JPH0237465B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、主として多層階コンクリート建築物
の施工時に構築される階段で、詳しくは、階段ス
ラブ部と踏段部ならびに手摺部とからなる階段に
関する。

従来では、階段スラブ部と踏段部ならびに手摺
部とを現場でのコンクリート打設にて一体的に構
築していたのであるが、これによる場合は次の
〔〕，〔〕，〔〕で示すような問題があつた。

〔〕 現場での制限された三次元空間内におい
て煩雑でかつ労力の要する配筋工事、型枠工
事、コンクリート打設を行なわなければなら
ず、しかも、コンクリート打設時から型枠撤去
までに一定の養生期間を置く必要があり、加え
て、型枠撤去後に補修工事や仕上工事を行なう
必要があるため、全体として多大の工費と工期
を要する。

〔〕 現場施工故に、ジヤンカ豆板等の発生な
どによるコンクリート性能の低下を招来する可
能性があり、品質確保が難しい。

〔〕 所定の構築精度を確保するめには高度の
施工技術が必要で、この面においても工期の増
大を招来し易い。特に、このような問題は、大
工、鉄筋工などの躯体職技能工の質、量の不足
が叫ばれる今日の労務事情からして一層顕著化
する傾向にある。

また、このような工期、工費、品質管理面での
問題点を改善する手段として、現在までいくつか
のプレキヤストコンクリートPC製階段が考案さ
れ実施されてきたが、これまでの場合は次のよう
な問題があつた。

即ち、従来のPC階段は一体化されて製作され
ていたため、重量が大きく、大型の揚重機を必要
とし、大型の揚重機のない小規模作業所での使用
は困難であつた。

本発明は、上述のような階段構築上の問題点を
改善する点に目的を有する。

かかる目的を達成するために講じられた本発明
による組立て階段の特徴構成は、階段スラブ部と
踏段部ならびに手摺部とが夫々各別に構成され、
前記手摺部には、前記階段スラブ部と踏段部との
間に形成される空間に差込み可能で、かつ、その
差込み時に前記手摺部の重さの少なくとも一部を
階段スラブ部上面にかける状態に支持部分が連設
されている点にある。

上記特徴構成による作用、効果は次の通りであ
る。

〈作用〉 (イ) 階段スラブ部と踏段部ならびに手摺部とを設
備の整つた工場で、かつ、取扱い易い大きさで
予め各別に製作することが可能となり、これら
各部の品質管理を確実、容易に行なうことがで
きるばかりでなく、製作精度及び運搬作業能率
の向上を図ることができる。

(ロ) 構築現場においては、搬入された各部を所定
の手順で組付けるだけで良いから、熟練を要す
るとなく簡単、安全に構築することができると
ともに、仕上作業及び補修清掃作業の大巾な減
少と仮設安全施設の不要化を図ることができ
る。

(ハ) 前記手摺部の全重量又はその一部を階段スラ
ブ部上面に載置支持させるから、例えば、手摺
部を階段スラブ部の側面又は下面に取付ける場
合のように、階段スラブ部に対して取付けのた
めの孔加工等を施す必要がなく、階段スラブ部
を頑丈に構成し乍ら手摺部の重量を確実に支持
させることができる。しかも、このために手摺
部に連設される支持部分が階段スラブ部と踏段
部との間に形成される空間を通して差込まれる
から、この支持部分が外部に大きく露出するこ
ともない。

〈効果〉 従つて、所期の機械的強度を備えた階段を、工
期の短縮化と工費の低廉化ならびに品質の向上を
図り乍ら安全かつ能率良く構築することができ、
しかも、手摺部の取付け部を体裁良くコンパクト
に構成し得るに至つた。

以下、本発明構成の実施例を図面に基づいて説
明する。

第１図乃至第３図に示すように、多層階コンク
リート構築物の下層フロア部Ｆ１と上層フロア部
Ｆ２とに亘つて構築される階段を構成するに、階
段スラブ部１と踏段部２ならびに手摺部３とを
夫々各別にプレキヤストコンクリート版から構成
している。

前記階段スラブ部１は、前記フロア部Ｆ１，Ｆ
２に形成された段部４，４に載置支持される段部
１Ａ，１Ａと、前記踏段部２の各踏板形成部２ａ
…下面を水平又はほぼ水平姿勢で載置支持可能な
側面視ほぼ台形状の段部１Ｂ…ならびに、上方に
開口する踏段部用取付孔１Ｃ…とを形成するとと
もに、前記手摺部３が存在する側の横側部で、前
記踏段部２の各踏板形成部２ａ…に対応する箇所
には、前記手摺部３に対する金属製取付プレート
１Ｄ…を設けて構成されている。

また、この階段スラブ部１にはPC鋼線５を埋
設している。

前記踏段部２は、一段単位で複数に分割された
側面視ほぼＬ字状の段部２Ａ…から構成されてお
り、かつ、これら各分割段部分２Ａ…の脚形成部
２ｂ…には、下方に位置する隣接分割段部２Ａの
踏板形成部２ａに形成された孔２ｃを通して前記
階段スラブ部１の取付孔１Ｃ内に差込み固定可能
な鉄筋２Ｂを設けるとともに、最上部に位置する
分割段部分２Ａの踏板形成部２ａには、前記階段
スラブ部１の取付孔１Ｃ内に差込み固定可能なＬ
字形の鉄筋２B′を設けている。

前記手摺部３は、その上階側縦側辺部に、上層
隣接階段スラブ部１に固着された金属製プレート
１Ｆに対する取付けプレート（取付部の一例であ
る。）３Ａを設けるとともに、下側横辺部には、
前記階段スラブ部１と踏段部２との間に形成され
る空間Ｓに対して差込み可能で、かつ、その差込
み時に前記手摺部３の重さの一部を階段スラブ部
１上面にかける状態に支持部分３Ｃを連設し、更
に、この支持部分３Ｃには、前記踏段部２の踏板
形成部２ａに対する載置支持面及び階段スラブ部
１の取付けプレート１Ｄに対する連結プレート３
Ｂを設けて構成されている。

前記両プレート１Ｄ，３Ｂの固定連結手段は溶
接である。

次に別の実施例を説明する。

〔〕 前記手摺部３の上階側縦側辺部を、上層
隣接階段以外の上層フロア部等の建築構造体に
取付ける。

〔〕 前記手摺部３の全重量を階段スラブ部１
側に支持させる。

〔〕 第４図で示すように、前記分割段部分２
Ａの踏板形成部２ａに、階段スラブ部１の凹部
６に嵌入する凸部７及び隣接分割段部分２の脚
形成部２ｂに嵌入する凹部８を一体形成する。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本発明に係る組立て階段の
実施例を示し、第１図は側面図、第２図は斜視
図、第３図は要部の拡大縦断側面図である。第４
図は別の実施例を示す要部の拡大縦断側面図であ
る。 １……階段スラブ部、２……踏段部、３……手
摺部、３Ｃ……支持部分、Ｓ……空間。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 階段スラブ部１と踏段部２ならびに手摺部３
   とが夫々各別に構成され、前記手摺部３には、前
   記階段スラブ部１と踏段部２との間に形成される
   空間Ｓに差込み可能で、かつ、その差込み時に前
   記手摺部３の重さの少なくとも一部を階段スラブ
   部１上面にかける状態に支持部分３Ｃが連設され
   ている組立て階段。 ２ 前記手摺部３が上層隣接階段の階段スラブ部
   に対する取付部を備えたものである特許請求の範
   囲第１項に記載の組立て階段。