JPH0575596B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、画像形成方法、特に昇華性色素を用
いる熱転写工程を含む色素画像形成方法に関す
る。さらに詳しくは熱、光等に対して安定な多階
調を有する色素画像を、昇華性色素を用いる熱転
写工程により得る方法に関する。 従来、感熱転写方法では、印刷抵抗、薄膜抵
抗、半導体抵抗等で構成されたサーマルヘツド若
しくはレーザー、キセノンランプ等の熱源により
感熱紙を発色させ画像等を記録する方法が知られ
ているが、これらの方法では感熱紙を用いるため
発色した画像の熱、光に対する安定性に問題があ
り、また多階調の記録を得ることも困難であつ
た。さらにカラー化については、発色層を多層に
する必要があり、構成が難しくなり、２色程度が
限度であつた。 別の系統から画像情報に応じて制御されている
熱源により記録体に画像等を得る方法としては、
熱源により転写マスタから受像シートに色素を転
写させる感熱転写方式が知られており、該方式に
おける熱転写工程には融点が低く、熱容量の小さ
い溶剤と共に色素を熱転写させる溶融転写型と昇
華性色素を転写させる昇華転写型が知られている
が、鮮鋭度の良い多階調記録を得るには昇華転写
型がすぐれている。しかしながら、昇華転写型で
は得られた画像が昇華性色素による画像であるた
め、外部の熱源からの加熱により、一度形成され
た色素画像が、再昇華によりその画像濃度が下が
るという欠点があり、定着性に問題があつた。 本発明者等は鋭意研究の結果、改良された感熱
転写記録方法を確立した。 本発明の目的は、昇華転写方式における転写画
像がキレート化した色素画像となり、定着性、耐
光性に優れた画像が得られる感熱転写記録方法を
提供することにある。 本発明の上記目的は、下記一般式(1)又は(2)で表
される熱昇華性でかつキレート化可能な色素を含
有する転写層が支持体上に塗布された転写マスタ
に、該支持体側から画像の情報に応じて熱エネル
ギーを与え、多価金属イオンを含む受像シート
に、実施的に前記色素のみを転写させることによ
り受像シート上にキレート化した色素の画像分布
を形成することを特徴とする熱転写記録方法によ
つて達成される。 一般式(1)

【化】 式中、X¹は少なくとも一つの環が５〜７個の
原子から構成されている芳香族の炭素環又は複素
環を完成するのに必要な原子の集まりを表わし、
かつアゾ結合に結合する炭素の隣接位の少なくと
も一つが(a)窒素原子であるか、又は(b)窒素原子、
酸素原子もしくはイオウ原子で置換された炭素原
子であり、環上にさらに置換基が置換していても
よく、好ましい置換基としてはアルキル基（メチ
ル基、エチル基等）、アルコキシ基、シアノ基、
ニトロ基、チオール基、チオアルコキン基又はハ
ロゲン原子である。X²は少なくとも１つの環が
５〜７個の原子から構成されている芳香族の炭素
環又は複素環を表わし、環上に適当な置換基が置
換されていてもよく、好ましい環としてはベンゼ
ン環、ナフタレン環、ピリジン環、キノリン環で
あり、好ましい置換基としてはアルキル基、アル
コキシ基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、アミノ
基及びハロゲン原子である。Ｇはキレート化基を
表わし、好ましくは水酸基、アミノ基、メトキシ
基、チオール基、チオアルコキシ基である。 一般式(2)

〔例示化合物〕

(1) １−（２−ピリジルアゾ）−２−ナフトール (2) １−（４−ヒドロキシ−２−ピリジルアゾ）−
２−ナフトール (3) ２−（２−ヒドロキシフエニルアゾ）−５−ヒ
ドロキシピリジン (4) ２−（２−ピリジルアゾ）−４−メトキシ−１
−ナフトール (5) ２−（４−ニトロ−２−ピリジルアゾ）−４−
メトキシ−１−ナフトール (6) １−（２−ヒドロキシフエニルアゾ）−２−ナ
フトール (7) １−（２−アミノフエニルアゾ）−２−ナフト
ール (8) ２−（２−ヒドロキシフエニルアゾ）−５−メ
トキシフエノール (9) ８−（２−ヒドロキシフエニルアゾ）−キノリ
ン (10) ３−（２−ヒドロキシフエニルアゾ）−２，４
−ペンタンジオン (11) １−フエニル−２−（２−ヒドロキシフエニ
ルアゾ）−１，３−ブタンジオン (12) α−（２−ヒドロキシフエニルアゾ）−β−ヒ
ドロキシシンナモニトリル 本発明の熱昇華性を有し、かつキレート化可能
な色素を含有する転写層には、さらにバインダー
を含有していてもよい。バインダーとしては、ポ
リビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニ
ルアルコール、ポリスチレン、スチレン−ブタジ
エン共重合体、ポリ酢酸セルロース、メタクリル
酸メチル、アクリル酸エチル等の合成樹脂ポリマ
ーバインダーを用いることができる。 本発明において、最も有効な多価金属イオン
は、受像シートに転写せれた色素とすみやかに反
応し、望ましい色相の錯体を形成し、配位子と強
固に配位でき、受像シート中では実質的に無色で
ある。このような性質を有する多価金属イオンと
して好ましいものは、銅（）、ニツケツ（）、
パラジウム（）、亜鉛（）、白金（）、コバ
ルト（）及びアルミニウム（）であり、特に
好ましいものとしては銅（）及びニツケル
（）があげられる。 本発明における受像シートは、受像シート中又
は受像シート上に前記多価金属イオンを含有して
おり、表面が実質的に無色又は白色のものであ
る。受像シートは紙、プラスチツクフイルム、プ
ラスチツク−紙複合体などの支持体上に、多価金
属イオンを含む層を塗布したものか、または多価
金属イオンを支持体中に練り込み或いは紙等を多
価金属イオン溶液中に浸漬さすことにより多価金
属イオンを含有させたシートである。支持体上に
塗設される多価金属イオンを含む層は、ポリビニ
ルブチラール、ポリ酢酸セルロース、ポリビニル
アルコール等のバインダー中に多価金属イオン供
与物質を含ませるか、単に多価金属イオンだけを
含ませてもよい。多価金属イオン供与物はそれ自
体がバインダーを兼る場合もある。好ましい多価
金属イオン供与物質としては特公昭36−11535号、
特階昭55−48210号、同55−129364号に記載され
ているものがある。 以下、本発明の実施例について説明する。図は
転写層に含まれる昇華性色素を昇華させる手段と
してサーマルヘツドを用いる本発明の一実施例の
要部拡大断面図である。図中、１は転写マスタで
あり、これは支持体２と転写層３からなる。４は
受像シートである。支持体２としては紙又は熱伝
導性のよい耐熱性フイルム等を用いることができ
る。 一例として前記例示化合物(1)３ｇを２％のポリ
酢酸セルロースを含むアセトン溶液500c.c.に溶解
し、この溶液をコンデンサ紙に例示化合物(1)の塗
布量が2.5ｇ／m²となるように塗布し、乾燥させ
て転写マスタ１を得た。 一方、塩化ニツケル５ｇを５％のポリビニルア
ルコールを含む水500c.c.に溶解し、この溶液を支
持体８（例えばアイボリー紙）に塩化ニツケルの
塗布量が3.0ｇ／m²となるように塗布し、多価金
属イオン含有受像層７を含む受像シート４−Ａを
得た。 比較として、塩化ニツケルを除いて、ポリビニ
ルアルコールだけをアイボリー紙に塗布した受像
シート４−Ｂを得た。 この転写マスタ１と前記受像シート４−Ａを用
いて、サーマルヘツド５の発熱抵抗体６の線密度
を４〜５分／mmとし、転写マスタ１と受像シート
４−Ａの間隔を0.3mmに設定し、１発熱体当り
0.5Wで発熱させ記録をおこない、受像シート４
−Ａ上にマゼンタ色の画像を得た。 比較として、受像シートを４−Ｂにした以外は
同様の操作をおこない、受像シート４−Ｂ上にオ
レンジ色の画像を得た。 さらに色素として例示化合物(4)及び例示化合物
(12)を用いた転写マスタを例示化合物(1)の場合と同
様に調整し、この転写マスタを用いて受像シート
４−Ａ並びに４−Ｂ上に上記と同様の方式により
サーマルヘツドを用いて画像を得た。 次に、熱転写画像の定着・安定性を見るため
に、画像が得られた受像シートの画像面をアイボ
リー紙に密着させ、受像シートの裏面からアイロ
ンによりアイロンの表面温度170℃で５分間加熱
したところ受像シート４−Ａの方は、いずれのも
のも画像がアイボリー紙の転写せず、受像シート
上に定着されていたが、受像シート４−Ｂの方は
いずれのものも画像がアイボリー紙上に転写して
おり、受像シート上の画像濃度の減少が認められ
た。加熱前後のλmaxによる向学濃度（加熱前
Do¹、加熱後D¹）を測定し、D¹／Do¹×100を残
存率とし、第１表に示した。 また、熱転写画像の耐光・安全性を見るため
に、画像が得られた受像シートを6000Wにキセノ
ンランプで48時間照射（受像シート面上の照度は
6000ルツクス）し、露光前と露光後において
λmaxにより光学濃度（露光前Do²、露光後D²）
を測定し、D²／Do²×100の値を残存率とし第１
表に示した。

【表】

【表】 上記の実施例では、サーマスヘツドの発熱抵抗
体を当て加熱し転写層より色素を昇華させる場合
について述べたが、支持体側からヘリウム−ネオ
ンレーザ、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ等のレ
ーザ光を照射し、転写層を発熱させ、色素を昇華
転写させ画像を形成させてもよい。 こうして得られた画像はキレート化され安定性
が極めて向上しているため、第１表に記載されて
いるように熱により再昇華して、再転写すること
がなく、強固に定着されており、さらに耐光性に
もすぐれている。本発明の感熱記録方法により得
られる画像は、多段階調の鮮明な画像であり、極
めて堅牢であることが確認された。 上記実施例において、転写層に含有する例示化
合物に代えて、アントラキノン色素（C.I.60505）
を用いて比較の転写マスタを形成した。 この比較の転写マスタを用い、受像シート４−
Ａ上に上記と同様にして画像を形成した。 次に、上記と同様に定着・安定性、耐光・安定
性を評価したところ、定着性は28％、耐光性は85
％であつた。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の感熱転写記録方法を説明するため
の要部拡大断面図である。 図中、１は転写マスタ、２は支持体、３は転写
層、４は受像シート、５はサーマルヘツド、６は
発熱抵抗体、７は多価金属イオン含有受像層、８
は支持体を各々表わす。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 下記一般式(1)又は(2)で表される熱昇華性でか
   つキレート化可能な色素を含有する転写層が支持
   体上に塗布された転写マスタに該支持体側から画
   像の情報に応じて熱エネルギーを与え、多価金属
   イオンを含む受像シートに、実質的に前記色素の
   みを転写させることにより受像シート上にキレー
   ト化した色素の画像を形成することを特徴とする
   感熱転写記録方法。 一般式(1) 【化】 ［式中、X¹は少なくとも一つの環が５〜７個の
   原子から構成されている芳香族の炭素環又は複素
   環を完成するのに必要な原子の集まりを表わし、
   かつアゾ結合に結合する炭素の隣接位の少なくと
   も一つが(a)窒素原子であるか、又は(b)窒素原子、
   酸素原子もしくはイオウ原子で置換された炭素原
   子であり、X²は少なくとも一つの環が５〜７個
   の原子から構成されている芳香族の炭素環又は複
   素環を完成するのに必要な原子の集まりを表わ
   し、Ｇはキレート化基を表わす。］ 一般式(2) 【化】 ［式中、X¹は一般式(1)で定義されたものと同義
   であり、Z¹は電子吸引基を表わし、Z²はアルキル
   基又はアリール基を表わす。］ ２ 受像シートに含有される多価金属イオンが銅
   （）、ニツケツ（）、亜鉛（）、白金（）、
   パラジウム（）、コバルト（）又はアルミニ
   ウム（）であることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項記載の感熱転写記録方法。