JP3318694B2 - 階段の形成方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、階段の形成方法、特に
基準階の階段より段数の多い階段の形成方法に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】昨今、鉄筋コンクリート造などの建物を
建設するに際して、柱、梁、壁などを予め作製し、これ
らを現場に搬入して所定位置に設置する手法が採用され
るようになってきており、現場での型枠の作製作業や組
付作業などを減らして合理化が図れている。その一つと
して、建物の基準階に設けられる階段に対しては、その
基準階の階高が同じで段数が同じとなることから、プレ
キャストコンクリート製階段として予め作製しておき、
これを必要時に搬入設置する手法が採られている。また
同様にして、基準階より階高が大きい階の階段、例えば
建物の一階の階段を形成するに際しても、前記基準階用
階段の作製と同時に一階用の階段もプレキャストコンク
リート製階段として作製され、これを使用して一階の階
段が形成されることが多い。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで上記プレキャ
ストコンクリート製階段は、工場において型枠を作製
し、配筋してコンクリートを打設することにより得られ
ており、上述した基準階用のものは、いずれの建物にお
いても階高が等しい場合が多いことから転用が利く。し
かしながら、基準階より階高が大きい階用のものにあっ
ては、その基準階以外の階の階高が建物それぞれによっ
て異なることから転用することができず、その都度、型
枠を新たに作って使用しており、このため不経済な点が
生じている。

【０００４】そこで本発明は上記した事情に鑑み、基準
階より階高が大きい階の階段用としたプレキャストコン
クリート製階段を、他の建物においてもその建物の基準
階より階高が大きい階の階段として使用できるようにす
ることを課題とし、基準階以外のプレキャストコンクリ
ート製階段に対する作製コストを低減することを目的と
する。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記した課題を
考慮してなされたもので、基準階より階高が大きい階に
階段を設けるに当たり、基準階の階高に応じて設定され
た階段板部の下端から下方に延設された足部を有するプ
レキャストコンクリート製階段を予め作製し、該プレキ
ャストコンクリート製階段を所定位置に配設した後、足
部側に前記階段板部に連続する後打ち階段をコンクリー
トにより打設形成して、階段の上板部から前記後打ち階
段までをコンクリートにより一体に形成したことを特徴
とする階段の形成方法を提供して、上記した課題を解消
するものである。

【０００６】

【作用】本発明においては、階段板部の下端に足部を有
するプレキャストコンクリート製階段を所定位置に設置
すると、足部側に踏み段の無い状態となる。そして、そ
の足部側に現場打ちにより階段を設けて、階段板部と後
打ち階段とで連続した階段が得られるようになる。

【０００７】

【実施例】つぎに本発明を図１から図３に示す一実施例
に基づいて詳細に説明する。図中１はプレキャストコン
クリート製階段で、該プレキャストコンクリート製階段
１は建物の基準階に対して設置されるものと異なって、
その基準階より階高が大きい階、例えば一階に設置され
るものである。このプレキャストコンクリート製階段１
は、基準階用のもの（図示せず）と同様に上板部２と、
基準階の階高に対応して蹴上げ、踏み面が設定されてい
る階段板部３とを有しているとともに、その階段板部３
の下端から下方に所定長さにして延設された足部４を有
していて、予め前記上板部２と階段板部３と足部４とが
一体となった状態で作製される。

【０００８】上記構造のプレキャストコンクリート製階
段１を用いて階段を形成するには、図１に示すように、
まず階段を形成する位置に、このプレキャストコンクリ
ート製階段１を配置し、上板部２を建物の構造部材など
（図示せず）に接続するとともに、足部４の下端をスラ
ブ５側に接続して固定する。この後、足部４の階段面側
に階段形成用の型枠を組み上げ、そこにコンクリートを
打設して階段板部３と蹴上げ、踏み面を同じにした後打
ち階段６を設ける。これによって前記後打ち階段６が足
部４と一体となり、図２に示すように後打ち階段６と階
段板部３とが連続して上板部２から後打ち階段６までを
コンクリートにより一体とした階段７が形成される。

【０００９】上記の使用例は、プレキャストコンクリー
ト製階段１の足部４をスラブ５上にそのまま立設させる
状態のものであるが、この場合の階高より小さい階高の
階、例えば他の建物の一階にこのプレキャストコンクリ
ート製階段１を使用する例を図３に示す。プレキャスト
コンクリート製階段１を設置するスラブ５側において凹
部８が形成されていて、その凹部８に足部４を差し入れ
上板部２と前記足部４の構造部材側およびスラブ側への
接続を行う。この後、上記の使用例と同様に、階段形成
用の型枠を組み上げ、そこにコンクリートを打設して階
段板部３と蹴上げ、踏み面を同じにした後打ち階段６を
設ける。これによって前記後打ち階段６が足部４と一体
となり、後打ち階段６と階段板部３とが連続して上板部
２から後打ち階段６までをコンクリートにより一体とし
た階段７が形成される。

【００１０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、基準階
より階高が大きい階に階段を設けるに当たり、基準階の
階高に応じて設定された階段板部の下端から下方に延設
された足部を有するプレキャストコンクリート製階段を
予め作製し、該プレキャストコンクリート製階段を所定
位置に配設した後、足部側に前記階段板部に連続する後
打ち階段をコンクリートにより打設形成して、階段の上
板部から前記後打ち階段までをコンクリートにより一体
に形成したことを特徴とするものである。これによっ
て、階高が異なる階に対してもプレキャストコンクリー
ト製階段を用いて階段を形成することができるようにな
り、同一の型枠から、異なる建物における基準階以外の
階段用として利用できるプレキャストコンクリート製階
段が得られ、型枠の転用回数が多くなり、このプレキャ
ストコンクリート製階段の作製コストを大幅に低減でき
るようになるなど、実用性に優れた効果を奏するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る階段の形成方法の一実施例におけ
るプレキャストコンクリート製階段の設置状態を示す説
明図である。

【図２】プレキャストコンクリート製階段から階段が形
成された状態を示す説明図である。

【図３】プレキャストコンクリート製階段の他の使用状
態を示す説明図である。

【符号の説明】

１…プレキャストコンクリート製階段 ３…階段板部 ４…足部 ６…後打ち階段 ７…階段

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】基準階より階高が大きい階に階段を設ける
   に当たり、 基準階の階高に応じて設定された階段板部の下端から下
   方に延設された足部を有するプレキャストコンクリート
   製階段を予め作製し、該プレキャストコンクリート製階
   段を所定位置に配設した後、足部側に前記階段板部に連
   続する後打ち階段をコンクリートにより打設形成して、
   階段の上板部から前記後打ち階段までをコンクリートに
   より一体に形成したことを特徴とする階段の形成方法。