JPH0224679Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は自動車のグローブボツクスに係り、詳
しくは、書籍等の安定した収納を図ることができ
るグローブボツクスに関するものである。これ
は、自動車内の座席前面のインストルメントパネ
ルなどに設けられ、書籍等の収納部が一体に形成
されたグローブボツクスの分野で利用されるもの
である。

〔従来の技術〕

自動車の助手席などの前には、道路地図、ノー
ト、車検証やその他の書類を入れた書類帳（以
下、書籍等という）や小物品などを収納するグロ
ーブボツクスが設けられている。このグローブボ
ツクスはインストルメントパネルなどに設置され
るが、それに多種の書籍等や品物を雑多に収納す
ると、取り出しのたびに収納品が混乱したりする
ことがある。そのために、書籍等を他の品物とは
分別して収納することができるようにしたグロー
ブボツクスがある。

その一例として、実開昭55−129860号公報に記
載された自動車等のグローブボツクスにおけるマ
ツプホルダーがある。これは、ほぼ箱状の引出し
形式のグローブボツクスの奥部に、その下隅を中
心にして奥方向に回動して付勢するトーシヨンバ
ネ体が設けられているものである。したがつて、
グローブボツクスを引き出した後、そのトーシヨ
ンバネ体の上端部を指で手前に回動させて倒し、
そのトーシヨンバネ体と奥板との間に書籍等を入
れてトーシヨンバネ体を手放すと、書籍等が挟み
込まれて、グローブボツクスの奥部に立て掛けら
れたような状態で収納されるようになつている。
これに類似したものとして、実開昭55−109056号
公報に開示された自動車用計器盤のグラブボツク
スがある。

この種の構造によると、書籍等の安定した支持
が可能となるが、そのためにトーシヨンバネ体が
別途必要とされ、それを止め金具などでグローブ
ボツクスに装着しなければならず、部品点数が多
くなると共に、それをグローブボツクス内に装着
する組立工数が多く、さらには、操作手間も要す
る問題がある。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、グローブボツクスの背部にはクーラ
ユニツトなどが配置されると、奥行きの深いグロ
ーブボツクスを設けることができない場合があ
る。その場合、クーラユニツトなどと干渉しない
グローブボツクスの上部に、書籍等の収納可能な
奥行きのある薄い書籍等の収納部が一体に形成さ
れていると都合がよい。そのようなものとして、
実開昭55−16975号公報に記載されたグローブボ
ツクスがある。

その収納部は自動車に固着されたグローブボツ
クスの天井部に近接する位置であるので、挿入さ
れた書籍等の少なくとも挿入前端側を支持する必
要があり、そのための棚縁が突設されている。し
かし、グローブボツクスの正面下部などを中心に
回動して、グローブボツクスの正面を閉止するグ
ローブカバーを除き、グローブボツクス本体がプ
ラスチツクなどの樹脂材で一体成形される場合に
は、この棚縁の突出量を成形技術上の問題から余
り大きくとることができない事情がある。その結
果、書籍等収納部に挿入された書籍等のグローブ
カバー側となる後端側が棚縁で支持されず、その
後端が曲がつて棚縁より下方の収納空間に垂れ下
がつたり、書籍等が収納部内で動いたりして、書
籍等の収納の安定性が図れなくなる。そこで、書
籍等の後端側を支持してホールドするホルダーが
回動可能に設けられ、書籍等収納部の下方に収納
されている他の書籍等や品物の出し入れが阻害さ
れないように配慮されている。

しかしながら、ホルダーは書籍等を支持するた
めに新たに設けられることになり、書籍等収納部
に装着すべき部品点数が増加することは否めな
い。また、そのホルダーは回動構造となつてい
て、一々手動操作する必要があり、さらには、書
籍等収納部の空間にその操作部分が張り出し、書
籍等以外のものを出し入れする際に邪魔なものと
なつてしまう欠点がある。

上記のいずれの先行技術においても、書籍等の
前端側を乗載した棚縁などと後端側を支持するホ
ルダーとの距離は固定的であり、また、書籍等を
安定に保持する機構がないか、あつても複雑なも
のとなつている。しかも、書籍等の前端側が書籍
等収納部の空間に垂れ下がらないようにするため
の操作も煩わしく、簡便な操作で書籍等の全体を
支持し、また、保持させることができる構造が望
まれる。

本考案は上述の問題に鑑みなされたもので、そ
の目的は、グローブボツクスに容易に一体形成さ
れる書籍等収納部内で、書籍等が車体の揺動など
によつて動いたり、また、その一部が垂れ下がつ
て変形し、他の書籍等や品物の出し入れに支障を
きたすことがないようにでき、しかも、グローブ
ボツクスの構成部品点数が少なく、組立工数も余
り要しなく、書籍等の支持操作も簡便であり、そ
の収納状態の保持も確実になされる機構を備えた
自動車のグローブボツクスを提供することであ
る。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、自動車の前部座席の前面に一体樹脂
成形されたグローブボツクスが組み付けられ、そ
のグローブボツクス内に書籍等を独立して収納す
ることができるようになつている自動車のグロー
ブボツクスに適用される。

その特徴とするところは、第１図を参照して、
グローブボツクス１内の上部空間に位置して、書
籍等７の収納可能な奥行きを有し、書籍等７の少
なくとも挿入前端側７ａを支持する仕切棚８が、
グローブボツクス１と一体となつている書籍等収
納部６が設けられている。この書籍等収納部６の
奥壁に形成された切欠溝１０で部分的に分離さ
れ、その分離部分をグローブボツクス１内の空間
側へ切り起こし、書籍等収納部６に収納される書
籍等７の挿入前端側７ａを、グローブボツクス入
口側へ付勢する弾発力を発生させる弾力部分９が
形成される。一方、グローブボツクス本体２を開
閉自在に覆うグローブカバー３のフツク１１〔第
４図参照〕が係脱されるグローブストライカー１
２には、弾力部分９によりグローブボツクス入口
側へ付勢された書籍等７の後端側７ｂが外れない
ように乗載するアーム状の係止部材１３を一体に
設けていることである。

〔考案の効果〕

本考案によれば、グローブボツクスと一体に形
成され書籍等の収納可能な奥行きを有する書籍等
収納部に、少なくとも書籍等の挿入前端側を支持
する仕切棚が形成されていると共に、書籍等の後
端側を乗載する係止部材が設けられているので、
書籍等の後端側が曲がつたり垂れ下がつたり、車
体の揺動によつて動いたりすることを回避でき
る。また、書籍等収納部に挿入された書籍等を付
勢する弾力部分が一体形成されているので、挿入
された書籍等をグローブボツクスの入口側の係止
部材に乗載させやすいように書籍等を自然と移動
させることができ、書籍等の収納操作がワンタツ
チで済み、かつ、書籍等のグローブボツクスの収
納空間上部において弾発力による書籍等の位置保
持も極めて確実となる。さらには、書籍等の後端
側を乗載する係止部材は、グローブボツクス本体
を開閉自在に覆うグローブカバーのフツクが係脱
されるグローブストライカーに一体成形されてい
るので、部品点数の増加を抑制できると共に、一
部品の構成としたことにより小型のものとするこ
とができる。それによつて、グローブボツクス収
納空間を広く確保し、ひいては、グローブボツク
スの前後寸法が小さくなり、自動車の前部座席の
前面におけるグローブボツクスの配置上の自由度
も向上する。また、係止部材に回動部分もないこ
とから、係止部材の操作は必要がなく、グローブ
ボツクスの収納空間を阻害する突出物もなく、収
納品の出し入れ操作における煩わしさが著しく少
なくなる。上記のグローブストライカーはもとも
と強度の大きい部材が採用されることから、それ
に一体の係止部材も書籍等を支持するだけの充分
な剛性を確保しておくことが容易となる。

〔実施例〕

以下に、本考案をその実施例の図面を参照しな
がら、詳細に説明する。

第１図は、本考案のグローブボツクスが自動車
の室内の前部座席の前面に取り付けられた状態を
示す断面図である。グローブボツクス１は、一体
成形されたグローブボツクス本体２と、これとは
別体のグローブカバー３とからなり、その収納空
間４には書籍等や小物品などを入れ、グローブカ
バー３で蓋することができるようになつている。

このグローブボツクス本体２の背後、すなわ
ち、車の前進方向側にはクーラユニツト５が設置
され、グローブボツクス本体２の奥行きは書籍等
を平らな状態で収納できる程の余裕がない。その
ため、クーラユニツト５などと干渉しないグロー
ブボツクス１の上部に、書籍等の収納可能な奥行
きのある薄い書籍等収納部６が一体に形成されて
いる。この書籍等収納部６は車体に固着されたグ
ローブボツクス本体２の天井部に位置するので、
挿入された書籍等７の少なくとも挿入前端側７ａ
を支持する必要があり、そのための仕切棚８が、
グローブボツクス１内でグローブカバー３側に向
かつて庇状に突設されている。

一方、グローブボツクス本体２の正面下部２ａ
を中心に回動してグローブボツクス１の正面を閉
止するグローブカバー３を除き、グローブボツク
ス本体２がプラスチツクなどの樹脂材で一体成形
されるので、この仕切棚８の突出量を成形技術上
の問題から余り大きくとることができない。そこ
で、第２図に示すように、この書籍等収納部６の
奥壁に、これと一体に形成され、そこに収納され
る書籍等７の挿入前端側７ａをグローブボツクス
１の入口側、すなわち、グローブカバー３の方向
へ付勢支持する弾力部分９が設けられている。

この弾力部分９は、詳細には図示しないが、書
籍等収納部６の背面部に横幅の広い「コ」の字状
の切欠溝１０で部分的に分離して形成され、その
分離部分が収納空間４側へ切り起こされるように
して、設けられている。これは、自由状態では実
線で示すようにグローブカバー３側に迫り出て曲
折しており、この弾力部分９が書籍等７の前端に
より想像線で示すように押し込まれると、弾発力
が生じて書籍等７をグローブカバー３側に押し返
すように作用する。これは、図示の例では書籍等
収納部６の左右部に各一つ設けられているが、そ
の数は収納部の大きさなどを勘案して必要数設け
られる。

一方、グローブボツクス本体２の正面上部２ｂ
には、グローブカバー３の開閉の際に、グローブ
カバー３側に取り付けられたフツク１１〔第４図
参照〕が係脱するグローブストライカー１２が固
着されている。このストライカー１２には、弾力
部分９で付勢された書籍等７の後端側７ｂを乗載
しかつ係止する第３図に示すアーム状の係止部材
１３が形成されている。この係止部材１３は図示
の形状に限らず、後述の要領によつて書籍等７を
乗載することができるものであれば十分である。

ちなみに、グローブストライカー１２は、グロ
ーブカバー３を係止して保持するものであるの
で、その強度は高く確保された部材となつてい
る。したがつて、グローブストライカー１２に、
書籍等７の後端を乗載しまた係止するような係止
部材１３が一体となつているため、係止部材１３
による書籍等７の支持剛性を高くしておくことが
容易となる。そして、その係止部材１３がグロー
ブストライカー１２とは別に設けられる場合に比
べると、部品を一つにまとめることができ、グロ
ーブボツクスの内部空間を阻害する割合が少な
く、ひいては、グローブボツクスの前後寸法を小
さくしても、所望寸法の書籍等７を収納すること
ができる。これによつて、グローブボツクスのイ
ンストルメントパネルにおけるレイアウト上の自
由度も増して、車体搭載における他の装置や部品
との干渉を回避することもできる利点がある。

このような構成例によれば、次のようにして書
籍等７を収納することができる。

グローブカバー３の図示しないノブを押すなど
して、第４図の想像線で示すように、フツク１１
とグローブストライカー１２の係合棒１２ａとの
係合を解き、グローブカバー３を第１図に示すそ
の正面下部２ａを中心にして、矢印１４方向に開
く。グローブボツクス本体２の収納空間４に所望
の品物などを収納し、さらに書籍等７も保管す
る。その収納空間４に余裕がなかつたり、その奥
行きが書籍等の幅や長さより短かつたり、書籍等
７と他の品物との混同を避けて別途保管したい場
合には、その書籍等７を書籍等収納部６に挿入す
る。

その際、書籍等７の挿入前端側７ａを仕切棚８
の上に乗せて押し込むと、書籍等７が仕切棚８に
支持させた状態となると共に、その挿入前端側７
ａがグローブカバー３側に迫り出している弾力部
分９に当接する。その状態では、書籍等７の後端
側７ｂはグローブストライカー１２の係止部材１
３の下部に接触する状態などにあり、書籍等７は
やや曲がつた状態となる。そこで、さらに書籍等
７を押し込むと、その力によつて弾力部分９が第
２図の想像線で示すように背後方向に押しやら
れ、書籍等７の後端側７ｂはグローブストライカ
ー１２よりさらに奥に入る。

書籍等７を挿入した手を放すと、書籍等７は弾
力部分９の弾発力によつてグローブカバー３側に
移動され、その後端側７ｂが係止部材１３上に乗
載されて固定される。したがつて、樹脂の一体成
形技術上の問題から、仕切棚８の突出量が大きく
確保されていなくても、書籍等７の後端が曲がつ
て収納空間４に垂れ下がつたり、書籍等７が収納
部６内で動いたりすることはなく、書籍等の収納
の安定を図ることができる。

上述の実施例では、背後にクーラユニツトが設
置され、グローブボツクス全体の奥行きを十分確
保することができない場合について述べたが、そ
のクーラユニツトの有無にかかわりなく、本考案
を自動車に適用できることは言うまでもない。

本考案は以上の説明から判るように、書籍等収
納部に少なくとも書籍等の挿入前端側を支持する
仕切棚があり、グローブカバー側には後端側を受
ける係止部材が設けられているため、書籍等をグ
ローブボツクスの上部に収納して、他の小物品な
どとは別に保管することができる。その係止部材
により書籍等の後端側が曲がつたり、収納空間へ
垂れ下げつたり、また、車体の揺動によつて大き
く動いたり、ずれたりすることを回避できる。

また、弾力部分は書籍等収納部の奥壁に切欠溝
を設けて、それを切り起こしたように形成される
ことから、弾力部分としての新たな部品を設ける
必要がなく、それによつて書籍等をグローブカバ
ー側に付勢して、書籍等の係止部材による保持も
確実なものとなる。その係止部材は剛性の高いグ
ローブストライカーと一体であり、グローブスト
ライカーと別部品とした場合よりもコンパクトに
形成でき、しかも、その支持剛性を高く維持させ
ることができる。

係止部材はグローブストライカーと一体品であ
ることから、収納空間における突出量も少なくな
り、他の書籍等や品物の出し入れに支障のきたす
ことがなくなり、収納品の混乱などが生じにくく
なる。さらには、収納空間の確保が容易となるこ
とから、グローブボツクスの前後寸法も短くして
おくことができ、車体におけるグローブボツクス
の取付配置における自由度が高くなり、設置設計
上やデザイン面における変化や工夫などの配慮を
施しやすくなる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の自動車のグローブボツクスに
おける一実施例の断面図、第２図は第１図の−
線矢視断面図、第３図はグローブストライカー
の全体斜視図、第４図はグローブストライカーと
カバーフツクとの係脱状態図である。 １……グローブボツクス、２……グローブボツ
クス本体、３……グローブカバー、６……書籍等
収納部、７……書籍等、７ａ……挿入前端側、７
ｂ……後端側、８……仕切棚、９……弾力部分、
１０……切欠溝、１１……フツク、１２……グロ
ーブストライカー、１３……係止部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 自動車の前部座席の前面に一体樹脂成形された
   グローブボツクスが組み付けられ、そのグローブ
   ボツクス内に書籍等を独立して収納することがで
   きるようになつている自動車のグローブボツクス
   において、 上記グローブボツクス内の上部空間に位置し
   て、書籍等の収納可能な奥行きを有し、書籍等の
   少なくとも挿入前端側を支持する仕切棚が、グロ
   ーブボツクスと一体に形成されている書籍等収納
   部と、 この書籍等収納部の奥壁に形成された切欠溝で
   部分的に分離され、その分離部分をグローブボツ
   クス内空間側へ切り起こして形成され、書籍等収
   納部に収納される書籍等の挿入前端側を、グロー
   ブボツクス入口側へ付勢する弾発力を発生させる
   弾力部分と、 グローブボツクス本体を開閉自在に覆うグロー
   ブカバーのフツクが係脱されるグローブストライ
   カーに一体に成形され、前記弾力部分によりグロ
   ーブボツクス入口側へ付勢された上記書籍等の後
   端側が外れないように乗載するアーム状の係止部
   材と、 が設けられていることを特徴とする自動車のグロ
   ーブボツクス。