JPH10259029A - 光学素子成形用型 - Google Patents

光学素子成形用型

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JPH10259029A
JPH10259029A JP6671297A JP6671297A JPH10259029A JP H10259029 A JPH10259029 A JP H10259029A JP 6671297 A JP6671297 A JP 6671297A JP 6671297 A JP6671297 A JP 6671297A JP H10259029 A JPH10259029 A JP H10259029A
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JP
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mold
optical element
base material
molding
ions
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JP6671297A
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English (en)
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雅道 ▲ひじ▼野
Masamichi Hijino
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
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    • C03B11/06Construction of plunger or mould
    • C03B11/08Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses
    • C03B11/084Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses material composition or material properties of press dies therefor
    • C03B11/086Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses material composition or material properties of press dies therefor of coated dies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
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    • C03B2215/02Press-mould materials
    • C03B2215/08Coated press-mould dies
    • C03B2215/10Die base materials
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    • C03B2215/02Press-mould materials
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C03B2215/02Press-mould materials
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  • Organic Chemistry (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学素子との離型性を向上させた光学素子成
形用型を提供する。 【解決手段】 光学素子のプレス成形に用いる光学素子
成形用型にあって、型母材の少なくとも成形面にタンタ
ルイオンを注入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レンズ、プリズム
等のガラスよりなる光学素子をガラス素材のプレス成形
により製造するのに使用される光学素子成形用型に関す
る。
【0002】
【従来の技術】加熱軟化したガラス素材を成形用型でプ
レス成形することにより研磨工程を必要とせずにレンズ
を製造する技術は、従来の製造において必要とされた複
雑な工程をなくし、簡単且つ安価にレンズを製造するこ
とを可能とし、近年、レンズのみならずプリズムその他
のガラスよりなる光学素子の製造に使用されるようにな
ってきた。
【0003】このようなガラス光学素子のプレス成形に
使用される成形型の型母材に要求される性質としては、
硬度、耐熱性、鏡面加工性等に優れていることが挙げら
れる。従来、この種の型母材として金属、セラミックス
及びそれらを成膜した材料等、数多くの提案がされてい
る。いくつかの例を挙げるならば、特開昭49−511
12号公報には13Crマルテンサイト鋼が、特開昭5
2−45613号公報にはSiC及びSi3 4 が、特
開昭60−246230号公報には超硬合金に貴金属を
成膜した材料が、又、特開昭61−183134号公
報、特開昭61−281030号公報にはダイヤモンド
薄膜もしくはダイヤモンド状炭素膜を成膜した成形用型
が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来技術
には以下のような欠点がある。特開昭49−51112
号公報記載の提案では、13Crマルテンサイト鋼は酸
化し易く、更に高温でFeがガラス中に拡散してガラス
が着色する欠点を持つ。特開昭52−45613号公報
記載の方法では、SiC及びSi3 4 は一般に酸化さ
れにくいとされているが、高温では酸化が起こり表面に
SiO2 の膜が形成されるためガラスの融着を生じる。
特開昭60−246230号公報記載の貴金属を成膜し
た材料は融着は起こしにくいが、極めて柔らかいため傷
がつき易く変形し易いという欠点を持つ。
【0005】又、特開昭61−183134号公報、特
開昭61−281030号公報にそれぞれ記載のダイヤ
モンド薄膜、ダイヤモンド状炭素膜、水素化アモルファ
ス硬質炭素膜又は硬質炭素膜を用いた成形用型は、ガラ
スとの離型性が良く、ガラスの融着を起こさないが、成
形操作を数百回以上繰り返して行うと、前記膜が部分的
に剥離してしまい、成形品において十分な成形性能が得
られないことがある。この原因として以下のことが考え
られる。
【0006】前述の膜は、いずれも非常に大きな圧縮応
力を有しており、成形プロセスにおける急加熱―急冷却
に伴う応力解放の結果として剥離、クラック等が生じ
る。同様に型母材と膜との熱膨張係数の違いと熱サイク
ルに起因する熱応力によっても同様な現象が生じる。
【0007】又、型母材によっては、表面状態により膜
が部分的に形成されなかったり、膜厚が薄いことがあ
る。例えば、WC−CoやSiC、Si3 4 等の焼結
体では、粒の欠落や焼結時のポアが避けられず、成形研
磨面に数μm以上の穴が存在している。こうした面に膜
を形成したとき、これらの穴には膜が形成されてなかっ
たり、極端に膜厚の薄い状態になる。従って、こうした
部分の膜の付着強度や機械的強度は著しく低下するため
剥離やクラックの発生起点となりやすい。
【0008】さらに、WC−CoのCoに代表される焼
結体中の焼結助材と前述の膜の間で拡散による合金形成
が生じガラス中に含有される成分と反応し析出物を生じ
る結果、耐久性の劣化を招く。
【0009】以上のように、成形性、耐久性、経済性に
優れた光学素子成形用型を実現するには至っていない。
【0010】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて
なされたものであり、第1の目的は、光学素子との離型
性を向上させた光学素子成形用型を提供することであ
る。また、第2の目的は、光学素子との離型性のみなら
ず耐久性を兼ね備えた光学素子成形用型を提供すること
である。さらに、第3の目的は、光学素子との離型性の
みならず耐久性を兼ね備え、短時間で作製することので
きる光学素子成形用型を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明に係る光学素子成形用型は、光学素子の
プレス成形に用いる光学素子成形用型において、型母材
の少なくとも成形面にタンタルイオンが注入されている
ことを特徴とする光学素子成形用型。
【0012】また、第2の発明に係る光学素子成形用型
は、光学素子のプレス成形に用いる光学素子成形用型に
おいて、型母材の少なくとも成形面に形成したタンタル
膜にイオンが注入されていることを特徴とする光学素子
成形用型。
【0013】さらに、第3の発明に係る光学素子成形用
型は、光学素子のプレス成形に用いる光学素子成形用型
において、型母材の少なくとも成形面にタンタル膜を形
成すると同時にイオンを注入したことを特徴とする光学
素子成形用型。
【0014】すなわち、第1の発明に係る光学素子成形
用型は、型母材の少なくとも成形面にタンタルイオンを
注入する。
【0015】また、第2の発明の係る光学素子成形用型
は、型母材の少なくとも成形面にタンタル膜を形成し、
このタンタル膜にイオンを注入する。
【0016】さらに、第3の発明に係る光学素子成形用
型は、型母材の少なくとも成形面にタンタル膜を形成
し、このタンタル膜の形成と同時にイオンを注入する。
【0017】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]ガラスレンズ(曲率半径R=150m
m、表面粗さRmax =0.03μm、直径φ=5mm、
肉厚=2mm)を得るための成形用型を作成した。型母
材として焼結体SiCを上記ガラスレンズに合わせて所
定の形状に加工した後、CVD法により多結晶のSiC
膜を形成し、このSiC膜の成形面となる表面を鏡面研
磨したものを用いた。この型母材を洗浄した後、イオン
注入装置を用い、質量分離を行い、タンタルイオン(T
a 180+ )を成形面に以下の条件で注入した。
【0018】注入量:5×1017ions/cm2 、イ
オンエネルギー:100keV タンタルイオン注入後の成形面の表面粗さを評価したと
ころ、Rmax =0.02μmであった。比較用として同
一形状、表面粗さの未イオン注入の型母材SiCからな
る成形用型を用いた(比較例1)。
【0019】なお、本発明で用いるイオン注入とは、添
加を目的とする粒子をイオン化し、超高真空中で数ke
Vから数100keVに加速して固体基板、すなわち型
母材に添加することにより、バルクと異なった特定の性
質を有する表面層を形成する手法である。照射されたイ
オンが固体基板に侵入すると基板原子との衝突を繰り返
してエネルギーを損失する。その結果、注入したイオン
は固体基板内に停止するが、このときの侵入深さは、通
常のイオン注入の場合、0.01〜1μm程度である。
侵入深さに関する最大濃度の深さやその広がりは、基板
の密度、注入イオンとその加速エネルギーによって決定
される。従って、本発明に型母材として用いられる材質
としては、WC、SiC、TiC、TaC、BN、Ti
N、AlN、Si3 4 、SiO2 、Al2 3 、Zr
2 、W、Ta、Mo、サーメット、サイアロン、ムラ
イト、WC−Co合金等から選ばれるが、耐熱性、熱電
導率等からSiCが望ましい。
【0020】また、タンタルは耐熱性が高く、機械的強
度に優れており、ガラスとの反応性が乏しく、光学素子
成形用型の成形面に形成材料として適しているといえ
る。このタンタルの金属塊を直に切削、研磨等の加工を
行った型が考えられるが、タンタルは展延性に富むた
め、成形面の加工精度が得られ難く、そして、材料コス
ト等が非常に高く、コスト面を考慮しても実用的でな
い。また、上記した型母材上にスパッタ法等により薄膜
を形成した型も考えられるが、型母材と薄膜との間に明
瞭な界面が存在するため、熱衝撃等に対する十分な耐久
性が得られず、膜剥離等をきたしてしまう。一方、イオ
ン注入により形成した成形面の形状は型母材の形状に倣
うため、良好な成形面精度を確保できる。また、イオン
注入層では、型母材表面から深さ方向にタンタルが傾斜
的に分布しているため、型母材との界面が存在せず、密
着性が良好である。従って、薄膜のように剥離及び破壊
が起きることがないため、耐久性も兼ね備えた成形用型
が得られる。又、注入量は1×1015ions/cm2
〜1×1019ions/cm2 の範囲が望ましい。これ
は、1×1015ions/cm2 未満では型母材表面に
分布するタンタル濃度が低いため、ガラスとの離型性が
悪く、1×1019ions/cm2 を越えると逆に過剰
となり形成面の表面がスパッタされ表面状態が悪くなる
ためである。さらに、注入中あるいは注入後の型母材を
熱処理することにより、注入したイオンは増速拡散効果
により分布の広がり効果を生みだし、深い侵入が実現さ
れる。この結果、型母材との密着性が更に良くなると共
に熱安定も増す。
【0021】タンタルイオン注入後の成形用型で、フリ
ント系ガラスLaSF03(軟化点Sp=687℃、ガ
ラス転移点Tg=610℃)を用いて成形機にてプレス
成形を行い、離型不良発生までの成形回数を比較用の成
形用型と共に評価した。その結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】タンタルイオン注入処理の施していないS
iCからなる比較例1の成形用型は、成形温度が高いた
めに焼き付けを生じ成形できなかった。
【0024】それに対し、タンタルイオンを注入した本
実施の形態の成形用型では10000ショット以上の成
形が可能であった。また、10000ショット成形した
後の成形用型は、傷や割れといった欠陥やガラス中に含
まれるPbOの還元析出物であるPbやガラスの融着が
光学顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)によって観察さ
れなかった。また、成形品についても表面粗さ、面精
度、透過率、形状精度とも良好でPbの析出や成形時の
ガス残りといった問題もなかった。
【0025】本実施の形態の光学素子成形用型によれ
ば、LaSF03のような高温での成形においても、離
型が容易に、且つ繰り返し行えるため、生産性が大幅に
向上する。
【0026】[実施の形態2]実施の形態1と同様の材
質からなる型母材を用い、実施の形態1と同様の形状の
ガラスレンズを得るための成形用型を作成した。型母材
を洗浄した後、IBS装置(イオンビームスパッタ装
置)に設置し、成形用型の成形面となる面にタンタル膜
を1500Å形成した。次にイオン注入装置を用いて、
以下の条件でイオン注入を施した。
【0027】タンタル膜にアルゴンイオン(Ar+ )を
500keVのエネルギーで5×1017ions/cm
2 の注入量で注入した。イオン注入後の成形面の表面粗
さを評価したところRmax =0.02μmであった。
【0028】ここで型母材の表面にタンタル膜を形成し
た後に膜界面よりも大きい飛程を持つ高いエネルギーの
イオンを1×1016ions/cm2 以上注入すること
により、界面において型母材と膜の原子をミキシングさ
せる。ビーム・ミキシングはビームの持つエネルギーに
より膜と型母材の界面で原子を混合し、鋭い界面の消失
や原子混合による化合物形成を目的としている。このよ
うなイオンビーム照射によって引き起こされるミキシン
グは照射損傷を伴い、欠陥を多量に作ると考えられる。
しかし、イオンと基板原子との衝突は、核的衝突のみな
らず電子的衝突も同時に起こっている。もし、衝突によ
るエネルギー損失の割合がLSS理論に従うとすれば、
あるエネルギーよりは高い側で電子的衝突によるエネル
ギー損失の方が大きくなる。すなわち高エネルギー側で
電子的、低エネルギー側で核的衝突が大きくなり、した
がって膜表面側は核的衝突による基板原子の散乱は小さ
く、電子的衝突による基板原子のイオン化の方が大きく
なる。このような効果から薄膜は非晶質化したり、結晶
成長を起こしたりする。非晶質と結晶が混在する場合も
ある。
【0029】また、タンタル膜を成形面に形成させると
ガラスの離型性が向上するが、成形回数が増加するに従
い、膜と型母材との熱膨張係数の違い等により、膜の剥
離及びクラックが生じる。それに対して、イオンビーム
・ミキシングした材料は、形成した薄膜の剥離が起こり
にくい。これは物理的には界面がないことから予測でき
る。
【0030】タンタル膜はイオンビームスパッタ法、プ
ラズマスパッタ法等により形成される。また、ミキシン
グに利用する注入イオン種としては膜界面よりも大きい
飛程を持つ高エネルギーのイオンであれば良いが、不活
性元素であるHe、Ar等が望ましい。このとき注入イ
オンの注入量が1×1015ions/cm2 以上のとき
基板材料とタンタル膜の界面において十分なミキシング
の効果が得られる。イオンの注入量は1×1015ion
s/cm2 以上であれば良いが、表面の荒れを考慮する
と1×1019ions/cm2 以下が望ましく、1×1
15ions/cm2 〜1×1019ions/cm2
範囲が好ましい。さらに、ミキシング後に型母材を熱処
理することにより、ミキシング効果をより得ることがで
きる。
【0031】評価方法は実施の形態1と同様であり、そ
の結果を表1に示す。本実施の形態の成形用型では良好
な離型性が確認され、ガラスレンズ成形後の成形用型を
光学顕微鏡及びSEMにて観察したところ、10000
ショット成形後の型でも、傷や割れといった欠陥や、ガ
ラス中に含まれるPbOの還元析出物であるPbやガラ
スの融着が光学顕微鏡、SEMによって観察されなかっ
た。また、成形品(ガラスレンズ)についても表面粗
さ、面精度、透過率、形状精度とも良好で、Pbの析出
や成形時のガス残りといった問題もなかった。
【0032】本実施の形態によれば、成形用型の成形面
にタンタル膜を成膜した後に、イオン注入を施してタン
タル膜と型母材との間に傾斜層を設けたことにより鋭い
界面をなくすことができ、タンタル膜と型母材との密着
性が向上し、離型性のみならず耐久性も兼ね備えた成形
用型を得ることができる。そのため、メンテナンスの必
要がなく生産効率が向上する。また、成膜とイオン注入
とを併用させることにより、比較的安価に成形用型を作
製することができる。
【0033】[実施の形態3]実施の形態1と同様の材
質からなる型母材を用い、実施の形態1と同様の形状の
ガラスレンズを得るための成形用型を作成した。型母材
を洗浄した後、IBS装置を組み込んだ複合型のIBA
D(イオンビームアシスト蒸着)装置に設置した後、高
エネルギーのイオン源によりAr+ を照射しながら、低
エネルギーのイオン源を用いてスパッタによりタンタル
膜を成形面に5000Å形成した。アルゴンイオン注入
後の成形面の表面粗さを評価したところRmax =0.0
2μmであった。なお、比較用として形状及び材質の同
じ成形用型に、未イオン注入で、タンタル膜をスパッタ
により形成したものを用意した(比較例2)。
【0034】上記手法は、 Ion Beam Enh
anced Deposition(IBED、イオン
ビーム促進蒸着)、ダイナミックミキシング、あるいは
Ion Beam Assisted Deposit
ion(IBAD、イオンビームアシスト蒸着)と呼ば
れ、蒸着とイオンビーム照射を同時に行う表面被覆法で
ある。また、上記手法に蒸着以外のスパッタを組み合わ
せたものなどもある。この手法は薄膜を通してイオン注
入した場合に見られる原子の混合と結晶成長あるいは非
晶質化を誘起し、形成される薄膜の特性はイオンの運動
エネルギー、電流密度、基板温度、ビームの方向などに
依存する。また、ダイナミックミキシングでは、成膜と
イオンビームの同時処理と言っても、実際にはイオンビ
ーム照射が先行するのが一般的である。これは、イオン
ビーム照射が表面のクリーニングのみならず準安定改質
層に起因した界面反応を促進させ、密着性を向上させる
ことが狙いである。
【0035】この手法にあっては、ダイナミックミキシ
ングにより型母材とタンタル膜との付着強度が向上する
ために、タンタル層の剥離及びクラックの発生を防ぐこ
とができる。また、型母材の材料、膜の形成法、イオン
種は前述と同様であり、ダイナミックミキシング後の熱
処理の効果も前述と同様であるが、成膜とイオン注入と
を同時に行うことから、処理に要する時間が短縮され効
率的である。
【0036】成形用型の評価方法は実施の形態1と同様
であり、その結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】本実施の形態の成形用型及び比較例2の成
形用型は、どちらも良好な剥離性が確認されたが、タン
タル層のみが施された比較例2の成形用型については1
00ショット成形後に離型不良が確認された。また、成
形後の成形用型を光学顕微鏡およびSEMにて観察した
ところ、タンタル膜の剥離が確認され、ガラスの融着が
確認された。
【0039】それに対して、ダイナミックミキシング法
によりタンタル膜と型母材との密着性を向上させた本実
施の形態の成形用型は10000ショット成形後でも、
傷や割れといった欠陥や、ガラス中に含まれるPbOの
還元析出物であるPbやガラスの融着が光学顕微鏡、S
EMによって観察されなかった。また、成形品について
も表面粗さ、面精度、透過率、形状精度とも良好で、P
bの析出や成形時のガス残りといった問題もなかった。
【0040】本実施の形態3によれば、成形用型の成形
面にタンタル層を成膜すると同時に、アルゴンイオン注
入を施してタンタル膜と型母材との密着性を向上させる
ことにより、離型性のみならず耐久性も兼ね備えた成形
用型を得ることができる。そのため、メンテナンスの必
要がなく生産効率が向上する。また、成膜とイオン注入
とを併用させ、かつ同時に行うことにより、比較的安価
に、短時間で型を作製することができる。
【0041】なお、上記した具体的実施の形態から次の
ような構成の技術的思想が導き出される。
【0042】(付記) (1)光学素子のプレス成形に用いる光学素子成形用型
の製造方法において、型母材の少なくとも成形面にタン
タルイオンを注入することを特徴とする光学素子成形用
型の製造方法。
【0043】(2)光学素子のプレス成形に用いる光学
素子成形用型の製造方法において、型母材の少なくとも
成形面にタンタル膜を形成する工程と、上記工程の後に
成形面に形成したタンタル層にイオンを注入する工程
と、を有することを特徴とする光学素子成形用型の製造
方法。
【0044】(3)光学素子のプレス成形に用いる光学
素子成形用型の製造方法において、型母材の少なくとも
成形面にタンタル膜を形成すると同時にイオンを注入す
ることを特徴とする光学素子成形用型の製造方法。
【0045】(4)上記型母材にイオンを注入している
間あるいは注入した後に、型母材を熱処理する工程をさ
らに加えることを特徴とする付記(2)または(3)に
記載の光学素子成形用型の製造方法。
【0046】付記(1)記載の光学素子成形用型の製造
方法によれば、光学素子との離型性を向上させた光学素
子成形用型を作製することができる効果を奏する。
【0047】また、付記(2)記載の光学素子成形用型
の製造方法によれば、光学素子との離型性のみならず耐
久性を兼ね備えた光学素子成形用型を作製することがで
きる効果を奏する。
【0048】さらに、付記(3)記載の光学素子成形用
型の製造方法によれば、光学素子との離型性のみならず
耐久性を兼ね備えた光学素子成形用型を短時間で作製す
ることができる効果を奏する。
【0049】付記(4)記載の光学素子成形用型の製造
方法によれば、上記付記(2)または(3)の効果に加
え、型母材とタンタル膜との密着性がより向上すると共
に熱安定性が増した光学素子成形用型を作製することが
できる効果を奏する。
【0050】(5)光学素子のプレス成形に用いる光学
素子成形用型において、型母材としてSiCを用い、型
母材の少なくとも成形面にタンタルイオンが注入されて
いることを特徴とする光学素子成形用型。
【0051】(6)光学素子のプレス成形に用いる光学
素子成形用型において、型母材としてSiCを用い、型
母材の少なくとも成形面に形成したタンタル膜にアルゴ
ンイオンが注入されていることを特徴とする光学素子成
形用型。
【0052】(7)光学素子のプレス成形に用いる光学
素子成形用型において、型母材としてSiCを用い、型
母材の少なくとも成形面にタンタル膜を形成すると同時
にアルゴンイオンを注入したことを特徴とする光学素子
成形用型。
【0053】付記(5)記載の光学素子成形用型によれ
ば、耐熱性及び熱伝導性等が良く、光学素子との離型性
を向上させた光学素子成形用型を得ることができる効果
を奏する。
【0054】また、付記(6)記載の光学素子成形用型
によれば、耐熱性及び熱伝導性等が良いとともに、タン
タル膜の剥離が起こりにくく、光学素子との離型性のみ
ならず耐久性を兼ね備えた光学素子成形用型を得ること
ができる効果を奏する。
【0055】さらに、付記(7)記載の光学素子成形用
型によれば、耐熱性及び熱伝導性等が良いとともに、タ
ンタル膜の剥離が起こりにくく、光学素子との離型性の
みならず耐久性を兼ね備えた光学素子成形用型を短時間
で得ることができる効果を奏する。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光学素子
成形用型によれば、以下の効果を奏することができる。
【0057】請求項1による本発明の光学素子成形用型
によれば、光学素子との離型性を向上させて容易に離型
できるとともに、繰り返し光学素子の成形を行うことが
できるため、光学素子の生産性を大幅に向上させること
ができる。
【0058】請求項2による本発明の光学素子成形用型
によれば、タンタル膜と型母材との密着性を向上させ、
離型性のみならず耐久性に優れ、成形型のメンテナンス
の必要がなく、生産性を大幅に向上させた成形用型を低
コストで得ることができる。
【0059】請求項3による本発明の光学素子成形用型
によれば、タンタル膜と型母材との密着性を向上させ、
離型性のみならず耐久性に優れ、成形型のメンテナンス
の必要がなく、生産性を大幅に向上させる成形用型を短
時間で、且つ低コストで得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学素子のプレス成形に用いる光学素子
    成形用型において、 型母材の少なくとも成形面にタンタルイオンが注入され
    ていることを特徴とする光学素子成形用型。
  2. 【請求項2】 光学素子のプレス成形に用いる光学素子
    成形用型において、型母材の少なくとも成形面に形成し
    たタンタル膜にイオンが注入されていることを特徴とす
    る光学素子成形用型。
  3. 【請求項3】 光学素子のプレス成形に用いる光学素子
    成形用型において、型母材の少なくとも成形面にタンタ
    ル膜を形成すると同時にイオンを注入したことを特徴と
    する光学素子成形用型。
JP6671297A 1997-03-19 1997-03-19 光学素子成形用型 Withdrawn JPH10259029A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1394123A1 (en) * 2002-08-29 2004-03-03 Eastman Kodak Company Mechanism to mold glass lenses using an implanted precision glass molding tool
JP2006103134A (ja) * 2004-10-05 2006-04-20 Konica Minolta Holdings Inc インクジェットヘッドの電極形成方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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