JP3625295B2 - 光学素子成形用型およびその製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、レンズ、プリズムなどのガラスよりなる光学素子をガラス素材のプレス成形によって製造する際に使用される型に関する。
【0002】
【従来の技術】
研磨工程を必要としないでガラス素材のプレス成形によってレンズを製造する技術は、従来の製造において必要とされた複雑な工程をなくし、簡単かつ安価にレンズを製造することを可能とし、近年、レンズのみならずプリズムその他のガラスよりなる光学素子の製造に使用されるようになってきた。
【0003】
このようなガラスの光学素子のプレス成形に使用される型材に要求される性質としては、硬度、耐熱性、離型性、鏡面加工性などに優れていることが挙げられる。従来、この種の型材として金属、セラミックスおよびそれらをコーティングした材料など、数多くの提案がされている。いくつかの例を挙げるならば、特開昭49−51112には13Crマルテンサイト鋼が、特開昭52−45613にはSiCおよびSi3N4が、特開昭60−246230には超硬合金に貴金属をコーティングした材料が、また特開昭61−183134、61−281030、特開平1−301864にはダイヤモンド薄膜もしくはダイヤモンド状炭素膜、特開昭64−83529には硬質炭素膜をコーティングした材料が提案されている。また、特公平2−31012には、レンズもしくは型のどちらか一方に50〜5000Åの炭素膜を形成することが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、13Crマルテンサイト鋼は酸化しやすく、さらに高温でFeがガラス中に拡散してガラスが着色する欠点を持つ。SiCおよびSi3N4は一般的に酸化されにくいとされているが、高温ではやはり酸化が起こり、表面にSiO2の膜が形成されるため、ガラスの融着を生じる。さらに、高硬度のため型自体の加工性が極めて悪いという欠点を持つ。貴金属をコーティングした材料は融着は起こしにくいが、極めて柔らかいため傷がつきやすく変形しやすいという欠点を持つ。
【0005】
また、ダイヤモンド薄膜は高硬度で熱的安定性にも優れているが、多結晶膜であるため表面粗さが大きく、鏡面加工する必要がある。DLC膜、a−C:H膜、硬質炭素膜を用いた型は、型とガラスの離型性が良く、ガラスの融着を起こさないが、成形操作を数百回以上繰り返して行なうと、前記膜が部分的に剥離し成形品において十分な成形性能が得られないことがある。
【0006】
この原因として以下のことが考えられる。
(1)前述の膜はいずれも非常に大きな圧縮応力を有しており、成形プロセスにおける急加熱−急冷却に伴う応力解放の結果として剥離、クラックなどが生じる。同様に型母材と膜の熱膨張係数の違いと熱サイクルに起因する熱応力によっても同様な現象が生じる。(2)型母材によっては、表面状態により膜が部分的に形成されなかったり、膜厚が薄いことがある。例えば、WC−CoやSiC、Si3N4などの焼結体では、粒の欠落や焼結時のポアが避けられず、成形研磨面に数μm以上の穴が存在している。こうした面に膜を形成した時、これらの穴には膜が形成されなかったり、極端に膜厚の薄い状態になる。従って、こうした部分の膜の付着強度や、機械的強度は著しく低下するため剥離やクラックの発生起点となりやすい。(3)WC−CoのCoに代表される焼結体中の焼結助材と前述の膜の間で拡散による合金形成が生じる。こうした部分では成形時にガラスの融着が生じ、ガラス中に含有される成分と反応して析出物を生じる結果、耐久性の劣化を招く。以上のように、成形性、耐久性、経済性に優れた光学素子成形用型を実現するに至っていない。
【0007】
また、特公平2−31012では、膜厚が50Å未満では膜が不均一になるため炭素膜の形成効果が減少し、5000Åを越えると加圧成形による面精度が低下するが、50Å〜5000Åならば問題は生じないとしている。しかしながら、この発明の実施例における炭素膜は、基板との付着力が弱く、あるいは大きな圧縮応力のために成形過程において膜の剥離を生じる。この結果、剥離部におけるガラスの融着や成形品の外観不良を引き起こし、耐久性の優れた実用的な型を提供するに至っていない。
【0008】
一方、両凸、両凹、メニスカスレンズなどを成形する際、型とガラスの密着力が一定でないと成形レンズが異常に展延し異形形状となり、レンズの面精度の低下をもたらし、素子としての機能を満たさなくなる場合がある。以下にその例と理由を示す。
【0009】
図1および図2は光学素子を成形する際の型構造を示すものである。図1は光学素子のプレス成形前の状態を示し、図2は光学素子成形後の状態を示す。図1中1は型母材、2はガラス素材を成形する成形面、3はガラス素材であり、図2中4は成形によって得られた光学素子である。
【0010】
図1に示すように平板のガラス素材3を成形する際、最初に型の凸部がガラス素材に当たるため、大きな荷重がガラス素材中心部にかかる。この時ガラス素材中心部と型の密着力は高くなり、型とガラスは固着する。そして徐々にプレスが進行していくに従い、ガラスは型にならって変形するが、ガラス素材の周辺部に行くに従い、成形圧力がプレス方向と垂直であるガラス素材の横方向の変形に使われるため、型とガラスの密着力が徐々に低くなっている。つまり成形時には、レンズの周辺方向に行くに従って型とレンズの密着力が下がり、かつ型とガラスがレンズの周辺方向に行くほど滑りやすくなっている。これは、炭素を主成分とした膜の膜厚が一定の場合あるいは炭素を主成分とした膜の膜質が一定である場合に、レンズ形状による変形差が生み出す密着力差により起こるものである。このような状態で成形された成形品は図2の4に示すような形状となり、適正な形状とならない。つまり、図2の4に示すような形状の場合、成形面でのガラスの滑りが生じ、成形品が異常に展延し所定形状とならなかったり、展延により成形品に傷がつき光学素子とならなくなってしまう。
【0011】
さらに、これまで、成形用型の密着力、スベリ性の制御については改善されていない。
【0012】
【課題を解決する手段】
本発明は、ガラスのプレス成形による光学素子製造に使用され、両凸又は両凹からなる光学素子成形用型において、
前記ガラスを前記プレス成形する場合に、前記光学素子成形用型間の距離が大きい位置では、
前記光学素子成形用型の表面処理層である炭素を主成分とした膜の厚さを薄くし、
前記距離が小さい位置では前記膜厚を厚くし、
成形時の成形面とガラスとの離型性が該成形面全体で均一であることを特徴とする光学素子成形用型およびその製造方法を提供する。
【0013】
【作用】
以下、図面に従って本発明を説明する。
【0014】
図3および4は光学素子成形用型の炭素を主成分とした膜の膜厚に傾斜を持たせたものの1実施態様およびその型を用いた素子の成形を示す図である。図3は光学素子のプレス成形面の状態を示し、図4は光学素子成形後の状態を示す。図3中5は型母材、6はガラス素材を成形する成形面、7はミキシング層、8はガラス素材である。図4中9は光学素子である。図3に示すように型の間に置かれたガラス素材8をプレス成形することによってレンズなどの光学素子9が形成される。
【0015】
これらの図中のミキシング層は、型の形状が凸形であることから、中央部の膜厚が最大で周辺部に行くほど薄くなって、レンズ成形時のガラスとの密着力が中心部と周辺部でほぼ同等となるようになっている。
【0016】
このような炭素を主成分とした膜の形成は各種のPVD法などによって行なうことができる。その中で例えばイオンビーム法によって行なう場合、炭素を主成分とした膜形成時に例えば図6および図11に示すような回転スリットを通してイオンビーム照射を行なうことによって所望の膜厚分布を型表面に与えることができる。
【0017】
図5にはイオンビーム法による型への炭素を主成分とした膜形成を模式的に示した。図5はIBD(Ion Beam Deposition)装置の模式的断面図であり、図中10は真空槽、11はイオンビーム装置、12はイオン化室、13はガス導入口、14はイオンビーム引き出しグリッド、15はイオンビーム、16は回転スリット、17は型母材、18は基板ホルダーおよびヒーター、19は排気口を表わす。
【0018】
この装置による炭素を主成分とした膜形成は次のような手順で行なう。図5のようにIBD装置に型母材17を設置し、まず、ガス導入口13よりArガスをイオン化室に導入しイオン化した後、イオンビーム引き出しグリッドに電圧を印加してイオンビームを引き出し、型母材に照射して成形表面の清浄化を行なう。次に、CH4およびH2をイオン化室に導入し、回転スリット16を回転させながら、所定の圧力下にイオンビーム引き出しグリッドに電圧を印加してイオンビームを引き出し、成形面に照射してミキシング層を形成する。
【0019】
図9および10は、膜厚分布を有する炭素を主成分とした膜をミキシング層とする光学素子成形用型の他の実施態様を示すものであり、図9は光学素子のプレス成形面の状態を示し、図10は光学素子成形後の状態を示す。図9中72は型母材(上型)、73は型母材(下型)、74はガラス素材を成形する成形面、75はミキシング層、76はガラス素材である。図10中77は光学素子である。図9に示すように上型72と下型73の間に置かれたガラス素材76をプレス成形することによってレンズなどの光学素子77が形成される。図9および10の型は成形面の形状が凹形であるため、図3および4の型の炭素を主成分とした膜とは逆に、炭素を主成分とした膜の膜厚は中心部ほど薄く周辺部ほど厚くなっている。このような膜厚分布は、図5のようなイオンビーム装置において、回転スリットとして図11に示すようなものを用いて与えることができる。
【0020】
図12は組成変化を有する炭素を主成分とした膜をミキシング層とする光学素子成形用型の1実施態様を示すものである。図12中、78は型母材(上型)、79は型母材(下型)、80はガラス素材を成形する成形面、81はミキシング層、82はガラス素材である。この場合は型が凸形であるため、炭素を主成分とした膜の炭素含量を、中心部が最大で周辺部に近くなるほど小さくし、かつ型母材成分とのミキシングによる組成の変化を持たせることにより、成形時の成形面とガラスの密着力が均等となるようにする。
【0021】
このような膜組成の変化は、例えばイオンビーム法による炭素を主成分とした膜成膜時にイオンビーム電流の電流密度に中心部から周辺部にかけて傾斜を与えることにより持たせることができる。
【0022】
【実施例】
次に実施例によって本発明を具体的に説明する。
【0023】
(実施例1)
型母材超硬合金を図3および4のような両凸の形状に加工した後、イオンプレーティングによりTiN膜を形成し、次に成形面をRmax.=0.02μmに鏡面研磨した。この型を良く洗浄した後、図5に示すIBD装置に設置した。まず、ガス導入口よりArガス35sccmをイオン化室に導入しイオン化した後、イオンビーム引き出しグリッドに500Vの電圧を印加してイオンビームを引き出し、型母材に5分間照射して成形表面の清浄化を行なった。
【0024】
次に、CH4:15sccmおよびH2:30sccmをイオン化室に導入してガス圧3.5×10ー4Torrとし、型の曲率を考慮に入れて図6の形状を持った回転スリット16を回転させながら、加速電圧10kVでイオンビームを引き出し、成形面に照射してミキシング層を形成した。この時、イオンビーム電流は30mA、電流密度2mA/cm2、基板温度300℃とした。得られたミキシング層は、中心部の膜厚が最も大きく、周辺部に近づくに連れて徐々に小さくなっており、中心部で50nmであり周辺部で20nmであった。
【0025】
同条件で作成したサンプルのミキシング層をXPS(Xray Photoelectron Spectroscopy)によって深さ方向分析した結果を図7に示す。この図7より明らかなように、炭素Cの濃度は表面側から型母材側に向かって減少している。一方、Ti、N原子の濃度は表面側から型母材側に向かって増加している。
【0026】
次に、本発明の光学素子成形用型によってガラスレンズのプレス成形を行なった。装置は図8に示したものを用い、図中、51は真空槽本体、52はその蓋、53は光学素子を成形するための上型、54はその下型、55は上型を押さえるための上型おさえ、56は胴型、57は型ホルダー、58はヒーター、59は下型を突き上げる突き上げ棒、60はこの突き上げ棒を作動するエアシリンダ、61は油回転ポンプ、62、63、64はバルブ、65は不活性ガス流入パイプ、66はバルブ、67はリークパイプ、68はバルブ、69は温度センサ、70は水冷パイプ、71は真空槽を支持する台を示す。
【0027】
次に、レンズ製作の工程について述べる。クラウン系光学ガラス(SK12)を所定の量に調整し、球状にしたガラス素材を型のキャビティー内に置き、これを成形装置内に設置した。ガラス素材を投入した型を装置内に設置してから真空槽51の蓋52を閉じ、水冷パイプ70に水を流し、ヒーター58に電流を流した。このとき窒素ガス用バルブ66および68は閉じ、排気系バルブ62、63、64も閉じていた。なお、油回転ポンプ61は常に回転していた。バルブ62を開け排気を開始してから10ー2Torr以下になったところでバルブ62を閉じ、バルブ66を開いて窒素ガスをボンベより真空槽内に導入した。620℃となったところでエアシリンダ60を作動させて300kg/cm2の圧力で1分間加圧した。圧力を解除した後、冷却速度を−5℃/minで転移点以下となるまで冷却し、その後は−20℃/min以上の速度で冷却を行ない、200℃以下に下がったらバルブ66を閉じて、リークバルブ63を開いて真空槽51内に空気を導入した。それから蓋52を開け、上型おさえを外して成形物を取り出した。このように、クラウン系光学ガラスSK12(軟化点Sp=672℃、転移点Tg=550℃)を使用して図4に示すレンズ9を成形した。
【0028】
このようなプレス工程で3000回成形した後、型の成形面および成形された光学素子の表面粗さ、ならびに型と成形された光学素子との離型性は良好であった。特に、型の成形面について光学顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)で観察しても傷やクラックなどの欠陥やガラス成分の反応析出物、ガラスの融着は見られなかった。
【0029】
(実施例2)
型母材表面にミキシング層を持った炭素を主成分とする層の形成は実施例1と同様にして、型母材の形状が図9および10に示したように上下型とも凹形状となった両凸レンズ成形用型を作製した。その際、IBD装置に設置する回転スリット(図5の16)としては、図11に示す、型の曲線を考慮に入れた回転スリットを使用して成膜を行なった。その結果、成形面の膜厚は中心部が50nmとなり、周辺部に行くに従って徐々に厚くなり、有効径の最も外側で85nmとなった。
【0030】
次に、上記方法で作製した型を用いて実施例1と同様の方法で成形実験を行なった。その結果、3000回成形した後の型の成形面および成形された光学素子の表面粗さ、ならびに型と成形された光学素子との離型性は良好であった。特に、型の成形面について光学顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)で観察しても傷やクラックなどの欠陥やガラス成分の反応析出物、ガラスの融着は見られなかった。
【0031】
(実施例3)
型母材超硬合金を図12の78および79のような両凸の形状に加工した後、イオンプレーティングによりTiN膜を形成し、次に成形面をRmax.=0.02μmに鏡面研磨した。この型を良く洗浄した後、図5に示すIBD装置に設置した。まず、ガス導入口よりArガス35sccmをイオン化室に導入しイオン化した後、イオンビーム引き出しグリッドに500Vの電圧を印加してイオンビームを引き出し、型母材に5分間照射して成形表面の清浄化を行なった。
【0032】
次に、CH4:15sccm、H2:30sccmをイオン化室に導入して、ガス圧3.5×10ー4Torrとし、加速電圧10kVでイオンビームを引き出し、成形面に照射してミキシング層を形成した。この時、イオンビーム電流を30mA、電流密度を型中心部付近で2mA/cm2とし、型周辺部方向へ行くに従って下げ、型の有効径付近の周辺部では1mA/cm2とした。また基板温度は300℃とした。この結果、電流密度の高い型中心部にはカーボンリッチのミキシング層ができ、一方型周辺部にはカーボンが少ないミキシング層ができた。この型は、型中心部の密着力が低く、型周辺部に向かうに従って徐々に密着力が上昇する特徴を有していた。
【0033】
次に上記方法で作製した型を用いて実施例1と同様の方法で成形実験を行なった。その結果、3000回成形した後の型の成形面および成形された光学素子の表面粗さ、ならびに型と成形された光学素子との離型性は良好であった。特に、型の成形面について光学顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)で観察しても傷やクラックなどの欠陥やガラス成分の反応析出物、ガラスの融着は見られなかった。
【0034】
また図5に示すIBD装置のイオンビーム装置11の部分を蒸発源となる装置に置き換えることで真空蒸着、スパッタリングが可能となる。この2つの手法によっても膜厚分布型、膜質変化型の作製が可能であり、実施例1と同様の方法で成形実験を行ない、良好な結果を得た。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光学素子成形用型によれば、成形面に被覆した炭素を主成分とした膜に膜厚および/または膜組成に変化を持たせることによって、成形時のガラスとの密着力が成形面全体で均等化し、ガラス光学素子を成形する際、ガラスと型の離型性が極めて良好となり、成形レンズの異常な伸びも発生せず、表面粗さ、面精度、透過率、形状精度の良好な成形品が得られる。さらにこの型は、プレス成形を長時間繰り返しても、膜剥離やクラック、傷などの欠陥を生じない極めて耐久性の高い光学素子成形用型である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光学素子成形用型の1例の断面図である。
【図2】図1の型によるプレス後の状態を示す断面図である。
【図3】本発明の光学素子成形用型の1実施態様(膜厚分布型)を示す断面図である。
【図4】図3の型によるプレス後の状態を示す断面図である。
【図5】イオンビームミキシング装置の模式的断面図である。
【図6】回転スリットの1例の平面図である。
【図7】ミキシング層のXPSによるデプスプロファイルを示すグラフである。
【図8】光学素子成形用型を使用する成形装置の断面図である。
【図9】本発明の光学素子成形用型の他の実施態様(膜厚分布型)を示す断面図である。
【図10】図9の型によるプレス後の状態を示す断面図である。
【図11】回転スリットの他の1例の平面図である。
【図12】本発明の光学素子成形用型のもう一つの実施態様(膜組成分布型)を示す断面図である。
【符号の説明】
1 型母材
2 成形面
3 ガラス素材
4 成形されたレンズ
5 型母材
6 成形面
7 ミキシング層
8 ガラス素材
9 成形されたレンズ
10 真空槽
11 イオンビーム装置
12 イオン化室
13 ガス導入口
14 イオンビーム引き出しグリッド
15 イオンビーム
16 回転スリット
17 型母材
18 基板ホルダーおよびヒーター
19 排気口
51 真空槽
52 真空槽の蓋
53 上型
54 下型
55 上型押さえ
56 胴型
57 型ホルダー
58 ヒーター
59 下型を突き上げる突き上げ棒
60 エアシリンダ
61 油回転ポンプ
62,63,64 バルブ
65 不活性ガス導入バルブ
66 バルブ
67 リークパイプ
68 バルブ
69 温度センサ
70 水冷パイプ
71 真空槽を支持する台
72 上型
73 下型
74 成形面
75 ミキシング層
76 ガラス素材
77 成形されたレンズ
78 上型
79 下型
80 成形面
81 ミキシング層
82 ガラス素材
Claims (4)
- ガラスのプレス成形による光学素子製造に使用され、両凸又は両凹からなる光学素子成形用型において、
前記ガラスを前記プレス成形する場合に、前記光学素子成形用型間の距離が大きい位置では、
前記光学素子成形用型の表面処理層である炭素を主成分とした膜の厚さを薄くし、
前記距離が小さい位置では前記膜厚を厚くし、
成形時の成形面とガラスとの離型性が該成形面全体で均一であることを特徴とする光学素子成形用型。 - 炭素を主成分とした膜の形成をイオンビーム法、真空蒸着、スパッタのいずれか一つの方法によって行ない、成膜時に回転スリットを回転させて膜厚に分布を持たせる、請求項1記載の光学素子成形用型の製造法。
- ガラスのプレス成形による光学素子製造に使用され、両凸又は両凹からなる光学素子成形用型において、
前記ガラスを前記プレス成形する場合に、前記光学素子成形用型間の距離が大きい位置では、
前記光学素子成形用型の表面処理層である炭素を主成分とした膜の炭素含有量を少なくし、
前記距離が小さい位置では前記炭素含有量を多くし、
成形時の成形面とガラスとの密着力が該成形面全体で均一であることを特徴とする光学素子成形用型。 - 炭素を主成分とした膜の形成をイオンビーム法によって行ない、成膜時の電流密度を中央部から周辺部にかけて徐々に変化させることにより炭素含量に傾斜を与える、請求項3記載の光学素子成形用型の製造法。
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