JPH0221984B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は設置が簡単であつて、搬送ラインの変
更頻度が高い場合、又は非常設の搬送ラインを必
要とする場合に有用な搬送装置を提案するもので
ある。

以下本発明をその実施例を示す図面に基き具体
的に説明する。第１図は本発明装置の下側から見
た斜視図、第２図は側面図、第３図は正面図であ
る。丸パイプを用いてなる軌条１は第１図、第３
図に示す如き略Ｃ型の支持金具２多数を介して天
井、梁その他架空構造物に支持される。支持金具
２は軌条１に吊支される搬送車３の走行を妨げる
ことがないように総て軌条１の一側に位置せしめ
られ、下側端末を軌条１の下側周面に接触させる
ようにして軌条１を固定している。軌条１の支持
構造はこれに限るものではなく、軌条１の一側方
から軌条１の下側に延在せしめてこれを下側から
支持する構造であればよい。

斯かる軌条１に吊支される搬送車３は軌条１に
懸架される前後の車輪部と、これらの間を繋ぐ車
体部とからなつている。本発明装置の車輪部の要
部をなすのはその車輪の配置形態であり、これが
従来の同種装置に必要とした、ふれ止めのための
副軌条を不要として１本の軌条１による安定走行
を可能としている。第４図は搬送車３の車輪の配
置形態を示す模式図であつて、軌条１の上側から
これに転接する鼓形の主車輪４，５と、主車輪
４，５の前方（又は後方）にて軌条１の両横側か
らこれに転接する短円柱型の副車輪４１ｆ，４２
ｆ，５１ｆ，５２ｆ（４１ｒ，４２ｒ，５１ｒ，
５２ｒ）とを備えており、この実施例では前側の
主車輪４を駆動輪、後側の主車輪５を従動輪とし
ている。各車輪は例えばゴム、合成樹脂等を用い
て構成され、主車輪４，５は荷重により軌条１に
密着しているが、ふれ止めの機能を果す合計８つ
の副車輪は、軌条の旋回半径を考慮して若干のク
リアランスをもつて軌条１に転接するようにして
いる。なお軌条１を挾んで対向する１対の副車輪
４１ｆと４２ｆ等は軌条１の中心に関して対称と
してあり、また前後の副車輪４１ｆと４１ｒ等は
主車輪４等から等距離離隔するようにその位置を
定めている。

前側の車輪取付板６の上端部中央には軸受６１
を用いて車軸６２の基端部が水平に支持されてお
り、車軸６２には基端部側にプーリ６３が、また
先端部側には主車輪４がキー止めされている。車
輪取付板６の上端部には上記車軸６２及び主車輪
４を囲繞するように平面視で略矩形の車軸取付枠
６４が形成されており、車輪取付板６と対向する
部分には軸受６５を設けて車軸６２の先端部を支
持している。車軸取付枠６４の四隅の下部には垂
直軸を設けて、これに副車輪４１ｆ，４２ｆ，４
１ｒ，４２ｒが回転自在に支持されている。

車輪取付板６の下部には電動機７がその回転軸
が車軸６２と平行し、出力軸が車輪取付板６側に
位置して胴部が車軸６２の延出方向に延在するよ
うにして取付けられており、減速機（図示せず）
を介してプーリ７１を回転駆動するようにしてい
る。プーリ７１，６３はいずれも歯付のものであ
つて、両者間にはコグドベルト７２が掛け回され
ており、電動機７の回転によつて主車輪４が回転
駆動される。

後側の車輪取付板８は電動機７の取付が不要な
ために車輪取付板６よりも簡略化したものであつ
て、車軸６２と平行な回転自在の車軸に主車軸５
をキー止めし、またその少し下側の四周夫々に設
けた垂直軸に副車輪５１ｆ，５２ｆ，５１ｒ，５
２ｒを回転自在に支持してある。上記した主車輪
４，５、ベルト７２等は防塵のための化粧カバ
６′，８′にて覆われている。

車輪取付板６，８の下部には鉛直に軸６６，８
６を延出してあり、下端部寄りに前後の車輪部を
連結すると共に、吊荷を支える負荷杆９を軸６
６，８６に対する回動自在に連動連結してあり、
軸６６，８６の下端末に形成した螺条にナツト６
７，８７を螺合して負荷杆９の抜け止めを図つて
いる。負荷杆９の車輪取付板６，８に対する回動
中心は主車輪４，５の中心直下としている。

負荷杆９は適幅の水平部９１と、これを補強す
る一又は複数の鉛直部９２とからなり、前後の両
端部には筒状部９３，９４を設け、これを軸６
６，８６に外嵌している。鉛直部９２には吊環９
５，９６が吊垂されている。また水平部９１には
適宜のブラケツトを設けてバツテリ１０を着脱自
在に搭載してある。負荷杆９は図示しない取付金
具を備え、これを利用してカバー１１が取付けて
ある。このカバー１１はバツテリ１０及び後述す
る電子回路（第５図参照）を覆つており、操作盤
１２を第２図とは反対側の側面に取付けてある。

前面には発、受光素子を備えた回帰反射光検出
型の光スイツチ９７が取付けてあり、後面には他
の搬送車の光スイツチ９７のための反射板９８が
貼着してある。

カバー１１の下面には赤外線利用の遠隔制御の
ための受光部１０１が光捕捉部１０２を下向きに
して取付けてある。またカバー１１の上面の軌条
下に臨む位置にはリードスイツチ３４が取付けて
ある。１００は遠隔操作部であり、操作内容に応
じた信号を赤外線にて発するようになつている。
カバー１１の上面には車輪取付板６，８、化粧カ
バー６′，８′のカバー１１又は負荷杆９に対する
回転を妨げることがないように穴が開設してあ
り、下面にも吊環９５，９６挿通のための穴が開
設されている。そしてこの吊環９５，９６を利用
して荷箱９９等が吊下げられるようになつてい
る。以上の如き構成による搬送車３の重心は主車
輪４，５の軸方向中心を含む面上に在るように各
構成部材の配置を定めている。

第５図は本発明装置の電子回路を示している。
バツテリ１０の正極ラインは充放電切換用のスイ
ツチ２１により負荷側正極ライン１０ｐ及び充電
回路側正極ライン１０p′に連なり、負極ライン１
０ｎは負荷側、充電回路側とも共通としている。
正極ライン１０p′はダイオードを介して操作盤１
２に設けた充電用レセプタクル２２に連なつてお
り、ここにバツテリ１０同様の24V直流電源に連
なるプラグを挿込み、スイツチ２１をライン１０
p′側に投入することによりバツテリ１０への充電
が行われる。

正極ライン１０ｐ及び負極ライン１０ｎ間には
キープリレ２３の常開接点２３ａ、電動機７、キ
ープリレ２４の常閉接点２４ｂ及び減速用抵抗２
５の直列回路が接続されており、両接点２３ａ，
２４ｂの閉路により電動機７が正転する結線とし
てある。接点２３ａと電動機７の第１端子７ａと
の接続点と、接点２４ｂと抵抗２５との接続点と
の間にはキープリレ２３の常閉接点２３ｂが接続
されており、また接点２４ｂと電動機７の第２端
子７ｂとの接続点と、正極ライン１０ｐとの間に
はキープリレ２４の常開接点２４ａが接続されて
おり、これらの接点２４ａ，２３ｂの閉路によ
り、電動機７が逆転する結線としてある。抵抗２
５には電磁リレ２６の常開接点２６ａが並列接続
されており、その閉路にて電動機７は高速回転す
る構成としている。電動機７の第２端子７ｂと負
極ライン１０ｎとの間にはダイオード、抵抗及び
通電時間計２７の直列回路が接続されている。こ
の通電時間計２７は操作盤１２に視認可能に取付
けられており、通電電流（この実施例では電動機
７への通電電流）と通電時間との積に相当する量
を電気メツキ現象を利用して表示する、それ自体
公知の素子である。電動機７の第１端子７ａと負
極ライン１０ｎとの間にはダイオード、スイツチ
２８、定電圧回路素子２９及びメロデイ発生素子
３０の直列回路が設けられており、スイツチ２８
を閉路している場合は電動機７への通電時におい
てメロデイ発生素子３０が所定のメロデイを発
し、搬送車３走行の警音となるようにしている。

更に正極ライン１０ｐにはキープリレ２３，２
４が接続され、キープリレ２３及び２４夫々の保
持信号端子には電動機７正転及び逆転を夫々指示
するための押ボタンスイツチ３１，３２が接続さ
れ、また両キープリレ２３，２４の解除信号端子
には停止指示用の押ボタンスイツチ３３、リード
スイツチ３４及び光スイツチ９７が接続されてい
る。これらのスイツチ３１，３２，３３，３４の
両端は負極ライン１０ｎに接続されている。また
スイツチ３１，３２，３３は操作盤１２に装着さ
れている。

遠隔操作部１００、受光部１０１及びデコーダ
１０３は、例えば、西独シーメンス社製
INFRAFERN（商品名）FSE541が用いられる。
遠隔操作部１００は４つの押ボタンスイツチ１０
０ａ，１００ｂ，１００ｃ，１００ｄを備え、
夫々の操作に応じた内容の２相コード信号を赤外
線にて発するものである。受光部１０１はレン
ズ、フオトダイオードよりなる光捕捉部にてこれ
を受信して光電変換して増幅し、デコーダ１０３
へ与える。デコーダ１０３は正、負極ライン１０
ｐ，１０ｎ間に介装されており、受光部１０１か
らの入力信号を解読してスイツチ１００ａ，１０
０ｂ，１００ｃ，１００ｄの夫々の操作に対応し
て出力端子１０３ａ，１０３ｂ，１０３ｃ，１０
３ｄをローレベル（負極ライン１０ｎのレベル）
にする。出力端子１０３ａ及び１０３ｃはキープ
リレ２３及び２４夫々の保持信号端子に接続され
ている。出力端子１０３ｂはキープリレ２３，２
４の解除信号端子に接続されている。そして出力
端子１０３ｄは電磁リレ２６の励磁コイル２６Ｃ
を介して正極ライン１０ｐに接続している。

叙上の如く構成された本発明装置は搬送車３を
軌条１に懸架し、吊環９５，９６に荷箱９９を吊
下げて使用される。そして切換スイツチ２１を負
荷側の正極ライン１０ｐに切換えた状態でスイツ
チ３１（又は３２）を押すとキープリレ２３（又
は２４）が作動状態を保持し、接点２３ａ，２４
ｂ（又は２４ａ，２３ｂ）の閉路によつて電動機
７が正転（又は逆転）し、搬送車３は前進（又は
後退）する。この間メロデイ発生素子３０により
メロデイ警音が発せられ、また電動機への通信に
て通電時間計の計時が進められることになり、稼
動時間が表示される。そしてスイツチ３３の押込
によりキープリレ２３（又は２４）は作動状態が
解除され、接点２３ａ（又は２４ａ）が開路して
電動機７の回転、従つて搬送車３の走行が停止す
る。軌条１の設置経路の特定位置にて搬送車３を
停止させる場合は第１図に示すように軌条１の下
側周面に適宜手段にて永久磁石３５を装置してお
く。そうすると搬送車３のカバー１１上面に取付
けたリードスイツチ３４が永久磁石３５の直下に
到来したところで作動（閉路）し、キープリレ２
３，２４を解除することになり、電動機７の回転
が停止されることになる。また複数の搬送車３が
軌条１に懸架されるようにシステムを構成する場
合（この場合には一般には前進だけを行わせる構
成とする）においては光スイツチ９７が前方の搬
送車の反射板９８の検出によつて作動し、電動機
７の停止が行われ、追突が回避される。

一方遠隔操作部１００による場合はスイツチ１
００ａ（又は１００ｃ）の操作によりデコーダ出
力端子１０３ａ（又は１０３ｃ）がローレベルと
なつてキープリレ２３（又は２４）が作動状態に
なり電動機７が正転（又は逆転）し、搬送車３は
前進（又は後退する。この間においてスイツチ１
００ｄを操作するとデコーダ出力端子１０３ｄが
ローレベルとなつて励磁コイル２６Ｃに通電が行
われ、接点２６ａが閉路して抵抗２５がバイパス
されることになる。これにより電動機７が増速さ
れ、搬送車３は高速走行することになる。そして
スイツチ１００ｂを操作するとデコーダ出力端子
１０３ｂがローレベルとなつてキープリレ２３
（又は２４）は作動状態が解除され、電動機７が
停止されることになる。

遠隔操作部１００の使用に際してはその赤外線
発光部を搬送車３のカバー１１の下面に設けられ
た光捕捉部１０２に向けて操作するのがよいが光
捕捉部１０２をカバー１１の下面に設けたことに
より各方向からの反射赤外線を極めて受光し易く
なつており、このために本発明装置を屋内にて使
用する限り遠隔操作部１００、受光部１０１等の
仕様にて定まる使用可能範囲内であれば赤外線投
射方向に注意を払うことなくその操作を行うこと
ができる。

このような走行を行う間における車輪のまわり
の動作についてみると、直線走行の際には左右の
副車輪が左右方向への振れを抑制するように軌条
１の横側周面に随時転接する。軌条１が湾曲して
いる部分では負荷杆９が湾曲部の弦となる態様で
位置し、これに対応するように車輪取付板６，８
が負荷杆９の筒状部９３，９４回りに回動するこ
とになる。このとき軌条１の湾曲のために副車輪
は側圧を受け副車輪が軌条１に圧接されることに
なり、湾曲部での走行は自ずと減速され、また軌
条に対する係合は強固となつて走行の安全性が高
められる。

また上述の実施例では荷物を荷箱９９に入れて
負荷杆９に装荷することとしているが、軌条１を
従動走行し得るようにした被牽引車を車輪取付板
８、カバー１１又は負荷杆９等に適宜連結材を介
して連結して牽引させ、この被牽引車に荷箱を設
けて装荷用としてもよい。被牽引車を複数連結す
る構成としてもよいことは勿論である。また負荷
杆にグリツパー等を装設して、ホイスト機能を持
たせる構成としてもよい。更にカバー自体に被搬
送物収納スペースを設けることとしてもよい。

以上のように本発明に係る搬送装置は外周面円
形の１本の架空軌条と、該軌条の周面に上側から
転接し、その進行方向に適長離隔する２つの主車
輪、各主車輪の進行方向前後夫々に軌条を介して
対設され、軌条周面に側方から転接する一対の副
車輪、少なくとも一方の主車輪を駆動する電動
機、電動機を駆動する電池及び各主車輪の車軸
夫々に対し水平回動自在に連動連繋された連繋部
材を備え、前記架空軌条に吊支されてなる搬送車
とを具備するものであるから、軌条の設置、分解
が容易、且つ迅速に行える。また電池で駆動され
るので給電線設置が不要である。このために搬送
ラインの変更が頻繁である場合における有用性が
極めて高い搬送装置が実現できる。また限られた
日数だけ使用し、その他の期間は分解収納してお
きたいというような場合にも本発明装置は有用で
ある。そして軌条構造が単純、つまり１本だけで
あるにも拘らず、これに側方から転接する合計８
個の副車輪の作用によつて走行は安定に行われ、
ある程度の振れ止めと確実な脱輪防止が行え、安
全性も高い。また本発明装置においては架空軌条
が外周面円形であり、これに車輪が転接し、また
搬送車が吊支されているので搬送車は架空軌条を
中心に揺動可能でありカーブの部分での走行安定
性が高く、高速走行が可能である。更に主車輪の
車軸夫々に対して水平回動自在に連動連繋された
連繋部材を備えているので両主車輪間にある架空
軌条部分が曲がつていても搬送車は無理がなく曲
がつて走行できる。換言すれば本発明装置では小
回転半径の軌条を設けることができる。また本発
明装置はテレビカメラを搭載し、これによる生産
ラインのモニタに利用することも可能である。こ
の場合には前述の実施例の如く遠隔制御機能を必
要とする外、カメラ視野の制御信号、撮像信号の
無線伝送のための装置を搭載する必要がある。こ
れらの信号の送受は軌条に沿つて漏洩同軸ケーブ
ルを配設し、それを介することによつて行えばよ
く、生産ライン変更の頻度が高いFMS（Ｆlexible
Ｍanufacturing Ｓystem）工場のモニタ装置
としての利用の際にも、軌条経路の変更が容易で
あることの利点が享受できる等、本発明は優れた
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すものであつて、第
１図は下方よりの斜視図、第２図は側面図、第３
図は正面図、第４図は車輪の配置形態を示す模式
図、第５図は電子回路図である。 １…軌条、２…支持金具、３…搬送車、４，５
…主車輪、６，８…車輪取付板、７…電動機、９
…負荷杆。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 外周面円形の１本の架空軌条と、該軌条の周
   面に上側から転接し、その進行方向に適長離隔す
   る２つの主車輪、各主車輪の進行方向前後夫々に
   軌条を介して対設され、軌条周面に側方から転接
   する一対の副車輪、少なくとも一方の主車輪を駆
   動する電動機、電動機を駆動する電池及び各主車
   輪の車軸夫々に対し水平回動自在に連動連繋され
   た連繋部材を備え、前記架空軌条に吊支されてな
   る搬送車とを具備することを特徴とする搬送装
   置。