JPH0229743B2 - - Google Patents
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- JPH0229743B2 JPH0229743B2 JP60053437A JP5343785A JPH0229743B2 JP H0229743 B2 JPH0229743 B2 JP H0229743B2 JP 60053437 A JP60053437 A JP 60053437A JP 5343785 A JP5343785 A JP 5343785A JP H0229743 B2 JPH0229743 B2 JP H0229743B2
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- Physical Vapour Deposition (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
この発明は鉄鋼材料への炭化チタンの被覆方法
に関するものである。 さらに詳しくは、この発明は、鉄または鉄基合
金からなる鉄鋼材料の表面に炭化チタンを被覆し
てなる耐熱性、耐摩耗性、耐食性、耐放射線損傷
性を等の特性に優れた、各種機械部品や電子機器
部品として有用な被覆材の製造方法に関するもの
である。 (従来の技術) 従来、金属表面への炭化チタン等のセラミツク
スの被覆方法としては、(1)両者の間に接着剤の中
間層を挿入し、ホツトプレス、あるいはHIP法等
の高温高圧処理を施してセラミツク板を溶圧着す
る方法や、(2)CVD法、PVD法等によりセラミツ
クスを蒸着コーテイングする方法が知られてい
る。 しかしながら、(1)の溶圧着方法では接着剤の中
間層の選択や接合条件が狭く、精密部品には適用
し難い等の欠点があり、また(2)の蒸着方法の場合
には密着性に問題があつた。 (発明の目的) この発明はこれらの従来法における欠点及び問
題点を解決するためになされたものであり、その
目的は鉄鋼材料と炭化チタンの密着性を向上させ
ることができ、しかもその実施が容易な新しい被
覆方法を提供するにある。 (発明の構成) この発明者らは前記目的を達成すべく研究の結
果、鉄鋼材料の表面にイオン注入法によつて、
Tiイオンを注入することにより、鉄鋼材料の表
面を改質し、この表面に炭化チタンを蒸着させる
と鉄鋼材料と炭化チタンとが強固に密着すること
を見出した。この知見に基づいて、この発明は完
成されている。 この発明の要旨は、鉄または鉄基合金からなる
鉄鋼材料の表面にTiイオンを注入し、鉄鋼表面
を非平衡相に調整し、その上に炭化チタンを蒸着
することを特徴とする炭化チタンの被覆方法にあ
る。即ち、好ましくは鉄鋼材料表面に加速電圧
40KeV以上でTiイオンを5×1016箇/cm2以上注
入すると、注入表面にTiイオンの平均侵入深さ
の1/2程度の厚さでTi原子を固溶限界以上に含む
強制固溶合金層が形成される。この強制固溶合金
層は部分的にあるいは全部が非晶質構造から構成
される非平衡相である。 このような非平衡相は非晶質相の液体構造に似
た均一な固体で、結晶粒界を持たず靭性に富んで
いるため、蒸着表面に発生する変形歪応力あるい
は熱歪応力を容易に緩和する作用を有している。
また、過剰に導入されたTi原子は炭化チタンの
蒸着の際に未反応のCと結合してTiC膜を強化す
る。 このようにしてTiイオンを注入された非晶質
表面にTiCを0.1〜2μm厚さに蒸着することがで
きる。TiCの蒸着法は限定されるものではない
が、CVD法、真空蒸着、イオンプレーテイング
法等のPVD法、なかでも密着性を保持するため
にはイオンプレーテイング法によることが好まし
い。この蒸着に際しては鉄鋼材料の温度を非晶質
相の結晶化温度450℃以下の温度に保持すること
が望ましい。 作成した被覆材について軽荷重マテイロビツカ
ース硬度計によるTiC膜の割れと透過電子顕微鏡
観察によるTiC膜の微視割れの評価を行うと、Ti
イオン注入による表面層の非晶質相を含む非平衡
相への改質にともなつてTiC膜の割れの発生が抑
制され、密着性が向上するとともに表面硬さも向
上することが確認される。 (実施例) 10mm×10mm×1mmの大きさの純鉄および304ス
テンレス鋼の板状片を鉄鋼材料の母材試料とし
た。これらの母材試料の表面に、イオン注入法に
より150KeVの加速電圧でTiイオンを1×1017
箇/cm2まで注入した。これにより試料表面層は非
晶質化し、たとえば第1図に示すようなものとな
つた。この第1図は304ステンレス鋼を試料とし
た場合で、aは透過電子顕微鏡写真(倍率
57000)、bは電子回折写真である。 このようにTiイオン注入処理した表面上に、
次いで炭化チタンを0.1〜2.0μmの種々の厚さにイ
オンプレーテイング法により蒸着した。 一方、比較のために、Tiイオンの未注入の試
料表面に同様な条件で炭化チタンを蒸着した。 各々の場合について、蒸着条件はC2H2圧1×
10-3TorrでE,Bエミツシヨンを10kV、0.2mA
とした。 得られた各試料について軽荷重マイクロビツカ
ース硬度計を用いて荷重を変化させながら表面硬
さと、TiC膜の割れの発生および透過電子顕微鏡
による微視割れの評価を行つた。第2図は荷重30
gの時圧痕の周りに発生した304ステンレス鋼に
蒸着したTiC膜の円形上の膜割れの大きさを示
す。aはTiイオンを注入した試料、bはTiイオ
ン未注入試料の場合である。また、第3図は透過
電子顕微鏡によるTiC膜の微視割れを示す写真で
ある。aはTiにイオンを注入した試料、bはTi
未注入試料である。 各試料における評価結果を示したものが、次の
表である。
に関するものである。 さらに詳しくは、この発明は、鉄または鉄基合
金からなる鉄鋼材料の表面に炭化チタンを被覆し
てなる耐熱性、耐摩耗性、耐食性、耐放射線損傷
性を等の特性に優れた、各種機械部品や電子機器
部品として有用な被覆材の製造方法に関するもの
である。 (従来の技術) 従来、金属表面への炭化チタン等のセラミツク
スの被覆方法としては、(1)両者の間に接着剤の中
間層を挿入し、ホツトプレス、あるいはHIP法等
の高温高圧処理を施してセラミツク板を溶圧着す
る方法や、(2)CVD法、PVD法等によりセラミツ
クスを蒸着コーテイングする方法が知られてい
る。 しかしながら、(1)の溶圧着方法では接着剤の中
間層の選択や接合条件が狭く、精密部品には適用
し難い等の欠点があり、また(2)の蒸着方法の場合
には密着性に問題があつた。 (発明の目的) この発明はこれらの従来法における欠点及び問
題点を解決するためになされたものであり、その
目的は鉄鋼材料と炭化チタンの密着性を向上させ
ることができ、しかもその実施が容易な新しい被
覆方法を提供するにある。 (発明の構成) この発明者らは前記目的を達成すべく研究の結
果、鉄鋼材料の表面にイオン注入法によつて、
Tiイオンを注入することにより、鉄鋼材料の表
面を改質し、この表面に炭化チタンを蒸着させる
と鉄鋼材料と炭化チタンとが強固に密着すること
を見出した。この知見に基づいて、この発明は完
成されている。 この発明の要旨は、鉄または鉄基合金からなる
鉄鋼材料の表面にTiイオンを注入し、鉄鋼表面
を非平衡相に調整し、その上に炭化チタンを蒸着
することを特徴とする炭化チタンの被覆方法にあ
る。即ち、好ましくは鉄鋼材料表面に加速電圧
40KeV以上でTiイオンを5×1016箇/cm2以上注
入すると、注入表面にTiイオンの平均侵入深さ
の1/2程度の厚さでTi原子を固溶限界以上に含む
強制固溶合金層が形成される。この強制固溶合金
層は部分的にあるいは全部が非晶質構造から構成
される非平衡相である。 このような非平衡相は非晶質相の液体構造に似
た均一な固体で、結晶粒界を持たず靭性に富んで
いるため、蒸着表面に発生する変形歪応力あるい
は熱歪応力を容易に緩和する作用を有している。
また、過剰に導入されたTi原子は炭化チタンの
蒸着の際に未反応のCと結合してTiC膜を強化す
る。 このようにしてTiイオンを注入された非晶質
表面にTiCを0.1〜2μm厚さに蒸着することがで
きる。TiCの蒸着法は限定されるものではない
が、CVD法、真空蒸着、イオンプレーテイング
法等のPVD法、なかでも密着性を保持するため
にはイオンプレーテイング法によることが好まし
い。この蒸着に際しては鉄鋼材料の温度を非晶質
相の結晶化温度450℃以下の温度に保持すること
が望ましい。 作成した被覆材について軽荷重マテイロビツカ
ース硬度計によるTiC膜の割れと透過電子顕微鏡
観察によるTiC膜の微視割れの評価を行うと、Ti
イオン注入による表面層の非晶質相を含む非平衡
相への改質にともなつてTiC膜の割れの発生が抑
制され、密着性が向上するとともに表面硬さも向
上することが確認される。 (実施例) 10mm×10mm×1mmの大きさの純鉄および304ス
テンレス鋼の板状片を鉄鋼材料の母材試料とし
た。これらの母材試料の表面に、イオン注入法に
より150KeVの加速電圧でTiイオンを1×1017
箇/cm2まで注入した。これにより試料表面層は非
晶質化し、たとえば第1図に示すようなものとな
つた。この第1図は304ステンレス鋼を試料とし
た場合で、aは透過電子顕微鏡写真(倍率
57000)、bは電子回折写真である。 このようにTiイオン注入処理した表面上に、
次いで炭化チタンを0.1〜2.0μmの種々の厚さにイ
オンプレーテイング法により蒸着した。 一方、比較のために、Tiイオンの未注入の試
料表面に同様な条件で炭化チタンを蒸着した。 各々の場合について、蒸着条件はC2H2圧1×
10-3TorrでE,Bエミツシヨンを10kV、0.2mA
とした。 得られた各試料について軽荷重マイクロビツカ
ース硬度計を用いて荷重を変化させながら表面硬
さと、TiC膜の割れの発生および透過電子顕微鏡
による微視割れの評価を行つた。第2図は荷重30
gの時圧痕の周りに発生した304ステンレス鋼に
蒸着したTiC膜の円形上の膜割れの大きさを示
す。aはTiイオンを注入した試料、bはTiイオ
ン未注入試料の場合である。また、第3図は透過
電子顕微鏡によるTiC膜の微視割れを示す写真で
ある。aはTiにイオンを注入した試料、bはTi
未注入試料である。 各試料における評価結果を示したものが、次の
表である。
【表】
は若干数認められるもの、○はほとん
ど認められないものであるこ
とを示す。)
第2図、第3図および前記の表に示す結果から
明らかなように、純鉄と304ステンレス鋼におい
てはTiイオン注入の場合は未注入の場合に比べ
て、表面硬さが増し、割れ開始の臨界荷重が大き
く、割れ発生後の割れの大きさが小さくなり、密
着性が優れたものとなる。なお、低炭素鋼を対象
とする場合には前記2試料に比べてその効果は小
さいが、さらにTiイオンの注入を追加し、非晶
質化を達成すればよい。 (発明の効果) この発明の方法によると、従来のプレス法にお
ける中間接着剤層を必要としない上、高温、高圧
処理を必要とせず、単なるTiイオンの注入処理
によつて優れた密着性を得ることができる。また
浅い表面のみのTiイオン注入処理でよいので母
材の寸法変化も小さく、非晶質層を利用するため
ため密着界面が均一である等の優れた効果を有す
る。
ど認められないものであるこ
とを示す。)
第2図、第3図および前記の表に示す結果から
明らかなように、純鉄と304ステンレス鋼におい
てはTiイオン注入の場合は未注入の場合に比べ
て、表面硬さが増し、割れ開始の臨界荷重が大き
く、割れ発生後の割れの大きさが小さくなり、密
着性が優れたものとなる。なお、低炭素鋼を対象
とする場合には前記2試料に比べてその効果は小
さいが、さらにTiイオンの注入を追加し、非晶
質化を達成すればよい。 (発明の効果) この発明の方法によると、従来のプレス法にお
ける中間接着剤層を必要としない上、高温、高圧
処理を必要とせず、単なるTiイオンの注入処理
によつて優れた密着性を得ることができる。また
浅い表面のみのTiイオン注入処理でよいので母
材の寸法変化も小さく、非晶質層を利用するため
ため密着界面が均一である等の優れた効果を有す
る。
第1図はTiイオン注入した304ステンレス鋼表
面に形成された非晶質層を示すもので、aは透過
電子顕微鏡写真(倍率×57000)、bは電子回折写
真である。第2図は、304テスンレス鋼に蒸着し
たTiC膜の円形状割れの走査電子顕微鏡写真であ
り、aはTiイオン注入試料の場合、bはTiイオ
ン未注入試料の場合を示す。第3図は、純鉄に蒸
着したTiC膜の微視割れの透過電子顕微鏡写真
(倍率×64000)であり、aはTiCイオン注入した
試料の場合、bはTiイオン未注入の試料の場合
を示す。
面に形成された非晶質層を示すもので、aは透過
電子顕微鏡写真(倍率×57000)、bは電子回折写
真である。第2図は、304テスンレス鋼に蒸着し
たTiC膜の円形状割れの走査電子顕微鏡写真であ
り、aはTiイオン注入試料の場合、bはTiイオ
ン未注入試料の場合を示す。第3図は、純鉄に蒸
着したTiC膜の微視割れの透過電子顕微鏡写真
(倍率×64000)であり、aはTiCイオン注入した
試料の場合、bはTiイオン未注入の試料の場合
を示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 鉄または鉄基合金からなる鉄鋼材料の表面に
Tiイオンを注入し、鉄鋼表面を非平衡相に調整
し、その表面上に炭化チタンを蒸着することを特
徴とする炭化チタンの被覆方法。 2 イオン加速電圧40KeV以上で、注入量5×
1016箇/cm2以上にイオン注入する特許請求の範囲
第1項記載の被覆方法。 3 非平衡相が一部または全部が非晶質から構成
されたものである特許請求の範囲第1項記載の被
覆方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5343785A JPS61213369A (ja) | 1985-03-19 | 1985-03-19 | 炭化チタンの被覆方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5343785A JPS61213369A (ja) | 1985-03-19 | 1985-03-19 | 炭化チタンの被覆方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61213369A JPS61213369A (ja) | 1986-09-22 |
JPH0229743B2 true JPH0229743B2 (ja) | 1990-07-02 |
Family
ID=12942820
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5343785A Granted JPS61213369A (ja) | 1985-03-19 | 1985-03-19 | 炭化チタンの被覆方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS61213369A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0747814B2 (ja) * | 1989-04-25 | 1995-05-24 | ティーディーケイ株式会社 | 金型の表面処理方法 |
CN103962668A (zh) * | 2013-01-24 | 2014-08-06 | 中广核工程有限公司 | 表面处理钢与钛或钛合金的钎焊方法 |
RU2648810C2 (ru) * | 2016-06-16 | 2018-03-28 | Акционерное общество "Военно-промышленная корпорация "Научно-производственное объединение машиностроения" | Способ изготовления деталей из титановых сплавов |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54139891A (en) * | 1978-04-24 | 1979-10-30 | Nagaoka Kk | Specific work metal material and its manufacturing method |
-
1985
- 1985-03-19 JP JP5343785A patent/JPS61213369A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54139891A (en) * | 1978-04-24 | 1979-10-30 | Nagaoka Kk | Specific work metal material and its manufacturing method |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61213369A (ja) | 1986-09-22 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |