JPH0225356B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は加熱により記録し、光照射により非記
録部分の定着を行なう光定着型感熱記録媒体に関
し、より詳細には、高感度で熱記録が可能であ
り、かつ、保存安定性に優れた光定着型感熱記録
媒体に関する。

熱ヘツドを用いて電気的情報を熱に変換するこ
とによつて記録を行なう、感熱記録方式は、装置
が小型軽量化でき、無騒音の記録ができるなどの
利点からフアクシミリやプリンターに多く用いら
れる様になつてきた。

従来感熱記録紙としては有機酸金属塩と還元剤
の反応を用いたいわゆる金属キレート型および電
子供与性物質と電子受容性物質との反応を利用し
た染料発色型が用いられている。しかしながら、
これらのものは記録が定着できないために再加熱
により発色したり、接着剤およびセロハンテープ
や朱肉などによつて発色あるいは消色してしまう
問題があつた。

また、特に染料発色型の感熱紙では記録が光に
よつて退色しやすいという欠点があつた。そこ
で、これらの欠点を解決した定着可能な感熱記録
紙の開発が求められていた。こうした目的を実現
するためにジアゾニウム塩とカツプラーを加熱に
よつて反応させアゾ色素を形成することにより記
録し、更に光照射を行ない非記録部のジアゾニウ
ム塩を光分解することによつて定着する試みがあ
る。

これらは特に、比較的長期に使用される、定期
券、各種回数券、クレジツトカードの発券、保存
用のフアクシミリ用紙、プリンター用紙に適して
いる。

このような、ジアゾ感熱記録方式に用いる記録
媒体は発色剤であるジアゾニウム塩、顕色剤であ
るカツプラーおよび塩基性物質あるいはジアゾニ
ウム塩、塩基性残基を有するカツプラーをバイン
ダーおよび添加剤と共に支持体上に設けた一層あ
るいは別々の層状に設けたものが用いられる。

この感熱発色層にサーマルヘツドにより加熱印
字すると発色剤あるいは顕色剤の少なくとも一方
が、あるいは塩基性物質が溶融し反応をして発色
する。

しかしながら、このように感熱発色層を表面に
露出した感熱記録媒体は以下のようないくつかの
欠点をもつている。それらは例えば、サーマルヘ
ツドへカスが付着し易い、引つかきにより発色す
る、表面の力学的強度が弱い、耐薬品性が劣る、
耐水性が劣る、指紋のあとが残るなどといつたも
のである。

本発明は上記欠点を除去するため、ジアゾニウ
ム塩と該ジアゾニウム塩と加熱により発色せしめ
るカツプラーを主成分として含有する感熱発色層
を有する感熱記録媒体において、前記感熱発色層
上へ常温硬化型シリコーンおよび／またはシリコ
ーンオイルを含有する保護層を設けたことを特徴
とする感熱記録媒体に関するものである。

感熱発色層は、支持体上にジアゾニウム塩、カ
ツプラー、バインダー、その他の添加剤を含有す
る一層又は多層の記録層を設けて作製される。こ
こで、各層は各成分を水又は有機溶剤中に溶解又
は分散したものを適当な方法で塗工して設けられ
る。

以下、本発明について詳述する。

本発明における保護層は常温硬化型シリコーン
および／またはシリコーンオイルを含有するもの
である。

ここでいう、常温硬化型シリコーンとは100℃
以下の温度において硬化反応が進行するすべての
シリコーン物質を含み、１液型と２液型があり、
例えば(株)トーレシリコーン製「トーレシリコーン
SR2400」「トーレシリコーンSR2410」「トーレシ
リコーンSR2411」などが挙げられる。

又、ステイツク防止などのために、保護層中
に、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリ
カ、タルク、クレー、酸化亜鉛、酸化チタン、デ
ンプン、尿素メラミン樹脂微粉末などの各種顔料
を添加することも可能である。

本発明において使用できるジアゾニウム塩とし
ては、従来、公知のものが挙げられる。例えば、
Ｐ−ジアゾ−Ｎ−エチル−Ｎヒドロキシエチルア
ニリンクロライド塩化亜鉛、Ｐ−ジアゾ−Ｎ，Ｎ
−ジメチルアニリンクロライド塩化亜鉛、Ｐ−ジ
アゾ−Ｎ，Ｎ−ジエチルアニリンクロライド塩化
亜鉛、４−ベンズアミド−２，３−ジエトキシベ
ンゼンジアゾニウムクロライド塩化亜鉛、２−メ
トキシ−４−モルホリノベンゼンジアゾニウムク
ロライド塩化亜鉛、４−モルホリノ−２，５−ジ
ブトキシベンゼンジアゾニウムクロライド塩化亜
鉛等である。

本発明では上記水溶性ジアゾニウム塩の他に水
不溶性又は水難溶性のジアゾニウム塩も使用可能
である。この例としては、ジアゾニウム塩の対ア
ニオンがテトラフルオロボレート（BF₄ ^-）ヘキ
サフルオロホスフエート（PF₆ ^-）、および下記一
般式で表わされるものが挙げられる。

ただし、R₁〜R₄はそれぞれアルキル基、アル
ケニル基、シクロアルキル基、アリル基、アリー
ル基、ヘテロ環基、もしくはシアノ基を表わす。

本発明では、これらのジアゾニウム塩の中から
任意選択して一種又は二種以上混合して用いるこ
とができる。

本発明において使用する事のできるカツプラー
は従来公知のものとして、レゾルシノール、α−
ナフトール−２，７−ジヒドロキシナフタレン、
２−ヒドロキシナフタレン−３，６−ジスルホン
酸ナトリウム、２，３−ジヒドロキシナフタレン
−６−スルホン酸ナトリウム、アセトアセトアニ
リド、２−ヒドロキシ−３−ナフトエ酸−エタノ
ールアミド、２−ヒドロキシ−３−ナフトエ酸−
０−トルイジノアミド等があり、塩基性残基を有
するカツプラーとしては、下記構造をもつものが
使用できる。

ただし、R₁はC₁〜C₁₈のアルキル基を示す。
R₂、R₃はC₁〜C₁₈のアルキル基、又はそれらが結
合するＮ原子と共に複素環を形成し得る官能基で
ある。

本発明で使用することのできる塩基性物質は、
加熱時に融解、溶解又は分解して系を塩基性に傾
ける能力をもつものであり、従来公知の各種のも
のが使用できる。例えば、無機・および有機・ア
ンモニウム塩、有機・アミン類、尿素及びその誘
導体、グアニジン誘導体、ピペラジン類、イミダ
ゾール類、モルホリン類等の含窒素複素環化合
物、酢酸ナトリウム、マロン酸カリウム等の塩類
が挙げられる。

これら既知の塩基性物質を一種又は二種以上混
合して使用することができる。

バインダーとしては一般に知られている、ポリ
ビニルアルコール、カルボキシメチルセルロー
ス、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、カゼ
イン、ゼラチン、デンプン、イソブチレン−無水
マレイン酸共重合体塩、ポリアクリル酸塩等の水
溶性バインダー、スチレン−ブタジエンラテツク
ス、アクリロニトリル−ブタジエンラテツクス等
のラテツクス類、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル
酸エステル等の各種エマルジヨン類、ニトロセル
ロース、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、テルペ
ン樹脂、環化ゴム等の公知の各種樹脂を用いるこ
とができる。

その他の添加剤として、プレカツプリング防止
のために酒石酸、クエン酸、ホウ酸等の酸安定剤
を系中へ加えることができる。

又、酸化防止剤としてチオ尿素、アスコルビン
酸等を、ジアゾニウム塩の安定化剤として塩化亜
鉛を添加することもできる。これ以外に各種顔
料、又、発色感度、発色濃度を向上させる目的で
パラフインワツクス、モンタン酸エステルワツク
ス、アマイドワツクス等のワツクス類を各々使用
する事ができる。

本発明で用いる支持体としては上質紙、コート
紙、アート紙、ラミネート紙、合成樹脂フイル
ム、織布シート、金属、ガラス等が使用できる。

本発明の感熱記録媒体は、ジアゾニウム塩、カ
ツプラー、塩基性物質、又はジアゾニウム塩、塩
基性残基を有するカツプラーを主成分とする感熱
記録層を支持体上に設け、更にその上に保護層を
設けることにより作製される。

このように保護層を設けた光定着型感熱記録媒
体は、記録層が露出しているものにくらべ、サー
マルヘツドへのカス付着が極めて少ない、引つか
きによる発色がない、表面の力学的強度が強い、
耐薬品性、耐水性に極めてすぐれている、指紋の
跡が残らないなどのすぐれた特性を示すものであ
る。

以下、実施例により本発明をより具体的に説明
する。

実施例 １ 下記処方の塗料を作製し、シールレス定期券用
磁気原反の磁気面と逆の面にワイヤーバーで塗布
し、70℃で乾燥した。乾燥後の塗布量は4.5ｇ／
m²であつた。

４−ベンズアミド−２，５−ジエトキシベンゼ
ンジアゾニウム六フツ化リン塩の20％水分散液
20重量部 ２−ヒドロキシ−３−ナフトエ酸−モルホリノ
プロピルアミドの20％水分散液 30重量部 テトラフエニルホウ素ナトリウム ２重量部 水性ポリエステル樹脂（大日本インキ製
FINETEX ES−650） 50重量部 水 20重量部 上記、感熱記録層上へ、下記塗料を乾燥後の塗
布量が１ｇ／m²になるように、ワイヤーバーで塗
布し、60℃で５分間乾燥、硬化し、保護層を設
け、光定着型感熱記録媒体を作製した。

(株)トーレシリコーン製（トーレシリコーンSR
−2411） 10重量部 ｎ−ヘキサン 10重量部 このような常温硬化型シリコーンの保護層を設
けた記録媒体は圧発色がなく、表面の力学的強度
が強く、又指紋の跡が発色するようなこともな
い。

上記記録媒体を、抵抗360Ωの感熱ヘツドを用
い、印加電圧13V、パルス幅2.7ｍ・sec、ヘツド
押圧150ｇ／cmの条件下で記録を行なつたところ、
ステイツク、ヘツドへのカス付着が全く見られ
ず、濃度1.2の鮮明な青発色画像が得られた。更
に高湿下での保存性も良好であつた。

一方、保護層のないものでは、圧発色し、表面
強度も弱く、同条件で記録したところ、ステイツ
クがびどく、ヘツドへのカス付着も多く見られ
た。

実施例 ２ 下記処方の塗料を坪量64ｇ／m²の上質紙にワイ
ヤーバーにて塗布、70℃で熱風乾燥した。乾燥後
の塗布量は５ｇ／m²であつた。

２，３−ジヒドロキシナフタレン−６−スルホ
ン酸ナトリウム ３重量部 尿素 ５重量部 テトラフエニルホウ素ナトリウム ２重量部 PVAの10％水溶液 40重量部 水 50重量部 この塗工紙上に下記感光塗料をワイヤーバーに
て塗布、55℃で乾燥した。乾燥塗布量は３ｇ／m²
であつた。

Ｐ−ジアゾ−Ｎ，Ｎ−ジメチルアニリンクロラ
イド塩化亜鉛 ３重量部 酒石酸 0.5重量部 PVAの10％水溶液 20重量部 水 50重量部 この感光層上へ、下記塗料を乾燥後の塗布量が
2.0ｇ／m²になるように塗布し、光定着型感熱記
録媒体を作製した。乾燥条件は50℃で５分間であ
る。

シリコーン離型剤（信越化学工業株式会社Ｘ−
62−630B） 10重量部 触媒（信越化学工業株式会社製CAT−PS−
３） 0.5重量部 アクリル系樹脂５％石油ベンジン溶液（ローム
アンドハース製アクリロイドB67） ２重量部 石油ベンジン 25重量部 上記、記録媒体を抵抗150Ωの感熱ヘツドを用
い、印加電圧10V、パルス幅２ｍ・sec、ヘツド
押圧力87.8ｇ／cmの条件下で記録したところ鮮明
な青発色画像を得た。これを、波長420nm、出力
4Wの螢光灯に５秒露光し定着を行なつた。

上記、保護層を設けた、光定着型感熱記録媒体
は、記録層が露出したものにくらべ、ステイツ
ク、カスの付着がなく、耐薬品性、耐水性にもす
ぐれ、又、指紋の跡が発色するようなことも全く
起こらなかつた。

実施例 ３ 下記処方の塗料を調整し、坪量64ｇ／m²の上質
紙にPVAを２ｇ／m²塗工してしみ込みを防止し
た紙上にワイヤーバーで塗布し、65℃で乾燥し
た。乾燥後の塗布量は６ｇ／m²であつた。

ニコチンアミド ４重量部 微粉末シリカ １重量部 ポリ酢酸ビニルの15％メタノール溶液 20重量部 メタノール 25重量部 この塗工紙上に下記感光塗料をワイヤーバーで
塗布、55℃で乾燥した。乾燥後の塗布量は４ｇ／
m²であつた。

４−モルホリノ−２，５−ジブトキシベンゼン
ジアゾニウム四フツ化ホウ素塩の20％水分散液
20重量部 ２，７−ジヒドロキシナフタレン−３，６−ジ
スルホン酸ナトリウム ５重量部 テトラフエニルホウ素ナトリウム １重量部 PVAの10％水溶液 40重量部 水 15重量部 上記感光層上へ、下記塗料を乾燥後の塗布量が
1.0ｇ／m²になるように塗布して保護層を設け、
光定着型感熱記録媒体を作製した。

常温硬化型シリコーン（トーレシリコーンSR
−2411、トーレシリコーン社製） 10重量部 シリコーンオイル（トーレシリコンオイルFS
−1265、トーレシリコーン社製） 0.3重量部 リグロイン 15重量部 この記録媒体を用い、実施例２と同様の条件下
で記録、定着を行なつたところ鮮かな青発色画像
を得た。実施例１、２同様、記録層が露出したも
のにくらべステイツク、カスの付着がなく、表面
の力学的強度も強く、すぐれた特性を示すもので
あつた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 支持体上にジアゾニウム塩、カツプラーおよ
   び塩基性物質を主成分とする感熱発色層を設けた
   光定着型感熱記録媒体において、前記感熱発色層
   上にさらに常温硬化型シリコーンおよび／または
   シリコーンオイルを含有する保護層を設けたこと
   を特徴とする光定着型感熱記録媒体。 ２ 支持体上にジアゾニウム塩および塩基性残基
   を有するカツプラーを主成分とする感熱発色層を
   設けた光定着型感熱記録媒体において、前記感熱
   発色層上にさらに常温硬化型シリコーンおよび／
   またはシリコーンオイルを含有する保護層を設け
   たことを特徴とする光定着型感熱記録媒体。