JP2647012B2 - 階段板とその製造方法およびその型枠装置 - Google Patents

階段板とその製造方法およびその型枠装置

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JP2647012B2
JP2647012B2 JP6202742A JP20274294A JP2647012B2 JP 2647012 B2 JP2647012 B2 JP 2647012B2 JP 6202742 A JP6202742 A JP 6202742A JP 20274294 A JP20274294 A JP 20274294A JP 2647012 B2 JP2647012 B2 JP 2647012B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建物の階段をプレキャ
ストにより製造する階段板とその製造方法およびその型
枠装置に関するものである。
【0002】従来、建物の階段の施工には、高い技量が
求められるため、職人の数が限定され、施工期間が長く
なりがちになる。このため、最近では、階段を予めプレ
キャストにより製造し、現場で組み立てるようになって
きている。階段をプレキャストにより製造するには、図
21に示すように、まず第1に、階高および階床に応じ
て段数、踏面および蹴上高を計算で求める。次に、これ
ら段数、踏面および蹴上高に合わせて、断面くの字型の
型板5を一段ごと作り、これら型板5を基台3上に立設
された枠体4内に連続して並べ、傾斜度を調整して型板
5を枠体4および基台3に固定し、型枠装置2を組み立
てる。最後に、型枠装置2の型板5と枠体4との投入側
に剥離剤を塗布し、鉄筋等の補強材7を配置して型板5
と枠体4とで画成される空間にコンクリート6を投入
し、養生後成型されたコンクリート6を型枠装置2から
分離して製造するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記方法および構成に
係る従来の階段の製造方法及びその装置では、階段板自
体をプレキャストにより成型するため、階段板が大型化
すると、製造および運搬に際して、大型で大重量の階段
板に応じた起重機等の大型機械が必要となる。
【0004】本発明は上記欠点を除くためになされたも
ので、階段に要求されている段形状と仮設階段としての
利用を可能にするために、階段板を軽量化し、製造およ
び運搬の作業性を向上させるとともに、階段の施工作業
を容易かつ効率化し、コストダウンを図ることができる
階段板とその製造方法およびその型枠装置を提供するこ
とを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る階段板は、
所望の段数に応じた踏面と蹴上面とが交互に形成された
表面と、上記表面から所定の肉厚を隔て上記表面の形状
にほぼ合致させて形成された裏面とを有し、内部に鉄筋
が埋設された断面稲妻状のコンクリート層からなるよう
にしたものである。
【0006】本発明に係る階段板の製造方法は、底面
と、この底面上に配置され上面側に階段に応じた踏面部
と蹴上面部とが交互に形成された下枠と、下端部が底面
と下枠上面とのいずれか一方に接触して立設された前後
方向の各側枠と、側枠の前後方向両端に側枠間の距離を
変更可能に取り付けられた前後枠とを備えた枠体に、こ
の枠体の下枠に沿って鉄筋を配置した後、踏面部と蹴上
面部とにより形成される断面略く字状の溝に沿ってコン
クリートを投入する第1の工程と、下面が上記枠体内の
下枠上面にほぼ合致して形成された上枠を、投入された
コンクリートに圧接してコンクリート層を形成し、コン
クリート層の養生硬化後、上記上枠および枠体を抜き外
して階段板を形成する第2の工程とからなるようにした
ものである。
【0007】本発明に係る階段板の型枠装置は、底面
と、この底面上に配置され上面側に階段に応じた踏面部
と蹴上面部とが交互に形成され投入されるコンクリート
に階段表面を成型する下枠と、下端部が底面と下枠上面
とのいずれか一方に接触して立設され、投入されるコン
クリートの左右両側端面を成型する前後方向の各側枠
と、側枠の前後方向両端に側枠間の距離を変更可能に取
り付けられ、投入されるコンクリートの前後両端を成型
する前後枠とからなる枠体と、下面が上記枠体内の下枠
上面にほぼ合致して形成され、鉄筋が配置された下枠の
踏面部と蹴上面部とにより形成される断面略く字状の溝
に沿って投入されたコンクリートに、上方から降下され
て圧接され階段板の裏面を成型する上枠とを備えて構成
されるようにしたものである。
【0008】
【作用】本発明に係る階段板は、所定の肉厚を有し内部
に鉄筋が埋設されたコンクリート層を断面稲妻状に成型
しているので、軽量化される。しかもその表面には予め
所望の段数に応じた踏面と蹴上面とが形成されているの
で、現場で階段表面を成型する必要がなく、仮設階段と
して使用することができる。
【0009】本発明に係る階段板の製造方法は、階段板
を製造する際、第1の工程により所望の段数に応じて踏
面部と蹴上面部とが形成された下枠に、鉄筋を配置した
後、踏面部と蹴上面部とにより形成される断面略く字状
の溝に沿ってコンクリートを投入し、第2の工程により
溝に沿って投入されたコンクリート上に、上記下枠にほ
ぼ合致して形成された上枠を圧接してコンクリート層を
形成し、コンクリート層の養生硬化後、上記上枠および
枠体を抜き外すようにしているので、成型後の階段板
は、所定の肉厚を有し内部に鉄筋が埋設されたコンクリ
ート層が断面稲妻状に成型される。しかも階段板の表面
には、所望の段数に応じた踏面と蹴上面とが形成され、
裏面は上記表面の形状にほぼ合致して形成される。
【0010】本発明に係る階段板の型枠装置は、下枠に
鉄筋を配置し、踏面部と蹴上面部とにより形成される断
面略く字状の溝に沿ってコンクリートが投入されると、
このコンクリート上に、上枠が圧接される。コンクリー
トは枠体と上枠と間で、所定の肉厚を有する断面稲妻状
のコンクリート層に形成された階段板が成型される。コ
ンクリート層の下面には、所望の段数に応じた踏面と蹴
上面とを有する階段表面が形成され、内部にはこの階段
表面に沿って鉄筋が埋設され、コンクリートの上面に
は、階段表面にほぼ合致した階段裏面が形成され、一体
となる。
【0011】
【実施例】以下図面に示す実施例により本発明を説明す
る。図1は本発明の一実施例に係る階段板の全体を示す
縦断面図、図2は図1の階段板の斜視図、図3は本発明
の一実施例に係る階段板の型枠装置の平面図、図4は図
3の型枠装置を示す断面図、図6ないし図9は図3の型
枠装置に用いられる中抜き型枠を示す斜視図、正面図、
底面図および側面図、図12ないし図15は図1の階段
板を図3の型枠装置により製造する際の工程を順に示す
各工程図、図16は図3の型枠装置によりささら桁を階
段板の一方の側に形成する際の説明図、図17はささら
桁が階段板の両側に形成される際の説明図、図18は階
段板にささら桁が形成されない場合の説明図である。本
発明の一実施例にかかる階段板10は、予めプレキャス
トによりコンクリートM1を成型して構成される。
【0012】階段板10は、図1ないし図2に示すよう
に、内部に鉄筋20が埋設され、断面稲妻状に成型され
たコンクリート層11と、このコンクリート層11の側
部に一体に成型されたささら桁12A、12Bとから構
成される。コンクリート層11の表面13には、所望の
段数に応じた踏面14と蹴上面15とが形成される。ま
た、裏面16は表面13の形状にほぼ合致して形成され
る。コンクリート層11は、踏面14、蹴上面15、こ
れら踏面14と蹴上面15とにより形成される各段S1
〜Sn(nは所望の整数、本実施例では7、S1は最上
段、Snは最下段を示す)の折曲部17等の部位に応じ
てそれぞれ所定の肉厚を有している。裏面16は、表面
13の踏面14に対応する平坦面18がわずかに上段側
に傾斜して形成される。すなわち、踏面14のコンクリ
ートM1の肉厚は、上段側にゆくに従って次第に薄肉化
するよう形成される。すなわち、階段板10の裏面16
側に上部からコンクリートが充填され、階段板10の下
側から充填コンクリートのレベルが上昇してゆくと、傾
斜面18に沿ってエアが逃げ、充填コンクリートが階段
板10の裏面16に密着して充填されるようになってい
る。蹴上面15の下方は内側に後退し、踏面14をより
広く確保するようになっている。
【0013】コンクリート層11の最上段部S1は、踏
面14の肉厚を増大させて形成され、後述する上側階床
80と接続される。また、最下段部Snは、蹴上面15
nと踏面14nとの内側が厚肉に形成され、裏面16A
が傾斜している。最下段部Snは、後述する下側階床8
1と接続される。階段板10を用いて階段を施工する際
には、上下の階床80、81に所定の傾斜角度で架け渡
された下型枠82上に、階段板10を所定の間隙を設け
て配置し、下型枠82と階段板10との間にコンクリー
トを充填し、養生硬化後、下型枠82を取り外して、階
段の施工が完了するようになっている。ささら桁12
A、12Bは、コンクリート層11の一方の側部に沿っ
て成型され、コンクリート層11の強度も確保するよう
になっている。本実施例では、ささら桁12A、12B
を、コンクリート層11の一方の側に沿って設けている
が、両側に設けてもよい。また、コンクリート層11に
ささら桁12A、ささら桁12Bのうち一方のみを設け
てもよい。さらに、コンクリート層11は、肉厚が所望
の強度を確保するものであれば、ささら桁12A、12
Bを設けなくてもよい。
【0014】次に、上記実施例にかかる階段板10の作
用について説明する。プレキャストにより予め成型され
た階段板10は、内部に鉄筋20が埋設された断面稲妻
状のコンクリート層11から構成されているので、軽量
化を図ることができ、作業が容易になる。しかも、軽量
化により運搬作業時や階段板10の組付け時、大型の吊
り上げ機械が不要になるので、コストダウンを図ること
ができるだけでなく、作業効率が向上する。また、階段
板10は、現場で階段を施工する際に、表面13には予
め所望の段数nに応じた踏面14と蹴上面15とが形成
されているので、現場で階段表面を成型する必要がな
く、階段の施工作業を短縮化することができる。しかも
仮設階段として使用することができる。また、階段板1
0の裏面16側には、平坦面18が傾斜して形成されて
いるので、コンクリートM2が上方から円滑に、しかも
階段板10との間にエアが残留することなく密着されて
充填されるので、ボイドの発生を阻止し、予め計算され
た強度を確保することができる。
【0015】次に、上記階段板10を製造する階段板の
型枠装置30について、図3ないし図4に基づいて説明
する。なお、図3においては、図の右方側を前方向、図
の左方側を後方向として、図の上方側を左方向、下方側
を右方向としてそれぞれ示す。型枠装置30は、図3な
いし図4に示すように、枠体31と上枠32とから構成
される。枠体31は、底板29と、互いに平行な側枠3
1A、31Bと、これら側枠31A、31Bの前後方向
両端に取り付けられた前後枠31C、31Dと、波状の
上面を有する下枠33とを備えている。下枠33は、底
板29上に配置され、上面に所望の段数n(本実施例で
は7段)に応じた踏面部34と蹴上面部35とが形成さ
れた鋼板から構成される。下枠33の左右方向の一方側
には、垂直な側壁33Aが設けられ、底板29に接して
いる。一方の側枠31Aは、内側面が下枠33の側壁3
3Aに接離可能に取り付けられる。一方の側枠31Aを
側壁33Aから離して取り付けた場合(図16参照)、
側壁33Aと側枠31Aの内側面と底板29とにより画
成される空隙N1にコンクリートが投入されると、ささ
ら桁12Aが形成されるようになっている。一方の側枠
31Aを側壁33Aに接触させて取り付けた場合には、
ささら桁12Aは形成されない。他方の側枠31Bは下
部が下枠33の形状に合致して形成され、下枠33上に
取り付けられる。他方の側枠31Bは、前後枠31C、
31Dに案内されて下枠33上を左右方向(図3の上下
方向)に移動可能になっている。
【0016】上枠32は、図3ないし図4に示すよう
に、各段毎に分割されて形成された多数の中抜き型枠4
0と、最上段S1の裏面を成型する型50と、最下段S
nの裏面を成型する型51とから構成され、下枠33の
踏面部34と蹴上面部35とにより形成される断面略く
字状の溝に沿って投入されたコンクリートM1に上方か
ら圧接されて階段板10の裏面を成型するようになって
いる。コンクリート製の中抜き型枠40は、図6ないし
図9に示すように、下部には、階段板10の裏面を成型
する裏面成型部41、42が形成される。裏面成型部4
1、42は、下枠33の蹴上面部35と踏面部34とに
それぞれ対応して傾斜した面41、42を有し、下方に
突出して形成される。互いに同一形状を有する前後面4
3、44は裏面成型部41、42の前後端からそれぞれ
平行に形成され、これら前後面43、44は互いに接触
するようになっている。本実施例では前後面43、44
は、左右方向に垂直に立ち上がって形成される。中抜き
型枠40の左右の一側面45は垂直に、他側面46は傾
斜してそれぞれ形成される。中抜き型枠40は、図3に
示すように、所望の階段幅寸法に応じて左右方向の幅寸
法W1を有している。階段板10の両側あるいは一方の
側にささら桁12Bを設けるか否かは、中抜き型枠40
の左右方向幅寸法W1に対する側枠31A、31B間の
距離D1により決定される。すなわち、側枠31A、3
1B間の距離D1を調節して取り付けることにより、中
抜き型枠40の各側面45、46が側枠31B、31A
にそれぞれ接離可能になっており、側枠31A、31B
間での中抜き型枠40の位置により、ささら桁12Bを
自由に設定できるようになっている。本実施例では、図
3に示すように、一側面45が側枠31Bに接するよう
に中抜き型枠40を上方から降下させているので、他側
面46と側枠31Aとの間に所定の空隙N2が形成され
るようになっている。中抜き型枠40の上面には平坦な
位置決め面47が形成される。位置決め面47には、図
6に示すように、取手48が取り付けられる。中抜き型
枠40は、互いに垂直に、前後面43、44を接触させ
て並べ位置決め面47を同一平面に保持すると、前後面
43、44が合致し、互いの裏面成型部41、42が連
続して接続されるようになっている。
【0017】階段板最上段S1の裏面を成型する型50
は、中抜き型枠40の後方端(図3ないし図4の左方
側)に設けられる。型50の前面は、中抜き型枠40の
前後面43、44と同一形状に形成される。階段板最下
段Snの裏面を成型する型51は、中抜き型枠40の前
方端(図3ないし図4の右方側)に設けられる。型51
の下面は平坦に形成される。側枠31Aの上部には、図
3または図5に示すように、長手方向に沿って板70が
蝶着される。この板70は、枠体31にコンクリートM
1が投入された際、外側から内側に回されて、下面をコ
ンクリートM1上面に当てて垂直に立ち上げられるよう
になっており、この板70に沿ってさらにコンクリート
M1を積み上げると、ささら桁12Bの下部に畝部12
Cが形成されるようになっている。
【0018】中抜き型枠40は、図10ないし図11に
示すように、鋼板製部品60A、60B、60Cを取り
外し可能に組み立てて型60を形成し、この型60にコ
ンクリートを投入して製造される。図11は、投入され
たコンクリートの硬化後、中抜き型枠40を型60から
抜き出す際の説明図である。
【0019】上記実施例では、中抜き型枠40の側面4
5を、側枠31Bに接触させて、側面46と側枠31A
との間にささら桁12Bを形成するようにしているが、
これに限られるものではなく、中抜き型枠40の両側面
45、46と側枠31A、31Bとの間に空隙を設け、
これら両空隙にコンクリートM1を投入し、階段板10
の両側下部にささら桁を形成することができるのはいう
までもない。また、側枠31A、31B間の距離D1を
中抜き型枠40の幅寸法W1にほぼ合致させ、中抜き型
枠40を側枠31A、31Bに接触させるように構成す
れば、階段板10にささら桁が形成されることはない。
【0020】図17および図18は、それぞれ上記実施
例の変形例を示すもので、図17に示す型枠装置130
は、下枠133の左右方向の幅寸法W2が側枠131
A、131B間の幅D2より短く設定されるとともに、
下枠133の両側壁133A、133Bが底板129に
接している。このため、下枠133の両側壁133A、
133Bと側枠131A、131Bとの間には、所定の
空隙N12、N13が形成され、コンクリートM1の投
入時、階段板の両側にささら桁が形成されるようになっ
ている。図18に示す型枠装置230は、一方の側枠2
31Aの内側面が下枠233の側面に接触して取り付け
られ、他方の側枠231Bは、下部が下枠233の形状
に合致して形成され、下枠233上に接触して取り付け
られる。このため、枠体231にコンクリートM1が投
入されても、階段板にはささら桁が形成されることがな
い。
【0021】上述のように、上記実施例にかかる階段板
の型枠装置は、簡素な構成で、所定の肉厚を有し内部に
鉄筋が埋設された断面稲妻状のコンクリート層を成型
し、その表面に所望の段数に応じた踏面と蹴上面とを形
成するとともに、裏面を上記表面の形状にほぼ合致させ
て形成した階段板を容易にかつ効率的に成型することが
できる。なお、上記各実施例では、平面矩形の階段板に
ついて述べたが、中抜き型枠の側面形状、および側枠の
取り付け角度を変えることにより、所望の形状の階段板
を形成することができ、例えば、平面台形状の階段板を
形成することもできる。
【0022】次に、上記実施例にかかる階段板の製造方
法について、図12ないし図15により、型枠装置30
を用いて階段板を製造する工程に基づいて説明する。ま
ず最初に、図12に示すように、枠体31内の下枠33
上に下枠33の形状に沿って波状に折曲された鉄筋20
を配置する。次に、図13に示すように、枠体31内
に、踏面部34と蹴上面部35とにより形成される断面
略く字状の溝G1に沿ってコンクリートM1を投入し、
コンクリートの溜りL1を形成する。このとき、下枠3
3の側壁33Aと側枠31Aとの間の空隙N1(図3参
照)にもコンクリートM1が充填されて、ささら桁12
Aが成型される(第1の工程)。
【0023】溜りL1の形成が完了すると、図14に示
すように、枠体31の後方側に最上段S1の裏面を成型
する型50を上方から溜りL1上に降ろして位置決め
し、上方から押圧して所定の肉厚を確保する。次に、中
抜き型枠40を型50に隣接させて溜りL1上に順次吊
り降ろし、型50の上面と中抜き型枠40の位置決め面
47とが同一平面となるよう上方から押圧する。こうし
て、次々に中抜き型枠40を互いに隣接させ各位置決め
面47を同一平面に合致させて、溜りL1上に圧接して
ゆき、コンクリート層11を形成する。次に、側枠31
A、31B、前後枠31C、31Dと中抜き型枠40と
の間にコンクリートM1をさらに投入し、中抜き型枠4
0の他側面46と側枠31Aとの間には、ささら桁12
Bを形成する。最下段Snの裏面側は、型51により成
型される。型50、中抜き型枠40および型51により
コンクリート層11が形成された後、ささら桁12Bの
裏側に畝部12Cを形成してもよい(図5参照)。コン
クリート層11の養生硬化後、コンクリート層11から
型50、型51および中抜き型枠40を、続いて枠体3
1をそれぞれ取り外すと(第2の工程)、図15に示す
ように、階段板10の成型が完了する。
【0024】上述のように、上記実施例にかかる階段板
の製造方法は、階段板を、所定の肉厚を有し内部に鉄筋
が埋設された断面稲妻状の形状に成型することができる
とともに、養生硬化後、階段板には、階段の表面と、表
面の形状にほぼ合致した裏面とを同時に成型することが
できる。
【0025】次に、上記階段板10を用いた階段の施工
方法について、図19および図20に基づいて説明す
る。まず最初に、階段は、図20に示すように、下型枠
82をカイザー又は型枠などで構成される上側階床80
と下側階床81とに取り外し可能に架け渡して取り付け
る。この下型枠82は、所定の角度で傾斜し階段の下部
および階段の一方の側面を形成するために設けられる。
下型枠82は、上部が上側階床端部80Aの下面に接
し、下部が下側階床端部81Aの端面に接するように取
り付けられる。次に、この下型枠82の傾斜した上面8
2Aに補強筋83を取り付ける。補強筋83の一部は、
上側階床80および下側階床81の上面に延出させる。
次に、階段板10を補強筋83上に吊り降ろし、下型枠
82と所定の空隙を設け、踏面14が水平になるように
保持する。このとき、最上段部S1の下面と上側階床端
部80Aとの間、および最下段部Snの下面と下側階床
端部81Aとの間には、それぞれ所定の空隙N3、N4
が形成される。
【0026】次に、下側階床81に図示しない漏出止め
型枠を取り付け、空隙N3からコンクリートM3を充填
する。充填コンクリートM3は、階段板10、下型枠8
2および漏出止め型枠により画成される空間N5内に充
填され、充填されるに従いレベルが上昇して行く。充填
時、階段板10の裏面16は、表面13の踏面14に対
応する面18が傾斜して形成されているので、階段板1
0の下側から充填コンクリートM3のレベルが上昇して
ゆくと、傾斜面18に沿ってエアが逃げ、充填コンクリ
ートM3が階段板10の裏面16に密着して充填される
ようになっている。そして、空隙N4、N5、N3内に
充填コンクリートM3が充填し終ると、上側階床80の
上面にコンクリートが投入されて、床面80Bが形成さ
れる。また、充填コンクリートM3の硬化が始まると、
図示しない漏出止め型枠が取り外され、下側階床81の
上面にコンクリートが投入されて床面81Bが形成され
る。充填コンクリートM3の養生硬化が完了すると、下
型枠82が取り外されて階段の施工が完了する。なお、
上記実施例では、階段板10と下型枠82との間に補強
筋83を配置して階段を施工するようにしているが、強
度上、必要なければ補強筋83を配置しなくてもよい。
【0027】上述のように、階段板10を用いた階段の
施工方法では、階段板10と下型枠82との間に上部か
らコンクリートM3を充填して階段を施工するようにし
ているので、階段板10の保持が容易になり、しかも階
段表面は階段板10により予め成型されているので、階
段の施工作業を効率化することができる。また、階段板
を仮設階段として使用することができる。
【0028】
【発明の効果】以上述べたように、本発明による階段板
は、プレキャスト製の階段板を薄肉のコンクリート層か
ら構成しているので、軽量化され、製造及び運搬作業を
容易にかつ効率的に行うことができる。しかも、その表
面には予め所望の段数に応じた踏面と蹴上面とが形成さ
れているので、現場で階段表面を成型する必要がなく、
階段の施工作業が効率化され、仮設階段として使用する
ことができる。
【0029】また、本発明による階段板の製造方法は、
階段板を製造する際、下枠に鉄筋を配置した後、踏面部
と蹴上面部とにより形成される断面略く字状の溝に沿っ
てコンクリートを投入し、このコンクリート上に上枠を
圧接してコンクリート層を形成するようにしているの
で、階段板を、所定の肉厚を有し内部に鉄筋が埋設され
た断面稲妻状の形状に成型することができるとともに、
養生硬化後、階段板には、階段の表面と、表面の形状に
ほぼ合致した裏面とを同時に成型することができる。
【0030】さらに、本発明による階段板の型枠装置
は、階段板を製造する際、鉄筋が配置された下枠にコン
クリートが投入され、このコンクリートに上枠が圧接さ
れてコンクリート層が形成されると、コンクリート層の
下面に所望の段数に応じた踏面と蹴上面とを有する階段
表面を形成することができ、内部にはこの階段表面に沿
って鉄筋を埋設することができる。また、コンクリート
層の上面には、階段表面にほぼ合致した階段裏面が形成
され、所定の肉厚を有する断面稲妻状のコンクリート層
からなる階段板を容易にかつ効率的に成型することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る階段板を示す断面図で
ある。
【図2】図1の階段板の斜視図である。
【図3】本発明の一実施例に係る階段板の型枠装置の平
面図である。
【図4】図3の型枠装置を示す断面図である。
【図5】図3の型枠装置を示す斜視図である。
【図6】図3の型枠装置に用いられる中抜き型枠を示す
斜視図である。
【図7】図6の中抜き型枠を示す正面図である。
【図8】図6の中抜き型枠を示す底面図である。
【図9】図6の中抜き型枠を示す側面図である。
【図10】図6の中抜き型枠を製造する鋼板製部品から
なる型を示す説明図である。
【図11】中抜き型枠を図6の型から抜き出す際の説明
図である。
【図12】図1の階段板を、図3の型枠装置により製造
する際の工程を示す工程図である。
【図13】図1の階段板を、図3の型枠装置により製造
する際の工程を示す工程図である。
【図14】図1の階段板を、図3の型枠装置により製造
する際の工程を示す工程図である。
【図15】図3の型枠装置により製造された階段板が全
工程を終了した際の状態を示す説明図である。
【図16】図3の型枠装置の下枠と枠体との位置関係を
示す説明図である。
【図17】図3の型枠装置の変形例を示す説明図であ
る。
【図18】図3の型枠装置の変形例を示す説明図であ
る。
【図19】図1の階段板を用いた階段の施工方法を示す
説明図である。
【図20】図1の階段板を用いた階段の施工方法により
施工された階段を示す縦断面図である。
【図21】従来の型枠装置を示す断面図である。
【符号の説明】 10 階段板 11 コンクリート層 13 階段表面 16 階段裏面 20 鉄筋 29 底板(底面) 30 型枠装置 31 枠体 32 上枠 33 下枠 34 踏面部 35 蹴上面部 n 段数 M1、M2、M3 コンクリート

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所望の段数に応じた踏面と蹴上面とが交
    互に形成された表面と、上記表面から所定の肉厚を隔て
    上記表面の形状にほぼ合致させて形成された裏面とを有
    し、内部に鉄筋が埋設された断面稲妻状のコンクリート
    層からなることを特徴とする階段板。
  2. 【請求項2】 裏面は、表面の踏面に対応する平坦面が
    上段側に向かって次第に薄肉化されるように傾斜して形
    成されることを特徴とする請求項1に記載の階段板。
  3. 【請求項3】 コンクリート層の少なくともいずれか一
    方の側部には、ささら桁が一体に成型されていることを
    特徴とする請求項1または2に記載の階段板。
  4. 【請求項4】 底面と、この底面上に配置され上面側に
    階段に応じた踏面部と蹴上面部とが交互に形成された下
    枠と、下端部が底面と下枠上面とのいずれか一方に接触
    して立設された前後方向の各側枠と、側枠の前後方向両
    端に側枠間の距離を変更可能に取り付けられた前後枠と
    を備えた枠体に、この枠体の下枠に沿って鉄筋を配置し
    た後、踏面部と蹴上面部とにより形成される断面略く字
    状の溝に沿ってコンクリートを投入する第1の工程と、
    下面が上記枠体内の下枠上面にほぼ合致して形成された
    上枠を、投入されたコンクリートに圧接してコンクリー
    ト層を形成し、コンクリート層の養生硬化後、上記上枠
    および枠体を抜き外して階段板を形成する第2の工程と
    からなることを特徴とする階段板の製造方法。
  5. 【請求項5】 上枠を各段毎に分割されて形成された多
    数の中抜き型枠により構成し、これら中抜き型枠を投入
    されたコンクリート上に枠体の前後の一方から順次圧接
    してコンクリート層を形成することを特徴とする請求項
    4に記載の階段板の製造方法。
  6. 【請求項6】 順次圧接されて配置された中抜き型枠の
    前後方向両端に上・下部型枠を配置し、コンクリート層
    の成型時に、階段板の上下接続部を成型することを特徴
    とする請求項5に記載の階段板の製造方法。
  7. 【請求項7】 順次圧接されて配置された中抜き型枠の
    少なくともいずれか一方の側面と枠体の側枠との間に空
    隙を設けて構成し、コンクリートの投入時、この空隙に
    コンクリートを充填してコンクリート層と一体にささら
    桁を形成することを特徴とする請求項5または6に記載
    の階段板の製造方法。
  8. 【請求項8】 下枠の少なくともいずれか一方の側部
    に、枠体の底面に接する側壁を形成して構成し、この側
    壁側の側枠を下枠から所定の間隙を隔てて底面に接する
    ように配置し、コンクリート投入時、上記側壁と側枠と
    枠体の底面との間に画成される空隙にコンクリートを充
    填して、コンクリート層と一体にささら桁を形成するこ
    とを特徴とする請求項5、6または7に記載の階段板の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 底面と、この底面上に配置され上面側に
    階段に応じた踏面部と蹴上面部とが交互に形成され投入
    されるコンクリートに階段表面を成型する下枠と、下端
    部が底面と下枠上面とのいずれか一方に接触して立設さ
    れ、投入されるコンクリートの左右両側端面を成型する
    前後方向の各側枠と、側枠の前後方向両端に側枠間の距
    離を変更可能に取り付けられ、投入されるコンクリート
    の前後両端を成型する前後枠とからなる枠体と、下面が
    上記枠体内の下枠上面にほぼ合致して形成され、鉄筋が
    配置された下枠の踏面部と蹴上面部とにより形成される
    断面略く字状の溝に沿って投入されたコンクリートに、
    上方から降下されて圧接され階段板の裏面を成型する上
    枠とを備えて構成されることを特徴とする階段板の型枠
    装置。
  10. 【請求項10】 上枠が各段毎に分割されて形成された
    多数の中抜き型枠から構成されることを特徴とする請求
    項9に記載の階段板の型枠装置。
  11. 【請求項11】 中抜き型枠は、踏面部と蹴上面部とに
    それぞれ対応して互いに傾斜した面が下方に突出して形
    成された裏面成型部と、この裏面成型部の前後端からそ
    れぞれ平行に形成され、互いに接触可能な前後面と、左
    右の幅寸法に応じて側枠に接離可能な側面と、取手が取
    り付けられ、互いに隣接する他の中抜き型枠と同一レベ
    ルにある時、互いの裏面成型面が連続して接続される平
    坦な位置決め面とを備えたコンクリート型から構成され
    ることを特徴とする請求項10に記載の階段板の型枠装
    置。
  12. 【請求項12】 中抜き型枠の左右の幅寸法が、両側枠
    間の寸法より短く設定され、中抜き型枠は側面が各側枠
    に接離可能に配置されることを特徴とする請求項11に
    記載の階段板の型枠装置。
  13. 【請求項13】 順次配置された中抜き型枠の前後方向
    両端には、階段板の上下接続部をそれぞれ形成する上・
    下部型枠が設けられることを特徴とする請求項10また
    11に記載の階段板の型枠装置。
  14. 【請求項14】 下枠の少なくともいずれか一方の側部
    には、枠体の底面に接する側壁を形成して構成したこと
    を特徴とする請求項9ないし13のうちいずれか1に記
    載の階段板の型枠装置。
  15. 【請求項15】 側枠の少なくともいずれか一方は、下
    端部が底面に接触し、下枠の側壁と所定の間隙を隔てて
    配置されることを特徴とする請求項14に記載の階段板
    の型枠装置。
  16. 【請求項16】 側枠の一方は、内側面が下枠の側壁に
    接触し、他方の側枠は、下端部が下枠上面に接触して配
    置されることを特徴とする請求項9ないし13のうちい
    ずれか1に記載の階段板の型枠装置。
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