JP6233629B2 - パイプレール走行装置およびこれを用いたクレーン、運搬装置 - Google Patents

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Description

本発明は、1本のパイプを走行レールとし、これを上部および左右の車輪で走行するパイプレール走行装置と、これを用いたクレーンおよび運搬装置に関するものである。
一般に工場内や倉庫などに設けられている天井クレーンは、H形鋼を天井側に梁状に取付け、H形鋼を走行レールとして、ここに車輪で移動するクレーンを吊り下げた構造のものが用いられている。しかしながら、狭い工場や倉庫、建築現場などでは、走行レールとなるH形鋼を天井側に施工する工事は大掛かりな工事となり施工費用も高い問題があった。
このため走行レールとして安価なパイプを用いた建築現場用のクレーンも開発されている。これは、上部パイプの下方に下部パイプを接続し、上部パイプを走行レールとして、この上を転動する溝形車輪を、クレーン本体の上部に設けると共に、下部パイプを挟む3個のガイドローラを設けてここでガイドしながらクレーンを走行させるトロリークレーンがある(特許文献1)。しかしながらこのトロリークレーンは、上部パイプと下部パイプを2本接続したもので構造が複雑で、組立てや解体が面倒であった。
また工場内や屋外にレールを敷設して原材料や製品、農産物などを運搬するトロッコなどの運搬装置が用いられている。この運搬装置は、土盛りした地面の上に砂利を敷き、この上に枕木を並べ、更にこの枕木の上に鋼鉄製のI形レールを敷設し、運搬装置はフランジ付き車輪を用いた構造となっている。しかしながら、短い距離や軽いものを運搬する場合には設備が大掛かりとなり、簡易な運搬手段としては利用されていなかった。
特開平10−182064号公報
本発明は上記問題を改善し、走行レールとして安価なパイプを用いて、ここに安定して走行することができるパイプレール走行装置を開発し、このパイプレール走行装置を用いて、構造が簡単で組立てや解体が容易なクレーンおよび運搬装置を提供するものである。
本発明の請求項1記載のパイプレール走行装置は、パイプを走行レールとするパイプレール走行装置において、パイプの左右上部を、間隔をおいて囲う左右の湾曲部と、この左右湾曲部の上部にそれぞれ垂直に突設した左右の垂直部と、この左右の垂直部を、間隔をおいて連結する連結部と、前記左右湾曲部の下部にそれぞれ水平に突設した左右の水平部とで本体部を形成し、前記左右の垂直部の間に、前記パイプの長手方向に沿って垂直車輪を、間隔をおいて複数個取付けると共に、前記左右の水平部に、前記パイプの長手方向に沿って水平車輪を、間隔をおいて複数個取付け、前記垂直車輪が走行レールの垂直中心部の上部を転動し、前記左右の水平部に取付けた水平車輪が、走行レールの水平中心部を両側から挟んで転動するように取付けたことを特徴とするものである。
本発明の請求項2記載のパイプレール走行装置は、請求項1記載のパイプレール走行装置の上部に、更にパイプを着脱自在に取付けるパイプクランプを接合したことを特徴とするものである。
本発明の請求項3記載の天井クレーンは、請求項1記載のパイプレール走行装置を、天井に架設した走行レールを跨がるように取付け、本体部の水平部にアームを下方に向かって接合し、このアームの下部にフック取付部を設けて、ここにクレーンの上部のフックを取付けるようにしたことを特徴とするものである。
本発明の請求項4記載のホイストクレーンは、請求項1記載のパイプレール走行装置を、天井に平行に架設した2本の走行レールを跨がるように取付け、本体部の水平部にアームを下方に向かって接合し、このアームの下部にブラケットを取付け、このブラケットにウインチが取付けられこのウインチにワイヤの一端を巻き付け、ワイヤの他端をブラケットに連結し、このワイヤのU形湾曲部に滑車を取付け、この滑車の下部にフックを取付けたことを特徴とするものである。
本発明の請求項5記載の運搬装置は、請求項1記載のパイプレール走行装置を構成する本体部の上に、パイプを着脱自在に取付けるパイプクランプを接合し、ここに間隔をおいて複数本平行に配置した横フレーム用パイプを連結し、更にここに取付けたパイプクランプで、前記横フレーム用パイプと直交して間隔をおいて複数本平行に配置した縦フレーム用パイプフレームを連結して台車を形成し、この台車を床面や地面に敷設した走行レールの上を車輪が跨がるように走行することを特徴とするものである。
本発明に係る請求項1記載のパイプレール走行装置によれば、パイプで形成された走行レールの上部を跨がって複数個の垂直車輪が転動すると共に、複数個の水平車輪が、走行レールを両側から挟んで転動するので左右のバランスを取りながら安定して走行することができる。しかも走行レールとして安価な市販のパイプを用いることができる。
また請求項2記載のパイプレール走行装置は、本体部2の上にパイプクランプを一体に取付けたので、パイプとの接続が容易である。
また請求項3記載のクレーンによれば、天井に架設した走行レールを跨がるようにパイプレール走行装置を取付け、この本体部の水平部にアームを下方に向かって接合し、このアームの下部にフック取付部を設けて、ここにクレーンの上部のフックを取付けるようにしたので、左右のバランスを取りながら安定して左右に移動させることができ、小さな工場や倉庫内、建築現場などで簡単にクレーンを組立てることができる。
請求項4記載のホイストクレーンによれば、請求項1記載のパイプレール走行装置の本体部の水平部にアームを下方に向かって接合し、このアームの下部にブラケットを取付け、このブラケットにウインチが取付けられこのウインチにワイヤの一端を巻き付け、ワイヤの他端をブラケットに連結し、このワイヤのU形湾曲部に滑車を取付け、この滑車の下部にフックを取付けて、このフックに荷物を吊下げ、ウインチを駆動させることによりドラムが回転してワイヤが巻上げられ、この状態で荷物を引っ張ることにより走行レールに沿って移動させることができる。
請求項5記載の運搬装置によれば、パイプレール走行装置に複数本平行に配置した横フレーム用パイプを連結し、更にここに取付けたパイプクランプで、前記横フレーム用パイプと直交して間隔をおいて複数本平行に配置した縦フレーム用パイプフレームを連結して台車を形成し、この台車の上に荷物を載せて、床面や地面に敷設した走行レールの上を押して行くことにより荷物を運搬することができ、走行レールとなるパイプを組合せるだけで簡単に組立てられ、施工や解体も短時間で行なうことができる。
以下本発明の実施の一形態を図1ないし図3を参照して詳細に説明する。図において1はパイプレール走行装置を示すもので、2は本体部である。この本体部2は、パイプ3で形成された走行レール4の左右上部、即ちパイプ3の上部側を、間隔をおいて囲う左右の湾曲部5A、5Bと、この左右湾曲部5A、5Bの上部にそれぞれ垂直に突設した左右の垂直部6A、6Bと、この左右の垂直部6A、6Bを、間隔をおいて連結する連結部8と、前記左右の湾曲部5A、5Bの下部にそれぞれ水平に突設した左右の水平部9A、9Bとで構成されている。
また前記左右の垂直部6A、6Bの間の連結部8の長手方向両側に、ボルト11が水平に取付けられ、ここにワッシャ12を介してベアリングで形成された垂直車輪13A、13Bがナット14で取付けられている。この垂直車輪13A、13Bはパイプ3で形成された走行レール4の垂直中心部の上部をその長手方向に沿って転動するようになっている。
また前記左右の水平部9A、9Bの両側に、ボルト11が垂直に取付けられ、ここにワッシャ12を介してベアリングで形成された水平車輪16A、16Bがナット14で取付けられている。この水平車輪16A、16Bは、走行レール4の水平中心部を両側から挟んで転動するようになっている。
上記構成のパイプレール走行装置1は、図1に示すようにパイプ3で形成された走行レール4の上部を跨がって2個の垂直車輪13A、13Bが転動すると共に、4個の水平車輪16A、16Bが、走行レール4を両側から挟んで転動するので左右のバランスを取りながら安定して走行することができる。このため従来のように走行レールとガイドレールの2本のレールが不要で、1本の走行レール4だけで安定して走行できるので、構造が簡単で安価に製造することができる。また走行レール4となるパイプ3は足場を構築する市販のパイプを使用することができるので更に安価である。
図4は前記パイプレール走行装置1を用いた一方向天井クレーン17を示すもので、本体部2の右水平部9Bの端部にL字形アーム18を下方に向けて接合し、この底部にリング状のフック取付部19を設けたものである。パイプレール走行装置1の垂直車輪13A、13Bを天井に布設した走行レール4の上部を跨がって取付けると共に、水平車輪16A、16Bを、走行レール4を両側から挟むように取付け、L字形アーム18のフック取付部19にチェーンブロック20のフック21を引っ掛けて一方向天井クレーン17を形成したものである。
図5は本発明の他の実施の形態を示すもので、図2に示す走行レール4を湾曲させたものである。これは直交するパイプ3の接続部分を湾曲させることにより、パイプレール走行装置1が湾曲した走行レール4を走行でき、図4に示す天井クレーン17に適用した場合に、工場や倉庫、建築現場での壁面に沿ってL形状やU形状、O形状の走行レール4を組み立てることもできる。
図6は本発明の他の実施の形態を示すもので、図3に示す本体部2の垂直部6A、6Bの上にパイプクランプ23を一体に接合したもので、左右の走行レール4の上にそれぞれ取付けた左右のパイプレール走行装置1をパイプ3で連結するようにしたものである。
図7は図6に示すパイプクランプ23を設けたパイプレール走行装置1を用いたXーY方向天井クレーン24である。これは天井に平行に架設したY方向走行レール26にパイプレール走行装置1を跨ぐように取付け、このパイプクランプ23にパイプ3で形成したX方向走行レール27の両端を連結し、このX方向走行レール27に図4に示すL字形アーム18を接合したパイプレール走行装置1を跨ぐように取付け、このL字形アーム18にチェーンブロック20を取付けたものである。
このように組立てたXーY方向天井クレーン24は、チェーンブロック20のチェーンを前後左右に引くことにより、チェーンブロック20はX方向走行レール27の上をX方向に移動し、またY方向走行レール26上をY方向に移動することができる。このように3個のパイプレール走行装置1と、走行レール4となる3本のパイプ3を組合せることにより簡単にXーY方向天井クレーン24を組立てることができる。
図8は本発明の他の実施の形態を示すもので、パイプレール走行装置1を用いたホイストクレーン28である。これは図4に示すL字形アーム18を取付けたパイプレール走行装置1を、天井に2本の走行レール4を平行に架設し、ここにそれぞれパイプレール走行装置1をL字形アーム18の向きを逆にして取付け、L字形アーム18の両端にパイプクランプ23でパイプ3を連結してある。更にパイプ3の下部にコ字形状のブラケット30を取付け、この内側にウインチ32が取付けられている。
このウインチ32にワイヤ34の一端を巻き付け、ワイヤ34の他端をブラケット30に連結し、このワイヤ34のU形湾曲部に滑車35を取付け、この滑車35の下部にフック36を取付けたものである。なお37は電源ケーブルである。
上記構成のホイストクレーン28はフック36に荷物38を吊下げ、ウインチ32を駆動させることによりドラム33が回転してワイヤ34が巻上げられ、この状態で荷物38を引っ張ることにより走行レール4に沿って移動させることができる。
図9は本発明の他の実施の形態を示すもので、パイプレール走行装置1を用いた運搬装置40である。これは2本平行に配置した横フレーム用パイプ3と、これと直交して2本平行に配置した縦フレーム用パイプ3とをクロスしたパイプクランプ29で井形に組合わせ、横フレーム用パイプ3を図6に示すパイプレール走行装置1のパイプクランプ23に接合して台車41を形成し、パイプレール走行装置1を2本平行に床面や地面に敷設した走行レール4の上に取付けたものである。これは井形にパイプ3を組合わせて形成した台車41の上に荷物38を載せて、走行レール4の上を押して行くことにより荷物38を運搬するものである。
この場合、走行レール4はパイプジョイントで接続することにより数十mの長さにすることができる。このように安価なパイプ3を走行レール4として利用できるので、従来のように砂利を敷いた上に、枕木を並べ、この上に鋼鉄製のI形レールを敷設した運搬装置に比べて極めて安価にレールを敷設することができると共に、運搬装置40は走行装置1とパイプ3を組合せるだけで簡単に組立てられ、解体も短時間で行なうことができる。なおパイプレール走行装置にウインチ32のワイヤ34を連結して、自動的に走行するようにした構造でも良い。
なお上記説明ではパイプレール走行装置1として2個の垂直車輪13A、13Bと左右それぞれ2個の水平車輪16A、16Bを用いた輪構造のものについて示したが、それぞれ3輪以上の構造でも良い。また車輪としてベアリングを用いた場合について示したが他の構造の車輪を用いても良い。
本発明のパイプレール走行装置は、天井クレーンや運搬装置に用いた場合について示したが、パイプを走行レールとするあらゆる搬送手段にも広く適用することができる。
本発明の実施の一形態による走行レールの上に取付けたパイプレール走行装置を示す正面図である。 図1の平面図である。 図1の側面図である。 本発明の他の実施の形態によるパイプレール走行装置を用いたクレーンを示す正面図である。 本発明の他の実施の形態による湾曲した走行レールに取付けたパイプレール走行装置を示す平面図である。 パイプクランプを取付けたパイプレール走行装置の側面図である。 本発明の他の実施の形態によるパイプレール走行装置を用いたXーY方向天井クレーンを示す平面図である。 本発明の他の実施の形態によるパイプレール走行装置を用いたホイストクレーンを示す正面図である。 本発明の異なる他の実施の形態によるパイプレール走行装置を用いた運搬装置を示す平面図である。
1 パイプレール走行装置
2 本体部
3 パイプ
4 走行レール
5A、5B 湾曲部
6A、6B 垂直部
8 連結部
9A、9B 水平部
11 ボルト
12 ワッシャ
13A、13B 垂直車輪
14 ナット
16A、16B 水平車輪
17 一方向天井クレーン
18 L字形アーム
19 フック取付部
20 チェーンブロック
21 フック
23 パイプクランプ
24 XーY方向天井クレーン
26 Y方向走行レール
27 X方向走行レール
28 ホイストクレーン
29 パイプクランプ
30 ブラケット
32 ウインチ
33 ドラム
34 ワイヤ
35 滑車
36 フック
37 電源ケーブル
38 荷物
40 運搬装置
41 台車

Claims (5)

  1. パイプを走行レールとするパイプレール走行装置において、パイプの左右上部を、間隔をおいて囲う左右の湾曲部と、この左右湾曲部の上部にそれぞれ垂直に突設した左右の垂直部と、この左右の垂直部を、間隔をおいて連結する連結部と、前記左右湾曲部の下部にそれぞれ水平に突設した左右の水平部とで本体部を形成し、前記左右の垂直部の間に、前記パイプの長手方向に沿って垂直車輪を、間隔をおいて複数個取付けると共に、前記左右の水平部に、前記パイプの長手方向に沿って水平車輪を、間隔をおいて複数個取付け、前記垂直車輪が走行レールの垂直中心部の上部を転動し、前記左右の水平部に取付けた水平車輪が、走行レールの水平中心部を両側から挟んで転動するように取付けたことを特徴とするパイプレール走行装置。
  2. 請求項1記載のパイプレール走行装置の上部に、更にパイプを着脱自在に取付けるパイプクランプを接合したことを特徴とするパイプレール走行装置。
  3. 請求項1記載のパイプレール走行装置を、天井に架設した走行レールを跨がるように取付け、本体部の水平部にアームを下方に向かって接合し、このアームの下部にフック取付部を設けて、ここにクレーンの上部のフックを取付けるようにしたことを特徴とする天井クレーン。
  4. 請求項1記載のパイプレール走行装置を、天井に平行に架設した2本の走行レールを跨がるように取付け、本体部の水平部にアームを下方に向かって接合し、このアームの下部にブラケットを取付け、このブラケットにウインチが取付けられこのウインチにワイヤの一端を巻き付け、ワイヤの他端をブラケットに連結し、このワイヤのU形湾曲部に滑車を取付け、この滑車の下部にフックを取付けたことを特徴とするホイストクレーン。
  5. 請求項1記載のパイプレール走行装置を構成する本体部の上に、パイプを着脱自在に取付けるパイプクランプを接合し、ここに間隔をおいて複数本平行に配置した横フレーム用パイプを連結し、更にここに取付けたパイプクランプで、前記横フレーム用パイプと直交して間隔をおいて複数本平行に配置した縦フレーム用パイプフレームを連結して台車を形成し、この台車を床面や地面に敷設した走行レールの上を車輪が跨がるように走行することを特徴とする運搬装置。



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