JPH08325729A - 立方晶窒化硼素薄膜の形成方法 - Google Patents

立方晶窒化硼素薄膜の形成方法

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JPH08325729A
JPH08325729A JP13551195A JP13551195A JPH08325729A JP H08325729 A JPH08325729 A JP H08325729A JP 13551195 A JP13551195 A JP 13551195A JP 13551195 A JP13551195 A JP 13551195A JP H08325729 A JPH08325729 A JP H08325729A
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JP
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boron nitride
thin film
cubic boron
substrate
nitride thin
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JP13551195A
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Masaji Miyake
正司 三宅
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板の表面を加熱せずに、その基板形状に関
わりなく、立方晶窒化硼素薄膜を制御性良く形成させ
る。 【構成】 基板表面に六方晶窒化硼素薄膜を形成した
後、この六方晶窒化硼素薄膜に窒素イオン注入すること
により六方晶窒化硼素を立方晶窒化硼素に結晶相変換さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、立方晶窒化硼素薄膜
の形成方法に関するものである。さらに詳しくは、この
発明は、工具や治具等の機械器具部品、耐摩耗性、高摺
動性や高硬度化等の特性の向上や、高誘電体、電気絶縁
性を用いる光学・半導体デバイス等の機能性薄膜に有用
な、立方晶窒化硼素(cBN)の薄膜を高品質で簡便に
得ることのできる新しい方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、窒化硼素薄膜の形
成方法としては、真空チャンバー内にて基板を400〜
1000℃程度に加熱し、たとえば硼化物ガスと窒素ま
たはアンモニアガスを用いて成膜するプラズマCVD法
等の化学的蒸着法や、金属硼素と窒素ガスを併用したイ
オンプレーティング法、マグネトロン法等の物理的蒸着
法等が用いられている。このうちのプラズマCVD法で
は、例えば、ジボラン、窒素ガス、またはアンモニア等
の気体原料を用い、これらの気体原料ガスのプラズマ励
起、及び基板表面の加熱により得られるサーマルマイグ
レーション効果により窒化硼素薄膜を形成している。ま
た、このプラズマCVD法においては、基板表面を加熱
せずに窒化硼素薄膜を形成させることもできる。しかし
ながら、この方法では六方晶窒化硼素薄膜のみしか形成
することができず、立方晶窒化硼素薄膜を形成すること
ができないという問題がある。また、イオンプレーティ
ング法とマグネトロン法では、金属硼素と、窒素ガスま
たはアンモニアガス等の気体原料ガスとを用い、前記の
CVD法と同じように、気体原料ガスをプラズマ励起
し、基板表面を加熱して窒化硼素薄膜を形成している。
しかしながら、これらの方法では、立方晶窒化硼素膜の
形成は難しく、しかも基板表面を400℃〜1000℃
の極めて高い温度まで加熱しなければならないため、基
板材料として高耐熱性を有するものしか用いることがで
きず、利用することのできる基板材料が耐熱性の問題か
ら制限されてしまうという欠点がある。
【0003】このような基板加熱に伴う欠点を解決する
ために、基板の加熱をしないで窒化硼素薄膜を形成する
ことのできる方法が従来より研究されている。たとえ
ば、イオンビームミキシング法は、金属硼素の真空蒸着
と窒素イオンの照射を同時に行うことにより基板を加熱
しないで室温下で立方晶窒化硼素を形成することができ
る。しかしながら、このイオンビームミキシング法にお
いては、イオン照射の際に用いられるイオン源は、カウ
フマン型、バケット型またはECRイオン源等の面ビー
ムであり、これらのイオン源から引き出されるイオンビ
ームは平行・直進型イオンビームであるため、例えば、
表面に凹凸のある複数形状を有する基板への窒化硼素薄
膜形成は困難であるという欠点がある。
【0004】また、一般に、六方晶窒化硼素は、高硬度
ではないが靱性及び摺動性に優れ、さらに耐熱性も高い
といった特性を持ち、立方晶窒化硼素は、高摺動性では
ないが、硬度が高く、化学的安定性に優れ、さらに電気
的絶縁性能が高いといった特性を持っている。通常、窒
化硼素薄膜を、例えば、工具コーティング等のハードコ
ートに使用する場合においては、これら2つの結晶構造
がそれぞれ有する特性を考慮して、最表面には、靱性及
び摺動性に優れる六方晶窒化硼素を用い、内部には、機
械的強度を維持するために立方晶窒化硼素を用いる2層
構造が好ましいとされている。しかしながら、従来の方
法では、立方晶の窒化硼素を、窒化硼素薄膜内の任意の
位置に制御して形成することが困難であるため、このよ
うな六方晶・立方晶構造の2層窒化硼素薄膜を形成する
ことも困難であった。
【0005】そこでこの発明は、上記のような従来技術
の欠点を解決するために創案されたものであり、薄膜を
形成させる基板の表面を加熱せずに、その基板形状に関
係なく、立方晶窒化硼素薄膜を所定の位置に制御性良く
形成させることのできる、新しい立方晶窒化硼素薄膜の
形成方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、六方晶窒化硼素薄膜に窒素イオ
ン注入して六方晶窒化硼素を立方晶窒化硼素に結晶相変
換させることを特徴とする立方晶窒化硼素薄膜の形成方
法を提供する。
【0007】
【作用】この発明においては、上記の通りの方法によっ
て、たとえばまず加熱されていない基板に六方晶窒化硼
素を形成し、この六方晶窒化硼素薄膜に窒素イオンを注
入することにより六方晶窒化硼素から立方晶窒化硼素に
結晶を相変換させ、これにより立方晶窒化硼素薄膜を形
成することができる。
【0008】さらに詳しく説明すると、この発明の方法
では、基板を加熱することなく六方晶窒化硼素薄膜を基
板上に作製し、その後結晶構造を六方晶から立方晶に相
変換を行う為に十分に加速された窒素イオンを表面から
注入し、低温で立方晶結晶構造を有する窒化硼素を膜内
に合成する方法を提案するものである。この際窒素イオ
ンは質量分析されているか否かは特に限定されるもので
はない。また、窒素イオンの注入エネルギは、予め基材
上に低温で作成した六方晶窒化硼素薄膜の厚みに窒素イ
オンの注入飛程が等しくなる様なエネルギとする。さら
に、注入量は予め基材上に形成される六方晶窒化硼素の
組成等によって異なり特に限定されるものではないが、
イオン注入した際に膜内部で生じる体積膨張に基づく欠
陥部の形成や膜のスパッタリング効果を考慮すると、高
々1×1018ions/cm2 程度を限定とする。これ
らの値は、イオン注入を行った際、六方晶窒化硼素が立
方晶構造の窒化硼素に相変換するに十分な運動エネルギ
を付与しうるものだからである。このように注入イオン
の運動エネルギを既存の成膜方法における基板加熱に見
られる熱エネルギの代替えエネルギとして用いる事で、
極めて低い温度で立方晶窒化硼素層を得ることができ
る。また、この方法を繰り返すことにより、従来方では
困難であった立方晶窒化硼素の結晶を含む薄膜が基材上
に必要とする膜厚だけ形成する事が可能である。
【0009】そして、この発明の方法では窒化硼素薄膜
内部の必要とされる任意の位置に、制御性良く立方晶窒
化硼素層を得る事ができる。通常六方晶窒化硼素は硬度
は大きくないが、靱性及び摺動性に富み、また耐熱性も
大きい。一方、立方晶窒化硼素は摺動性に劣るが、高硬
度であり、化学的安定性に優れ、また電気的絶縁性能が
高い材料である。例えば工具コーティング等のハードコ
ートに窒化硼素薄膜を利用する場合、最表面は靱性・摺
動性に優れる六方晶窒化硼素の構造とし、また内部は機
械的強度を維持するため立方晶窒化硼素からなる2層構
造が理想である。前記の従来方法では、基材温度が加熱
温度の関係で制限され、且つ立方晶窒化硼素は形成され
にくく、よってこの様な六方晶・立方晶構造の窒化硼素
層は作製できない。本件では注入するイオンのエネルギ
が制御でき、注入イオンの飛程(進入深さ)が注入エネ
ルギで制御できる。従って、基板から膜表面の任意の位
置に立方晶窒化硼素層を形成する事ができ、目的に応じ
て膜全体の構造制御ができる。
【0010】さらにこの発明の方法は基板の形状に依存
する事なく、どのような複雑な形状品にも立方晶の結晶
構造を有する窒化硼素層を合成する事が可能である。例
えば表面に凹凸のある複雑形状品の表面処理では、本提
案の方法の場合、処理の初期で行う六方晶窒化硼素薄膜
の成膜は、既存のCVD法やイオンプレーティング法良
く、一般にこれらの方法は複雑形状品への付き回り性が
良いと言われている。従って、基材に膜形成を行った後
イオン注入する際に、例えば基材を回転する等の簡単な
方法でイオン注入すれば良く、従って本件の方法によ
り、産業的にも有効に立方晶窒化硼素層を形成する事が
可能である。
【0011】以下、実施例を示し、さらに詳しくこの発
明について説明する。もちろんこの発明は以下の例によ
って限定されるものではない。
【0012】
【実施例】シリコン基板上にRF−プラズマCVD法で
形成した、硼素と窒素の組成比が5である六方晶窒化硼
素薄膜に、窒素イオンを注入量5×1017ions/c
2 、注入エネルギ20keVで注入して立方晶窒化硼
素薄膜を形成した。その透過型電子顕微鏡による電子回
折像を示したものが図1である。また表1はその格子定
数の値とその立方晶窒化硼素結晶の値である。図1及び
表1からわかるように、明らかに窒素イオン注入によっ
て立方晶窒化硼素の結晶が存在する事がわかり、窒素イ
オン注入により、六方晶窒化硼素が立方晶窒化硼素の結
晶構造に相変換される事が確認できる。
【0013】
【表1】
【0014】
【発明の効果】この発明により、以上詳しく説明したと
おり、薄膜を形成させる基板の表面を加熱せずに、その
基板形状に関わりなく、立方晶窒化硼素薄膜を制御性良
く形成させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例であるNイオン注入により
形成された立方晶窒化硼素薄膜の図面に代わる電子顕微
鏡回折写真である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 六方晶窒化硼素薄膜に窒素イオン注入し
    て六方晶窒化硼素を立方晶窒化硼素に結晶相変換させる
    ことを特徴とする立方晶窒化硼素薄膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 予め基材上に作成した六方晶窒化硼素薄
    膜の膜厚に相当する注入飛程となるエネルギーで、窒素
    イオンを注入して六方晶窒化硼素を立方晶窒化硼素に結
    晶相変換させることを特徴とする、請求項1の立方晶窒
    化硼素薄膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 予め基材上に作成した六方晶窒化硼素薄
    膜の膜厚に相当する注入飛程となるエネルギーで、窒素
    イオンを注入して六方晶窒化硼素を立方晶窒化硼素に結
    晶相変換させ、かつこの操作を繰り返す事によって基材
    上に必要膜厚の立方晶窒化硼素薄膜を形成することを特
    徴とする、請求項1の立方晶窒化硼素薄膜の形成方法。
JP13551195A 1995-06-01 1995-06-01 立方晶窒化硼素薄膜の形成方法 Pending JPH08325729A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103668106A (zh) * 2012-09-01 2014-03-26 董国材 一种制备单层六角氮化硼的方法
JP2016078137A (ja) * 2014-10-10 2016-05-16 新日鐵住金株式会社 超硬工具

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103668106A (zh) * 2012-09-01 2014-03-26 董国材 一种制备单层六角氮化硼的方法
CN103668106B (zh) * 2012-09-01 2016-01-20 董国材 一种制备单层六角氮化硼的方法
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