JP4113757B2 - 車両用ミラー付サンバイザ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の運転席や助手席への直射光を遮るために車室の前部天井に取り付けられるサンバイザに関し、特に、サンバイザ本体にミラー部材を配設するとともに、カードを保持させるようにした構造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車体に取り付けられた状態で格納位置と遮光位置とに切り替えられるように構成された板状のサンバイザ本体を備えるサンバイザがある。このサンバイザ本体を内部に中空部を有するように形成し、その中空部にミラー部材の保持フレームを配設するとともに、サンバイザ本体の外面に樹脂製のシートを巻き付けて該シートとサンバイザ本体外面とによりカードを挟持するようにして、利便性を向上したサンバイザが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001―294041号公報(第3,4頁、図3〜図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記特許文献1のサンバイザでは、カードを保持させるためにサンバイザ本体に別部材のシートを巻き付けるようにしているので、部品点数が増加し、その分だけコストが高くなり、また、製造誤差や車室内の温度状態によりシートに弛みが生じ、保持したカードが脱落してしまう虞れがある。
【0005】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ミラー部材を配設した中空部を有するサンバイザ本体には、ミラー部材裏面側に空間が形成されることに着目し、該空間を有効に利用してカードを保持させて、部品点数の削減による低コスト化を図るとともに、カードの脱落を防止することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明では、ミラー部材裏面と半体内面との間のカード挿入空間と連通するカード差入口を前記ミラー部材裏面側に位置する半体に形成するようにした。
【0007】
具体的には、請求項1の発明では、厚み方向に分割され重合状態で内部に中空部が形成される第1半体及び第2半体からなり、車体に取り付けられた状態で格納位置と遮光位置とに略水平軸周りに回動して切り替えられるサンバイザ本体と、該サンバイザ本体の前記中空部に配設されたミラー部材とを備えた車両用ミラー付サンバイザを対象とする。
【0008】
そして、前記ミラー部材を、前記サンバイザ本体の厚み方向中間部に位置付け、前記ミラー部材裏面と該裏面側に位置する半体内面との間には、カード挿入空間を形成し、前記ミラー部材裏面側に位置する半体には、車幅方向又は車幅方向に略直交する方向に延びるカード差入口を前記カード挿入空間に連通させて形成し、前記カード差入口からカード挿入空間にカードを挿入した状態で、該カードは前記カード差入口の周縁部及び前記ミラー部材裏面に接して保持されるとともに、該カードの一部がカード差入口から半体外方に突出している構成とする。
【0009】
この構成によれば、ミラー部材裏面側の空間がカード挿入空間として有効に利用され、カードは、保持部材を別途用意することなくカード挿入空間に挿入された状態で安定保持されるので、低コスト化が図られるとともに、カードの脱落が防止される。また、保持されたカードの一部が半体外方に突出しているので、カードの取り出しが容易になる。
【0010】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、ミラー部材表面側に位置する半体には、ミラー部材表面を露出させる開口を形成し、前記ミラー部材を、前記開口周縁に対応して中空部に突設したミラー支持枠で支持し、前記ミラー支持枠には、サンバイザ本体外方へ突出する操作部を有し前記ミラー部材表面に略沿ってスライドして前記開口を開閉するカバーを設け、前記ミラー支持枠には、前記カバーをミラー支持枠にその外方から内方へ挿入して組付けるカバー挿入口を、前記カバーの操作部形成箇所の厚みに相当して形成し、ミラー部材裏面側に位置する半体内面には、前記カード差入口からカード挿入空間に挿入したカードが前記カバー挿入口からミラー支持枠外方へ移動するのを防止する突出部を設ける構成とする。
【0011】
この構成によれば、ミラー支持枠のカバー挿入口がカバーの操作部形成箇所の厚みに相当しているので、カバー組付時には、操作部を形成したカバーをミラー支持枠内方へ容易に挿入することが可能となる。また、カード挿入空間に挿入したカードがカバー挿入口側に移動しても、ミラー部材裏面側に位置する半体内面に設けられた突出部により、そのカードがカバー挿入口からミラー支持枠外方へ移動するのが防止されて所定の位置で保持される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図2は、本発明の実施形態に係るサンバイザSを車体に取り付けた状態を示し、このサンバイザSは、車幅方向に長い略矩形板状に形成されたサンバイザ本体1と、該サンバイザ本体1の車幅方向一側(図2で左側)に配設されたステー3とを備えている。
【0014】
前記ステー3は、図3に示すように、略水平かつ車幅方向に延びてサンバイザ本体1に挿通されるサンバイザ支軸部3aと、該サンバイザ支軸部3aからサンバイザ本体1外に突出する縦軸部3bとで略L字状に形成されている。該縦軸部3bには、車室の天井5に締結される取付ブラケット7が設けられており、該取付ブラケット7によりステー3が車体に取り付けられるようになっている。
【0015】
そして、サンバイザ本体1は、図2に矢印Eで示すように、サンバイザ支軸部3a周りに回動して、通常は、図2の実線及び図3(a)に示すように、天井5に沿うように位置する格納位置とされる一方、使用時には、図2の2点鎖線及び図3(b)に示すように、フロントウインド(図示せず)内面に沿うように位置する遮光位置に切り替えられる。詳細は後述するが、このサンバイザ本体1は、前記格納位置とされたときに使用可能となるミラー部材を備えており、さらに、前記遮光位置とされたときには、車室側からカードを保持させることが可能に構成されている。
【0016】
前記サンバイザ本体1は、図4に示すように、厚み方向に2分割された2つの半体11,13からなり、格納位置にあるときに車室側となる方が第1半体11とされ、また、反対の天井5側になる方が第2半体13とされている。第1半体11及び第2半体13は、樹脂材による射出成形品であり、両半体11,13のステー3取付側縁部と反対側の縁部、即ち両半体11,13の幅方向一側の縁部が、薄肉ヒンジ15を介して連結された状態で一体に形成されている。第1半体11は、平面部11aと該平面部11aの周縁に一体に立設された側壁部11bとで構成され、また、第2半体13も同様の平面部13aと側壁部13bとで構成されていて、これら第1半体11及び第2半体13は共に深さの浅い皿状に形成されている。第1半体11及び第2半体13の側壁部11b,13b先端には、図5に示すように、係合爪11c、13cがそれぞれ形成されていて、両半体11,13は、前記薄肉ヒンジ15により折り曲げられて係合爪11c,13cを互いに係合させることにより重合されて、内部に中空部Rが形成される。
【0017】
前記第1半体11及び第2半体13の両側壁部11b,13bにおける前記サンバイザ支軸部3a挿通箇所には、略半円状の切欠11d,13dがそれぞれ形成され、両半体11,13を重合させると、2つの切欠11d,13dにより前記サンバイザ支軸部3aが挿通可能な略真円の孔部(図示せず)が形成されるようになっている。第1半体11の切欠11cよりも車幅方向他側(図4で右側)には、ステー3のサンバイザ支軸部3aを挿入支持するステー挿入孔17a,17aを有するステー支持座部17,17が車幅方向に並設されている。
【0018】
前記第1半体11の平面部11aの略中央には、車幅方向に長い略矩形の開口21が形成され、一方、第2半体13内面には、前記開口21周縁に対応するミラー支持枠23が中空部Rに突設されていて、該ミラー支持枠23内で支持されたミラー部材25の表面が前記開口21から露出するようになっている。図1及び図6に示すように、ミラー支持枠23の高さ方向先端には、前記開口21に嵌入するベゼル部27が形成されていて、該ベゼル部27の先端が第1半体11の平面部11a外面と略同一面上に位置している。
【0019】
前記ミラー部材25の車幅方向の寸法は、前記ミラー支持枠23の車幅方向の内寸よりも短くされていて、ミラー部材25は、ミラー支持枠23内の車幅方向他側に偏在した状態で、その縁部がミラー支持枠23内面の高さ方向略中央に形成されたミラー支持用溝部29に嵌入支持されている。この状態で、ミラー部材25裏面と第2半体13内面との間には、カード挿入空間Wが形成されるようになっている。前記ミラー部材25は、ミラー支持枠23の車幅方向他側の壁部に形成されたミラー挿入口23aからミラー支持枠23内へ挿入されて組付けられるようになっている。
【0020】
前記ミラー部材25の表面側には、前記ミラー部材25を使用しないときに覆うためのカバー31が配置されており、該カバー31の縁部は、前記ミラー支持枠23内面の前記ミラー支持用溝部29よりもベゼル部27側に形成されたカバー支持用溝部33に支持されている。カバー31は、ミラー部材25よりも車幅方向に長い矩形板状に形成され、その車幅方向他側の縁部近傍には、サンバイザ本体1外方へ突出する操作部31aが形成されている。ミラー支持枠23の車幅方向一側の壁部には、組付時のカバー31をミラー支持枠23にその外方から内方へ挿入するためのカバー挿入口23bが形成されており、図7に示すように、このカバー挿入口23bは、カバー31の操作部31a形成箇所の厚みに相当する開口寸法を有していて、カバー31が容易に挿入可能となっている。そして、組付けられたカバー31は前記カバー挿入口23bを通って、図1の矢印Fで示すように、車幅方向一側にスライドして、前記第1部材11の開口21を開状態とするようになっている。尚、図1及び図7における符号37は、組付時のカバー31をカバー支持用溝部23bに案内するためのガイドリブであり、ミラー支持枠23内面に突設されている。
【0021】
第1半体11内面の前記開口21よりも車幅方向一側には、前記カバー31を開方向へスライドさせたときに、カバー31の幅方向両縁部に摺接して該カバー31の幅方向への移動を規制するリブ状の第1ガイド部41,41が立設されている。第1ガイド部41,41の車幅方向一側の端部には、カバー31の車幅方向一側の縁部が当接して該カバー31の全開位置を決めるストッパ部41a,41aが一体に形成されている。
【0022】
第2半体13内面の前記ミラー支持枠23よりも車幅方向一側には、カバー31を開方向へスライドさせたときに、カバー31の第2半体13側の面に摺接して該カバー31を第1半体11内面に近接させた状態とするリブ状の第2ガイド部43,43が、第2半体13の幅方向に離れて立設されている。第2ガイド部43,43の車幅方向両端及びその中央は、第2半体13内面に立設された3つの連繋リブ45,45,45によりそれぞれ連繋されている。また、第2ガイド部43,43の車幅方向他側は、図1に示すように、その端部側へ行くほど第2半体13内面からの高さが低くなる円弧状に形成されている。
【0023】
つまり、カバー31を全閉状態から開方向へスライドすると、該カバー31の車幅方向一側の縁部が、前記第2ガイド部43,43の円弧状に形成された部分により該第2ガイド部43,43の高さ方向先端まで導かれ、カバー31は第1半体11に近接した状態でスライドする。さらに、このとき、カバー31の幅方向両縁部は、第1ガイド部41,41によりその幅方向の移動が規制されているので、カバー31は直線的にスムーズにスライドする。
【0024】
第2半体13の平面部13aの前記カード挿入空間W対応箇所には、サンバイザ本体1内方へ窪む略矩形の凹部47が形成されている。該凹部47周縁の車幅方向一側には、平面部13aの車幅方向に略直交する方向に延びるとともに、前記カード挿入空間Wに連通するスリット状のカード差入口51が形成されている。このカード差入口51からカード挿入空間WにカードTを挿入することで、該カードTの挿入側の約半分がカード挿入空間Wに位置するとともに、残りの部分が第2半体13から外方へ突出した状態となってカードTがサンバイザ本体1に保持される。
【0025】
前記第2半体13内面には、ミラー部材25の車幅方向一側の縁部に対応する箇所から略垂直に突出しかつ第2半体13の幅方向に延びる突出部53が形成されている。図1に示すように、前記突出部53の先端は、カバー31の第2半体13側の面に当接しており、また、ミラー部材25の車幅方向一側の縁部が突出部53の側面に当接しており、従って、この突出部53により、カード挿入空間Wに挿入したカードTがミラー支持枠23のカバー挿入口23bから前記ミラー支持枠23外方の中空部R内へ移動することが防止されるようになっている。
【0026】
また、第1半体11内面の開口21周縁近傍には、図4に示すように、4つの係合爪57,57,…が形成されていて、両半体11,13の重合状態で、これら係合爪57,57,…が第2半体13のミラー支持枠23に形成された係合孔23c,23c,…と係合するようになっている。
【0027】
したがって、この実施形態に係る車両用ミラー付サンバイザSによれば、ミラー部材25裏面と第2半体13内面との間のカード挿入空間Wに連通するカード差入口51を第2半体13に形成したので、ミラー部材25裏面側の空間を有効に利用して、カードTの保持部材を別途用意することなく該カードTをカード挿入空間に挿入した状態で安定保持できる。これにより、サンバイザSの低コスト化を図ることができるとともに、保持したカードTの脱落を防止することができる。
【0028】
また、カード差入口51からカード挿入空間Wに挿入したカードTが第2半体13外方へ突出しているので、カードTの取り出しを容易にできる。
【0029】
さらに、カード挿入空間Wに挿入されたカードTが車幅方向一側に移動しても、突出部53により、ミラー支持枠23のカバー挿入口23bから前記中空部R内へ移動するのが防止されるので、カードTを所定の位置で保持できる。
【0030】
尚、前記実施形態では、カード差入口51を第2半体13の平面部13aの車幅方向と略直交する方向に延びるように形成しているが、これに限らず、車幅方向に延びるように形成してもよい。
【0031】
また、前記実施形態では、第1半体11と第2半体13と薄肉ヒンジ15を介して一体に形成するようにしているが、両半体11,13を別部材としてもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明に係る車両用ミラー付サンバイザによると、ミラー部材裏面と半体内面との間にカード挿入空間を形成し、ミラー部材裏面側に位置する半体に、カード差入口を前記カード挿入空間に連通させて形成したので、ミラー部材裏面側の空間をカード挿入空間として有効に利用して、カードの保持部材を別途用意することなくカードを安定保持できるので、低コスト化を図ることができるとともに、カードの脱落を防止でき、また、保持されたカードの一部が半体外方に突出しているので、カードの取り出しを容易に行うことができる。
【0033】
請求項2記載の発明によると、ミラー部材表面側に位置する半体には、ミラー部材表面を露出させる開口を形成し、ミラー部材を中空部に突設したミラー支持枠で支持し、ミラー支持枠にはサンバイザ本体外方へ突出する操作部を有するカバーを設け、前記ミラー支持枠に、前記カバーをミラー支持枠に挿入して組付けるカバー挿入口をカバーの操作部形成箇所の厚みに相当して形成したので、操作部を一体に形成したカバーを容易に組付けることができる。また、ミラー部材裏面側に位置する半体内面に、前記カード挿入空間に挿入したカードが前記カバー挿入口からミラー支持枠外方の中空部内へ移動するのを防止する突出部を設けたので、カードを所定の位置で保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図3(b)におけるA−A線断面図である。
【図2】 車室の前部天井に取り付けられたサンバイザの斜視図である。
【図3】 (a)は格納位置にあるサンバイザを第1半体側から見た平面図であり、(b)は遮光位置にあるサンバイザを第2半体側から見た平面図である。
【図4】 サンバイザ本体を展開した状態を示す平面図である。
【図5】 図3(a)におけるC−C線断面図である。
【図6】 図3(b)におけるB−B線断面図である。
【図7】 図4におけるD−D線断面図である。
【符号の説明】
1 サンバイザ本体
11 第1半体
13 第2半体
21 開口
23 ミラー支持枠
23b カバー挿入口
25 ミラー部材
31 カバー
31a 操作部
51 カード差入口
53 突出部
R 中空部
S サンバイザ
T カード
W カード挿入空間
Claims (2)
- 厚み方向に分割され重合状態で内部に中空部が形成される第1半体及び第2半体からなり、車体に取り付けられた状態で格納位置と遮光位置とに略水平軸周りに回動して切り替えられるサンバイザ本体と、該サンバイザ本体の前記中空部に配設されたミラー部材とを備えた車両用ミラー付サンバイザであって、
前記ミラー部材は、前記サンバイザ本体の厚み方向中間部に位置付けられ、
前記ミラー部材裏面と該裏面側に位置する半体内面との間には、カード挿入空間が形成され、
前記ミラー部材裏面側に位置する半体には、車幅方向又は車幅方向に略直交する方向に延びるカード差入口が前記カード挿入空間に連通して形成され、
前記カード差入口からカード挿入空間にカードを挿入した状態で、該カードは前記カード差入口の周縁部及び前記ミラー部材裏面に接して保持されるとともに、該カードの一部がカード差入口から半体外方に突出していることを特徴とする車両用ミラー付サンバイザ。 - 請求項1において、
ミラー部材表面側に位置する半体には、ミラー部材表面を露出させる開口が形成され、
前記ミラー部材は、前記開口周縁に対応して中空部に突設したミラー支持枠で支持され、
前記ミラー支持枠には、サンバイザ本体外方へ突出する操作部を有し前記ミラー部材表面に略沿ってスライドして前記開口を開閉するカバーが設けられ、
前記ミラー支持枠には、前記カバーをミラー支持枠にその外方から内方へ挿入して組付けるカバー挿入口が、前記カバーの操作部形成箇所の厚みに相当して形成され、
ミラー部材裏面側に位置する半体内面には、前記カード差入口からカード挿入空間に挿入したカードが前記カバー挿入口からミラー支持枠外方へ移動するのを防止する突出部が設けられていることを特徴とする車両用ミラー付サンバイザ。
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