入
れを粗粒ダイアモンドまたは粗粒ガーネツトで歯
垢、小皮、タンパク質、弱いエナメル質などを除
去するように実施してもよい。場合によつては、
あまり好ましくはないが、エナメル質内の小さな
アンダーカツトを接触部に形成してもよい。これ
はやはり接合に利用できる面積および剪断力に対
する抵抗を増大させるためである。 次いでブリツジを巻綿で隔離し、支台歯の支持
表面部分に化学的腐食剤を塗布する。好適な腐食
剤は周知であり、たとえば、リン酸およびクエン
酸の溶液などの酸性腐食液、ならびにアルカリ性
腐食液が挙げられる。ただし、2〜15%塩酸溶液
が好ましい腐食液であることが判明した。 たとえば2〜3分後に、腐食剤を水で洗い流
し、乾かす。 腐食、洗浄および乾燥後、エアーにより、また
は歯科用乾燥剤(例えばアセトンとジエチルエー
テルの同量混合物またはその他の米国特許
3905110に開示の乾燥用溶液の1種)を用いて、
乾いた領域を保持しておく。架工歯の方の適当な
表面部分も乾いた状態に保持する。水分は多くの
歯科用接着剤に有害な作用をするので、水分の完
全な除去が望ましい。 支台歯と架工歯の接合面の腐食、洗浄および乾
燥がすんだら、これに指または器具で触れてはな
らない。また、患者にも、処置部分が唾液でぬれ
ると接着結合が不十分となるので、このようなこ
とがないように注意すべきである。 この時点で、第3図に示す如く接着剤層20を
支台歯の各支持表面に塗布する。架工歯の方にも
接着剤を塗布し、次いで架工歯を適所に配置し、
初期硬化(例えば2〜3分以内に起る)が起るま
で応力を加えずに保持する。接着剤の塗布にあた
つて、溝またはアンダカツトを採用した場合に
は、これらを接着剤で完全に充填すべきである。 架工歯はアクリル人工架工歯またはその他の好
都合なポリマー材料(好ましくは接着剤組成物の
液体結合剤に少なくとも部分的に可溶であるも
の)から形成された架工歯のいずれでもよく、或
いは患者自身の天然歯または歯冠でもよい。天然
歯を使う場合、これは公知の副子固定法で歯肉内
に配置することもできる。患者の歯冠を使う場合
には、余分の歯根を切りとり、歯冠を所望寸法に
仕上げ加工する。歯根を清浄化し、適宜の接着剤
を注入して密閉する。その後は人工架工歯の処置
と同様に歯冠を処置しうる。 固定ブリツジを形成する場合、使用に適した好
ましい架工歯はアクリルプラスチツクから形成し
たものである。しかし、陶製の架工歯または天然
歯も使用できる。さらに、複合修復用成形歯、す
なわち適当な基体とアクリルまたは陶製のベニア
または表面層とからなる歯も使用できる。好まし
くは、架工歯はアクリルプラスチツク歯か、アク
リルプラスチツクの表面層またはベニアを有する
歯のいずれかである。 関隙22を設けて、患者が接着剤硬化後にこの
部分でフロスによる処置ができるようにすべきで
ある。このフロス処置は、フロススレダー
(floss threader)により、例えばA.Stuart、“酸
腐食ポリマー樹脂により保持される異常空隙保持
材”、British Dental Journal、1974年12月3日、
P.438に記載のようにして実施できる。Richard
I.Vogel、“一時的安定化のための自己重合樹脂と
エナメル質腐食剤との併用”、J.Periodontal.,
1976年2月、P.69−71に記載のようにして、木製
の歯間スペーサを用いてこのような間隙への樹脂
の流動を制限するのが、接着剤の塗布法によつて
は適当であることもある。初期硬化が起つたら、
その後接合面積を増大させるために追加の接着剤
をさらに塗布することもできるが、通常は接着剤
の追加は必要ない。架工歯に何らかの応力が加え
られる前に接着剤を少なくとも20〜30分間は硬化
させるべきである。応力を加えずに適当な硬化時
間が経過したら、余分の接着剤を除去して適当な
斜面を作ると共に、所望の美容上の外観を形成す
る。 腐食液として2〜15%塩酸水溶液を用いる場
合、接着剤は任意の適当な高接着強度歯科用接着
剤(歯科用複合修復材に用いられている処方例の
多くを含む)でよく、これに対する制限は、充填
剤の含有量を接着剤組成物の60重量%以下、好ま
しくはそれ未満の量に制限すべきことである。実
際、充填剤をまつたく使用しないでもよいか、或
いは接着剤の液体結合剤と十分に相溶性のある粒
状の予備硬化ポリマーを使用して硬化後に単一構
造または一体的な形態を得るようにすることもで
きる。いずれにせよ、選択される接着剤は架工歯
および支台歯の表面を適宜に容易に濡らすもので
なければならない。 接着剤は、前述の如くブタジエン系エラストマ
ーおよびイソプレン系エラストマーよりなる群か
ら選ばれる1種または2種以上のエラストマー材
料を2.5〜30重量%含有している。このようなエ
ラストマー含有接着剤を使用する場合、適当な腐
食剤を使用してもよい。しかし、上記の塩酸腐食
液をエラストマー含有接着剤と併用するのが好ま
しい。 接着剤組成物は、架工歯および支台歯の表面を
容易に濡らすと共に、腐食した歯の表面および架
工歯内に浸透する能力を有する硬化性液体部分を
有しているのが好ましい。この好適態様の最終生
成物は、接着剤が支台歯の表面上で硬化している
だけでなく、支台歯表面内にミクロン単位の長さ
の“タグ”状に浸透すると共に、相溶性の架工歯
の方には1mmまたはそれ以上の深さまで浸透して
いてもよい接着結合である。接着剤組成物は充填
剤をまつたく含有していなくてもよいが、各種の
量および種類の充填剤を混入してもかまわない。 好ましい接着剤はメタクリレート基材接着剤で
ある。換言すると、接着剤の硬化性部分は1また
は2以上のメタクリレート部分を有するモノマー
またはプレポリマー(例えばかかるモノマーの2
量体または3量体)を主成分とすべきである。好
ましくは、この発明の歯科用接着剤は、約40〜95
重量%のメタクリレートモノマーまたはメタクリ
レートモノマー混合物を含有する。かかるモノマ
ーとしては、1分子にメタクリレート部位を1個
含有している1官能性メタクリレート、たとえば
メタクリル酸、低級アルキルメタクリレート(例
えばアルキルがメチル、エチル、n−プロピル、
イソプロピル、n−ブチル、第2級ブチルおよび
第3級ブチルのように炭素数1〜4のもの)、テ
トラヒドロフルフリルメタクリレートおよびグリ
シジルメタクリレート等が挙げられる。他のメタ
クリレートモノマーとしては1分子に2以上のメ
タクリレート部位を有する多官能性メタクリレー
トがある。 多官能性メタクリレートは、脂肪族、脂環族お
よび芳香族多官能性メタクリレートの3種類に分
類しうる。定義によると、脂環族または芳香族多
官能性メタクリレートは1分子に少なくとも1個
の脂環族炭化水素部位および/または少なくとも
1個の芳香族炭化水素部位を有する。脂肪族多官
能性メタクリレート歯科用材料において希釈剤と
される物質の中から選択しうる。かかるメタクリ
レートとしては、アルキレングリコールジメタク
リレート、ポリアルキレングリコールジメタクリ
レートおよびアルカントリオールトリメタクリレ
ート等がある。すなわち、多官能性脂肪族メタク
リレートは1分子に2〜3個のメタクリレート基
を含有するのが好ましい。また、かかるメタクリ
レートの分子量は198〜400、好ましくは374以下、
さらに好ましくは339以下である。多官能性脂肪
族メタクリレートの具体例としては、エチレング
リコールジメタクリレート、ジエチレングリコー
ルジメタクリレート、トリエチレングリコールジ
メタクリレート、テトラエチレングリコールジメ
タクリレート、ペンタエチレングリコールジメタ
クリレート、トリメチロールプロパントリメタク
リレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリ
レート、ブタンジオールジメタクリレート(例え
ば1,4−ブタンジオールジメタクリレート)な
らびにブテンジオールジメタクリレート(例えば
2−ブテン−1,4−ジオールジメタクリレー
ト)等が挙げられる。なお、エチレングリコール
ジメタクリレートの分子量は198、トリメチロー
ルプロパントリメタクリレートの分子量は339、
ペンタエチレングリコールジメタクリレートの分
子量は374である。 好ましい脂環族または芳香族多官能性メタクリ
レートには、或る種の歯科用材料、特に複合修復
用材料に好適に用いられる公知のものが含まれ
る。かかる脂環族および芳香族多官能性メタクリ
レートの例は下記の米国特許に開示されている:
第3066112号(Bowen);第3179623号
(Bowen);第3194783号(Bowen);第3194784号
(Bowen);第3539533号(Lee et al);第
3541068号(Taylor);第3597389号(Taylor);
第3629187(Waller);第3721644号(Stoffey et
al);第3730947号(Stoffey et al);第3751399
号(Lee,Jr.,et al);第3766132号(Lee,Jr.,
et al);第3774305号(Stoffey et al);第
3860556号(Taylor);第3862920号(Foster et
al);第3926906号(Lee et al);第
4102856号(Lee,Jr.);第4107845号(Lee,Jr.,
et al);および第4131729号(Schmitt et al)。
ポリマー基材歯科用材料に関する一般的解説は、
Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical
Technology、第3版、第7巻(1979)のP.501−
508およびP.515−517に記載されている。 この発明の好適な接着剤に用いるのに適した脂
環族または芳香族多官能性メタクリレートは好ま
しくは1分子に2〜4のメタクリレート部位、特
に好ましくは1分子に丁度2個のメタクリレート
部位を有している。1分子に4個のメタクリレー
ト部位を有するメタクリレートの1例は、上記の
Stoffey et alの米国特許に下記化学式で示され
ている。 このメタクリレートの分子量は648である。す
なわち、この発明の接着剤に用いるのに適した脂
環族または芳香族多官能性メタクリレートは少な
くとも648の分子量のものでよい。さらに高分子
量の多官能性脂環族または芳香族メタクリレート
も使用できる。たとえば、米国特許第3629187号
(Waller)には、ドデシルイソシアネートとBis
−GMAとのジメタクリレート付加生成物、すな
わち、ドデシルイソシアネートと2,2−ビス
〔4′−(3″−メタクリロイル−2″−ヒドロキシプロ
ポキシ)フエニル〕プロパンとの付加生成物が記
載されている。かかる付加生成物は次の式で表わ
すことができる。 この付加生成物の分子量は904である。 別の多官能性脂環族または芳香族多官能性メタ
クリレートとしては、下記の一般式で示されるも
のがある。 (式中、R1とR2は同一でも異別でもよく、そ
れぞれ置換または非置換のシクロヘキシルまたは
フエニルを意味し、R3は炭素数6〜14の脂肪族、
脂環族または芳香族基を意味する);ならびに (式中、nは2〜8の数;R1とR2は同一でも
異別でもよく、水素または式:【式】の 基を意味し、R3は炭素数1〜14の脂肪族、芳香
族または脂環族基である)。 この発明の接着剤に用いるのに適した好ましい
脂環族または芳香族多官能性メタクリレートの具
体例としては、2,2−ビス〔4′−(3″−メタク
リロイル−2″−ヒドロキシプロポキシ)フエニ
ル〕プロパン、2,2−ビス〔4′−(2″−メタク
リロイルエトキシ)フエニル〕プロパン、2−メ
タクリロイルエチル−3−メタクリロイル−2−
ヒドロキシプロピルテトラヒドロフタレート、2
−メタクリロイルエチル−3−メタクリロイル−
2−ヒドロキシプロピルヘキサヒドロフタレー
ト、2,2−ビス(4′−メタクリロイルフエニ
ル)プロパン、1,4−ビス(メタクリロイルメ
チル)ベンゼンおよび1,4−ビス(メタクリロ
イルメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。 上記の脂環族または芳香族多官能性メタクリレ
ートの例からわかるように、これらのメタクリレ
ートは、分子内の残りの部分に共有結合した1価
または多価(例えば2〜3価)の脂肪族炭化水素
部位を1個以上含有していてもよい。かかる脂肪
族部位は炭素数1〜14のもので、たとえば下記の
式のものがこれに含まれる。 かかる部位の他の例は、上記の多官能性脂環族
または芳香族メタクリレートの具体例を参照すれ
ば明らかとなろう。すなわち、多官能性脂環族ま
たは芳香族メタクリレートは、アルコール部位
(−OH)、エーテル部位(−O−)またはカルバ
モイル部位【式】において酸素また は酸素と窒素の両方のいずれかを含有していても
よい。 この発明の接着剤に使用するのに適した脂環族
または芳香族多官能性メタクリレートの分子量は
270以上、好ましくは274〜904である。 この発明の好ましい接着剤成分は重量で40%以
上、好ましくは40〜90%、さらに好ましくは60〜
90%、特に80〜85%の多官能性メタクリレートを
含有する。脂肪族多官能性メタクリレートならび
に脂環族もしくは芳香族多官能性メタクリレート
の量は、多官能性メタクリレートの量に関して、
または接着剤成分の合計量に関して示すことがで
きる。多官能性メタクリレートの量に基づくと、
脂肪族多官能性メタクリレートは重量で10〜80
%、好ましくは20〜30%を占め、脂環族もしくは
芳香族多官能性メタクリレートは20〜100%、好
ましくは70〜80%を占める。また、接着剤成分の
合計量に基づくと、脂肪族多官能性メタクリレー
トは重量で約0〜70%、好ましくは約10〜30%を
占め、脂環族もしくは芳香族メタクリレートは約
8〜90%、好ましくは約45〜65%を占める。脂環
族もしくは芳香族多官能性メタクリレートは好ま
しくは脂肪族多官能性メタクリレートより過剰
に、より好ましくは少なくとも1.5:1、特に約
3:1ないし約4:1の比率で存在させる。 上記の多官能性メタクリレートが接着剤全成分
の重合性モノマーの全部または実質的に全部を占
めるのが好ましいが、少量、たとえば接着剤成分
の約10重量%までの1官能性メタクリレートモノ
マーを混入することもできる。ただし、メタクリ
ル酸は、その問題の多い臭いと性質のために、接
着剤の全量の約2重量%をこえる量では存在させ
るべきでない。 上述した1官能性または多官能性メタクリレー
トのアクリル類似化合物のようなアクリルモノマ
ー(例えばメチルアクリレート、エチレングリコ
ールジアクリレート)も少量、たとえば接着剤成
分の約10重量%までなら使用できるが、このよう
なアクリルモノマーを接着剤成分に混入しない方
が好ましい。 メタクリレート基材歯科用接着剤において、予
想外なことに、少なくとも1種のブタジエンまた
は置換ブタジエン部位を含有するポリマーを1ま
たは2種以上存在させると、支台歯にかかる接着
剤で接合された架工歯の保持が著しく向上するこ
とが判明した。このような接着剤は、可撓性と耐
疲労性の向上のほかに、耐衝撃性および反発弾性
もすぐれている。 本発明で用いられるブタジエン系エラストマー
およびイソプレン系エラストマーの具体例として
はポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−
ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジ
エン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−
スチレン共重合体およびメチルメタクリレート−
ブタジエン−スチレン共重合体が挙げられ、これ
らのポリマーは高衝撃強度を特徴とするエラスト
マーを構成する。 これらのエラストマーは、SBR(スチレン−ブ
タジエン);PBRまたはBR(ポリブタジエン);
NBR(アクリロニトリル−ブタジエン);ABS
(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)お
よびMBS(メタクリレート−ブタジエンースチレ
ン)等として公知である。 上記エラストマーは各種割合の多様なモノマー
から製造しうる。たとえば、ポリブタジエンやポ
リイソプレンの場合には、それぞれ1種類の共役
ジエンモノマー単独からエラストマーを形成しう
る。SBRは約20〜25%のスチレンから、またニ
トリルゴムは25〜45%のアクリロニトリルから製
造しうる。ABSおよびMBSにおける各単量体部
位の割合はこれらのエラストマーの製造法に応じ
て変動する。たとえば、ABSは1例として、ほ
ぼ24%のアクリロニトリル、33%のブタジエンお
よび43%のスチレン部位を含有するが、これ以外
のモノマー比率ももちろん可能である。ただし、
ブタジエン部位はエラストマーのモノマー部位の
少なくとも20%、特に少なくとも30%を占めるの
が好ましい。 エラストマーの分子量は上記種類の適当なポリ
マー型エラストマーの選択の際の重要なパラメー
タであるとは考えられない。したがつて、分子量
の選択は好みの問題であると思われる。接着剤の
液体部分へのエラストマーの溶解度および未硬化
接着剤の稠度(コンシステンシー)に対するエラ
ストマーの影響のような因子は明らかにエラスト
マーの分子量に関係してくるが、これらの観点で
の分子量の選択は通常の実験に基づいて当業者が
容易になしうる範囲内のことである。 上記エラストマーは、接着剤中においてコロイ
ド状またはサブミクロン(ミクロン以下)の粒度
の分散体の状態で存在させる。この分散体は、た
とえばブレンダーによつて重合エラストマーを接
着剤の液体成分の存在下に高剪断力にさらすこと
により得られる。この方法はMBSエラストマー
の場合に特に有効である。かかるエラストマーは
スチレン−ブタジエンコポリマーまたはポリブタ
ジエンのラテツクスのいずれかの粒子の存在下に
スチレンとメチルメタクリレートモノマーの混合
物を重合させて製造した粗大粒子状態のグラフト
コポリマーとして得られることが多い。ある特定
の理論または機構に制限されることを欲するので
はないが、MBSの粗大粒子をブレンダー内で液
体メタクリレートモノマーと混合すると、エラス
トマーのグラフト化スチレン−メチルメタクリレ
ート部分が溶解し、微細なポリブタジエンまたは
ブタジエン−スチレン粒子の不溶性分散体が後に
残るということが考えられる。同様の現象は、米
国特許第4102945号(Gleave)においてアクリロ
ニトリルモノマー中へのABSまたはMBSの部分
溶解に関しても既に指摘されている(同特許第4
欄、21〜27行目)。 これらのエラストマーは、一般に、接着剤の約
2.5〜30重量%、好ましくは約10〜25重量%を占
める。 この発明の組成物に使用したメタクリレート樹
脂は、硬化した状態で低い吸水率および高い耐加
水分解性を示すモノマーを含有すべきである。好
ましくは、このような樹脂の少なくとも10%は1
分子に2以下のメタクリレート基を有するメタク
リレートモノマーを表わすべきである。充填剤ま
たは増粘剤を、重合収縮および重合の発熱作用を
小さくするため、或いは所望の稠度を得るために
組成物に混入してもよい。 この発明の接着剤は適宜の手段により硬化させ
ることができるが、化学的開始系が好ましい。こ
の開始系は、触媒すなわち重合開始剤と活性剤す
なわち促進剤とを併用するものである。過酸化ベ
ンゾイルのようなパーオキシド型触媒とN,N−
ビス(2−ヒドロキシエチル)−P−トルイジン
のような第三級アミン型促進剤が好ましい。 歯科用接着剤は充填剤を含有しないものでもよ
く、或いは1または2種以上の充填剤物質を含有
していてもよい。このような充填剤は接着剤成分
のモノマー類に基本的に不溶性であつて、硬化し
た接着剤のポリマーマトリツクスを強化する固体
材料である。かかる充填剤は平均粒度が200μ以
下、好ましくは40μ以下、さらには10μ以下の無
機または有機粒子でよい。たとえば、粒度は約1
〜30μの範囲内でよい。無機充填剤が好ましく、
その例としては微粉状シリカ、沈降性シリカ、無
定形シリカ、結晶質シリカ、石英、ガラス、ケイ
酸カルシウム、リン酸カルシウム、アルミナおよ
びゼオライトがある。有機充填剤としては、架橋
ポリアルキルメタクリレート(例えばエチレング
リコールジメタクリレートで架橋したポリメチル
メタクリレート)、ナイロン(例えばナイロン66
粉末)およびポリウレタン等がある。この種の有
機充填剤は接着剤成分のモノマー中に認めうる程
度には溶解しないという特徴を有する。なお、エ
チレングリコールジメタクリレートで架橋したポ
リメチルメタクリレートはこれらのモノマーに溶
解はしないが、膨潤することはある。充填剤の量
は、接着剤成分の合計量に基づいて5〜50重量
%、特に約10〜25重量%であるのが好ましい。 無機充填剤は有機シランのようなカツプリング
剤で処理してもよい。この処理は任意であるが、
好効果を得るにはその方が好ましい。カツプリン
グ剤は表面処理剤または定着剤と呼ばれることも
あり、その具体例としては〔3−(メタクリロイ
ル)プロピル〕トリメトキシシランなどの物質が
ある。このようなカツプリング剤は充填剤100部
当り約0.5〜1.0部という少量で十分である。カツ
プリング剤による充填剤の処理法は、たとえば米
国特許第3066112号(Bowen)に記載されてい
る。この記載によると、トリス(2−メトキシエ
トキシ)ビニルシランの水溶液を水酸化ナトリウ
ムで活性化してPH9.3〜9.8にした後、充填剤をこ
の溶液で処理する(たとえば、溶融石英1重量部
に対し0.5%のシランで)。生成したスラリーを約
125℃で乾燥し、冷却する。カツプリング剤によ
る充填剤の別の処理法は、米国特許第3862920号
(Foster et al)の第3欄、40行ないし第4欄4
行に記載されている。 歯科用接着剤はまた粘度を増大させる量の増粘
剤を含有していてもよい。場合により、この増粘
剤を組成物の充填剤含有量の一部または全部の代
替物として使用してもよい。増粘剤の少なくとも
一部、好ましくは全部は充填剤組成物のモノマー
成分に可溶であり、この可溶部分が充填剤組成物
を所望稠度に増粘する作用をする。すなわち、充
填剤と増粘剤はいずれも充填剤組成物を増粘しう
るが、増粘剤の実質的部分が接着剤のモノマー中
に可溶であるのに対して、充填剤はこのようなモ
ノマーに実質的に不溶である。好適な増粘剤とし
ては、ポリアルキルメタクリレート(例えばポリ
メチルメタクリレートホモポリマーのような低級
アルキルメタクリレートホモポリマー)ならびに
かかるアルキルメタクリレートとスチレン、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、低級アルキ
ルアクリレートおよびモノ不飽和低級アルキル炭
化水素のような1または2以上のモノマーとのコ
ポリマーがある。これらのアルキルメタクリレー
トコポリマーはアルキルメタクリレートを主モノ
マー成分とするものである。増粘剤は接着剤成分
の全重量に基づいて約0〜30重量%、好ましくは
15重量%未満の量で存在させうる。 歯科用接着剤は、安定化有効量の1または2種
以上の重合禁止制、たとえばブチル化ヒドロキシ
トルエン(BHT)またはハイドロキノンメチル
エーテルを含有していてもよい。それにより未硬
化接着剤組成物の貯蔵能力が高まる。約0.05〜
0.3重量%のかかる禁止制で安定化には十分であ
る。 2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフエノン
(Cyasorb UV−9、アメリカン・シアナミド社
の商品名)のような紫外線吸収剤も、重合性物質
ならびにそれから得られるポリマーの安定性を高
めるために混入しうる。たとえば、重合性物質に
基づいて約0.4〜1.6重量%のCyasorb UV−9を
この目的に使用できる。 顔料(例えば二酸化チタン)および可塑剤のよ
うな他の材料も少量なら接着剤中に混入しうる。 この発明の歯科用接着剤は任意の適当な形態に
包装しうる。好ましくは、一方の包装がペルオキ
シド型重合開始剤を含有し、他方の包装が第三芳
香族アミン型活性剤を含有し、両方の包装の残り
の成分は本質的に同一である二液系を使用する。
ただし、他の形態も可能である。たとえば、別の
二液系によると、一方の包装が充填剤と触媒の両
方を含有し、他方の包装が重合性物質と促進剤を
含有しうる。別の形態は、触媒成分を除いた全成
分をいつしよに包装するものである。この形態を
使用する場合には、触媒をその源液から滴下して
加えることにより重合を開始させることができ
る。このような原液は米国特許第3541068号
(Taylor、特に第6欄、23−50行)に記載されて
いる。 どのような包装形態をとるにしても、貯蔵寿命
を高めるためには、重合性物質をBHT(2,6−
ジ−t−ブチル−P−クレゾール)のような重合
禁止剤の1種または2種以上と共に包装するのが
有用である。また、促進剤を含有する成分の貯蔵
寿命は、これらの成分から痕跡量の過酸化物を還
元剤により除去することによつて向上させうる。 それぞれ開始剤と促進剤を含有する二成分の混
合により接着剤を硬化させる際、口腔の外部での
十分な混合と両成分の操作を可能にするために、
接着剤の初期硬化は両成分の接触開始から約1〜
2分後に起るようにするのが望ましい。ただし、
最終硬化は、接着剤の適当な作業と、たとえば口
腔内での架工歯の調整が可能となるように、接着
剤成分の接触開始から4〜6分間遅れるようにす
るのが望ましい。すなわち、接着剤はほぼ10分以
内に完全に硬化しうるものが好ましい。接着剤を
用いて架工歯を支台歯に接着する場合、硬化が起
つている間モールデインググレーで架工歯を動か
ないように固定しておいてもよい。 この発明の好ましい接着剤は、臨床での使用時
に硬化した接着剤の構造破壊が起りうるとは考え
られないような一連の機械的性質を示す。材料自
体の破損の可能性が実質的に排除されると、調整
した歯のエナメル質への接着(結合)強度の向上
が主要な関心事となる。架工歯に対する結合強度
は、それが適当な機械的処置により制御および改
善することが可能なため、これまでほとんど問題
とされていなかつた。一般にエナメル質調整・腐
食液として使用されている正リン酸の25〜75%溶
液は、酸濃度、腐食時間および歯の鉱化度によつ
ても異なるが、1000〜1800psi(70〜130Kg/cm2
の範囲内の人のエナメル質への結合強度を与え
た。この大きさの結合強度は、0.06平方インチ
(0.39cm2)の接合面積で、前歯の架工歯の移動に
要する力として60〜108ポンド(27〜49Kg)の力
に相当する。かかる結合強度は前歯の架工歯につ
いては、切歯にかかるかむ力の予想値は25〜55ポ
ンド(11〜25Kg)なので十分な強度と考えられ
る。しかし、臼歯については、60ポンド(27Kg)
をこえるかむ力が日常的に予想され、人によつて
は130ポンド(59Kg)をこえる値も伴なうことが
ある。このような要件を満たす接着強度はリン酸
腐食液を用いては達成することが不可能である。
本発明らは、予想外にも、リン酸の代りに希塩酸
を用いて接着強度の顕著な向上を得ることができ
た。これにより接着強度は少なくとも約2000psi
(140Kg/cm2)、さらには2400psi(170Kg/cm2)程度
の高さまで向上し、しかも接着強度は個々の歯に
よる変動がほとんどなく、腐食時間に対する依存
性も低かつた。予想される接合面積0.10平方イン
チ(0.65cm2)の臼歯で、2000psi(140Kg/cm2)の
接着強度は、架工歯の移動に要する力200ポンド
(91Kg)に相当し、これは臨床状況でのかむ力を
越えている。希塩酸腐食液の濃度は、約2〜15
%、特に約6〜12%HCの水溶液が好ましい。 希塩酸を腐食液として用いることの予想しえな
い利点の1つは、腐食液を約30〜300秒の範囲内
で時間をかえて歯と接触させても、得られうる接
着強度が比較的均一であることである。一方、リ
ン酸腐食法により最終的に得られうる接着強度は
腐食液と歯の表面との接触時間の長さに比較的依
存する。 この発明は好ましい接着剤系の可撓性、耐疲労
性、反発弾性および高結合強度のために、損傷ま
たは歯周症のある歯の固定化、ならびに歯列矯正
処置の維持のための歯の安定化にもこの接着剤系
は好適である。 次に、この発明を以下の実施例により説明す
る。ただし、実施例はこの発明の本質をさらに説
明するためのものであつて、この発明の範囲を制
限する意図はない。 実施例 1 下記組成のA液とB液を調製した。 【表】 ボルグ・ワーナー社製ブレンド436はMBSポリ
マーの粗大粒子の形態にあつた。このポリマー
は、ポリブタジエンのラテツクスの存在下にスチ
レンとメタクリレートのモノマー混合物を重合さ
せることにより製造されたものと考えられる。各
コモノマーの比率は、得られたポリマーとポリ塩
化ビニルとの混合物の衝撃強度を最大にするよう
な比率であると考えられる。 この接着剤のA液とB液はうすいペースト状の
稠度を有していた。A液とB液をほぼ同量づつと
つて混合すると23℃で約3分で硬化した。50%正
リン酸で120秒間腐食した人の歯に対するこの材
料の接着強度を剪断力下に測定すると、800〜
1400psi(56〜98Kg/cm2)であつた。9%塩酸溶液
で30,60および120秒間腐食した歯では、剪断に
より測定した接着強度は2000psi(140Kg/cm2)を
こえていた。硬化した接着剤の試料は顕著な耐衝
撃性を示した。その直径引張強度は3300psi(232
Kg/cm2)、直径引張弾性率は316,000psi(22200
Kg/cm2)、硬さ(バーコル)は87であつた。 実施例 2 上記実施例1において、メチルメタクリレート
−ブタジエン−スチレンコポリマーに代えて、ポ
リイソプレン(日本合成ゴム社製「JSR
IR2200」)、ポリブタジエン(日本合成ゴム社製
「JSR BR01」)またはアクリロニトリル−ブタジ
エン(日本合成ゴム社製「JSR N203S」)を使用
したほかは実施例1と同様にしてA液とB液を調
製した。 得られたA液とB液はいずれもペースト状の粘
稠液であり、該A液とB液を等量ずつ採取して混
合すると、いずれも23℃において2分45秒乃至3
分15秒間で硬化した。また各硬化物の接着強度お
よび耐衝撃強度を実施例1と同様にして調べたと
ころ、実施例1の硬化物とほぼ同等の接着強度と
耐衝撃性を有していることが確認された。 性能試験 アクリル義歯の両側の隣接面をサンドペーパー
デイスクで粗面化し、各面に深さ1mm、直径1.5
mmの穴2個を穿孔した。抜歯された人の臼歯2本
の各接合すべき面を9%塩酸で1分間腐食し、そ
の後洗浄し、乾燥した。実施例1および2に記載
したA液とB液ペーストの等量混合物を用意し、
臼歯の腐食部と架工歯の粗面化部分の全面に塗布
した。架工歯を2本の臼歯の間に置き、接着剤が
硬化するまでモールデイングクレーによつて動か
ないように固定した。得られた結合体全体を37℃
の水中に2時間浸漬し、歯科用石(dental
stone)の中にキヤステイングし、架工歯の移動
に要する力を架工歯の中央部に荷重を次第に増加
させながら垂直に加えることによつて測定した。
架工歯の移動に要する力は3個の一連の試料でい
ずれも150ポンド(68Kg)をこえていることが判
明した。 接着剤の性能を各2人づつの男性および女性の
被検者での臨床応用でも検査した。接着剤で結合
した架工歯を第2臼歯の部分に取りつけた。架工
歯の破損・故障はいずれの例でも起らなかつた。 なお、本明細書では、特に指定のない限り%は
すべて重量%である。 この発明を主として支台歯への架工歯の接合に
関して以上に説明したが、この発明は歯列矯正用
ブラケツトの歯表面への接合のような他の歯科処
置にも適用できることは理解されよう。すなわ
ち、この発明の例示を目的として代表的な態様の
いくつかについて示してきたが、この発明の範囲
内で各種の変更が可能であることは当業者には明
らかであろう。また、この発明はここに記した工
程または物質もしくは材料を含有するか、或いは
それから本質的になるか、或いはそれから成るも
のでよいことも理解されよう。
【図面の簡単な説明】
第1図は、側切歯などの歯が1本欠損している
内側から見た人の下顎およびこの空隙部の上方に
示す固定ブリツジの一部として取りつけるのに適
した形状と寸法の架工歯の部分立面図、第2図
は、架工歯を歯肉に軽く着座させることのできる
形状を示す、欠損歯の代替のために歯肉に装着さ
れた架工義歯の部分側面図、第3図は、この発明
の1態様により架工歯が適所に接着固定された、
やはり舌側から見た、第1図に示す人の下顎の部
分立面図である。 10……下顎、12,14……支台歯、16…
…架工歯。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 メタクリレートを基材とする歯科用接着剤に
    おいて、少なくともブタジエン系エラストマーお
    よびイソプレン系エラストマーよりなる群から選
    ばれる1種または2種以上を2.5〜30重量%含有
    していることを特徴とするメタクリレート基材歯
    科用接着剤。 2 エラストマーが、ポリブタジエン、ポリイソ
    プレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリ
    ロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体およ
    びメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン
    共重合体よりなる群から選ばれたものである特許
    請求の範囲第1項記載の歯科用接着剤。
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