以下に添付図面を参照して、移動ユニット、移動体、支援装置、およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態では、走行面を移動しながら草刈り作業を行う移動体(草刈りロボット)と、当該移動体の移動を支援する支援装置とを備えた、移動ユニットについて説明する。
本実施形態の移動ユニットでは、移動体が作業者により操作されることなく、自律して走行面を移動しながら草刈り作業を行う。その際、支援装置が移動体の移動を支援する。すなわち、移動体は、走行面の状態を確認しながら移動速度や移動方向を制御して走行面を移動し、支援装置は移動体の状況に応じて移動体の移動をアシストする。このとき、移動ユニットは、移動体が走行面で障害物を検知した場合、当該障害物を回避して作業を行う。
障害物には、溝や穴などもある。近年、山間部を中心とした多くの耕作放棄地があり、猪などの動物が餌を求めて掘り返した多くの穴が発生していることがある。このような土地に農業機械や草刈り機などの移動体が入ろうとすると、穴にはまって動けなくなったり、故障してしまう場合がある。また、穴にはまった移動体の救出には多くの労力を必要とする。従って、障害物としては、走行の妨げになる岩や大きな石、木片、切り株など走行面に存在するものだけでなく、走行面に形成された溝や穴なども含まれる。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の移動ユニットによる法面の草刈り作業の実施例を示す図である。図2は、図1に示す移動ユニットを上方から見た上面図である。図3は、図1に示す移動ユニットの側面図である。図1〜3に示すように、移動ユニットは、移動体100と支援装置200とから構成されている。
まず、移動体100について説明する。移動体100は、法面G1の草を刈る草刈り部110を有する草刈りロボットである。本実施形態の移動体100は、2枚の重なり合う刃物を水平に往復させて草を刈るバリカン方式の草刈り部110を備えている。草刈り部110は、草刈りエンジン14を駆動源として刃物を動かしている。なお、本実施形態では、バリカン方式を用いているが、ハンマーナイフ方式等の他の方式による草刈り部を備えていてもよい。
移動体100は、4つの車輪(タイヤ)107a〜107dを有し、電気によるモータ駆動、またはガソリンやガスなどのエンジンを動力源として法面G1を移動する。本実施形態では、モータ106a、106d、およびブレーキ109a、109dがそれぞれ対角線上の車輪107a、107dに設けられ、車輪107a、107dを回転させて走行することで移動体100を移動させている。図1に示すように、本実施形態の移動体100は、矢印U1、D1、U2、D2で示す方向に移動しながら、すなわち、上って下って、を繰り返しながら法面G1の草刈り作業を行う。なお、本実施形態では、移動体100の走行に車輪(タイヤ)を用いているが、クローラ等他の移動手段を備えていてもよい。
また、図1〜3に示すように、移動体100は、ステレオカメラ101と、GPS(Global Positioning System)センサ102と、三色表示灯103と、加速度センサ104と、近接センサ108とを備えている。
ステレオカメラ101は、移動体100の上面に設けられており、移動体100の走行方向の前方を撮影して、走行面を含む撮影画像を取得する。この撮影画像から、後述する画像処理部151(図5参照)により障害物が検知される。
GPSセンサ102は、GPS機能を用いて、移動時でも移動体100の走行している位置を検出するものである。三色表示灯103は、例えば、赤、黄、青などの三色の光を点灯するものであって、例えば、移動体100から離れている作業者に対して各色に定められた状況を知らせる。
加速度センサ104は、XYZ軸の3方向の加速度を測定できるセンサであって、本実施形態では、移動体100の速度の変化を計測することで、移動体100の落下または転倒を検知するものである。
また、移動体100の落下を他の方法によって検知してもよい。例えば、移動体100から支援装置200のウィンチ205に接続される牽引ワイヤ207(後述)の引っ張り角を検知する接触式センサを設ける。そして、検知された引っ張り角の角度が急激に下がった場合に、移動体100が落下したと判断する方法が考えられる。
近接センサ108は、検出対象を接触することなく検出するセンサであって、本実施形態では、移動体100が移動している際に法面G1の端部を検知するものである。移動体100は、例えば、上述したように矢印U1、D1、U2、D2の順に移動するため、法面G1の端部L1、L2を検知して方向転換する必要がある。従って、例えば、端部L1、L2に金属のワイヤを張り、近接センサ108はこのワイヤを検知することで、法面G1の端部を検知する。近接センサ108は、端部検知部の一例である。
移動体100は、ステレオカメラ101により検知された走行面(法面G1)の状態に応じて、移動体100の内部に備えられたモータ106a、106dおよびブレーキ109a、109dを制御することで、移動体100を走行させたり停止させながら、草刈り作業を行う。移動体100は、モータ106a、106dの回転速度を制御することで、移動体100の走行速度や走行方向を切り替える。例えば、左右の車輪107a〜107dの回転速度差を利用することで、走行方向を切り替えることができる。
次に、支援装置200について説明する。支援装置200は、2本の支柱50a、50b、金属パイプ(ガイド部材の一例)52、および移動支援部250を備えて構成されている。
支柱50a、50bは、法面G1に隣接する設置面G2に所定間隔で固定され、金属パイプ52は、この支柱50a、50b間で移動体100の移動方向に交差する方向であるA方向に沿って固定金具51a、51bにより固定されている。移動支援部250は、この金属パイプ52上を自在にA方向に移動可能に設けられている。
具体的には、例えば、移動支援部250には、回転可能な2組の一対のガイドローラ201a、201bおよび202a、202bが上面に設けられており、金属パイプ52を挟持している。ガイドローラ201aには、モータ204が設けられている。モータ204によりガイドローラ201aを回転することにより、一対のガイドローラ201a、201bおよび202a、202bが回転するため、金属パイプ52に沿って移動支援部250をA方向(交差する方向)に移動できる。この時、移動支援部250に設けられた補助ローラ203は、移動支援部250の回転に伴って回転することでA方向に移動するため、移動支援部250のA方向の移動を補助する。
そして、支援装置200は、移動支援部250と移動体100とを張力のかかった状態で接続する牽引ワイヤ207を有している。牽引ワイヤ207は、モータ208によりウィンチ205に巻き取られたり、ウィンチ205から引き出されたりする。本実施形態では、牽引ワイヤ207は、移動体100が移動しているか否かを示す移動可否状況、および移動体100の移動方向に応じて、張力が調整される。また、牽引ワイヤ207は、移動体100が停止しているときは、移動体100の転倒防止のためブレーキ209により固定される。牽引ワイヤ207は、牽引ワイヤ207に張力が働く方向であるB方向の張力を検出する張力計206を有している。なお、牽引ワイヤ207は接続部材の一例であって、張力計206は張力検出部の一例である。支援装置200の詳細な制御は後述する。
なお、本実施形態の移動支援部250は、ガイド部材である金属パイプ52に設けられているが、その他、ワイヤ、ロープやテンションが調整可能なベルト部材などもガイド部材として利用できる。また、ガイド部材としてベルト部材を用いた構成については、第2の実施形態において説明する。
また、移動体100は、通信が可能なシリアルI/F15を有しており、支援装置200は、シリアルI/F27を有している。従って、移動体100と支援装置200は、各種情報を送受信できる。また、移動ユニットは、作業者による遠隔操作が可能なラジコン500を備えてもよく、この場合も、ラジコン500も移動体100および支援装置200と通信が可能となっている。
次に、移動体100と支援装置200のハードウェア構成について説明する。図4は、第1の実施形態にかかる移動体と支援装置のハードウェア構成図である。
図4に示すように、移動体100は、草刈り部110と、ステレオカメラ101と、GPSセンサ102と、三色表示灯103と、加速度センサ104と、近接センサ108と、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、草刈りエンジン14と、シリアルI/F15と、モータ106a、106dと、モータドライバ16a、16dと、を備えている。
ここで、草刈り部110と、ステレオカメラ101と、GPSセンサ102と、三色表示灯103と、加速度センサ104と、近接センサ108については、上述したため省略する。
CPU11は、移動体100全体の動作を制御する。CPU11は、RAM13をワークエリアとしてROM12に格納されたプログラムを実行することで、移動体100全体の動作を制御する。
草刈りエンジン14は、草刈り部110を駆動する駆動源である。シリアルI/F15は、ネットワークを利用して各種情報を通信するためのインターフェースである。
モータ106aは、車輪107aを駆動する駆動源である。ブレーキ109aは、車輪107aにブレーキを掛けるものである。また、モータドライバ16aは、モータ106aの駆動を制御する制御回路である。
モータ106dは、車輪107dを駆動する駆動源である。ブレーキ109dは、車輪107dにブレーキを掛けるものである。また、モータドライバ16dは、モータ106dの駆動を制御する制御回路である。
また、図4に示すように、支援装置200は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、シリアルI/F27と、表示パネル210と、モータ208と、ブレーキ209と、モータ204と、モータドライバ24、26と、ブレーキドライバ25と、を主に備えている。
CPU21は、支援装置200全体の動作を制御する。CPU21は、RAM23をワークエリアとしてROM22に格納されたプログラムを実行することで、支援装置200全体の動作を制御する。
シリアルI/F27は、ネットワークを利用して各種情報を通信するためのインターフェースである。表示パネル210は、各種情報を表示する表示部である。また、表示パネル210は、音声を出力するスピーカを備えていてもよいし、作業者からの入力を受け付けるボタン等を備えていてもよい。
モータ208は、ウィンチ205を回転駆動する駆動源である。すなわち、モータ208が駆動することにより、ウィンチ205は、牽引ワイヤ207に張力を与え、巻き取っていく。また、モータドライバ24は、モータ208の駆動を制御する制御回路である。
モータ204は、ガイドローラ201aを駆動する駆動源である。また、モータドライバ26は、モータ204の駆動を制御する制御回路である。ブレーキ209は、ウィンチ205の回転を停止させるものである。
次に、移動体100と支援装置200とラジコン500の機能構成について説明する。図5は、第1の実施形態にかかる移動体と支援装置とラジコンの機能構成図である。
図5に示すように、移動体100は、画像処理部151と、移動制御部152と、通信制御部153と、表示制御部154と、草刈り制御部155とを主に備えて構成されている。
画像処理部151は、ステレオカメラ101により取得された走行面(法面G1)を含む撮影画像から、移動体100の法面G1の状態を検知する。つまり、画像処理部151は、撮影画像から、草刈り作業の対象物である草を検知するほか、走行の妨げとなる岩や大きな石、木片、切り株、走行面に形成された溝や穴などを草刈り作業の障害物として検知する。また、画像処理部151は、法面G1上にある障害物を検知した場合、撮影画像から当該障害物までの距離を検知する。これにより、移動体100は、走行が可能か否かを判断する。
障害物の検知方法の一例について説明する。例えば、画像処理部151は、ステレオカメラ101により取得された撮影画像から特徴点のマッチングをして視差画像を計算し、深度画像を生成する。画像処理部151は、その深度画像から、移動体100が干渉せずに移動できない領域を障害物として検知する。次に、画像処理部151は、障害物とされた領域を深度情報に基づいて画像領域に分解する。具体的には、画像処理部151は、深度情報により、ほぼ同じ深度にあるものは1つの領域とし、ある程度離れた深度にある領域は別の領域として分解する。また、深度は同じであっても、2次元的に距離が離れた物体も別の領域とする。次に、画像処理部151は、ステレオカメラ101のRGB情報から、画像領域ごとに非障害物領域を検知する。そして、画像処理部151は、画像領域から検知した非障害物領域を除き、障害物(領域)と決定する。なお、ステレオカメラ101および画像処理部151が、状態検知部の一例である。
ここで、走行面に生えている草の高さが高かった場合や、ステレオカメラ101からの撮影画像からだけで走行面に形成されている穴や溝を検知することが困難な場合がある。従って、例えば、以下のような他の障害物の検知方法を補助的に用いることで、走行が可能か否かを判断する構成としてもよい。図6〜8は、障害物を検知する他のセンサの説明図である。
図6に示すように、移動体100の草刈り部110は、走行面(法面G1)の地面に倣って上下方向に移動可能な揺動アーム110aにより本体100aに取り付けられている。そして、この揺動アーム110aは、可動範囲の上限を検出する上限センサ301aと、可動範囲の下限を検出する下限センサ301bとが取り付けられている。これにより、走行面の地形に大きな凹凸があった場合、上限センサ301aや下限センサ301bが当該凹凸を検知すると、移動制御部152は障害物があると判断し、移動体100が走行不可能と判断できる。
また、図6に示すように、揺動アーム110aに歪センサ302を取付ける。そして、歪センサ302が検知した歪量が所定量以上になった場合、移動制御部152は障害物があると判断し、移動体100が走行不可能と判断できる。
また、図7、8に示すように、移動体100の進行方向に対する、草刈り部110の幅方向(α方向)に2つの超音波センサ303a、303bを取り付ける。そして、この超音波センサ303a、303bが地面(法面G1)までの距離を検出し、所定距離以上の距離が検出された場合、移動制御部152は、穴や溝などの障害物があると判断し、移動体100が走行不可能と判断できる。なお、図7、8では、2つの超音波センサを設けていたが3つ以上設ける構成としてもよい。
図5に戻り、移動制御部152は、画像処理部151により検知された法面G1の状態に応じて、モータ106a、106dを制御することで車輪107a〜107dを回転させ、ブレーキ109a、109dを制御することで回転を停止させて、移動体100の移動を制御する。
具体的には、例えば、移動制御部152は、予め定められた走行経路に従って車輪107a〜107dを回転させて、移動体100を法面G1の下方向(第2の方向の一例)に移動させる。法面G1の下方の端部L1が検知された場合、移動制御部152は、車輪107a〜107dの回転を停止してブレーキを掛けることで、移動体100を停止させる。そして、移動制御部152は、車輪107a〜107dを逆回転させ、左右の回転速度を異ならせて、移動体100を法面G1に対して斜め上方向(第1の方向の一例)に移動させる。法面G1の上方の端部L2が検知された場合、移動制御部152は、車輪107a〜107dの回転を停止してブレーキを掛けることで、移動体100を停止させる。そして、移動制御部152は、車輪107a〜107dを逆回転させ、左右の回転速度を同じにして、移動体100を法面G1の下方向に移動させる。
また、移動制御部152は、画像処理部151により検知された障害物までの距離に基づいて、障害物から所定距離だけ手前に離れた位置で移動体100を停止させる。これにより、障害物を回避することができる。
通信制御部153は、シリアルI/F15によって、支援装置200の移動支援部250やラジコン500との間で各種情報を送受信する。具体的には、例えば、通信制御部153は、移動制御部152による移動体100の移動に基づいて、移動体100が移動しているか停止しているか(移動しているか否か)を示す移動可否状況と、移動体100の移動方向とを示す移動体情報を、移動支援部250に送信する。
また、通信制御部153は、画像処理部151により、移動体100が法面G1を下り方向に移動しているときに障害物が検知された場合、その旨を移動支援部250に送信する。また、通信制御部153は、移動体100の落下または転倒が検知された場合、落下または転倒により救助を要請する旨を示す救出要求情報を移動支援部250に送信する。
表示制御部154は、移動体100に設けられた三色表示灯103の点灯表示を制御する。例えば、表示制御部154は、予め定められた走行経路に従って移動体100が移動している場合は青色を表示し、法面G1で検知された障害物を回避しながら移動体100が移動している場合は黄色を表示し、移動体100が転倒や落下した場合には、赤色を表示する。これにより、移動体100から離れた位置にいる作業者が移動体100の状況を把握することができる。
草刈り制御部155は、草刈りエンジン14を制御することで、草刈り部110による草刈り作業を制御するものである。本実施形態の移動体100は、法面G1の下方向への移動時、および上方向への移動時に草を刈る構成となっている。
また、図5に示すように、支援装置200の移動支援部250は、通信制御部251と、タイマ部252と、ウィンチ制御部253と、回転制御部254と、出力制御部255とを備えて構成されている。
通信制御部251は、移動体100やラジコン500との間で各種情報を送受信する。具体的には、通信制御部251は、移動可否状況と移動方向とを示す移動体情報を移動体100から受信する。また、法面G1に障害物があった場合、その旨を移動体100から受信する。さらに、移動体100が転倒や落下した場合、救出要求情報を移動体100から受信する。
タイマ部252は、移動体100が停止した場合に所定時間の計時を行う。これにより、ウィンチ制御部253は、牽引ワイヤ207を固定するブレーキのタイミングを判断する。
ウィンチ制御部253は、移動可否状況および移動方向に応じて、牽引ワイヤ207の張力を制御する。なお、移動可否状況および移動方向は、張力計206により検出された牽引ワイヤ207の張力と、移動体100から受信した移動体情報とのうち、少なくとも一方により把握することができる。ウィンチ制御部253は、さらに、ブレーキ制御部2531と、巻取制御部2532とを備えている。
ブレーキ制御部2531は、ブレーキドライバ25を制御することで、ウィンチ205の牽引ワイヤ207が巻き取られたり引き出されないように固定するブレーキを掛けたり、当該固定を解除するブレーキ解除の制御を行う。具体的には、ブレーキ制御部2531は、移動体100が停止している場合、牽引ワイヤ207にブレーキを掛けて固定する。その後に、移動体100が上方向または下方向に移動を始めた場合、牽引ワイヤ207のブレーキを解除して固定を解除する。
ここで、牽引ワイヤ207の張力により移動体100の移動可否状況を把握する場合について説明する。張力計206により検出された張力が所定時間変化しなかった場合、ブレーキ制御部2531は、移動体100は停止していると判断し、牽引ワイヤ207にブレーキを掛ける制御を行う。そして、その後に張力計206により検出された張力が変化した場合、ブレーキ制御部2531は、牽引ワイヤ207のブレーキの固定を解除する制御を行う。
次に、移動体100から受信した移動体情報から移動可否状況を把握する場合について説明する。ブレーキ制御部2531は、受信した移動体情報が示す移動可否状況において移動体100が停止している旨を示している場合は牽引ワイヤ207にブレーキを掛ける。一方、ブレーキ制御部2531は、当該移動可否状況において移動体100が移動し始めた旨を示している場合は牽引ワイヤ207のブレーキを解除する。
巻取制御部2532は、移動体100が移動支援部250に向かう方向である斜め上方向(第1の方向)に移動を始めた場合、牽引ワイヤ207を巻き取り張力を与えることで、移動体100の移動を補助する。また、巻取制御部2532は、移動体100が移動支援部250から離れる方向である下方向(第2の方向)に移動を始めた場合、牽引ワイヤ207に張力を与えない、すなわち牽引ワイヤ207を引き出し可能な状態にする。
ここで、牽引ワイヤ207の張力により移動体100の移動可否状況および移動方向を把握する場合について説明する。張力計206により検出された張力が所定時間変化しなかった後に弱くなった場合、巻取制御部2532は、移動体100が斜め上方向に移動していると判断し、牽引ワイヤ207を巻き取ることで張力を与える制御を行う。一方、張力計206により検出された張力が所定時間変化しなかった後に強くなった場合、巻取制御部2532は、移動体100が下方向に移動していると判断し、牽引ワイヤ207に張力を与えない制御を行う。
次に、移動体100から受信した移動体情報から移動方向を把握する場合について説明する。巻取制御部2532は、受信した移動体情報が示す移動方向において移動体100が斜め上方向に移動している旨を示している場合、牽引ワイヤ207を巻き取ることで張力を与える制御を行う。一方、巻取制御部2532は、当該移動方向において移動体100が下方向に移動している旨を示している場合、牽引ワイヤ207に張力を与えない制御を行う。
また、巻取制御部2532は、移動体100から障害物を検知した旨を受信した場合、障害物から所定距離だけ手前に離れた位置から移動体100が上る際に、牽引ワイヤ207を巻き取ることで張力を与える制御を行う。また、巻取制御部2532は、移動体100から転倒または落下したことにより、救出要求情報を受信した場合、牽引ワイヤ207を巻き取ることで張力を与える制御を行い、移動体100を穴などから引っ張り出して救出する。
回転制御部254は、モータドライバ26を制御することで、ガイドローラ201aを回転させることで、金属パイプ52に沿って移動支援部250をA方向(移動体100の移動方向に交差する方向)に移動させる制御を行う。
具体例として、図1を参照し、移動体100を矢印U1、D1、U2、D2の順に移動させる場合について説明する。移動体100が法面G1の端部L1を検知して停止した場合、回転制御部254は、ガイドローラ201aを時計回りに回転させることで、移動支援部250を支柱50b側に所定距離移動させる。なお、端部L2を検知して停止した場合、移動体100はその後に端部L1に直交する下方向に移動するため、移動支援部250は移動させない。
出力制御部255は、移動体100の移動可否状況および移動方向を表示パネル210に表示する。また、出力制御部255は、表示パネル210のスピーカや、表示パネル210と別に設けられたスピーカから、移動体100の移動可否状況および移動方向を音声により出力する制御を行ってもよい。これにより、移動体100の移動可否状況や移動状況を、支援装置200の近傍にいる作業者に通知することができる。
また、ラジコン500は、入力受付部501と、送信部502とを備えて構成されている。入力受付部501は、作業者からの指示の入力を受け付けるものであって、例えば、草刈り作業を開始する旨の開始指示の入力を受け付ける。送信部502は、受け付けた指示を支援装置200の移動支援部250に送信する。また、ラジコン500から作業者が移動体100の移動指示を入力して移動体100に送信することにより、移動体100を移動指示に従って移動させることができる構成としてもよい。
次に、本実施形態の移動ユニットの草刈り作業の流れについて説明する。移動ユニットにより草刈り作業を始める前に、支援装置200の移動支援部250のセッティングを行う。
まず、作業者は草刈り作業を行う現場である法面G1に到着すると、法面G1に隣接する設置面G2に支柱50a、50bを打ち込み支柱50a、50bを固定する。そして、移動支援部250のガイドローラ201a、201b、202a、202bにより金属パイプ52を挟持させることで、金属パイプ52に移動支援部250を取り付ける。
次に、固定金具51a、51bにより、移動支援部250が取り付けられた金属パイプ52の両端部近傍を支柱50a、50bに固定する。金属パイプ52を固定した後、回転制御部254は、移動支援部250を金属パイプ52上で滑らせ、草刈り領域である法面G1の端部位置まで移動させる。
移動支援部250を移動させた後、ウィンチ205に巻き付けられた牽引ワイヤ207を、ステレオカメラ101や草刈り部110等が搭載された移動体100の後方に、フックなどで掛けて固定する。牽引ワイヤ207の固定が完了すると、作業者がラジコン500などを操作して草刈り作業の開始指示を行い、移動体100は、草刈りエンジン14を始動させて草刈り部110を稼働させる。草刈り部110が稼動すると、移動体100は自律して法面G1を走行し、草刈り作業を開始する。なお、ラジコン500を作業者が操作することで移動体100を移動させてもよい。
図9は、第1の実施形態の移動ユニットによる草刈り作業の流れを示すフローチャートである。図9では、障害物がない場合における移動ユニットの草刈り作業の流れについて説明する。
移動支援部250が法面G1の端部位置に移動し、作業者の草刈り作業の開始指示により、草刈り制御部155による草刈り作業が開始されると、草刈り制御部155により法面G1に生えている草を刈りながら、移動制御部152は、車輪107a〜107dを回転させて、移動体100を法面G1の下方向に向かって移動させる(ステップS10)。具体的には、移動制御部152は、車輪107dと車輪107aの回転速度を同じにし、矢印D1方向のように、法面G1に向かって下方向に移動体100を移動させる。この時、通信制御部153は、移動体100が下方向に移動している旨の移動体情報を、移動支援部250に送信する(ステップS11)。
移動体100が法面G1を下方向に移動し始め、移動体情報を受信し、張力計206により牽引ワイヤ207の張力が強くなり引っ張りを検知すると、ブレーキ制御部2531は、ウィンチ205の牽引ワイヤ207のブレーキを解除する(ステップS12)。
そして、ステレオカメラ101は、移動体100が前方や法面G1を撮影して撮影画像を取得し、画像処理部151に送出する。画像処理部151は、撮影画像に基づいて移動体100の前方の法面G1の状態を検知し、前方に障害物がないことを確認しながら、移動制御部152は、移動体100を下方向に移動させていく。
近接センサ108により、移動体100が法面G1の下方の端部L1を検知すると(ステップS13)、移動体100が端部まで到達したと判断し、移動制御部152は、移動体100を停止させる(ステップS14)。この時、通信制御部153は、移動体100が停止した旨の移動体情報を、移動支援部250に送信する(ステップS15)。
また、ブレーキ制御部2531は、移動体情報を受信し、牽引ワイヤ207の張力に変化がないことを確認できた場合、移動体100が停止状態であると判断し、タイマ部252により計測された数秒(所定時間)後のタイミングで、ウィンチ205の牽引ワイヤ207にブレーキを掛けて固定し(ステップS16)、移動体100の転倒や落下を防止する。
このように、移動体100の停止から数秒後に牽引ワイヤ207にブレーキを掛けることで、牽引ワイヤ207にたわみができる。これにより、次に方向転換して移動体100を上り方向に移動させる際に、たわみによる遊びがあるため、急に張力が与えられ勢いよく動き始めることがなく、スムーズに発進できる。
牽引ワイヤ207にブレーキが掛かると、回転制御部254は、モータ204を所定時間駆動することでガイドローラ201aを時計回りに回転させ、移動支援部250を金属パイプ52に沿って支柱50b側に向けて滑らせて次の草刈り位置まで移動させる(ステップS17)。このとき、牽引ワイヤ207が固定されていることにより移動支援部250が動かせない場合は、牽引ワイヤ207のブレーキを断続的に解除して牽引ワイヤ207を引き出すことで移動させる。
次に、移動制御部152は、車輪107a〜107dの回転方向を逆回転にするとともに、回転速度を左右異ならせることで、移動体100をゆっくりと法面G1の上方向に向かって移動させる(ステップS18)。具体的には、移動制御部152は、車輪107dの回転速度より、車輪107aの回転速度を速くすることで、矢印U2方向のように、法面G1に向かって右斜め上方向に移動体100を移動させる。この時、通信制御部153は、移動体100が上方向に移動している旨の移動体情報を、移動支援部250に送信する(ステップS19)。
移動体100が法面G1を斜め上方向に移動し始め、移動体情報を受信し、張力計206により牽引ワイヤ207の張力が弱くなり弛みを検知すると、ブレーキ制御部2531は、牽引ワイヤ207のブレーキを解除する(ステップS20)。移動体100は、上方向に移動しながら草刈り作業を実施する。
この時、移動体100は重量を有しているため、移動体100自身の駆動力のみで法面G1を登ると多くの電流が必要となり、電源消費が増大してしまう。そこで、さらに、巻取制御部2532は、ウィンチ205の牽引ワイヤ207を巻き取り(ステップS21)、移動体100の上方向の移動をアシスト(補助)して、電源消費を抑制する。
そして、移動体100が草刈り領域である法面G1の上方の端部L2を検知すると(ステップS22)、移動体100が端部まで到達したと判断し、移動制御部152は、移動体100を停止させる(ステップS23)。この時、通信制御部153は、移動体100が停止した旨の移動体情報を、移動支援部250に送信する(ステップS24)。
また、ブレーキ制御部2531は、移動体情報を受信し、牽引ワイヤ207の張力に変化がないことを確認できた場合、移動体100が停止状態であると判断し、牽引ワイヤ207にブレーキを掛けて固定し(ステップS25)、移動体100の転倒や落下を防止する。
そして、予め定めた草刈り領域の草刈り作業が終了したか否かを判断し(ステップS26)、草刈り作業が終了している場合は(ステップS26:Yes)、処理を終了する。一方、草刈り作業が終了していない場合は(ステップS26:No)、ステップS10に戻って、処理を繰り返す。
つまり、移動制御部152は、車輪107a〜107dの回転方向を逆回転にするとともに、回転速度を左右同じにすることで、移動体100をゆっくりと法面G1を下方向に向かって移動させる(ステップS10)。そして、ステップS11の処理へと続く。
ここで、草刈り作業において、移動体100が下方向に移動している場合、法面G1の端部L1を検知したことにより移動体100が停止した場合、移動体100が上方向に移動している場合、法面G1の端部L2を検知したことにより移動体100が停止した場合、移動体100が草刈り作業を行っている場合等、移動体100の動作状況が変化した際、出力制御部255は、移動体100の移動可否状況および移動方向、草刈り作業の進行状況を、表示パネル210に表示したり、音声により出力できる。これにより、移動体100の動作状況を、支援装置200の近傍にいる作業者が把握することができる。
次に、障害物があった場合における移動ユニットの草刈り作業の流れについて説明する。以下では、移動体100が草刈り作業を実施している際に、ステレオカメラ101により撮影した撮影画像から、画像処理部151が岩や大きな石、木や切り株、溝、穴などの障害物を検知した場合について説明する。なお、基本的な草刈り作業の動作は上述したため、障害物の検知とその対応について説明する。
まず、移動体100が下方向に移動している際に障害物を検知した場合について説明する。図10は、第1の実施形態の移動ユニットによる障害物の回避の流れを示すフローチャートである。
移動制御部152により、移動体100が法面G1を下方向に向かって移動している際に、画像処理部151は、撮影画像に基づいて移動体100の前方の法面G1で障害物を検知する(ステップS30)。そして、画像処理部151は、障害物までの距離を検知して(ステップS31)、移動制御部152に送出する。
移動制御部152は、モータドライバ16a、16dを制御して、前方に障害物があることから車輪107a〜107dの回転速度を落としながら移動させる(ステップS32)。例えば、モータドライバ16a、16dに送出する回転周波数情報を遅くなるよう書き換える。
その後、移動制御部152は、障害物から所定距離だけ手前の位置で移動体100を停止させる(ステップS33)。この時、通信制御部153は、移動体100が停止した旨の移動体情報を、移動支援部250に送信する(ステップS34)。また、ブレーキ制御部2531は、数秒経過後、牽引ワイヤ207にブレーキを掛けて固定し(ステップS35)、移動体100の落下を防止する。
移動体100はそれ以上進めなくなるため、移動制御部152は、車輪107a〜107dを逆回転させて、移動体100を上方向に向けて移動させる(ステップS36)。この時、通信制御部153は、移動体100が上方向に移動している旨の移動体情報を、移動支援部250に送信する(ステップS37)。
移動体100が上方向に移動し始めると、ブレーキ制御部2531は、牽引ワイヤ207のブレーキを解除し(ステップS38)、巻取制御部2532は、牽引ワイヤ207を巻き取り(ステップS39)、移動体100の上方向の移動をアシストする。
そして、移動体100が法面G1の上方の端部L2を検知すると(ステップS40)、移動制御部152は、移動体100を停止させる(ステップS41)。この時、通信制御部153は、移動体100が停止した旨の移動体情報を、移動支援部250に送信する(ステップS42)。
また、ブレーキ制御部2531は、数秒経過後、牽引ワイヤ207にブレーキを掛けて固定し(ステップS43)、移動体100の転倒や落下を防止する。そして、回転制御部254が移動支援部250を次の草刈り位置まで移動させて(ステップS44)、草刈り作業を再度実施する。すなわち、図9のステップS10に戻る。
次に、移動体100が上方向に移動している際に障害物を検知した場合について説明する。図11は、第1の実施形態の移動ユニットによる障害物の回避の流れを示すフローチャートである。
移動制御部により、移動体100が法面G1を上方向に向かって移動している際に、画像処理部151は、撮影画像に基づいて移動体100の前方の法面G1の障害物を検知する(ステップS50)。そして、画像処理部151は、障害物までの距離を検知して(ステップS51)、移動制御部152に送出する。
移動制御部152は、モータドライバ16a、16dを制御して、前方に障害物があることから車輪107a〜107dの回転速度を落としながら移動させる(ステップS52)。例えば、モータドライバ16a、16dに送出する回転周波数情報を遅くなるよう書き換える。
その後、移動制御部152は、障害物から所定距離だけ手前の位置で移動体100を停止させる(ステップS53)。この時、通信制御部153は、移動体100が停止した旨の移動体情報を、移動支援部250に送信する(ステップS54)。また、ブレーキ制御部2531は、数秒経過後、牽引ワイヤ207にブレーキを掛けて固定し(ステップS55)、移動体100の落下を防止する。
移動体100はそれ以上進めなくなるため、回転制御部254は、モータ204を所定時間駆動することでガイドローラ201aを反時計回りに回転させ、移動支援部250を金属パイプ52に沿って支柱50a側に向けて滑らせて前回の草刈り位置に戻す方向に移動させる(ステップS56)。
移動制御部152は、車輪107a〜107dを逆回転させて、移動体100を上方向に向けて移動させる(ステップS57)。この時、通信制御部153は、移動体100が上方向に移動している旨の移動体情報を、移動支援部250に送信する(ステップS58)。
移動体100が上方向に移動し始めると、ブレーキ制御部2531は、牽引ワイヤ207のブレーキを解除し(ステップS59)、巻取制御部2532は、牽引ワイヤ207を巻き取り(ステップS60)、移動体100の上方向の移動をアシストする。
そして、移動体100が法面G1の上方の端部L2を検知すると(ステップS61)、移動制御部152は、移動体100を停止させる(ステップS62)。この時、通信制御部153は、移動体100が停止した旨の移動体情報を、移動支援部250に送信する(ステップS63)。
また、ブレーキ制御部2531は、数秒経過後、牽引ワイヤ207にブレーキを掛けて固定し(ステップS64)、移動体100の転倒や落下を防止する。そして、回転制御部254は、障害物を越えた位置まで移動支援部250を移動させて(ステップS65)、草刈り作業を再度実施する。すなわち、図9のステップS10に戻る。
図11では、移動体100が上方向に移動している際に障害物を検知すると、移動支援部250を戻す方向に移動させている。これは、既に草刈り作業を行った領域では、障害物の有無が確認されているため、容易に上方に戻ることができるためである。そして、移動支援部250が戻す方向に移動されたため、再度草刈り作業を行うためには、障害物を越えた位置まで移動支援部250を移動させる必要がある。
次に、移動体100が雨降り後や湿原のぬかるみ、法面G1に形成された穴にはまってしまう等、転倒や落下した場合の救出について説明する。図12は、第1の実施形態の移動ユニットによる移動体の救出の流れを示すフローチャートである。
例えば、加速度センサ104により移動体100が転倒または落下したことを検知した場合、または画像処理部151により、撮影画像から移動体100が転倒または落下したことを検知すると(ステップS70)、通信制御部153は、落下または転倒により救助を要請する旨を示す救出要求情報を移動支援部250に送信する(ステップS71)。
移動支援部250の通信制御部251が救出要求情報を受信すると、巻取制御部2532は、ウィンチ205の牽引ワイヤ207を巻き取り(ステップS73)、移動体100を引っ張ることで、移動体100を起き上がらせて、引き上げる。これにより、移動ユニットが自律して移動体100を救出することができる。
ここで、移動体100が下方向または上方向に移動している際に障害物を検出した場合、障害物の手前の所定位置に移動体100が停止した場合、移動体100が障害物を回避して上方向または下方向に方向転換して移動した場合、再度草刈り作業を開始した場合等、移動体100が障害物を検知して回避した場合等に、出力制御部255は、移動体100の移動可否状況および移動方向、草刈り作業の進行状況を、表示パネル210に表示したり、音声により出力できる。これにより、支援装置200の近傍にいる作業者が、移動体100の前方に障害物がある旨や、当該障害物の回避状況、移動体100の転倒や落下およびその救出状況を把握することができる。
上述した実施形態では、ウィンチ205の制御(ブレーキ制御および巻取制御)を張力計206により検出された張力、および移動体100から受信した移動体情報に基づいて行っていたが、さらに、ロードセルセンサによる検知に基づいて行ってもよい。
例えば、図2を参照すると、車輪107a〜107dの駆動軸に、車輪にかかる負荷を検出するロードセルセンサ105a〜105dをそれぞれ設ける。ロードセルセンサ105a〜105dの負荷状況を確認し、前輪である車輪107a、107cにかかる負荷が後輪である車輪107b、107dに係る負荷より大きくなっている場合、法面G1を下る方向に移動体100が移動中であると判断できるため、ブレーキ制御部2531はブレーキを解除し、牽引ワイヤ207を引き出せるよう巻取制御部2532は、牽引ワイヤ207に張力を与えない制御を行う。
一方、前輪である車輪107a、107cにかかる負荷が後輪である車輪107b、107dに係る負荷より小さくなっている場合、法面G1を上る方向に移動体100が移動中であると判断できるため、ブレーキ制御部2531はブレーキを解除し、巻取制御部2532は、牽引ワイヤ207を巻き取ることで張力を与える制御を行う。
また、上述した実施形態では、法面G1の端部L1、L2を近接108センサにより検知しているが、検知方法は近接センサに限定されることはない。例えば、端部L1、L2に張ったワイヤを磁気センサにより検知する構成としてもよい。また、例えば、端部L1、L2にカラーテープ(例えば、赤いテープ)を張り、ステレオカメラ101により撮影した撮影画像から、画像処理部151により端部L1、L2を検知する構成としてもよい。この場合、ステレオカメラ101と画像処理部151が端部検知部の一例となる。また、例えば、端部L1、L2に音を出力させる装置を設け、当該音を検出するセンサによって、端部L1、L2までの距離を算出して端部L1、L2を検知する構成としてもよい。また、例えば、GPSセンサ102により検知された移動体100の位置に基づいて法面G1の端部L1、L2まで移動したか否かを判断してもよい。
また、本実施形態の通信手段は、有線による通信の場合、移動体100の走行時に障害物に絡まってしまったり、走行面の状況によっては通信手段の線材を引っ掛けて断線の可能性が生じ、移動体100の停止や暴走または落下の危険性が生じる可能性がある。このため、本実施形態の通信手段は、無線による通信であることが望ましい。
このように、第1の実施形態の移動ユニットは、設置面G2に固定された支柱50a、50bに固定された金属パイプ52に沿って移動可能な状態で移動支援部250を設ける。そして、移動支援部250は、牽引ワイヤ207によって移動体100とを張力のかかった状態で接続されている。草刈り作業を実施する場合、移動体100が走行面の状態を確認しながら移動し、支援装置200は移動体100の状況に応じて、移動体100の移動を支援する。
例えば、走行面が法面である場合には、移動体100を下方向、上方向の交互に移動させることで草刈り作業を実施する。そして、移動体100が上方向に移動する際には、支援装置200が、移動体100を接続する牽引ワイヤ207を巻き取ることで牽引ワイヤ207に張力を与え、移動体100の移動を補助(アシスト)する。また、走行面に障害物が検知された場合は、移動体100は、障害物を回避して草刈り作業を実施する。さらに、移動体100は、転倒や落下した場合、支援装置200にその旨を通知することで、支援装置200が牽引ワイヤ207により移動体100を救出する。このため、本実施形態の移動ユニットは、事前作業を軽減するとともに作業時の操作を不要としており自律して作業を行うことができる。また、支援装置200により移動体100の移動等を支援するため、怪我や事故などの危険や故障などを回避することができる。
また、上述した実施形態の支援装置200は、牽引ワイヤ207から検出された張力と、移動体100からの移動体情報の受信により、移動体100の状況(移動や停止、移動方向)を把握している。牽引ワイヤ207の張力のみによっても移動体100の補助を行うことも可能であるが、移動体100と支援装置200との間に通信手段を設けることで、リアルタイムに情報交換ができる。従って、例えば障害物を検知した場合には、牽引ワイヤ207のブレーキタイミングを調整できたり、パウダーブレーキ方式を採用すればブレーキ量を調整をすることができ、安全性を向上させることができる。
また、本実施形態では、タイマ部252の計測によりブレーキタイミングを計っているが、角度の大きな法面などでは、移動体100が落下する速さが速くなる。そうすると、牽引ワイヤ207にブレーキを掛けて固定し移動体100を停止させるまでに時間がかかってしまう。そこで、移動体100と支援装置200との間に設けた通信手段によりリアルタイムに移動体100の状況を通知する。これにより、支援装置200は、牽引ワイヤ207のブレーキタイミングを可変にできるため、急勾配でも安全性を向上させることができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、移動支援部をガイド部材である金属パイプ52に設けた構成となっていた。これに対し、本実施形態では、移動支援部をベルト部材に設けた構成について説明する。
本実施形態では、ガイド部材を樹脂や繊維、金属繊維などを編みこんだ長尺状のベルト部材で作成する。まず、ベルト部材の説明とその設置方法について説明する。図13は、第2の実施形態の支援装置におけるベルト部材の説明図である。図14は、第2の実施形態の移動支援部の上面図である。なお、第1の実施形態と同様の部材には同じ符号が付されており、説明を省略する。
図13、14に示すように、本実施形態の支援装置400は、支柱50a、50bにベルト部材54の位置決めを行うためのベルトガイド53a、53bが設けられている。そして、支柱50a、50bに設けられたベルトガイド53a、53b間に、樹脂や繊維、金属繊維などを編みこんだ長尺状のベルト部材54を巻き付けて渡す。この状態ではベルト部材54は弛んだ状態である。
その後、弛んだベルト部材54に設けられたラッチ機能付のベルト巻取金具55を利用し、弛んだベルト部材54を巻き取ることで、ベルト部材54にテンションを加えていく。次に、ベルト部材54においても、第1の実施形態と同様に、移動支援部450を取り付ける。
図15は、第2の実施形態の支援装置における移動支援部の上面図である。図16は、第2の実施形態における移動支援部の取り付け説明図である。
図15、16に示すように、ベルト部材54上を移動可能に取り付けられる移動支援部450は、上カバー420と下カバー430とが取り外し可能となっている。ベルト部材54に、移動支援部450を取り付ける場合、まず、上カバー420を外す。
ガイドローラ401a、402aには、それぞれスプリング411、412、圧解除レバー404、405、圧解除用カム406、407が設けられている。そして、圧解除レバー404、405により圧解除用カム406、407を押し下げることで、スプリング411、412のスプリング圧を解除しながら、ガイドローラ402a、402bの間、およびガイドローラ401a、401b、401cの間にベルト部材54をセットする。
さらに、ベルトガイド用溝部413にもベルト部材54を落とし込み、圧解除レバー404、405を戻すことで再びスプリング圧をガイドローラ401a、402aに加える。
スプリング圧を加えた後、上カバー420の手回しノブ423の凸部421と、ガイドローラ402a、402bに設けられた凹部を合わせる。また、ガイドローラ401a、401b、401cの位置決め用に設けられた凸部422の位置と、ガイドローラ401a、401b、401cに設けられた凹部を合わせて、セットする。
ベルト部材54をセットした後、上カバー420をネジ締めすることで蓋をし、手回しノブ423でガイドローラ402a、402bの間のベルト部材54の弛みをとる。これにより、移動支援部450の取り付け方法は終了となる。
次に、移動支援部450と移動体100との通信方法について説明する。図15で示すように、作業者は移動支援部450に設けられた表示パネル210から、移動支援部450を手動で操作する「手動モード」に切り替える。
手動モードに切り替え後、作業者はラジコン500を操作することでモータ204を駆動させて、移動支援部450を移動体100の位置まで移動させる。この時、移動支援部450には、補助ローラ403a、403bが設けられているため、移動支援部450が直接、設置面G2(図1参照)と接触することがない。従って、移動支援部450のモータ204のトルクを少なくすることが可能となる。
移動支援部450を移動体100の近傍まで移動させると、移動支援部450を停止させ、ウィンチ205の牽引ワイヤ207をフックなどで移動体100に掛けるなどして取り付ける。移動体100を取り付けた後は、表示パネル210で移動支援部450が自律操作する「自動モード」に切り替える。
そして、表示パネル210上のスタートボタンを押下することで移動体100と移動支援部450との間で通信が可能となる。移動体100と移動支援部450との間で通信が可能になると、第1の実施形態と同様に草刈り作業を実施する。
このように、本実施形態の移動ユニットでは、移動支援部450を取り付けるガイド部材として、長尺状のベルト部材54を用いて構成した。これにより、第1の実施形態の効果に加え、軽量で持ち運びしやすく、容易に設置できる。
本実施形態の移動体100、支援装置200で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
また、本実施形態の移動体100、支援装置200で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の移動体100、支援装置200で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。また、本実施形態のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
本実施形態の支援装置200で実行されるプログラムは、上述した各部(通信制御部、ブレーキ制御部、巻取制御部、タイマ部、回転制御部、出力制御部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。また、例えば、上述した各部の機能のうちの一部または全部が専用のハードウェア回路で実現されてもよい。
また、本実施形態の移動体100で実行されるプログラムは、上述した各部(画像処理部、移動制御部、通信制御部、表示制御部、草刈り制御部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。また、例えば、上述した各部の機能のうちの一部または全部が専用のハードウェア回路で実現されてもよい。