JPH0948622A - ガラス光学素子の成形用型 - Google Patents

ガラス光学素子の成形用型

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JPH0948622A
JPH0948622A JP19886195A JP19886195A JPH0948622A JP H0948622 A JPH0948622 A JP H0948622A JP 19886195 A JP19886195 A JP 19886195A JP 19886195 A JP19886195 A JP 19886195A JP H0948622 A JPH0948622 A JP H0948622A
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molding
ions
mold
chromium
oxygen
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JP19886195A
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雅道 ▲ひじ▼野
Masamichi Hijino
Natsue Momiyama
奈津江 籾山
Yasuhiro Yoneda
靖弘 米田
Seiji Isogawa
征史 五十川
Hiroaki Negishi
広明 根岸
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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    • C03B11/08Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses
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    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金型表面において、膜剥離、クラック等の発生
がなく、耐久性に優れ、かつ、ガラスとの融着が起こら
ず、離型性の優れたガラス光学素子の成形用型を提供す
る。 【解決手段】ガラス光学素子の成形用型において、少な
くともその成形面に、クロムイオンおよび酸素イオンを
注入して、少なくともクロムと酸素との混合層を形成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス光学素子の
成形用型に関わり、詳しくは成形用型の成形面に関す
る。
【0002】
【従来の技術】研磨工程を必要としないで、ガラス素材
をプレス成形してレンズを製造する技術は、従来の製造
方法において必要とされた複雑な工程をなくし、簡単か
つ安価にレンズを製造することを可能にし、近年、レン
ズのみならずプリズム等のガラスよりなる光学素子の製
造に用いられるようになってきた。
【0003】このようなガラス光学素子のプレス成形に
使用される成形用型には、数多くの性質が要求され、硬
度、耐熱性、鏡面加工性等に優れていることが求められ
ている。このため、この種の成形用型に用いられる材料
として、金属、セラミックスおよびこれらにコーチング
をしたものなど、数多くの提案がなされている。
【0004】特開昭49−51112号公報には、耐酸
化性が特にすぐれ、Crメッキを必要とせず、常温、高
温強度とも大で、耐ぼう耐腐食性、型離れ性のすぐれた
高寿命を得るガラス成形金型用鋼として、13Crマル
テンサイト鋼が提案されている。また、特開昭52−4
5613号公報には、ガラス状カーボンの望ましいガラ
スモールド特性を有し、しかも同時に改良された構造的
および熱的特性を有する鋳型用材料として、シリコンカ
ーバイド(SiC)、シリコンカーバイドとカーボンと
の混合物、および窒化シリコン(Si3 4 )が提案さ
れている。さらに、特開60−246230号公報に
は、ガラスレンズの直接プレス成形の型に要求される高
精度の型加工が容易に行え、かつこのようにして作製し
た型を用いることによって良好な像形成品質を有する光
学ガラスレンズの直接プレス成形が可能となる光学ガラ
ス素子のプレス成形用型として、超硬合金の母材に貴金
属をコーチングしたものが提案されている。
【0005】さらに又、特開昭61−183134号公
報、特開61−281030号公報および特開平1−3
01864号公報には、タングステンカーバイド(W
C)等の母材に、ダイヤモンド薄膜、ダイヤモンド状炭
素膜などをコーチングした成形用型が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記従来技
術には、以下のような問題点がある。特開昭49−51
112号公報所載の提案による13Crマルテンサイト
鋼は、酸化し易く、高温でFeがガラス中に拡散してガ
ラスが着色する。特開昭52−45613号公報所載の
提案によるシリコンカーバイド(SiC)および窒化シ
リコン(Si3 4 )は、一般に酸化されにくいとされ
ているが、高温では酸化が起こり表面にSiO2 の膜が
形成されるためガラスの融着が生じる。特開昭60−2
46230号所載の提案による貴金属をコーチングした
成形用型は、融着は起こしにくいが、極めて柔らかいた
め傷がつき易く変形し易い。
【0007】また、特開61−183134号公報、特
開昭61−281030号公報および特開平1−301
864号公報にそれぞれ所載のダイヤモンド薄膜、ダイ
ヤモンド状炭素膜、水素化アモルファス硬質炭素膜また
は硬質炭素膜をコーチングした成形用型は、型とガラス
との離型性がよく、ガラスの融着を起こさないが、成形
操作を数百回以上繰り返して行うと、上述の膜が部分的
に剥離し、成形品において十分な成形性能が得られない
ことがある。この原因として、以下のことが考えられ
る。
【0008】(1)上述の膜は、いづれも非常に大きな
圧縮応力を有しており、成形プロセスにおける急加熱−
急冷却に伴う応力解放の結果として、剥離、クラックな
どが生じる。同様に型母材と膜の熱膨張係数の違いと熱
サイクルに起因する熱応力によっても同様な現象が生じ
る。 (2)型母材によっては、表面状態により、膜が部分的
に形成されなかったり、膜圧が薄いことがある。例え
ば、WC−Co,SiC,Si3 4 等の結晶体では、
粒の欠落や焼結時のポアが避けられず、成形研磨面に数
μm以上の穴が存在している。こうした面に膜を形成し
たとき、これらの穴には膜が形成されなかったり、極端
に薄い膜厚状態になる。従って、こうした部分の膜の付
着強度や、機械的強度は著しく低下するため、剥離やク
ラックの発生起点となりやすい。 (3)WC−CoのCoに代表される焼結体中の焼結助
剤と上述の膜との間で、拡散による合金形成が生じ、ガ
ラス中に含有される成分と反応し、析出物を生じる結
果、耐久性の劣化を招く。 以上、従来技術の問題点により、成形性、耐久性および
経済性に優れたガラス光学素子の成形用型を実現するに
は至っていない。
【0009】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたもので、請求項1、2または3に係る発明の課題
は、金型表面において、膜剥離、クラック等の発生がな
く、耐久性に優れ、かつ、ガラスとの融着が起こらず、
離型性の優れたガラス光学素子の成形用型を提供するこ
とである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に係る発明は、ガラス光学素子の成形用型
において、少なくともその成形面に、クロムイオンおよ
び酸素イオンを注入して、少なくともクロムと酸素との
混合層を形成したことを特徴とする。請求項2に係る発
明は、ガラス光学素子の成形用型において、少なくとも
その成形面に予め形成した酸化クロムの薄膜に、イオン
を注入して、型母材と前記薄膜とをミキシングさせ、少
なくともクロムと酸素との混合層を形成したことを特徴
とする。請求項3に係る発明は、ガラス光学素子の成形
用型において、少なくともその成形面にクロムの薄膜を
形成するとともに、酸素イオンを注入して、少なくとも
クロムと酸素との混合層を形成したことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】請求項1に係る発明の実施の形態
について説明する。本発明に用いるイオン注入とは、添
加を目的とする粒子をイオン化し、超高真空中で数ke
Vから数100keVに加速して、固定基板に添加する
ことにより、バルクと異なった特定の性質を有する表面
層を形成する手法である。固体へ照射されたイオンが固
体に進入すると、基板原子との衝突を繰り返してエネル
ギーを損失する。その結果、注入したイオンは固定基板
内に停止するが、このときの侵入深さは、通常のイオン
注入の場合、0.01〜1μmである。侵入深さに関す
る最大濃度の深さやその広がりは、基板の密度、注入イ
オンとその加速エネルギーによって決定される。従っ
て、本発明に型母材として用いられる材質としては、W
C,SiC,TiC,TaC,BN,TiN,AlN,
Si3 4 ,SiO2 ,Al2 3 ,ZrO 2 ,W,T
a,Mo,サーメット,サイアロン,ムライト,WC−
Co合金等から選ばれるが、耐熱性、鏡面加工性、熱伝
導率等からSiCが望ましい。
【0012】クロムイオンおよび酸素イオンの注入量、
注入条件は、特に限定されないが、注入量は1×1015
ions/cm2 〜1×1019ions/cm2 の範囲
が望ましい。これは、1×1015ions/cm2 未満
では母材表面に分布するクロムおよび酸素の濃度が低い
ため、ガラスとの離型性が悪く、1×1019ions/
cm2 を超えると、逆に過剰となり、成形面の表面がス
パッタされ表面状態が悪くなるためである。注入の順序
としては特に制限はないが、型母材への酸素の影響を考
慮すると、先ずクロムイオンを注入した後、酸素イオン
を注入することが望ましい。さらに、注入中または注入
後に型母材を熱処理することにより、注入したイオンは
増速拡散効果により分布の広がり効果を生み出し、深い
侵入が実現される。この結果、型母材との密着性がさら
に良くなるとともに、熱安定性も増す。
【0013】本発明の作用について説明する。型母材に
クロムイオンおよび酸素イオンを注入することにより、
クロムイオンは型母材に含まれる酸素または注入された
酸素イオンと結合または混在し、クロムと酸素との結合
層またはクロムと酸素とが混在する層を形成する。さら
に、熱処理を加えることにより、結合または緻密な混合
を促進させることができる。その結果、型母材の少なく
とも成形面には、酸化クロム(Cr2 3 )または酸化
クロムと物性上類似した混合層が形成される。
【0014】酸化クロムは、標準生成エネルギーが負の
値であり、その絶対値は大きいため、他の元素と化合物
を作りにくい。そのため、成形時における溶融ガラスの
焼き付きと呼ばれる離型不良が発生しにくい。また、イ
オン注入により形成した層では、母材表面から深さ方向
にクロムおよび酸素が傾斜的に分布しているため、母材
との界面が存在せず、密着性が良好である。従って、薄
膜のように剥離および破壊が起きることがないため、離
型性のみならず耐久性も兼ね備えた成形用型が得られ
る。
【0015】請求項2に係る発明の実施の形態について
説明する。型母材の表面に酸化クロム膜を形成した後
に、膜界面よりも大きい飛程をもつ高エネルギーのイオ
ンを注入させることにより、界面において、型母材と膜
とをミキシングさせる。また、ミキシングに利用する注
入イオン種としては、膜界面よりも大きい飛程を持つ高
エネルギーのイオンであれば良いが、不活性元素である
He,Ar等が望ましい。注入イオンの注入量が1×1
14ions/cm2 以上のとき、基板材料と膜との界
面において十分なミキシング効果が得られる。注入量は
1×1014ions/cm2 以上であれば良いが、1×
1020ions/cm2 を超えると表面が荒れることが
あるので、可能な限り1×1014ions/cm2 〜1
×1020ions/cm2 の範囲が好ましい。さらに、
請求項1の発明と同様、ミキシング後に母材を熱処理す
ることにより、ミキシング効果が上がる。
【0016】酸化クロム膜は、プラズマCVD法、イオ
ンビームスパッタ法、イオンビーム蒸着法、プラズマス
パッタ法等により形成される。また、本発明に用いる型
母材は、請求項1に係る発明の実施の形態で記載した材
料と同様である。
【0017】本発明の作用について説明する。酸化クロ
ム膜を成形面に付着させると、ガラスの離型性が向上す
るが、成形回数が増加するに従い、膜と型母材との熱膨
張係数の違いにより、膜の剥離およびクラックが生じ
る。それに対して、イオンビーム・ミキシングした材料
は、形成した薄膜の剥離が起こりにくい。これは物理的
には界面がないことから予測できる。
【0018】ビームミキシングは、ビームの持つエネル
ギーにより、膜と型母材の界面で原子または化合物を混
合し、鋭い界面の消失や原子混合による化合物形成を目
的としている。このようなイオンビーム照射によって引
き起こされるミキシングは、照射損傷を伴い、欠陥を多
量に作ると考えられる。しかし、イオンと基板原子との
衝突は、核的衝突のみならず電子的衝突も同時に起こっ
ている。もし、衝突によるエネルギー損失の割合がLS
S理論に従うとすれば、あるエネルギーよりは高い側で
電子的衝突によるエネルギー損失の方が大きくなる。す
なわち、高エネルギー側で電子的、低エネルギー側で核
的衝突が大きくなり、従って膜表面側は核的衝突による
基板原子の散乱は小さく、電子的衝突による基板原子の
イオン化の方が大きくなる。このような効果から薄膜は
非晶質化したり、結晶成長を起こしたりする。非晶質と
結晶が混在する場合もある。
【0019】このように、本発明は、型母材の表面に、
酸化クロム膜を形成した後、イオンを注入することによ
り型母材と膜との付着強度を改善し、耐久性の向上を実
現するとともに、イオン注入と膜形成とを併用すること
により、比較的コストが高いイオン注入の注入時間が短
くなり、あるいは条件等が容易となるため、コストの低
下を実現することができる。
【0020】請求項3に係る発明の実施の形態について
説明する。本発明の手法は、IonBeam Enha
nced Deposition(IBED,イオンビ
ーム促進蒸着)、ダイナミックミキシング、またはIo
n Beam Assisted Depositio
n(IBAD,イオンビームアシスト蒸着)と呼ばれ、
膜形成とイオンビーム照射とを同時に行う表面被覆法で
あり、薄膜を通してイオン注入した場合に見られる原子
の混合と結晶成長あるいは非晶質化を誘起する。注入イ
オン種としては、酸素イオンを用い、酸化クロムまたは
クロムと酸素が混在した層を形成する。型母材の材料お
よび膜の形成方法は、請求項2に係る発明の実施の形態
で記載したものと同様である。
【0021】本発明の作用について説明する。膜形成と
イオンビーム照射を同時に行う表面被覆法により、酸化
クロムまたはクロムと酸素が混在した層を形成する。ま
た、母材と膜との付着強度が向上するために、膜の剥離
およびクラックの発生を防ぐことができる。
【0022】形成される薄膜の特性は、イオンの運動エ
ネルギー、電流密度、基板温度、ビームの方向などに依
存する。また、これらの表面被覆法では、膜形成とイオ
ンビームの同時処理といっても、実際にはイオンビーム
照射が先行するのが一般的である。これは、イオンビー
ム照射がクリーニングのみならず準安定改質層に起因し
た界面反応を促進させ、密着性を向上させる狙いであ
る。ダイナミックミキシング後の熱処理の作用も、前述
と同様であるが、膜形成とイオン注入とを同時に行うこ
とから、処理に要する時間が短縮され効率的である。
【0023】
【実施例1】図1は実施例1を示し、ガラス光学素子の
成形用型の成形面の注入元素の分布を示す図表である。
【0024】ガラスレンズ(曲率半径R=150mm、
表面粗さRmax =0.03μm、直径φ=5mm、肉厚
=2mm)を得るため、成形用型を2個作製した。型母
材として、焼結SiCを所定の形状に加工した後、CV
D法により多結晶のSiC膜を形成し、成形面を鏡面研
磨したものを得た。これらの成形用型を洗浄した後、イ
オン注入装置を用いて、質量分離を行い、クロムイオン
52Cr+ )を成形面に、以下の条件でそれぞれ注入し
た。 ・注入量 2×1017ions/cm2 ・イオンエネルギー 50keV その後、酸素イオン(16+ )を以下の条件で注入し
た。 ・注入量 1×1018ions/cm2 ・イオンエネルギー 20keV
【0025】イオン注入後の成形表面の表面粗さを評価
したところ、Rmax =0.02μmであり、クロム濃度
および酸素濃度と深さとの関係をXPSにより把握し
た。この結果を図1の図表に示す。図1の縦軸は元素比
率(at%)を、横軸は表面からの深さ(Å)を示し、
酸素および(酸素+クロム)の分布を表示している。ま
た、XPSによりクロムと酸素との結合状態を確認した
ところ、一部にCr−Oの結合が認められ、酸化クロ
ム、クロム及び酸素が混在する層が形成されていた。な
お、比較用成形用型として、イオン注入を施さない同一
形状、同一材質の成形用型2個を作製し、比較評価を行
った。
【0026】イオン注入後の成形用型で、フリント系ガ
ラスLaSF03(軟化点Sp=687℃、ガラス転移
点Tg=610℃)を用いて成形機にてプレス成形を行
い、離型不良発生までの成形回数を、本実施例の成形用
型と比較用成形用型とで比較して評価した。その結果を
表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】イオン注入処理を施してない成形用型は、
ガラスレンズの離型不良である成形面での焼き付きを生
じ、成形不能となった。これに対し、イオン注入した成
形用型では、10000ショット以上の成形が可能であ
った。また、10000ショット成形した後の成形用型
は、傷や割れなどの欠陥や、ガラス中に含まれるPbO
の還元析出物であるPbやガラスの融着は、光学顕微
鏡、走査電子顕微鏡(SEM)によって観察したが発見
されなかった。また、成形品についても、表面粗さ、面
精度、透過率、形状精度ともに良好で、Pbの析出や成
形時のガス残りという問題もなかった。
【0029】本実施例によれば、クロムイオンおよび酸
素イオンを注入した成形用型の成形表面は、図1に示し
たように、殆どクロムと酸素とが占め、さらに深さ方向
に傾斜的に分布しているため、ガラスレンズの成形時に
おける離型性および耐久性を向上させることができる。
また、LaSF03のような高温での成形においても、
離型が容易に且つ繰り返し行えるため、生産性を大幅に
向上させることができる。
【0030】
【実施例2】図2〜図3は実施例2を示し、図2は成形
用型の成形面にAr+ を注入した場合のクロム+酸素の
分布を示す図表、図3は成形用型の成形面にHe+ を注
入した場合のクロム+酸素の分布を示す図表である。
【0031】実施例1と同様の形状寸法および材質の成
形用型(a)(b)を作製した。これらの成形用型を良
く洗浄してから、IBD装置に装着し、成形面に酸化ク
ロム膜を膜厚1000Åに形成した。つぎに、イオン注
入装置を用いて、それぞれの成形用型を以下の条件で処
理した。 成形用型(a):酸化クロム膜にAr+ を200keV
のエネルギーで5×1017ions/cm2 注入した。 成形用型(b):酸化クロム膜にHe+ を40keVの
エネルギーで5×10 17ions/cm2 注入した。
【0032】注入後の成形面の表面粗さを評価したとこ
ろ、成形用型(a)(b)ともにR max =0.02μm
であった。また、成形用型(a)(b)にイオン注入し
た成形面の(クロム+酸素)の分布状態をXPSにて観
測した結果を、それぞれ図2と図3に示す。また、比較
用成形用型として、イオン注入を施さず、酸化クロムの
みを施した同一形状、同一材質の成形用型(c)を作製
し、比較評価を行った。
【0033】評価方法は、実施例1と同様である。その
結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】全ての成形用型について、良好な離型性が
確認されたが、成形用型(c)については、100ショ
ット成形後に離型不良が発生した。成形後の成形用型
(c)を光学顕微鏡およびSEMにて観察したところ、
酸化クロム膜の剥離およびガラスの融着が確認された。
これに対し、成形用型(a)(b)ともに、図2および
図3から判るように、傾斜層が形成されているため、剥
離等の発生がなく、10000ショット成形後の成形用
型でも、傷や割れのような欠陥や、ガラス中に含まれる
PbOの還元析出物であるPbやガラスの融着は、光学
顕微鏡およびSEMによって観察したが発見されなかっ
た。また、成形品についても、表面粗さ、面精度、透過
率、形状精度ともに良好で、Pbの析出や成形時のガス
残りという問題もなかった。
【0036】本実施例によれば、成形用型の成形面に酸
化クロム膜を形成した後に、イオン注入を施して、膜と
型母材との鋭い界面をなくすことにより、膜と型母材と
の密着性が向上し、離型性のみならず耐久性をさらに向
上した成形用型を得ることができるため、メンテナンス
の必要がなく積算効率が向上する。また、膜形成とイオ
ン注入とを併用させることにより、比較的安価に成形用
型を準備することができる。
【0037】
【実施例3】実施例1と同様の形状寸法および材質の成
形用型(d)(e)を準備した。これらの成形用型を良
く洗浄してから、複合型のIBD装置に装着した後、高
エネルギーのイオン源によりO+ を照射しながら、低エ
ネルギーのイオン源を用いてクロム膜を1000Å形成
する、ダイナミックミキシング法を行った。注入後の成
形面の表面粗さを評価したところRmax =0.02μm
であった。なお、比較用成形用型として形状および材質
の同じ成形用型(f)に、酸化クロム膜を形成したもの
を用意した。
【0038】評価方法は実施例1と同様である。その結
果は前記表2に示す通りである。成形用型(d)(e)
については良好な離型性が確認されたが、成形用型
(f)については、100ショット成形後に離型不良が
確認された。成形後の成形用型(f)を光学顕微鏡およ
びSEMにて観察したところ、酸化クロム膜の剥離およ
びガラスの融着が確認された。これに対し、成形用型
(d)(e)ともに、ダイナミックミキシング法により
形成した酸化クロム膜は、型母材との密着性が向上し、
10000ショット成形後の成形用型でも、傷や割れの
ような欠陥や、ガラス中に含まれるPbOの還元析出物
であるPbやガラスの融着は、光学顕微鏡およびSEM
によって観察したが発見されなかった。また、成形品に
ついても、表面粗さ、面精度、透過率、形状精度ともに
良好で、Pbの析出や成形時のガス残りという問題もな
かった。
【0039】本実施例によれば、成形用型の成形面にク
ロム膜を形成するのと同時に、酸素イオンを注入して、
酸化クロムまたはクロムと酸素が混在した層を形成する
ことにより、膜と型母材との密着性を向上させ、離型性
のみならず耐久性も兼ね備えた成形用型を得ることがで
きる。これにより、メンテナンスの必要がなく、生産効
率が向上する。また、膜形成とイオン注入とを併用さ
せ、かつ同時に行うことにより、比較的安価に短時間で
成形用型を準備することができる。
【0040】なお、本発明においては、請求項1、2ま
たは3の引用項として、以下の請求項を立てることがで
きる。 (1)前記クロムと酸素との混合層は、クロムおよび酸
素の原子濃度が型母材側に向かって徐々に増加した後徐
々に減少するように分布することを特徴とする請求項
1、2または3記載のガラス光学素子の成形用型。 上記請求項に係る発明の効果は、請求項1、2または3
に係る発明の効果に加え、以下の通りである。 1)型母材の表面に形成した薄膜とこの型母材との界面
において、クロムおよび酸素の原子の濃度分布が緩やか
に変化しているので、薄膜と母材との密着性が向上す
る。
【0041】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、金型表面
において、膜剥離、クラック等の発生がなく、耐久性に
優れ、かつ、ガラスとの融着が起こらず、離型性の優れ
たガラス光学素子の成形用型を得ることができる。請求
項2に係る発明によれば、請求項1の効果に加え、イオ
ン注入と膜とを併用することにより、比較的コストが高
いイオン注入の注入時間が短くなり、あるいは条件等が
容易となるため、コストの低下を実現することができ
る。請求項3に係る発明によれば、請求項1の効果に加
え、膜形成とイオン注入とを同時に行うことから、処理
に要する時間が短縮され効率的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のガラス光学素子の成形用型の成形面
の注入元素の分布を示す図表である。
【図2】実施例2の成形用型の成形面にAr+ を注入し
た場合のクロム+酸素の分布を示す図表である。
【図3】実施例2の成形用型の成形面にHe+ を注入し
た場合のクロム+酸素の分布を示す図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 五十川 征史 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 根岸 広明 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともその成形面に、クロムイオン
    および酸素イオンを注入して、少なくともクロムと酸素
    との混合層を形成したことを特徴とするガラス光学素子
    の成形用型。
  2. 【請求項2】 少なくともその成形面に予め形成した酸
    化クロムの薄膜に、イオンを注入して、型母材と前記薄
    膜とをミキシングさせ、少なくともクロムと酸素との混
    合層を形成したことを特徴とするガラス光学素子の成形
    用型。
  3. 【請求項3】 少なくともその成形面にクロムの薄膜を
    形成するとともに、酸素イオンを注入して、少なくとも
    クロムと酸素との混合層を形成したことを特徴とするガ
    ラス光学素子の成形用型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0924043A2 (en) * 1997-11-26 1999-06-23 Eastman Kodak Company Method for precision polishing non-planar, aspherical surfaces

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0924043A2 (en) * 1997-11-26 1999-06-23 Eastman Kodak Company Method for precision polishing non-planar, aspherical surfaces
EP0924043A3 (en) * 1997-11-26 2001-03-07 Eastman Kodak Company Method for precision polishing non-planar, aspherical surfaces

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