JPH0222511Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、フロントフオークを車体から取り外
さずにばね荷重調整と伸行程時の減衰力調整を同
一箇所で行ない得るフロントフオークに関する。

一般に、自動二輪車の前車輪を支持する油圧緩
衝器として、内筒と外筒とを摺動自在に嵌合し外
筒内にその端部より植立されたシートパイプを同
心に設けるとともに、該シートパイプ上部を内筒
内に臨ませ該シートパイプ内に減衰力発生機構を
備えたピストンを摺動自在に設け、該ピストンを
装着した中空ロツドをシートパイプから引き出し
て内筒内に挿入し内筒端部を閉塞するフオークボ
ルトに該ピストンを装着した中空ロツド上端部を
固着したフロントフオークが使用されている。

しかして、乗り心地や運転性をよくするため
に、又、レースにおいては所要時間に影響がある
ことなどからばね荷重や減衰力を調整することが
行なわれているが、従来、これらの調整はフロン
トフオークを車体から取り外して行なわれなけれ
ばならなかつた。かつ、その際にも別個の箇所を
操作しなければならないほどやつかいなものであ
つた。

本考案者は、フロントフオークを車体から取り
外さずに乗車したままでも容易にばね荷重や伸行
程時減衰力を調整する手段を得べく工夫を重ね、
フロントフオークのフオークベルト部にこれらの
調整機構を集中して設けることによつて目的を達
し得ることを認めて本考案をなしたものである。

次に、本考案の実施例を添付の図面に基づいて
説明する。第１図は、本考案のフロントフオーク
の一実施例を示す要部断面側面図、第２図は、本
考案のフロントフオークのフオークボルト部の一
実施例を示す片側断面側面図である。

１は、フロントフオークの外筒、２は、内筒で
あつて、外筒１の内周に摺動自在に嵌合され、フ
オークボルト部３によつて閉塞されている。４
は、シートパイプであつて、油孔５が設けられ、
外筒１内にその端部に同心に植立され内筒２内に
延在され臨ませられている。６は、中空ピストン
ロツドであつて、シートパイプ４内を自在に摺動
し得、減衰力発生機構を備えたピストン７を先端
部に装着し、シートパイプ４外に延伸している。
なお、ピストン７装着側に近接して伸行程用油孔
８が設けられている。９は、インナーフオークボ
ルトであつて、内筒２の開放端側内周に固着され
た厚肉円筒状のフオークボルト１０の内周にＯ−
リング１１を介して油密にその外周で螺合され、
内周下側は中空ピストンロツド６の外周に螺合さ
れ、フオークボルト１０に設けた回転止め用の止
めねじ１２によつて止められている。又、その外
部に延伸した頂部１３はスパナのような工具がか
かり易いようにナツト状に突設されている。１４
は、ばね受であつて、円筒部１５の上端面をイン
ナーフオークボルト９の端部側に設けた切欠部１
６に当接させるとともに、ばね受１４の内周をイ
ンナーフオークボルト９の下端部外周に螺合しイ
ンナーフオークボルト９の回転に伴なつて回転せ
ずに上下動のみするようにされフオークボルト１
０端に当接して上動が止められ、シートパイプ４
の開口側に設けたばね受１７との間に張架される
コイルばね１８を係止している。１９は、調整盤
であつて、インナーフオークボルト９の開口側内
側にＯ−リング２０を介して当接している調整レ
バー２１を止めねじ２２によつて固設して回転自
在に設けられている。２３は、調整ロツドであつ
て、中央部でインナーフオークボルト９内周に螺
合し、調整盤１９側は半円状とし調整レバー２１
の内側に突設した底部２４に設けた半円状の孔に
挿入、嵌合し、他端は調整ロツド２３が摺動して
インナーフオークボルト９に設けた油路２５の開
度を調整するようになつている。又、フオークボ
ルト１０の内周面には、インナーフオークボルト
９の油路２５に連通する油溝２６及び油溝２６に
連通し内筒２内へ開口する油路２７が穿設されて
いる。なお、インナーフオークボルト９と調整レ
バー２１とが当接する面に、たとえば、インナー
フオークボルト９側に孔部を設けて係止球を弾止
し、対向する調整レバー２１側の面に穴又は溝の
ような係合部を設けたような節度感装置２８を設
けることは好ましい。

本考案装置はこのようにフオークボルト部３が
構成されているので、ばね荷重を調整する場合に
は、フオークボルト１０に設けた止めねじ１２を
ゆるめてインナーフオークボルト９を回転可能な
状態とし、その頂部１３をスパナなどによつて回
転するとインナーフオークボルト９が回転し、そ
の回転が内筒２内へ入り込むように回転されると
きには、先端側に係止し螺合されているばね受１
４はその回転によつて内筒２内方向へ押されコイ
ルばね１８を圧縮することになる。又、これと逆
にインナーフオークボルト９を回転するとコイル
ばね１８を伸長することができる。任意に調整し
た後、止めねじ１２を締付けることによつてイン
ナーフオークボルト９を固定し得、したがつて、
その位置にばね受１４を保持し得て調整されたば
ね荷重を維持することができる。なお、これらの
操作に際して、調整ロツド２３は、インナーフオ
ークボルト９に螺合し、調整レバー２１に係合し
ているのでこれらは関係位置を保つたままともに
移動する。したがつて、減衰力発生に影響を及ぼ
すことはない。

次に、伸行程時の減衰力を調整しようとする場
合には、調整盤１９を回転すると調整レバー２１
が回転し、調整レバー２１の底部２４は調整ロツ
ド２３の半月状部に係合しているので、その回転
を調整ロツド２３に伝えるが、調整ロツド２３は
インナーフオークバルブ９の内周に螺合している
ので回転するとともに調整レバー２１に対して先
端部２４に沿つて摺動し、その回転方向によつて
インナーフオークボルト９の油路２５の開度を大
きくしあるいは小さくし、中空ピストンロツド２
の中空部中を流れて来た油は油路２５−油溝２６
−油路２７を経て内筒２内へ流入しその開度に応
じた伸行程時の減衰力を発生する。しかして、調
整ロツド２３はインナーフオークボルト９に螺合
し、インナーフオークボルト９は止めねじ１２に
よつて固定されているので調整位置を維持しそれ
に応じた減衰力を維持することができるとともに
ばね荷重に影響を及ぼすことはない。なお、調整
盤１９の回転に際して、調整レバー２１の回転ご
とに節度感装置２８が良好な節度感を与え調整程
度を知ることができる。

本発明は、フロントフオークのフオークボルト
部に、油路を設けたインナーフオークボルトを螺
合し、ばね受をインナーフオークボルト先端部に
係止螺合し、調整盤に固定した調整レバーをイン
ナーフオークボルトの内周に螺合した調整ロツド
と係合させるようにしたので、ばね荷重調整及び
伸行程時減衰力調整をフロントフオークを一々車
体から取り外すことなく、同一箇所において調整
することができるものであつて、通常の運転時は
勿論レース時などにおいて状況に応じたこれらの
調整がきわめて容易に行なうことができるなどそ
の効果大なるものが認められる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案のフロントフオークの一実施
例を示す要部断面側面図、第２図は、本考案のフ
ロントフオークのフオークボルト部の一実施例を
示す片側断面側面図である。 １……外筒、２……内筒、３……フオークボル
ト部、４……シートパイプ、６……中空ピストン
ロツド、９……インナーフオークボルト、１２…
…止めねじ、１３……頂部、１４……ばね受、１
５……円筒部、１７……ばね受、１８……コイル
ばね、１９……調整盤、２１……調整レバー、２
２……止めねじ、２３……調整ロツド、２４……
底部、２５，２７……油路、２７……油溝、２８
……節度感装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内筒と外筒とを摺動自在に嵌合し、外筒内にそ
   の端部より植立されたシートパイプを同心に設け
   るとともに該シートパイプ上部を内筒内に臨ませ
   該シートパイプ内に減衰力発生機構を備えたピス
   トンを摺動自在に設け該ピストンを装着した中空
   ロツドを内筒内に挿設し内筒端部を閉塞するフオ
   ークボルトに該中空ピストンロツド上端部を固着
   してなるフロントフオークにおいて、油路２５を
   穿設したインナーフオークボルト９を、該油路２
   ５に連通する油溝２６及び該油溝２６に連通し内
   筒２内へ開口する油路２７を設け内筒２の開放端
   側に固着されたフオークボルト１０の内周に回転
   可能に螺合し、かつ、該インナーフオークボルト
   ９の先端側にばね受１４を回転不能で上下動可能
   に螺合し、該インナーフオークボルト９の内側に
   設けた調整レバー２１の底部２４に回転不能に嵌
   合し油路２５の開度を調整する調整ロツド２３を
   インナーフオークボルト９の内周に螺合してなる
   フオークボルト部を有するフロントフオーク。