JPH0925130A - 光学素子成形用型及びその製造方法 - Google Patents

光学素子成形用型及びその製造方法

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JPH0925130A
JPH0925130A JP17479895A JP17479895A JPH0925130A JP H0925130 A JPH0925130 A JP H0925130A JP 17479895 A JP17479895 A JP 17479895A JP 17479895 A JP17479895 A JP 17479895A JP H0925130 A JPH0925130 A JP H0925130A
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JP
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mold
carbon film
optical element
hard carbon
molding
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JP17479895A
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Yasuyuki Nakai
靖行 中居
Keiji Hirabayashi
敬二 平林
Masaki Omori
正樹 大森
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Canon Inc
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B11/00Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing
    • C03B11/06Construction of plunger or mould
    • C03B11/08Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses
    • C03B11/084Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses material composition or material properties of press dies therefor
    • C03B11/086Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses material composition or material properties of press dies therefor of coated dies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B2215/00Press-moulding glass
    • C03B2215/02Press-mould materials
    • C03B2215/08Coated press-mould dies
    • C03B2215/14Die top coat materials, e.g. materials for the glass-contacting layers
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形表面としての硬質炭素膜を膜厚・膜質分
布を均一にすることにより、長時間のガラス素材の光学
素子成形に耐え得る高耐久、かつ安定離型を可能にする
光学素子成形用型及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 ガラスよりなる光学素子のプレス成形に
用いる成形用型において、型母材上に、分布が任意に形
成された硬質炭素膜からなる成形表面を有する光学素子
成形用型、及び、ガラスよりなる光学素子のプレス成形
に用いる成形用型の製造方法において、型母材上に、イ
オンビームを電場により制御して硬質炭素膜を成膜する
ことにより、分布が任意に形成された硬質炭素膜を成形
表面として成膜することによる光学素子成形用型の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレンズ、プリズムな
どのガラスよりなる光学素子をガラス素材のプレス成形
により製造するのに使用される型及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】研磨工程を必要としないでガラス素材の
プレス成形によってレンズを製造する技術は、従来のレ
ンズの製造において必要とされた複雑な工程をなくし、
簡単かつ安価にレンズを製造することを可能とし、近来
レンズのみならずプリズム、その他のガラスよりなる光
学素子の製造に使用されるようになってきた。
【0003】このようなガラスの光学素子のプレス成形
に使用される型材に要求される性質としては、硬さ、耐
熱性、離型性、鏡面加工性等に優れていることが挙げら
れる。従来、この種の型材として、金属、セラミックス
及びそれらをコーティングした材料等数多くの提案がさ
れている。いくつかの例を挙げるならば、特開昭49−
51112号公報には13Crマルテンサイト鋼が、特
開昭52−45613号公報にはSiC及びSi3 4
が、特開昭60−246230号公報には超硬合金に貴
金属をコーティングした材料が、また特開昭61−18
3134号公報、特開昭61−281030号公報、特
開平1−301864号公報にはダイアモンド薄膜また
はダイアモンド状炭素膜をコーティングした材料が、特
開昭64−83529号公報には硬質炭素膜をコーティ
ングした材料が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、13Crマル
テンサイト鋼は酸化し易く、更に高温下でFeがガラス
中に拡散してガラスが着色するという欠点を持つ。ま
た、SiC,Si3 4 は一般的に酸化されにくいとさ
れるが、高温下ではやはり酸化が起こり、表面にSiO
2 の膜が形成されるためガラスと融着を起こす。一方、
貴金属をコーティングした材料は融着は起こしにくい
が、極めて柔らかいため傷がつき易く、また変形しやす
い欠点を持つ。また、硬質炭素膜は離型性が良く、ガラ
スとの融着を起こさず、型材としては良好なものの一つ
である。
【0005】しかし、硬質炭素膜でも形状により離型し
にくい場合がある。第1の例として、図1に示すような
両凹レンズ形状の場合が挙げられる。図1中1は両凹レ
ンズ、2は上型、3は下型を示す。両凹レンズ形状を成
形する型は図2、3に示すように成形用上下型が凸形状
であるため、平行なイオンビームで成膜する場合、型表
面の硬質炭素膜の膜厚分布が中心部が厚く周辺部が薄く
なる。図2にその状態を示す。図2中4は中心部が厚く
周辺部が薄い膜厚分布を持つ従来の硬質炭素膜であり、
5は型母材を示す。従来、型は上記のように中心部の膜
厚が厚く、周辺部の膜厚が薄いため、型表面周辺部が容
易に離型する温度であっても離型しにくくなる。このよ
うな現象は次のような理由で起こると考えられる。型と
レンズの離型現象はそれぞれ型、ガラスの熱膨張率差が
起因していると考えられる。つまり、ガラスレンズのプ
レス成形後プロセス条件に従い徐冷していく際、型、ガ
ラスそれぞれの熱膨張率により収縮量が異なるため、型
−ガラス界面に大きな剪断応力が働き離型すると考えら
れる。しかし、レンズ形状が両凹レンズ形状について
は、成形温度より300℃以上低くなければ離型しない
場合がある。このように離型性が悪い、つまり離型温度
が低いと成形の1サイクルに時間がかかり、しいては単
位時間に作成できるレンズ数が制限され、コストアップ
につながる。
【0006】また、型表面の膜厚分布は膜自体の強度に
も影響を与える。図2に示すような型表面中心部の膜厚
が周辺部に比べ厚い型は膜中心部の膜応力が高く、成形
時に剥離する場合が多い。また、型中心部と周辺部では
入射イオンの角度差によるスパッタリング効果やミキシ
ング効果が異なり硬質炭素膜の膜質が変わるため膜消耗
に差が出てきてしまい、これも膜強度に影響を与える。
つまり、型中心部の硬質炭素膜は高加速イオンが型表面
に対しほぼ垂直に入射する成膜のため、型母材と硬質炭
素膜が界面で混じり合うミキシング構造を取り、型に対
する膜の密着力が大きい。一方、型周辺部は型表面に対
し高加速イオンが斜めに入射するため、スパッタリング
が起き、硬質炭素膜の成長も遅いこともさることなが
ら、膜質も中心部と比較して消耗し易い膜ができてしま
う。そのため、光学素子の成形時に硬質炭素膜の消耗が
型周辺部が先に起きるため、型表面全体の膜応力分布が
変わり、比較的厚い型中心部の硬質炭素膜がそっくり中
抜けの状態で、膜剥離が起こってしまう。
【0007】従って、本発明の第1の目的は、成形表面
としての硬質炭素膜の膜厚・膜質分布を均一にした光学
素子成形用型により、長時間のガラス素材の光学素子成
形に耐え得る高耐久、かつ安定離型を可能にすることで
ある。
【0008】本発明の第2の目的は、イオンビームを電
場により制御して、光学素子成形用型の成形表面として
の硬質炭素膜の膜厚・膜質分布を均一にすることによ
り、長時間のガラス素材の光学素子成形に耐え得る高耐
久、かつ安定離型を可能にすることである。
【0009】本発明の第3の目的は、第1の目的を達成
するため、硬質炭素膜と中間層の間にミキシング構造を
とることにより硬質炭素膜と中間層、型母材の密着性を
上げることである。
【0010】本発明の第4の目的は、第1の目的を達成
するため、硬質炭素膜自身の高耐久を実現することであ
る。
【0011】本発明の第5の目的は、第1の目的を達成
するため、硬質炭素膜の消耗を抑え、かつ型の鏡面性を
維持できる中間層を実現することである。
【0012】また、本発明の第6の目的は、第1の目的
を達成するため、硬質炭素膜の消耗を抑え、かつ型の鏡
面性を維持できる中間層を保持する高強度な型母材を実
現することである。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用】すなわち、第1
の本発明は、ガラスよりなる光学素子のプレス成形に用
いる成形用型において、型母材上に、分布が任意に形成
された硬質炭素膜からなる成形表面を有することを特徴
とする光学素子成形用型である。
【0014】第2の本発明は、ガラスよりなる光学素子
のプレス成形に用いる成形用型の製造方法において、型
母材上に、イオンビームを電場により制御して硬質炭素
膜を成膜することにより、分布が任意に形成された硬質
炭素膜を成形表面として成膜することを特徴とする光学
素子成形用型の製造方法である。
【0015】第3の本発明は、中間層と硬質炭素膜の間
に、イオンビームミキシングにより、該中間層と硬質炭
素膜の両方の構成元素を含みかつ傾斜組成に形成された
ミキシング層を有する請求項1記載の光学素子成形用型
である。
【0016】第4の本発明は、硬質炭素膜がダイアモン
ド薄膜、ダイアモンド状炭素膜及び水素化アモルファス
炭素膜から選ばれた膜である請求項1記載の光学素子成
形用型である。
【0017】第5の本発明は、中間層がTiN、Ta
N、ZrN、HfN及びCVDSiCから選ばれた層で
ある請求項1記載の光学素子成形用型である。
【0018】また、第6の本発明は、型母材が超硬合金
またはSiCである請求項1記載の光学素子成形用型で
ある。
【0019】本発明は上記目的を達成するために、イオ
ンビームを平行にして型表面に照射するという従来の方
法に対し、イオンビームを電場の力を利用し、イオンビ
ームの軌跡を変化させることにより、型表面に任意の角
度からイオンビームを照射して、型表面の硬質炭素膜の
膜厚分布差をなくすことにより、上述の問題を解決した
ものである。前述のごとく図2は従来の両凹レンズ成形
用型であって硬質炭素膜が周辺に行くに従い薄くなって
いるものの模式図であり、それに対し図3は従来の型で
の課題を解決した本発明による両凹レンズ成形用型の模
式図であり、図3中6は型表面の膜厚分布が均一な硬質
炭素膜であり、7は型母材である。上記目的を達成する
一つの手法として、表面の硬質炭素膜の膜厚分布を型表
面に均一に成膜することが挙げられる。図4は本発明の
イオンビーム制御を表す模式図である。図4(a)中8
は電場をかけるための治具であり、9はイオンビーム、
10は型母材である。従来は曲率のある型表面に平行に
イオンビームを入射していたのに対し、本発明では電場
の力を用いイオンビームを曲げることにより、従来法で
は膜が成長しなかった型表面周辺部にも膜を成長させる
ことが可能となった。また、型の形状から図4(b)に
示すような構成も有効である。この場合は、上述のケー
スとは反対に、イオンビームを広げるように電場を起こ
す必要がある。
【0020】上述のように、イオンビームを曲げること
によりイオンビームが型表面の任意の部分に対してほぼ
垂直に入射させることが可能となり、型表面上に均一の
膜質で均一の厚みで硬質炭素膜を成膜することが可能と
なる。
【0021】硬質炭素膜とは、一般的に高い硬度を有す
る(代表的には、ビッカース硬度で1000kg/mm
2 以上)非結晶の炭素膜を称することが多いが、本発明
で述べる硬質炭素膜とは、特許請求の範囲に示すよう
に、ダイヤモンド結晶相を含むダイヤモンド薄膜、及び
ダイヤモンド結晶の結合形態であるsp3 結合を主体と
する結合で形成された非晶質のダイヤモンド状炭素膜、
更には、炭素の他に膜中に水素を数atom%から数十
atom%含む水素化アモルファス炭素膜のいづれかよ
り選ばれた膜である。上記ダイヤモンド薄膜は、主とし
てダイヤモンド結晶相よりなる膜であるが、部分的に
(約20体積%以下)非晶質の炭素膜を含んでも良い。
また、上記ダイヤモンド状炭素膜は、主としてsp3
合を主体とする結合で形成された非晶質の膜であるが、
部分的に(約20体積%以下)ダイヤモンド結晶相、及
びsp2 結合よりなる相を含んでも良い。更に、水素化
アモルファス炭素膜は、炭素の他に膜中に水素を数at
om%から数十atom%含むが、炭素及び水素の他に
少量(約10atom%以下)の酸素、窒素、希ガス、
ハロゲンガスより選ばれる一種以上の元素が含有されて
いても良い。
【0022】
【実施例】
[実施例1]図5は本発明の光学素子成形用型の一つの
実施態様を示すものである。図5中11は超硬合金を用
いた型母材、12はTiNを用いた硬質なる中間層、1
3は硬質炭素膜からなるガラス素材を成形する成形表面
であり、5はガラス素材である。図1に示すように型の
間にガラス素材を置き、プレス成形することによってレ
ンズ等の光学素子1が形成される。
【0023】次に、本発明の光学素子成形用型について
詳細に説明する。型母材としてW−Ti系超硬合金を所
定の形状に加工した後、イオンプレーティングによりT
iN膜を形成した後、成形面をRmax.=0.02μ
mに鏡面研磨したものを用いた。この型を良く洗浄した
のち、図6に示すIBD(Ion Beam Depo
sition)装置に設置した。図6中14は真空槽、
15はイオンビーム装置、16はイオン化室、17はガ
ス導入口、18はイオンビーム引き出しグリット、19
はイオンビーム、20は型母材、21は回転式基板ホル
ダー及びヒーター、22は排気口、23はシャッター、
24はアルミナ製イオンビームプロテクト治具、25は
テーパー状電場形成治具、26はアルミナ製絶縁治具を
示す。
【0024】まず、排気口22より真空ポンプにより真
空槽内を排気し、5×10-3Paに達した後、ガス導入
口17よりアルゴンガス35sccmをイオン化室に導
入しイオン化した後、イオンビーム引き出しグリットに
500Vの電圧を印加してイオンビームを引き出し、シ
ャッター23を開き、型母材に5分間照射して成形表面
の清浄化を行った。次に、再度真空度を5×10-3Pa
まで排気した後、CH 4 :15sccm、H2 :30s
ccmをイオン化室に導入してガス圧3.5×10-2
aとし、加速電圧10kVでイオンビームを引き出すと
同時に、テーパー状電場治具に+700Vの電圧を印加
し、成形面に照射して35nmのミキシング層を形成し
た。この時のイオンビーム電流は30mA、電流密度2
mA/cm2 とした。またこの時、回転式基板ホルダー
21には−500Vのバイアスをかけた。アルミナ製治
具24はテーパー状電場治具25による入射イオンの抑
制を防ぐために、またアルミナ製絶縁治具26は回転式
基板ホルダー21とテーパー状電場治具との絶縁をとる
ために取り付けた。同条件で作製した分析サンプルのミ
キシング層をXPS(Xray Photoelect
ron Spectroscopy)により深さ方向分
析した結果を図11に示す。図11により明らかなよう
にミキシング層の厚さは35nmで、炭素Cの濃度は表
面側から型母材側に向かって減少している。一方、T
i,N原子の濃度は表面側から型母材側に向かって増加
している。以上の方法によりミキシング層を持つ硬質炭
素膜を形成した。また、この時CH4 /H2 組成比、加
速電圧、イオンビーム電流等、成膜パラメータを変化さ
せることで硬質炭素膜の質が変化し、ダイアモンド薄
膜、ダイアモンド状炭素膜、水素化アモルファス炭素膜
を成膜することが可能である。
【0025】次に、本発明による光学素子成形用型によ
ってプレス成形を行った例を示す。図6は成形装置であ
り、図6中51は真空槽本体、52はその蓋、53は光
学素子を形成するための上型、54はその下型、55は
上型を押さえるための上型押え、56は胴型、57は型
ホルダー、58はヒーター、59は下型を突き上げる突
き上げ棒、60は該突き上げ棒を作動するエアシリン
ダ、61は油回転ポンプ、62,63,64はバルブ、
65は不活性ガス導入パイプ、66はバルブ、67はリ
ークバルブ、68はバルブ、69は温度センサ、70は
水冷パイプ、71は真空槽を支持する台を示す。レンズ
を製作する工程を次に述べる。クラウン系光学ガラス
(SK12)を所定の量に調整したゴブを型のキャビテ
ィー内に置き、これを成形装置内に設置する。そしてガ
ラス素材を投入した型を装置内に設置してから真空槽5
1の蓋52を閉じ、水冷パイプ70に水を流し、ヒータ
ー58に電流を流す。このとき窒素ガス用バルブ66及
び68は閉じ、排気系バルブ62,63,64も閉じて
いる。なお、油回転ポンプ61は常に回転している。バ
ルブ62を開け排気を開始してから1Pa以下になった
らバルブ62を閉じ、バルブ66を開いて窒素ガスをボ
ンベより真空槽内に導入する。620℃になったらエア
シリンダ60を作動させて1.5Paの圧力で1分間加
圧する。圧力を解除した後、冷却速度−5℃/minで
転移点以下になるまで冷却し、その後は−20℃/mi
n以上の速度で冷却を行い200℃以下に下がったらバ
ルブ66を閉じ、リークバルブ63を開いて真空槽51
内に空気を導入する。それから蓋52を開け上型押えを
はずして成形物を取り出す。上記のようにしてクラウン
光学ガラス(軟化点Sp=672℃、転移点Tg=55
0℃)を使用して図4に示すレンズを成形した。従来の
硬質炭素膜の膜厚及び膜質分布が存在した型では悪いと
きには成形開始2〜3ショット、良いときでも200〜
300ショットで膜剥れが生じたが、以上のようなプレ
ス行程により3000回の成形後も異常は見い出されな
かった。また、成形後の型部材の成形面及び成形された
光学素子の表面粗さ、並びに型部材と成形された光学素
子との離型性は良好であった。特に、型部材の成形面に
ついて光学顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)で観察し
ても傷やクラック等の欠陥やガラス成分の反応析出物、
ガラスの融着もなかった。
【0026】[実施例2]図8は本発明の光学素子成形
用型の一つの実施態様を示すものである。図8中27は
超硬合金を用いた型母材、28はTiNを用いた硬質な
る中間層、29は硬質炭素膜からなるガラス素材を成形
する成形表面であり、5はガラス素材である。図9に示
すように上型30と下型31の間にガラス素材32を置
きプレス成形することによってレンズ等の光学素子が形
成される。
【0027】次に、本発明の光学素子成形用型について
詳細に説明する。本発明の光学素子成形用型は実施例1
の両凹レンズ用型とは異なる両凸レンズ成形用型であ
る。実施例1と同様、型母材としてW−Ti系超硬合金
を所定の形状に加工した後、イオンプレーティングによ
りTiN膜を形成した後、成形面をRmax.=0.0
2μmに鏡面研磨したものを用いた。この型を良く洗浄
したのち、図10に示すIBD装置に設置した。IBD
装置は実施例1と同様のものであり、電場形成治具のみ
異なるものである。図10中40はテーパー状電場形成
治具、41は凸レンズ形状成形型、42はイオンビーム
である。硬質炭素膜の成膜方法は実施例1とほぼ同様な
ので簡単に説明する。イオンビームを照射する工程まで
は実施例1と同様であるが、凸レンズ形状型の場合、図
8及び図10の41に示すように型中心部が窪む形とな
る。そのため、図10のように、イオンビームが型周辺
部に入り込むよう図示のイオンビーム41の形状になら
なくてはならない。そこで、電場形成治具40に−60
0Vの電圧を加え、成膜を行った。そして、実施例1に
示した工程と同様のプレス成形を行った結果、3000
回の成形後も異常は見い出されなかった。また、成形後
の型部材の成形面及び成形された光学素子の表面粗さ、
並びに型部材と成形された光学素子との離型性は良好で
あった。特に、型部材の成形面について光学顕微鏡、走
査電子顕微鏡で観察しても傷やクラック等の欠陥やガラ
ス成分の反応析出物、ガラスの融着もなかった。
【0028】また、種々の型の曲率に対しては、電場の
コントロール(印加電圧)とテーパー状電場治具のテー
パー形状により対応ができた。上述の凸形状型及び凹形
状型の組み合わせにより、両凹レンズ、両凸レンズのみ
ならず、凸ミニスカスレンズ、凹メニスカスレンズを製
造する光学素子成形用型の高耐久化、安定離型が実現で
きた。
【0029】[実施例3]上述の実施例1の構成は図5
に示すように超硬合金製型母材11、TiN中間層1
2、硬質炭素膜13の3層構造である。本実施例では中
間層材料としてTaNを用いた構成を述べる。
【0030】本発明の光学素子成形用型について説明す
る。型母材としてW−Ti系超硬合金を所定の形状に加
工した後、スパッタリングによりTaN膜を形成した
後、成形面をRmax.=0.02μmに鏡面研磨した
ものを用いた。この型を良く洗浄したのち、図3に示す
IBD装置に設置した。以下は実施例1と同様の製造プ
ロセスで光学素子成形用型を作製し、成形を行った。
【0031】実施例1に示したプレス工程により300
0回の成形を行った後も異常は見い出されなかった。ま
た、成形後の型部材の成形面及び成形された光学素子の
表面粗さ、並びに型部材と成形された光学素子との離型
性は良好であった。特に、型部材の成形面について光学
顕微鏡、走査電子顕微鏡で観察しても傷やクラック等の
欠陥やガラス成分の反応析出物、ガラスの融着もなかっ
た。
【0032】また、中間層がZrN,HfNのものにつ
いても、スパッタリングで成膜し、上述のプロセスで硬
質炭素膜を成膜、成形を行った結果、3000回の成形
を行った後も異常は見い出されなかった。また、成形後
の型部材の成形面及び成形された光学素子の表面粗さ、
並びに型部材と成形された光学素子との離型性は良好で
あった。特に、型部材の成形面について光学顕微鏡、走
査電子顕微鏡で観察しても傷やクラック等の欠陥やガラ
ス成分の反応析出物、ガラスの融着もなかった。
【0033】[実施例4]上述の実施例1の構成は図5
に示すように超硬合金製型母材11、TiN中間層1
2、硬質炭素膜13の3層構造である。本実施例では型
母材11がSiC、中間層12がCVDSiC、最表面
層13が硬質炭素膜である光学素子成形用型について説
明する。型母材としてSiCセラミックスを所定の形状
に加工し、次いでプラズマCVDによりSiC膜を形成
した後、成形面をRmax.=0.02μmに鏡面研磨
したものを用いた。この型を良く洗浄したのち、図3に
示すIBD装置に設置した。以下は実施例1と同様の製
造プロセスで光学素子成形用型を作製し、成形を行っ
た。
【0034】実施例1に示したプレス行程により300
0回の成形を行った後も異常は見い出されなかった。ま
た、成形後の型部材の成形面及び成形された光学素子の
表面粗さ、並びに型部材と成形された光学素子との離型
性は良好であった。特に、型部材の成形面について光学
顕微鏡、走査電子顕微鏡で観察しても傷やクラック等の
欠陥やガラス成分の反応析出物、ガラスの融着もなかっ
た。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光学素子
成形用型によれば、イオンビームを電場の力を利用し、
該イオンビームの軌跡を変化させることにより、型表面
に任意の角度から該イオンビームを照射し、型表面の硬
質炭素膜の膜厚分布差、そして膜質分布をなくすことに
より、ガラス光学素子を成形する際、ガラスと型の離型
性が極めて良好となり、表面粗さ、面精度、透過率、形
状精度の良好な成形品が得られる。更に、この型は、プ
レス成形を長時間繰り返しても、膜剥離やクラック、傷
等の欠陥を生じない極めて耐久性の高い光学素子成形用
型である。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学素子成形用型を用いた両凹レンズの成形時
の構成を表す模式的断面図である。
【図2】従来の光学素子成形用型の断面図である。
【図3】本発明による光学素子成形用型の模式図であ
る。
【図4】電場によりイオンビームを制御し型表面に照射
する模式図である。
【図5】本発明による光学素子成形用型の断面図であ
る。
【図6】イオンビームミキシング装置と電場形成装置の
模式的断面図である。
【図7】光学素子成形用型を使用する成形装置の断面図
である。
【図8】本発明による光学素子成形用型の断面図であ
る。
【図9】光学素子成形用型を用いた両凸レンズの成形時
の構成を表す模式的断面図である。
【図10】イオンビームミキシング装置と電場形成装置
の模式的断面図である。
【図11】ミキシング層のXPSによるデプスプロファ
イルを示すグラフである。
【符号の説明】
1 両凹レンズ 2 上型 3 下型 4 硬質炭素膜 5 型母材 6 硬質炭素膜 7 型母材 8 電場をかけるための治具 9 イオンビーム 10 型母材 11 型母材 12 中間層 13 硬質炭素膜 14 真空槽 15 イオンビーム装置 16 イオン化室 17 ガス導入口 18 イオンビーム引き出しグリット 19 イオンビーム 20 型母材 21 回転式基板ホルダー 22 排気口 23 シャッター 24 アルミ製イオンビームプロテクト治具 25 テーパー状電場形成治具 26 アルミナ製絶縁治具 27 型母材 28 中間層 29 硬質炭素膜 30 上型 31 下型 32 ガラス素材 40 テーパー状電場形成治具 41 凸形状成形用型 42 イオンビーム 51 真空槽 52 真空槽の蓋 53 上型 54 下型 55 上型押え 56 胴型 57 型ホルダー 58 ヒーター 59 下型を突き上げる突き上げ棒 60 エアシリンダ 61 油回転ポンプ 62 バルブ 63 バルブ 64 バルブ 65 不活性ガス導入バルブ 66 バルブ 67 リークパイプ 68 バルブ 69 温度センサ 70 水冷パイプ 71 真空槽を支持する台

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラスよりなる光学素子のプレス成形に
    用いる成形用型において、型母材上に、分布が任意に形
    成された硬質炭素膜からなる成形表面を有することを特
    徴とする光学素子成形用型。
  2. 【請求項2】 ガラスよりなる光学素子のプレス成形に
    用いる成形用型の製造方法において、型母材上に、イオ
    ンビームを電場により制御して硬質炭素膜を成膜するこ
    とにより、分布が任意に形成された硬質炭素膜を成形表
    面として成膜することを特徴とする光学素子成形用型の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 中間層と硬質炭素膜の間に、イオンビー
    ムミキシングにより、該中間層と硬質炭素膜の両方の構
    成元素を含みかつ傾斜組成に形成されたミキシング層を
    有する請求項1記載の光学素子成形用型。
  4. 【請求項4】 硬質炭素膜がダイアモンド薄膜、ダイア
    モンド状炭素膜及び水素化アモルファス炭素膜から選ば
    れた膜である請求項1記載の光学素子成形用型。
  5. 【請求項5】 中間層がTiN、TaN、ZrN、Hf
    N及びCVDSiCから選ばれた層である請求項1記載
    の光学素子成形用型。
  6. 【請求項6】 型母材が超硬合金またはSiCである請
    求項1記載の光学素子成形用型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010265152A (ja) * 2009-05-18 2010-11-25 Olympus Corp 光学素子用成形型、光学素子用成形型の製造方法、並びに光学素子の製造方法
US9481595B2 (en) 2010-06-03 2016-11-01 Canon Kabushiki Kaisha Method of producing optical element forming mold and optical element forming mold

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